がん守る細胞、取り除く療法治験 東大・阪大など計画

がんの防御役となっている細胞を取り除いて攻撃しやすくする新タイプの免疫療法を、東京大や大阪大、名古屋市立大などが初の臨床試験(治験)として来年1月にも始める。 進行性の肺がんや食道がんなど、いまは治療が難しいがんに挑めるようにする目的だ。 病原体から体を守る免疫は、異物であるがんも攻撃する。 がん治療で研究されている免疫療法は、免疫の「矛」の力を高めてがんを攻撃するのが基本。 ただ、現状ではすべての患者に効果があるわけではない。

最近の研究で、がんの周囲には免疫にブレーキをかける「制御性T細胞」と呼ばれる細胞が集まり、「盾」となって攻撃のじゃまをしていることが分かってきた。 盾をなくせば、免疫本来の力が発揮しやすくなると考えられる。 がん細胞の種類によっては、除去で広がりを抑えられたとするマウスの実験結果もある。 (asahi = 9-14-12)


風疹、止まらぬ猛威 11 年の 4 倍、都市部で突出

風疹の大流行が止まらない。 例年は春先から初夏にかけて感染が広がり、100 - 300 人程度の患者の報告例しかないが、今年はすでに 1,300 人を超える勢いだ。 特に人口が密集する都市部で突出。 妊娠中の女性が感染すると胎児に深刻な影響が出るおそれがあり、自治体は対策を急ぐ。 (asahi = 9-10-12)


脂肪肝、PET で早期診断 放医研、マウスで効果確認

脂肪肝が進んでいるか、がん検診で使われる陽電子放射断層撮影 (PET) で早期に診断できる手法が開発された。 放射線医学総合研究所(放医研)がマウスで効果を確認した。 人で実用化されれば、肝硬変や肝がんにつながる脂肪肝の検査が簡単にできると期待される。 脂肪肝は、食べ過ぎなどで肝臓に中性脂肪がたまってできる。 肝臓の病気は、細胞内でエネルギーをつくるミトコンドリアの働きが低下して起きる。 肝細胞に脂肪がたまると、ミトコンドリアの膜にある特定のたんぱく質が増加することが分かっている。

張明栄(チョウメイエイ)・プログラムリーダー、謝琳(シャリン)・博士研究員らは、このたんぱく質と結びつく試薬を作って、脂肪肝になったマウスにそれぞれ 2、4、8 週後に注射して PET 画像で調べた。 この結果、脂肪性肝炎、肝硬変へと症状が進むにつれて、画像は明るくなり、症状の進み具合が判定できた。 (asahi = 9-6-12)


高線量浴びたマウス「生存率 3 倍」の物質開発 産総研

極めて高いレベルの放射線を浴びても、注射をすれば生存率が 3 倍に向上 - -。 そんな作用をもつ物質を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究チームが開発し、動物実験で効果を確認した。 6 日から東北大で始まる日本放射線影響学会で報告する。

この物質はたんぱく質の一種の「FGFC」。 マウスに強い放射線(6 千ミリシーベルト相当)を当てて実験した。 2 時間後に腹部に FGFC を注射したグループは、しなかったグループに比べ、20 日後の生存率が 3 倍に高まることが分かった。 強い放射線を浴びると、腸の粘膜をつくる幹細胞が死滅して生命に危険が及ぶが、FGFC は何らかのしくみでこの幹細胞の死滅を防いだり、増殖を促したりするらしい。 (asahi = 9-5-12)


血小板集め効率的に止血 防衛医大、ナノ粒子で新技術

ナノサイズの粒子を使って効率的に止血する技術を、防衛医大の木下学・准教授(免疫微生物学)らのグループが開発し、動物実験で確認した。 この粒子を血液に入れると、出血を止める働きがある血小板を集めて血栓をつくる。 将来的に人に使えるようになれば、大規模災害時の輸血不足の解消に役立つという。

止血に関与するたんぱく質の一部をつけたナノ粒子の溶液を静脈注射すると、出血したところにわずかに残った血小板を効率的に集めて血栓をつくり、止血する。 肝臓から大量出血させたウサギを使った実験では、血小板を投与しなかった 10 例中 9 例は 24 時間以内に死んだが、この技術で止血した 10 例はすべて生き残った。 肺梗塞(こうそく)や心筋梗塞など血栓症の副作用もみられなかった。 (asahi = 9-5-12)


両親の血液などで胎児の遺伝子異常予測 米チームが成功

両親の血液などから採取した DNA で生まれる前の胎児のゲノムを予測することに、米ワシントン大のチームが成功し、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)に掲載された。 研究が実用化されれば、母胎に負担をかける検査をせずに、遺伝子の異常で起きる様々な病気の出生前診断ができるようになるという。

研究チームは、妊娠 18 週の母親の血液と、胎児の父親の唾液(だえき)から DNA を採取し分析。 98% を超える精度で、母親と父親から胎児に受け継がれた遺伝子変異を予測した。 さらに、妊娠中の母親の血漿(けっしょう)中にわずかに存在する胎児の DNA の一部を解析し、新たに起こった遺伝子変異も予測。 44 カ所の変異のうち 39 カ所が予測可能だったという。 (asahi = 9-4-12)


新種の豚インフルエンザ、米で初の死者 人から人に感染

米疾病対策センター (CDC) は 8 月 31 日、新種の豚インフルエンザ(H3N2 型)の感染による初の死者が出たと発表した。 小規模だが人から人への感染も確認されており、警戒を強めている。

亡くなったのは、オハイオ州に住む 61 歳の女性。 CDC によると、女性は持病があり、農業祭で豚と直接、接触したという。 今回新たに 12 人の感染がわかり、今年に入っての感染者は 289 人になった。 9 割以上は農業祭で豚を扱う関係者やその家族。 CDC は、5 歳未満の幼児や 65 歳以上の高齢者らは感染しやすく重症化しやすいため、豚との接触を避けるよう求めている。 (asahi = 9-2-12)


妊婦血液で出生前診断「早急に学会の規制を」 厚労相

妊婦の血液で胎児の DNA からダウン症か調べる新型の出生前診断の臨床研究が 9 月以降に始まることに関連して、小宮山洋子厚生労働相は 31 日の閣議後会見で「日本産科婦人科学会がなるべく早く自主規制を示して欲しい」と述べ、国よりも学会によるルール作りが必要との考えを示した。 さらに、小宮山厚労相は「医療が高度化する中で、生命倫理に関わる部分は法整備が遅れている。 命の選別にならないよう、懸念は強く持っている。」との認識を示した。 (asahi = 8-31-12)


移植せず心筋再生へ 慶大チーム、マウスの心臓で成功

慶応大の研究チームは、心筋梗塞を起こしたマウスの心臓で、心筋細胞でない細胞を心筋細胞に変えることに成功した。 細胞を移植せずに、失われた心筋を補う新たな再生医療の開発につながる可能性がある。 29 日、米専門誌に発表する。

心臓は 3 割が心筋細胞で、心筋以外の細胞が 7 割ある。 チームの家田真樹特任講師らは、人工的に合成した三つの遺伝子のセットを心筋ではない細胞に入れて、心筋細胞を作る方法を開発。 その方法を使い、生きているマウスの心臓の中で心筋以外の細胞を心筋細胞にすることができた。

海外でも報告例があるが、慶応大のチームは、三つの遺伝子を同時に細胞に入れる工夫をし、心筋に変える効率を高めた。 心筋に変わる効率は 1% 以下で、症状の改善まではいかなかったが、研究を進めて失われた心筋を取り戻す方法を開発したいとしている。

皮膚の細胞などから iPS (人工多能性幹)細胞を作り、それをさらに心筋細胞にして移植する研究が進められている。 だが、移植した細胞の一部しか働かず、がん化の恐れがあるなどの課題がある。 そうした課題を克服するために、チームは iPS 細胞を介さずに直接、目的の細胞に変える方法を開発した。 (asahi = 8-29-12)


認知症急増、305 万人 厚労省推計、65 歳以上の 1 割

厚生労働省は 24 日、認知症の高齢者が今年時点で約 305 万人おり、65 歳以上人口の 1 割にのぼるとの推計結果を公表した。 10 年ほど前に実施した従来の推計より大きく増えた。 高齢化の進行に加え、介護保険制度が定着して要介護認定を受ける人が増えているためと、厚労省はみている。

厚労省が 2010 年の要介護認定のデータをもとに推計した。 日常生活に支障がある認知症の高齢者数は 10 年時点で 280 万人で、65 歳以上人口の 9.5% を占める。 今年は 300 万人を超え、15 年は 345 万人、20 年は 410 万人、25 年には 470 万人に達すると見込んでいる。 25 年時点では高齢者全体の 12.8% にのぼる見通しだ。 認知症の高齢者が 10 年 9 月時点で生活している場所は、在宅が 140 万人で半数を占める。 特別養護老人ホームが 41 万人、医療機関が 38 万人と続く。 (asahi = 8-26-12)


米国の西ナイル熱の流行、過去最大規模に 38 州で患者 1,000 人超

今夏の米国における西ナイル熱の流行は過去最大規模であることが、米疾病対策センター (CDC) の統計で明らかになった。 今年 1 月から 8 月 21 日までに CDC に報告された患者数は 1,118 件で、米国内での感染例が初めて見つかった 1999 年以降、最多となった。 38 の州で人への感染が報告され、うち 41 人が死亡した。 22 日にはアーカンソー州でさらに 1 人が死亡している。

「流行のピークは通常 8 月半ばだが、発症して受診し、医師から報告が上がるまでに 2 週間かかる」と CDC で蚊が媒介する感染症の対策にあたっているライル・ピーターセン博士は言う。 「感染例はもっと増えると予想している。」 ピーターセン博士によれば、今年の大流行の原因は不明。 だが、暖かい天候が人に感染しやすい条件を作ると見られている。

感染例の約 75% はテキサス州とミシシッピ州、ルイジアナ州、サウスダコタ州、オクラホマ州で占められている。 最も多いのはテキサス州で、同州当局によれば感染報告数は 586 件で 21 人が死亡した。 西ナイル熱は蚊を媒介とする感染症。 ウイルスを持っている蚊に刺されても約 80% の人は発症しないが、150 人に 1 人は重症化し、死に至ることもある。 (CNN = 8-23-12)


浅漬け O157、発症 100 人超す 野菜の消毒不十分か

腸管出血性大腸菌 O (オー) 157 の食中毒が北海道で相次ぎ、17 日までに、100 人以上が発症、6 人が死亡した。 ほとんどは札幌市など道内 9 カ所の高齢者施設のお年寄りだが、札幌市内では 4 歳の女児も死亡した。

原因は、札幌市の食品会社が製造した白菜の浅漬け。 札幌市保健所は原料を十分に消毒していなかった可能性を指摘している。 野菜が原因の食中毒は、肉や魚介類に比べて少ないものの、過去にも起きている。 浅漬けは製造時に加熱処理をしないうえ、ぬか漬けやキムチと違って発酵もしないため、菌が死滅せず、より注意が必要という。 (asahi = 8-17-12)


難病助成、対象の病気拡大へ 認定基準に重症度も追加

厚生労働省の難病対策委員会は 16 日、難病患者への医療費助成の対象となる病気を拡大したうえで、重症度などをもとに認定基準を作るよう求める中間報告をまとめた。 難病でありながら対象外だった病気の患者に間口が広がる一方、対象の病気でも症状の軽い患者は助成額が今より減る可能性も出てくる。

難病は 5 千 - 7 千疾患あると言われているが、医療費助成の対象は 56 疾患 70 万人に限られている。 新たに対象となる病気や、具体的な助成内容や基準は今後詰める。 厚労省は安定して予算を確保するため法制化も検討する。 難病の医療費助成は原因不明の病気の研究の一環として 1972 年に 8 疾患を対象にスタート。 国と都道府県が医療費の自己負担分の全額や一部を助成している。 患者が年々増え続けて予算が追いつかないことや、対象外の病気との公平性が課題になっている。 (asahi = 8-17-12)


ハンドソープの殺菌剤で筋力低下の恐れ 米大が発表へ

ハンドソープや制汗剤などの有効成分として広く使われている殺菌剤に、筋肉の活動性を低下させる恐れがあることが、米カリフォルニア大デービス校などのマウスや魚を使った実験でわかった。 今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。

成分はトリクロサン (TCS) という物質。 医薬部外品などで承認されている濃度では、安全性が高いとされている。 また、化学物質審査規制法では、リスク評価の優先度が低い一般化学物質になっている。 マウスやヒメハヤという魚の仲間に TCS を与えて心臓の活動や運動能力を、与えていない場合と比較。 マウスでは心臓が送り出す血液が最大で 25% 減り、握力が 18% 下がった。 ヒメハヤでも遊泳能力が落ちていた。 (asahi = 8-14-12)


難病 ALS の進行抑えるたんぱく質発見 岐阜薬科大

岐阜薬科大などの研究グループは、全身の筋肉が徐々に萎縮する難病「筋萎縮性側索硬化症 (ALS)」の進行を抑えるたんぱく質を発見したと発表した。 新しい治療薬の開発につながる成果としている。 研究成果は英科学誌「ネイチャー」の姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」の 13 日付電子版に掲載される。

グループは、ALS を発症させたマウスを使った実験で、「膜貫通糖たんぱく質 (GPNMB)」と呼ばれる遺伝子を働かせると、ALS の進行を抑制できることを突き止めた。 GPNMB を働かせたマウスは、働かせないマウスよりも発症時期が遅く、生存期間が 10 日ほど長くなった。 さらに、運動神経細胞に GPNMB を加えたところ、障害が改善されたとしている。

また、遺伝性でない ALS 患者の脊髄の組織などに、GPNMB が多く含まれていることも確認。 同大の原英彰教授(薬効解析学)は「ALS は早期に発症を把握することが難しく、治療が遅れる例も多い。 GPNMB の研究が進めば、早期の診断が可能になる。」と指摘。 今後、発症のメカニズムの解明とともに、早い時期に患者に治療の手を差し伸べることもできると期待している。 (yomiuri = 8-13-12)

◇ ◇ ◇

筋萎縮性難病の原因遺伝子を発見…東大など

全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の一種とされる難病「近位型遺伝性運動感覚ニューロパチー」の原因遺伝子を、東京大と徳島大などの研究チームが発見した。 ALS 治療薬の開発などへの応用も期待される成果。 米遺伝学誌に掲載された。

東大の辻省次教授と徳島大の梶龍兒教授らは、この病気の患者らのゲノム(全遺伝情報)を調査。 その結果、13 人の患者は全員、「TFG」と呼ばれる遺伝子が変異していることが判明した。 TFG を人の細胞で人工的に変異させる実験では、細胞内に特定のたんぱく質が異常にたまっていることもわかった。

TFG は、細胞内で、こうしたたんぱく質が分解される部分へ運ぶ役割を担っている。 研究チームは、TFG の変異で運搬機能が低下した結果、たんぱく質の異常な蓄積が起き、筋肉を動かす細胞が働かなくなると見ている。 たんぱく質の蓄積は ALS 患者でも確認されている。 (yomiuri = 8-12-12)


見えないがんの気配キャッチ 京大と島津製作所が新技術

がんなどの組織を顕微鏡で観察するために薄く切った標本にどんなたんぱく質が分布しているか、画像化する技術を京都大と島津製作所が開発した。 目で確認できないがんの広がり具合がわかり、治療薬の標的を探すのにも使える。 ノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所シニアフェローらが開発した、たんぱく質をレーザーで蒸発させて重さを量り、種類を確かめる方法を発展させた。

ホルマリン漬けにした標本は、そのままだとレーザーを当てても蒸発しない。 京大の鶴山竜昭准教授(解剖形態学)らは、標本に水をしみこませて 95 度に加熱し、圧力をかけるなどの方法で蒸発しやすくしたうえで、どこにどんなたんぱく質があるか画像化した。 (asahi = 8-12-12)


新種豚インフル、米で新たに 100 人超確認

米疾病対策センター (CDC) は 9 日、新種の豚インフルエンザ(H3N2 型)の感染者が今週になって新たに 129 人確認されたと発表した。 7 月下旬から先週までに 12 人が確認されたが急増した。 大半が軽症だが、CDC は、人から人への感染が起きていないか、警戒を強める。

患者の 9 割は子どもで、この季節に多い農業祭に参加、豚から直接感染したケースだという。 2 人の入院が確認された。 ほとんどの患者は中西部インディアナ州で出ている。 このウイルスは、現在の季節性インフルエンザのワクチンでは予防効果が期待できないといい、CDC は動物に接する前後の手洗いの徹底などを呼び掛けている。 2009 年に新型インフルエンザとして大流行した H1N1 型の遺伝子の一部を持っている。 (ワシントン = 行方史郎、asahi = 8-10-12)


ES 細胞からつくった心筋細胞、効果確認 信州大助教ら

体のさまざまな組織になれるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES 細胞)からつくった心筋細胞に心筋梗塞(こうそく)の治療効果があることを、信州大の柴祐司助教や米ワシントン大などの研究チームがモルモットの実験で確認した。 新たな治療法の開発につながると期待される。 6 日付の英科学誌ネイチャーで報告した。

チームは、ES 細胞からつくった心筋細胞を心筋梗塞のモルモットの心臓に注射。 28 日後に調べると、心臓の筋肉が部分的に再生していた。 移植した細胞が心筋とともに拍動していることも確認。 不整脈が起きる確率が大幅に抑えられた。 チームは「ES 細胞を使った心臓の治療法の開発に役立つ成果。 実用化するには、安全性や効率を長期間観察する必要がある。」としている。 (下司佳代子、asahi = 8-9-12)


幹細胞で乳房再生、鳥取大が研究開始 治療の希望者募集

鳥取大学医学部付属病院は、乳がんで乳房を失った患者のために、人の脂肪に含まれる体性幹細胞を使って乳房を再建させる臨床研究に取り組む。 厚生労働省が定めた「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認を受けた体性幹細胞の乳房再建の臨床研究としては全国で初めて。 (asahi = 8-8-12)


青ジソに老化やがん抑制成分 = 予防薬開発の可能性も - 京大

京都大大学院薬学研究科の久米利明准教授らの研究グループは 6 日、青ジソに老化やがんの発生などを予防する「DDC」と呼ばれる成分が含まれていると発表した。 予防薬開発の可能性も期待されている。 体内では活性酸素が過剰にならないよう、抗酸化酵素やビタミンなどの働きでバランスが取られている。 しかし、これが崩れると「酸化ストレス状態」となり細胞を傷つけ、老化やがん、動脈硬化などの一因になると考えられている。

久米准教授らは果物や野菜など 12 種類について、成分を調査。 その結果、青ジソには DDC が含まれていることが判明。 DDC をラットの細胞に加えると、抗酸化酵素が増加することが確認された。 久米准教授は「効果をさらに検証する必要があるが、サプリメントや予防薬開発につながる可能性がある」と話している。 (jiji = 8-6-12)


喫煙率 21.1%、17 年連続で減少 日本たばこ産業

日本たばこ産業 (JT) は 30 日、2012 年の喫煙率が前年より 0.6 ポイント下がって 21.1% だったと発表した。 健康意識の高まりや増税による 10 年の値上げなどの影響で、17 年連続で減少した。

喫煙者の推計値は計 2,216 万人。 男女別の喫煙率は、男性が前年比 1.0 ポイント減の 32.7%、女性が同 0.2 ポイント減の 10.4%。 男性は 21 年連続、女性は 2 年連続減少した。 「毎日吸う」人の 1 日あたりの平均本数は、男性 19.1 本、女性 15.2 本だった。 5 月に 3 万 2 千人を対象に調査し、62% から有効回答があった。 政府が 6 月に喫煙率を今後 10 年間で 12% に下げる目標を初めて掲げるなど、喫煙への風当たりは強くなっている。 (asahi = 7-30-12)


院外処方箋、期限見えづらい 総務省、厚労省に改善要請

病院外の薬局で薬を受け取るために発行される「院外処方箋」の有効期限を記した文字が小さいため、期限切れによる再発行が相次いでいる。 利用者からの相談を受けた総務省中部管区行政評価局が 20 日、厚生労働省に改善を求めた。 院外処方箋の有効期限は原則「交付日を含めて 4 日間」と厚生労働省の規則で決まっている。 処方箋の書式は、日本工業規格 (JIS) で定められているが、有効期限を記す欄が小さく、「高齢者に見えづらい」との相談が評価局に寄せられていた。 (asahi = 7-22-12)


提供人体組織に共通番号 WHO、提供者の特定可能に

世界保健機関 (WHO) が、移植や医薬品製造に利用する人体組織に世界共通の番号(コード)をつける制度の具体化に入った。 人体組織の国際取引が急増し、死体から不正に皮膚や骨などを取り去る行為も横行している。 世界共通コードは、人体組織の提供者を追跡可能にし、安全性の担保や不正な採取を防ぐ目的がある。

WHO は 8 月末にフランスで移植医療に関する作業部会を開き、共通コード化の運用策を話し合う。 部会のメンバーが朝日新聞に明らかにした。 WHO は 2010 年 5 月、人体組織の世界共通コードの必要性について決議。 その後、人体組織の世界的需要はますます高まっているが、出所が不明な死体から採取された組織が出回るなど、感染症の危険が指摘されていた。 (asahi = 7-21-12)

◇ ◇ ◇

遺体から皮膚や骨 闇取引 調査報道 NPO が取材

死体から皮膚や骨、腱などの組織を集め、歯科インプラントや美容形成、スポーツ医療用製品の原材料として国際的に取引する動きが活発だ。 高まる需要の中で死体組織の不正な入手も横行し始めており、米国の国際調査報道ジャーナリスト連合 (ICIJ) は世界 11 カ国で 8 カ月間取材し、取引の不透明な実態に迫った。 人体組織の取引を監視する法律がないため、出所のはっきりしない死体組織をめぐる感染症被害の危険性を指摘する声もある。

人体組織そのものを売り買いすることは禁じられているが、遺族の同意に基づく「献体」などにより遺体の組織が提供され、非営利団体の組織バンクなどを通じて医療現場に届くのが本来の形だ。 ところが、「人体組織ビジネス」は急成長を続け、規制の甘い旧ソ連・東欧が人体組織の「供給源」として狙われている。 中には、公的機関が言葉巧みに遺族から同意を取り付けて死体の組織を不正に確保するケースも表面化した。

「肋骨 2 本、アキレス腱 2 本、左右のひじと鼓膜、歯 2 本 ・・・。 気味が悪すぎて最後まで読めなかった。」 てんかん発作のため息子を 35 歳で亡くした母親は、ウクライナ警察に遺体から取り除かれた箇所のリストを見せられた。 同警察は今年 2 月 24 日、地方法医学局からこの男性らの人体組織をクーラーボックスの中に詰め込んで白いミニバンで運びだそうとしているところを押収した。

荷札に書かれた運搬先は、米国で昨年 1 億 6,900 万ドル(約 135 億 2 千万円)を売り上げ、株式上場もしている医療企業の系列ドイツ工場。 母親は、わずかな組織提供をするとしか聞かされていなかった。 ウクライナ警察は 2008 年にも別の法医学施設から月に 1千を超える人体組織が違法に盗まれ、第三者経由でこの工場に運ばれたとして刑事事件化した。 しかし、主犯格のウクライナ人医師が判決前に死亡し、真相は闇の中だ。

米食品医薬品局 (FDA) は 11 年、この工場から米国に輸入されたウクライナ人の人体組織が、「ドイツ製」と記されていることを把握し、輸入元の上場医療企業に是正を求めた。 人体組織の最大の市場である米国では、年間約 200 万の人体組織由来の製品が売られているとみられ、この 10 年で 2 倍となった。 業界関係者によると、病気のなかった死体は、1 体 8 万 - 20 万ドルで取引されるという。 角膜移植は盲目の人に光を与え、腱と靱帯をリサイクルした製品は、アスリートの復活を可能にする。

皮膚は死体から手際よく長方形に切り取られる。 大きければ約 5,580 平方センチを得られる。 細菌感染を防ぐために水分を取り除いてすりつぶし、精製されてがん患者の乳房再建術に使われる。 ところが、多くの米国などの整形外科医らは、再建術に使う製品が死体の組織を使っていることを患者に打ち明けない。

ICIJ が情報公開請求によって入手した資料によると、FDA は 02 年以降、組織移植後の感染を 1,352 件把握し、40 人は死に至っている。 米疾病対策センター (CDC) によると、人体組織を使う製品には、肝炎や HIV など感染症のリスクが避けられない。 血液については規制が厳しくなっているが、死体から作られる製品にはほとんど規制法がないという。 CDC のマット・キーナート博士は「感染を見つけるシステムがない」として、監視体制の必要性を訴える。 (asahi = 7-18-12)


救済対象外の若年層 8 割に水俣病症状 集団検診で判明

熊本県などで 6 月に実施された 1,400 人規模の水俣病集団検診で、国の被害者救済策の対象年齢から外れる若年層 41 人の 8 割以上に、水俣病に特徴的な感覚障害が確認されたことがわかった。 検診を実施した被害者団体と民間の医師団でつくる実行委員会が 18 日、発表した。 救済策の申請期限が 7 月末に迫るなか、医師団は「(対象外の)若年層にも数多くの被害者がいる」と訴え、期限撤廃を求めた。

熊本・鹿児島両県では、原因企業チッソが排水を止めた翌年の 1969 年 12 月以降に生まれた人は原則、救済策の対象にならない。 申請はできるが、母親の毛髪、へその緒に含まれる水銀値などが証拠として求められ、ハードルは高い。 集団検診は 6 月 24 日、熊本県水俣市と天草市、鹿児島県出水市の計 6 会場で実施され、32 - 94 歳の 1,396 人が受診した。 約 9 割に水俣病の症状が確認された。 受診者のうち 69 年 12 月以降生まれは 41 人おり、35 人に症状があったという。 (asahi = 7-19-12)


米 FDA、エイズ予防薬を初承認

【ワシントン】 米食品医薬品局 (FDA) は 16 日、既存のエイズ治療薬「ツルバダ」を、感染を防ぐための予防薬としても承認した。 開発したカリフォルニア州のギリアド・サイエンシズ社によると、エイズ予防薬の承認は世界初。 エイズの死者は治療薬の普及により減少しているが、米国では感染者数が年間 5 万人増加している。 FDA のハンバーグ局長は「エイズとの戦いで、重要な節目となる」との声明を発表した。

ツルバダは日本でもエイズ治療薬として販売されているが、ギリアド社によると、米国以外で予防薬としての申請はしていない。 予防薬としての利用は、パートナーがエイズウイルス (HIV) 感染者の場合など、感染リスクの高い人が対象。 毎日の服用が必要で、年間約 1 万 4 千ドル(約 110 万円)かかるという。 FDA によると、片方が HIV 感染者のカップルを対象とした調査の結果、非感染者がツルバダを毎日服用した場合に、HIV に感染する危険が 4 分の 1 に減った。 (kyodo = 7-17-12)


化学物質、許容濃度の 20 倍 胆管がん相次ぐ大阪の業者

発がん性の疑われる化学物質の暴露は許容濃度の最大 20 倍 - -。 10 日、厚生労働省の調査結果が明らかにしたのは、胆管がんの発症が相次ぐ大阪市内の印刷会社で元従業員らが高濃度の化学物質を浴び続けていたという実態だった。 「20 倍は非常に大きな数字。 たとえると、アルコールを 10 倍摂取すればどうなるか、考えればいい。」 厚労省労働基準局は発表の中で、胆管がんの発症が続出する大阪市中央区の印刷会社についてこう指摘した。 (asahi = 7-10-12)

◇ ◇ ◇

印刷会社従業員の胆管がん、全国調査へ 厚労省

厚生労働省は 12 日、印刷会社で働く人の胆管がんの発生状況について、全国約 500 事業所の調査をすると発表した。 大阪府の印刷会社で、元従業員 4 人が胆管がんで死亡。 洗浄剤の中の化学物質が原因となった可能性が指摘されている。 さらに東京と宮城でも、似た事例の相談があったため調査に踏み切る。

熊谷信二・産業医科大准教授(労働環境学)らのグループの調査で、大阪府の印刷会社で 1991 - 03 年に働いた男性 33 人のうち、当時 25 - 45 歳の 5 人が胆管がんになり、4 人が亡くなったことが明らかになった。 遺族らは 3 月に労災の認定を申請した。 (asahi = 6-12-12)


不妊治療、早産・低体重のリスク高め 妊婦 24 万人調査

人工授精や体外受精など不妊治療を受けて出産した場合、胎盤の位置の異常や早産、赤ちゃんの低体重などのリスクが 1.2 - 2.7 倍高いことが、妊婦約 24 万 3 千人の調査で分かった。 治療が必要な人は治療の種類にかかわらず、ある程度リスクが高かった。 妊娠中は体調の管理がより大切なことを示す結果だ。

調査したのは日本医大や東京女子医大などのチーム。 日本産科婦人科学会に登録された妊婦約 24 万 3 千人(単胎出産)を分析した。 このうち、約 4,100 人が、排卵数を増やす薬、排卵誘発剤を使って、約 2,400 人が精子を子宮などに注入する人工授精で出産。 約 4,600 人は卵子と精子を体外で受精させた後、子宮に戻す体外受精で出産した。

分析の結果、不妊治療を受けたグループは、胎盤の異常が起こるリスクが 1.5 - 2.7 倍、妊娠 34 週未満で生まれるリスクは 1.2 - 1.3 倍、体重 1 千グラム未満の超低体重児が生まれるリスクが 1.4 - 1.8 倍高かった。 (asahi = 7-6-12)


歯周病で欠けた骨を再生 … 名大 G が新手法開発

様々な組織や臓器の細胞の基となる幹細胞から分泌されるたんぱく質「サイトカイン」を移植し、骨を再生する方法を、名古屋大学大学院医学系研究科の上田実教授らの研究グループが開発した。 骨だけでなく幅広い組織や臓器の再生への応用が期待されている。 米再生医療専門誌「ティッシュ・エンジニアリング」に 1 日、発表される。

この方法は、歯周病や事故などで顎の骨が欠けた患者が対象。 腰から骨髄液を採取して、骨や脂肪などの細胞に変化できる「間葉系幹細胞」を抽出して培養。 その際にできた液体を含んだセラミックなどを、患者の患部に移植すると、半年で新たな骨が再生できるという。

この培養液には細胞の機能調節にかかわるサイトカインが含まれ、体内に元々ある幹細胞の活動を促す働きがあるためとみられる。 上田教授らは、名古屋大付属病院(名古屋市昭和区)などで患者計 38 人の顎の骨の再生に成功した。 (yomiuri = 7-1-12)


脳動脈瘤、7 ミリ以上は破裂リスク増大 学会が発表

くも膜下出血につながる「脳動脈瘤(りゅう)」は、7 ミリ以上になると破裂のリスクが高まり、7 - 9 ミリの大きさでは年間に 60 人に 1 人が破裂することがわかった。 こぶの位置や形によってもリスクが高まった。 日本脳神経外科学会が約 6 千人を対象に追跡調査した。 脳ドックでこぶが見つかっても、何ミリ以上になると破裂しやすいか、明確なデータはなかった。

28 日付米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された。 未破裂脳動脈瘤は成人の 5% 程度にあるとされる。 くも膜下出血は発症すると 3 分の 1 が亡くなり、30 - 40 代の患者も多い。 (asahi = 6-28-12)


抗肥満薬、米で 13 年ぶり承認 エーザイが販売権

米食品医薬品局 (FDA) は 27 日、エーザイが米国での販売権を持つ抗肥満薬「ベルヴィーク(一般名ロルカセリン)」を承認したと発表した。 米国で抗肥満薬が承認されるのは 13 年ぶり。 米製薬会社が開発・製造、エーザイの米国子会社が販売する。

臨床試験では平均で年間 5% 以上の減量効果が確認された。 体格指数 (BMI) が 30 以上(高血圧、2 型糖尿病、高脂血症がある場合は BMI27 以上)の大人が対象となる。 この薬は、脳内の神経伝達物資に働きかけ、食欲や満腹中枢を調整する作用がある。 ただし、うつ病などの治療薬との併用は注意が必要だという。 (asahi = 6-28-12)


子宮頸がんワクチン、接種後 567 人失神状態

厚生労働省は 27 日、子宮頸(けい)がんを予防するワクチンを接種した後に、失神を起こしたり意識がはっきりしなくなったりした女性が 812 人報告されたと発表した。 ワクチンの副作用ではなく、筋肉注射の痛みや恐怖によるショックが原因と考えられるという。 厚労省は、失神に備えて接種後 30 分は院内で安静にさせるよう医療機関に注意を呼びかけている。

子宮頸がんワクチンは、2009 年発売の「サーバリックス」と、11 年発売の「ガーダシル」がある。 厚労省によると、812 人は今年 3 月末までの報告数。 このうち意識を失う失神状態になった人は 567 人、さらに転倒して歯や鼻の骨が折れた人が 51 人いた。 企業の推計では 3 月末までの接種者数はサーバリックスが 253 万人、ガーダシルが 31 万人という。

失神を起こしたのは接種から 15 分以内が約 9 割を占めた。 厚労省は、接種後に歩く際には保護者や看護師らが付き添うことや、約 30 分間は背もたれのあるイスに座らせることを徹底するよう求めている。 子宮頸がんワクチンは現在、国と市町村が中学 1 年 - 高校 1 年の女子を対象に接種費用を公費で助成している。 来年度には、予防接種法に基づく定期接種となる見通しだ。 接種後の失神でひどいけがをしたら、公的な救済制度で医療費などが支給される場合もある。 (asahi = 6-28-12)


熱中症、梅雨明け直後ご用心 救急医学会が調査

梅雨明け直後の熱中症に気をつけて - -。 猛暑が続く 8 月よりも、体が暑さに慣れていない梅雨明け直後に重症の熱中症患者が増える傾向にあることが、日本救急医学会の調査で分かった。 専門家はこの時期も水分補給などの対策を怠らないよう呼びかけている。 学会が、過去 5 年間で最も酷暑で死者も相次いだ 2010 年の 6 - 8 月に全国 94 救急医療施設に熱中症で救急搬送された患者 1,781 人の症状などを調べた結果を学会誌で発表した。

10 年は 7 月 17 日に全国の大半で梅雨が明け、その直後に平均気温が 30 度前後に上がった。 21 - 31 日に搬送された患者は約 500 人と直前の 10 日間より 4 倍近くなった。 このうち意識障害などを起こす重症患者は約 200 人に上った。 8 月上旬には真夏日や熱帯夜が続いたが、約 300 人台まで下がり、それ以降は徐々に患者数が減った。 真夏日や熱帯夜の連続で体が慣れたためとみられる。 (asahi = 6-28-12)


風疹患者が急増 過去最高の昨年上回る 男性中心

風疹の患者数が急増し、過去最多だった昨年の年間患者数を 6 月半ばまでに超えたことが国立感染症研究所(感染研)のまとめでわかった。 6 割弱が 20 - 40 代男性だった。 胎児が感染すると難聴などになる恐れがあり、妊婦に感染させないよう、専門家は注意を呼びかけている。

感染研によると、最新の 1 週間(6 月 11 - 17 日)の患者は全国 53 人で、5 月下旬から 3 週連続で 50 人台を記録した。 それ以前は多くても 20 人台だった。 年始からの合計は 393 人となり、調査を始めた 2008 年以降、年間最多だった昨年の 374 人(暫定数)をすでに超えた。

都道府県別の合計では兵庫の 121 人が最も多く、大阪 102 人、東京 45 人が続く。 患者全体の 8 割弱が男性で、うち 76% が 20 - 40 代だった。 この世代は予防接種などによる免疫がないか、不十分な人が多いためとみられる。 (asahi = 6-28-12)

◇ ◇ ◇

風疹、近畿で流行の兆し 厚労省が注意呼びかけ

風疹が流行の兆しをみせている。今年は 23 日までに患者数が 205 人と、患者総数を把握している過去 4 年間で最多だった昨年を上回る勢いだ。 近畿を中心に感染が広がっている。 厚生労働省は予防接種の徹底などを呼びかける通知を全国の自治体に出した。 こうした通知は 8 年ぶりという。

国立感染症研究所(感染研)によると、23 日までの患者数 205 人は、昨年同時期の 126 人に比べ 2 倍近い。 このうち兵庫県が 62 人と最多、大阪府 46 人、京都府 12 人と近畿で流行が顕著だ。 患者の 7 割以上が男性で、特に 20 - 40 歳代に多い。 1994 年まで中学生の予防接種は女子に限られたため、免疫がない男性が多いことが影響している。

風疹はせきやくしゃみなどから感染し、発疹や発熱が起こる。 特に妊娠初期に感染すると、胎児にも感染して先天性の心疾患や難聴、白内障などを引き起こす危険性がある。 感染研感染症情報センターの多屋馨子室長は「妊婦にうつすことのないよう、夫や周りの人は接種を心がけて」と話している。 (森本未紀、asahi = 5-29-12)


O157 に「猛毒型」 千葉大チーム、識別方法も解明

病原性大腸菌 O (オー) 157 の中に、健康な人でも死に至るほどの重い症状を引き起こす「猛毒型」があることを、千葉大学の野田公俊教授(病原分子制御学)の研究チームが発見した。 これまでは、なぜ人によって症状の重さに差が出るかが分かっていなかったが、その識別方法も開発。 今後、治療方法の開発に役立つ可能性があるという。

内容は、英国の専門誌「モレキュラーマイクロバイオロジー」の電子版に発表された。 O157 は溶血性尿毒症症候群や脳症など非常に重い症状になる場合があるが、その確率は日本では 1.4% とされる。 これまで、同じ菌なのに症状が大きく違う理由は不明で、「患者の体調による」など様々な説があった。 (asahi = 6-27-12)


青色光から目守れ PC・スマホで疲れ、遮断メガネ人気

パソコンやスマートフォンなど、職場や家庭で液晶画面の光を見つめる機会が増えるなか、光に含まれる「青色光(あおいろこう)」の危険性が注目されている。 長期間浴びた場合の網膜などへの影響について研究が始まる一方で、商機ととらえる動きも広がっている。

東京・渋谷の JINS 原宿店。 普段は眼鏡を掛けない照明デザイン業の男性 (34) は、青色光を遮る眼鏡を手に取り、店員に尋ねた。 「一日中パソコンに向かうと目が疲れて。 これを掛けたら改善しますか。」 男性のように、視力に問題がない客が、眼鏡店を訪れている。

眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌ(東京都渋谷区)は昨年 9 月、青色光を遮る眼鏡を発売。 当初は度なしのみだったが、予想を超える売り上げを記録し、度付きや子ども用のレンズも開発。 後を追うように、数社が同様の眼鏡を売り出した。 同社マーケティング室は「新たな顧客層を開拓できている」と話す。 職場でパソコンを使う企業・団体も動き始めた。 日本マイクロソフトやリクルートメディアコミュニケーションズは、福利厚生の一つとして、青色光を遮断する眼鏡を導入した。 (asahi = 6-25-12)


医療での被曝量、生涯通じ把握 学会連携し仕組み作り

CT 検査などの普及で医療の検査、治療による被曝が増えているため、日本医学放射線学会など 12 学会・団体は、患者ごとに医療被曝の総線量を把握する仕組み作りに乗り出した。 生涯にわたって医療による総被曝線量を把握して、過剰な被曝をなくすことを目指す。 2 年以内に提言をまとめ、関係省庁などに実現を働きかけていく。

検討を始めたのは日本医学放射線学会や日本放射線腫瘍学会、日本小児放射線学会など、放射線科医や診療放射線技師らの学会などが結成した「医療被ばく研究情報ネットワーク (J-RIME)」。

まず、CT や、放射性物質を含む薬剤を注射してがんの有無を調べる PET など検査による被曝実態を調べる。 検査ごとに患者個人の被曝線量を把握する方法や記録する方法、項目も検討する。 将来的には、個人が生涯にどこで検査、治療を受けても、どれだけ被曝したのか総線量がわかるような仕組みを目指す。 (asahi = 6-23-12)