中四国初の H & M、広島市で 21 日オープン

スウェーデンのカジュアル衣料品チェーン「H & M」の日本法人は 19 日、中四国地方で初出店となる広島市中区の店舗を報道陣に公開した。 国内では 30 店舗目。 21 日に開業する。

店舗は「H & M HIROSHIMA」。 広島市中心部の衣料品店や雑貨店が集まる一角に開店する。 売り場は地下 1 階と地上 5 階で、広さは計約 2 千平方メートル。 若者向けデザインの「Divided」もそろえる。 H & M は 2008 年 9 月に日本に初進出した。 今秋には札幌市中央区で北海道 1 号店のオープンを予定している。 (sankei = 9-19-13)


FABIA、新ミューズに山田優 期間限定イベントを六本木ヒルズで開催

オットージャパンは、今年 2 月に立ち上げた新ファッションブランド「ファビア (FABIA)」のオンラインショップがオープンしたのを記念して、期間限定イベントを 12 日から六本木ヒルズ大屋根プラザにてスタートした。 9 月 14 日まで開催。 11 時から 20 時。 入場無料。

会場には商品が並ぶ他、人気モデルが登場するファッションショーや、オリジナルサービス「ドレスビズメーカー (DRESS Biz maker)」体験などを企画。 このサービスは、画面上で好みのシーンを選び、簡単な心理テストに答えていくとぴったりのコーディネートが提案されるというもの。 オンラインショップでも提供されており、提案されたコーディネートをそのまま購入することも可能だ。

12 日には開催に先立ち、メディア向けのファッションショーなどのイベントが開催された。 ショーのラストモデルは、FABIA の新ミューズに任命された山田優。 ベージュのワンピースにファーティペット姿で登場し、ランウエイから戻った彼女にスペシャルゲストの石田純一から花束がプレゼントされた。

イベントに出席したオットージャパン代表取締役会長兼 CEO の田中進氏は、「FABIA は、30 から 40 代の働く "ファビュラスな" 女性に仕事でもプライベートでも輝いてもらいたいと思い、誕生したブランド。 女性達のリアルな声を受けて、トレンド要素を取り入れ、着回しがしやすい手頃な価格の商品を提供している。 春夏は堅調で、計画の 2 割増しで推移した。 今秋冬は先シーズンより販売数量を 1.5 倍にする。 今後の売り上げ目標は 2015 年に 30 億円、7 割をインターネットでの販売を予定している。 東京オリンピックが開催される 2020 年には 150 億円のブランドを目指す。」と今後の展開に意欲を見せた。 (FashionHeadline = 9-12-13)


水も運べる「超撥水」風呂敷 海外からも高評価 群馬

群馬県桐生市の染布会社「朝倉染布」が製造・販売する水も運べる撥水加工の風呂敷「ながれ」が欧州でデザイン賞を受賞した。 デザイン賞は日本、米国に続いて 3 地域目。 主要地域での高評価をてこに国内の販売ルート拡大や今後の海外展開に生かしていく考えだ。 受賞したのは、ドイツの「レッドドット・デザイン賞」。 1955 年から続く国際的な賞で、審査では「古典的な包装に、超撥水という際立った特徴を付与した」などと評価された。 ながれは、撥水加工の独自技術を高め、2006 年から発売を始めた。

脱下請けを目指す取り組みの一つで、2011 年 11 月にグッドデザイン・中小企業庁長官賞、同年 12 月に米国のデザイン賞を受賞している。 東日本大震災をきっかけに、月百枚程度の販売が千枚を超えるようになった。 昨年度は過去最高の約 1 万 6 千枚売れた。 全国二十数店舗で販売、大手百貨店からの引き合いもある。 取扱店は関東、東北地方が中心で、今後は西日本方面の取り扱い店舗拡大にも取り組んでいく。 今年からテレビショップでの販売も始めた。 (asahi = 9-8-13)


綿花在庫、過去最高水準に拡大か - 衣料品メーカーの利益増へ

綿花生産が 4 年連続で過剰 となる一方、中国の輸入が 2000 年以降で最大の落ち込みを示すと予想されているため、世界の綿花在庫は過去最高水準に膨らむ見通しだ。 綿花価格の下落と、米ヘインズブランズなどの衣料品メーカーの利益増加が見込まれる。

米農務省の 12 日の需給報告によると、13 年 8 月 - 14 年 7 月の綿花在庫は 8.6% 増加し、9,376 万 5,000 ベールになると予想されている。 在庫は世界の人口 1 人当たり 3 本のジーンズを製造するのに十分な量に達しており、13 年ぶりの低水準に落ち込んだ 10 年以降、倍増している。 ブルームバーグがアナリスト 16 人を対象に実施した調査の平均値では、綿花価格は年末までに 8.5% 下落し 1 ポンド当たり 76.6 セントになると見込まれている。

中国は、国内の生産者支援に重点を置くため、綿花輸入を前年比で 46%、933 万ベール削減する予定。 同国は世界の綿花の約 3 分の 1 を消費している。 (Boomberg = 8-29-13)


着物アロハで復興 岩手・久慈の縫製業者、タンスに眠る衣装をリメーク

東京の NPO が提案 雇用創出、帽子やバッグも製造

東日本大震災で打撃を受けた岩手県久慈市の縫製業者が、市民グループの支援を受けて全国から寄せられた着物をアロハシャツなどにつくり直して復興の足がかりにしている。 被災地での仕事づくりと、家庭で眠っていた着物地に息を吹き込む取り組みだ。 「東北のものづくりの力を生かして一日も早く工場の運営を軌道に乗せたい。」 サンプル品を広げながら「久慈ソーイング(久慈市)」社長の中田利雄さん (71) は言葉に力を込める。

津波で海岸近くにある工場が壊滅的な被害に遭い、約 100 台のミシンが水浸しになった。 同社はもともと水着縫製のメーカーだが、特殊ミシンを使っていたので洗浄や修理に時間がかかった。 そこで閉鎖になった他企業の工場からミシンを安価で譲ってもらうなどして震災発生から 5 カ月後、カジュアルシャツの生産から業務再開にこぎつけた。 とはいえ再建への道のりは遠い。 着物地でアロハをつくってみたら」と、東京の NPO 法人「和と輪会 (03・3723・0044)」の提案を受けて「オリエンタルアロハ」の製造に乗り出した。

同会は育児の支援事業が主な活動で、震災以後は被災地の応援に力を注ぐ。 「たんすの中にしまわれていた着物が粋なシャツに生まれ変われば、新たな付加価値が伴う」と理事長の名木純子さん (74) は言う。 同会の呼びかけで寄付された着物は、いったん岩手県陸前高田市に送り、仮設住宅で暮らす女性たちにほどく作業を依頼。 久慈ソーイングでは、それらの着物地を洗ったうえでシャツに仕立てることにした。

今春、商品化され、価格は浴衣地のシャツが 5,400 円から。 絹などの着物地は 1 万 5,750 円からで、デパートの催事やイベントなどで販売されている。 この夏からは、シャツをつくる過程で余った布などを活用し、帽子やバッグなどがアイテムに加わった。 「生産は月に 80 着程度。 長袖なども企画し、地域の新たな産業になるような仕事づくりを考えたい。」と名木さん。

現在は本体の工場でシャツや水着などを生産し、古着の着物地のアロハは近くの仮設工場で縫っている。 従業員やパートの再雇用も進み、震災前とほぼ同数の約 40 人が働く。 「別の企業や団体からは復興支援グッズなどの注文があった。 多くの人に支えられている。」と中田さんは言う。

胸に「じぇ! じぇ! じぇ!」

久慈市の応援商品で、胸の部分に「じぇ! じぇ! じぇ!」のロゴが入った「くじあろは」が今月 10 日、発売された。 NHK の連続テレビ小説「あまちゃん」でおなじみになった「じぇ」は、驚いたときに使われる地元の言葉だ。 (明珍美紀、mainichi = 8-24-13)


老舗ジーンズ「ボブソン」復活 品質重視で売れ行き好調

【近藤郷平】 国内でも老舗のジーンズメーカー「ボブソン」が、約 1 年前の破産から再生へと歩みだした。 安売り競争に敗れた反省から、品質にこだわる路線に特化する形で販売を再開して約 4 カ月。 売れ行きは順調で、春夏物で約 20 だった商品数を秋冬物から倍増させる方針だ。

阪神百貨店梅田本店(大阪市北区) 3 階の売り場の一角。 黒やグレーなど女性用の細身のジーンズが並ぶ。 中心価格帯は 1 万円台の半ば。 ファストファッション店の価格帯の倍以上だが、担当者は「根強いファンがいる」と感心する。 1948 年、岡山市で創業した学生服メーカーが、70 年代からジーンズの生産に進出。 92 年、硬いのが当たり前だったジーンズに、レーヨンを使い軟らかくした「04 ジーンズ」を投入して大ヒット。 ボブソンの名前を全国に知れ渡らせた。 帝国データバンクによると、2005 年 5 月期には約 128 億円を売り上げた。 (asahi = 8-23-13)


衣料品の粗利益率が低下 4 - 6 月、円安響きコスト上昇

円安による仕入れコスト上昇などを背景に、アパレル企業の売上高総利益率(粗利益率)が低下している。 ユナイテッドアローズの 2013 年 4 - 6 月期は 57% と前年同期比 1 ポイント低下。 グンゼやルックも悪化した。 秋冬商戦は一部商品への価格転嫁や原価低減に取り組み、採算悪化を防ぐ。

U アローズは衣料品など商品の 55% を中国から調達している。 4 - 6 月期は円安や中国での人件費高騰などで仕入れ原価が 17% 上昇。 連結売上高の伸び率(14% 増)を上回った。 秋冬からは一部商品の販売価格を上げコストを転嫁する方針。 「中国内陸部や東南アジアからの調達を増やし原価も抑制する。(竹田光広社長)」 14 年 3 月期通期の粗利益率は 54% と前期並みの維持を目指す。

グンゼの 4 - 6 月期の粗利益率は 25% と前年同期比 2 ポイント低下した。 中国中心に生産するソックスの原価上昇が響いた。 ルックも欧州ブランドの衣料品やバッグなどの仕入れコストが膨らみ、1 - 6 月期の粗利益率は 47% と前年同期比 2 ポイント下落。 「秋冬の新商品から価格転嫁を検討する」という。 ファーストリテイリングも 3 - 5 月期の粗利益率が 52% と前年同期比 1 ポイント低下した。 為替予約で円安の影響は避けられたが、値下げ販売が増えたことで採算が悪化した。 (nikkei = 8-16-13)


ふんどしパンツみなぎる自信 ベタつきも視線もすっきり

【小峰健二】 見た目はボクサーパンツなのに、ふんどしの機能を併せ持つ男性用下着「ふんどしぱんつ」が、名古屋市の百貨店で人気だ。 局部と太ももが触れるベタつきを解消し「男の悩みもすっきり」と開発者も自信を見せる。 8 月 2 日は「パンツの日」 - -。 ふんどしぱんつは、尻や太ももを覆う本体部分とは違う布地で局部を覆う部分をつくり、立体縫製にしたのが特長。 「位置やブレも気にならない」と、蒸れる夏場やスポーツに打って付けらしい。

開発したのは、東海地方でメガネの販売チェーン「メガネプラザ」を展開する東和工業(名古屋市熱田区)の創業者、上田和男会長  (77)。 5 年ほど前に友人にふんどしを薦められ、通気性に優れて快適だったが、ゴルフ場の更衣室で周囲の視線が気になり、3 カ月ほどでやめてしまった。 (asahi = 8-5-13)


日本にこだわる 「愛羅武」縫製工場

岡山県玉野市は、瀬戸内海に面している。 造船の町、そして繊維の町である。 カシミヤのコートをつくらせたらピカ一の「玉野縫製」という会社がある。 創業して 40 年あまり、従業員はおよそ 50 人の縫製工場だ。 さっさっさ、とアイロンをかける。 タタタタと、ミシンでぬう。 手際の良さと正確さ、そして、あざやかな仕上げっぷり。 従業員たちは、まるで魔術師のよう。 今回は、そこの社長が主人公だ。 野海輝雄、47 歳。 子どものころから、家業を守ってきた男の物語である。

詰めえりの学生服をつくる家の長男として、野海はうまれた。 小学生のときは水泳が得意な健康優良児だった。 中学時代は、まじめな生徒だった。 いや、家業を守るために、まじめに過ごさなくてはならない宿命にあったのだ。 その宿命を描くまえに、説明しておかなければならないことがある。 それは、黒い詰めえり学生服は、3 つの種類があったということだ。

まずは、学校認定のふつうの学生服。 学生服業界では、「標準学生服」と呼ばれた。 つぎに、ツッパリたちが身につける学生服。 上着の丈がやたらに長かったり、ズボンがめちゃくちゃ太かったり。 上着の裏地には、鮮やかな虎のししゅう、なーんてのも。 学校が認めるはずがなく、業界では、「ファッション学生服」と呼ばれた。

そして、もうひとつ。 ちょっとだけズボンのすそが細くしてあったり、裏地が黒ではなくて紺だったり。 ちょっと見だけなら、あまり標準学生服と変わらない。 ちょっとだけかっこつけたい、という男子生徒の心をくすぐる「準レギュラー学生服」と呼ばれた。 野海の父が経営する会社では、3 種類すべてをつくっていた。 つまり、学校側からみると、あまり認めたくない会社だった。

標準学生服を着て高校をすごし、名古屋の中京大の商学部に進む。 運転技術を競う「自動車部」で体育会のきびしさを体験する。 卒業して 23 歳で、家業に入った。 野海は、先輩社員の別所充朗(みつお)とともに営業をした。 いま別所は 66 歳、社長である野海にとって頼れる相棒である。

会社の方は学生服を断念し、カシミヤのコートをつくりはじめていた。 自分の会社のブランドで勝負しようとしていた。 高ければ一着 10 万円ちかくする。 扱ってくれるのは、デパートだ。 でも、つてがない。 野海と別所はそれぞれ、デパートの代表電話に電話して、売り場でのアポイントをとって、売り込んだ。

学生服のときから、手を抜かずにつくってきた。 さらに、教師の目をごまかす例の必殺技の開発で、技術をみがいてきた。 商談がまとまり、ちいさいながらも売り場にスペースをつくってもらった。 ところが、知らないうちに、野海の会社のコートが売り場から消えた。 おそらく、大手アパレルと百貨店の上層部との、あうんの呼吸で排除されるのだ。 野海と別所は、何度も何度も、悔しい思いをしてきた。

生き残るために、背に腹は代えられない。 日本の大手アパレルのブランド、欧州の有名ブランドなどの名で、コートをつくった。 仕事をくれる会社に代わり、その会社のブランドで生産する、いわゆる OEM とよばれる形の仕事だ。 野海は 35 歳で、父から社長の座をつぐ。 でも、なかなか業績が上がらない。 泣く泣く人員削減をした。 100 人から 70 人、さらに 50 人へ。 野海の心は、申し訳なさでいっぱいだった。 古株の女性従業員から言われた。 「社長、がんばってください。 うちの技術を守ってください。」 彼女は笑って会社を去った。

野海は誓った。 〈リストラは終わりだ。 もう誰の首も切るものか。〉 社長としての重い決断だ。 なのに、決断ができない経営者、と言われてしまうようになる。 それは ・・・

いまから 10 年ほどまえ、つまり野海が社長になって 2 年ほどたったころ。 金融機関などが、しきりに「中国進出セミナー」をひらいていた。 野海ものぞいてみた。 「あの会社が、中国で大成功している。」 「この会社も成功しています。」 そんな成功例を、いやというほど聞かされた。 そして、金融機関の人から言われた。 「野海さん、岡山にこだわらず、人件費が安いところにいきませんか。」 「中国にいくなら融資しますよ。」 野海の心は、ゆれた。 かずかずの成功例、そして金融機関からの誘い水。 ゆれないほうが、おかしい。 だが、従業員のことを思った。

〈中国に出るということは、従業員をさらに切るということだ。 二度とリストラしないと誓ったはずだ。 雇用を守らなくては。〉 野海は、日本にこだわることにした。 すると、金融機関が手のひらを返してきた。 「あなたは決断ができない。」 「あなたは若すぎる。」 「社長の器じゃない。」 中国でつくるから、と OEM の仕事をくれなくなるアパレルもでてきた。 落ち込む日々。 憂さを晴らすため、野海は走った。 瀬戸内の潮風が、やる気を取り戻してくれた。 〈いまに見てろよー。〉 逆襲を誓った。 ふんばっている人は、だれかが見てくれる。 世の中、そうできている。

東京は銀座にあるデパート、松屋銀座。 紳士服の品ぞろえを担当するカリスマバイヤー、宮崎俊一 (47) は、野海の会社に注目していた。 コートのシルエットがきれいなのだ。 そして、ポケットの角を角張らせないで、さりげなく丸めている。 さらに、全体にふわーっと仕上げている。 宮崎は、野海の会社に出向き、言った。 「独自のブランドで勝負しましょう。」 メード・イン・ジャパンを守りたいと思っている宮崎は、おおくの現場をみてきた。

OEM に頼っている繊維工場は、「ことしは発注しないから」、「おたく、もっとコストダウンしてよ」と大手アパレルに言われて、泣いている。 廃業、倒産においこまれているケースも数知れず。 いくら頑張っても、すべてアパレルの手柄になるので、報われない。 宮崎は、野海の会社に入りびたり、いっしょに改善していった。 とはいえ、松屋銀座は、東京ローカルのデパートである。 いくら銀座はファッション情報の発信地とはいえ、扱う量には限りがある。

宮崎は、知りあいのデパート各社にも、野海の会社がつくる自社ブランドのコートを扱ってください、と頼んだ。 技術はいいので、おおくのデパートが採用してくれた。 ブランド名は、「noumi (ノウミ)」だ。 そして松屋銀座では、「NUM」というオリジナルコートも売っている。 野海の N、松屋の M、その間に、あなた (U = you) がいる。 どちらも好調に売れている。

さいきん、野海の会社は、金融機関から見直されている。 「日本にこだわるなんて、たいしたものだ」などと。 中国に進出した中小の繊維会社のおおくが苦戦し、夢破れて中国から撤退、というケースもでてきているのだ。 野海は言う。 「この地にこだわって、本当によかったと思っています。」 野海の会社の心意気を、ファッション学生服をつくっていたあのころ流に表現すると、こんな感じだろうか。 愛羅武メード・イン・ジャパンなんで、夜露死苦! 夜露死苦は、もちろん、よろしく、である。 (敬称略、asahi = 7-30-13)

中島隆 (なかじま・たかし) 朝日新聞編集委員。 福岡県生まれ。 東大経済学部卒。 鹿児島支局をふりだしに、西部、東京、大阪各本社の経済部記者。 名古屋報道センター次長、東京生活部次長、 「ニッポン人脈記」チーム、中小企業専門記者をへて、2012 年 4 月から現職。 著書に「魂の中小企業(朝日新聞出版)」。

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松屋銀座、中小工場を支援 繊維の技守る

記事コピー (asahi = 7-30-13)


「シニアカップルも手つなごう」百貨店、マネキンで PR

【志村亮】 シニア同士のカップルをイメージしたマネキンを、百貨店「そごう・西武」が相次ぎ増やしている。 手をつないだ珍しいマネキンで 50 - 60 代の夫婦に着こなしを提案し、おそろいの服を売り込む作戦だ。 手をつなぐのと、腕を組むのと 2 タイプある。 4 月から西武池袋本店(東京都豊島区)に 2 組、そごう大宮店(さいたま市)に 5 組を展示し、7 月中に全国 24 店への設置を終える。

そごう・西武は、別々だった紳士服と婦人服の売り場を一部のお店で一緒にするなど、シニア向け衣料の売り方を工夫する。 ペアのマネキンもその一環だ。 マネキンを製造した大手の「吉忠マネキン(京都市)」によると、マネキンはレンタルが主流。 使い道が限られてしまわないように、手をつなぐような凝った形でつくるのは珍しいという。 (asahi = 7-27-13)


「神の糸」育てる伊ブランド 希少動物ビキューナ保護

【ローマ = 石田博士】 「神の糸」を救え - -。 南米アンデス山脈にすみ、繊細な毛で知られるラクダ科のビキューナ。 絶滅の危機にあった希少動物で、カシミヤなどの高級繊維で知られるイタリアの高級アパレル企業ロロ・ピアーナ社(本社・ミラノ)が、保護・管理に乗り出している。

同社は今春、アルゼンチン北部に 8 万 5 千ヘクタールの土地を持つ地元企業の株式 60% を買収した。 この土地にすむ約 6 千頭のビキューナの採毛の権利を持つ。 ビキューナの毛の太さは直径 0.013 ミリ。 人の頭髪の約 4 分の 1、カシミヤの 0.015 ミリより細い。 獣毛の中で最も細いとされる。 標高 3 千 - 5,500 メートルにすみ、世界に約 20 万頭いる。 (asahi = 7-21-13)


上海へ新たに 3 店、パリ進出も 女性衣料アイジーエー(越前市)

「axes femme (アクシーズファム)」のブランド名で女性カジュアル衣料品店を全国展開するアイジーエー(本社越前市矢放町、五十嵐昭順社長)は本年度中に、中国・上海市に新たに 3 店舗を出店、計 5 店舗体制とする方針を明らかにした。 既存店舗も含め、いずれも大型ショッピングセンター (SC) への出店で、中国最大の商業地でグローバル戦略を加速させる。

同社は今年 1 月、上海の繁華街の SC 「K11 上海店」に初の海外出店となる「アクシーズファム」をオープン。 7 月 5 日には、上海中心部に開業した世界最大規模の大型 SC 「上海環球港」に、雑貨などを充実させたライフスタイル型店舗「アクシーズファム・ノスタルジー」をオープンさせた。 同社独特のレトロでロマンチックな世界観の洋服、雑貨は中国に例がなく、1 号店以降、出店要請が相次いだという。 2 号店は売り場面積約 170 平方メートル。 開店 1 週間で、1 日の売り上げが 4 万元(約 60 万円)を超える好調さを見せている。

今後出店する 3 店舗はいずれも「アクシーズファム」業態での出店。 上海に出店を集中させるのは、大型 SC の開店や改装が相次ぎ、出店チャンスが多いことに加え、ブランドの認知度を高めていく狙い。 3 号店は大型 SC 「IFC」の増床改装に伴い、9 月上旬に出店予定。 4 号店は今秋開業予定の大型 SC 「上海環貿 iapm」に出店する。 さらに来年 1 月をめどに、もう 1 店出店を計画しているという。

また、フランス・パリへ出店を予定している新業態店舗「アネクドット・アクシーズファム」は、10 月 10 日オープンとすることも明らかにした。 パリ 1 号店は同社初の路面店。 現地採用デザイナーが企画した商品のほか、日本で企画した婦人服、子ども服も展開する。 従来の同社商品より 1 ランク上の質を追求しながら、パリで開発した商品を日本や中国でも販売していく方針。 (福井新聞 = 7-12-13)


名古屋・栄にパルコ小型店 14 年秋「ゼロゲート」出店

パルコは 1 日、名古屋市の繁華街・栄地区に小型ファッションビル「名古屋ゼロゲート(仮称)」を来秋、オープンすると発表した。 同じ J フロントリテイリング傘下の名古屋パルコと松坂屋名古屋店に近く、販売の相乗効果を狙う。

出店予定地は、大津通をはさんで名古屋パルコの向かい側にある栄 3 丁目の約 3 千平方メートル。 地上 3 階建て、延べ床面積 7,500 平方メートルのビルを建てる。 投資額は約 16 億円。 入居するテナントは未定だ。 パルコが展開する小型店「ゼロゲート」は、東京・渋谷や大阪・心斎橋にあり、名古屋が 5 店舗目になる。 予定地にはもともと料亭などがあったが、繊維商社のタキヒヨーが 2008 年に取得していた。 (asahi = 7-1-13)


東京離れ、オーガニックな服づくり叶える

葉山の町中を走る幹線、国道 134 号線沿いにあるオリジナル・ウエアとオーガニック生活雑貨のショップ「ミルフォイル」は、大きな看板もなく、また間口も小さくて、決して目立つ店舗ではない。 しかし昨年のオープン以来、地元を中心にファンが急増中。 ナチュラル志向の人たちから、大きな支持を集めている。

理由は、原料の糸から、染料、仕上げの洗剤まで、すべての工程でオーガニックな手法を貫いていること。 ショップの棚に並ぶ T シャツ、タンクトップ、ワンピース、スパッツなどは、どれもシックな色合いで、手に取ると、すっと柔らかく肌に馴染む。

店では葉山に越してきたばかりという若い夫婦が、身内の赤ちゃんの誕生祝いを探していた。 「なるべくエコロジーに沿った暮らしをしたいと思って、葉山への引越しを決めたんです。 ここなら意識の高い人が多いし、情報も集まっているんじゃないかな、って。」 オーナーの井上浩司さん (46) とそんな会話を交わしながら、彼らが選んだのは、生成り色のシンプルなベビーウエア。 赤ちゃんも、お母さんも喜びそうな風合いに、思わず頬ずりしたくなる。

「何よりもこだわっているのは、ファーストタッチのよさ。 環境負荷が少なくて安全という点もさることながら、『赤ちゃんの肌にやさしい』ということをいちばん大事に考えています。 生成りの商品はワタの段階から最終的な形にするまでの間に、化学処理をほどこさないので、それが可能になるんですね」と、井上さんは説明する。

井上さんは、大阪と東京で長くアパレルビジネスに関わってきた。 独立前に勤めていたファッション企業では、ブランドの企画・デザイン・ディレクションを担っていた。 そこでオーガニック・コットンを知ったが、企業が重視する大量生産と環境への配慮を両立させることは難しかった。

葉山への縁を取り持ったのは、葉山でオーガニックライフ・ショップ「レパスマニス」を経営する川崎直美さんだった。 「仕入れの打ち合わせをしていたときに、川崎さんから『たまには葉山でどう?』と誘われて。 初めて来てみたら、海と山が近くて、自然があふれているところが、自分の理想に近いと思いました。 それで、『ここに店を持とう』と、直感的に決めちゃって。(笑)」

そうやって立ち上げたブランドには、ほつれなどの問題から普通は化学繊維にする縫製糸にもオーガニック・コットンを使用している。 「ビジネスの規模を小さくする。 店も都会の 1 等地と決め付けない。 そんなふうに枠組みを変えてみたら、自分の理想を追求できるようになりました。」

都会ではなく、地方から発信する。 そのモデルとなる「地域のコミュニティショップ」を実践するのに、人と情報のネットワークがある葉山は格好の土地だった。 葉山で成り立てば、神奈川の藤野や千葉の房総エリアなど、コミュニティ活動の盛んな土地でも応用できる。 井上さんは、アパレルビジネスを通して、その可能性を広げたかった。

オリジナル・ウエアの原料となるオーガニック・コットンは、インドで生産されている。 その原料を商品に仕立てるのは宮城県にある工場だ。 アパレル業界では、中国や東南アジアなど、安い労働力のある国で縫製することが常識になっているが、高い縫製技術のある日本で作るからこそ意味がある、と井上さんは言う。

「日本ではキズものなどの返品が出たら工場が責任を負うというシステムの中で、縫製技術が磨かれてきました。 ですから、現場の雇用条件は決して恵まれたものではありません。 その厳しさを見てきた僕は、デザインをできるだけシンプルにすることで手間を省き、その分、細かいこだわりを表現してもらうようにしています。」

「工場の加工賃は値切りませんし、加工原料が上がれば、値上げにも応じます。 また、現場の人に気持ちよく作業をしてもらえるように、製品化の過程で使う洗剤なども、体に害のあるものは使いません。 そのような、ちょっとした思いやりと気配りが商品に反映していくのだと思っています。」 1 枚の手触りのいい T シャツの背景には、日本の地方が抱える地域産業と雇用の課題が潜んでいる。 20 年近い取引を通じて、井上さんはその課題についても考えてきた。

「東北の工場は、農閑期に働きに出てきてくれる農家の奥さんたちに支えられています。 農業が盛んになれば、彼女たちの生活基盤は安定するし、縫製工場の雇用形態が改善されていけば、昔のように、日本の工場も成り立っていく。 自分が作るものに関わる人たちみんなで利益を分け合っていくことで、少しでも理想に近づいていければいいな、と願っているんです。」

井上さんがいう「利益」とはお金だけでなく、「気持ちのよさ」という価値も含む。 だからこそ、ブランドの身上は、あくまでも自然にさりげなく。 T シャツやワンピースは、ふわっと軽い風合いで、あえて少し大きめに作っています。 それだと重ね着も楽しめます。 体を締め付けずに、あまーく、ゆったり着てほしいですね。」 夏はシックな定番にカラフルなラインも加わる。 「水着の上にどうぞ」というところが、いかにも葉山らしい。 (清野由美、asahi = 6-28-13)


原宿・竹下通りに新商業施設、カワイイを発信 9 月開業

【平井恵美】 10 代の女性から外国人観光客まで幅広い人気を集める東京・原宿の竹下通りに、新しい商業施設が 9 月 6 日、オープンすることになった。 施設名は「CUTE CUBE HARAJUKU」。 衣料や雑貨、飲食など 10 店舗が入る予定だ。

開発や運営を担当する三菱商事都市開発が 27 日、発表した。 竹下通りのほぼ中間に位置する施設はいま建設中で、地下 1 階、地上 3 階建てになる。 テナントには、スウェーデン発祥の衣料専門店「H & M」傘下の低価格ブランド「MONKI」が関東で初めて出店することが決まっている。 残りの 9 店舗は 8 月上旬に公表される。 (asahi = 6-27-13)


お盆に 109 がやって来る 岩手の中学生、「直訴」実る

【三上修】 東京・渋谷の若者向けファッションビル「109」の人気店舗がお盆の 3 日間、岩手県釜石市にやってくる。 釜石の女子中学生が 109 の運営会社の社長に手紙を書いて実現した。 十数店がショップを開き、釜石の中学生と共同開発した洋服やバッグも販売される。

109 を運営する東急モールズデベロップメント(東京)と同市が 24 日発表した。 「SHIBUYA 109 KAMAISHI」として 8 月 16 - 18 日、同市鈴子町のシープラザ釜石で開く。 109 は若い女性に人気の 120 店が入り、地方での期間限定出店は初めて。 釜石市内の中学 3 年の女子生徒が、同社の大石次則社長に手紙を出したのは昨年 9 月。 「釜石のみんなの笑顔を取り戻したい。 そのために釜石の中高生がデザインした服をプロに作ってもらい、売ることでにぎわいを取り戻したい。」とつづった。 (asahi = 6-25-13)


「長く愛着もって着る」 女性の仕立て服が人気

体にぴたりと合った服を、愛着を持って長く着たい - -。 パターンオーダーで作る上質な服に、女性の支持が集まっている。 売り上げが前年比で 6 割も伸びているブランドもあり、「よりよい物を大切に」という潮流が現れているようだ。

「ポール・スチュアート」 生地は 19 種類

国内では三陽商会が展開する米ブランド「ポール・スチュアート」は、2010 年秋から女性用スーツのパターンオーダーサービスを始めた。 現在は、首都圏の百貨店を中心に 7 店舗で展開。 この春夏の売り上げは去年に比べて 1.6 倍になったという。 高級服地で作る「プレステージ(スーツで約 20 万円)」から、「レギュラー(同約 8 万円)」まで、四つの価格帯の計 19 種から生地を選べる。 明るいグレー地にピンクのピンストライプ、メタルボタンなど、個性的な仕立てが可能だ。

5 号から 13 号までサイズをそろえ、着丈や袖丈、ウエストや股下のサイズ調整にもきめ細かく対応する。 完成まで、スーツで約 6 週間かかる。 主な顧客は、職場できちんとしたスーツスタイルを求められる 40 代以上のビジネスウーマン。 低価格帯では、若い世代の利用も増えているという。 担当の吉田修・企画統括長は「女性の管理職が増えて需要が高まっている。 ファストファッション人気を経て、最近は『もう一度いい物を』と、一つ格上の服を求める動きを感じる。」と話す。

主役は、着る人自身

モード服でもジャストフィットを追求しているのが「ミカコ ナカムラ」だ。 デザイナーの中村三加子が「すぐに捨てられる服はもういらない。 母から娘へと受け継がれるような、本当に上質で愛着が生まれる服を作りたい」と 04 年にブランドを設立。 昨春には高級ブランド激戦地の東京・南青山にサロンを構えた。 一番人気のカシミヤコート「ルナ」は 33 万 6 千円。 定番の黒やキャメルのほか、今年は黄や朱赤も選べる。 合わせるのはスカートなのかパンツなのか、着る人の普段のスタイルに合わせて丈の長さを微調整。 注文から約 3 カ月かけて仕立てる。

中村は「主役は服でもデザイナーでもなく、着る人自身。 一人の女性が心豊かになり、自信が持てるようにお手伝いをしたい。」と語る。 上等な皮革で知られるロエベでも、コートやバッグのデザインを選び、スエードやナパレザー、オーストリッチ、クロコダイルといった素材で発注できるセミオーダーが好評という。 (中島耕太郎、asahi = 6-17-13)


空飛ぶ制服一新、その心は JAL・ANA とも 10 代目

【天野みすず】 日本の空を飛ぶ客室乗務員の制服が一新され、日本航空は今月変わった。 全日空も来年秋に新しくなる。 そのスタイルは働く女性たちの姿を映しながら時代にあわせて変化を遂げてきた。 ともに 9 年ぶりの最新作は 10 代目。 機能性とファッション性を追求しつつ、クリーニング代を抑えたりエプロンを無くしたりしてコストも削った一着だ。

日航の新しい制服は、濃紺に深紅の落ち着いた雰囲気。 2002 年に日本エアシステムとの経営統合で消えた「鶴丸」のマークも、腕のワッペンやベルトのバックルになって復活した。 10 年に経営破綻し、昨年 9 月に再上場した「新生 JAL」をアピールする。 丸山敬太さんのデザインで、コンセプトは「親しみやすさ」。 約 4,500 人の客室乗務員が袖を通す。 入社 10 年の町田ひろ美さん (34) は「伸縮性があって動きやすく、ベルトの鶴丸もキラキラしてきれい。 新たな気持ちでがんばろうって思います。」と話す。 (asahi = 6-15-13)


薄毛・出腹 … リアルすぎるマネキン 名古屋で父の日 PR

【小峰健二】 16 日の「父の日」を PR しようと、リアルすぎる「お父さんマネキン」が松坂屋名古屋店にお目見えした。 スラッとしたイケメン風でないのは、「実際の父親をイメージしてもらい、購入につなげてもらう(広報)」ねらいという。 マネキンはオランダのメーカー製。 京都市のディスプレー用品会社「彩ユニオン」が貸し出していて、日本に 5 体しかない珍品という。 大きさは 145 センチほどで猫背気味。 ぷっくりおなかが出て、頭もツルンとはげている。

5 日から 16 日まで、本館 6 階の「父の日」特設コーナーで一押し商品のステテコや手ぬぐいを着て登場。 買い物客の評判は上々で、写真を撮ったり頭やおなかをなでてみたり、さらには父に見立てて商品を合わせる人もいるという。 紳士洋品の販売担当者は「日本のお父さんって、こうですよね。 家でごろごろしている感じをよりイメージしてもらえるはず。」と、マネキン効果に期待する。 (asahi = 6-12-13)


丹後ちりめん 洋に活路 自ら商品開発

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洗濯機で洗える女性スーツ はるやま、女性誌と共同開発

はるやま商事は講談社の女性ファッション誌「ウィズ」と共同で「洗濯機で洗える女性用スーツ」を開発し、売り出した。 洗濯しても生地にしわが寄らないだけでなく、ストレッチ性に優れ、汗を吸ってもすぐに乾く機能を持たせたという。 税込みでジャケットが 1 万 9 千円、スカートが 9 千円など。 (asahi = 6-7-13)


編む、縫う メリヤス戦隊 東京・墨田で誕生

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人工クモ糸、量産技術を開発 鋼鉄より強い「夢の繊維」

【溝口太郎】 クモの糸を人工的に作った「合成クモ糸繊維」の量産技術の開発に、山形県鶴岡市のバイオベンチャー企業が成功し、24 日、東京都港区の六本木ヒルズで、織り上げたドレスを披露した。

クモ糸は、鋼鉄より 4 倍ほど強く、ナイロンより柔軟なことから「夢の繊維」と言われる。 だが、クモは縄張り争いや共食いが激しく、蚕のように人工飼育できないため、工業化は困難とされてきた。

開発したのは鶴岡市のスパイバー(関山和秀社長)。 単純な微生物にもクモ糸のたんぱく質が作れるよう合成した遺伝子をバクテリアに組み込んで培養し、たんぱく質を生成。 紡績技術も確立し、合成クモ糸の量産を可能にした。 繊維は「QMONOS (クモの巣)」と名付けた。 関山社長は「自動車や医療などあらゆる産業で利用できる。 石油に頼らないものづくりの大きな一歩だ。」と話した。 (asahi = 5-24-13)