米、ツイッター社にウィキリークス編集長の情報提出命令

【ロンドン = 伊東和貴】 内部告発サイト「ウィキリークス (WL)」を巡り、米司法省が簡易投稿サイトの米ツイッター社に対し、アサンジュ編集長 = スウェーデンでの性的暴行容疑などで英国で逮捕され保釈中 = ら WL 関係者 5 人の個人情報の提出を命ずる証拠提出命令状を出していたことが明らかになった。 同社から通知を受けた WL 関係者が 9 日までに、英米メディアに公表した。

米政府は WL の米外交公電暴露が米外交官らの「命を危険にさらした」とし、WL に情報を漏らしたとされるマニング米陸軍上等兵とアサンジュ編集長の共謀関係を捜査する方針を示していた。 「言論の自由」を保障する米憲法との兼ね合いで訴追は困難との見方もあるが、米国が捜査を進めていることが裏付けられた形だ。

命令状は昨年 12 月、米バージニア州の裁判所からツイッター社に対して出された。 「進行中の捜査に関連がある必須のもの」としてアサンジュ編集長とマニング上等兵のほか、元 WL 活動家でアイスランド国会議員のヨンスドティル氏、米国とオランダのプログラマーの計 5 人の電子メールアドレス、住所、電話番号、クレジットカード番号、銀行口座番号などの提出を命じているという。

米当局は命令状のことを内密にするよう求めたが、ツイッター社は今月に入り、司法当局の許可を得た上で、ヨンスドティル氏らに知らせた。 英紙ガーディアンによると、米当局はこのうちアサンジュ編集長ら 3 人を、WL が昨春公表した、イラクでの米軍ヘリによるロイター通信記者の射殺映像の作成者とみなしているという。

WL 側は、ツイッター社だけでなく、米検索サイト大手グーグル、米交流サイト最大手フェースブック、ネット通話大手スカイプも同様の要請を受けた可能性があるとしている。 米紙ニューヨーク・タイムズは、命令状が同盟国との外交問題に発展する恐れがあると指摘している。 (asahi = 1-10-11)


ウィキリークス閲覧しやすくするソフト、アップルが削除

【ニューヨーク = 山川一基】 米アップルは 22 日、内部告発サイト「ウィキリークス」を閲覧しやすくするソフトウエアを、同社のソフト購入サービス「アップストア」から削除したと明らかにした。 ソフトは多機能携帯電話「iPhone (アイフォーン)」向けなどに販売されていた。

このソフトはウィキリークスのウェブサイトで公開された文書などを画面上で見やすくするもので、ウィキリークスとは無関係の技術者が開発。 ソフト自体のダウンロードに 1.99 ドル(約 170 円)かかる。 開発者は簡易投稿サービス「ツイッター」で「ダウンロードごとに 1 ドルをウィキリークスに寄付したい」と語り、数日前に販売を始めたばかりだった。

アップルは朝日新聞の取材に「アップストアの利用規約に反していた。 (ソフトは)各国の法律に準拠しなければならず、個人やグループを危険にさらすものであってはならない。」とコメントした。 (asahi = 12-23-10)


アサンジュ氏逮捕後も公開 ウィキリークス強気崩さず

民間の内部告発情報サイト「ウィキリークス (WL)」の創設者で編集長のジュリアン・アサンジュ容疑者 (39) が 7 日、英捜査当局に逮捕された。 WL を抑え込みたい米国など関係国当局は「朗報」と受け止めているが、ネット上ではアサンジュ編集長を支援する機運がこれまで以上に盛り上がり、勢いづいている。 世界中の支援サイトを通じた機密公開の輪も一層広がりそうだ。

「いい知らせだ。」 AFP 通信によると、アフガニスタンを訪問中のゲーツ米国防長官は逮捕の知らせにそう語った。 米保守系メディアのサイトには「彼がテロリストだからだ」、「(スパイとして)軍事法廷にかけるべきだ」といった声が次々と書き込まれている。

これに対し、AP 通信によると、WL の広報担当クリスティン・フラップソン氏は 7 日、「逮捕は組織としてウェブ上に機密を流すことを妨げるものではなく、業務に変更もない」と話した。 実際、WL のサイトでは逮捕後、外交公電の新たな公開が進んだ。

WL の支援グループのサイト「WL セントラル」は同日、「アサンジュ氏が沈黙すれば、我々にも同様のことが起きる。 立ち上がり、はっきり声に出そう。」と、寄付や発言による支援を求める声明を載せた。 10 日に開催予定のシドニーでの抗議行動への参加も広く呼びかけている。

「アサンジュ氏に正義を」と題したサイトも逮捕直後に誕生。 アサンジュ編集長の保釈を退けたロンドンの治安判事裁判所の前での抗議デモを呼びかけた。 ツイッター上では「米英、スウェーデンや関連の企業の不買運動を起こそう」といった書き込みが続いている。

WL 側が強気の姿勢を崩さないのは、入手した約 25 万件に及ぶ米外交公電を「人質」にとっているからだ。 すでに英紙ガーディアンなど欧州の有力メディアに公電を渡しており、各紙は独自に精査して報道する見通しだ。 アサンジュ編集長は、WL が閉鎖の危機に追い込まれるなど不測の事態に陥った際、外交公電の暗号化ファイルを解除し、不特定多数の人々が情報にアクセスできるようにする、とも警告している。

外交公電がさらに暴露されるのに神経をとがらせる米国など各国政府は、WL と契約するサーバーのサービス停止を事業者に求めている。 しかし、WL が直接使うサーバーを止めても、暴露の全面的な封じ込めは容易ではない。 支持者が次々と同内容のサイト(ミラーサイト)を立ち上げているためで、逮捕でこの動きが強まる可能性がある。

アサンジュ編集長の訴追についても曲折が予想される。 ロンドンの治安判事裁判所は編集長の身柄を 14 日まで拘束するとしているが、スウェーデン移送の是非をめぐる審理は 2 - 3 カ月かかる可能性があるという。 (稲田信司 = パリ、藤えりか、asahi = 12-8-10)


ウィキリークス「ミラーサイト作成を」 閲覧不能対策

【ワシントン = 望月洋嗣】 約 25 万件の米外交公電公開後、欧米各国政府から圧力を受けている内部告発サイト「ウィキリークス」は 5 日、同じ内容のサイト(ミラーサイト)を立ち上げるよう支持者らに呼びかけた。 サイバー攻撃で同サイトが閲覧不能になる事態を防ぐ対策で、すでに 500 を超すサイトが立ち上がっているという。

ウィキリークスのサイトは先月 28 日に外交公電の公開を始めた後、大量のデータを一斉に送りつけてシステムをダウンさせる分散型サービス拒否 (DDoS) と呼ばれる攻撃などを受けて、閲覧不能になった。 AFP 通信によると、その後、拠点のサイトをスイスのサーバーに移す一方、公電の公開を続ける手段として、ミラーサイトの設置を促している。 (asahi = 12-7-10)


ウィキリークス資金源失う? 寄付集め口座打ち切り報道

【ロンドン = 伊東和貴】 米外交公電の暴露を続ける告発サイト「ウィキリークス (WL)」が寄付集めに使っている米インターネット決済サービス大手「ペイパル」は、WL との口座取引を打ち切った。 AP 通信などが 4 日報じた。 WL が違法活動に関与したのが理由とされている。 WL は資金の大半をこの口座から集めており、同通信は「WL が主要な資金源を失った」としている。 WL はツイッターで「ペイパルは米政府の圧力を受けた」とコメントした。

WL をめぐっては、創設者のアサンジュ氏に対し強姦容疑で逮捕状が出され国際指名手配されているほか、ネット小売り大手のアマゾン・ドット・コムなど米企業 2 社がウェブサイトの関連サービスを相次いで停止するなど、包囲網が敷かれつつある。 (asahi = 12-5-10)


ウィキリークス停止 「サイバー攻撃受けた」と管理会社

米政府の外交公電を暴露してきた民間告発サイト「ウィキリークス」が、日本時間 3 日午後 1 時ごろから閲覧できない状態になった。 激しいサイバー攻撃を受け、管理会社がサービスを停止したという。 ウィキリークスのドメインネーム(インターネット上の住所)を管理する米企業エブリ DNS 社は「ウィキリークスのサイトが相次いでサイバー攻撃の標的となっており、(同社が管理する)他のサイトへの影響を避けるためにサービスを停止した」との声明を出した。 (asahi = 12-3-10)


米アマゾン、ウィキリークスをサーバーから排除

【ワシントン = 望月洋嗣】 米ワシントン・ポスト紙(電子版)などは 1 日、米インターネット小売り大手のアマゾン・ドット・コムが、同社のサーバーにあったウィキリークスのウェブサイトを排除したと報じた。 民主系のリーバーマン上院議員のスタッフが同社に問い合わせた後にこうした措置をとったという。 リーバーマン氏は「アマゾンはこうした措置をもっと早く講じるべきだった」とし、ウィキリークスにサーバーを提供する他社にも同様の措置を促した。

アマゾンはウィキリークスの行為を違法と判断した、と同紙は推定している。 米議会内では、ウィキリークスの責任を問う声が高まっており、米 CNN によると、米下院国土安全保障委のキング議員(共和党)は、ウィキリークスをテロ組織に指定し、資産凍結をするよう訴えた。 (asahi = 12-3-10)


米国務省が情報共有ネット離脱 ウィキリークス流出で

【ワシントン = 望月洋嗣】 米国務省高官は 11 月 30 日、25 万件の米外交公電が民間告発サイト「ウィキリークス」に流出した事態を受けて、米政府内で機密情報を共有するネットワークから、国務省が先週末に離脱したことを明らかにした。 情報流出の原因を解明し、再発防止策を講じるまでの一時的な措置という。

今回の公電流出は、米政府職員や軍人ら 60 万人以上がアクセスできる軍の機密 IP ルーターネットワーク (SIPRNet) で起きたと見られている。 国務省もこのネットワークで他省庁と機密情報を共有し、英紙ガーディアンによると、2005 年時点で約 180 の米在外公館がこのネットワークから公電をダウンロードしていたという。

この仕組みは、01 年の米同時多発テロを受け、米政府内の情報共有促進を目的に設置された。 国務省は離脱によってこれ以上の文書流出を回避したい考えだが、テロ情報の共有などで支障が出るおそれもある。

一方、ウィキリークスの流出文書で、米外交官が国連幹部や他国の外交官に対する「スパイ行為」とも言える情報収集を指示されていたとされる問題について、国務省高官は「外交官は(情報収集に関する)情報機関からの要請を無視できたし、実際に無視したと聞いている」と釈明した。 (asahi = 12-1-10)