温暖化進めば新潟の降雪量、今世紀末に半減予測 二酸化炭素など温室効果ガスの排出が、対策を取らずにこのまま増え続けた場合、新潟県などの年平均降雪量が今世紀末には現在より 1 メートル以上減るという予測を、環境省と気象庁が 12 日公表した。 予測は、国連の「気候変動に関する政府間パネル (IPCC)」の最新シナリオに基づき、20 キロ・メートル四方の区域ごとにコンピューターで計算した。 さらに、沖縄・奄美以外の全国 6 地域について、それぞれの年平均降雪量を算出した。 その結果、変化が最も大きい地域は新潟県を含む「東日本日本海側」で、現在 (1984 - 2004 年)の 272 センチから、21 世紀末 (2080 - 2100 年)には 126 センチに半減。 他の 5 地域も、26 - 68 センチの減少が予測された。 (yomiuri = 12-12-14),/p> 18 年 1 千戸目指す 神奈川・藤沢でスマートタウン始動 神奈川県藤沢市で、電力を効率的に使う「スマートタウン」の運用が本格的に始まった。 パナソニックなどが同社藤沢工場の跡地に建設中で、27 日には拠点となる施設が開業した。 12 月にはカフェ一体型の大型書店もオープンする。 太陽光パネルなどを完備した住宅は約 120 戸できており、2018 年までに約 1 千戸に増やす計画。 (asahi = 11-29-14) バイオ燃料で飛ぶジェット機 ブラジルの格安航空 GOL 米フロリダ半島オーランドの空港。 滑走路を行く赤と白のボーイング 737 は別段珍しくもないが、航空業界の視線を一身に集めた。 去る 7 月、青空に飛び立ったブラジルの格安航空会社 GOL の旅客機は、サトウキビから作られたジェット燃料で飛んだのだった。 フロリダからサンパウロへ、商業フライトとして初めてだった。 使った燃料は「farnesane (ファルネサン)」という再生可能ジェット燃料で、従来の石油系燃料に 10% の比率で配合した。 ファルネサンはブラジル産のサトウキビが原料。 国際標準化団体 ASTM インターナショナルから藻類、オイルシードに次ぐ 3 番目の再生可能ジェット燃料として認定された。 米カリフォルニア州の再生可能化学品製造会社 Amyris とフランスのエネルギー大手 Total 社が共同で開発した。 Amyris 最高経営責任者のジョン・メロは、今後多くの航空会社が一部のフライトにファルネサンを使おうとしている、と言明する。 (ニューヨーク・タイムズ・ニュースサービス、asahi = 11-23-14) 太平洋クロマグロ「絶滅危惧」に引き上げ 国際機関 【ジュネーブ = 原克彦】 国際自然保護連合 (IUCN) は 17 日、絶滅の恐れがある野生生物を指定する最新版の「レッドリスト」で、太平洋クロマグロを「軽度の懸念」から「絶滅危惧」に引き上げた。 アメリカウナギもニホンウナギが減った余波で密漁が増えたとして絶滅危惧に新たに加えた。 いずれも日本の大量消費が影響しており、世界に保護対策の強化を求められる可能性がある。 IUCN は世界の科学者で構成する組織。 レッドリストに法的拘束力はないが、野生動物の国際取引を規制するワシントン条約が保護対策の参考にしている。 2 年後に開く同条約の締約国会議に向け参加国が保護を提案すれば、6 月にレッドリスト入りしたニホンウナギと合わせて規制対象になる公算が大きくなる。 太平洋クロマグロは「絶滅危惧種 2 類」に分類された。 絶滅危惧種の 3 分類では、危険度は最も低い。 IUCN は「主にアジア市場に提供するスシや刺し身のために漁業者に狙われている」とし、「大半は産卵する前の未成魚のうちに漁獲されている」ことが減少の原因だと指摘した。 大西洋クロマグロは 2010 年のワシントン条約締約国会議で禁輸には至らなかったが、結果として漁獲枠が大幅に減った。 未成魚の漁獲は原則禁止となり、資源回復の効果も出た。 太平洋クロマグロも関係国が規制強化に動いており、中長期的には飲食店や食卓に影響するとみられている。 一方、アメリカウナギは「絶滅危惧種 1B 類」になった。 ニホンウナギと同じで、危険度では 2 番目に該当する。 「ニホンウナギの減少を受け、東アジアのウナギ業者が稚魚をアメリカウナギなど他の種類で補おうとしている」ことが、米国で密漁の原因になっているとしている。 日本で消費されるウナギは大半がニホンウナギだが、一部のスーパーや飲食店はアメリカウナギも調達している。 ヨーロッパウナギは既に絶滅の危険度が最も高い「絶滅危惧種 1A 類」に指定され、ワシントン条約でも規制対象になっている。 (nikkei = 11-17-14) 腐ったミカン、車走らせた 夢はバイオ燃料レース ミカンからのバイオ燃料作りに、三重大学大学院生物資源学研究科の研究チームが成功した。ガソリンエンジンに入れると、小さな車を動かせた。 出荷できないミカンを生かしたこの燃料を、農作業用の草刈り機に使うなど、エネルギーの地産地消を目指す。 傷ついたり腐ったりして出荷できない実やジュースの搾りかすで、バイオ燃料ができないか - -。 三重県南部、御浜町の名産のミカンに田丸浩(ゆたか)教授 (47) = 生物工学 = の研究チームが目をつけた。 「ミカン農家が出荷できない実の処理に困っている」と聞きつけ、昨年度から実験を始めた。 容量 2 - 10 リットルのタンクに規格外の実や搾りかすと、木材チップから分離された「クロストリジウム・セルロボランス」という微生物を入れる。 この微生物は植物繊維の主成分セルロースを効率よく分解し、発酵しやすい糖に変える。 別の微生物を加え糖を発酵させると 10 日間ほどでミカン燃料ができる。 原料約 3 キロから約 20 ミリリットルが採れた。 (高木文子、asahi = 11-15-14) 温室ガス削減へ米中が新目標 首脳会談で合意 オバマ米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が 12 日午前、北京で会談し、温室効果ガス削減の新たな目標で合意した。 米国は 2025 年までに 05 年比で同ガスを 26 - 28% 減らすと公表。 中国は 30 年ごろまでを二酸化炭素 (CO2) 排出のピークとし、国内の消費エネルギーに占める化石燃料以外の比率を約 20% とするとの目標を掲げた。 2 大排出国が目標を示したことで、日本を含む今後の気候変動の取り組みに影響を与えそうだ。 各国は、京都議定書に続く国際枠組みの 15 年末の合意をめざしている。 米国は来春までに公表する予定だったが、前倒しして発表した。 12 日の共同声明では「世界の 3 分の 1 以上の温室効果ガスを排出する米中が、気候変動の問題に決定的な役割を果たさなければならない」と指摘。 来年末にパリで開く国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) の交渉を後押しする意向を示した。 米ホワイトハウスによると、米国の 20 - 25 年の温室効果ガスの削減ペースは 05 - 20 年の 2 倍にするなど、「野心的な目標」としている。 中国が CO2 の排出ピークの時期設定で合意したのは初めてで、米国は 30 年以前の目標達成に期待を示した。 中国が削減目標を掲げた背景には、社会問題になっている大気汚染改善への「本気度」と、米国と並んで世界をリードする「責任ある大国」を内外にアピールする狙いがある。 また両首脳は会談で、貿易や人的交流の拡大などでも協力を進めることを確認する方針。 一方でオバマ氏は「両国には同意できない問題がある」としており、中国が周辺国と対立する海洋安全保障や人権問題などで、中国に責任ある行動を求めたとみられる。 (北京 = 奥寺淳、林望、ワシントン = 小林哲、asahi = 11-12-14) 鹿児島・出水平野「万羽鶴」、18 季連続で達成 国内最大のツルの越冬地・鹿児島県出水市の出水平野で 8 日、今季初の羽数調査が行われた。 1 万 2,273 羽が確認され、1997 年度以降 18 季連続で「万羽鶴」を達成した。 県ツル保護会によると、内訳はナベヅル 1 万 1,802 羽、マナヅル 451 羽、クロヅル 8 羽、ナベクロヅル 6 羽、カナダヅル 6 羽だった。 羽数調査は毎年、県ツル保護会と地元の荘(しょう)中学校、高尾野中学校の生徒らが行っている。 (yomiuri = 11-8-14) ESD ユネスコ世界会議、岡山で始まる 「持続可能な開発のための教育 (ESD)」に関するユネスコ世界会議が 4 日、国連大学から ESD 活動の地域拠点 (RCE) に認定されている岡山市で始まった。 海外約 100 カ国と国内の学生、研究者ら約 2 千人が ESD の推進策などを議論する。 10 - 12 日に名古屋市で全体会合が開かれる。 ESD は環境や貧困といった地球規模の課題を考え、解決する力を養う教育活動。 ▽ 岡山では RCE の会議(5 - 7 日)、▽ ユネスコが認証するユネスコスクールの世界大会(6 - 8 日)、▽ 世界の ESD 若手リーダーによるユース・コンファレンス(7 日)がある。 ユネスコスクール世界大会には国内から 9 つの高校生チームが参加。 京都外大西高は祇園祭での清掃活動などを、大阪教育大付属池田高などの 4 校連合チームは家族らへの聞き取りを通じて考えた将来の社会像をそれぞれ発表する。 ほかに福島県立安達高、愛知県立豊田東高、福岡県立城南高・武蔵台高の連合チームなども参加する。 4 日に岡山市であった歓迎レセプションで、国連大学サステイナビリティ高等研究所の竹本和彦所長は「素晴らしい議論ができ、成果が得られることを望む」と話した。(長谷川健、asahi = 11-4-14) 気温上昇 2 度未満に抑える「道筋ある」 IPCC 報告書 国連の気候変動に関する政府間パネル (IPCC) は、地球温暖化に関する第 5 次評価報告書の仕上げとなる統合報告書をコペンハーゲンで開かれた総会で承認し、2 日公表した。 温室効果ガスの排出をこのまま続けると世界的な影響が深刻化するが、それを避けるために国際社会が目指す気温上昇を 19 世紀末の工業化前と比べて 2 度未満に抑える目標について、「道筋はある」と明記した。 国連で進められている温暖化対策の交渉は年末から本格化するが、対策に早急に乗り出すか否か、国際社会に決断を迫る内容となった。 IPCC は昨年 9 月から温暖化の科学、影響、削減策の三つの作業部会ごとに、2007 年以来の第 5 次評価報告書を公表。統合報告書は、それらを分野横断的にまとめ、新たなメッセージを盛り込んだ。 (コペンハーゲン = 須藤大輔、11-3-14) ◇ ◇ ◇ 気温上昇 2 度未満、厳しい予測 … IPCC 報告書 地球温暖化の将来予測や影響を評価する国連の「気候変動に関する政府間パネル (IPCC)」は 2 日、最新の統合報告書を公表した。 今世紀末までの気温上昇を 2 度未満に抑えるという国際目標の達成には、産業革命以降の世界全体の二酸化炭素 (CO2) の累積排出量を、約 3 兆トンに抑える必要があるとの見解を盛り込んだ。 すでに約 2 兆トンを排出しており、現在のペースで排出が続けば、あと 30 年で限界を超えるという厳しい見通しを示した。 統合報告書は、コペンハーゲンで開かれた総会で 1 日に承認され、2 日に公表された。 12 月 1 日からペルーで開かれる国連気候変動枠組み条約第 20 回締約国会議 (COP20) で報告され、温室効果ガスの削減交渉の科学的根拠とされる。 IPCC のラジェンドラ・パチャウリ議長は 2 日の記者会見で、「温暖化対策のための科学的根拠を示した。 国際社会は真剣に受け止めてほしい。」と述べた。 (yomiuri = 11-2-14) 揚水発電利用率わずか 3% 経産省集計 標高が高い場所に水をくみ上げることで余った電気を実質的にためることができる「揚水発電所」の設備利用率は昨年度、全国で 3% にとどまり、太陽光発電などの再生可能エネルギーが余ったときに蓄電する受け皿としてはほとんど活用されていないことが、経済産業省の集計で 1 日、分かった。 九州電力など電力 5 社は再生エネの供給が増え過ぎて需給バランスが崩れる恐れがあるなどとして、新規受け入れを中断している。 経産省は揚水発電を最大限活用すれば、再生エネの受け入れ可能量が増えるとみており、5 社に試算の提出を求める。 (中日新聞 = 11-1-14) 国補助の再生エネルギー 41 施設が休止 会計検査院指摘 国の補助を受け、2013 年度までの 5 年間に新設された太陽光などの再生可能エネルギー(再生エネ)施設のうち 41 施設が今年 3 月時点で 1 カ月以上休止していたことが会計検査院の調べでわかった。 検査院は施設を再開するか廃止して、補助金の一部返還を事業者に判断させるよう国に求めた。 太陽光、風力、水力、地熱などの再生エネは二酸化炭素を出さず、エネルギーが枯渇しない。 検査院によると、エネルギーの安定供給と温室効果ガス削減のため、国は再生エネ施設の建設に補助金を出している。 約 15 年の稼働予定期間内に施設を廃止する場合、事業者は補助金の一部を返す義務を負う。 検査院が 09 - 13 年度に国の補助金計約 2,550 億円を使って自治体などの事業者が新設した約 7,800 の施設を調べたところ、計 11 億円の補助金を受けた 41 施設が今年 3 月時点で 1 カ月以上休止していた。 多くは故障がきっかけで、故障原因の調査や修理に必要な部品の調達に時間がかかっており、1 年以上の休止も 8 施設あった。 (贄川俊、asahi = 10-25-14) 50 年近くも忘れられた衛星写真が見ていた地球 50 年近くも忘れられ、倉庫の中で眠っていた 1960 年代の地球を撮影した衛星写真の数々が、科学者らの手によって発見された。 それまで知られていた最も古い衛星写真よりも、さらに 17 年も前に撮影されたものである。 これらを最近の衛星写真と比較すると、森林破壊から南極の海氷に至るまで、人類がいかにこの地球環境を変化させてきてしまったかを見ることができる。 (米国)ノースカロライナ州にある国立気候データセンターの書庫で、地球科学者のデービッド・ギャラハー氏とギャレット・キャンベル氏は、25 個の箱に入った磁気テープや写真フィルムを発見した。 いずれも、1960 - 70 年代に打ち上げられた 3 台の気象衛星ニンバスから撮影されたものだ。 ◆ 南極の海氷の移り変わり 新たに発見されたニンバスの写真は、温暖化が深刻になる以前の、最も古い南極の姿も捉えている。 現代の写真処理技術を用いて、ギャラハー氏とキャンベル氏の研究チームはニンバスの画像を繋ぎ合わせ、1964 年、1966 年、そして 1969 年当時海氷に覆われていた海域を特定することに成功した。 ニンバス 1 号が撮影した 4 万枚近い写真をスキャンして繋ぎ合わせ、衛星写真としては最も古い南極の海氷と大陸の姿をよみがえらせた。 コンピューター・プログラムを駆使して氷に覆われた部分を探し出すのは、現代の衛星画像を使うよりもはるかに困難な作業だったという。 こうして完成した画像から、これまで分かっていた海氷面積の最小記録と最大記録の両方が塗り替えられてしまったことが明らかとなった。 最大記録は、今年更新されたばかりである。 しかも、2 つの最新記録の間にはわずか 2 年間しか差がないというのに、2 枚の画像に映し出された海氷面積には、400 万平方キロもの違いがあった。 これは、メキシコの国土の 2 倍の広さに相当する。 海氷の消失は、極地の海洋環境破壊の原因といわれ、北極に生息して氷に依存するホッキョクグマだけでなく、藻、オキアミ、魚、鳥、アザラシなど、氷がなければ生存することのできない生態系全体に影響を及ぼす。 さらに大きな観点から見れば、氷は太陽の熱を反射し、海水温の上昇を緩やかにする効果もある。 ◆ 北極の氷冠に謎の穴 反対側の北極でも、気候変動による温暖化以前の姿が写真に収められている。 ここでギャラハー氏とキャンベル氏の興味を引いたのは、氷の表面にできた謎の黒い穴である。 現代の北極では、気温上昇によって氷に穴が開くのは珍しいことではない。 しかし、1960 年代といえばまだ気温が低く、広い範囲で氷が溶けたり薄くなっている部分があったとは考えにくい。 キャンベル氏によれば、この黒い部分が何なのか、現時点ではまだ分かっていないという。 現代の衛星写真と違い、ニンバスの写真は解像度が低く、白黒画像なため、映っているのが新しくできたばかりの氷なのか、薄いのか、溶けているのか、または海水なのかを判別するのが難しい。 (抜粋、James Thomson、National Geographic = 10-23-14) ヒグマ、知床の浜から姿消す 海に異変、えさのマス激減 ![]() 世界自然遺産の北海道・知床で今秋、名物のサケやマスを追い回すヒグマの姿が激減している。 例年なら 8 月ごろに遡上(そじょう)を始めるカラフトマスが極めて少ないのだ。 その一方で山の木の実は豊作。 多くのクマは苦労してマスを捕るよりも、山の実りに魅せられたとみられる。 ただ、マスへの依存が高いとされる知床半島先端付近では、痩せたクマも目撃される。 カラフトマスは、ユネスコの世界遺産委員会が高く評価した、知床の「海と陸との生態系の連鎖」を象徴する魚。 知床半島の河川に遡上するサケ科の中心的存在だ。 全長 45 - 60 センチで、道内の河川には 7 - 10 月ごろに遡上する。 北海道連合海区漁業調整委員会のまとめでは、今年のカラフトマスの北海道沿岸の漁獲数(9 月 30 日現在)は、昨年の半分以下の 134 万 7 千匹。 過去 20 年で最少で、ピーク時の 1996 年の約 8% だった。 継続的に孵化(ふか)放流事業が行われているが、沿岸漁獲数は急速な減少傾向にある。 (神村正史、asahi = 10-14-14) 政府、地熱や風力の導入促進へ 再生エネ、太陽光偏重を是正 政府は 12 日、見直しを進めている再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に関し、現在の太陽光発電への偏重を是正して、地熱や風力発電の導入を促進する方針を固めた。 小渕経産相は同日、視察先の山梨県甲州市で記者団に、「再生エネの中でバランスをとることが大事だ」と述べ、地熱や風力の拡大の必要性を示唆した。 再生エネは、買い取り価格が高い太陽光に事業者の参入が集中。 九州電力や東北電力など電力 5 社が、送電網の能力の限界から、受け入れを中断する事態になっている。 政府は、太陽光に比べて発電コストが安く国民負担の拡大抑制が期待される地熱、風力の比率を高めることを目指す。 (kyodo = 10-12-14) 九電の再生エネ中断、不満続出 説明会に 6,500 人 太陽光など再生可能エネルギーで発電した電力の新たな買い取りを中断した九州電力の説明会が 6 日、終了した。 1 日から九州 7 県の 10 会場で開かれ、発電事業者ら計 6,500 人が参加。 出席者からは突然の買い取り中断への不満の声が相次いだ。 出席者は福岡市が約 2 千人と最も多く、他でも数百人が参加した。 九電は今後は説明会は開かず、営業所などで相談に応じる。 説明会には、発電事業者のほか、自宅に太陽光パネルの設置を計画する一般の利用者も多く参加した。 九電は一般家庭で多い出力 10 キロワット未満の余剰電力の買い取りは続けるが、それ以上の出力だと一般家庭でも中断の対象になる。 (平林大輔、asahi = 10-7-14) 世界初、波力発電の実験始まる「潮吹き穴」とは 東京大先端科学技術研究センター(東京)は 2 日、福井県越前町小樟ここのぎの海岸沿いで研究を進める「ブローホール(潮吹き穴)」を利用した波力発電システムの実験開始式を現地で行った。 センターによると、岩盤掘削によるブローホールの波力発電システムは世界で初めての方式という。 来年 3 月上旬まで発電量や発電コストを調べ、実用化に向けた課題などを検証する。 ブローホールを使った波力発電は、岩盤に穴を掘り、穴に入る波の上下動によって発生する空気の流れを陸上のタービンが受けて、発電する仕組み。 センターによると、穴の掘削工事以外に大規模な工事が不要なため、低コスト化につながるという。 センターの実証研究は、環境省の地球温暖化対策技術開発・実証研究事業に採択され、2012 年度から 3 年間の事業として進めている。 波の圧力によって海水が地上に吹き出す現象がみられ、タービンが設置しやすく、開発の制約も少ないなどの面で、越前町のこの場所を適地と判断した。 岩盤を斜めに海まで貫通するブローホールは、直径 1.4 メートル、長さ 51 - 54 メートルの 3 本。 傾斜は 18.6 度。 陸上部分に、3 本を通る空気を集める「バッファタンク」や空気の流量を調整する「バイパス弁」、往復する空気の流れをとらえて同じ方向に回り続ける新型の「補助翼付きウェルズタービン」を設置した。 発電機の出力は最大 30 キロ・ワットで蓄電する。 総事業費は 6 億円。 式には地元住民や、自治体関係者らが出席。 センターの西村幸夫所長が「"世界初" の波力発電システムが、これまでの実績を超えることを期待している」とあいさつ。 内藤俊三町長も「実験が成功し、海に囲まれた日本でますます広まるよう願っている」と述べ、関係者らがタービンの始動ボタンを押して実験開始を祝った。(渡辺彩香、asahi = 10-3-14) アラル海 干上がる? NASA が衛星画像 世界 4 大湖だった 米 CNN テレビは 1 日、米航空宇宙局 (NASA) が最近公開した衛星画像に基づき、かつて世界で 4 番目に大きい湖とされた中央アジアのアラル海がほぼ干上がった、と伝えた。 アラル海はもともとカザフスタン、ウズベキスタン両国にまたがっていたが、その中心の南アラル海の東側が完全に消えたという。 CNN によると、1960 年代まで、山々の雪解け水などをもたらす 2 本の川が注いでいたが、旧ソ連が地域の農業用水確保のため運河に注ぐよう流れを変え、湖の水位に影響を及ぼした。 湖水の減少は、穏やかだった周辺の気候も変化させたとされる。 (東京新聞 = 10-2-14) 台風頻発と白化でサンゴ礁回復に遅れ 温暖化 サンゴ礁の命運は地球環境の指標として重要である。 世界的に貴重なサンゴ礁とされる沖縄県・石垣島白保(しらほ)海域のサンゴ群集が、1998 年の白化で減少した後、一度は回復したが、その後連続して襲った台風と 2007 年の白化で再び減少し、回復が遅れていることを、琉球大学熱帯生物圏研究センターの波利井佐紀(はりい さき)准教授らが明らかにした。 東京大学や国立環境研究所などとの共同研究で、8 月発行のドイツ科学誌 Marine Ecology Progress Series に発表した。 地球温暖化が進み、夏に 30℃ を超える海水温の異常上昇が数日間以上続くと、サンゴが白化して死滅することが知られている。 1998 年に琉球列島も含め、世界的に大規模な白化が起こったが、その直前から現在までサンゴ群集がどう変化したかを長い年月、追跡した研究は少ない。 研究グループは、石垣島白保海域のサンゴ群集の変化を 1998 - 2012 年の 15 年間にわたって現地の分布調査と数年間の航空写真解析で長期的に研究した。 白保のサンゴ群集でも 1998 年の白化による減少が確認されたが、2003 年までに回復した。 しかし、04 - 07 年にかけて連続して襲来した 5 つの強い台風とそれに伴う土砂流出、さらに 07 年夏の高水温による白化が追い打ちをかけ、08 年まで減少し続けた。 サンゴの種類は、枝状のコモンサンゴやミドリイシから、高水温や台風に強いといわれているハマサンゴやアオサンゴに変化していることもわかった。 地球温暖化で水温上昇に加えて、大型台風が頻発する可能性も懸念されている。 台風は波浪による物理的な損傷だけではなく、土砂流出を引き起こしてサンゴにダメージを与えるだけに、注意が必要という。 波利井佐紀准教授は「白化と大型台風頻発は海水温上昇という共通原因が関わっている。 地域的には大型台風が来ても、土砂が海に流出しないような対策が必要になる。 例えば、農地の周りに根をよく張る植物を植える活動などがはじまっており、流出を抑制するのに有効だろう。 サンゴの保全には地球規模と地域的な環境の両方を改善していくことが重要だ。」と提言している。 (SciencePortal = 9-30-14) ポスト京都議定書「来年合意」で一致 国連気候サミット 地球温暖化問題について話し合う国連気候サミットが 23 日、ニューヨークの国連本部で開かれた。 安倍晋三首相やオバマ米大統領ら各国の首脳が、京都議定書に続く国際的な枠組みのあり方や、温室効果ガスの削減策などについて表明。 2015 年末にパリで開かれる気候変動枠組み条約締約国会議 (COP21) での最終合意を目指し、交渉を本格化させることで一致した。 サミットは、交渉が難航している 20 年以降の「ポスト京都」の枠組みづくりを進めるため、潘基文(パンギムン)事務総長が呼びかけた。 120 人を超える首脳が出席し、温暖化をめぐる首脳級の会合としては過去最大規模となった。 公式な交渉の場とは異なるが、国際合意に向けて政治的な機運を高める狙いがある。 潘氏は「ここに集まったのは話し合うためではない。 歴史をつくるためだ。」などと行動を呼びかけた。 オバマ大統領は演説で、米国が新体制づくりで主導的な役割を果たすことを明言。 温室効果ガスの 2 大排出国である中国に対し、「我々には特別な責任がある」と述べて、ガス削減で同調を呼びかけた。 その上で、「来年の早い時期に、(20 年以降の)新たな削減目標を提示する」と表明した。 (ニューヨーク = 小林哲、林望、asahi = 9-24-14) ◇ ◇ ◇ 温暖化阻止へ 40 万人デモ = 気候変動サミット前に - NY 【ニューヨーク】 国連気候変動サミットが今週開かれるのを前に、会場となる国連本部のある米ニューヨーク中心部のマンハッタンで 21 日、温暖化阻止に向けた行動を訴える大規模なデモ行進が行われた。 主催者の推計では、温暖化問題がテーマのデモとしては過去最高となる最大約 40 万人が参加した。 デモにはサミットを主宰する潘基文国連事務総長をはじめ、先に気候変動問題の啓発活動を行う平和大使に任命された米俳優レオナルド・ディカプリオさんら著名人も参加した。 潘事務総長は記者団に「人々のエネルギーと声に圧倒された。 この声がサミットに集う各国指導者の姿勢に反映されるよう願う。」と述べた。 (jiji = 9-22-14) チムニー群 : 沖縄・久米島沖に 海保発見、レアメタル含有に期待 海上保安庁は 19 日、沖縄県久米島沖の水深約 1,400 メートルの海底で、国内最大規模のチムニー群を発見したと発表した。 チムニーは地中から噴き出た熱水に含まれる金属が海水と反応して生まれた化学物質が沈殿し、形成された煙突状の噴出孔。 担当者は「金や銀、レアメタルが含有されている可能性があり、海洋鉱物資源開発への活用が期待される」と話す。 調査は今年 6 月、海上保安庁の無人潜水調査機器によって実施された。 1,500 x 300 メートル、面積 0.45 平方キロ(東京ドーム約 10 個分)の範囲に 100 本以上のチムニーが見つかり、中には高さが 20 メートル以上あるものも確認された。 海上保安庁によると、これまでは 1995 年に沖縄本島北西の海底にある伊是名海穴(いぜなかいけつ)で見つかった約 0.33 平方キロのチムニー群が、国内最大規模とされていた。 海上保安庁は、貴重な海洋資源がある可能性があるため、場所の特定につながる情報は公表していない。 (佐藤賢二郎、mainichi = 9-20-14) 別府の水道、クールに活用 地熱発電や源泉の冷却に 国内有数の温泉地である大分県別府市が、温泉の蒸気で発電する再生可能エネルギー・地熱の普及に一役買おうとしている。 地熱発電に必要な冷却水を発電業者に安く売る一方、その収入は地元の共同温泉が使う水道料金を割り引くことに活用。 地熱発電を後押ししつつ、「温泉文化」も守ろうという試みだ。 別府市には現在、いずれも市内に本社がある西日本地熱発電と瀬戸内自然エナジーがそれぞれ運営する地熱発電所が 1 カ所ずつある。 地熱は原発に代わる再生可能エネルギーの一つとして注目され、市によると、さらに 18 カ所で稼働計画があるという。 別府の地熱発電は、沸点が水より低い液体を地熱で熱し、その蒸気でタービンを回して発電を起こす「バイナリー」と呼ばれる方式。 ただ大量の冷却水が必要で、その水源は地下水に頼ることが多い。 地元では「温泉の源になる地下水の減少につながりかねない」と心配する声もあった。 今回の市の試みは、地下水の代わりに市が供給する割安の水を使ってもらい、地熱と温泉の共存を図ろうというものだ。 (加藤勝利、asahi = 9-19-14) ニホンウナギ、養殖量 2 割削減で合意 日中韓台 絶滅が心配されるニホンウナギの資源管理を目指す日本、中国、韓国、台湾による会合が 17 日、東京都内で開かれ、養殖に使う稚魚(シラスウナギ)の量を前季の数量から 20% 削減することで合意した。 水産庁が発表した。 養殖による生産量を制限することで、実質的に稚魚の乱獲を防ぐ。 ニホンウナギの資源管理に関する国際的な枠組みができるのは初めて。 ニホンウナギは国際自然保護連合 (IUCN) が 6 月に絶滅危惧種に指定。 7 割を消費する日本が中心となり、東アジア全体で資源管理に取り組むことを国際社会に示し、国際的な取引を禁じるワシントン条約への指定を防ぐ狙いもある。 会合では、ニホンウナギ以外のウナギについても、養殖に使う量を「近年(直近 3 年)の水準より増やさない」ことで合意した。 4 カ国・地域の養殖業者らで国際的な組織をつくり、資源管理を進めていくことも決まった。 (asahi = 9-17-14) ◇ ◇ ◇ ニホンウナギ保全へ環境省指針作り 絶滅危惧種入り受け 国際自然保護連合 (IUCN) の「レッドリスト」で絶滅危惧種として掲載されたニホンウナギを保全するため、環境省は生息環境を守る指針作りを始める。 13 日、石原伸晃環境相が明らかにした。 来年度まで文献調査のほか、全国 3 河川を選んで生息状況を調べ、ウナギが好む河川環境を明らかにする。 成果は国土交通省や農林水産省などと共有。 専門家を交えて保全のための指針を策定し、河川工事などの際に参考にしてもらう。 シマフクロウやツシマヤマネコなど「種の保存法」で国内希少種に指定されている生物では、保護増殖計画が作られているが、指定外で個別の保全策を作ることは珍しい。 (asahi = 6-13-14) CO2 濃度が過去最高に 13 年、海水の酸性化も懸念 世界気象機関 (WMO) は 9 日、地球温暖化の原因となる二酸化炭素 (CO2) の 2013 年の地球の平均濃度(年平均)が 1984 年の統計開始以来、最高値の 396ppm を記録したと発表した。 CO2 濃度は増加傾向が続いており、前年からの増加幅は2.9ppm で、過去最大となった。 発表によると、産業革命前の 1,750 年との比較で、2013 年の大気中の CO2 の量は推計で約 1.4 倍。 工業化にともなう化石燃料の使用増加などが要因だ。 他の主要な温室効果ガスであるメタンは約 2.5 倍、亜酸化窒素も約 1.2 倍に達しているという。 また、大気中の CO2 の急増で海水の酸性化が進み、生態系への悪影響が懸念されている。 (ジュネーブ = 松尾一郎、asahi = 9-10-14) 藻からシャンプー? 花王、汚れ落とす成分発見 花王が、シャンプーなどの主成分になる「界面活性剤」を、藻からつくり出す糸口をつかんだ。 今はアブラヤシなどからしかつくれず、原産地の東南アジアなどで森林伐採の問題が指摘されていた。 2020 年をめどに基礎研究を終え、商品化をめざす。 9 日、札幌市で開かれた油脂関連の学会で、花王が発表した。 界面活性剤は汚れを落とす働きを持ち、かつては石油からつくられた。 その後、アブラヤシの種から取れる「パーム核油」などを原料にする天然成分が主流になった。 ただ、食料であるヤシを使うことや、ヤシ畑を増やすために森林伐採が繰り返されていることが問題にもなっていた。 (横枕嘉泰、asahi = 9-10-14) 復興拠点にメガソーラー 大熊町 地元住民に説明 大熊町は、復興拠点にしている大川原地区北側の農地に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する方向で調整を進めている。 早ければ平成 26 年度内にも用地を確保する。 町内のメガソーラー設置は初めて。 6 日に会津若松市の大熊町役場会津若松出張所で開いた大川原地区対象の住民説明会で町が明らかにした。 町によると、建設予定地は居住制限区域の同地区 3.3 ヘクタールの農地に、最大出力 2,000 キロワット(2 メガ)の発電設備を建設する計画で、発電した電力は東北電力に全量売電する見通し。 町が 26 年度末を目標に用地を確保し、その後、県や市町村、民間企業が合同出資する発電会社「福島発電(福島市)」が運営を担う計画だ。 将来農業が可能になった段階で農地として活用できるようにするため用地は賃借する。 今後、町は復興特区申請を進め事業を本格化させるとともに、同地区住民の理解を得た上で用地の調査や交渉を始める。 (福島民報 = 9-7-14) 水上メガソーラー、世界最大 京セラが兵庫で建設 ![]() 京セラが、水上式では世界最大規模の太陽光発電所(メガソーラー)を兵庫県加東市のため池に建設する。 出力 2,900 キロワット、投資額は 10 億円。 9 月に工事を始め、来年 4 月から発電する。 西平池と東平池に、仏シエル・テール社から買う高密度ポリエチレン架台を浮かべ、太陽電池を計 1 万 1,256 枚載せる。 京セラと東京センチュリーリースが出資した「京セラ TCL ソーラー」が運営する。 年間発電量は一般家庭 920 世帯分の 330 万キロワット時。 関西電力に売る。 京セラ TCL はこれを手始めに、今年度中に全国の池などで 30 件、計 6 万キロワットの発電所を計画。 すでに 100 件超の引き合いがあるという。 (山村哲史、asahi = 8-31-14) 空港・スキー場跡地で太陽光発電 鹿児島・宮崎に登場 ![]() 閉鎖された空港と、人工芝スキー場の広大な跡地を有効活用した太陽光発電施設が、鹿児島県と宮崎県に登場した。 発電用パネルを一直線に並べたり、花形に配列したり、空からの眺めもユニークだ。 鹿児島県枕崎市の旧枕崎空港では、全長 800 メートルの滑走路跡にパネル約 3 万 3,500 枚が並ぶ。 総面積約 12 万 9 千平方メートルで、出力は 8.2 メガワット。 枕崎空港は 1991 年に全国初のコミューター空港として開港したが、利用低迷で昨年 3 月に廃止された。 オリックス(東京)と九電工(福岡市)が出資する事業者が、市が所有する跡地を借りてメガソーラー施設を整備した。 9 月 1 日に完成式典がある。 宮崎県延岡市北方(きたかた)町のレジャー施設「ETO (えと)ランド」では、パネルが花形に並ぶ。 昨年 10 月に廃止された国内最大級の人工芝スキー場跡 4 万 2,300 平方メートルに、パネル 8,400 枚が敷き詰められている。 事業者のウエストエネルギーソリューション(広島市)によると、環境と観光に配慮した配置にしたという。 最大出力は 2 メガワット。 9 月中に稼働する予定だ。 土地を所有する延岡市は「観光面にも寄与してくれるのでは」と期待する。(礒部修作、大畠正吾、asahi = 8-28-14) マスクで PM2.5 対策 99% ブロック 大王製紙 大王製紙は、大気中の有害物質 PM2.5 に対応したマスク「ハイパーブロックマスク PM2.5 対策」を、9 月 22 日に全国発売する。 従来のマスクでは通り抜けていた微粒子などを 99% ブロックできるという。 「ふつうサイズ」、「やや小さめ」、「こども用」があり、いずれも 7 枚入りで想定価格 448 円(税込み)程度。 (asahi = 8-27-14) 風・太陽・木材、組み合わせ発電 東芝と神戸製鋼が開発 東芝と神戸製鋼所は 22 日、風力、太陽熱、木材資源の 3 種類の自然エネルギーを組み合わせ、安定して発電できる設備を開発した、と発表した。 兵庫県の淡路島に設置し、来年 3 月まで実験する。 地域で使う電気を地元でつくる「地産地消」型の発電設備として、実用化をめざす。 この設備では、沸点が水より低い代替フロンの蒸気で発電する「バイナリー発電機」を使う。 発電能力は、一般家庭約 50 世帯分に当たる 70 キロワット。 約 6 億 8 千万円かけてつくった。 晴れた日は太陽熱で、曇りや雨の日は地元の木材を燃やすバイオマスボイラーの熱で、蒸気をつくって発電。 風力発電は確実に発電が見込める量だけを電力会社に売り、残りは蒸気を発生させる補助電源に使う。 不安定になりがちな自然エネルギーを組み合わせ、弱点を補う。 (笠井哲也、asahi = 8-25-14) 湯けむりで地熱発電 全国の温泉地、低資金・安定収入 全国の温泉地で、温泉から出る蒸気や熱湯を使う地熱発電が広がり始めた。 少ない資金で始められ、安定した収入も見込めるようになったからだ。 本格的に電気をつくって売る温泉発電所は昨年まで 1 カ所だったが、今年中には 7 カ所以上になろうとしている。 ■ 「名物」を活用、観光の目玉に 国内有数の温泉街として知られる大分県別府市の高台で、温泉の蒸気を使って電気をつくる発電所がつくられている。 試験運転を経て、この 10 月から電気を九州電力などの電力会社に売り始める予定だ。 500 坪(1,650 平方メートル)ほどの敷地に 4 台の発電機を置く。 そこに近くの温泉から熱い蒸気を引き入れ、沸点が低い「代替フロン」という液体を蒸発させる。 この代替フロンの蒸気でタービンを回して発電する仕組みだ。 発電をするのは、「コスモテック(東京都千代田区)」という中堅企業だ。 おもにロケットの打ち上げ支援をしており、それで培った発電関連の技術が生かせるとみて参入した。 温泉発電は太陽光のように天候に左右されず、四つの発電機で 1 年間に約 770 世帯が使う電気をつくれる。 これを電力会社に売り、年間 1 億円の売上高を見込むという。 蒸気を提供する温泉の持ち主も、売り上げの一部から蒸気の利用料を受け取る。 温泉主の森川勇さん (78) は「別府の名物は『地獄』と呼ばれる温泉からの噴気。 それで発電できるんだから、こんなにいい話はない。」という。 森川さん自身の会社も昨年から温泉発電に乗り出している。 市内では、今年 1 月に地元の別の会社も年間に約 120 世帯分をまかなえる温泉発電を始めた。 観光の目玉にしようと取り組む温泉街も出てきた。 福島市の土湯温泉だ。 東京電力福島第一原発事故の後、土湯温泉の旅館は 16 軒から 11 軒に減った。 危機感を募らせた旅館経営者らは、温泉発電に共同で取り組むことを決めた。 来年 7 月、年間に約 500 世帯分をまかなえる温泉発電所の運転を始める予定だ。 地元の旅館でつくる発電会社「元気アップつちゆ」の加藤勝一社長 (65) は「エコ温泉地を新しい観光の売りにしたい」と話す。 ■ 効率アップが課題 温泉発電のきっかけは、2012 年 7 月から自然エネルギーを電力会社が固定価格で買い取る制度が始まったことだ。 中小規模の地熱発電の電気は「1 キロワット時あたり 40 円」で買ってもらえるようになり、利益が見込めるようになった。 しかも、もともとある温泉の蒸気を使うため、設備への投資が数億円で済み、周辺の環境調査もいらない。 温泉主の協力が得られれば比較的簡単にでき、発電を始める温泉地が相次いでいる。 一件一件の発電量が小さく、発電効率をどこまで高められるかが課題だ。 別府大学の阿部博光教授(環境エネルギー政策)は「東日本大震災では地産地消型の電源の重要さがわかった。 温泉発電はその優等生。 発電効率をもっと上げ、全国に広がれば、大規模な地熱発電開発への理解にもつながる。」と話す。 (西尾邦明、asahi = 8-19-14) |