鹿大 : 上海で初の入試 グローバル化、アジアの人材確保

鹿児島大学は初めて、中国・上海での現地入試を実施した。 大学のグローバル化が求められる中で、アジアの優秀な人材を集める狙いがある。 大学院人文社会科学研究科の前期課程(修士)に 3 人、後期課程(博士)に 2 人が受験した。 合格発表は来月 21 日で、合格者は 10 月に「秋入学」する。

現地入試は広島大など一部で実施例がある。 鹿大は「『待ち』の姿勢では優秀な人材を確保できない」と 4 年前から準備を始め、今月 26 日に上海のホテルで面接を実施した。 面接は全て日本語で、語学力や研究計画などを審査した。 受験した 5 人は、鹿大が交流協定を結んでいる、▽ 湘潭大(湖南省)、▽ 山東師範大(山東省)、▽ 長江師範学院(重慶市)の学生。 3 月にインターネットを使った予備審査を経て現地面接に臨んだ。

中国では通常、6 月に大学を卒業する。 日本の大学院に進む場合は、半年ほど「研修生」として日本語を学んだり生活環境に慣れ、翌年度入学するのが一般的という。 現地入試により、居住地からの往復の交通費や研修生期間の生活費などが数十万円単位で不要になるため、受験生にとっては入試のハードルが下がり、大学側にとっても多くの人材に留学の機会を提供できるメリットがある。

中国だけでなく韓国、ベトナム、フィリピンなどアジア諸国の留学生確保につなげたい考え。 研究科長の平井一臣教授は「受験生の数は多すぎず少なすぎず、レベルも高かった」と総括し、「鹿大を『ハブ』にして、アジア各国の留学生が集うようになれば。 日本の学生にも刺激になってほしい。」と期待を膨らませた。 (山崎太郎、mainichi = 5-30-13)


中国での著作権侵害、年間 6.5 兆円 日本アニメなど

【藤井裕介】 文化庁は 24 日、日本のアニメやゲームの中国での著作権侵害は推計で年間 906 億件にのぼり、正規の購入金額で換算すると総額 6 兆 5 千億円になるとの調査結果を発表した。 「海賊版のダウンロードなど、オンライン上の侵害が中心。 中国政府にも依頼して対策を進める。」と話している。

今年 3 月、中国の北京、上海、広州、重慶の 4 市で市民計 4 千人を対象に、日本のアニメ映画やコミックなどをどのように入手しているかを調べ、その結果から推計した。 インターネットで視聴したり書店で買ったりした件数を市ごとにみると、年間平均で 1 人あたり 210 - 280 件にのぼり、そのうち 90 - 130 件は著作権者に無許諾で流通していたとみられるという。 中国全土で推計すると年間 906 億件が無許諾で入手された計算になるという。 (asahi = 5-25-13)


LINE、中国版で検閲 天安門事件など「禁止語」に

【広州 = 小山謙太郎】 日本発のスマートフォン向け無料メール・通話アプリ「LINE (ライン)」の中国版が、利用者の通信内容をアプリ上で自動的に検閲していることがわかった。 政治的に敏感とされる言葉を使うと「メッセージに禁止語が含まれている」と表示され、送信できなくなる。 ラインは通話のほか一対一の短い文章のやりとりに使われ、先月末に世界の利用者が 1 億 5 千万人に達した。 日本の運営会社「LINE」は中国企業の「北京奇虎科技」と提携し、昨年 12 月から「連我」というアプリ名で中国国内でのサービスを始めている。 (asahi = 5-22-13)


マックスバリュ中部、今秋に中国進出 蘇州市に 1 号店

中部地盤の食品スーパー、マックスバリュ中部(三重県松阪市)は 20 日、今秋、中国江蘇省・蘇州市に 1 号店を出店すると発表した。 ターゲットは、日本の小売業の品質管理に信頼を置く中・高所得者層。 生鮮食品のほか、日本で人気の総菜も展開。 3 年間で 15 店舗の出店を目指す。

4 月に親会社イオンの中国法人とともに資本金約 12 億円で子会社を設立。 物流ネットワークでは三菱商事や三菱食品とも協力する。 担当者は「日本流の安全・安心を中国の消費者に紹介したい」と話す。 イオン傘下のマックスバリュ各社は近年、中国市場に力を入れている。 マックスバリュ東海は1 月に広東省に出店。 マックスバリュ西日本も今夏、山東省での出店を予定している。 (asahi = 5-20-13)


北京で日本問うクイズ大会 延期乗り越え民間交流を再開

【北京 = 林望】 中国・北京の中国人民大学で 19 日、日本語を学ぶ中国各地の学生が日本の知識を競うクイズ大会が開かれた。 昨年は尖閣諸島を巡る対立で延期されたが、民間の交流は閉ざさないとの双方の思いで実現。 過去最多の 60 大学から参加した学生が、レベルの高い戦いを繰り広げた。

日本財団と中国の大学の共催で 2004 年から続く大会。 参加者らは「ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授が医学部を卒業したのはどの大学?」など、日本人でも頭を抱えそうな問題にも素早く答えて会場を沸かせた。 上位入賞者は 7 月、日本に招待されて日本の大学生らと交流する。

昨年の大会は尖閣国有化の影響で延期された。 開催の機運が生まれたのは今年 1 月。 日本の政治家が相次いで訪中し、中国の指導者が「(政治的な対立を)民間交流には影響させない」との姿勢を示した。 団体戦で優勝した上海の東華大学日本語学科 3 年の焦蘇揚さん (21) は「日本語学科の学生だけでなく、デザイナーを目指す私の友達は今も日本に行きたいと夢見ている。 反日デモで過激なことをした人たちが全てではない。」と話した。 (asahi = 5-19-13)


中国の若手医師、日本で研修 日本財団など調印式 北京

【北京】 若手の中国人医師や看護師を研修のため日本に迎え、中国の医療水準の向上を目指す日中笹川医学協力プロジェクトの調印式が 17 日、北京であった。 来年度から 5 年間、毎年 30 人を日本の大学や病院、研究所に派遣する。

プロジェクトを主催する日本財団の尾形武寿理事長と中国国家衛生・計画出産委員会の馬暁偉副主任が調印した。 費用は、1 人あたり年間 360 万円のうち中国側が 330 万円、日本財団が 30 万円を負担する。 日本財団は「日中笹川医学奨学金」として、1987 年から 25 年間、総額約 87 億円を投じ、中国から延べ 2,188 人の医療関係者を日本に迎えた。 中国側が研修の継続を要望。 新たなプロジェクトを立ち上げることになった。 (asahi = 5-18-13)


日本の対中投資、関係悪化でも 9% 増 中国商務省

中国商務省は 16 日、日本の対中直接投資実行額が 1 - 4 月の累計で前年同期比 9.2% 増の 29 億 4,400 万ドル(約 3 千億円)だったと発表した。 日本を含む世界からの投資額は、1.2% 増の 383 億 4 千万ドルだった。 世界からの対中投資は中国の人件費上昇などを受けて鈍化。 沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中関係悪化の影響は続いているが、日本企業は中国への投資を拡大している。 4 月単月の世界から中国への投資額は前年同月比 0.4% 増と低い伸びにとどまった。 (kyodo = 5-16-13)


「チャイナプラスワン」の課題 現地調達に苦労する日本企業

「チャイナプラスワン。」 中国に進出した製造業で使われる言葉だ。 誰もが知っているように昨年の尖閣問題、もう少し遡ると漁船の体当たり事件と中国内で反日的な行動を起こさせる事件が起きている。 昨年の尖閣問題でもそうであったが、中国における反日リスクは以前に比べ格段に大きくなっていると言わざるを得ない。 それは従業員のストライキなど生産活動に大きな影響を与えることもあるが、市場としての中国において日本企業であることがリスクとなっている。

この政治的リスクの他に製造業においては、労働者の賃金水準の急激な上昇というリスクも背負っている。 以前のような賃金水準で労働者を雇うのは不可能となっている。 もはや中国においても生産効率を追求することなしにはやっていけないのである。 そうした製造企業では、カントリーリスクを避ける、中国一極集中を避けるためにアジアの別の国に生産拠点を設ける動きが強まっている。 それが「チャイナプラスワン」である。 その候補地は、ベトナム、タイ、ミャンマー、バングラディッシュなどがある。 業種によってプラスワンの国選びは変わってくると思われる。

現地調達の難しさを痛感

わたしがかつて関与していた電機系日本企業は、先陣を切るように中国に進出して、今では中国内に数箇所の拠点を有している。 この企業は、尖閣などのチャイナリスクが起きる前から中国一極集中を避けるためにベトナムにプラスワンを求めて進出した。 進出先のベトナムでは、「人」の面では中国で培ったノウハウを駆使して、教育し育成を進めてある程度想定通りに出来ているとのことであった。 ところが、工場の生産で使用する部材の調達では、中国のようにはいかないことを痛切に感じることとなっている。

中国工場では、部材の現地調達率は非常に高く、一部の特殊な部材を除いてほぼ現地調達が出来ている。 これには日系の現地工場からの調達も含むのは言うまでもない。 さすがに中国企業だけですべての部材を調達することは出来ない。

一方、ベトナム工場では、日系企業からの現地調達が進まないこともあるが、中国では中国企業から調達出来ているものがベトナムでは現地調達できないのである。 従って、ベトナム工場の現地調達率は思うように上がらず、日本を含めた海外からの調達が続いている。 特に、ベトナムでは副資材の調達にも苦労をしている。

比較的進んでいるベトナムでこの状況であるから、国によってはもっと大変なことになっていることは容易に想像できる。 チャイナプラスワンを検討することは、リスク管理として大事なことだが、中国ほど工業インフラが揃っている国は他にないのもまた事実であることをよく認識しておく必要がある。 (根本隆吉、中国ビジネスヘッドライン、サーチナ = 5-13-13)


日産、中国販売 2% 増 トヨタも回復の兆候

日産自動車は 6 日、中国での 4 月の新車販売台数が前年同月比 2.7% 増の 10 万 2,800 台だったと発表した。 沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で苦戦が続いていたが、激しい反日デモから半年以上を経て、ようやく前年並みの水準に回復してきた。 日産の中国販売は昨年 9 月以降、春節(旧正月)の季節要因でプラスとなった今年 1 月を除き、2 桁の大幅な前年割れが続いていた。

トヨタ自動車が 6 日発表した 4 月の中国販売は 6.5% 減の 7 万 6,400 台と、減少率は 1 桁台にとどまった。 トヨタも昨年 8 月以降、今年 1 月を除いて 2 桁減が続いていたが、回復の兆しが出てきた。 ただ、マツダは 15.2% 減の 1 万 2,353 台と苦戦が続き、メーカーによって回復のスピードに差が出ている。 (kyodo = 5-6-13)

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レクサス・アキュラも中国生産へ 現地化進めて独を追撃

中国で開かれている「上海国際モーターショー」で、トヨタ自動車とホンダが、中国で高級車を生産する考えを相次いで打ち出した。 高い成長が見込める中国の高級車市場で、「現地産」をアピールしてシェア拡大をねらう。 中国トヨタの大西弘致(ひろぢ)社長が 21 日、報道陣に高級車ブランド「レクサス」の現地生産について「(北米に次ぐ)海外で 2 番目の量販地域として手をあげたい」と話した。 中国での販売の伸びなどを見極めて時期を決める。 (asahi = 4-22-13)

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日本車攻勢、ウリは「中国製」 上海モーターショー開幕

【上海 = 南日慶子、斎藤徳彦】 上海国際モーターショーが 20 日、開幕した。 世界最大の中国市場をにらみ、部品メーカーも含めて 2 千社が集うが、日本勢には尖閣問題での逆風がおさまりきらぬままだ。 強まる見通しの環境規制を追い風にして立て直せるか。

「日本車、全力反撃。」 上海の地元紙に、こんな見出しが躍る。 日本メーカーの巻き返しは注目の的だ。 2012 年、中国では新車が 1,930 万台売れ、4 年続けて世界一。 13 年は未曽有の 2 千万台が濃厚だが、日本勢は「店から客が消えた(大手)」という尖閣問題の影響が残る。 20% 前後だった国別シェアは 7% 台に落ち、今も 15% だ。

迎えた上海ショー。 日系メーカーの首脳は、負のイメージを拭おうと躍起だ。 ホンダの伊東孝紳社長は「中国にあった商品を研究している。」 トヨタ自動車の内山田竹志副会長は「私たちの気持ちには、何の揺らぎもない。」 カギは「中国産」だ。

トヨタは 15 年をめどに、中国でハイブリッドシステムをつくる。 これを搭載するコンセプトカーのブースに「中国制(製)造」と掲げた。 初めて中国向けに開発し、中国でつくって中国で売る 2 車種も紹介した。 日産自動車も、中国の若者向けのコンセプトカーを発表し、アンディ・パーマー副社長は「80 後(パーリンホウ)」と繰り返した。 今後の消費の中核となる「80 年代生まれ」へのラブコールだった。 (asahi = 4-21-13)

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日本勢の 1 - 3 月中国自動車販売は前年割れ、回復道半ば

[北京/東京] 3 日までに発表された 1 - 3 月の日本メーカーの中国自動車販売は、「反日」の影響を受けた昨年の落ち込みから完全に立ち直っていないことを示した。 2013 年の中国自動車販売は 7% の増加が予想されているが、スタートで米欧勢に出遅れた感がある。

マツダが 3 日発表した 1 - 3 月販売台数は前年同期比 21.5% 減。 日産自動車は 15.1% 減、トヨタ自動車は 12.7% 減少、ホンダは 5.2% 減だった。 IHS オートモーティブの西本真敏アナリストは、前年比の減少幅は縮小しているものの、率にしてまだ 10% 前後あり、日本勢が苦戦していることを示すと指摘。 この状況が今年だけでなく、来年、再来年も続く可能性があるとの見方を示した。

日本勢の販売は、尖閣問題をめぐる対立をきっかけに中国各地で激しい反日運動が起こった昨年 9 月に比べれば回復したが、フォルクスワーゲンやゼネラル・モーターズ (GM) などの米欧勢に後れを取っている。 中国汽車工業協会 (CAAM) のデータによると、中国乗用車市場における日本勢の 2 月末時点のシェアは 12.5%。 昨年末の 16.4% から低下した。 これに対しドイツ勢は 18.4% から 19.3% に拡大した。 3 月のデータはまだ発表されていない。 GM の 1 - 3 月の中国販売は前年比 9.6% 増だった。 (Reuters = 4-3-13)

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中国で日本車販売、前年割れ続く 1 - 2 月、尖閣影響

【北京】 日産自動車とホンダ、マツダは 4 日、1 - 2 月の中国での新車販売台数がいずれも前年同期比でマイナスだったと発表した。 既に公表済みのトヨタ自動車も前年割れだった。 沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で低迷した中国での新車販売は最悪期を脱したが、本格的な回復には、なお時間がかかりそうだ。

各社の発表によると、日産は 14.1% 減の 17 万 4 千台、ホンダは 4.1% 減の 7 万 9,272 台、マツダは 19.4% 減の 2 万 9,501 台。 トヨタは 13.3% 減の 10 万 8,800 台だった。 中国では尖閣問題で日本車が低迷する一方、ドイツ勢や韓国勢が販売を拡大している。 (kyodo = 3-4-13)

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トヨタ自動車、2 月の中国販売は前年比 45.7% 減

[上海] トヨタ自動車は 1 日、2 月の中国での自動車販売台数が 3 万 6,300 台となり、前年比 45.7% 減少したことを明らかにした。 1 月は同 23.5% 増だった。 2 月の販売台数は、大半のショールームが閉まる春節(旧正月)休暇の影響を受けている。 昨年は 1 月に春節休暇があった。 1 - 2 月の販売台数は前年同期比 13.3% 減の 10 万 8,800 台。

トヨタは、中国の第一汽車集団(FAW グループ)、広州汽車集団と自動車合弁事業を行っている。 同社の今年の中国での販売目標は前年比 7.1% 増の 90 万台。 日産自動車の中国部門の幹部も今週、1 -2 月の中国販売が前年比約 20% 減少する可能性があると述べている。 (Reuters = 3-1-13)

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中国での新車販売、国内 3 社が前年比増 1 月

乗用車大手 4 社が 4 日、中国の 1 月の新車販売台数を発表した。 日産自動車とホンダが昨年 8 月以来 5 カ月ぶりに前年同月比プラスとなった。 販売店の営業日が昨年 1 月よりも多かったことも影響している。

各社によると、1 月の中国新車販売は、日産自動車が前年同月比 22.2% 増の約 11 万 5,700 台、ホンダは 22.1% 増の 4 万 7,253 台、富士重工業は 27.1% 増の 4,916 台。 軒並み 2 割強の伸びとなり、富士重は 2 カ月連続で前年を上回った。 ただ、旧正月の連休約 1 週間が昨年は 1 月だったが、今年は 2 月にずれ込み、比較は難しい。

マツダは 16.1% 減の 1 万 9,068 台と 10 カ月連続の前年割れだったが、反日デモのあった昨年 9 月以降、前年同月比の下げ幅は最も小さかった。 マツダは今年、中国販売を前年比 6.9% 増の 20 万台に増やす方針も明らかにした。 (asahi = 2-5-13)


中国系メガソーラー、続々と東北進出 国産後退、エネルギー安保に影

東日本大震災で代替エネルギーに注目が集まる中、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を展開する中国系を中心とした外資系企業が、東北で土地確保を本格化させている。 国が固定価格買い取り制度を開始して「採算ベースに乗った(資源エネルギー庁)」という背景があるが、地元からは「制度を利用して利益をあげたら撤退するのでは」と不安の声もあがる。 国はエネルギーセキュリティーの重視を掲げるが、国内メーカーの競争力低下を勘案しないままの門戸開放に疑問符が付いている。

「未利用地の有効活用につながる。」 市有地 2 カ所で中国系企業によるメガソーラー事業が予定される岩手県奥州市では、担当者が参入を歓迎した。 場所の一つは、解散手続きをしていた土地開発公社の未利用地約 4.3 ヘクタール。 処分しようとしていたところ落札したのが、メガソーラーを開発し世界で事業展開する中国系企業だった。

一方、不安を口にする自治体もある。 「海外資本の進出なんて、これまでなかった。」 岩手県金ケ崎町の担当者の表情は複雑だ。 同町では、国が太陽光発電の固定価格買い取り制度を開始した平成 24 年 7 月前後にメガソーラー事業が急増。 民有地 4 カ所で事業契約が締結され、うち 1 件が大手中国企業の子会社だった。 同町のケースは民有地への進出のため、細かな契約内容に町が介入できない。

被災地食い物に

メガソーラーは広大な土地を要する分、まちづくりに影響する。 契約満了後の土地利用も更新か撤退かで大きく変わりまちづくりの長期ビジョンは不透明となる。 「採算が合わずさっさと企業が撤退ということも。 被災地が食い物になる。」 地域に不安がくすぶる。

岩手県では国の推進策に応じ、太陽光発電で 22 年度の約 3 万 5 千キロワットを 32 年度には 4 倍の 14 万キロワットに引き上げることを目標としている。 23 年 11 月にはメガソーラーに適しているとみられる県内の未利用地 50 カ所を選定したリストを作成。 県が把握する限り 18 カ所で契約締結、少なくとも 4 カ所の主体は海外資本という。

後れ取る国産

メガソーラー市場は 17 年ごろまで、日本企業が世界シェアの大半を占めていた。 その後、安価な中国系・台湾系企業が急伸し、22 年には中国・台湾で世界シェアの 6 割程度、日本は 1 割を切るまでに低迷する。 資源エネルギー庁新エネルギー対策課によると、国内で稼働するメガソーラーのうち、8 割は中国・台湾などの海外製品という。

中国系企業については供給過多を指摘する声もあり、世界最大級メーカーだった中国のサンテックパワーが今年 3 月に破産手続きを開始した。 ユーロ圏経済の停滞で、これまで国策としてメガソーラーを誘致してきたドイツでは、固定価格買い取りなどの補助制度を縮小。 このため「欧州で食えなくなったメーカーが日本に進出している(国内メーカー担当者)」とみる。

国の生産活動の根幹となるエネルギーの安定供給に向け、資源エネルギー庁は「エネルギーセキュリティーの観点から、各エネルギー事業は国内メーカーが中心となるのが望ましい」との立場だが、国内外メーカーで性能の優劣はほとんどなく、価格競争で国内メーカーが後れを取る。

国内メーカーの競争力底上げをなおざりにしたまま、急速に門戸を開いた国の施策に、東北大学大学院の桑山渉特任教授は「国内メーカーを中心とした仕組みを作らず、中途半端な施策を進める国のあり方には疑問。 電力料金でまかなわれる買い取り制度は、国民の税金を投入しているようなもので、それが海外メーカーに吸い取られるのは問題だ。」と指摘している。 (大泉晋之助、渡辺陽子、sankei = 5-1-13)


大王製紙、中国にベビー用の紙おむつ工場 11 月稼働へ

大王製紙は 25 日、中国の江蘇省南通市に設立した生産子会社「大王(南通)生活用品有限公司」で、ベビー用の紙おむつの生産工場の建設に着手したと発表した。 11 月に生産開始を予定。 最大生産能力は月産 3,000 万枚となる。 「グーン」のブランドで紙おむつを中国に輸出する同社は、直近で前年比 2.3 倍を超える売り上げとなり、現地生産でコスト競争力を強化する方針。 来年年初から現地生産品に順次、切り替えていく。

当面は最大消費地の上海や周辺の江蘇省、浙江省、山東省などに重点を置き、流通網や販売網を拡大して、現在は 1% 程度の現地シェアを 3 年以内に 10% まで引き上げるとしている。 中国ではユニ・チャームの「マミーポコ」や花王の「メリーズ」なども現地生産を行っており、成長市場の中国での日本メーカーによる競争が激化している。 (sankei = 4-25-13)


ヤマダ電機、南京店を 5 月末閉店 尖閣問題で買い控え

家電量販最大手のヤマダ電機は 22 日、中国・南京店を 5 月末で閉めると発表した。 昨年 3 月に開いたばかりだったが、販売が振るわなかった。 尖閣問題で日中関係が悪化し、買い控えがおきた影響もあったという。 空き店舗の売却などを検討する。 ほかに中国で展開する瀋陽、天津の 2 店は営業を続ける。

また、この日、2013 年 3 月期の業績予想を下方修正した。 2 月時点の想定より、売上高は 140 億円減らして 1 兆 7,040 億円、純利益は 120 億円減らして 220 億円とした。 テレビの売れ行きが鈍かったという。 (asahi = 4-22-13)


鳥インフル 進出企業が危機対策 中国生産、周辺国に分散

【上海 = 河崎真澄】 鳥インフルエンザウイルス(H7N9 型)感染が拡大している問題を受け、中国に進出している日系企業が、従業員や家族の安全確保とビジネス安定継続の両面から危機管理を急いでいる。

中国では、19 日までに H7N9 型ウイルスへの感染者 92 人のうち 17 人の死亡が確認されている。 電機大手の担当者は「今後、人から人への感染が確認される事態を想定し、日本人駐在員の家族を一時帰国させるよう航空券確保や日本での受け入れ準備を始めた」と話した。 ある製造業では、衛生観念の異なる多数の地元従業員に対し、手洗いやうがいの励行、出勤時の体温測定などを指導して感染予防に全力をあげている。

H7N9 型ウイルスは、「人への感染では 5 日程度で重症化するため早期治療が不可欠(医療関係者)」と指摘されている。 感染がさらに広がった場合、工場全体やオフィスビルなど一帯が衛生機関などによって封鎖される懸念もある。 このため、「周辺諸国でバックアップ生産し、顧客に製品を安定供給する態勢作りを急いでいる(電子部品大手)」という。 事務所が突然閉鎖される事態を想定、複数の拠点に必要書類を分散した企業もある。

こうした対応は、災害や紛争など緊急事態に備えた「事業継続計画 (BCP)」の一環だが、「昨年来の反日デモ暴徒化、大気汚染の深刻化と続き、さらに今回の H7N9 型が猛威を振るえばトリプルパンチとなり、中国からの撤退を最終決断する要因になる(アパレル大手)」との厳しい見方も出ている。

上海市は 5 万 6 千人と海外で最大の在留邦人を抱える都市。 上海の日本総領事館は、東北大大学院医学系研究科の賀来満夫教授を招き、感染状況などについての「講演相談会」を 26 日に開くことにしている。 (sankei = 4-19-13)


中国進出の日本車メーカー、コスト削減で中国製部品調達迫られる

[上海] 日本の自動車メーカーは中国市場での価格競争激化に伴うコスト引き下げのため、中国の部品メーカーからの調達比率を引き上げるよう迫られている。

日本メーカーは系列部品メーカーと密接なつながりを持ち、共同で部品の設計や開発を進めることで、品質面で世界的に高い評価を確立してきた。 しかし中国市場では価格が 1 万ドル以下のシンプルな車種が新世代ドライバーの人気を集めている。 日本メーカーはこの分野で吉利汽車など現地メーカーや外国メーカーと熾烈な競争を繰り広げており、コスト削減が不可欠だ。

日本の自動車メーカーは 10 年前に中国市場へ参入した際には、部品供給を系列メーカーに全面的に依存していた。 コスト抑制のため系列部品メーカーにも現地生産化を進めるよう求め、今では日産自動車やホンダは車種によっては現地の部品調達率が 90% を超える。 しかし系列メーカーの中国生産部品は日本から輸入した資材に依存しており、たとえ中国で製造しても中国系部品メーカーの製品よりも値段が張る。

1 万ドル以下の価格帯ではこれまで、中国の自動車メーカー同士がしのぎを削っていた。 しかし高級車市場に参入する企業が増えた上、安い価格帯は販売台数が多いことから、低価格帯は外国メーカーにとってもはや無視できない市場になっている。

追い上げ図る日本メーカー

欧米の自動車メーカーは中国のメーカーの部品調達で先行しており、日本メーカーが追い上げを図っている。 東風日産の購買部門のシニア・バイス・プレジデント、山ア庄平氏は「なんと言っても中国系部品メーカーの方が安い」と話す。 日本メーカーでは日産が最も積極的に現地企業からの調達に取り組んでおり、中国製「ヴェヌーシア」ではこうした手法によってコストを約 40% 圧縮した。 山ア氏は「GM やフォルクスワーゲンは現地部品メーカーを採用しており、こうしたメーカーから供給を受けなければ戦いに負けてしまう」と述べた。

現地メーカーが強気に

一方、尖閣諸島をめぐる日中間の対立の先鋭化を受けて、中国の部品メーカーの姿勢は強気になっている。 ホンダに部品を供給している日系企業の幹部は「日本メーカーは今回の危機対応で中国の提携相手に頼らざるを得ず、中国企業の発言権が高まった」と指摘。 中国企業が国内メーカーの部品を導入するよう圧力を掛けているとした。 中国の製造業者が経験を積むにつれて中国製部品の品質は改善されたが、日本製の水準には依然として遠く及ばないというのが業界関係者の見立てだ。

山ア氏によると、日産が 2 年前にヴェヌーシアの立ち上げているときには、サンバイザーが変形したり、部品のラベルが間違っているなど、信じられない問題が相当数発生した。 日産は日本のエンジニアを現地の部品メーカーに派遣し、品質を高めた。 今は中国系メーカーからの調達比率は金額ベースで 15 - 20% となっており、これを 35% 以上に高めるのが目標という。

系列企業は警告

これまでのところ日本の自動車メーカーが中国部品メーカーから供給を受けているのは電装関連や内装など、車の安全性にとって重要度の低い分野に限られている。 ホンダ広報部メディアリレーションブロックの安藤明美主任は、ロイターへの電子メールで「100% 現地化が当社の目標ではない」と話した。 トヨタ自動車の中国の広報担当者はコメントを避けた。

しかし日本の系列部品メーカーは、中国メーカーからの調達率が高まれば車の品質は低下すると警告する。 トヨタ、日産、ホンダなどへ納入している部品メーカーの幹部は「自動車メーカーは絶対に認めないだろうが、品質は低下する。 確かに現地メーカーはサンプルを提供するなどしているが、絶対に問題がないわけではない。 実際に自動車に取り付けて路上を走行させてみなければ、自動車部品の耐久性などはチェックが非常に難しい」と述べた。 (Kazunori Takada、Reuters = 4-19-13)


中国、日本人ジャーナリストの入国拒否 市民運動を取材

【北京 = 林望】 中国の草の根の市民運動などを取材してきたフリージャーナリストの麻生晴一郎さん (46) がこのほど、中国当局から入国を拒否された。 当局は理由を明示していないが、権利意識を高める市民に外国人が接触することに神経をとがらせている可能性もある。

麻生さんによると、今月 4 日、香港から陸路で広東省深セン(センは土へんに川)市に入ろうとしたところ、入国管理当局に拒まれた。 理由を問いただしたが、担当者は「知らない」と答えるだけだった。 麻生さんは昨年 11 月 5 日にも航空機で北京に入ろうとし、拒まれている。 麻生さんは安徽省などで農村出身の子らを学習面で支える NGO や HIV 感染者の支援グループなどを訪れる計画だった。 取材ビザはなく、日本人に認められている 15 日間のビザ免除期間を利用して訪れる予定だった。

麻生さんは教育や食の安全などの社会問題を巡り、自分たちの暮らしや権利を守ろうとする市民の動きに注目。 10 年余りにわたり毎年数回ずつ中国に入国し交流してきた。 入国を拒まれたのは、昨年 11 月が初めてだった。 (asahi = 4-10-13)


日本車破壊の 3 人実刑、中国の反日デモ

中国広東省珠海市の裁判所はこのほど、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に反発して昨年 9 月、同市内で日本車を破壊したとして、公共の秩序を乱した罪に問われた 3 人に対し、懲役 7 - 11 月の実刑判決を言い渡した。 中国メディアが 7 日までに伝えた。

3 人は昨年 9 月 16 日深夜から 17 日未明、酒を飲みながらテレビを見て、中国各地で反日デモが起きたことを知った。 その後、酒に酔った勢いでバイクに乗り、路上に止めてあった日本車に石を投げ付けて窓ガラスなどを破壊。 壊された日本車は計 12 台に上った。 3 人は罪を認め「法律に抵触するとは思わなかった」と説明。 「今は、愛国感情は理性的に示さなければいけないと分かった」と話しているという。 (kyodo = 4-7-13)


積水化学、中国の公共事業獲得へ合弁会社 水インフラ向け

積水化学工業は 27 日、中国の強化プラスチックメーカー「河北可耐特玻璃鋼有限公司 (KNT、河北省)」と、上下水道向けのパイプなどを手がける合弁会社を河北省に設立し、4 月 1 日から事業を開始すると発表した。 KNT の販売網と施工体制を活用し、水インフラ整備の公共事業の受注を拡大する。 初年度に 45 億円、2015 年度までに 70 億円の売上高を目指す。

新会社は「積水可耐特(河北)環境科技有限公司」。 資本金は 2 億 10 万元(約 30 億円)で、出資比率は積水 75%、KNT 25%。 積水は KNT から強化プラスチックに関連する 3 事業と土地などの資産を譲り受ける。 これまでは製品販売を中心に中国事業を展開してきたが、KNT の販売網と施工体制を生かし、工事を含む公共投資案件の受注を増やす。

積水によると、中国の水インフラ関連投資は西部大開発が進む内陸部と、経済発展に伴い人口が増えている沿岸部で盛ん。 内陸部では川や湖などの水源地から需要地に水を引く導水管路整備、沿岸部では工業・生活用水の管路整備が中心という。 (sankei = 3-27-13)


中国・南京で「日中漫画展」開幕 反日デモで半年延期

【南京 = 金順姫】 中国江蘇省南京市で 24 日、日本と中国の漫画家の作品を展示する「日中漫画展」が始まった。 日中の国交正常化 40 年だった昨年 9 月に開く予定だったが、尖閣諸島の国有化をめぐって中国各地で反日デモが相次ぎ、主催する日本側が延期を決めていた。

漫画展は、江蘇省と 1980 年から友好提携を結んでいる愛知県などでつくる実行委員会の主催で、28 日まで。 テープカットにのぞんだ愛知県の大村秀章知事は式典で、「日本と中国の間には様々な課題があるが、それを乗り越えて、お互いを尊重しながら、ウインウインの関係をつくっていきたい」とあいさつした。 「日中漫画展が日本と中国の友好関係の発展に大いに寄与することを願う」とも語った。 江蘇省文化庁の高雲・副庁長も「今回の作品が、両省県民の互いの文化への理解を深めることを信じる」と応じた。 (asahi = 3-25-13)

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延期の日中漫画展、3 月末に開催 南京市で

中国国内での反日デモの影響で開催が延期されていた「日中漫画展」について、主催者の愛知県は 18 日、3 月 24 日から 28 日まで中国・江蘇省南京市で開くと発表した。

漫画展は日中国交正常化 40 周年の記念事業で、愛知県や日本の漫画家らでつくる実行委員会が主催する。 日中の漫画家が作品計 90 点を展示する内容で昨年 9 月に南京市で開かれる予定だった。 しかし、尖閣諸島の国有化問題をめぐり、中国国内で反日デモが相次いでいるとして、江蘇省側から「開催期間中のデモの可能性を否定できない」と伝えられ、直前になって延期を決めていた。 (asahi = 2-18-13)


ドコモ、中国携帯最大手向けにゲーム供給

NTT ドコモは 25 日、中国携帯最大手の中国移動通信集団が運営するアプリ(ソフト)サイト向けに、スマートフォン(高機能携帯電話)用ゲームを 26 日から供給すると発表した。 カプコン、コナミデジタルエンタテインメントといった日本企業が制作したゲームなどのコンテンツを中国語に翻訳し、中国移動のサイトに提供する。まずゲームや壁紙など 20 点から始め、順次数を増やす。 ドコモと中国移動、韓国通信大手 KT の 3 社は 2011 年に業務提携し、ドコモと KT、KT と中国移動の間では、すでに同様のサービスを行っている。 (yomiuri = 3-25-13)


ホンダ中国工場で職場放棄 広東省仏山市

ホンダは 21 日、中国広東省仏山市にある同社の部品工場で 18 日夜、賃金などの待遇に不満を持つ一部の従業員が職場を放棄したことを明らかにした。 具体的な人数は不明。 生産ラインに影響はなく、職場を離れた従業員も、会社側との話し合い後、19 日には復帰したという。 同工場の従業員は計約 1,900 人で、変速機などを生産している。 この工場では、2010 年に待遇改善を求めるストライキが発生。 その際には、部品供給が停止し、中国の完成車工場が操業停止に追い込まれる事態となった。 (kyodo = 3-21-13)


中国からの修学旅行誘致へ = 福島など 17 県市が PR - 北京

【北京】 中国の子供たちに日本へ修学旅行に来てもらおうと、福島や新潟など 14 県と 3 市の担当者が 15 日、北京市内で中国の旅行会社を対象にした「訪日教育旅行プロモーション」を開いた。 関係者によると、中国から日本への修学旅行は 2010 年に約 1 万 9,000 人まで増えたが、東日本大震災と日中関係の悪化で落ち込み、12 年は約 9,100 人にとどまった。

中国政府は福島県への渡航自粛勧告を続けているが、日本政府が被災地復興のため、12 年 7 月から福島など 3 県を訪問する中国人観光客に 3 年間有効の数次査証(ビザ)の発給を開始し、福島にも大連などからの観光客が徐々に増えているという。 3 月下旬には上海の高校生約 10 人が福島を訪れ、地元の高校生とスキーなどを楽しむ活動が計画されている。 福島県上海事務所の国分健児所長は「高校生の交流が修学旅行の再開につながってくれれば」と話していた。 (jiji = 3-15-13)


中国の通関「有害物質検出」と焼却 資生堂の日焼け止めクリーム

資生堂は 4 日、中国向けに輸出した日焼け止めクリームから有害物質のカドミウムが検出されたと中国当局に指摘され、通関を拒まれたことを明らかにした。 資生堂では「カドミウムは自然界にも微量存在し、検出が事実としても健康に害のないレベルで、品質と安全性に問題はない」と説明している。

指摘を受けたのは昨年 12 月、中国山東省青島の空港免税店向けに輸出した日焼け止めクリーム。 60 個の通関ができず、すべて廃棄処分になったという。 3 日に中国メディアが報じた際、資生堂本社は「当局からの連絡はない(広報担当者)」と説明したが、昨年 12 月に指摘されていたことが 4 日の社内調査で分かった。 (kyodo = 3-5-13)


大気汚染問題 中国が日本の技術協力に難色 石原環境相「良い返事がない」

石原伸晃環境相は 2 日、徳島市で講演し、中国からの飛来が問題となっている微小粒子状物質「PM2.5」をめぐり、中国が日本からの技術協力に難色を示していると明らかにした。 「環境問題(での協力)が沖縄県・尖閣諸島でぎくしゃくしている日中関係を取り戻す『てこ』になると思ったが、良い返事がない」と述べた。

環境省は 2 月 8 日に発表した PM2.5 に関する緊急行動計画で、中国に汚染物質の観測網拡充などの技術協力を呼び掛けると盛り込んでいた。 石原氏は講演で、行動計画に基づき担当者を訪中させ、観測機器の無償提供や研究者の受け入れを申し入れたと説明。 中国側の対応として「欧米には研究者を派遣して先進国の経験を聞くと言うが、残念ながら腰が引けていて、日本に行くとは言ってくれなかった」と語った。 (sankei = 3-3-13)

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PM2.5 汚染対策、日中が初の協議 日本、技術協力申し出

中国の大気汚染をめぐる日中両政府の会合が 22 日、北京で開かれた。 中国で微小粒子状物質「PM2.5」の汚染が深刻になった 1 月以降初の協議で、日本側は越境汚染の懸念を伝えた。 また、大気のモニター方法や汚染発生源の特定などの技術協力を申し出た。

日本の環境、外務、経済産業各省の課長級と中国環境保護省の課長らが約 2 時間にわたって協議した。 出席者によると、日本側が「中国の大気汚染が、日本の環境にも与えかねない問題として高い関心を持っている」と表明。 日本が過去の公害対策を経て得た環境技術を、中国の汚染対策に生かすことが両国の共通利益になることと伝えた。

PM2.5 の排出源は非常に多様とされ、「原因物質を特定しないと排出源をたたくことができない。(日本政府関係者)」 電子顕微鏡などを使った汚染物質の特定技術や、汚染が起こるシミュレーションの技術が、PM2.5 対策にも役立つと訴えた。 大気汚染を低減する環境技術を持つ日本企業が加われば、新たな商機が生まれるとの狙いもあるとみられる。

中国側は「日本を含む先進国の経験に学びたい」と応じ、政府の対策や PM2.5 のモニタリング体制について説明。 両国で協議を続けることで一致したという。 大気汚染をめぐる日中協力は 20 年以上前から続いているが、尖閣諸島をめぐる問題が今後の協議にどう影響を及ぼすかは不透明だ。 (北京 = 奥寺淳、asahi = 2-23-13)