レモンが脂肪肝防ぐ 三重大が発表、治療薬開発に期待

レモンの成分に脂肪肝を抑える働きがあるのを、三重大大学院医学系研究科の田中利男教授 (63) らのグループが発見し、29 日に発表した。 15 日付の英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に掲載された。 飲料大手のポッカサッポロフード & ビバレッジ(名古屋市)との共同研究。 地中海料理を好むイタリア、スペイン人らに、ほかの西洋人に比べて心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの循環器疾患の発症が少ないことに注目し、地中海料理に多く使われるレモンとの関係を調べた。

まず、淡水魚のゼブラフィッシュに高脂肪食とともに、レモンの果汁や皮に含まれるポリフェノール成分「エリオシトリン」を与えた。 えさに 1% 入れると血中の中性脂肪の濃度が、高脂肪食を与えなかった場合と同じくらいまで抑えられた。 ヒトの肝細胞を培養して脂質を加えた実験でも、同様に脂肪の蓄積を抑える効果があった。 (asahi = 1-30-14)


タミフル耐性ウイルス、三重県内でも確認

2009 年に新型インフルエンザとして流行した H1N1 型で、抗インフルエンザ薬「タミフル」の効きにくい耐性ウイルスが三重県内で確認されていたことがわかった。 インフルエンザ患者は全国的に急増し、県内でも注意報が発令されており、県は予防の徹底を呼びかけている。 県によると、耐性ウイルスが見つかったのは、昨年 12 月 20 日から 24 日まで札幌市内に滞在していた男児 (3)。 同月 25 日に亀山市内の医療機関を受診。 県保健環境研究所と国立感染症研究所で検査したところ、耐性ウイルスと確認された。

男児は検査前にタミフルの投与は受けておらず、これまでに計 15 人から検出されている札幌市の事例とウイルスの遺伝子配列が同じであることから、同市で感染し県内に持ち帰ったとみられる。 耐性ウイルスは山形や大阪、神奈川でも検出されている。 タミフルや「ラピアクタ」の効き目は悪くなるが、別の抗インフルエンザ薬「リレンザ」、「イナビル」は影響されないという。

県内では 21 日、インフルエンザ注意報が発令され、本格的な流行期に入った。 今シーズンは、昨シーズン 1 割にも満たなかった H1N1 型が 5 割と最も多く、A 香港型が 3 割、B 型が 2 割となっている。 28 日までに児童生徒 943 人がインフルエンザと診断され、学校、幼稚園の休校 6 校、学年閉鎖 54 校、学級閉鎖 75 校に上っている。

県薬務感染症対策課は「H1N1 型のインフルエンザを発症する人が増えているが、これまでと同様にこまめな手洗いやうがい、マスクの着用、十分な睡眠などを心がけてほしい」としている。 (小栗靖彦、yomiuri = 1-29-14)

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インフルエンザ拡大、全国で患者 66 万人 前週の倍以上

インフルエンザの流行が広がっている。 国立感染症研究所が 24 日発表した調査によると、全国 5 千カ所の定点医療機関から報告された患者数は、最新の 1 週間(13 - 19 日)で計 5 万 8,233 人。 1 医療機関あたり 11.78 人と注意報レベルの 10 人を超えた。 全国の推計患者数は約 66 万人。

感染研によると、昨年 10 月下旬から 13 週連続で増加し、前週から 2 倍以上に増えた。 都道府県別では沖縄が 36.74 人と最多で、警報レベルの 30 人を超えた。 次いで宮崎 19.58 人、岐阜 19.13 人、大分 17.57 人、福岡 16.31 人、熊本 16.03 人、佐賀 15.00 人、滋賀 14.66 人、大阪 14.23 人、愛知 14.18 人などと続く。 全都道府県で前週を上回り、関東では栃木を除く 1 都 5 県で注意報レベルを超えている。

厚生労働省によると、休校や学年・学級閉鎖をした保育所や幼稚園、小中高校は全国で 698 施設にのぼり、前週の 15 施設から急増した。 (asahi = 1-24-14)


食中毒で脳症、ステロイド治療が有効か 東大研究班など

腸管出血性大腸菌による食中毒で引き起こされる脳症は、ステロイドを短期間に大量に注射する治療が有効である可能性が、東京大の水口雅教授(小児神経科学)の研究班などの調査でわかった。 これまで有効な方法がなかった食中毒での脳症の治療法として期待される。 米専門誌電子版に掲載された。

研究班は、2011 年に富山県や福井県などで発生した焼き肉店の集団食中毒事件で、腸管出血性大腸菌 O (オー) 111 に感染し、脳症になった 21 人の症例を調べた。 このうち、ステロイドによる治療を受けた 12 人のうち 11 人は回復したが、受けなかった患者 9 人のうち、5 人が死亡した。

最近の研究で、腸管出血性大腸菌による脳症患者の血液中に、炎症を引き起こす物質が増えていることがわかってきた。 ステロイドは、この物質の過剰な働きを抑える効果がある。 腸管出血性大腸菌に感染すると、腹痛や下痢になり、重症化すると脳症などを引き起こす。 (土肥修一、asahi = 1-25-14)


遺伝子のスイッチ、直接入れることに成功 京大グループ

京都大のグループは人工の化合物を使い、遺伝子 DNA のスイッチを直接入れることに成功した。 iPS 細胞(人工多能性幹細胞)に類似した細胞をつくることもできた。 ウイルスなどを使わず、人工の化合物だけで DNA の働きを促したのは初という。 英科学誌サイエンティフィックリポーツで 24 日発表した。

約 2 万個の遺伝情報が書き込まれている DNA はトイレットペーパーの芯のような形のたんぱく質に固く巻き付けられていて、その内容が読めないようになっている。 特定の場所だけがゆるむことによって、必要な遺伝子だけスイッチが入る。 DNA をゆるませる化学物質が見つかっているが、手当たり次第にゆるめてしまうため、遺伝子がでたらめに働き、細胞が死んでしまう。 (asahi = 1-24-14)


アルツハイマー、血液一滴で診断 愛知の研究チーム開発

血液一滴でアルツハイマー病の兆しがわかる - -。 こんな技術を愛知県の豊橋技術科学大学や国立長寿医療研究センターなどの研究チームが開発し、21 日に発表した。 高性能半導体を使う世界初の技術で、2015 年度の実用化を目指す。 がんや生活習慣病の早期発見にも応用できるという。

血液や尿を一滴とり、半導体イメージセンサーを使って、抗原抗体反応で生じるわずかな電気量の変化を読み取る。 研究チームはこの技術で、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータというたんぱく質の検出に成功した。 従来の技術では 1 検体につき測定に数時間、1 千円ほどの経費がかかる。 血液も 1 - 5 ミリリットルが必要なので、病院で採血しなければならない。 新技術は市販の簡単な器具を使い自宅で採血。 1 検体で約 10 分、100 円以下で測れる。 (asahi = 1-22-14)


ED 治療薬、副効用に注目 前立腺肥大症薬として発売へ

勃起障害 (ED) 治療薬として使われている「タダラフィル」が、前立腺肥大症の治療薬として今春にも発売される。 厚生労働省に承認された。 ED 治療薬は血流をよくする作用があり、肺高血圧症の治療に使われるなど、その「副効用」が注目されている。 前立腺肥大症は加齢とともに前立腺が大きくなる病気で、排尿障害につながる。 40 万人以上が治療を受けており、潜在患者は 400 万人とも言われる。 (asahi = 1-20-14)


超音波で抗がん剤効果判定 血流を観察、兵庫医科大

肝臓がんの患者に投与した抗がん剤が効いているかどうか、超音波を使って調べられるシステムを、兵庫医科大超音波センター(兵庫県西宮市)と東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)が開発した。 造影剤を血中に投与し、超音波を当てて観察。 がんに栄養を与える血液の流れが遅くなり、量が減っていれば、がんが小さくなっていると分かる仕組み。 年内の実用化を目指している。

飯島尋子センター長は「抗がん剤は高額で副作用もある。 効果が薄い場合、早く別の治療法に切り替えれば患者の負担が少なくて済む。」と話す。 システムでは、抗がん剤を使い始めて 1、2 週間の患者に造影剤を投与する。 流れ込む血液の量や速さが自動でグラフ化される上、造影剤ががんの表面に到達してから内部に流れ込む時間が 1 秒以内は赤、1 - 2 秒なら、だいだい色にモニター上で色分けする。 流れ込むのにかかる時間が長くなっていれば抗がん剤が効き、がんが縮小している。 (sankei = 1-18-14)


風疹で障害の乳児、昨年は最多 31 人 大流行の影響

妊婦が風疹に感染し、赤ちゃんの耳や心臓などに障害が出る先天性風疹症候群 (CRS) の報告が昨年 1 年間で 31 人にのぼったことが 14 日、国立感染症研究所のまとめでわかった。 統計のある 1999 年以来で最も多く、これまで最多だった 2004 年の 10 人に比べ、3 倍にのぼった。

都道府県別では、東京 13 人、大阪 5 人、神奈川 3 人、埼玉、愛知、三重、和歌山が各 2 人、栃木、千葉が各 1 人。 CRS は妊婦が妊娠初期に風疹にかかり、胎児にうつることで起こる。 昨年、風疹に感染した患者は前年の 6 倍の 1 万 4 千人超と大流行し、CRS の増加が心配されていた。 CRS の多くは出産後に判明するため、今後も報告が続く可能性がある。 昨年の風疹患者のうち 6 割以上が 20 - 40 代の男性。 制度の違いで多くが予防接種を受けていない世代とされる。 (asahi = 1-15-14)


脊髄損傷、幹細胞で治療 国内初の治験へ 札幌医大

札幌医科大は10日、脊髄(せきずい)を損傷した患者自身の骨髄幹細胞を使って神経を再生させる臨床試験(治験)を始めると発表した。 幹細胞を使う治療はさまざまな病気での研究が進行中で、脊髄損傷での治験は国内初。 脊髄損傷はリハビリ以外に有効な治療法がなく、新たな可能性として期待されるが、効果やリスクなどの課題を指摘する声もある。

治験を実施するのは、山下敏彦教授(整形外科)らのグループ。 患者から数十ミリリットルの骨髄液を採取して、主に骨や脂肪などの細胞になる「間葉系幹細胞」を分離する。 2週間かけて1万倍に増やし静脈に点滴する。 グループは、間葉系幹細胞が脊髄の傷ついた部分に自動的に集まり、損傷した組織内で神経系細胞に分化して組織を修復する作用があると説明している。 発表によると、ラットの実験では、運動機能の回復が確認されたという。 (asahi = 1-10-14)


麻酔薬ケタミン、脳の「やる気」活性化 新抗うつ薬期待

従来薬より速く、長く効く次世代抗うつ剤として期待されている薬「ケタミン」について、理化学研究所は 7 日、この薬が脳の「やる気」に関係する 2 カ所を、同時に活性化していることを突き止めたと発表した。 この仕組みを応用することで、より安全で効果が高い新抗うつ薬を開発できる可能性があるという。 ケタミンは麻酔薬だが、優れた抗うつ作用も発揮することが、近年分かってきた。 しかし、効く仕組みは謎だった。 また、ケタミン自体は麻薬指定を受けるほどの依存性があり、そのままでは抗うつ剤として使うのは難しい。 (asahi = 1-9-14)


抗生物質効きにくい細菌に院内感染、患者 11 人死亡 大阪・高槻市

大阪・高槻市の病院で、抗生物質の効きにくい細菌に患者が院内感染し、1 年間で 11 人が死亡していたことがわかった。 大阪・高槻市の私立新生病院によると、2013 年の 1 年間で、患者 21 人が「多剤耐性緑膿(りょくのう)菌」に感染し、うち 11 人が、これまでに死亡した。

この菌には、抗生物質が効きにくく、抵抗力が弱っている人が感染すると、肺炎などを引き起こすおそれがある。 死亡した患者は 60 - 90 代ということで、病院では、たんの吸引器などの医療器具から、院内感染が広がったとみている。 (FNN = 1-6-14)


ブラジル W 杯観戦、黄熱に注意 厚労省、予防接種の勧め

ブラジルで今年 6 月から始まるサッカーのワールドカップ(W 杯)で渡航するサポーターに、厚生労働省が黄熱の予防接種を勧めている。 南米などで流行する感染症で、発熱や頭痛の症状が出て死亡することもある。 国内で接種できるのは 25 施設に限られ、予約が必要。 「直前は混雑するため、早めに検討して欲しい」と呼びかけている。

黄熱は蚊がウイルスを媒介し、感染から数日で発症する。 ブラジルは流行国で、世界保健機関 (WHO) はサンパウロなど沿岸の一部地域を除き接種を推奨している。 厚労省によると、6 月 24 日(現地時間)のコロンビア戦が対象地域に含まれる。 14 日のコートジボワール戦、19 日のギリシャ戦は対象外。 ブラジルから他国へ向かう場合、予防接種の証明書がないと入国できないこともある。

接種できる施設は厚生労働省検疫所のホームページ (http://www.forth.go.jp) で確認できる。 費用は約 1 万円で、証明書は接種の 10 日後から 10 年間有効。 黄熱の国内発症例は近年ないが、WHO によると熱帯アフリカや南米など 44 カ国で流行。 死者は年 3 万人と推計されている。 (阿部彰芳、asahi = 1-4-14)


インフルの季節、乳酸菌飲料 PR 効用うたわず工夫

インフルエンザの季節を迎え、乳酸菌を含んだ飲料の市場が活気づいている。 予防などに「効き目」があると注目されているからだ。 ただ、商品の効能や効果をうたうことは薬事法で御法度。 各社は売り込みに工夫を凝らす。 「インドでは専用ポットを使った、鼻うがいという体調管理法があるそうだ。」 テレビ CM で、インドの体調管理法を紹介する俳優の加瀬亮さん。 結びの言葉は「ちなみに日本には『R-1』という方法がある。」 いかにも効きそうだ。 (asahi = 1-3-13)


細胞を「医薬品」、初申請へ 兵庫の企業、年度内に

【小宮山亮磨】 医薬品メーカーの「日本ケミカルリサーチ(兵庫県芦屋市)」は 29 日、骨髄から取り出して培養した幹細胞を「医薬品」として製造、販売するための承認申請を年度内に出すことを明らかにした。 細胞を医薬品として申請するのは国内初だと説明している。

同社によると、今回の幹細胞は、白血病などの治療のため他人の造血幹細胞を移植された患者に起こる「移植片対宿主病」の治療に使う。 移植された細胞が患者の体を「異物」とみなして攻撃してしまう病気だ。 重症だと死亡する場合もある。 同社は、この攻撃を抑えるたんぱく質を出す特殊な幹細胞を、健康な第三者の骨髄から採取。 培養で大量に増やし、凍結保存しておく。必要なときに解凍し、患者の体に入れる。 (asahi = 12-31-13)


肥満防ぐタマゴ開発中 岐阜大など、脂質吸収抑える抗体

【鈴木彩子】 食べるだけで肥満を防ぐ特殊なタマゴの開発に、岐阜大学の長岡利教授(食品機能学)と岐阜市の企業イーダブルニュートリション・ジャパンが取り組んでいる。 脂質の吸収を抑える抗体をニワトリに作らせる方法で、このほどマウスで効果を確かめた。 英国の専門誌(電子版)に今月、論文を発表した。

ヒトや動物は食べた脂質を「リパーゼ」と呼ばれる酵素で分解して、腸から吸収している。 脂質をとりすぎて肥満になるのを防ぐには、リパーゼの働きを抑える方法が一つの手段だ。 海外では、リパーゼ阻害薬も普及しているが、肝炎などの副作用があった。

長岡教授らはリパーゼにだけ結合して働きを邪魔するたんぱく質(抗体)を、ニワトリを使って作ることに成功した。 まず、ニワトリにブタのリパーゼを注入してリパーゼ抗体を作らせる。 その後、親鳥の抗体が濃縮したタマゴの黄身を精製し、得られた成分を健康食品として利用する。 (asahi = 12-29-13)


妊婦の重大出血、産科 4 割「対応困難」 死因の 1 位

【阿部彰芳】 妊婦の命に関わる出血に対し、産科医療機関の 4 割が輸血用の血液がないなどの理由で対応できないと考えている。 こんな結果が厚生労働省研究班の調査で分かった。 重大な出血は妊婦の死因で最も多く、いち早い輸血が重要だ。 しかし、小規模の医療機関は 2 割しか輸血血液を常備していなかった。 出産や妊娠に伴う重大な出血は妊婦の 300 人に 1 人の割合で起きる。 30 年ほど前から妊婦の死因の 1 位となり、2012 年は死亡した妊婦 61 人のうち 3 割を占めた。 (asahi = 12-28-13)


今年の科学ニュース、1 位はがん免疫療法の進歩 米誌

米科学誌サイエンスは 20 日付で、今年の「科学 10 大ニュース」を発表した。 1 位は免疫細胞にがん細胞を攻撃させる「がん免疫療法の進歩」だった。 現時点では最終的な効果は不明で、利点ばかり強調してはいけないとしながらも、一部の患者への臨床試験が大幅に前進し、製薬会社も多額の投資をしていることを理由に挙げた。

そのほかの成果は次のとおり(順不同)。 ▽ ゲノム編集技術、▽ 次世代太陽電池の材料、▽ ワクチン設計の進歩、▽ 脳の透明化に成功、▽ iPS 細胞などからミニ臓器を作製、▽ 宇宙線の起源は超新星の残骸、▽ 人クローン ES 細胞の作製、▽ 睡眠が重要な理由の解明、▽ 人体にいる微生物と健康の関係。 (asahi = 12-20-13)


糖尿病疑い 950 万人、国民調査 07 年から 60 万人増

生活習慣病の一つ、糖尿病が強く疑われる成人男女が、2012 年時点で約 950 万人に上るとの推計を厚生労働省が 19 日、発表した。 毎年の国民健康・栄養調査の一環で、糖尿病の有病率は 5 年に 1 回推計しており、前回 07 年から約 60 万人増えた。

調査は 12 年 11 月、無作為抽出した約 2 万 4 千世帯を対象に実施。 これまで糖尿病と診断され治療を受けている人に加え、血液検査で血糖状態を示すヘモグロビン A1c が一定の基準値以上だった人を、糖尿病が強く疑われる有病者として集計。性別や年齢分布を考慮し、全国推計を出した。 (kyodo = 12-19-13)


ピルの副作用、血栓に注意を 5 年で 11 人死亡例

【阿部彰芳】 生理痛の治療や避妊でピルをのんだ後に、血の固まりができる副作用によって、この 5 年間で 11 人死亡し、重症例が 361 件報告されていることがわかった。 日本産科婦人科学会(日産婦)は緊急に注意を呼びかけたほか、厚生労働省研究班も実態調査に乗り出した。

医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008 年 - 13 年上半期に、低用量ピル 11 品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ 361 件、副作用として報告されていた。 死亡は 11 件で 10 代 1 人、20 代 2 人、30 代 4 人、40 代 1 人、50 代 2 人、不明 1 人だった。

血栓は血の流れが遅い静脈にできやすく、ピルを使わなくても 10 万人あたり年 5 人の頻度で起きる。 ピルはこのリスクを 3 - 5 倍引き上げる。 ピルに含まれる女性ホルモンが血液を固める成分の合成を促すためだ。 副作用の報告はピルとの因果関係が不明の例も含むが、08 年の 33 件から 12 年の 105 件に増え続けていた。

ピルは避妊だけでなく重い生理痛や子宮内膜症などの治療薬として広がっている。 子宮内膜症は、治療しないと不妊や卵巣がんのリスクが高まるからで、08 年以降、2 品目が保険適用された。 日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師によると、ピルの売り上げは 08 年から 4 年間で約 1.5 倍に増え、利用者は推定 100 万人に上る。

日産婦は今年 2 人死亡したことを受け、注意喚起した。 血栓の前兆になる頭や胸、ふくらはぎの痛み、視野の異常などがあれば、すぐに専門医に診断を頼むよう求めた。 北村さんは「事前に血栓が起きるかわからない。 血栓は治療薬があるので、早く見つかれば重症化を防げる。」と話す。

厚労省研究班(担当 = 小林隆夫・浜松医療センター院長)は 2 千超の医療施設を対象に、ピルなどの女性ホルモン剤と血栓の頻度など副作用の詳しい実態を調べ、安全策を提言する。 小林さんは「ピルは比較的、副作用が少ない薬だが、血栓が起きうると思って使うことが大事だ」と話す。 (asahi = 12-17-13)


後発薬、先発の 6 割に値下げ 厚労省方針、来年 4 月から

【高橋健次郎】 新薬と効能が同じ後発薬(ジェネリック)について、厚生労働省は、来年 4 月の診療報酬改定で値下げする方針を固めた。 今は発売時の値段が「先発品の 7 割」だが、改定後に登場したものは「6 割」に引き下げる案を、18 日の中央社会保険医療協議会(中医協)に示す。 後発薬をさらに安くして利用を促し、医療費の膨張を抑えるねらいだ。

公的な医療保険が適用される処方薬について、国は公定価格(薬価)を定め、2 年ごとに見直している。 いまは原則、最初に登場した後発薬に、効能が同じ先発品の 7 割に当たる薬価をつけ、その後の改定のたびに安くする仕組みだ。

今回の見直しで、厚労省は後発薬の普及をてこ入れするため、発売時の値付けの引き下げを検討。 これまでに先発品の 5 割や 6 割など複数の案を示した。 ただ、5 割案には製薬業界が難色を示し、厚労省は値下げ幅が小さい 6 割案で調整する方針だ。 見直し内容は年明けに正式に決める。 (asahi = 12-17-13)


ES 細胞 : 熊本大、膵臓細胞を効率よく作製 … 糖尿病に応用

あらゆる細胞に分化できるマウスの胚性幹細胞(ES 細胞)から、血糖値に応じてインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞(膵ベータ細胞)を効率よく作製することに成功したと、熊本大の研究チームが発表した。 できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3 週間後には血糖値が正常値に改善した。 ヒトの糖尿病の治療にも応用が期待できるという。

これまでの研究では、十分な機能を持つ膵ベータ細胞を作ることができなかった。 チームは、ES 細胞から膵ベータ細胞への分化を促進し、生体同様にインスリンを分泌する細胞に育つことに必要な 2 種類の化合物を特定した。 その結果、従来のものと比べ、10 倍以上効率よく作製できた。 インスリンの分泌量も 200 - 300 倍に上がり、生体内の機能に近付いたという。

この方法をヒト人工多能性幹細胞(iPS 細胞)に応用すれば、ドナー提供を待たずに移植治療できる可能性があるという。 粂昭苑(くめ・しょうえん)熊本大教授は「動物実験で安全性が確かめられれば、10 年後にはヒトへも応用できる」と話した。 (斎藤有香、mainichi = 12-16-13)


食物アレルギー、児童生徒の 4.5% 文科省調査

【岡雄一郎】 公立小中高校が把握する食物アレルギーがある児童生徒は、全国で 45 万 3,962 人 (4.5%) で、9 年前の調査より 1.9 ポイント多かったことが文部科学省の調査で分かった。 このうち診断書などで確認された子は 21.4% といい、文科省は「適切な対処には症状の正確な把握が必要。 医師に相談してほしい。」としている。

調査は 8 月、保護者の申告で把握している児童生徒数を調べた。 増加の理由について、文科省は「患者数が増えた可能性はあるが、関心の高まりによる影響も考えられる」とみる。 幼児期にあったアレルギーの現状を確認せず、保護者が申告する例も多いという。

調査結果によると、公立小中学校の児童生徒 1,015 万人のうち、アレルギー反応による呼吸困難などアナフィラキシーの経験が「ある」としたのは 4 万 9,855 人 (0.5%)。 9 年前より 0.35 ポイント増えた。 症状を鎮める注射薬エピペンは、2 万 7,312 人 (0.3%) が持っていた。 (asahi = 12-16-13)


認知症根治薬 20 年に … 日本版 NIH が達成目標

医療分野の研究開発の司令塔として米国立衛生研究所 (NIH) を参考に、政府が設置する「日本版 NIH」の総合戦略の原案が 14 日、明らかになった。 認知症を根本的に治す新薬の治験開始を 2020 年頃までに、抗がん剤の副作用予測の確立を 20 - 30 年頃までに実現するなどの達成目標を掲げた。

日本版 NIH の意思決定機関となる健康・医療戦略推進本部(本部長・安倍首相)が来年 1 月に正式決定するのに向け、専門家らで作る調査会が今秋から検討してきた。 大学、研究機関などに資金を配分する中核の独立行政法人が来年度にも発足する。

達成目標では、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)を使った薬の臨床応用、医療機器の輸出額倍増(11 年比)をともに 20 年頃までに行うとした。 目標実現のため、(1) 患者の膨大な情報「ビッグデータ」を薬の開発に生かす、(2) 基礎研究から実用化までに通じたリーダーを育てる - - などを盛り込んだ。 (yomiuri = 12-15-13)


難病医療費自己負担、最大月 3 万円に 厚労省最終案

【北林晃治、阿部彰芳】 難病の医療費助成の見直しを検討している厚生労働省の最終案が 11 日、分かった。 重症者は最大で月 2 万円、重症以外の患者も最大で月 3 万円と 3 分の 2 程度に引き下げる。 継続して医療費がかかる患者や、特に重い患者は、さらに負担を軽減する仕組みを設ける。 これまでの案に異論が出たため、負担増を縮小した。

10 月に示した当初案の自己負担上限は月 3 千 - 4 万 4,400 円で、患者団体や与党から「負担が重い」と批判が出ていた。 13 日の厚労省難病対策委員会で決め、法案を提出。 2015 年 1 月から実施する方針。 新制度では、助成対象の病気を現在の 56 から約 300 に拡大する。 最終案では、新たに対象となる重症者は、障害者を対象にした医療の支援制度と同程度の自己負担とする。 外来と入院を合わせ、年収に応じた月 2,500 - 2 万円の 5 区分を上限額とする。 (asahi = 12-12-13)


バージャー病のカテーテル治療成功 国循センター

【野中良祐】 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)は 5 日、手足の末端の血管が詰まる難病「バージャー病」の患者の血管に細い管(カテーテル)を通して広げ、血流を再開させる治療に成功したと発表した。 この病気のカテーテル治療で、成功したのは全国初という。

同センター血液内科医長の河原田修身(おさみ)さんによると、バージャー病の患者は全国で約 1 万人。 悪化すると壊疽(えそ)を起こし、全体の 1 割は足を切断しており、血管拡張剤などの薬で効果が出ない患者の治療は難しい。 血流が詰まるひざ下や足首付近の血管は直径 1.5 - 2.5 ミリと細く、これまで管を通すのは困難とされていた。 動脈硬化のカテーテル治療に使う器具や手法の発達で、河原田さんはバージャー病の患者にも応用できると判断した。 (asahi = 12-6-13)


酔い止め薬、低身長症治療に効くかも 名古屋大チーム

遺伝子の異常で身長が伸びにくい軟骨無形成症と呼ばれる病気の治療に、乗り物の酔い止め薬の成分が効くかもしれない。 名古屋大医学部整形外科の鬼頭浩史准教授らの研究チームによる実験でわかった。 5 日、米オンライン科学誌プロスワンに発表する。

この病気は骨がうまく伸びず、大人の身長は 120 センチほどにとどまる。 約 1 万 5 千人に 1 人の割合で発症。 低身長のほか、歩行に支障が出る脊柱管狭窄(きょうさく)症などを合併する。 原因遺伝子の働きを抑える根本的な治療法はまだない。

研究チームは、1,186 種類の既存の薬を、骨が成長しない「病気」の状態にしたラットの細胞にかけた。 すると、酔い止め薬の成分メクロジンに原因遺伝子の働きを抑える効能があった。 メクロジン入り培養液でマウスの骨片を育てると、入れないものより 1 割長く骨が成長したという。 今後、メクロジンを混ぜたエサをマウスに与える予定だ。 鬼頭さんは「効果が確認できれば人の臨床試験に移りたい」と話している。 (asahi = 12-5-13)


インフル、猛威の兆し 1 週間で 1 千人超、今季初

【土肥修一】 インフルエンザの患者数が増え始めている。 国立感染症研究所によると、全国 5 千カ所の定点医療機関から報告された患者数は5週連続で増え、最新の 1 週間(18 - 24 日)では 1,319 人と今季初めて 1 週間で 1 千人を超えた。 学級閉鎖も出始めている。 インフルの流行期は例年 12 - 3 月ごろ。 厚生労働省は流行前の予防接種や日常的な手洗いを呼びかけている。

首都圏でも患者が増加している。 埼玉、千葉、東京、神奈川の 4 都県では 306 人と前週から倍増。 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の近畿 6 府県では 85 人で前週から 8 人増えた。 九州・山口では前週の約 3 倍の 161 人が報告された。 休校や学年・学級閉鎖をした保育所や小中高校も、4 都県で前週の 3 施設から 10 施設に増えた。

近畿 6 府県では、前週は報告がなかったが、6 施設あった。 全国では北海道が 1 医療機関あたり 1.29 人で、流行開始レベル(1 人)を超えた。 次いで沖縄、佐賀、岩手、岐阜の順で多く、35 都道府県で前週より増えている。

東京都足立区の和田小児科医院では、子どもを連れた母親らが予防接種に訪れている。 一緒に接種を受ける母親もいる。 ワクチンは接種から効果が出るまでに 2 週間ほどかかる。 東京都医師会予防接種委員長も務める和田紀之院長は「流行する前の今の時期にうっておいてほしい」と話す。 (asahi = 11-30-13)


がん・糖尿リスク、唾液遺伝子で解析 東大系が参入

【岡崎明子】 唾液(だえき)に含まれる遺伝子を調べ、病気の発症リスクや体質など 200 項目以上を判定する本格的な遺伝子検査ビジネスを、東京大学系のベンチャー企業が来年 1 月から始める。 検査項目は、糖尿病や肺がんなど生活習慣の見直しで予防できる病気に限定する。 ただ、遺伝子検査の信頼性はまだ不十分で、慎重な対応を求める声も出ている。

事業を始めるのは、東大研究者らが立ち上げた「ジーンクエスト」。 遺伝子配列のわずかな違い (SNP) 25 万カ所を解析し、がんや高血圧などの発症リスクや、薄毛や近視といった体質など約 200 項目を判定する。 東大の徳永勝士教授(人類遺伝学)らを技術顧問に迎え、日本人や東アジア人を対象とした研究論文から信頼できるものを選び、解析の根拠とする。 費用は 4 万 9,800 円で、結果は約 1 カ月後にネットにアクセスして知ることができる仕組みだ。

しかし、遺伝子解析は不確実な面も多い。 米食品医薬品局 (FDA) は今月下旬、米の最大手「23 アンドミー」の遺伝子検査に対して、結果に誤りがあった場合に利用者が不必要な治療を受けかねないとして、中止するよう警告したばかりだ。 ジーン社もこの点に配慮して、遺伝性乳がんのように、誤判定でも乳房の予防切除につながる心配のある病気は対象にしない。 また、利用者が結果を確定診断と誤解しないよう、検査結果の信頼度は星の数で、リスクは数字ではなく矢印の向きで示すよう検討する。 (asahi = 11-30-13)


環境省、ツルの越冬地を分散化方針 集中で感染症リスク

【香取啓介】 環境省は、国内最大のツルの越冬地、鹿児島県出水平野に飛来する 1 万羽を超すナベヅル、マナヅルを分散させ、他地域で 1 千羽以上を越冬させることを目標とする方針を決めた。 出水には世界に生息するナベヅルの 9 割、マナヅルの 5 割が集まり、鳥インフルエンザなど感染症が大流行すると絶滅する恐れもあるためだ。 具体策を探る専門家の検討会を 27 日に開いた。

ナベヅル、マナヅルはそれぞれ世界に推定 1 万 2 千羽、6 千羽が生息し、いずれも絶滅危惧 2 類に分類されている。 夏場にロシア極東や中国東北部で繁殖し、秋になると南下する。 江戸時代には日本各地で越冬が確認されたが、大正時代以降、保護活動が行われていた出水に集中するようになった。 今季もすでに 1 万羽以上が飛来している。

過度の集中により感染症の危険も増す。 2010 - 11 年には死亡したツル7羽から高病原性鳥インフルエンザも見つかった。 03 年には専門家が、現在も越冬地となっている山口県周南市など 4 カ所を候補地とする分散化計画の提言をまとめた。 その後、各地でえさ場を設けたり、ツルの模型を置いたりして誘導したが、他地域での越冬は 180 羽程度にとどまっている。

今後は他地域での 1 千羽以上の越冬を目標とし、これまでの取り組みの課題などを分析して具体的な行動計画を作る。 自治体の受け入れ態勢も念頭に候補地を選び、一定数のツルを出水で捕獲して移送することも検討する。 (asahi = 11-28-13)


抗がん剤ベバシズマブ 副作用で男性 2 人死亡

厚生労働省は 28 日、手術不能な大腸がんや乳がんの患者に使われる抗がん剤ベバシズマブ(商品名アバスチン)を投与された男性 2 人が、副作用で血小板が減少する血栓性血小板減少性紫斑病を発症し、死亡したと発表した。 同省は製造販売元の中外製薬に対し、使用上の注意文書を改訂して定期的な検査や血小板減少などへの注意喚起を徹底するよう指示した。

ベバシズマブは 2007 年 6 月に販売が始まり、年間約 4 万 3,000 人が使用している。 死亡した 2 人を含め、直近の約 3 年 4 カ月間で 6 人に副作用症状が出たという。 (桐野耕一、mainichi = 11-28-13)


遺伝子解析サービスの中止警告 米 FDA、誤判定を懸念

【ワシントン = 行方史郎】 米食品医薬品局 (FDA) は 25 日、個人向け遺伝子解析の米国最大手「23 アンドミー(本社・カリフォルニア州)」に対して、糖尿病など約 120 の病気のリスクを判定する遺伝子解析サービスを中止するよう警告したことを明らかにした。 世界で 40 万人以上が利用しているが、判定結果に誤りがあった場合、不適切な治療を受けるなど利用者に不利益があると判断した。 (asahi = 11-27-13)


糖尿病患者の腎機能、採血 1 回で正確チェック 大阪市大

【小宮山亮磨】 糖尿病患者について、血液をきれいにする腎臓の能力がどれだけあるか、正確かつ簡単に調べる方法を開発したと、大阪市立大のチームが 25 日、発表した。 腎臓病を早期に見つけ、適切な時期に透析を始められるようにするのに役立つ成果だという。

腎臓は血中に含まれる老廃物などをこしとり、尿にして体外に排出する。 機能を調べるには、絶食した上で 2 回の採血と 1 回の採尿を繰り返す方法があるが、入院の必要があり手間もかかる。 1 回の採血で血中に含まれるたんぱく質の濃度を測り、腎機能を推計する方法があるものの、糖尿病患者だと推計値が実際より高めになり、正確に測れなかった。

大阪市立大の石村栄治准教授らは、糖尿病の人とそうでない人の計 80 人について、腎機能と血圧や血糖値などの関係を調べた。 その結果、糖分がくっついた特定のたんぱく質が血中に多い人ほど、腎機能の推計値が実際より高めに出ることがわかった。 このたんぱく質の量を考慮すれば、実際の腎機能を従来より正確に見積もれた。 (asahi = 11-27-13)


ノロウイルス、流行の兆し 手洗い徹底で予防呼びかけ

【土肥修一】 ノロウイルスなど感染性胃腸炎が流行の兆しを見せている。 国立感染症研究所によると、全国 3 千カ所の小児科で確認された患者は先月下旬ごろから増え始め、最新の 1 週間(11 - 17 日)で 1 カ所当たり平均 5.74 人。 前の週から 4 割増えた。 例年、年末にかけてピークとなるため、専門家は手洗いなど予防を呼びかけている。

感染研によると、大流行した昨年に比べ少ないが、宮崎 17.00、熊本 10.72、福岡 10.21、大分 9.22、佐賀 7.61 などの九州地方で特に多く、福井 9.36、愛媛 8.54、富山 8.07、広島 7.61、兵庫 7.19、東京 7.08 などと全国的に増える傾向にある。 先月、札幌市内の幼稚園で園児 140 人と職員 6 人がノロウイルスによる感染性胃腸炎に集団感染。 今月は埼玉県内の大学の学食で食事をした 146 人が発症し、横浜市のホテルの宴会場利用者 181 人が下痢などを訴え、患者からノロウイルスが検出された。

ノロウイルスは発症すると吐き気や嘔吐、下痢などを起こし、脱水症状になることもある。 免疫力の低い子どもや高齢者は重症化しやすい。 ウイルスは吐いた物や便から広まり、保育園や幼稚園、老人ホームなどでの集団発生が多い。 感染研ウイルス第二部の片山和彦室長は「食事や調理の前、トイレの後などにしっかりと手洗いをして予防を徹底してほしい」と話している。 (asahi = 11-27-13)

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インターコンチ、181 人がノロウイルス感染か 横浜

「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル(横浜市西区)」で結婚披露宴などに出席した客 181 人が、下痢などの体調不良を訴えていたことがわかった。 ホテルから連絡を受けた市保健所が調べた結果、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の可能性が高いという。

市保健所によると、体調不良を訴えたのは、同じ宴会場で 9 - 11 日に行われた 4 組の結婚披露宴と、1 組の宴会の出席者計 454 人の一部。 市は、9 日の披露宴で客が体調を崩した際、会場内の消毒が不十分でノロウイルスが残ったのが原因とみて、ホテルに消毒の徹底を指導した。 重症の患者はいないという。 同ホテルの高沢朝美・総支配人は「真摯に受け止めている。 体調を崩した方々をサポートしていきたい。」と話している。 (asahi = 11-22-13)


HIV 感染者の血液を輸血、患者 1 人の感染確認

エイズウイルス (HIV) に感染した男性が献血し、患者 2 人に輸血された問題で、日本赤十字社は 26 日、患者の 1 人の 60 代男性が HIV に感染していることを確認した。 もう 1 人は現在調査中。 厚生労働省によると、輸血で HIV 感染が確認されたのは 2003 年以来。 (asahi = 11-26-13)


インフルワクチン、高齢者には効かない? 感染研が調査

【岡崎明子】 高齢者はインフルエンザのワクチンを打っても注意が必要 - -。 昨季のインフルで流行の 8 割を占めた H3N2 型は、免疫力の低い場合はワクチンがほとんど効かなかった可能性のあることが、国立感染症研究所などの研究でわかった。 ワクチン作製の過程で起きるウイルスの抗原の変化が特に大きかったため。 今季は昨季に比べ改善されたが、変化の度合いは依然大きい。 「ワクチンを打ったからと楽観するのは危険」と専門家は言う。

インフルワクチンは鶏の卵の中でウイルスを培養して作るが、その過程で抗原が変化する。 一般的にその変化が元のウイルスに対し 8 倍以上になると、効きが悪くなる傾向がみられ、32 倍を超すとほとんど効かないとされる。 H3N2 型はここ数年、ワクチンが実際の流行株との反応性の低い状態が続いている。

感染研が昨季のワクチンをフェレットに打ち抗体を作り、流行株との反応性を調べたところ、全て 8 倍以上の変化で、うち 74% は 32 倍以上。 海外の高齢者を対象にした研究では、予防効果は 10% 未満だった。 今季のワクチンも 93% が 8 倍以上変化したが、32 倍以上は 1% にとどまったという。 (asahi = 11-22-13)


カプセル内視鏡のんで大腸がん検査 1 月から保険適用

【鈴木彩子】 「飲むだけ」のカプセル内視鏡で大腸のがんを探す検査が、来年 1 月から公的医療保険の対象になる。 大腸がんは、がんの死因の上位だが、「恥ずかしい」などの理由で検診の受診率が低い。 受診を促し、早期発見につなげるのがねらいだ。 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)では保険適用に先駆けて、7 日からこの検査を始めている。

検査は、長さ 3.1 センチ、直径 1.1 センチのカプセル型の内視鏡をのみ込む。 2 台の小型カメラと LED ライト、バッテリーが内蔵されており、1 秒間に最大 35 枚の画像が撮影できる。 データは随時、受診者が肩から提げたレコーダーに送信される。 数時間後、カプセルは便として排泄される。 肛門から細長い管を入れる従来の内視鏡検査と比べると、痛みと心理的負担がないことが利点だ。

カプセル内視鏡は、小腸用が 07 年に保険適用されている。 大腸用は 7 月に国が製造販売を承認。 厚生労働省の中央社会保険医療協議会が今月 6 日、来年 1 月からの保険適用をスピード承認した。 カプセルの価格は 8 万 3,100 円。 ここに検査費用が加わり、3 割負担なら 1 回数万円で受けられる見通し。

ただ、従来の内視鏡と違い、検査中に病変が見つかってもその場で治療できない弱点もある。 精度もやや劣り、2011 - 12 年に国内 3 施設が行った治験では、66 例中 4 例 (6%) で病巣を発見できなかった。 (asahi = 11-21-13)