血液 1 滴からクローンマウス 理研チームが成功
一滴の血液からクローンマウスを作ることに理化学研究所のチームが成功し、発表した。 遺伝子を提供する動物(ドナー)に負担がかからず、絶滅の危機にある種の保存などへの応用が期待できるという。 クローンは、核を除いた卵子にドナーの体細胞の核を移植し、ドナーと同じ遺伝情報を持った動物を作る技術。 臓器から体細胞を取ると手術が必要だが、血液なら簡単に採取できる。
チームは血液に含まれる白血球の細胞の核を移植した。 白血球は遺伝子が組み換わっているものがあり、クローンには不向きとされていたが、顕微鏡で直径千分の 8 ミリ以上の細胞を選べば、組み換えを起こしていない細胞を高い確率で選べることがわかった。 作製されたクローンマウスは正常な繁殖能力を示すことを確認したという。 (asahi = 6-29-13)
薬きかない MRSA、欧州で初報告 米の菌と特徴類似
【中村通子】 特効薬のバンコマイシンすら効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が、ポルトガルで見つかった。 米国以外で確認されたのは初めて。 専門家は監視体制を取るよう呼びかけている。 英医学誌ランセットが電子版で速報した。
報告によると、バンコマイシン高度耐性の MRSA (略称 VRSA)が見つかったのは、ポルトガルに住む 74 歳の女性。 重い糖尿病で足指が腐ったため、今年 5 月に切除。 術後、傷にたまった膿から VRSA が出た。 ほとんど全ての抗菌薬に高度耐性だった。 病院側は院内感染対策を強化すると同時に、抗菌薬に頼らない傷の治療をし、患者は回復した、という。 (asahi = 6-28-13)
ナノカプセルで抗がん剤、膵臓がんに効果 マウスで確認
【岡崎明子】 膵臓(すいぞう)がんを発症したマウスにごく微小なカプセルに閉じ込めた抗がん剤を使うと、生存率が大幅に向上することが東京大などの研究でわかった。 同カプセルは人への臨床試験も進行中で、治療の難しい膵臓がんの効果的治療につながると期待される。 抗がん剤は、がん細胞に届く前に多くが体外に排出されてしまううえ、がん以外も攻撃する副作用がある。 だがカプセルに閉じ込めると、がんを集中的に狙い撃ちできる。 (asahi = 6-25-13)
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遺伝子解析で腎臓がんリスク診断 死亡や転移の可能性も予見 東大と京大
京都大や東京大の研究グループは 24 日、腎臓がんの発症に関わる遺伝子異常について、約 100 人の患者の遺伝子を解析することで明らかにしたと発表した。 遺伝子異常のタイプによって、より正確に死亡や転移のリスクを診断することができるようになるという。 米科学誌ネイチャー・ジェネティクスのオンライン版に掲載された。
グループは、腎臓がんの約 8 割を占める「淡明細胞型腎細胞がん」の患者約 100 人について、手術で切除するなどしたがん細胞のゲノム(全遺伝情報)をスーパーコンピューターなどで解析し、正常な細胞と比較。 人間の遺伝子の約 30 億個の塩基対のうち、がん細胞には平均約 5 千個で変異があった。
さらに、遺伝子異常のタイプによって症例を分類すると、死亡や転移のリスクが高いグループが判明。 腎臓がん発症の原因のひとつになるとされる遺伝子異常も新たに見つかった。 研究に携わった京都大大学院医学研究科の真田昌(まさし)助教は「今回の研究は腎臓がんの遺伝子解析としては世界でも最大規模で、遺伝子異常の全体像を網羅的に解明できた。 予後の診断のほか、異常のタイプにあわせて治療法を選ぶなど、さまざまな応用が期待される」と話している。 (sankei = 6-25-13)
難病患者データベース創設へ 厚労省、治療薬の開発促す
【辻外記子】 原因不明で長期の療養が必要な難病の治療法開発を促すため、厚生労働省は今年度から、難病患者のデータベース作りに乗り出す。 難病は一つの病気あたりの患者数が少なく研究が進みにくいが、全国の患者の症状や病歴の情報を国が集約することで薬の開発などにつなげる。
データベース作りは、同省が進める難病対策の一環。 それぞれの病の患者がどこにどれだけいて、症状がどう変化しているのかを把握する。 個人情報を保護しつつ、患者のデータを研究機関などへも提供し、薬の承認に必要な臨床試験をしやすくする。 外国と共に臨床試験をする国際共同治験ができる環境も整える。
データの精密さを上げるため、登録できる医師は、専門性を持つ難病指定医(仮称)に限る。 指定医が国に直接データを送る仕組みで、2015 年度からの開始を目指す。 難病対策の見直しでは、どの病に医療費を助成するかの基準を明確化する。 現在、56 疾患の患者約 78 万人に限られる助成対象を、300 程度の疾患に拡大する方針だ。 一定の負担を一部の患者に求めることも検討しており、医療費助成以外の支援策も検討していた。 (asahi = 6-18-13)
糖尿病の合併症 目薬で治療 … 島根大が開発
糖尿病の合併症で、失明の恐れもある「糖尿病黄斑(おうはん)浮腫」を治療する点眼薬を、島根大の大平明弘教授(眼科学)らが開発したと発表、米国の眼科専門誌「IOVS ペーパーズインプレス」に掲載された。 様々な分子を取り込むオリゴ糖・シクロデキストリン (CD) を活用し、薬剤を目の奥の患部に届ける仕組み。 従来の治療法より安全で早ければ 3 年後に実用化できるといい、試験を続けている。
糖尿病黄斑浮腫は、網膜の毛細血管が血液中の糖分で傷み、水分や脂肪が漏れて網膜の中心の黄斑が腫れる病気。 物がゆがんで見え、悪化すると視力が低下する。 国内の糖尿病患者約 890 万人(推計)の 4 割に発症の恐れがあるとされる。 従来は、血管にレーザーを当てて固めたり、ステロイド剤を眼球に注射したりして治療するが、注射ではまれに炎症が起きる。
大平教授らは目薬による治療法を模索するなかで、水に溶けやすく、分子を取り込みやすい CD に着目。 CD の内側は水に溶けにくいステロイドでもなじみやすく、目薬に含ませることが可能になった。 CD には取り込んだ物質を少しずつ放出する性質もあり、ステロイドの量を調節して、網膜に達する頃に適量が出るよう工夫した。
島根大病院(島根県出雲市)で患者 19 人に 4 週間、毎日点眼したところ、うち 18 人の腫れが軽減し、14 人の視力が 0.1 程度改善した。 現在、効き目の違いや副作用の表れ方の比較試験を実施中。 大平教授は「目薬の性能をさらに高めたい」と話している。 日本眼科学会指導医で網膜の病気に詳しい山本修一・千葉大病院副病院長の話「従来の治療は合併症の危険もあったので朗報。 今後の研究に注目したい。」 (yomiuri = 6-18-13)
シクロデキストリン ブドウ糖分子が直径 100 万分の 1 ミリほどの筒状に連なった化合物。 バケツの底が抜けたような構造で、中に分子を取り込む。 におい成分をとらえる消臭剤などに広く使われている。
善玉の中に裏切り者 崩れるコレステロールの常識
【鍛治信太郎】 善玉コレステロール (HDL) は健康にいい善人。 悪玉コレステロール (LDL) を減らして HDL を増やせば動脈硬化が減る - -。 こんなコレステロールの常識が最近怪しくなってきた。 HDL にもさして善行をしないただの人や、中には悪人もいるらしい。 HDL は量だけでなく質も大事なようだ。
何かと評判の悪いコレステロール。 実は、細胞膜やビタミン、ホルモンなどをつくるうえでなくてはならない。 食べ物にも含まれるが、主に肝臓でつくられ、体の隅々に運ばれる。 この運び役が LDL。 コレステロールをたんぱく質や脂で包んだものだ。 HDL は細胞で余ったコレステロールを集めて肝臓に戻す。 包んでいるたんぱく質や脂が LDL と違う。 HDL 濃度がもともと高くて LDL 濃度が低い人は動脈硬化になりにくい。 動脈硬化症の人に HDL を注射すると症状が和らぐことも知られている。
そうした発想から血液中の HDL の濃度を上げる薬の開発が進められてきた。 しかし、昨年 5 月、スイスの大手製薬企業ロシュが進めていた薬の開発が中止された。 臨床試験で濃度は上がったが、肝心な心臓などの病気を防ぐ効果に差が出なかったからだ。 「善人の HDL を増やせばいいはず」という期待が裏切られた格好だ。 (asahi = 6-17-13)
貼り付ける新素材 … 熱と薬で、がんダブル攻撃
がんの患部に貼り付け、熱と抗がん剤のダブル攻撃で治療できる可能性のある素材を開発したと、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が 14 日、材料科学の専門誌電子版に発表した。 体の組織は、温度が高くなると血流を増やして放熱する。 がん組織の血管はその機能が不十分で、正常組織より熱に弱い。 加熱しながら抗がん剤などを使うと、効果が高まるとされる。
荏原充宏・同機構主任研究員らは、温度が上がると縮む性質のある高分子に、磁場をかけると温度が上がる物質と抗がん剤を加えて化学反応させ、繊維状に加工した。 この繊維に磁場をかけると発熱し、収縮して抗がん剤が外へしみ出す。 培養した皮膚がんの細胞の上にこの繊維を置き、磁場を 2 回(各 5 分間)かけて 45 度まで熱したところ、がん細胞は 5 日後に 27% まで減少した。 抗がん剤だけを加えた時は 40% までしか減らず、何もしないと 2.4 倍に増殖した。
研究チームは、皮膚がんのほか、食道など様々な臓器の粘膜に発生する「扁平上皮がん」の治療に応用できると期待している。 (yomiuri = 6-15-13)
子宮頸がんワクチン、検討会「一時的に接種推奨控える」
【森本未紀】 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みやしびれを訴える人が相次いでいるため、厚生労働省は 14 日、一時的に接種の推奨を控える方針を決めた。 接種は中止しないものの、自治体に対し、対象者に個別の案内を出さないよう勧告した。 法により自治体が実施している定期接種のワクチンで推奨を控えるのは異例のことだ。
この日、開かれた厚労省検討会が「痛み、しびれの原因を調査し、きちんと情報提供できるようになるまで、推奨を控えるべきだ」と結論づけた。 対象者は希望すれば、これまで通り無料で受けられるが、医療機関での接種前にも、推奨されていないことが説明される。 接種者が大幅に減る可能性がある。
子宮頸がんワクチンは 2010 年に国の助成が始まり、予防接種法改正で今年 4 月に定期接種になったばかり。 小学 6 年 - 高校 1 年の女子が対象で、父母らから安全性をめぐり懸念の声が出ていた。 これまで推計 328 万人に接種され、1,968 件の副作用が報告されている。
検討会では、接種後に体に痛みが出るなどの健康被害 43 例の原因などを話し合った。 しかし、因果関係がはっきりしないことから、委員からは「さらに調査が必要」との声が相次いだ。 同省は、予防接種と痛みの関係について、16 の大学病院などを中心に数カ月で、情報収集、分析を進め、再び、積極的に推奨すべきか結論を出す方針だ。
検討会は、接種そのものの中止は「必要はない」と結論づけた。 検討会の桃井真里子座長(国際医療福祉大副学長)は「ワクチン自体の安全性に大きな問題があるということではない。 さらに調査し、より安心な情報を出せるようにしたい。」と話した。 (asahi = 6-14-13)
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子宮頸がんワクチン、副作用で重篤 106 件
子宮頸(けい)がんのワクチンで接種後の健康被害が報告されている問題で、厚生労働省の検討会は 16 日、医療機関などから報告されていない例も含めて調査を進めることを確認した。 因果関係を判断するための情報が不足しているためという。 接種の一時中止などは必要ないとの意見で一致した。
厚労省が検討会に示した資料によると、販売が開始された 2009 年 12 月以降、3 月末時点の副作用報告は 1968 件。 接種者数でみると、1 万人に 1 人から 2 万 5 千人に 1 人の割合になる。
同省によると、製薬会社のグラクソ・スミスクライン製造のワクチンでは、医療機関から 1,001 件、製造販売会社から 704 件、別の製薬会社、MSD 製造のワクチンは、医療機関から 195 件、製造販売会社から 68 件の報告があった。 接種者数に対する報告の割合は 0.004 - 0.014%。 これまで報告されていた割合と、違いはなかった。 医療機関側が接種との関連があるとした例は 733 件だった。 (asahi = 5-16-13)
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子宮頸がんなど 3 ワクチン、4 月から定期接種の対象に
【阿部彰芳】 子宮頸(けい)がんなど 3 ワクチンを定期接種に加える予防接種法改正案が 29 日、参院本会議で可決、成立した。 4 月 1 日に施行される。 公的な接種になることで、重い副作用が起きた場合に手厚い補償が受けられるようになる。
ほかに追加されるのは、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるインフルエンザ菌 b 型(ヒブ)と小児用肺炎球菌のワクチン。 3 ワクチンは 2010 年度から暫定的に公費助成されてきた。 子宮頸がんは小学 6 年 - 高校 1 年、ヒブと小児用肺炎球菌は生後 2 - 60 カ月が定期接種の対象となる。
子宮頸がんのワクチンを巡っては、ほかのワクチンに比べて副作用報告が多いと懸念する声がある。 失神やけいれんが目立つことから、厚生労働省は「注射針を刺すことが影響している可能性がある。 中止するほどの重大な懸念はない。」としている。 予防接種法で国の救済制度が適用されれば、針を刺すことによる健康被害も医療費や障害年金の支給対象になる。 今回の法改正で、副作用情報を早く集めるため、医療機関に副作用の情報提供を義務づけた。 (asahi = 3-30-13)
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子宮頸がんワクチン重い副反応 中学生、長期通学不能に
【斎藤智子】 子宮頸(けい)がんワクチン「サーバリックス」を接種した東京都杉並区の女子中学生 (14) が、歩行障害などの重い症状が出て、1 年 3 カ月にわたり通学できない状況だったことが、7 日の区議会で明らかになった。 無料接種を行った区は「接種の副反応」と認め、補償する方針だ。 補償額は未定。
サーバリックスは 3 回の接種が必要。 母親によると、女子中学生は 12 歳だった 2011 年 10 月に区内の医療機関で 2 回目の接種をした。 その直後、接種した左腕がしびれ、腫れて痛む症状が出た。 症状は脚や背中にも広がり入院。 今年 1 月には通学できる状態になったが、割り算ができないなどの症状が残っているという。
接種した区内の医療機関は「サーバリックスの副反応」と診断し保健所に報告した。 厚生労働省によると、昨年 8 月末の時点で、全国で接種した延べ 663 万 5 千人のうち 956 人に副反応が起きているという。 失神が多いが「四肢の運動能力低下」、「歩行不能」などで未回復の例もあり、副反応の発生率はインフルエンザワクチンの 10 倍程度という。 (asahi = 3-8-13)
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子宮頸がん HPV 検査、13 年度から試験的実施
子宮頸がんの原因ウイルスに感染しているかを調べる「HPV 検査」について、厚生労働省は新年度から試験的に始める方針を決めた。 200 程度の市町村に費用を全額助成し、効果を検証する。 細胞を調べる今の検査より異常を見つけやすいとされ、全面導入できるか最適な方法を探る。 厚労省検討会が 4 日、早急な検討を求める提言をまとめた。 政府の新年度予算案に関連予算 1 億 5 千万円が盛り込まれており、厚労省は 30、35、40 歳を対象に実施する方針。
子宮頸がんは 30 代をピークに 20 - 40 代で発症率が高い。 現在の検診は 2 年に 1 度、細胞を調べる「細胞診」で、一部の年齢を対象に無料クーポン券が発行されている。 HPV 検査はウイルスの DNA の有無を調べる方法。 細胞診と合わせて実施することで見落としを減らし、次の受診までの間隔を延ばせる効果が期待されている。 (asahi = 2-5-13)
アトピー治療、ステロイド薬を塗り続けると効果的
【岡崎明子】 アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド薬で湿疹を抑えた後も薬を塗り続けた方が、重症化を防ぐ効果が高いことが、浜松医科大と国立成育医療研究センターの研究でわかった。 これまで、湿疹が出るたびに薬を塗る方法が一般的だった。 適切に治療すれば、半年 - 数年以内で薬を使わずにすむようになる人も少なくないという。
ステロイド薬を予防的に使う方法は「プロアクティブ療法」と呼ばれ、欧米では広く提唱されている。 日本アレルギー学会は昨年 11 月に治療指針に盛り込んだが、日本では科学的根拠を示す報告はなかった。 (asahi = 6-12-13)
重い糖尿病の細胞移植、拒絶反応抑制 福岡大など新技術
インスリンをつくる膵島(すいとう)細胞を重い糖尿病患者の肝臓に移植する際、拒絶反応を抑える技術を福岡大と理化学研究所が開発した。 これまでは注入した細胞の半分以上が早期に死んでしまい、再び細胞移植をするか、インスリン注射を続けなければならなかった。 7 日付の米移植学会誌電子版に論文が掲載された。 (asahi = 6-9-13)
新型の耐性遺伝子、国内に OXA48、海外では死者も
【中村通子】 「切り札」の治療薬を分解する新型耐性遺伝子 OXA (オキサ) 48 を持つ病原菌が、日本で初めてみつかった。 海外で病気になり帰国した人からだった。 この遺伝子を持つ耐性菌はここ数年、欧米などで急速に広がっており、死者は 40 人以上報告されている。 専門家は病院での監視態勢を強めるよう警告する。
昨秋、東南アジアを旅行していた 60 歳代の日本人男性が、脳卒中で倒れ現地病院に緊急入院した。 5 日後に帰国し成田赤十字病院(千葉県成田市)に転院。 その時のたんから、抗菌薬が効きにくい大腸菌が見つかった。 耐性菌に詳しい同県船橋市立医療センター微生物検査室に送り調べると、OXA48 を持つ大腸菌と分かった。 さらに男性の便や皮膚からも同じ OXA48 を持つ肺炎桿菌(かんきん)も複数見つかった。 (asahi = 6-4-13)
家族が乳がんの女性、遺伝子変異 3 割 リスク予測に期待
【医療担当・大岩ゆり】 日本乳癌(にゅうがん)学会の研究班が、母親ら家族が乳がんになった日本人女性 260 人の遺伝子を調べたところ、3 割の人は乳がんや卵巣がんのリスクを高める変異があることがわかった。 日本人の遺伝性乳がん・卵巣がんのリスク予測に役立つ成果で、3 日、米臨床腫瘍学会で発表する。
変異は遺伝子の DNA 配列の間違いのこと。 BRCA1、BRCA2 と呼ばれる特定の遺伝子に変異があると、乳がん・卵巣がんが発症しやすくなることがわかっている。 女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳房の予防切除を決断するきっかけになったのも、この変異だ。
昭和大病院(東京)や聖路加国際病院(同)、がん研有明病院(同)、相良病院(鹿児島)など全国 8 病院で遺伝子検査を受けた 260 人のうち、46 人は BRCA1 に、35 人は BRCA2 に変異があった。 両方に変異のある人も 1 人いて、計 80 人 (31%) に変異が見つかった。 欧米とほぼ同じ比率だった。 (asahi = 6-3-13)
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乳房予防切除、国内でも 遺伝性乳がん、都内 2 病院準備
【医療担当 = 大岩ゆり】 健康な人が乳がんを防ぐために乳房を事前に切除する手術が国内でも始まる。 体験を公表した女優のアンジェリーナ・ジョリーさんのように、特定の遺伝子に変異があり、遺伝性の乳がんのリスクが高い人が対象だ。 がん研有明病院(東京)のチームは 6 月にも、病院の倫理委員会に臨床研究として申請する。 聖路加国際病院(同)も実施態勢を整えた。
国内では毎年約 6 万人が乳がんになり、5 - 10% が「BRCA1、2」などの遺伝子に変異がある遺伝性の乳がんだ。 変異がある人がみな、がんになるわけではないが、がんの不安や恐怖に悩む女性の選択肢が増えることになる。
がん研有明病院の臨床研究では、遺伝子に変異がある希望者に、がん発生前に乳房切除の手術をする。 片方に乳がんが見つかった人が反対側を予防切除するのも対象。 本人が遺伝カウンセリングを受け、希望すれば遺伝子検査を受ける。 変異が見つかれば、切除の利益と不利益を十分に理解した上で切除するか判断することを条件とする。 手術では、がんが発生する乳房内の乳腺部分を取り除く。 (asahi = 5-20-13)
認知症、高齢者の 15% に 厚労省調査、85 年から倍増
【寺崎省子、武田耕太】 65 歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計 15% で、2012 年時点で 462 万人にのぼることが、厚生労働省研究班(代表研究者・朝田隆筑波大教授)の調査でわかった。 軽度認知障害 (MCI) と呼ばれる「予備群」が約 400 万人いることも初めてわかった。
調査は、09 - 12 年度、専門医などがいて診断環境が整っている茨城県つくば市、同県利根町、愛知県大府市、島根県海士町、佐賀県伊万里市、大分県杵築市、福岡県久山町、同県大牟田市など 8 市町で選んだ高齢者 5,386 人分の調査データを使い、国立社会保障・人口問題研究所による高齢者人口(12 年)に有病率を当てはめて推計した。 1985 年に行われた前回の全国調査は、本人と家族への聞き取りデータだけ使っていたが、今回は画像診断も併用して国際基準に従って専門医が診断した。 (asahi = 6-1-13)
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「大豆・野菜たっぷり」で認知症予防 九州大など報告
【編集委員・田村建二】 認知症にかからないためには大豆食品や野菜をたくさん、ご飯は控えめ - -。 九州大などの研究チームが福岡県久山町で続けている住民調査を通じてそんな食事パターンを導き出し、米国の臨床栄養学雑誌で報告した。効果的で、日本人に合った食パターンが判明したのは初めてという。
久山町に住む 60 - 70 代の約千人を 15 年間ほど追跡したデータを分析。 認知症のリスクとの関係が指摘される飽和脂肪酸やカリウムといった七つの栄養素を手がかりに、認知症の予防に役立つ食パターンを探った。 その結果、一定の摂取カロリーの中で、大豆や大豆製品、野菜、海藻、牛乳や乳製品を多めに、相対的にご飯が少なめの組み合わせが効果的とわかった。 このパターンの度合いが最も高い人たちは最も低い人たちに比べ、認知症になるリスクが 3 割あまり低かった。 (asahi = 6-1-13)
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アルツハイマー予防、日米で治験へ 脳の蓄積物質で診断
【行方史郎 = ワシントン、編集委員・田村建二】 アルツハイマー病が発病する前から診断や治療を行い、予防を目指す前例のない臨床研究や臨床試験(治験)が日米で始まる。 「症状が出る前なら予防可能」という考えに基づく。 うまくいけば、治療の大きな転換点となる。
アルツハイマー病は、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質が脳に異常に蓄積することが発症に関わっている。 だが、蓄積が始まってから、物忘れなどの初期症状が現れるまでには 5 - 10 年かかる。 これまでもβアミロイドを狙う薬は開発されているが、症状のある患者を対象にした試験では期待された効果は出ていない。 現在は病気の進行を抑える薬しかなく、根本的な治療法はない。 (asahi = 5-28-13)
新型細胞使い糖尿病改善 重症ラット、京大成功 インスリン分泌持続
血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓の膵島細胞と、増殖能力を持つ幹細胞を融合させた新たな細胞を作り、重症糖尿病のラットに移植して改善させることに京都大の角昭一郎准教授(再生医療)のチームが成功し、米オンライン科学誌プロスワンに発表した。
インスリン不足などで起きる糖尿病では重症の場合、臓器提供者の膵島を移植する治療があるが、十分な効果を得るには複数の提供者が必要なことが多く、慢性的に不足。 今回の手法は、膵島だけの移植よりインスリン分泌が長く続き効果が高く、新たな治療法として開発が期待される。
チームは、骨髄の中にあり細胞増殖や細胞死抑制の能力が高く、さまざまな細胞になる能力も持つ間葉系幹細胞に注目。 ラットから採取して培養した間葉系幹細胞と、膵島細胞に電流を通し、細胞膜を壊して融合させた。 融合細胞を、重症糖尿病のラットに移植、約 3 カ月にわたり血糖値が下がり続けた。 (sankei = 5-29-13)
仏で新型ウイルス感染者が死亡 - 世界で 24 人目
【パリ】 フランス政府は 28 日、新型肺炎 (SARS) に似た新型コロナウイルスに感染した 65 歳の男性が同国北部リールの病院で死亡したと発表した。 世界保健機関 (WHO) は 27 日、新型コロナウイルスについて現在最大の世界的な健康不安であると警戒を呼び掛けた。 この男性は、同国で 5 月に入って感染が確認された 2 人のうちの最初の人で、4 月にアラブ首長国連邦 (UAE) に滞在し帰国していた。 もう 1 人は隔離され集中治療を受けている。
WHO は、昨年 9 月に新型コロナウイルスが初めて感染が確認された後、監視を続けている。 世界では 44 人の感染が確認され、今回のフランス人の例を含め 24 人が死亡している。 新型コロナウイルスの感染例が最も多いのは中東もしくは最近中東を訪れた旅行者で、世界保健機関 (WHO) によれば国別ではサウジアラビアが 33 人と最も多い。 先週には、チュニジアで初めて確認され、これで感染者が出たのは 9 カ国になった。
感染経路は十分には把握されていないが、ヒトとヒトとの接触で広がる。 ただ、WHO 当局者によれば簡単には感染は広がらないとみられている。 WHO のチャン事務局長は 27 日、WHO 年次総会の閉幕演説で「この新型コロナウイルスについて潜在的な脅威が大きいにもかかわらず、ほとんど分かっていない」と危機感を示した。 WHO など国際保健関連機関は先週、新型コロナウイルスを「中東呼吸器症候群コロナウイルス (MERS・CoV」と命名することを承認した。 (Mimosa Spencer、The Wall Street Journal = 5-29-13)
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新型コロナウイルス、サウジで医療従事者が感染
【ジュネーブ = 石黒穣】 世界保健機関 (WHO) は 15 日、新型コロナウイルスに関して、サウジアラビアで医療従事者 2 人の感染が新たに確認されたと発表した。 共に 40 歳代の男女で、患者と接触した後に発症した。 医療従事者が感染者からウイルスをうつされたことを示す初の事例という。
感染者が確認された国はサウジアラビア、ヨルダン、カタール、英国、フランス、ドイツの計 6 か国に広がっている。 世界全体で同日までに感染者は 40 人、このうち死者が 20 人になった。 これまでにサウジアラビアに渡航歴のある患者とその家族内や、感染者と同じ病室内にいた患者での感染例が確認されている。 (yomiuri = 5-16-13)
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新種コロナウイルス、ヒト・ヒト感染か 中東・欧州で
【カイロ = 神田大介】 世界保健機関 (WHO) は 12 日、中東や欧州で確認された重症急性呼吸器症候群 (SARS) と同じコロナウイルスの新種ウイルスについて、人から人へ感染した可能性があることを明らかにした。 ロイター通信が伝えた。
これまでにサウジアラビアやヨルダン、カタール、英国、ドイツなどで 30 人以上が感染し、18 人が死亡している。 WHO のケイジ・フクダ事務局長補は訪問先のサウジアラビアの首都リヤドで「現時点で確証はないが、感染者は複数の異なる地域で見つかっており、人から人への感染の可能性が高い」と語った。 (asahi = 5-12-13)
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SARS 類似の新種ウイルス感染、サウジで 5 人死亡
【アブダビ = 村山祐介】 サウジアラビアの保健省は 1 日、重症急性呼吸器症候群 (SARS) と同じコロナウイルスの新種ウイルスへの感染で、数日間にサウジ東部で 5 人が死亡、2 人が集中治療を受けていると発表した。 国営通信が伝えた。 AFP 通信によると、新種ウイルスはサウジやヨルダン、ドイツ、イギリスなどで 23 人の感染が確認され、うち 16 人が死亡したという。 (asahi = 5-2-13)
免疫にブレーキ、たんぱく質発見 治療や予防に期待
【野中良祐】 生命を感染などから守る免疫細胞の暴走を防ぐ「ブレーキたんぱく質」を、大阪大などの研究チームがマウスで発見した。 免疫細胞が暴走すると、関節リウマチやシェーグレン症候群などの自己免疫疾患を起こす。 一方で、がんと闘う働きもあり、ブレーキのきき具合を調整できれば幅広い病気の治療や予防につながると期待される。
白血球の一種「T 細胞」は、複雑な免疫機能の司令塔役を務めている。 大阪大の審良(あきら)静男教授(免疫学)らは、T 細胞の中にある Regnase1 というたんぱく質を作れないマウスを使い、働きを調べた。 すると、T 細胞のほぼすべてが活性化している異常な免疫状態になっていた。 詳しく調べると、T 細胞は普段、ブレーキ役の Regnace1 によって抑制されているが、いざ細菌など異物が体内に入ると、その刺激でこの物質が減り、T 細胞のブレーキがはずれて活性化することが分かった。 (asahi = 5-24-13)
風疹感染、全都道府県に拡大 患者数は昨年の 40 倍
【森本未紀】 風疹の患者数が今年に入り、累計で 6 千人を超えた。 国立感染症研究所が 21 日、発表した。 昨年同時期に比べると 40 倍の多さだ。 唯一患者が発生していなかった高知県で 1 人患者が出て、全ての都道府県で発生した。 患者の全数調査を始めた 2008 年以降初めて。
感染研によると、最新の 1 週間(6 - 12 日)の全国の患者報告数は 587 人で前週に比べ 117 人増えた。 今年に入ってからの患者数は 6,725 人となった。 都道府県別では東京都が 2,038 人で最多。 大阪府 1,210 人、神奈川県 907 人と続く。 最新の 1 週間では、大阪府が 186 人と東京都の 113 人よりも多く、突出している。
これまでは、首都圏などの都市部が流行の中心だったが、感染は地方へと拡大している。 風疹は妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに障害が出るおそれがあり、感染研が注意を呼びかけている。 (asahi = 5-21-13)
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風疹患者数が 5 千人超 厚労省、ワクチン検討を
国立感染症研究所の 8 日の発表によると、今年の全国の風疹患者数が 4 月 28 日までに累計 5 千人を超えた。 過去 5 年で最多だった昨年 1 年間の倍以上になっており、厚生労働省は免疫を持たない人が多い 20 - 40 代を中心にワクチン接種の検討を呼び掛けている。 風疹は感染症法に基づきすべての患者が報告される。 4 月 22 - 28 日の新規患者数は 526 人で、年初からの累計は 5,442 人となった。 昨年は計 2,392 人だった。
ここ数週間の新規患者は毎週 500 人超の高水準が続いている。 都道府県別では大阪(135 人)、東京(124 人)、神奈川(61 人)、兵庫(43 人)の順に多かった。 妊娠初期の女性が風疹に感染すると赤ちゃんに心臓疾患や難聴といった「先天性風疹症候群 (CRS)」が起こる恐れがある。 だが厚労省によると、適齢期の 20 - 40 代は過去のワクチン接種率が低かったことなどから、男女ともに約 15% が十分な免疫を持っていないとみられるという。 (sankei = 5-8-13)
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風疹予防接種、企業が補助も 20 - 40 代男性に大流行
【森本未紀】 風疹の患者数が今年わずか 3 カ月で、昨年 1 年分を上回った。 患者の大半を 20 - 40 代男性が占める。 こうした世代を抱える企業に、予防接種の費用を補助する動きが出始めている。
国立感染症研究所が 2 日、風疹の患者数は 3 月 27 日現在で 2,418 人と発表した。 ピークは 6 月とみられ、さらに増えるおそれがある。 全国集計が始まった 2008 年は 292 人。 09 年 147 人、10 年 87 人、11 年 371 人、12 年は 2,353 人だった。 都道府県別では東京が 1,025 人と最多。 神奈川 339 人、千葉 191 人、大阪 174 人、埼玉 172 人、兵庫 134 人などの順。
感染研によると、風疹の予防接種は 1994 年まで中学生女子に限られていたため、20 - 40 代男性で風疹に対する免疫のある人は 8 割程度しかいないという。 (asahi = 4-3-13)
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風疹患者、5 年で最多 1 週間で 219 人、首都圏が過半
【森本未紀】大流行が続く風疹の患者数が、最新の 1 週間(2 月 18 - 24 日)で全国で 200 人を超え、週ごとの感染者数はこの 5 年で最高になったことが、国立感染症研究所が 8 日に公表した集計で分かった。 患者の半数以上が首都圏で報告されている。 流行地域ほど予防接種率が低かった。
2 月 24 日までの 1 週間に、風疹の患者は 219 人が報告された。 このうち東京都の患者が 78 人と最多で、今年に入ってからの累計患者計 1,029 人の半数近くも都内で出ている。 埼玉、千葉、神奈川の 3 県も含めた首都圏では全体の 7 割を超えた。 近畿でも、大阪府が 59 人、兵庫県 50 人と患者が多い。 風疹の予防接種は 1994 年まで、中学生の女子に限られていたため、予防接種をしていない 20 - 40 歳代男性が感染し、大流行につながったとみられている。 (asahi = 3-8-13)
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風疹、冬に異例の大流行 1 月で年平均患者数超える
【森本未紀】 風疹が猛威をふるっている。 1 月だけで、平均的な年間の患者数を超えたほか、大流行した昨年の 1 月の 13 倍という流行ぶりだ。 妊婦が感染して、心臓などに障害が出た赤ちゃんも昨年から 6 人が報告された。 1 年間の報告が 2 人を超えるのは 8 年ぶり。 厚生労働省は、妊娠を望む女性や夫らに予防接種を急ぐよう、呼びかけている。
国立感染症研究所の 5 日の発表によると、最新の 1 週間(1 月 21 - 27 日)の風疹患者は 76 人。 1 月の累計で 254 人が報告され、2008 年から 4 年間の平均年間患者数 224 人を上回った。 風疹は春から初夏に多い傾向があり、年間の患者数が 2,353 人と大流行した昨年も 1 月は 19 人にとどまっていた。
流行は首都圏や近畿圏が中心で、若い男性に多いのも特徴だ。 女性の 3 - 4 倍で、20 - 40 代が 8 - 9 割を占める。 風疹の予防接種は 1994 年まで、中学生で女子に限られていた影響とみられる。 風疹は、患者のせきやくしゃみから感染し発疹や熱などが出る。 治療法はないが、一度感染するか予防接種を受けて十分な免疫ができれば、再び感染することはない。 妊婦は予防接種を受けられない。 (asahi = 2-5-13)
1 日 40 分運動する高齢者、がん・認知症リスク 2 割減
【辻外記子】 1 日に 40 分ほど体を動かす高齢者は 10 - 15 分程度の人より、がんや生活習慣病や関節痛、認知症になるリスクが平均 21% 低いことが、厚生労働省研究班の研究でわかった。 結果から厚労省は、65 歳以上の高齢者について「1 日合計 40 分体を動かすこと」とする健康づくりの活動基準をまとめた。高齢者についての基準は初めて。
研究班(主任研究者 = 国立健康・栄養研究所健康増進研究部の宮地元彦部長)が国内外の論文を分析し、リスク低下を確かめた。 活動量が増えると、がんのもとになる細胞ができにくくなるほか、血の流れが良くなることが理由らしい。 無理をして体を壊さないよう注意が必要だが、散歩やストレッチ、皿洗いなどどんな動きでも効果があるという。 (asahi = 5-18-13)
厚労省、豚生レバー危険性評価へ E 型肝炎ウイルスを調査
豚の生レバー(肝臓)を食べると E 型肝炎ウイルスに感染して重症化、死亡する恐れもあるとして厚生労働省は 17 日、豚レバーにウイルスがどれぐらい存在するか実態調査に乗り出す方針を決めた。 早ければ夏にも着手し、危険性を客観的に評価するためのデータを収集、飲食店での提供禁止など法規制も視野に入れ対応を検討する。
厚労省は昨年 7 月、牛レバーから病原性大腸菌 O157 が見つかったことで、食品衛生法に基づき牛レバ刺しの提供を禁止した。 牛の代わりに豚の生レバーなどを提供する店が増えているとみられ、厚労省は自治体を通じた調査(昨年 12 月時点)で全国に 80 店を確認している。 (kyodo = 5-17-13)
ES 細胞から悪性がん作製 発症のしくみ解明に期待
【下司佳代子】 ES 細胞(胚性幹細胞)から悪性度の高いがんをつくることに、国立成育医療研究センター研究所や慶応大のチームがマウスで成功した。 がんが発症するしくみの解明につながると期待される。 15 日付の米科学誌プロスワンで発表した。 同研究所の阿久津英憲・幹細胞・生殖学研究室長らは、マウスの精子と卵子の遺伝子を操作して、赤ちゃんの臓器をつくるのに欠かせないたんぱく質「βカテニン」ができない受精卵を作製。 そこから ES 細胞をつくり、性質を知るためにマウスの背中に移植した。 (asahi = 5-16-13)
糖尿病の人、がんのリスク 1.2 倍に 肝臓がんは 2 倍
【辻外記子】 糖尿病の患者は、がんになるリスクが 1.2 倍になることが、日本糖尿病学会と日本癌学会による研究でわかった。 肝臓がんや膵臓がんは 2 倍程度だった。 糖尿病患者は国内に約 900 万人いるとみられ、両学会は 14 日に会見を開き、バランスのよい食事や運動、禁煙・節酒で糖尿病とがんの両方を防ぐことが重要と訴えた。
両学会・合同委員会の津金昌一郎・国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長らが解析した。 35 歳以上の男性 15 万 5 千人、女性 18 万 1 千人を平均 10 年間、追跡すると、男性約 2 万人、女性約 1 万 3 千人が、がんになった。
この人たちを対象に、糖尿病の人が、がんになるリスクを糖尿病でない人と比べると、がん全体では 20% 高くなっていた。 肝臓がんは約 2 倍、膵臓がんが約 1.9 倍、大腸がんは 1.4 倍だった。 子宮内膜や膀胱がんのリスクも上昇する傾向がみられた。 一方、乳がんや前立腺がんとの関連はみられなかった。 (asahi = 5-14-13)
九州の産科、無精子症でも受精 これまで 80 人誕生
無精子症の男性の精巣から精子が成熟する前段階の細胞を取り出し、安定的に体外受精を成功させる手法を確立したと、セントマザー産婦人科医院(北九州市)が 10 日発表した。
移植した胚のうち出産にいたったのは 1 割弱だが、2012 年 6 月に最初の女児が誕生し、これまでに 80 人の赤ちゃんが生まれたという。 院長によると、無精子症の男性の一部は未熟だが受精能力のある円形の「前期精子細胞」まではつくれる。 同医院は大きさや中身の違いからこの細胞とそれ以外の細胞を区別できることを発見。 卵子に電気刺激を与える方法で、受精率を向上させた。 (kyodo = 5-10-13)
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