中国の「剰女」と「越南新娘」現象が日本に与える影響 今年 2013 年、中国では「剰女(売れ残り女性)」という言葉が話題になりました。 高学歴の婚姻適齢期でも結婚できない(しない?)女性の事を指し、上海や北京などの都市部でこの剰女が増えているとのことです。 また今年 11 月 11 日の「光棍節(独身の日)」の前後に中国人と「越南新娘(ベトナム人花嫁)」との人身売買まがいの国際結婚が増えているとのニュースがメディアを賑わしました。 中国の農村部では結婚相手の見つからない中国人男性が国際結婚紹介所を利用し、健康で若く働き者のベトナム人女性と結婚するのがブームなのだそうです。 都市部では結婚できない中国人女性が多くいるのに、農村では結婚できない中国人男性がベトナム人女性と結婚しているというのは矛盾がありますよね。 都市と農村、そして学歴による所得格差が加速しているとか、一人っ子政策で甘やかされ育った 80 後、90 後の子たちが従来の中国では考えられない価値観を持っているという意見もありますが、中国もとうとう少子高齢社会に突入したということだと思います。 他の先進国同様に。 この中国の少子高齢化が今日本にも影響を与えつつあります。 まず、中国人留学生や中国からの労働者、技能実習生の日本離れが顕著となりました。 震災、放射能、尖閣問題なども中国人の日本離れの要因でしょうが、中国人の方々と話をするとやはり一人っ子を異国に行かせるのは抵抗があるという方が多く、今後も中国人の留学生、技能実習生、労働者の来日者数の回復は期待できないと思います。 日本側の対応として、留学生や労働者、技能実習生の送り出しをこれまでの中国からベトナムやインドネシアなどへシフトする動きも盛んになりましたが、中国で少子高齢化、晩婚化、未婚化などが進んでいる現状を考えると、今後中国が労働力の送り出し国から受け入れ国に取って替わることが予想されます。 そうするとインドネシアはどうか分かりませんが、地理的に近いベトナムやミャンマーなどは日本から中国に労働力の送り出し先を変えていくのではないかと予想されます。 今後も日本の少子化は止まらないでしょうし、東京五輪まではアベノミクスによる好景気で我が国では人手不足が予想されています。 留学生 30 万人計画や訪日外国人旅行客 2,000 万人計画も遂行中です。 安倍首相にはぜひ親日国を増やし、少子化で日本に来なくなるであろう中国人留学生や中国人労働者の代わりになる送り出し国を増やしていただきたいと思います。 (柴田信志、中国ビジネスヘッドライン = 12-24-13)
外国人研修制度に理解を 岡山県華僑華人総会が講演会 途上国への技術移転や人材育成を目的とする「外国人研修・技能実習制度」で来日した外国人の現状について考える講演会(岡山県華僑華人総会主催)が 21 日、岡山市で開かれた。 同制度を利用して働いていた江田島市のカキ養殖加工会社で 3 月、9 人を殺傷したとして逮捕、起訴された中国人実習生の弁護人、端野真氏(広島弁護士会)は事件の背景を説明。 「日本語がまともに話せず、孤独感を募らせた上での犯行だった。 心のサポート態勢を充実させる必要がある。」と指摘した。 外国人労働者らの労働組合「福山ユニオンたんぽぽ」の武藤貢委員長は、実習生からは残業代の未払いといった過酷な労働環境に関する相談が相次いでいるとして「彼らが置かれた状況を整理し、社会全体で課題を共有することが大切だ」と訴えた。 留学生ら約 100 人が聴講した。 (山陽新聞 = 12-21-13) 川口新郷工業団地の中国技能実習生受け入れ、大連からに一本化 川口市新郷の川口新郷工業団地協同組合(82 社)は来春、中国の大連市から技能実習生を受け入れる。 同協組の石川義明理事長 (61) ら代表団が 11 月末、大連市を訪問し、実習生送り出し機関「大連奔騰国際経済技術合作公司」と協定を締結した。 初年度は 20 歳代から 30 歳代の 17 人を受け入れる。 3 年間の契約で毎年、同規模で受け入れる計画。 大連は中国屈指の工業都市で、歴史的にも日本と縁が深い。 実習生は大連市で 3 カ月の日本語研修の後、来年 4 月ごろに来日し、川口市青木町の寮で生活しながら、1 カ月の日本語研修の後、配属先の各企業に通う。 石川理事長は「実習生はほとんどが実務経験者で、実力を発揮してもらえそうだ」と期待を寄せる。 川口新郷工業団地は、1990 年から毎年、中国四川省から技能研修生を受け入れ、2010 年からは重慶市に変更。 これまで毎年 30 人前後を受け入れ、ピーク時には約 100 人が団地内の工場で働いていた。 総計は約 1,800 人に上る。 現在は 18 社で 61 人が働いている。 四川省は成田空港から 8 時間かかるのに比べ、中国東北部に位置する大連は 3 時間と近い。 鋳物や造船、機械工業が盛んで日本企業の進出も多い。このため、同工業団地は 2 年がかりで四川から大連への切り替えを検討。 今後は受け入れを大連に一本化する。 大連を訪れた石川理事長は、中国人実習生たちが日本語や日本文化を学んでいる大連信業達職業訓練学校を視察して講演、生徒たちと交流した。 石川理事長は「実習生たちには、日本でしっかり勉強して、日中友好の仲立ちをしてほしいと話した。 日中間にいろいろとあるが、日本を自分の目で見て判断してくれるように訴えてきた。」と話している。 (埼玉新聞 = 12-16-13) 外国人実習生、福岡で受け入れ拡大相次ぐ トヨタ系は 2 割増 福岡県で外国人技能実習生の受け入れを拡大する動きが広がっている。 中小メーカーなどで組織する P.W.J. 協同組合(福岡県筑後市)は来春から初めてミャンマーの実習生を受け入れる。 福岡県築上町に拠点を持つ J プロネット協同組合(愛知県豊田市)では来年度の受け入れを約 2 割増やす。 将来のアジア進出をにらみ、中小企業が現地の人材を求めている動きに対応する。 (nikkei = 12-7-13) 父の母国で酒造り 豪州人研修生、青谷で学ぶ 父親が日本人でオーストラリア人、高橋玲さん (37) が、鳥取市青谷町大坪の山根酒造場(山根正紀社長)で蔵人と寝食を共にしながら日本酒の製造工程を学んでいる。 本格的な仕込みも始まり、「厳しいこともあると思うが、すべて目の当たりにできるのが楽しみ」と意欲満々だ。 「日本酒のいろいろな料理に合う幅の広さが好き。 冷たいのも温かいのも楽しめるし、飲み飽きない。」と大の日本酒好きの高橋さん。 日本酒好きは父親譲りだ。 焼き鳥屋を経営していた父親は「自分の気に入った酒蔵の日本酒を扱いたい」と、約 3 年前に日本酒輸入会社「SAKENET AUSTRALIA」を設立。 高橋さんは当時中国に留学していたが、今は同社の経営に参加している。 (日本海新聞 = 11-30-13) フィリピンの若者 → 九州農家 実習制度活用、脱貧困と人手不足解消 福岡 □ 現地在住・大沢一郎氏 フィリピンの貧困層の若者に日本語や日本文化の教育を施し、人手不足に悩む九州の農家に外国人技能実習生として送り出す事業に、フィリピン在住の会社社長、大沢一郎氏 (72) が乗り出す。 日本で働き貧困から抜け出したいフィリピンの若者と、仕事熱心な若者を迎えたい九州の農家をマッチングさせる。 大沢氏は「両国の懸け橋になりたい」と意気込む。 ◇ 大沢氏はフィリピンの大学を卒業し、マニラで会社を興し、貿易や通関業務に携わってきた。 半世紀近くフィリピンで過ごし、著しい経済発展の様子とともに、意欲があっても貧困から抜け出せない人々の現実も見てきた。 日本で働き、技術を学べば、貧困脱出の一助になる。 こう考え、2010 年 7 月、日本に実習生を送り込む人材派遣会社「フィル・アシストライフ・マンパワー・コーポレーション」を設立した。 単に送り込むだけでは高度な技能の取得は望めない。 派遣前に通う学校も同時に設立した。 学校は 20 - 27 歳の若者を対象に、日本語や日本の習慣、文化から学ぶ。 技能実習も含めて 1 日 3 時間、週 5 日間の講義を 4 - 6 カ月実施する。 研修生決定にあたっては、試験や学習態度、派遣先との面接を突破した若者を選ぶ。 倍率は毎回 2 - 3 倍に上るという。 今年 4 月、広島県の水産会社で中国人実習生が経営者ら 8 人を殺害する事件があった。 「一攫千金を狙う外国人と、安い労働力を使いたい日本企業。」 外国人研修生には、こうした負の側面もつきまとう。 だからこそ、大沢氏は強調する。 「事件を防ぐためにも、事前学習は欠かせない。 日本語が話せれば意思疎通できるし、受け入れ側も安心できる。」 設立から 3 年間。 これまで東北を中心に製造業や農業など、さまざまな分野に 766 人を派遣してきた。 今回、アジアの若者と東北の農家の橋渡し役をしてきた事業協同組合「経営高度化センター(福岡市中央区)」から依頼を受け、初めて九州の農家に実習生を派遣する。 農家側の意向を聞き、来年 2 - 3 月に適した人材を募集し、事前講義や農家との面接などを経て、平成 27 年 3 月ごろから派遣するという。 人手不足に悩む農家にとって、意欲を持った若者は貴重な戦力となり得る。 大沢氏は言う。 「フィリピンの若者は一生懸命に働く。 こうした人材は九州の農家にとってもありがたい存在となります。 フィリピンは台風 30 号の直撃を受け、大きな被害を出しました。 私たちの施設に被害はありませんでしたが、今後、影響はさらに広がるでしょう。 日本の農家への派遣を通じて、少しでも復興の手助けができたらうれしいですね。」 (大森貴弘、sankei = 11-16-13) 大手に負けない技術と思いやり カシマ製作所・鹿島克介氏 福岡県飯塚市に本社工場を構え、鋼製型枠の設計と製作を手がける(株)カシマ製作所。 従業員はわずか 6 名と小規模ながら、創業以来蓄積されたたしかな技術と思いやりで、激変淘汰の時代を生き抜いている。 同社代表取締役の鹿島克介氏に話を聞いた。 <人材の育成にも着手> 鹿島氏は業界の人材不足について、こう語る。 「職人を目指したいという若者を増やさないといけない。 日給払いでは、不安定すぎて、結婚もマイホーム購入もままならない。 職人は暑いなか、寒いなか、命をかけて仕事をしている。 夢を持って、ビジョンを持って、当たり前の生活ができないと、若い人たちは集まらない。 もっと言えば、今の職人不足もそれさえちゃんと確保できていれば、生じなかったはずだ。」 同社には 30 代が 3 人在籍し、今年 18 歳の高卒も入ってきた。 業界でも珍しい若い技術者集団だ。 「やりがいはやはり、自分が作った型枠で建物ができ上がる達成感」と鹿島氏。 バタフライ構造型枠や浮体風力発電型枠など、意外に九州で初という製品も少なくない。 そういった仕事ができたときは、積極的に社員に伝達するようにしている。 また、細やかな気遣いもある。 作業着は本人たちに選ばせる。 ファッションにもこだわりを持たせた方がいいと思い、始めた。 工場では、1 人ひとりが思い思いの作業着を着こなしている。 <ミャンマー人から高評価> 鹿島氏は、「今後、日本は人口減に加え、建物の建築数も減っていく。 日本のマーケットに大きく期待をするのはやめて、海外に市場を求めていくべきだ。」と考え、当初は中国進出を検討していた。 しかし、視察に行っても進出に踏みきれない「何か」があった。 今年 10 月、ミャンマーへ現地視察に向かった。 現地でのプレゼンでは胸を張って、自社の品質の高さを語ることができた。 そして、ミャンマー人からは「すぐにでも使いたい」と高評価を受け、ミャンマー進出の自信が持てた。 それだけではない。 ミャンマー人の心の美しさにも魅了されたからだ。 市場は中国よりも小さいが、ミャンマーでは基本的なインフラ整備が進んでおらず、そこには十分な需要が見込めると判断した。 当初はミャンマーの鉄工所に人材を送り、設計加工技術の提供や研修生受入での人材育成を検討していた。 しかし、現地で話を聞くと、直接製品の輸出でも採算が取れそうなことに気付いた。 まずは輸出で基盤を作り、そして長期的には人材交流などを検討している。 外国人技能実習生の活用も視野に入れる。 受け入れた実習生を 3 年間日本で鍛えて、帰国後に自社の事務所をミャンマーで開設し、即戦力の幹部やリーダーとして据える。 これならば、技術を継承していくことも可能となる。 規模は小さくても、独自の技術を持った企業であれば、どこでも勝負できる。 次の思いやり製品をぜひ見てみたい。 (東城洋平、NetIB = 11-12-13) 国際手配の元留学生 2 人、中国で拘束 大分夫婦殺傷事件 2002 年に大分県で会社会長夫妻が殺傷された事件で、国際手配されている中国人元留学生の朴哲 (33)、張越 (35) の両容疑者が中国国内で身柄拘束されていることが捜査関係者への取材で分かった。 日中間には犯罪人引き渡し条約がなく、警察当局は中国の国内法で刑事責任を追及する代理処罰を要請することを検討している。 2 人の身柄拘束は、中国側が伝えてきた。 02 年 1 月、金を奪う目的で大分県山香町(現・杵築市)の建設会社会長吉野諭さん(当時 73)方に侵入し、妻を刃物で刺して大けがをさせたうえ、吉野さんを刺殺した疑いがある。 (asahi = 11-12-13) 淀川で男児救助、中国人男性に感謝状と褒章 政府方針 安倍晋三首相は、台風で増水した川に転落した男児を救出した中国人男性に対し、感謝状を贈ることを決めた。 11 月中旬に首相官邸に招いて直接、手渡す。 また、菅義偉官房長官は 31 日の記者会見で、自らの危険を顧みず人命救助に尽力した人をたたえる紅綬褒章を授与する意向も明らかにした。 男性は大阪市に住むアルバイト店員の厳俊(イエンチュイン)さん。 台風 18 号が上陸した 9 月 16 日、同市北区の淀川で濁流に流されている小学 4 年の男児を見つけて川に飛び込み、岸に引き上げた。 感謝状の贈呈などについて、政府関係者は「冷え込んだ日中関係の改善に少しでもつながれば」と話している。 (asahi = 10-31-13) ◇ ◇ ◇ 濁流・叫び声、服脱ぎ捨て川へ 男児救った中国人男性 【花房吾早子】 16 日の台風 18 号の大雨で増水した大阪市北区の淀川で、転落した男児 (9) を飛び込んで助けた中国人のコンビニアルバイト厳俊さん (26) が 17 日、決死の救助を振り返った。 厳さんは台風が過ぎた後の 16 日午後 5 時ごろ、自宅近くの淀川河川敷でジョギングをしていた。 「助けて。」 突然、叫び声が聞こえた。 岸から約 15 メートル先で男児が濁流に流されていた。 大阪府警によると、男児は大阪府高槻市の小学 4 年で、友人 2 人と川岸で電車の写真を撮っていて、足を滑らせ転落した。 「助けなければ、あの子は死ぬ。」 とっさに川へ飛び込んだ。 毎日のようにプールで泳ぎ、「助ける自信があった。」 しかし、なかなか男児を岸に押し上げられない。 再び激しい流れが来て、男児はさらわれた。 自らも頭まで濁流につかり、水も飲んだ。 いったん岸に上がり、水で重くなった衣服を脱ぎ捨て下着姿になり、流される男児を追って 100 メートルほど下流へ走った。 集まった人たちから体にロープを巻いてもらい、再び川へ。 男児をつかんで岸まで泳ぎ、引き上げられた。 約 300 メートル流された男児にけがはなく、厳さんも手足の擦り傷だけ。 「無事でよかった。」 中国・上海生まれ。 大学を卒業後、「日本の戦後の経済成長を学びたい」と 3 年前に来日した。 来春に大阪市立大大学院経済学研究科の博士課程に進学予定で、会社経営者になるのが夢だ。 府警は 18 日、厳さんに感謝状を贈る。 (asahi = 9-17-13) 中国人 3 人逮捕 偽造在留カード受取容疑 中国から偽造の在留カードを送らせたなどとして、香川県警公安課などは 28 日までに、入管難民法違反の疑いで、熊本県長洲町の作業員、姜江水容疑者 (33) ら中国籍の男 2 人を再逮捕、女 1 人を逮捕した。 偽造在留カードの入手に関する摘発は全国で初。 他の逮捕者は、栃木県鹿沼市の作業員、徐※(※は火ヘンに土)紅容疑者 (27) と兵庫県加東市の技能実習生の女 (22) = 強制退去処分 =。 男 2 人の再逮捕容疑は、今年 7 月、中国から他人名義の偽造在留カード計 2 枚を郵送させ受け取った疑い。 女は、郵便物が偽造カードと知りながら姜容疑者に送付した疑い。 大阪税関が 6 月下旬、大阪国際郵便局(関西国際空港内)に到着した中国の郵便物から偽造カードを発見。 宛先が県内だったことから県警が捜査していた。 同課によると、3 人は技能実習生として入国。 男 2 人は偽造カードを使って仕事を転々としており、「就労制限がない永住者用カードでお金が稼ぎたかった。 中国のグループに頼んだ。」などと供述している。 男 2 人は、別の入管難民法違反容疑で逮捕され、既に起訴されている。 在留カードは、昨年 7 月から外国人証明書に代わって導入。 3 カ月を超えて日本に滞在する外国人に、入国管理局が交付する。 (四国新聞 = 10-29-13) 中国人女性損賠訴訟 : 研修生訴訟 経営者側の控訴を棄却/長崎 外国人研修・技能実習制度で来日した中国人女性 5 人が最低賃金を下回る金額で長時間働かされたとして、島原市の下着縫製会社(破産)の経営者夫妻を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が 25 日、福岡高裁であった。 原敏雄裁判長は、経営者夫妻らに約 1,100 万円の支払いを命じた 1 審・長崎地裁判決を支持し、経営者夫妻の控訴を棄却した。 1 審判決は、経営者は 2006 - 09 年、休日がほとんどない状態で多い時で 1 日約 12 時間、時給 300 円程度で働かせ、女性らの逃亡防止のため旅券や預金通帳を違法に管理したと認定。 仲介業者(福岡市博多区)も経営者をほう助したと指摘した。 経営者夫妻は「最低賃金法違反の事実を知らなかった」として控訴していたが、原裁判長は「残業などの労働をさせてはならなかったり、研修期間中でも労働にあたるのは認識していた」と退けた。 (mainichi = 10-26-13) 技能実習制度 外国人、失踪者が倍増 劣悪、労働環境が原因か 石川 日本企業で働くことを通じて技術を身に着ける「外国人技能実習制度」を使って来日する実習生の失踪が増えている。 福井県では 2009 年は 10 人だったが、今年(10 月 10 日現在)は昨年の約 2 倍の 57 人に上っている。 なぜ自ら望んだ技術向上の場を捨ててしまうのか。背景を探った。 同県によると、12 年末現在で県内に実習生は 2,992 人いた。 一方県警に届け出があった実習生の失踪者数は、▽ 09 年 10 人、▽ 10 年 20 人、▽ 11 年 18 人、▽ 12 年 29 人と推移し、今年は 57 人に達した。 8 月には、鯖江市内で失踪したベトナム人実習生の男 (23) が量販店で電気ジャーや包丁を盗み、窃盗容疑で現行犯逮捕される事件が起きた。 これまで実習生 500 人以上の相談に乗るなど支援してきた市民団体「外国人研修生権利ネットワーク・福井」の高原一郎さん (62) が背景を指摘する。 「賃金未払いや劣悪な労働環境が原因と考えられる。 企業の管理も厳しく、不当な状況でも声を上げられない状況もある。」という。 実態はどうなのか。 石川県内の婦人服縫製工場で過去に実習生として働いていた 20 - 30 代の中国人女性 3 人に、高原さんの紹介で事情を聴いた。 江蘇省出身で、09 年 11 月に現地の人材派遣会社に仲介料として 1 人約 50 万円を払って来日した。 勤務は午前 8 時 - 午後 5 時だったが、残業が連日午後 8 - 10 時まで、遅い日は翌日午前 4 時まであり、平均残業時間は月約 150 時間に及んだ。 昼休憩などには内職が課され、休日は 2 カ月に 1 - 2 日。 給与が入る銀行口座から現金を引き出すのに必要な印鑑は会社に保管され、生活費なども会社に管理されていた。 外部からの調査には「実情を話せば帰国させる」と脅され、帰国に必要な旅券は取り上げられていたという。 この制度で働ける最長期間は 3 年。 女性らは激務に耐えたが、3 年が目前の昨年 10 月、職場を抜け出した。 高原さんによると、支払われた残業代は、労働基準法が定める最低賃金の半分 - 7 割、内職代は 1 日数百円だった。 縫製会社の社長は取材に、「女性たちはうそを言っている。 残業代は払っており、旅券や印鑑もお願いされて預かった。」と話した。 (山衛守剛、mainichi = 10-21-13) ◇ ◇ ◇ 提訴 : 中国人実習生 3 人、賃金未払いで白山の会社などを 石川 白山市の婦人服製造会社「カメダ」で技能実習生として働いていた中国人女性 3 人が 11 日、同社と実習先をあっせんした県輸出縫製品工業協同組合を相手取り、3 人に対する未払い賃金や違法行為の損害賠償など計 1,600 万円の支払いを求めて金沢地裁に提訴した。 昨年 8 月、技能実習生を支援する「外国人研修生権利ネットワーク福井(福井市)」に 3 人が支援を求めていた。 同ネットによると、3 人は江蘇省出身の 23 - 33 歳の女性。 09 年 11 月に来日、当時の研修・技能実習制度に基づき 1 年間は研修生として、その後の 2 年間は、技能実習生として縫製の仕事に携わった。 制度上、研修生の期間は実務作業に従事せず業務の研修を受ける時期となっていたが、実際に作業に従事した上、研修生としての手当しか支払われなかった。 また、月平均 155 時間の残業があったが、最低賃金以下の残業代しか支払われなかった、などとしている。 カメダの亀田康彦社長は「訴状の内容を見ていないのでコメントは差し控えたい」としている。 (竹田迅岐、mainichi = 10-19-13) 北陸発の IT 技術、東南アジアに 研修生受け入れも 産学連携で開発された北陸発の IT 技術が東南アジアで活用される。 石川県内の 2 社などが共同開発した橋梁長寿命化の支援システムがベトナムでの政府開発援助 (ODA) 案件に採択された。 北陸の企業で「中国リスク」への警戒が続く中、IT 関連でも東南アジア進出の流れが加速している。 橋梁長寿命化支援のシステムは、ソフトウエア開発の COM-ONE (能美市)と日本海コンサルタント(金沢市)が近田康夫金大理工研究域教授とともに開発した「I-BIMS」。 橋の建設年数や材質、長さ、交通量などのデータと点検データをインターネットの専用ページで入力すると、構造部材の劣化状況を判断し、補修すべき時期や費用などが示される。 2009 年に発売し、国内では石川、富山や長野などの自治体に導入されている。 ベトナムでは昨年から全国約 5 千カ所の橋の保全事業がスタートしており、COM-ONE が国際協力機構 (JICA) の「ODA を活用した中小企業等の海外展開支援事業」に応募。 今年度の案件化調査事業に採択された。 今年度は調査費 3 千万円が補助され、現地の橋梁約 50 カ所でシミュレーションを行う 。 需要が確認できれば来年度以降、日本政府による ODA として本格実施される。 米田稔社長は「『予防保全』の概念をベトナムに浸透させたい」と話し、他の ASEAN 諸国での展開も視野に入れる。 11 月下旬には、近田教授がハノイで I-BIMS の講演とワークショップを開催する。 COM-ONE は昨年 4 月、ベトナム人エンジニアを初めて採用し、事業展開へ準備を進めてきた。 日本海コンサルタントも昨年 2 月、ハノイ建設大など同国の 3 大学と土木技術交流パートナーシップに関する協定を結んでおり、県内でのベトナム人研修生受け入れも検討している。 IT 業界では 10 年以上前から開発部門をインドや中国に設ける流れがあったが、「最近は中国の対日感情悪化や人件費高騰を受け、親日国のベトナムなどに関心が集まっている(関係者)」という。 (北国新聞 = 10-18-13) 外国人留学生にスルーされる日本企業 彼らが感じている「大きな違和感」とは 「ユニクロ」のファーストリテイリングや楽天をはじめ、グローバル化を念頭に外国人を積極採用する企業が増えてきた。 民間の調査によると、日本で学ぶ外国人留学生を採用したいと希望する割合は、2014 年度には 5 割にまで達する見込みだ。 ところが、外国人留学生の側は日本での就職を望まなくなってきた。 すれ違いが起きている背景に、何があるのか。 高度な日本語力を求める企業が 7 割以上 人材コンサルティングを手掛けるディスコは、全国の企業を対象に「外国人社員の採用に関する企業調査」を実施し、10 月 2 日に結果を発表した。 回答を寄せた 539 社のうち、従業員数 1,000 人以上の企業は 123 社だ。 2013 年度に外国人留学生を採用した企業は、全体の 35.2% だが、2014 年度に採用する予定と答えたのは 48.4% と、半数近くに上った。 特に従業員 1,000 人以上の企業では 69.0% と顕著になっている。 2013 年採用者の配属先は、「日本での勤務」が 8 割、また「日本勤務だが将来は海外を予定」が 21.1% だった。 一方で海外勤務は 2.1% にとどまった。 また外国人留学生に求める資質のトップは文系、理系とも「日本語力」で、「異文化対応力」、「コミュニケーション力」がこれに続く。 期待される日本語力は「ネイティブレベル」、「ビジネスレベル」を合わせると、文系で 75.9%、理系が 73.5% と極めて高い。 実は採用による社内での問題として挙げられた項目で「言葉の壁による意思疎通面でのトラブル」が 50.5% と高かった。 日常業務を考えた際に、言語力は採用を左右するポイントになっているといえそうだ。 日本人の就活生と等しく扱う企業も 日本企業の外国人留学生に対する求人は旺盛だ。 ところが留学生側は、是が非でも日本で就職したいとまでは思っていない。 独立行政法人の労働政策研究・研修機構は 3 月 29 日、「留学生の就職活動」というリポートを公表した。 その中に「外国人留学生の卒業後の進路希望」に関する分析がある。 2005 年度から 2 年おきに統計を取っているが、「日本での就職希望」と答えた割合は 2007 年度に 61.3% となったものの、2009 年度は 56.9%、2011 年度は 52.2% と低落傾向なのだ。 ひとつの理由として、「日本企業の新卒採用試験が将来の日本企業の管理職候補者となる資質等が課題であり、これらが外国人留学生の日本企業に就職・勤務する上での大きな違和感につながっているとの指摘がある」という。 また、留学生が希望しているのは「海外業務」が最も多く、2011 年度で 46.8% に達している。 一方でディスコの調査では、日本企業の 8 割が採用した外国人の配属先を日本国内としていた。 自分の希望がくみ取られにくい点も、日本での就職を選択肢から外す原因になっている可能性がある。 留学生向けの「特別枠」は設定せず、日本人の就活生と等しく扱う企業も少なくない。 ウェブサイトからエントリーする際も「英語ページ」などではなく、一般学生向けと同じページに誘導する大手企業は何社もあった。 入社後、業務に支障が出ないような高い日本語力を求めるだけに、ある意味で当然の処置かもしれないが、外国人にとっては日本語ネイティブと同じ土俵で就活を勝ち抜かねばならず、ハンディがあるのは事実だろう。 企業にとっても、外国人留学生は日本人学生と職に対する考え方が違う点を認識した方がよさそうだ。 国によっては転職が当たり前で、キャリアアップにつながる好条件を打診されれば別の会社に移る人が出てくるかもしれない。 日本人には少ない「離職リスク」にあらかじめ備えておくのも大切だろう。 (Jcast = 10-13-13) ベトナム研修生らと交流の宴 広島県福山市 福山市の駅家コミュニティセンターでこのほど、ベトナムまつりがあった。 市内で増えているベトナム人と交流を深めようと市民グループふくやまベトナムの会が企画。 約 200 人が参加した。 ベトナム人の企業研修生や実習生たちが、獅子舞や民話劇などを披露。 全員でベトナム風ココナツカレーを味わった。 会場は民族衣装アオザイで華やいだ。 同市山野町の笠原一彦さん (61) は「色の濃いアオザイが印象的。 カレーもおいしく、ベトナム文化に興味が湧いた。」と話した。 同会によると、市内在住のベトナム人は昨年 430 人で前年より 31 人増えた。 同市御幸町の研修生ドー・フオン・タオさん (20) は「友達が増えてうれしい」と喜んだ。 (中国新聞 = 10-1-13) 外国人実習生と交流 江田島の住民ら 江田島市で今年 3 月、カキ養殖業の経営者ら 9 人が中国人技能実習生に殺傷された事件を受け、市内で暮らす外国人と住民との交流を目的としたフットサル大会が 28 日、市立江田島小屋内運動場で開かれ、約 50 人が参加した。 事件の背景には、実習生が日本語をほとんど話せず、孤立感を深めていたことがあるとみられることから、市と市教委が、外国人と住民の相互理解を深めようと初めて企画した。 参加したのは、カキ養殖業に従事する中国人やインドネシア人の実習生の約 20 人と、地元のフットサルチームのメンバー、江田島署員、市消防本部職員の約 30 人で、6 チームに分かれて 1 試合 15 分のトーナメント戦を戦った。 開会式では、田中達美市長が「お互いの親交を図り、楽しい汗をかいてほしい」とあいさつ。 試合では、ゴールが決まるたびに応援席から歓声が上がり、試合後には選手が笑顔で握手し、健闘をたたえ合った。 昨年 1 月に来日したという実習生の赫永富さん((31、中国・黒竜江省出身)は「江田島での生活にもようやく慣れてきたところ。 楽しくプレーして日本人の知り合いを増やしたい。」とほほ笑んだ。 同僚の王長城さん(28、同・遼寧省出身)は、応援の妻と娘 (4) と一緒に参加。 「来日して約半年。 実習生同士の交流もそれほど深くないので、いい機会になった。」と喜んだ。 実習生の受け入れ事業を行っている監理団体の「日中友好経済協同組合」の中本正彦理事長は「実習生たちが日頃は見せない笑顔をしている。 今後もこのようなイベントを継続してほしい。」と話した。 市によると、市の人口約 2 万 6,000 人のうち、外国人は 2% にあたる 500 人に上る。 事件後、市は庁内に「外国人市民支援会議」を設置し、来春までに市や警察、消防本部、カキ養殖業者などで構成する「支援協議会」を発足させ、外国人のサポートに取り組むことにしている。 (小宮宏祐、yomiuri = 9-29-13) ◇ ◇ ◇ 外国人技能実習生は 793 人 広島・カキ養殖業 広島県は、県名産のカキの養殖業者の下で働く外国人技能実習生が 4 月 1 日現在で 793 人だったとのアンケート結果をまとめた。 県内の全業者の 83.1% に当たる 261 業者が実習生を受け入れ、実習生の大半が最低賃金の時間給で勤務して業界を支えている実態が浮かび上がった。 調査は、江田島市で 3 月に起きた中国人実習生による殺傷事件を受けて初めて実施した。 アンケートは県内全 314 業者から回答を得た。 外国人技能実習制度で実習生を受け入れていた 261 業者の市町別は、▽ 江田島市が 64 業者と最も多く、▽ 廿日市市 57 業者、▽ 呉市 51 業者、▽広島市 43 業者 - などと続いた。 受け入れ人数は 1 業者平均 3 人だった。 実習生の出身国は、中国が 772 人で 97.3% を占め、インドネシアが 18 人、ベトナムが 3 人。 女性を中心にカキの殻をむく「打ち子」が人手不足のため、男女別では女性が 457 人と、男性の 336 人を上回った。 給与は「最低賃金で時間給」が 94.8%。 「最低賃金以上の時間給」は 3.9%、「月給や日給」は 1.3% だった。 歩合制が基本の日本人女性とは異なる給与体系だった。 1 日の労働時間は、地域性や規模などを考慮して選んだ 19 業者に追加で聞き取った。 10 月から 5 月の最盛期で平均約 10 時間で、日本人女性の約 9 時間と大きな差はなかったという。 住まいは、▽ 借り上げアパート 34.4%、▽ 作業場内の別棟の居住棟 31.6%、▽ 作業場と同じ棟 30.2% - の順。 いずれも業者側が用意し、冷蔵庫や冷暖房などの家電も備える。 県水産課は「今回の調査では、実習生が劣悪な環境で働いているような事実は見えない」と分析。 「今後も漁連などと連携し、課題や対策を探りたい」と話す。 一方、広島労働局の 2012 年の調査では、実習生の労働時間を記録していないカキ養殖業者がいるなど、労務管理のずさんな一面も判明している。 実習生を支援する労働組合スクラムユニオン・ひろしま(広島市東区)の土屋信三委員長は「相談に来る実習生の話では、早朝から夜遅くまで働き、仕事が遅いとののしられるなど労働環境はひどい。 県は実習生からも調査し実態を把握するべきだ。」としている。 (中国新聞 = 8-31-13) ◇ ◇ ◇ 外国人119番 対応強化へ 広島・江田島市 3 月に江田島市であった中国人実習生による 9 人殺傷事件を踏まえ、市消防本部が外国人からの 119 番への対応を強化している。 指令室に置く外国語版の対応マニュアルを作り、救急車にはイラストを添えた支援ボードを常備。 外国人との意思疎通に力を入れる。 マニュアルは英語、中国語版の 2 種類。 通報場所や駆け付ける現場などを確認するための想定問答、疾病などを示す言葉もまとめている。 意思疎通がスムーズにできるよう、中国語は今後中国人講師から発音を学ぶ機会を設ける。 ボードには「熱がある」、「胸が苦しい」などの症状を、イラストと日本語、英語、中国語で表記。 日本語を話せない患者にイラストを指さしてもらい、症状の把握に役立てる。 市によると、市内に住む外国人は約 500 人で、そのうち約 280 人が実習生。 同本部では、119 番の発信元を示す位置情報表示システムに、外国人が就労または居住している約 70 カ所を星印で示した。 マニュアルやボードと併せ、円滑な対応に役立ていく。 (中国新聞 = 8-31-13) 外国人実習生 5 月だけで 45 人失踪 … 昨年度「全国最悪」の茨城 外国人が知識や技能を習得することを目的に、国内の企業などで働く外国人技能実習制度で、茨城県内に 1 年以上滞在している実習生(2 号生)約 5,800 人のうち、今年 5 月だけで少なくとも 45 人が失踪していることが、国際研修協力機構 (JITCO) 水戸駐在事務所のまとめでわかった。 同事務所によると、5 月の 1 か月間で、中国やベトナムなどから来日し、鉾田市や神栖市などで農業の実習を受けていた実習生計 45 人の行方がわからなくなっている。 昨年度は、県内で計 252 人の 2 号生が失踪。 「失踪率」は 4.5% (全国平均 1.7%)で全国最悪といい、上野謙一所長は「大変ショッキングな数字。 職種や処遇のミスマッチによるものが多い。」と話す。 上野所長によると、失踪者数は減少傾向にあったが、近年は景気の悪化による労働条件の低下の影響もあり、増加に転じている。 さらに最近は、円安で賃金が目減りし、より収入が得られる第 2 次、3 次産業に移動したとみられる。 実習生の行方がわからなくなった場合、実習生を受け入れる監理団体などが、地方入国管理局に報告することになっている。 しかし、取り締まる東京入管は、行方不明者数について「統計として公表していない」とし、増加傾向にあることについても「事実かどうか判断できずコメントできない」としている。 一方、県警外事課によると、実習生が失踪しても警察に捜索願を出す監理団体は少ないといい、今年 1 - 5 月に出された捜索願は 107 件だけだ。 捜索願が出された場合は、全国の警察に手配を出す通常の捜索となる。 実習生は技術習得を目的に来日しているため、別の場所で働いた場合、入管難民法違反(資格外活動)で摘発の対象となる。 また、定められた期間を超えて国内にとどまると、同法違反(不法残留)になる。 県内では、昨年 1 年間で 199 人の外国人が、同法違反で摘発されている。 (yomiuri = 9-26-13) ◇ ◇ ◇ 外国人実習生の失踪が県内で激増 円安で収入減、高給求め都会へ 福井県内の企業で働く外国人技能実習生の失踪が、今年に入って激増している。 背景には、なくならない賃金未払い問題に加え、急激な円安で「稼げる額」が目減りし、より高い収入を求める意識が働く現状があるようだ。 一方、県内で今年、逃げたベトナム人実習生による窃盗事件が発生。 行き詰まった失踪者が犯罪に手を染める危険性は高く、治安にも影響をみせている。 ■ 既に 25 人増 県警公安課によると 2012 年末現在、県内では中国やベトナム、インドネシアなどから 2,992 人の実習生を受け入れている。 失踪者数は 11 年が 18 人、12 年が 29 人だったのに対し、今年は 9 月 24 日時点で 54 人と大幅に増えている。 実習生の労働環境をめぐっては、10 年 7 月に改善を図るため制度が改正された。 滞在 3 年間を通して実習生の身分となり、最低賃金が保障されるようになった。 以前は最初の 1 年間は研修生で、この間は最低賃金をはるかに下回る収入しか得られなかった。 しかし、問題は収まっていないようだ。 全国の労働基準監督署が、実習生とトラブルのあった事業所に監督指導した件数のまとめ(厚生労働省)によると、ここ 5 年は毎年 2,500 件前後で推移。 11 年は 2,748 件、12 年は 2,776 件と減少する気配はない。 ■ ダブルパンチ 実習生を受け入れているある組合の代表者は「中小企業の経営不振で残業が少ないことに対する不満に加え、円安による収入の目減りが加わった」と環境の変化を説明する。 実習生のトラブルに詳しい外国人研修生権利ネットワーク福井の高原一郎さんによると、実習生が祖国の送り出し機関で使う額は 100 万円ほどになる。 これだけ払って来日しても、適正な賃金を支払わないブラック企業が存在するほか、逆らえば帰国させられる実態があるという。 円安とのダブルパンチを受け「ある程度の額が得られないと、失踪を選んでしまう」とみている。 ■ 都会に出ても … 失踪すれば在留資格を失い不法滞在者となる。 大抵は都会に職を求めるが、高原さんは「ここ数年は大都市でも求人が少なくなった」と指摘。 生活基盤を失うことで、自然と犯罪に手を染めることになる。 また、国内に人口の多い中国人の場合は、つてをたどることも容易だが、ベトナム、インドネシアなどはネットワーク不足で路頭に迷いやすい点もある。 (福井)県警公安課は警戒感を強め、受け入れ企業に対して、失踪防止に向けた教育の徹底を促すとともに、行方不明者届の早期提出を呼び掛けている。 (福井新聞 = 9-25-13) |