世界経済回復への期待がしぼむ

米国の景気回復を主に牽引すると見られていた住宅市場の回復が停滞していることはイエレン連邦準備制度理事会 (FRB) 議長を始め FRB メンバーの驚きとなっている。 ゴールドマンサックスやマクロエコノミクスも住宅市場の回復ペースが昨年末から年初にかけて見られた悪天候による低迷からは改善しているものの予想を大幅に下回るとし、14 年下半期の成長率見通しを当初の 3.5% から 3.25% へ引き下げた。

イエレン議長は 7 日の議会証言において、住宅市場の停滞を見通しリスクの一つとして挙げた。 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁(2014 年度の投票権無)も依然、今後の経済で「3% 成長が達成可能」と見ていると同時に、住宅市場の弱さに驚きを表明している。

住宅ローン融資の基準が非常に厳しいことが一因だが、FRB が出来ることは限られる。 また、指摘されている住宅市場の供給に影響を与える能力も限られる。 さらに、人件費や建設資材価格の高騰を受けて住宅建設会社は資金繰りが困難になったことに加えて、新規購入者用の低価格の住宅建設よりもより高価格のプロジェクトに焦点をあてていることに対してもなすすべはない。

居住住宅投資の国内総生産 (GDP) への寄与度は昨年 10 - 12 月期に、12 四半期連続のプラスから 0.25% マイナスに落ち込んだ。 1 - 3 月の速報では 0.18% のマイナス。 現在のところ、FRB が住宅市場の回復ペース加速のためにできることは異例な低金利を当面維持することくらい。

フランスの 4 月求職者総数は 340 万人と予想の 335.4 万人を上回り、過去最高となった。 ドイツの 5 月失業率は 6.7% と変わらずだが失業者数は前月比 2.4 万人増と減少予想に反して増加し、増加幅は 2009 年 4 月以来で最高に達した。 米国債券相場では米連邦準備制度理事会 (FRB) が資産購入策を縮小しているにもかかわらず価格が上昇。 10 年債利回りは昨年 6 月以来で最低となった。 米国債券市場は世界経済の回復ペースの遅さに気付き始めたのかもしれない。 (FISCO = 5-29-14)


世界経済フォーラム、急成長企業のコミュニティに LINE など国内 6 社を選出

世界経済フォーラムは 2014 年 5 月 20 日、急成長を遂げている企業で構成されるコミュニティ「Global Growth Company」に、東アジアから新たに 20 社を選出した。 20 社の中には、LINE やカカクコムなどの日本企業が 6 社含まれている。 Global Growth Company には、現在 60 カ国以上の国から 360 社以上の企業が加入しており、新たなメンバーは年間売上高や成長率、ビジネスモデル、経営陣のリーダーシップ、市場でのポジションに基づいて評価し選出される。

今回日本から選ばれた企業は、LINE、カカクコムのほか、ゲームサイト「4Gamer.net」を運営するハーツユナイテッドグループ、衣料品の製造・販売を手がけるクロスカンパニー、歯科医療グループの徳真会、電子デバイスや太陽電池関連事業を展開するフェローテックの 6 社だ。

日本の 6 社という数は、東アジア地域で選ばれた企業数では最多。 次いで、ベトナムから 5 社、韓国から 3 社、ミャンマーから 2 社、カンボジア、インドネシア、フィリピン、シンガポールから各 1 社が選出されている。 Global Growth Company の既存メンバーには、オイシックス、ぐるなび、サイバード、ドワンゴ、マネックスグループなどが含まれている。 (藤本京子、ITpro = 5-22-14)


イラン、中国と契約解消へ アザデガン油田で義務違反

イラン石油省は、南西部アザデガン油田の開発で契約上の義務違反があったとして、中国の国有大手、中国石油天然ガス集団 (CNPC) との契約を解消する考えを明らかにした。 イラン学生通信が 30 日伝えた。 アザデガン油田は埋蔵量が中東最大級。 日本が 75% の権益を持っていたが、イラン核問題をめぐる米国の制裁強化圧力で 2010 年までに撤退。 CNPC が 70% の権益を取得した。 イラン側は今年に入り開発の遅れを指摘していたが、改善されなかったという。 (kyodo = 4-30-14)


製造業競争力ランキングで中国 1 位・米国 2 位、日本は 5 位 = 調査

米ボストン・コンサルティング・グループ (BCG) が 25 日に公表した世界の製造業競争力ランキングでは、主要輸出国 25 カ国のなかでトップは中国、2 位は米国、3 位は韓国だった。 日本は 5 位に入った。 リポートは、米製造業について、天然ガス価格下落や生産性向上、賃金上昇圧力の欠如を理由に、再び「勢い」をつけていると指摘した。

逆に中国については、人件費と輸送費上昇、生産性の伸び悩みを受け、競争力トップというポジションに「圧力がかかっている」とした。 BCG の調査担当者は「米国のコストは、中国を除く世界の主要輸出国 10 カ国よりも 10 - 25% 低く」、東欧と同水準だと指摘した。 BCG は製造業の競争力について、賃金、生産性の伸び、エネルギーコスト、為替という 4 つの要因を重視し、ランキングを作成した。 (Reuters = 4-25-14)

上位 10 位は以下の通り。

1. 中国、2. 米国、3. 韓国、4. 英国、5. 日本、6. オランダ、7. ドイツ、8. イタリア、9. ベルギー、10. フランス


牛タン、安くなる? 豪州産に低関税の輸入枠設置へ

農林水産省は 17 日、7 日に大筋合意した日本と豪州の経済連携協定 (EPA) 交渉で、豪州産の牛タンなどに低関税の輸入枠を設けると発表した。 枠に限り、牛タンやハラミなどの関税を 12.8% から 7.6% に下げる。 牛タンやハラミなどを対象にした輸入枠は初年度 1 万 7 千トン。 10 年かけて 2 万 1 千トンに広げる。 早ければ 2015 年度中にも実施される。

豪州産の牛タンは日本の牛タン輸入量の 4 割を占める。 将来的に、焼き肉屋で食べることが多い牛タンが安くなる可能性もある。  同省は、日豪 EPA で、現時点で関税撤廃が決まった畜産品目も発表した。 鶏の肝臓や、液卵・粉卵(卵を液体や粉にしたもの)、乳糖など。 日本はこれまで 13 の EPA を結んでいるが、今回初めてスープの原料などに使う「肉エキス・ミートジュース(関税 12%)」の関税撤廃を決めた。 (asahi = 4-17-14)

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日豪 EPA 交渉、大筋合意へ 牛肉関税下げ 20% 台に

日本と豪州の経済連携協定 (EPA) をめぐる交渉で、両政府が大筋で合意する見通しになった。 6 日までの交渉で、最大の懸案だった日本の牛肉関税をいまの 38.5% から 20% 台まで引き下げる方向で一致したためだ。 豪州も自動車関税 (5%) の撤廃に応じる方針。 7 にある安倍晋三首相とアボット豪首相との会談にあわせて大筋合意を表明するとみられる。

複数の交渉関係者によると、日本が輸入牛肉にかけている関税について、豪州は 15 年かけて 20% 程度まで引き下げるよう要求。 これに対し、日本は当初は反発したものの、最終的に 20% 台にすることは容認した。 スーパーなどの店頭向けが多い冷蔵牛肉は国内農家への影響が大きいため、外食産業向けが多い冷凍牛肉よりも関税を高くしたり、輸入が急増した場合に輸入量を制限する「セーフガード」を導入したりすることなどの条件について最終調整しているとみられる。

一方、牛肉関税を一定程度下げられたことで、豪州は日本が求める自動車関税の撤廃に応じる。 自動車は、日本から豪州への輸出額の 5 割近くを占める。 このため、日本は協定発効と同時の関税撤廃も求めていたが、豪州は主力車種を中心に応じる方向だ。

環太平洋経済連携協定 (TPP) 交渉が遅れるなか、豪州は、日本の牛肉市場で競合する米国より先に低い関税を手に入れ、シェアを広げたいとの思惑があった。 日本にも、豪州との交渉を急ぐことで、関税撤廃にこだわる強硬な米国を牽制する狙いがある。 (asahi = 4-7-14)


東京円、101 円台半ばで推移 「円安期待薄らぐ」

14 日の東京外国為替市場の円相場は、1 ドル = 101 円台半ばでもみあう展開となっている。 午後 1 時現在、前週末午後 5 時時点より 17 銭円高ドル安の 1 ドル = 101 円 56 - 57 銭、対ユーロでは 72 銭円高ユーロ安の 1 ユーロ = 140 円 68 - 71 銭で取引されている。

市場では、日米で株価が軟調なのに伴ってリスクを回避しようとする動きから、円が買われ、ドルが売られやすくなっている。 日本銀行が消費増税後も追加の金融緩和を急ぐ気配がないことも意識されており、「投機筋の円安期待が薄らいでいる(証券会社為替担当者)」という。 (asahi = 4-14-14)


世界金融安定報告 : 新興国からの大規模資金流出を警告

【ワシントン 平地修】 国際通貨基金 (IMF) は 31 日、世界金融安定報告を発表した。 その中で、新興国市場に参入する投資家の多様化により、大規模な金融危機の際、新興国からの資金流出がより激しくなる傾向があると警告した。

金融市場のグローバル化とともに、新興国市場への国外投資家の参入が加速。 変動の大きい新興国通貨建て債券などを投資対象とする金融商品が増えている。 その結果、世界的な金融環境の変化に、新興国への資金の流れはより敏感に反応するようになり、「大規模なショックの際には資金の大量流出が長期間続く傾向にある」と分析した。

新興国については、米国の量的緩和策の縮小開始などで資金が流出し、各国の通貨が急落するなどの影響が出ている。 報告は「(新興国)国内の投資家層の拡大や、銀行と資本市場の充実」などの対応を求めている。 (mainichi = 3-31-14)

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IMF 改革や新興国の発言力強化、米国の支持なしでは不可能 = 専務理事

[北京] 国際通貨基金 (IMF) のラガルド専務理事は 23 日、米国の支持なしで IMF 改革や新興国の発言力強化のためにできることはあまりないとの見解を示した。 新興国による出資拡大は 2010 年に決定しているが、これを実現するには米国の IMF 拠出金に関する関連法案を同国議会が承認する必要がある。

だが、共和党の理解を得られず、米議会での合意は先送りされている。 これに対し中国は 1 月、IMF 加盟国に対し、新興国の出資比率拡大を推進し、より大きな発言力を与えるよう要請。 米国を間接的に批判した。 専務理事は中国の清華大学での講演で、関係法案の議会通過は米国の責任だと指摘。 「私に何かできる余地はほとんどない」と話し、新興国の発言力強化を望んでいるとも述べた。 (Reuters = 3-24-14)


CM 効果音や企業イメージカラーも商標に 特許法改正案

おなじみの CM 効果音や企業のイメージカラーなどを商標として登録できるようにする特許法等改正案が 11 日、閣議決定された。 今国会で成立させ、来年度中の施行をめざす。 欧米ではすでに商標登録が認められており、日本でも企業のイメージ戦略にとって重要な知的財産として保護できる仕組みを整える。

対象になるのは、企業のイメージをあらわす短いメロディーや、商品に特有の効果音や色などだ。 特許庁によると、たとえば、米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」の起動音や、米半導体大手インテルの CM で流れる短い効果音。 米国の宝飾ブランド「ティファニー」のイメージカラーである淡いブルーもそれにあたる。 欧米では商標登録され、勝手にまねできないように保護されている。

交渉中の環太平洋経済連携協定 (TPP) や欧州連合 (EU) との経済連携協定にも同様な規定が盛り込まれる見通し。 合意を先取りして国内法の整備を進める狙いもある。 (藤田知也、asahi = 3-12-14)


米ロ緊張、日本企業に不安拡大 米、対ロ経済制裁を検討

ウクライナに軍事介入したロシアに対し、米国が経済制裁の検討を始めた。 ロシアとの結びつきが深まる日本では、進出企業などに不安が広がる。 ウクライナ政府の財政難も心配のたねで、各国の支援で財政悪化を止められないと深刻な影響が出る可能性がある。 米政府高官は 2 日、「我々は同盟国とともに(ロシアとの)経済や貿易関係を縮小する幅広い選択肢を検討している」と、経済制裁について言及した。 すでに、米ロ投資協定の協議のために米通商代表部 (USTR) の交渉団を派遣する予定を中止したという。

この高官は「通貨ルーブルはこの 3 日間で大きく値を下げている。 ロシア経済はいい状況にはない。」として、制裁に踏み切った場合はロシア経済に大きな影響が出ると警告した。 ロシアと欧米の関係悪化は、日本にも響きそうだ。 日ロの経済関係は年々強まり、2013 年のロシアから日本への輸入総額は 2 兆 3,071 億円、日本からロシアへの輸出総額は 1 兆 693 億円にのぼる。

輸入の 8 割を占めるのが石油や液化天然ガス (LNG) などの化石燃料だ。 東日本大震災後、火力発電用の LNG が大量に必要になり、ロシアからの輸入が急増した。 LNG 輸入の 10% をロシアに頼る東京ガスは「経済制裁が決まれば、どうしても影響が出る。 情勢を注視したい。(広報担当者)」と気をもむ。 輸入が難しくなったときは「ほかの国と短期契約することなどを考える」という。

自動車産業への影響も心配される。 市場拡大を見込んだトヨタ自動車や日産自動車、三菱自動車はロシアに工場を置き、多くの部品をロシア国外から調達している。 経済制裁で部品をそろえることができなくなれば操業に大きく響く可能性があり、「事態の推移を見守りたい(三菱自動車の広報担当者)」という。

中古車など高額商品の取引では、すでに影響が出始めている。 日本からロシアへの輸出を手がけるイービストレード(東京都)では、中古車の 2 月の販売が前年より 2 - 3 割減った。 ウクライナ情勢の悪化でルーブルが値下がりし、ロシアの輸入業者の買い控えが起きているという。 寺井良治社長は「経済制裁となれば、代金回収などが出来なくなる場合もある。 こちらも決済条件を厳しくするなど対応が必要になる。」と話す。 (asahi = 3-4-14)


世界成長率 2% 引き上げ 共同声明に明記で調整  G20、異例の数値目標

【シドニー = 橋本卓典】 日米欧に新興国を加えた 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議が、世界経済全体の成長率を「少なくとも 2% 程度引き上げることが可能」との認識を共同声明に盛り込む方向で最終調整に入ったことが 22 日、分かった。 数値を明示することで、先進国には成長戦略の強化を、新興国には経済構造の改革をそれぞれ促し、世界経済の成長加速や雇用拡大につなげたい考えだ。 共同声明で成長率の数値目標を盛り込めば異例だ。

数値目標の導入は、財政支出の拡大による着実な景気回復を重視する議長国のオーストラリアが主導している。 多くの国は成長促進に弾みがつくとして基本的に賛同している。 ただ、財政支出の拡大に反対するドイツなどが慎重姿勢を示しており、共同声明での表現を詰めている。

G20 は 22 日夜、1 日目の討議を終了した。 麻生太郎財務相は会議後に記者団に対し「米量的金融緩和の縮小の背景には米国経済の回復があり、基本的に歓迎すべきと発言した」と説明。 新興国の一部が米緩和縮小による資金流出を懸念していることについては「新興国は自助努力が必要だ」とし、新興国は経常赤字と高いインフレ率を改善すべきとの考えを示した。

共同声明では、世界経済に改善の兆しがあるものの、新興国の景気減速で「力強く、持続可能な回復には程遠い」との認識を示す見通しだ。 トルコやブラジルなどの通貨が下落傾向にあり、国際金融市場では新興国への不安が根強い。 共同声明では「過度な相場変動は成長に打撃」と懸念を表明する方向だ。 G20 に先立ち麻生財務相はルー米財務長官と会談した。 米国が、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が「第 3 の矢」として掲げる成長戦略の実行が重要だとの考えを日本に伝えた。 (kyodo = 2-23-14)

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中国の構造問題が世界の成長の足かせに

【シドニー = 塩原永久】 G20 財務相・中央銀行総裁会議は 23 日の共同声明で、中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」によるリスクへの対処を明記し、中国に構造改革を促した。 中国はシャドーバンキングや地方債務の膨張など、自国が抱える問題を各国に説明し理解を求めたが、懸念は残ったままだ。

「支払い危機がまた発生 - -。」 1 月以降、中国では新聞に金融商品をめぐる見出しが躍った。 正規の銀行融資以外のルートで資金を取引する高利回りの金融商品「理財商品」が、相次ぎデフォルト(債務不履行)寸前となったためだ。 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は G20 で「影の銀行」が拡大していることを認めた上で「慎重に対応している」と述べた。 各国からは「とくに意見は出なかった(国際金融筋)」という。

ただ、米国のルー財務長官は G20 開幕に先立つ講演で「中国は多くの問題について、期待しているようなスピードで動いていない」と指摘するなど世界の目は厳しい。 中国もそれを意識し、18 日には約 8 カ月ぶりに金融市場の資金を吸収する公開市場操作を行い、市場の資金のだぶつきを抑制する姿勢を示した。 中国の成長が大幅に鈍化すれば、世界経済の成長にも悪影響を及ぼすだけに、各国は構造改革の行方を注視している。 (sankei = 2-23-14)

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米財務長官、日本の内需拡大に向け「3 本目の矢」の重要性強調

[シドニー] ルー米財務長官と麻生太郎副総理兼財務相は 22 日、20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議に先立ち会談した。 米財務省が発表した声明によると、両相は日米および世界にとって両国の力強く持続可能な成長が重要との点を再確認、ルー長官は、日本が内需拡大のため「3 本目の矢」として構造改革を実行することの重要性を強調した。

声明は、米国経済の力強い成長は日本にとって好ましいことであり、同様に力強い日本経済は米国にとって望ましい、とした上で、ルー長官は、日本が内需主導の景気回復を維持・加速させる努力を続けていることを高く評価している、とした。 また、両国の景気拡大や雇用創出につながる環太平洋経済連携協定 (TPP) の高水準な妥結に向けて協力していくことの重要性も確認した。

両相はまた、力強い持続的成長に整合的で中期的な財政政策の重要性についても合意した。 G7 および G20 声明のコミットメントの重要性も再確認した。 さらにルー長官は、イラン核開発問題の平和的解決を目指すうえで日本が引き続き重要な役割を果たすことに感謝の意を表した。 (Reuters = 2-23-14)

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新興国の通貨安、G20 で議題に … 米財務省高官

【ワシントン = 安江邦彦】 米財務省高官は 14 日、豪シドニーで 22、23 日に開かれる主要 20 か国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議で、新興国の通貨安などの国際金融市場の混乱が主な議題となる、との見通しを示した。 その上で、高官は市場が混乱した背景として「新興国の政治的、経済的(基盤の)弱さ」や「中国の経済成長の減速懸念」があると指摘した。 さらに、「投資家は注意深く新興国を選別している」とも述べた。

市場関係者の間では、新興国の通貨安は、米連邦準備制度理事会 (FRB) の金融政策が背景にあるとの声が多い。 FRB は 1 月から、国債を買い取って市場にたくさんのお金を供給している量的緩和策の縮小を始めている。 このため、これまで新興国の通貨を買っていた投資家が、お金を調達しにくくなり、新興国の株や通貨を売却している、との見方だ。 (yomiuri = 2-15-14)


新興国市場、奏でる不安定な音 中国も不安材料

この胸の思いを語ろうとしてもそれはたやすいことでなく、きっとあなたは奇妙に思うだろう。 (ミュージカル「エビータ」の)「アルゼンチンよ泣かないで」の冒頭の歌詞は、新興国市場に資金を投じ、そして涙を流したと思われる投資家におあつらえ向きの伴奏曲に思える。 アルゼンチン、トルコ、タイといった新興国市場を襲った混乱について語ろうとしてもそれは簡単ではないが、賢明な多くのファンドマネジャーが現在、新興国市場からの完全撤退を推奨していないことを、きっと読者は奇妙に思うだろう。

実際に起きたことは極めてはっきりしている。 新興国の株価は 1 月だけで約 7% 下落したほか、多くの通貨が急落し、中央銀行はこうした事態に対処するため緊急措置に訴えざるを得なかった。 当然ながら、投資家は資金を引き揚げた。 調査会社リッパーによると、1 月 29 日までの週には新興国市場を対象とした上場投資信託 (ETF) から過去 2 番目の規模となる資金流出が見られた。

何が悪材料だったのだろうか。 この不安定な状態を誘発したのはファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に関する長期的な転換が 2 つ起きたことだった。 いわゆる「テーパリング」、つまり米連邦準備制度理事会 (FRB) の債券購入策が縮小に転じたこと、そして、中国の経済と銀行システムについての懸念が広がったことだ。

米国の緩和マネー引き揚げと世界の国内総生産 (GDP) の 10% 以上(新興国市場の GDP の約 3 分の 1)を占める中国についての不安が、投資家の心理を一点に集めた。 ファンダメンタルズが好ましくない(多額の経常赤字を抱え、成長が軟化し、政治的に不安定な)国の経済が厄介者となったのだ。 米金融界の業界用語で言えば、ファンドマネジャーの「リスク志向」が転換した。 トルコリラや米国株といった資産を物色するのをやめ、米国債などより安全度の高い資産に投資し始めたのである。

すでに途方に暮れている投資家もいる。 あるマネーマネジャーは 1 月 31 日遅く、最悪の 1 週間を過ごした疲れから回復するため「床に寝転んで」しまいたいと告白した。 寝転ばずにまだ立っている人々にとって、今後の状況はどの資産を選択するか、そして、急激な転換に耐えるだけの気持ちがあるかにかかっている。 FRB が今後も緩和縮小を続け、中国経済が持ちこたえると仮定した場合、新興国市場の混乱は今後どうなる可能性があるのか見てみよう。

先週の発言で最も意外だったのはJP モルガン・チェースの新興国市場・アジア株チーフストラテジスト、エイドリアン・モワット氏の「新興国市場について極めて活発に取引しているし、大いに強気だ」というものだった。 同氏によると、米国の緩和策が引き締めに転じたことは実際のところ、経済成長の拡大を伴っているのであれば、新興国市場にとって好材料とみられる。 また同氏は、世界経済が中国に依存しているというのは言い過ぎだとの見方を示した。

さらに、このところの新興国株下落で、一部企業には割安感が生じている。 モワット氏は新興国市場の株価について、過去平均なら米国株に対し 20% 割安だが、現在は 36% 割安になっていると推定する。 同氏が昨年末、指標とされる MSCI 新興国市場指数について示した予想は、現在より約 28% 高い水準だった。 JP モルガン・チェースが特に注目しているのは、ロシアの国営天然ガス大手ガスプロム、ロシア最大手の銀行ズベルバンク(ロシア貯蓄銀行)、韓国の現代自動車といったところだ。

ただ、モワット氏のような意見は、弱気一色の中で異端と言っていいだろう。 投資顧問 J2Z アドバイザリーのジェイ・ペロスキー氏など一部の専門家は、完全に絶望的となっている。 同氏は先週、「窮地を脱した世界経済」と題して顧客と電話会議を行った。

同氏は筆者に、「新興国市場で発生した事態のため、世界経済が同時回復する可能性は断たれた」としたうえ、「成長モデルは欧州、米国、新興国市場のどこであれ、全滅している」と指摘した。 この低迷の中、同氏が提案する生き残り策はこうだ。 世界経済成長の鈍化見通しを背景に原油の売りで利益を得る一方、金鉱山株と米国の長期地方債および米国債を買う。

一方、まだ完全には守勢に回っていない人々もいる。 オッペンハイマーファンズの世界債券チームのトップ、サラ・ザーボス氏はこの数週間、シンプルな質問を自らに問うている。 「裸のままプールに残っているのは誰なのか。」 混乱が深刻化し、無防備なままとり残される国が増える中、同チームは投資対象を国債から社債に移した。 同氏は、賢明な投資家なら高格付けの新興国企業の中にいい銘柄を見つけることができるとみている。

こうした全く異なる見解の間でも共通しているのは、長期的視点を維持すべしということだ。 政策やリスク志向の変化に応じ資本の流れに大きな転換が起きており、これが、大規模な中央銀行による刺激策を失った世界での投資のあり方を今後、形作っていくことになるだろう。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン (BBH) の世界通貨戦略部門トップ、マーク・チャンドラー氏は、この混乱のため「旅行者的な投資家」は市場を離れるだろうが、比較的腰の据わったドル資金はとどまるとみている。 同氏は「長期的な資本の流れが逆転しており、これが完了するには 2 - 3 年かかるだろう」と述べた。 エビータならきっとこう言うだろう。 「こうなることは必然だった。 私は変わらなければならなかったのだ。」 (Francesco Guerrera、The Wall Street Journal = 2-4-14)

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NY ダウ急落、318 ドル安 新興国経済への不安高まる

24 日のニューヨーク株式市場は、新興国経済への不安が高まり、大企業で構成するダウ工業株平均が大幅に値下がりした。 終値は、前日比 318.24 ドル (1.96%) 安い 1 万 5,879.11 ドルとなり、1 万 6,000 ドルの節目を割り込んだ。 ハイテク株が中心のナスダック市場の総合指数も、前日比 90.70 ポイント (2.15%) 低い 4,128.17 と大幅に下落して、取引を終えた。 (ニューヨーク = 畑中徹、asahi = 1-25-14)

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新興国通貨、総崩れ = アルゼンチン暴落が直撃 - 金融市場

【ロンドン】 週末 24 日の外国為替市場では新興国の通貨が全面安となり、トルコ・リラが過去最安値、南アフリカ・ランドも 5 年 3 カ月ぶりの安値を更新した。 アルゼンチン・ペソの暴落をきっかけに、新興国経済への警戒感が一気に広がった格好。 米量的緩和の縮小や中国経済減速への懸念も高まっており、金融市場全体が悪循環に陥る恐れも出てきた。

ロンドン時間午前 10 時 30 分現在、ランドが 1 ドル = 11.1 ランド台と前日終盤から 1.4% 下落したほか、リラも同 2.31 リラ台と 1% 安。 このほかロシア・ルーブルも同 34.4 ルーブル台、メキシコ・ペソも同 13.5 ペソ台と共に 1% 前後下落した。 年明け以降の下落率はトルコ・リラで 7.6%、南ア・ランドで 6.1% に達した。

この日の通貨下落の直接の原因となったのは、アルゼンチン・ペソの暴落。 前日の市場でペソは対ドルで 11% も下落した上、同国中央銀行が「通貨防衛に向けた介入を事実上断念した(市場筋)」とされ、新興国の政策能力に対する疑念も強まった。 (jiji = 1-24-14)


1 月の米 CB 消費者信頼感指数、昨年 8 月以来の高水準

[ニューヨーク] 米大手民間調査機関のコンファレンス・ボード (CB) が 28 日発表した 1 月の消費者信頼感指数は 80.7 と、前月の 77.5 (下方修正)から上昇し、昨年 8 月以来の高水準となった。 業況や労働市場に対し楽観的な見方が増していることがわかった。 ロイター調査がまとめたエコノミスト予想は 78.1 だった。

CB の経済指標ディレクター、リン・フランコ氏は声明で「消費者信頼感は全般的に正しい方向に向かっているようだ。 期待指数の上昇は、今後数カ月で景気に弾みがつくことを示唆している。」と述べた。 期待指数は 81.8 と、前月の 79 (下方修正)から上昇し、昨年 9 月以来の高水準をつけた。

現況指数も 79.1 で、前月の 75.3 (下方修正)上昇した。 労働情勢に関する評価では、「就職困難」との回答が 32.6 と、前月の 32.9 から若干改善した。 1 年インフレ期待は 5.1% と、前月の 5.2% から低下した。 (Reuters = 1-28-14)

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「米量的緩和、今秋終了の可能性」 著名エコノミスト

米著名エコノミストのアレン・サイナイ氏は 8 日、米金融当局が今年秋に量的緩和第 3 弾 (QE3) を終え、来春には利上げに踏み切る可能性がある、との見通しを明らかにした。 金融引き締めへと転じることで米国株は一時的に下がるおそれがあるが、いずれは景気回復を背景に上昇基調に戻るとみているという。

アジア各国の金融関係者に会うため来日し、東京都内で朝日新聞のインタビューに応じた。 米連邦準備制度理事会 (FRB) は昨年 12 月、量的緩和の縮小を決めた。 市場に流すお金の量を今年1月から段階的に減らす方針だが、緩和の終了時期は明示していない。 (asahi = 1-9-14)

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米 GDP 4.1% 成長 7 - 9 月期、上方修正

米商務省が 20 日発表した 7 - 9 月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)確定値は年率換算で前期比 4.1% 増と、3.6% 増だった改定値から 0.5 ポイントの上方修正となった。 成長率は 2011 年 10 - 12 月期 (4.9%) 以来の大きな伸びを示した。 改定値から修正なしの 3.6% 増を見込んだ市場予想を上回った。

GDP の約 7 割を占める個人消費、設備投資の上方修正によって成長率の全体水準が引き上げられた。 米経済は住宅投資がやや減速傾向にあるが、政府機関の一部閉鎖を招いた財政協議の行き詰まりのような逆風要因にもかかわらず比較的堅調な成長を維持した。 個人消費は 2.0% 増と改定値から 0.6 ポイントの上方修正。 設備投資は 4.8% 増と 1.3 ポイントの上方修正。 住宅投資は 10.3% 増と 5 四半期連続で 2 桁台の高い伸び率を保った。 (kyodo = 12-20-13)

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米 FRB、量的金融緩和の縮小を決定 来年 1 月から

【ワシントン = 五十嵐大介】 米連邦準備制度理事会 (FRB) の金融政策を決める連邦公開市場委員会 (FOMC) は 18 日、景気を刺激するために市場に大量のお金を流す「量的金融緩和」の縮小を決めた。 2008 年秋の金融危機後、断続的に進めてきた巨額の米国の量的緩和が「出口」に向かって動き出した。

FRB は昨年 9 月に「量的緩和第 3 弾 (GE3)」を開始。 現在は毎月、米長期国債を 450 億ドル(4.7 兆円)分、住宅ローン担保証券 (MBS) を 400 億ドル(4.2 兆円)分、合計 850 億ドル分の金融資産を市場から買い上げ、大量のお金を流している。 18 日の会合では、来年 1 月から、米国債の毎月の購入額を 50 億ドル少ない 400 億ドルに、MBS の購入額も 50 億ドル少ない 350 億ドルに減らすことを決めた。 毎月の合計の購入額は、100 億ドル分少ない 750 億ドルに縮小することになる。

緩和縮小が決まったことを受け、18 日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株の終値が 292 ドル高と急騰。 円相場も 5 年 2 カ月ぶりに 1 ドル = 104 円台の円安ドル高水準になった。 08 年 9 月のリーマン・ショック後に急激に悪化した米国経済を下支えするため、FRB は 08 年末から、市場に大量のお金を流す量的緩和策をおこなってきた。 現在は第 3 弾の最中だが、これを縮小させ始めることで、異例の緩和策は巻き戻しに向かう。

バーナンキ議長は、声明発表後の会見で「米国経済は緩やかなペースで拡大してきた。 雇用と物価水準が改善すれば、今後の会合でさらに緩やかに資産購入を減らしていく。」と話した。

一方、実質ゼロ金利政策については、18 日の会合では据え置いた。 FRB は、ゼロ金利政策について、「失業率が 6.5% 以上」などである限り続けると説明してきている。 失業率は 11 月に 7.0% まで改善している。 ただ、バーナンキ氏は「失業率が 6.5% を下回った後も十分な時間、現在の金利目標を維持することが望ましい」として、ゼロ金利政策をしばらくは続けるべきだとの考えを示した。 (asahi = 12-19-13)


違法薬物取引にビットコイン 米、交換業者を訴追

米ニューヨークの連邦検事は 27 日、違法な薬物取引サイトの利用者に仮想通貨「ビットコイン」を提供したなどとして、ビットコインと現金の交換を行う企業の経営者ら 2 人をマネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いで訴追した、と発表した。 2 人は 100 万ドル(約 1 億円)以上の資金洗浄に関与した疑いがあるという。

検察側によると、2 人は 2011 年 12 月から 13 年 10 月まで、違法サイトの利用者にビットコインを販売し、手数料を取って収益を得ていた疑いがある。 このサイトは、匿名性があるビットコインのみで取引が可能だったという。 2 人のうち、チャーリー・シュレム容疑者 (24) はビットコインの利用促進をする団体の副会長も務めている。

ビットコインはネット上で流通している仮想通貨。 決済手段として広まる一方、政府や中央銀行が発行するわけではないため価値が乱高下しやすく、投機の対象になりやすい。 また、匿名性が高いため、犯罪に使われる可能性も指摘されている。 (ニューヨーク = 中井大助、asahi = 1-28-14)


IMF : 世界全体の GDP 成長予想率 3.7% に上方修正

【ワシントン 平地修】 国際通貨基金 (IMF) は 21 日、世界経済見通しの改定版を発表した。 米国など先進国の回復がやや早まったことを受けて、2014 年の世界全体の実質国内総生産 (GDP) の成長率予想を 3.7% と、前回(昨年 10 月)予想から 0.1 ポイント上方修正した。 15 年は前回と同じ 3.9% とし、徐々に成長が加速するとの見通しを維持した。

IMF によると、13 年の世界経済の成長率は 3.0% で、「後半に経済活動と貿易が上向いた」と分析。 14 年は先進国の回復を背景に、「多くの新興国が外需(輸出)の増加で成長を高める」と予想している。 日本については、14 年の成長率を 0.4 ポイント上方修正し、1.7% と予想。 政府の景気刺激策が、4 月の消費税増税による下押し効果を一部相殺すると見込んだ。 15 年は 1.0% に減速する見通し。

米国は消費の増加などで、14 年は 0.2 ポイント上方修正の 2.8% と予想。 一方、連邦政府予算の歳出削減が 15 年も続くとみられることから、同年の成長率を 0.4 ポイント下方修正した。 ユーロ圏については「景気後退から回復に転じる」ことから、14 年は 1.0% のプラス成長に転じるとした。 新興国では、13 年に 7.7% の成長を確保した中国について、「年後半の持ち直しは一時的なものにとどまる」と指摘。 14 年は 7.5%、15 年は 7.3% と徐々に減速すると見ている。

IMF は世界経済の下振れリスクとして「先進国の非常に低い物価上昇率」を新たに挙げ、「デフレの恐れもある」と警告した。 また米国の量的緩和縮小開始に伴う新興国からの資本流出にも懸念を表明。 米国に対し、「金融緩和の早すぎる縮小を避けることが重要」と慎重な対応を求めた。 (mainichi = 1-21-14)

IMF の世界経済見通し ※単位 %。 カッコ内は昨年 10 月時点の見通しとの比較。 ▼ はマイナス。 - は変わらず。
2014 年2015 年
世界全体3.7 (0.1)3.9 (-)
米国2.8 (0.2)3.0 (▼ 0.4)
日本1.7 (0.4)1.0 (▼ 0.2)
ユーロ圏1.0 (0.1)1.4 (0.1)
中国7.5 (0.3)7.3 (0.2)
インド5.4 (0.2)6.4 (0.1)
ブラジル2.3 (▼ 0.2)2.8 (▼ 0.4)

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世界成長率、3.2% に上昇 世銀見通し、ユーロ圏回復

世界銀行は 14 日、世界経済成長の最新の見通しを発表した。 2014 年の世界全体の経済成長率は 3.2% とし、昨年 6 月時点の前回見通しよりも 0.2 ポイント引き上げた。 13 年の 2.4% よりも 0.8 ポイント高く、成長が強まるとみている。

見通しを引き上げたのは、日本と米国の景気回復が予想通り進むのに加えて、債務(借金)危機に悩まされたユーロ圏経済の回復が強まるためだ。 各国・地域別の今回の見通しは、ユーロ圏が 1.1% で、前回見通しの 0.9% から引き上げた。 13 年は 0.4% のマイナス成長の予測だが、14 年はプラスに回復する。 財政の急激な引き締めが和らぐほか、好調なドイツ経済がユーロ圏全体を引っ張るという。 (asahi = 1-15-14)

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来年の世界経済は成長加速へ、12 月米 ISM 製造業指数に注目

[ロンドン] 今週のグローバル経済は、12 月の米 ISM 製造業景況指数や各国・地域の購買担当者景気指数 (PMI)、12 月の米消費者信頼感指数が注目を集めそうだ。 1 月 2 日にマークイット/HSBC の中国の 12 月製造業 PMI 改定値、ユーロ圏の 12 月製造業 PMI 改定値、12 月の米 ISM 製造業景況指数が相次いで発表される。 世界の製造業の新年に向けた動きについて具体的なデータが提供されるが、とりわけ注目度が高いのは米 ISM 指数だ。

足元で金融市場のムードが上向いているのは米国の見通し改善によるところが大きい。 米国は政治面での手詰まり状況が解消し、2014 年は成長加速の軌道に乗る公算が大きい。 31 日発表の 12 月の米消費者信頼感指数は消費の堅調ぶりを示すとエコノミストはみている。

ノムラのチーフ米国エコノミストのルイス・アレクサンダー氏は「かなりの逆風がいくらか残っており、中でも在庫投資ペースの鈍化は避けられない。 しかし経済がこの数カ月に力強さをみせたことでエコノミストの間では、米経済に待望の循環的な成長加速が起こりつつあり、資産市場はこの新たな展開に適応していきそうだとの自信が膨らんでいる。」と述べた。

一方、来年の世界経済は、改善の足取りこそ小幅ではあるものの、3 年連続の成長減速と決別するだろう。 暮れに株式市場が上昇し、主要国の最近の指標が明るさを増していることから、投資家やアナリストの間では来年に向けて自信が高まっている。 先に米連邦準備理事会 (FRB) は経済がこのところ強めのシグナルを発していることに基づいて量的金融緩和の縮小開始を決め、こうした楽観論の広まりを具体的な形で示した。

国際通貨基金 (IMF) は 10 月、来年の世界の成長率が今年の 2.9% 程度から 3.6% 程度に加速するとの見通しを発表した。 ただ、市場の熱気やアナリストの相次ぐ楽観的なリポートの裏には、世界経済の悩みである大きな構造的問題や不均衡がなお存在している。 欧州では英国とドイツの 2 カ国こそ好調だが、徐々に成長を開始した主要国の多くは、本調子から程遠い銀行や低迷する内需に足を引っ張られ続けるだろう。

過去数カ月のロイター調査によると、中国にとっては来年も難しい年になりそうだ。 政府は投資や輸出に依存した経済を内需主導型に転換しようとしており、成長の鈍化を受け入れると繰り返し表明している。 欧州、中国、米国は世界の生産の 3 分の 2 を占めており、ほとんどのエコノミストは世界経済は鈍い成長が続くと見込んでいる。

クレディ・アグリコル・CIB のグローバル市場調査部門ヘッドの Herve Goulletquer 氏は来年の世界経済について「この 3 地域・国のいずれも成長は勢いが増すことがないか小幅にとどまるだろう。 自立的な景気加速の循環メカニズムという考え方の肩を持つのは非常に難しい。」と指摘。 先進工業国では人口動態、債務、技術ショックがその背景にあるが、実質金利が高過ぎるように見えるのに引き下げることは難しいのも原因だと指摘した。

アクション・エコノミクスの欧州経済ディレクターのナターシャ・ゲウォルティグ氏は欧州経済について「全般的に見て安定化の兆しがいくらか出てきたが、成長見通しに対するリスクは依然として下向きだ」と分析。 「金融危機によって構造的に大きく異なる国々で通貨を統合する困難が露呈し、欧州中央銀行 (ECB) は画一的な金融政策をすべてのユーロ導入国に適用することに四苦八苦している」とした。 (Reuters = 12-30-13)