来日実習生「時給 25 円」 … 人手不足、制度拡充の方針

目の前に置かれた現金約 10 万円から、社長が約 4 万円を住居費などの名目でとっていった。 日本での就職を仲介してくれたバングラデシュ人が、後日 5 万円を抜くと、手元に残るのは月 1 万円だけだった。 「月 16 万円ほどは稼げる」と聞き、バングラデシュ人の元外国人技能実習生のベガム・ラベアさん (26) が来日したのは 2011 年秋。 長崎県内の縫製工場で、中国人の実習生ら 20 人ほどと一緒に働いた。

ラベアさんによると、彼女たちは、時には未明までミシンがけなどに追われた。 休みは月 2 - 3 日。 月 400 時間以上働き、残業は月 200 時間を超えた。 1 万円の手取りを時給に換算すると「25 円」以下だった。 工場と同じ敷地内の寮の 1 部屋に実習生 10 人と寝泊まりし、外出にも許可が必要だった。 近所の農家にもらった野菜を食べた。

12 年 8 月、職場への不満を訴えると、帰国させられそうになった。 ラベアさんは福岡空港の搭乗口で泣きじゃくり、飛行機に乗るのを拒んだ。 そのまま縫製工場には帰らず、知人のツテを頼り、いまは別の食品工場で働く。 縫製工場の当時を「奴隷のような扱いだった」と振り返る。 人口減を背景にした人手不足は深刻だ。 安倍政権は、現在 15 万人いる外国人実習生の拡充を打ち出す。

ラベアさんは 13 年春、社長らを相手に賃金支払いを求め提訴した。 弁護士によると、月給約 10 万円でも長崎県の当時の最低賃金(646 円)を下回るという。 社長に取材を申し込むと、「訴訟中で話せない。」 厚生労働省が 13 年に監督や指導した実習生を受け入れる事業所のうち 8 割の 1,844 事業所で、残業代未払いや長時間労働など労働関連法違反があった。 このまま実習生の受け入れを増やして問題はないのか。

必要だけど … 揺れ動く制度、現場混乱

メロンの産地として知られ、約 7 千人が農業で働く茨城県鉾田(ほこた)市。 外国人技能実習生約 1,600 人の多くが、農業で働く。 騒ぎは、この夏に起きた。 「JA ほこた」の組合員農家が中国人実習生に対し、残業代を支払っていなかったことが発覚。 東京入国管理局は 7 月、27 戸に実習生の受け入れを 5 年間停止する処分を出した。 実習生は「割増賃金の不払いがあった」と訴え、組合長は辞任に追い込まれた。

JA ほこたは、監理団体として、実習生を受け入れ、労働環境をチェックする役割を担う。 農家の怒りの矛先は、JA ほこたに向かった。 「監理団体なのに、農家を適切に指導しなかった」との理由だ。

だが、JA にも言い分がある。 労働基準法は残業に対し割増賃金を払うよう義務づけるが、天候次第で作業時間が変わる農業は適用されてこなかった。 JA によると、同じ姿勢だった東京入管は、一転して割増賃金の支払いを求めるようになった。 昨年 3 月、農林水産省が農業分野でも割増賃金を支払うよう改めて周知したことがきっかけとみられる。 制度の運用がころころ変わり、現場には説明が行き届かず混乱した。

そもそも監理団体は同じ地域や業種で設立されることが多く、雇い主と監理団体トップが同じであることも珍しくない。 実習生問題に詳しい指宿(いぶすき)昭一弁護士は「監理団体が受け入れ役と監視役の両方を担っていることが、劣悪な待遇を放置する一因だ」と指摘する。 監理団体とともに農家に指導する立場の国際研修協力機構 (JITCO) に対し、JA は年 500 万円の賛助金を支払ったが、巡回するだけだったという。

処分を受けた農家は、実習生に代わる担い手が見つからない。 農家の中には「もうやめる」という人もいる。 JA の調べでは、イチゴの作付面積は前年の 85% に落ち込んだ。 JA ほこたの日向寺和男・代表理事専務はいう。 「農業をしてくれるなら実習生はもちろん、外国人労働者でもいい。 選択肢を増やしてほしい。」(末崎毅、堀口元)

シンガポールでは … 国民に不満、抑制へ転換

1990 年代から積極的に外国人を受け入れてきたシンガポール。 海外の労働力に頼る「先進国」ゆえの悩みを抱えている。 中心部のインド人街の路地に、夜になると多くの人が集まる。 外国人労働者支援団体「TWC2」による給食プログラムだ。 建設現場などでけがをしたり、賃金が未払いだったりして収入のない労働者が、手続きをすませ、近くのレストランで食事を受け取る。 バングラデシュ人のアクラム・フセインさん (32) は昨年 5 月、ホテルで工事中に大けがをし、2 カ月間で 12 回も手術をした。 だが、手続きが煩雑で、十分な保険金も受け取れない。 「シンガポールに来なければよかった」と嘆く。

日本をしのぐペースで少子化が進むシンガポールでは、外国人労働者は今年 6 月で約 134 万人と、人口の 4 分の 1 を占める。 同国政府はいま、外国人の抑制策に乗り出す。 11 年の総選挙で与党が議席を減らした背景に、外国人の増加に雇用が脅かされる国民の不満があるとされる。 今夏には一部の管理職などについて、外国人を雇う前に国民向けに 2 週間の求人を出すことを企業に義務づけた。 外国人労働者のトラブルも増える。 労働者を支援する NGO「HOME」のジョロバン・ワム常任理事は「自国民と等しい条件で、外国人を雇えば問題は起きない」と話す。(編集委員・林美子)

政府が前面、ブローカー排除

日曜日の午後。 ソウル市内にある「韓国外国人力支援センター」で韓国語の授業が始まった。 東南アジアなどから来た労働者が韓国人講師から言葉を学ぶ。 センターは政府が設立し、社団法人に運営を委託する。 「ただで教えてもらえて本当にありがたい。」 最前列のフィリピン人男性 (36) は笑顔で語った。 韓国で働くのは 2 度目。 最初は 2005 年から 3 年間、南東部の工場で働いた。 就労期限が来たので台湾に移り昨年、再び韓国に戻った。 今は仁川市内のカーアクセサリーの工場で働く。

「韓国人との間に賃金の差別はないし、部屋も食事も会社が提供してくれる。 とても満足している。」 男性は、韓国が 04 年に導入した外国人労働者の「雇用許可制」に基づいてやってきた。 韓国政府と外国人労働者を送り出す国が覚書を結び、両国の公共部門が労働者の選定にかかわる。 覚書の締結先は当初の 6 カ国から 15 カ国に増えた。 受け入れ期間は基本的に 3 年だが、一定の条件を満たせば最長で通算 9 年 8 カ月働ける。 少子高齢化が進む韓国では現在、他の制度の適用者も含め、約 85 万人が製造業や農畜産業などで働いているとみられる。

韓国ではきつい肉体労働などを避けるムードが広がり始めるなかで 93 年、日本の技能実習制度に似た「産業研修生制度」を始めた。 だが、労働者としての権利が保障されず、低賃金で働かされる例が続出。 不法滞在者も急増したため、現在の制度に移行した。 政府が前面に出て悪質なブローカーなどは排除され、在留外国人に占める不法滞在の割合も 04 年の 27.9% から、今年 9 月には 11.8% に減った。

生産可能人口 100 人あたりの高齢者は 40 年には韓国が約 57 人、日本は約 63 人になるとの予測がある。 外国人労働者の人権問題に取り組む団体からは「少子高齢化が進めば、外国人はより必要になる。 定住させる方向に進むべきだ。」との意見も出ている。

日本政府も、技能実習制度の見直し策として、送り出す国との「取り決め」の締結を検討する。 中島隆信・慶大商学部教授(応用経済学)は「企業や団体が自らの利益のために制度を利用するのは当然で、日本は制度を抜本的に見直す必要がある。 韓国の例は参考になる。 労働力として受け入れれば、トラブルにも両国で責任をもって対応するようになる。」と指摘している。 (ソウル = 貝瀬秋彦、asahi = 12-25-14)

外国人技能実習制度〉 日本の技術を学んでもらうため、外国人を受け入れる制度。 上限は 3 年。 簡単な作業をする単純労働者として受け入れてはいないが、農漁業、繊維など 68 職種で約 15 万人が働く。 安倍政権は、働ける期間を最長 5 年にしたり、新たに介護や林業も加えたりすることなどを検討している。 建設については2020 年の東京五輪までの時限措置として実習後、さらに 2 - 3 年働くことを認める。 低賃金など劣悪な労働環境にあるとして、米国務省は「人身売買報告書」の 14 年版で、「強制労働の事例がある」と批判している。


ブータン紙、いつか文化遺産に 研修生「石州半紙」学ぶ

11 月末に「和紙」として改めてユネスコの無形文化遺産に登録された「石州半紙(せきしゅうばんし)」。 1300 年の伝統を誇る島根県浜田市三隅町で、4 千キロ離れたブータンから来た研修生 3 人が手すき紙の技術を学んでいる。 一時途絶えたものの、交流が始まって 28 年。 「いずれは母国の技も登録を」と、3 人は腕を磨いている。

浜田市三隅町にある石州和紙会館の工場。 原料のミツマタなどを混ぜ合わせた水を張った水槽「すき舟」のそばに、ブータンの民族衣装を着たチョデンさん (38) が立った。 冷たい水の中から、原料をすくい上げる「竹簀(す)」を挟んだ木枠を引き上げる。 傍らで見守っていた石州和紙協同組合の代表理事、久保田彰さん (64) が、木枠に手を添えた。 久保田さんは英語と、ブータンの公用語・ゾンカ語を片言で交え、身ぶり手ぶりで指導。 紙質を良くするために不純物を取り除く工程「ちりとり」は、日本語のまま伝える。 3 人とも母国で紙すきをしていたため、のみ込みは早い。

研修生が一番、教えられるのは、紙質のために手間をかける大切さ。 ソナム・テンジンさん (32) は「ちりとりは何度も繰り返すなど、全ての工程でブータンより時間をかける。」 母国では、日本のように木枠から紙をはがさず、木枠のまま天日干しするなど作業が粗いため、包装紙ぐらいにしか使われないという。 研修生は 3 人とも初めての海外。 約 2 カ月間、会館近くのアパートで生活しながら、手すき技術を学ぶ。 ブータン料理には欠かせないトウガラシが大量には手に入りにくいのが悩みだ。

唯一の女性で、5 児の母親のチョデンさんは「子どもたちに紙すきを教えたい。」 テンジンさんは帰国後、本格的に紙作りに挑むつもりだ。 「師匠」の久保田さんに、「友人のように親切に教えてくれる」と感謝する。 和紙の里、旧三隅町(現浜田市)とブータンが交流を始めたのは 1986 年。 ブータンでは、紙の材料となる木「ダフネ」が豊富だ。 仏教信仰があついお国柄、経典に使う手すき紙を作る伝統があった。 だが安価な輸入の洋紙に押され、技術は途絶えかけていた。

島根県から町に声がかかり、国交樹立直後のブータンから研修生の受け入れを始めた。 90 年、町は和紙を作る機材を贈呈。 久保田さんの父、故保一さんら職人が、首都ティンプーを訪れた。 久保田さんも 98 年に現地の製作現場を歩いた。 作業場は軒先で、紙質も悪い。 手すき紙だけでは生計が成り立たず、副業を持つ職人の姿を見て「10 年後にはやめてしまうな」と感じた。 2001 年に、産地の一つ、タシヤンツェ県で技術指導をした。

だが 05 年、町が旧浜田市と合併。 資金面で協力していた国際協力機構 (JICA) が独立行政法人になったことも影響し、延べ 17 人の研修生を受け入れ、職人 14 人を現地に派遣したところで交流は途絶えた。 再開の機運が高まったのは、ブータン国王が来日した 11 年。 浜田市の申請で、JICA の草の根協力事業に 13 年から採用された。 約 10 年ぶりに久保田さんは同県を訪問。 集まった 20 人の中に、かつて教えた顔が 7 人もいた。 使命感を強めた久保田さんが、その中から研修生を推薦した。

無形文化遺産登録のニュースを聞いて、最年少のニマ・ウォンチュックさん (20) は「ブータンの手すき紙も登録されるようになれば。小さい国が元気づけられる」と目を輝かせる。 「日本の手すき紙が残ったように、紙というジャンルを残してもらいたい。」 久保田さんはそう願う。 3 人はクリスマスイブの 24 日、帰国の途に就く。 (宮野拓也、asahi = 12-21-14)

石州半紙〉 709 年、石見(現在の島根県西部)の国主となった柿本人麻呂が製法を教えたといわれる。 原料に地元産のコウゾを使う。 1889 年には製造者は一帯で 6,377 戸あった。 現在は 4 事業所で石州和紙協同組合をつくる。 材料の繊維が微細で軽い上、強いのが特徴で、伊勢神宮などの修復でも重宝される。 2009 年に「石州半紙」として単独で、ユネスコの無形文化遺産に登録。 今年 11 月 27 日、岐阜県の「本美濃紙」、埼玉県の「細川紙」とともに「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」として改めて登録された。

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石州和紙 ブータンの職人を育成 友好交流協定

11 月 28 日、浜田市三隅町古市場の石州和紙会館で、ブータン王国から訪れている男女 3 人の技術研修生が真剣な表情で紙すき作業に取り組んでいた。 前日に「石州半紙(ばんし)」が「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」と名称を変え、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決まった中、周囲の喧噪をよそに黙々と手を動かした。

この日の指南役は、石州和紙協同組合の久保田彰代表理事 (64) = 石州和紙久保田代表。 原料の処理や桁の振り方など、熱のこもった指導が入ると、3 人は一つ一つにうなずいた。 母国で手すき紙を作っている 3 人は、12 月下旬までの約 2 カ月間、石州和紙工房の職人から技術を学ぶ。 最年少のニマ・ウォンチュクさん (20) は「石州和紙はきれいで上質。 できるだけのことを習得したい。」と意欲満々だ。

中国とインドに挟まれたヒマラヤ山脈南麓に位置するブータンでは、国教である仏教の経典に使う紙の手すきが古くから行われている。 しかし、品質の悪さから生産者が十分な収入を得られず、文化伝承に「黄信号」がともった。 「救世主」として白羽の矢が立ったのが石州和紙。 ブータン側の要請で、和紙職人たちが 1986 年に技術指導でブータンを訪問したのを機に、石州和紙協同組合を結成。 その後は協同組合が事業主体となり、職人の派遣や、現地の技術研修生の受け入れを続けてきた。

両者の交流は、2005 年に当時の三隅町が浜田市と合併したことでいったん途絶えたものの、同市がブータンと友好交流協定を締結した昨年に再開。 現在来日している 3 人を含め、受け入れた研修生は通算で延べ 22 人を数える。 「同じ紙すき職人として手を差し伸べなければ、何百年と続く文化がなくなってしまう」と、久保田代表理事は当初から変わらぬ思いを口にする。 願うのは、ブータンの紙すきもいつの日か、ユネスコ無形文化遺産に登録されることだ。

協同組合の活動は幅広い。 官民共同運営の刑務所・島根あさひ社会復帰促進センター(浜田市旭町丸原)では、障害がある受刑者の職業訓練として、職人が交代で手すき和紙作りを指導している。 工房での日々の業務と同様に、指導は根気強く丁寧。 同センターの竹内祥泰更生支援企画官 (55) は「伝統文化に根付いた製品を作ることで、受刑者は社会参加の実感を得られ、作業意欲が高まるなどの効果も認められる」と評価する。

センターからは謝金が支払われるものの、実態はボランティアに近い。 ブータン側への技術指導も直接的な見返りはない。 職人たちの技術に対する自信と誇りが、こうした地道な貢献活動を支えている。 (山陰中央新報 = 12-5-14)


紙おむつ「メリーズ」買占め中国人 「日本人が買えないの残念」

日本国内で、花王の紙おむつ『メリーズ』を買占めの対象とする、中国人転売ヤーが存在する。 彼らはこれだけ大量の商品をどのように入手し、どのように捌いているのか。 転売ビジネスを手がける中国人ブローカーが手口を明かす。

「商品を購入する実働部隊は、中国人向けのフリーペーパーやネットで求人します。 働いているのは主に留学生。 紙おむつについては個数制限をしている店が多いので、アルバイトがワンボックスカー数台に分乗し、郊外のドラッグストアなどを 1 日中回って買い集めています。 アルバイトの日当は 1 人 8,000 - 1 万円が相場。 紙おむつ 1 パックの店頭価格(1,500 円前後)に 200 - 300 円を上乗せして買い取る場合もあります。」 そこで仕入れた紙おむつを中国で転売すると、仕入れ値の 2 倍近い 165 元(約 3,000 円)程度で売れるというが、別の中国人バイヤーは「薄利多売だ」とこぼす。

「中国への送料は、コンテナでまとめて送っても 1 パック当たり 600 円ほどかかり、中国税関でも 100 - 200 円の税金を取られるから意外とコストがかかる。 その他の諸費用まで考えると利益は 1 パックで 200 円程度。 だから大量に捌く必要があって、ウチの場合は毎月 3 万パックくらい中国に送っているよ。」 なお、このバイヤーに買い占めの是非を聞くと、「日本人が買えないのは残念だと思うけど、中国人は利益で物事を見るからしょうがない」と平然と言い放った。 (News ポストセブン = 12-14-14)

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紙おむつ大量購入させた疑い、中国人を逮捕 兵庫県警

中国で人気の日本製紙おむつを中国籍の男 3 人が大量に買い付けていた事件で、兵庫県警は 19 日、3 人に不法就労させたとして、中国籍で料理店経営の辛有志容疑者 (24) = 兵庫県明石市 = を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕し、発表した。

外事課によると、辛容疑者は今年 7 - 8 月、調理師の在留資格で入国した李新華被告 (38) ら 3 人 = 出入国管理法違反の罪で起訴 = に、紙おむつを 1 日約 150 - 180 パック購入する仕事をさせた疑いがある。 1 パック(1,500 円前後)につき 100 - 300 円上乗せして買い取っていたという。 辛容疑者は「買って来いと言ったことも金を払ったこともない」と容疑を否認しているという。 県警は、辛容疑者が紙おむつをさらに転売し、中国国内で高値で取引されていたとみている。 辛容疑者が借りた明石市内の倉庫には約 1 万パックが保管されていたといい、押収した帳簿などから昨年は約 1 億 4 千万円の売り上げがあったという。 (asahi = 11-20-14)

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紙おむつ大量買い付け、資格外活動の疑いで中国人を逮捕

調理師の資格で入国したにもかかわらず、紙おむつを大量に買い付ける資格外活動をしたとして、兵庫県警は 15 日、李新華容疑者 (38) ら、兵庫県明石市に住む中国籍の男 3 人を出入国管理法違反(資格外活動)容疑で逮捕し、発表した。 3 人は「一切関係ない」などと容疑を否認しているという。

外事課などによると、3 人は 2009 年から 11 年にかけて、調理師の在留資格で入国したが、今年 7 - 8 月、明石市や神戸市のドラッグストアなどで、紙おむつを買い付けることを仕事としていた疑いがある。 1 人で 1 日 20 店舗以上を巡り、180 パック(1 パックは約 50 - 100 枚入り)を購入したこともあったという。 県警は、別の中国籍の男 (24) = 明石市 = が 3 人に報酬を払い、中国で人気の日本製の紙おむつを買い付けさせ、中国に輸出。 現地で高値で売買されていたとみている。 (asahi = 10-16-14)


平均年収 2,500 万円、「レタス長者」の川上村

実態は中国人実習生に過酷労働強いる「ブラック農家」?

日本有数の高原レタスの産地として知られる長野県川上村。 平均年収が 2,500 万円にものぼるとされ、「成功農家」のモデルともてはやされるが、一方で外国人技能実習生らに過酷な労働を課している、「ブラック農家」との評判もある。 外国人実習生の受け皿となっていた「川上村農林業振興事業協同組合」は、2014 年 9 月に東京入国管理局から受け入れ中止の処分が下り、11 月には解散が決まった。 インターネットではその「黒すぎる実態」が話題になっている。

村の人口の 19.5% が農作業を手伝う外国人実習生

長野県川上村は、四方を山々が連なり、千曲川の源流に位置する。 その豊かな土地と水を生かした、レタスをはじめとした高原野菜の栽培が村の基幹産業だ。 「数字で見た川上村 2012」によると、人口は 4,163 人で、農家の戸数は 566 戸。 レタスの年間出荷量は 6 万 2,604 トン、販売金額は 81 億 8,045 万円にのぼる(数字はいずれも 12 年 3 月末時点)。

高冷地でのレタスの生産は夏季に集中しているため、シーズン中は明け方から深夜まで、長時間の農作業が続く、キツい仕事だ。 加えて、農家の担い手は 60 歳以上の高齢者が多い。 川上村の農家は 40 - 59 歳の若い農業従事者が比較的多く、全国的にみれば恵まれた環境にあるのだが、それでも夏季の繁忙期には以前から学生アルバイトなどを募集して労働力需要を補っていた。

それを近年は、国の外国人技能実習制度を利用した中国人などの外国人実習生が農作業を手伝う。 村が受け入れている外国人農業実習生の数は 810 人。 じつに村の人口の 19.5% を占める人数に及んでいて、その多くが中国人という。 そうした中で、外国人実習生を受け入れていた「川上村農林業振興事業協同組合」が 2014 年 9 月に、東京入国管理局から5年間の受け入れ停止処分を受け、また 11 月には解散を決めた。

同組合は村内の農家が起こした事業で、村も立ち上げには関わっていた。 ただ、実習生の受け皿となる組合は周辺の南牧村などにもあり、現在は 10 社(組合)ほど。 各農家が希望する組合を利用して実習生を受け入れているので、「必ずしも、(川上村の)組合を使っているわけではありません(川上村)」という。

一方、同組合の解散で受け入れ先を失う外国人実習生は、「他の組合が受け入れていくことで調整していくことになります」という。 「利用していた農家は他の組合に頼むことになりますが、直ちに困ることもないと思います」と話している。 信濃毎日新聞(12 月 2 日付)によると、東京入管は処分の理由を明らかにしていないが、組合役員の証言として、「実習生の在留資格で来日したのに農作業に携わらない者がいたなどの問題があったため、と入管から説明を受けた」と報じている。 (Jcast = 12-4-14)

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(長野県)川上の外国人実習生 入管、受け入れ停止処分 組合解散決定

レタスなど高原野菜の栽培が盛んな長野県南佐久郡川上村で、国の制度に基づき農作業に携わる外国人技能実習生を受け入れていた「川上村農林業振興事業協同組合」が 9 月、東京入国管理局から 5 年間の受け入れ停止処分を受け、11 月の臨時総会で解散を決定していたことが 1 日、関係者への取材で分かった。 同入管は取材に「必要な措置を講じた」とし、処分の理由を明らかにしていない。 同組合の役員の 1 人は取材に、実習生の在留資格で来日したのに農作業に携わらない者がいたなどの問題があったためと同入管から説明を受けたとしている。

日弁連は 1 日、川上村内で高原野菜生産などに携わった中国人男性が書いたとされる、人権侵害を訴える 2012 年 10 月の投書を基に独自に調査した結果を公表した。 報告書によると、実習生などの在留資格で来日した中国人の中に、農作業には関わらずにほかの実習生を管理する「班長」という立場の者がいた。 また、「班長」は、実習生がほかの農家の実習生と話をしたり、寄宿舎を訪れることなどを禁止し、違反した場合に、中国側の実習生送り出し機関が給与から「罰金」を天引きしていたと指摘。 川上村農林業振興事業協同組合はそれを黙認していたなどとした。

日弁連の指摘について、同組合役員は取材に「確かに『班長制度』は過去に存在していた」と認めた上で、「是正をした」と述べた。 一方、罰金制度については「なかった」としている。 日弁連はこれまでも、外国人技能実習制度について、実習生が低賃金で働かされるといった問題があるほか、実際は実習生を非熟練労働の労働力不足解消のために利用しているなどとして、国に制度廃止を求めていた。 今回の調査を踏まえ、あらためて法務省、厚生労働省に実態調査や再発防止、制度廃止を求めた。

両省は制度を維持しつつ、監督の在り方などを見直し、来年度中に新制度に移行するとの考えを示している。 (信濃毎日新聞 = 12-2-14)


千葉県旭で農業実習生居住宅全焼  仕事中で無事

28 日午前 7 時 50 分ごろ、旭市新町 1080 の 2 の貸家「光コーポ B5」から出火し、木造モルタル平屋建て住宅約 52 平方メートルが全焼した。 旭署と消防で出火原因を調べている。 同署によると、住宅には中国人農業実習生 3 人が住んでおり、出火時は全員が仕事で家にいなかった。 (千葉日報 = 11-29-14)


国際貢献あり方探る 26 日、佐大で外国人実習シンポ

製造業を中心に外国人労働者を国内企業に一定期間受け入れ、技能を修得してもらう「外国人技能実習制度」についての国際シンポジウムが 26 日午後 0 時半から、佐賀市の佐賀大学「菱の実会館」である。 中国、スリランカ、タイ、インドネシアの研究者が各国の現状や同制度がもたらす恩恵と課題を報告。 日本のものづくり技術伝承を通じた国際貢献のあり方を探る。 参加無料。

同制度は、海外の実習生受け入れを通じて、その国の経済発展を担う人材を育成する目的で、日本の国際協力・国際貢献の一翼を担う。 一方で縫製など日本人労働者が減っている業種の人手不足解消に利用されている側面もあり実習生の待遇が問題となっているケースもある。 シンポでは「同制度が日本の労働力不足とアジアの経済発展の双方に貢献できるか」という視点で意見が交わされる。 問い合わせは佐賀大学経済学部総務課、電話 0952(28)8413 へ。 (佐賀新聞 = 11-21-14)


外国人技能実習 厚労省、介護分野追加の議論開始

厚生労働省は 10 月 30 日、外国人介護人材の受け入れの在り方に関する検討会(座長 = 根本嘉昭・神奈川県立保健福祉大名誉教授)を立ち上げた。 外国人技能実習制度の職種に介護分野を追加するかどうか、年内に結論を出す。 しかし、技能移転の要請が外国からある訳ではなく、日本の業界団体も意見が一致しているとは言えない。 介護を追加するにしても実際の受け入れは相当先になりそうだ。

業界団体、意見不一致

検討事項は、@ 技能実習制度に介護を追加するかどうか、A 介護福祉士を取得した留学生に在留資格を付与した場合の運用、B 経済連携協定 (EPA) のさらなる活用 - - の 3 点。 安倍晋三首相の指示を踏まえ、今年 6 月閣議決定の日本再興戦略は「介護分野での外国人労働者の受け入れ」を明記した。 介護の人材不足を補うためだ。 厚労省はそれを受けて検討会を立ち上げた。

ただし、留意点として「介護職に対するイメージ低下を招かないようにすること」などを挙げ、外国からの介護人材の受け入れを慎重に検討する姿勢は崩していない。 技能実習制度に新分野を追加するためのハードルは低くはなく、@ 単純作業ではない(同一作業の反復のみで修得できるものではない)、A 送り出し国で修得が困難な技能で、実習生が帰国後にそれを生かせる、B 実習成果を評価できる公的な仕組みがある - - を満たさなければならない。

厚労省は「複数の国から要請があり、日本の業界団体が合意することが大前提となる。 介護の場合、実習の成果を評価する統一した仕組みがない。 この検討会は、まず業界団体の意向を聞く場だ(職業能力開発局)」とする。 全国老人福祉施設協議会は技能実習制度に介護を追加することに前向きだが、賛同の輪は広がっていない。

技能実習制度そのものの見直しが同時に進むため、議論しにくいのも事実だ。 法務省、厚労省は制度運用の監督体制を強化した法人を新設する方向で検討し、2015 年の通常国会に関連法案を提出する予定だ。 在留資格の付与について、介護福祉士養成施設の側は「大歓迎だ」とする。 検討会は資格を取得した留学生が国内で働き続けるための環境整備など具体的な制度を設計する。

08 年度に始まった EPA は人材不足対策ではなく国際交流が目的。 インドネシア、フィリピン、ベトナムの 3 カ国から介護福祉士候補者を計 1,538 人受け入れたが、その数は当初の想定ほど伸びてはいない。 検討会の庶務は社会・援護局が行う。 委員は座長を含めて 10 人で、介護関係団体で構成する。 オブザーバーとしては外務省、法務省の関係部局の担当者が参加する。 (福祉新聞 = 11-10-14)

ことば : 技能実習制度

開発途上国の経済発展の担い手を育てるため、日本で働きながら技能を修得してもらう制度。 93 年に導入され、現在約 15 万人の外国人(中国、ベトナムなど)が実習中。 滞在期間は最長 3 年間。 建設、機械・金属、農業など 68 の職種がある。 受け入れ企業で労働法令違反が散見されることが問題視されている。


(熊本)県内外国人実習生の失踪が急増 今年は 77 人

県内で外国人技能実習生の失踪が相次ぎ、今年は 10 月末で少なくとも 77 人が行方不明となっていることが分かった。 失踪は昨年から急増している。 失踪者の増加は不法就労や組織犯罪の温床になる恐れがあるとして、県警は農協などの受け入れ団体に対策を強化するよう求めている。 法務省入国管理局によると、今年 6 月時点の県内の外国人技能実習生は 2,677 人。 2010 年の 1,403 人の倍近くになった。

このうち県警が把握した失踪者は 12 年に 20 人。 13 年には 3 倍の 67 人に増加。 今年は 10 月末で 77 人に上り、既に昨年 1 年間を上回った。 今年失踪した実習生の大半は、農家で働いていた中国人の女性。 ほかにベトナム、ミャンマー、ネパール人などがいる。 男性の実習先は溶接や建設業など。 失踪の急増について、県警外事課は「実習生の数が増えていることもあるが、低賃金や重労働など待遇面の不満が大きいようだ」と分析。 スマートフォンの普及に伴い「外国人が利用するコミュニティーサイトで情報交換し、条件の良い働き口を見つけているのではないか」とみる。

失踪は全国的にも増加傾向にある。 実習生の受け入れ先を指導する公益財団法人・国際研修協力機構 (JITCO) によると、13 年度の行方不明者は報告を受けただけで 2,822 人。 12 年度より 1,290 人増えた。 実習期間は 3 年だが、この報告には実習 1 年目の失踪者は含まれないため、実態はさらに多いとみられる。

県警外事課によると、失踪した実習生の多くは国内にとどまり、資格外活動などの不法就労をしている可能性が高いという。 実習生が契約した金融機関の口座や携帯電話が第 3 者に渡り、犯罪に使われるケースもある。 同課は農協や事業組合などの受け入れ団体に、実習先の農家への巡回指導や実習生の生活実態把握などを求めている。(久保田尚之、熊本日日新聞 = 11-6-14)

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外国人実習生、失踪急増 (岐阜)県内、ブローカーが高賃金勧誘か

14 年 73 人、最多ペース

県内の事業所で働く外国人技能実習生の失踪が急増していることが、県警への取材で分かった。 2013 年の行方不明者は 109 人で、12 年の 32 人の 3.4 倍に増え、県警が調査を始めた 09 年以降で最多だった。 今年も 9 月末時点で 73 人と、昨年とほぼ同じペースで推移する。 ブローカーから高賃金で誘われた仕事に移るほか、劣悪な労働環境を苦に逃げ出すケースもあるが、受け入れ団体は「急増の原因はよく分からない」と困惑している。

今年、失踪した 73 人の国籍は、中国が 63 人と大半を占め、ミャンマー 5 人、ベトナム 4 人、フィリピン 1 人。 岐阜市にある受け入れ団体の男性理事 (44) は今年、派遣先の各務原市の縫製会社から失踪した中国人女性 = 当時 (31) = を茨城県内で保護した。 昼は食堂、夜は性風俗店で働いていた。 実習期間の最終年となる 3 年目で、「日本に来る前から知人と話ができていた」と話したという。

別の受け入れ団体の男性理事 (64) は、ブローカーの動きが活発化していると指摘。 また失踪経験のある元実習生と来日前からインターネットや携帯電話で情報交換している可能性があるという。 国際研修協力機構の指導で、事業所は実習生の旅券や預金通帳を預からなくなったため、「逃げられる環境にある」と話す。

法務省の統計によると、今年 6 月末時点の全国の実習生は約 16 万 2 千人。 うち県内は約 1 万人で、愛知県の約 1 万 8 千人に次いで多い。 名古屋入国管理局によると、技能実習生の在留資格で入国した外国人が、失踪して実習先以外で働くことは不法就労にあたる。 在留期間を超えて国内にとどまれば、不法残留となる。

失踪した実習生が犯罪に関わるケースも出ている。 県警は 10 月末、資材置き場からトラクターを盗んだとして、ベトナム国籍の男 6 人を逮捕した。 6 人のうち 5 人が元実習生と元研修生。 昨年 10 月から県内でトラクターが盗まれる被害が約50件発生しており、ベトナムに運んでいたとみて関連を調べている。 (岐阜新聞 = 11-4-14)


同僚を包丁で刺して死なせた中国人に有罪判決

同僚女性を包丁で刺して死なせたとして、傷害致死罪に問われた鳥取県境港市上道町、中国人技能実習生韓雪ハンシュエ被告 (29) の裁判員裁判で、鳥取地裁は 28 日、懲役 3 年執行猶予 5 年(求刑・懲役 6 年)の有罪判決を言い渡した。

争点となった故意性について、野口卓志裁判長は「振り向きざまに包丁を動かせば、間近にいる被害者に当たる可能性を認識していた」として認定、「包丁を見せようとしただけ」とする弁護側の主張を退けた。 一方、「死亡に至ったのは当たり所が悪かったことが大きい。 また既に長期間、拘束されている。」と量刑の理由を述べた。 判決によると、韓被告は昨年 12 月、同市内の水産加工会社の作業場で、同僚女性(当時 27 歳)と口論になり、背後から頭を殴られるのを防ごうと、振り向きざまに包丁を動かし、口やのどなどを負傷させ、翌月、女性を死亡させた。 (yomiuri = 10-29-14)

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意志 正確に伝わるか 裁判員裁判、鳥取初の外国人被告

鳥取県内では初めてとなる外国人被告の裁判員裁判が 15 日、鳥取地裁で始まる。 被告は傷害致死罪に問われた中国国籍の女で、暴行の有無や、暴行と認められた場合に正当防衛か過剰防衛に当たるかが争点。 裁判員に被告の意思を正確に伝えるための通訳人の役割も重要となる。 裁判員裁判は県内で 14 件目。 技能実習生だったハン・シュエ被告 (29) は昨年 12 月 20 日、境港市内の水産物加工会社作業場で、同じく中国国籍の技能実習生の同僚女性(当時 27)の顔を包丁で刺し、傷に起因する肺炎で死亡させたとされる。

鳥取地裁によると、裁判員制度の運用が始まった 2009 年から 13 年末までの県内の刑事事件のうち、日本国籍を持たない外国人被告は 24 人。 犯種は窃盗が多く、裁判員裁判の対象事件はこれまでなかった。 裁判において自身の意思を発する言語は重要な要素。 刑事訴訟法では、国語に通じない者が陳述する場合は、通訳人に通訳させなければならないとしており、24 人中 13 人が通訳人を付けた。 今回の公判でも同地裁が通訳人を選任している。

一方、一般論として司法通訳人には資格試験による担保がないといった問題も指摘されている。 森祥平弁護士(鳥取市)は「発言の細やかなニュアンスや事件発生時の心理描写、状況説明が審理に影響を及ぼす。 尋問などで重要な部分を正確にあぶりだせるかがポイントになる。」と話している。 (日本海新聞 = 10-15-14)


ベトナム人実習生受入れモデル現場/大成建設/「1 ランク上」の人材育成

大成建設は、ベトナムの建設現場でリーダークラスになり得る「1 ランク上」の人材育成を目指し、ベトナム人技能実習生の受け入れモデル現場を展開している。 その中の1つ、「荏原町駅前地区防災街区整備事業に係る建設工事(東京都品川区)」では、選りすぐりの技能実習生 8 人が躯体工事の作業に当たりながら、日本の施工方法などを日々学んでいる。 日越の架け橋となる人材を育成する現場では、同社に 4 月に総合職として入社したベトナム人のレ・ホアン氏が実習生との橋渡し役を務め、円滑な工事の進捗に大きな力を発揮している。

同社の建築現場(全国)で働く外国人技能実習生は 10 月 1 日現在で 185 人おり、うち 2 割以上はベトナム人が占めているという。 従来は中国人の実習生が多かったが、同国での給与水準の上昇などを背景に、ここ数年はベトナム人実習生が増加傾向にある。

大成建設は約 2 年前からベトナムにある送り出し機関を視察するなどし、協力会社の受け入れを支援している。 ゼネコンや専門工事業者などが 2013 年 2 月に設立した「ベトナム建設人材育成推進協議会」の会長会社として、荏原町と「伊東屋銀座本店建替計画(東京都中央区)」でモデル現場を提供しているほか、「北海道横断自動車道第 1 ポンケトナイ川橋上部工事(訓子府町)」で同様の取り組みを実施している。 モデル現場は同社の協力会社組織である倉友会が頻繁に見学に訪れており、今後は関東圏でモデル現場を増やしていく方向で検討を進める。

同社建築本部の児玉雅宏建築部部長は、「優れた実習生を受け入れるためには選抜段階が最も重要になる」とし、現地視察を通じて自らの眼で確かめた上で優れた 4 つの送り出し機関を選定し、協力会社の優秀な人材受け入れを支援している。

荏原町の現場では、向井建設(鳶工)から 1 人、柏倉建設(型枠工)から 3 人、青山(鉄筋工)から 4 人の実習生を受け入れ、各社の指導員とともに大成建設のレ・ホアン氏が、現場でのコミュニケーションと円滑な施工をサポートしている。 実習生について、青山の青山悟代表取締役は「体力測定や想像力などの受け入れ基準を設定して人材を選んでいる。 現場の実習生は日本語を習得するスピードも速い」とし、向井建設の池上朋之常務経営企画部部長は「入国前の 4 カ月の研修で時間の概念などを学んでもらっている。 現場で考えて解決しようとする能力は高い。」と評価する。

柏倉建設工事部工事係の笹島輝亮氏は「最初の受け入れ時は先輩がいなく苦労したが、2、3 人目からは先輩もできて指導がスムーズになった」と話す。 大成建設のレ・ホアン氏は、6 月に現場に着任し、コンクリート躯体の施工管理を担当している。 「来たばかりの実習生は日本語が通じにくく大変だが、真面目に仕事に取り組んでいる」とし、実習生の強い味方として日々業務に当たっている。

実習生に荏原町の現場についての感想を聞くと「建設技術の精度も高く素晴らしい」などの意見が出された。 帰国後は 8 人全員が、「日本での経験を生かして建設業で働きたい」と笑顔を見せた。 荏原町駅前地区防災街区整備事業では東急大井町線・荏原町駅前に共同住宅・店舗の複合施設を建設する。 中間層免震構造を採用し、規模は RC 造地下 1 階地上 18 階建て延べ 5,425m2。 工期は 16 年 3 月末まで。 (建設通信新聞 = 10-24-14)


外国人、受け入れ制度を = 人口減対策で - 榊原経団連会長

経団連の榊原定征会長は 24 日、東京都内で講演し、中長期的な重要課題の一つである人口減少問題に関連し「外国の人材の積極的な受け入れは、日本の活力を維持する上で喫緊の課題だ」と述べ、国民的議論を踏まえて海外から人材を受け入れるための制度づくりを急ぐべきだと訴えた。 具体的には、高度の専門技能を持つ人には永住も含めた長期滞在を認める措置などを提言。 日本の労働市場を外国人に魅力あるものとするため、教育や医療といった生活環境の改善などの取り組みが必要だと強調した。 (jiji = 10-24-14)