大学と地域をくるむ「魔法の布」 ナノファイバーで産学連携

極細繊維のナノファイバーを使った製品開発の動きが長野県内で加速している。 仕掛け人は同分野の世界的な権威とされる信州大学繊維学部(長野県上田市)の金翼水准教授。 空気は通しても水は通さない「魔法のような布」で水をろ過するフィルターや介護用シーツなどの製品化を模索している。 幅広い用途が見込める素材の可能性を広げようと、小回りのきく中小企業をパートナーに、ニッチ市場の開拓に挑む。

「思いついたものは挑戦する。」 金属加工を手掛ける長野精工金属(長野県茅野市)の矢島哲男社長は金准教授が開発したナノファイバー生地を使った製品開発に取り組む 1 社だ。 現在挑戦しているのが、スケート場で使う湿度調整装置。 「ナノファイバー生地に空気を通過させれば、水分だけを除去できるはず。(矢島社長)」 加熱して水分を除去する現在の方式よりもエネルギー消費量が少なくなると見込む。

さらに介護用シーツへの活用策も検討している。 尿などがシーツの下にあるマットレスまでしみないはずで、交換する手間が省け、介護する人の負担が大きく軽減できると読む。 今まで培った人脈を駆使し発想の商品化を進める。 ナノファイバーは 1 本の太さが 100 - 500 ナノ(ナノは 10 億分の 1)メートルと、髪の毛の 200 分の 1 程度の極細繊維。 繊維と繊維の間が微細なことをいかし、2 次電池の基幹部品や人工血管材料など幅広い分野で研究開発が進んでいる。

金准教授はナノファイバー分野で学術情報データベースで文献数が世界 1 位となるなど世界的な第一人者で、ポリウレタンやナイロンなどの樹脂に高電圧をかけて紡ぐエレクトロスピニング法を使ったナノファイバー生地の量産装置を開発。 半導体や精密機器で微細なゴミを取り除くワイパーなどに利用されている。

金准教授が中小企業に期待するのは、思いがけない用途がまだまだあるとみているからだ。 ナノファイバーは用途が幅広い半面、一つ一つの市場は小さくなる。 大手が商品化を見送るようなニッチ市場も中小なら商品化できる可能性が高いからだ。 要望があれば生地のサンプルも進んで提供。 「中小企業の技が製品化につながる」と共同研究を積極的に働き掛ける。

金准教授の思いに応えるかのように、ダイビング用品を長野県中野市で開発する日本潜水機(神奈川県海老名市)が研究室のドアをたたいた。 「酸素ボンベに接続する呼吸器用のフィルターで使いたい。(吉沢徹夫社長)」 ボンベの中は意外と汚れているといい、実用化できればダイバーが清浄な空気を吸えるようにできると見込む。

もちろん、商品化の壁があるのも事実だ。 純水製造装置などを手掛けるオーセンテック(茅野市、池上源一社長)は水処理などのろ過用のフィルターで試作品を作製。 ただ「強度面の課題が生じ対策を練っている(池上社長)」と話す。 樹脂素材や編み目の大きさの変更などが必要となっている。

企業との製品開発だけでなく、学生たちともじっくりと語り合う。 金准教授は「学生たちは優秀で、食事会の何気ない会話から新たな発想が生まれることもある」と笑う。 ある学生は納豆から新たなナノファイバーの製造方法を思いついたという。 糸を引いた納豆のように、溶かした樹脂を引き離すことで製造する方法だ。 実用化すれば高電圧が必要なエレクトロスピニング法よりも安価に製造できるようになる。 その装置も中小企業と連携すれば開発できる可能性もある。

様々な企業を引き付ける金准教授。 ナノファイバーという技術もさることながら、その気さくな人柄が人を引きつけている。 「学校の先生らしくない」とも評されるほど気軽に相談できる雰囲気は、地域の企業を元気にするのが大学の役目という思いがあるからだ。 金准教授は今後、「ナノファイバーに興味のある中小企業を集めた集団を作りたい」と語る。 様々な技術を持ち寄れば、製品化に向けて開発を進め壁にぶつかったとき、それをその集団で解決できるようになるはずだからだ。 "わいがや" で新たな展開が生まれるとみている。

発想を集め、足りない技術を補って、利益を生み出す製品に結実する。 稼ぐ力の養成を目指した地域ぐるみの産学連携から、地域の活性化をけん引する商品が誕生する日も遠くない。 (川名如広、nikkei = 4-24-12)


コナカ、下請け代金を不当減額 3 千万円、公取委が勧告

下請け業者に支払う代金のうち約 3 千万円を不当に減額したとして、公正取引委員会は 24 日、紳士服店を展開するコナカ(横浜市)に対して、下請法違反(減額の禁止)で再発防止を勧告した。 コナカはすでに全額を業者側に支払ったという。

公取委によると、コナカは 2009 年 10 月 - 10 年 11 月、スーツ製造などを請け負った業者 10 社に代金を支払う際、手形割引相当分などの名目で 1.0 - 1.8% を差し引いたという。 同社は「再発防止に取り組む」との談話を出した。 (asahi = 4-24-12)


五輪カラーのジーンズで「がんばれニッポン」 岡山

7 月に開幕するロンドン五輪。 赤、青、黄、緑、黒の五輪カラーに染めた岡山産ジーンズが登場した。 カッコ良くはきこなすことが応援になるかも? ジーンズの企画販売会社「クラクション(倉敷市中庄)」が、同市児島などの業者に、染色や織布、縫製を委託して生産した。 その名も「ファイブカラーブルージーンズ」。 日本オリンピック委員会 (JOC) の公式ライセンス商品だ。

デニム生地は、藍色のインディゴで染めた縦糸と、5 色のうちの 1 色の横糸であや織りし、生地の裏側は鮮やかな横糸の色になっている。 腰の革パッチには JOC マークの焼き印、ポケットの内側袋にも「がんばれニッポン」のスタンプが押されている。 レギュラーストレートで、サイズは 28 - 34 インチと 36 インチ。 1 着 1 万 8,900 円。 倉敷市内の直営 3 店やインターネットで販売中だ。

クラクションは昨年 12 月末、JOC とライセンス契約を結んだ。 契約期間の来年 3 月末までに 500 着の売り上げをめざす。 売上高に応じて JOC に支払うライセンス料は、アスリートの育成や強化に役立てられるという。 浜本とおる社長 (40) は「ものづくりにこだわり抜いた高品質な岡山産ジーンズを、日本中の皆さんに知ってほしい。」 問い合わせはクラクション (086・463・7211) へ。 (asahi = 4-22-12)


名古屋・栄にファストファッション旋風 H & M も進出

名古屋の繁華街・栄地区に「ファストファッション」という新風が吹き込んでいる。 流行をとりこんだ新商品を低価格で投入するスタイルがデフレ時代の若者の心をつかむ。 21 日にはスウェーデンの H & M が進出。 米国、スペイン、日本と合わせて 4 カ国の代表格が出そろい、新たな街のにぎわいを生み出している。

H & M 名古屋松坂屋店では、先着 500 人に限定エコバッグが無料で配られることもあり、開店前から若い女性を中心に約 2,500 人が行列をつくった。 予定を 10 分早め、午前 10 時 50 分に開店。 春物のワンピースを買いに来た名古屋市西区の旅行会社員、小田島理沙さん (28) は「安くて、デザインがおもしろい。 やっと地元で行けるようになった。」とうれしそうに話した。 (asahi = 4-22-12)

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H & M、松坂屋名古屋店に開店へ 売り場面積日本最大級

スウェーデンのファッションブランド「H & M」が 21 日、名古屋・栄地区の松坂屋名古屋店にオープンする。 東海地方には初進出で百貨店への出店も初めて。 H & M は流行を採り入れたデザインと手頃な価格で人気の「ファストファッションブランド」の代表格。

南館の地下 1 階全フロアと 1 階の一部にできる売り場の面積は、3,200 平方メートルで H & M としては国内最大級。 レディース、メンズ、キッズのほか、下着やアクセサリーなど幅広い品ぞろえが特徴。 H & M ジャパン社長のクリスティン・エドマン氏は 18 日の報道陣向け内覧会で「東海 1 号店なのでフルラインナップで商品をそろえた。 立地も魅力的で松坂屋との相乗効果が期待できる。」と語った。

H & M は東京・銀座をはじめ国内 18 店舗を展開。 今年は首都圏以外の主要都市での出店を加速させる方針で、名古屋は福岡・天神に続く第 2 弾となる。 (asahi = 4-18-12)

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心斎橋に国内最大級の H & M 5 フロア、パルコ跡地に

パルコは 4 日、大阪・心斎橋で来春オープンする商業施設に、スウェーデンの衣料品大手「H & M」が出店すると発表した。 H & M としては国内最大級の店舗になる予定で、地下 1 階から地上 4 階の全フロアで、子供向けを含めた品ぞろえを展開する。 商業施設は、昨年 9 月に閉店して取り壊された心斎橋パルコの跡地に新しく建てられる。 (asahi = 4-4-12)


新たなグローバル展開を目指す ICB

オンワード樫山がこのほど、ニューヨークの人気若手デザイナーを起用した「ICB NY エクスクルーシブコレクション」をスタートさせ、この秋から国内と北米、中国などで発売する。 国内の輸出産業の不振が続く中で、日本のアパレルブランドがグローバル展開によって活路を見だそうとする新たな取り組みの一つとして注目したい。

「ICB」そのものは、もともと国際展開を目指して 1995 年に開発されたブランドだった。 だが当時はまだ国内のアパレルマーケットが好調で、国内売り上げが重視されがちだったため海外での販売にはあまり手が回らず、2002 年には海外戦略からも撤退した形となっていた。 しかしその国内市場も長期的な売り上げ低迷に陥り、業界全体がこのままでは回復の見込みすら見えない状態となっている。 今回の ICB の「再挑戦」は、95 年の時とは市場背景が全く異なる中での起死回生の打開策ともいえる。

では今回の「グローバル」の意味は、95 年のそれとはどう違うのか? オンワード樫山の鈴木完尚・ICB 事業本部長は「マーケットの世界的な状況との時差をなくすこと」と語る。 それは噛み砕いて言えば、ブランドの側から提案を押しつけるのではなくて、世界中の消費者がいまどんな服をどう着たいと思っているかを探ってそれにかなう服を提供しようということだと思う。 ICB の主なターゲットは 30 代を中心とするキャリアウーマンだが、世界で働くその世代の女性たちの生身の生活スタイルをどうとらえるのかにつながるだろう。

デザインを担当するのは、ミシェル・オバマ米大統領夫人や歌手のレディー・ガガ、女優のサラ・ジェシカ・パーカーらもその服を愛用することで注目されているプラバル・グルン。 シンガポール生まれでネパールのカトマンズ育ち、インドの大学でファッションを学んだ後にアメリカに渡ってデザイン修業を重ねた、という異色の経歴をもったデザイナーだ。 一見では優雅な服だが独創的な切れ味があって、その色使いやプリントの図柄にはどこかアジア的な懐かしさや緩さが感じられるのが特徴だ。

東京・日本橋の三井ホールで 3 月下旬に開かれた「ICB NY エクスクルーシブコレクション」の披露ショーでは、全体としては黒を基調としたシンプルなテーラードのデザインだが、それとは対比的に有機的な不思議なプリント柄の柔らかくてフェミニンなドレスシャツ、そしてディテールでの繊細なレース使いや遊び心のあるファーのあしらいなどが組み合わされていた。 厚底と高いピンヒールを組み合わせた靴も新鮮なアイデア感覚に富んでいる。

デザイナーやパタンナーなどの企画チームはニューヨークに置き、品質の管理は日本で、生産は日本や中国などのアジア各国。 海外での販売拠点は、まず北米で 18 店舗、次の 2013 年春夏物からはヨーロッパでも販路を広げる予定だという。 こうしてみると、デザイナー自身も含めて生産態勢や販売網は確かに国際的で、それが服に新たなグローバル性を帯びさせることは事実だろう。 しかし、そうしたグローバル性とは経済や金融の「グローバリズム」と同じようにどこか無国籍的な一抹の不安さ感じさせることも否定できない。

地域に確かな基点を置いて共感の輪を世界に広げていく、というような意味での「グローカル」という言い方があるが、樫山の事業本部でも当然そのことは検討して踏まえているだろう。 そうだとすれば、無国籍的な不安感を与えないためには、企画機能はアメリカだけでなくもっと世界各地に広げ、日本では品質管理だけではなくて強力な企画統合機能を担うというような工夫が必要なのではないだろうか。

あるいはそうではなくて、経済のグローバリズムには実はアメリカの覇権意志が潜んでいると指摘されるが、ICB の今回のグローバリズムは客を第一に考えることで覇権意識のない新しいグローバリズムが可能だということを示しているのかもしれない。

日本は世界のファッション大国だといわれるが、ファッションの分野では日本の輸入と輸出の比率は約 50 対 1 という超輸入超過の状態が長く続いていた。 いずれにせよその意味では、日本のアパレルが海外市場を目指すのは大いに歓迎すべきことだ。 しかもファッション産業というのは先進国が最も得意とする分野で、いわゆる BRICs などの成長国がそう簡単には追いつけない産業分野なのだから。 オンワード樫山には頑張ってほしいと思う。 (上間常正、asahi = 4-19-12)


クールビズ商戦、早くも本番 大阪の百貨店

大阪市内の百貨店で早くもクールビズ商戦が本番を迎えた。 原発の稼働停止の影響で電力需給が逼迫する懸念が高まっており、各店とも品数を増やしたり、売り場の展開時期を早めるなどの対応に追われている。 各店とも、「猛暑でも暑苦しくなく、おしゃれに見えるビジネスファッションを提案したい」と意気込む。

高島屋大阪店(中央区)では昨年より 3 週間前倒しして 18 日、2 - 5 階の紳士服売り場で薄手のジャケットや吸湿性に優れたシャツ、しわになりにくいニット地のネクタイなどの販売を始めた。 ノーネクタイでも爽やかな印象が特徴のポロシャツ「ビズポロ」の品数を前年より 5 割増やした。 クールビズ関連商品の売上高も前年比 10% 増を見込む。

シャツやネクタイは麻素材が中心だが、「糸の改良で染色しやすくなり鮮やかなデザインのもの、さらに肌触りに優れたものが増えた(販売第 3 部の下田良之課長)」という。 この店では大型連休明けには半袖のシャツなども投入し、商戦を盛り上げる。 大丸心斎橋店(中央区)も同日、前年よりも 1 カ月半早く、5、6 階に特設売り場が登場。

紳士服関連商品では、前年よりも品数で 1.4 倍に増やし、売り場面積も 1.3 倍に広げた。 担当者は「5 月に衣替えする企業もあり、早めに売り場を展開した」としている。 この店では 24 日から、米アップルの多機能情報端末「iPad (アイパッド)」を使って、クールビズファッションの着こなし術などを買い物客に提案する。 着こなしのイメージをつかみやすくすることで、女性客も取り込む。

近鉄百貨店阿倍野本店(阿倍野区)では、来月 10 日からの「クールライフフェア」を前に、今月上旬から紳士服売り場にニット地のジャケットなどを並べている。 おしゃれな部屋着「リラクシングウエア」は前年の 2 倍にあたる最大 300 点を用意。 父の日(6 月 17 日)商戦を意識し、夫婦や親子おそろいで着られる色違いのステテコなども充実させ、売上高は前年比 10% 増を見込む。 (sankei = 4-18-12)

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クールビズに「もう一枚」 スーツ低迷、チョッキを提案

東京では 20 度前後の日が続き、気分はもう夏。 そろそろ「クールビズ」という会社も出てきそうだ。 百貨店などが勧める今年の流行は、半袖シャツ + ズボンに「もう一枚」という。 薄着で済まされると、売る服が少なくなって困るという事情もあるようだ。 13 日の JR 有楽町駅前。 化粧品会社員の関真平さん (36) はスーツにネクタイ姿で汗をぬぐっていた。 6 月からは長袖シャツ 1 枚に綿ズボンの「クールビズ」を始めるつもりでいる。

昨年から、東日本大震災後の電力不足を受けてポロシャツ 1 枚にジーンズといった「スーパークールビズ」を環境省も提案した。 ただ関さんは「楽だとは思うが、やっぱり長袖シャツや上着は必要」と話す。 取引先と会う時などは、紺のジャケットを羽織る。 そんな気持ちをとらえ、百貨店では、軽装にジャケットや「ジレ(チョッキ)」といった「もう一枚」を重ねて「正装」を演出する商品に力を入れている。 (asahi = 4-14-12)


老舗生地メーカー「ブルーフアイン」が事業停止

老舗生地メーカーのブルーフアイン(愛知県津島市)と関連企業 1 社が 16 日付で事業を停止したことが分かった。 負債総額は合計で約 15 億 8 千万円。 帝国データバンク名古屋支店によると、1915 年創業のブルーフアインは、アパレルメーカーからの注文で婦人服や紳士服の生地を製造。 最盛期には 30 億円近い年商があったが、長引くデフレで婦人服や紳士服の価格が低下。 最近は売り上げが落ち込んでいた。 (asahi = 4-17-12)


3 月の百貨店売上高 14% 増 震災の反動で

日本百貨店協会は 16 日、3 月の全国百貨店売上高(既存店ベース)は前年同月比 14.1% 増だったと発表した。 昨年は東日本大震災の影響が強かったことの反動が大きい。 2010 年比では 2.3% 減。

飯岡瀬一専務理事は「1 年が経ち、消費は震災前の平常の状況に戻りつつある。 株価が安定したことも消費心理にいい影響を与えている。」と話した。 高額品やホワイトデー向け菓子などの贈り物需要が好調だった。 地域別では仙台地区は前年比 170.5% 増で、10 年比でも 5.3% 増だった。 (asahi = 4-16-12)


「東急プラザ 表参道原宿」が 4 月 18 日にオープン

東急不動産と東急不動産 SC マネジメントは 4 月 18 日、日本初上陸のファッションブランドやグローバル旗艦店として位置付けるテナントが集まった商業施設「東急プラザ 表参道原宿」をオープンする。 時間は午前 11 時。 「アメリカンイーグル アウトフィッターズ」、「トミー ヒルフィガー」など全 27 店舗で構成される。 場所は、JR 山手線原宿駅徒歩 4 分、東京地下鉄千代田線・副都心線明治神宮前駅徒歩 1 分。 (asahi = 4-13-12)

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原宿に東急プラザ 4 月開業 衣類や雑貨など 27 店出店

ファッションや文化などを発信する東京の表参道・原宿エリアの中心地、神宮前交差点前に 4 月 18 日、東急プラザ表参道原宿(渋谷区神宮前 4 丁目)がオープンする。 ユニークなデザインの建物に衣類や雑貨、飲食店など 27 店が入居。 新たな流行の発信源になりそうだ。

12 日の記者発表会で、東急不動産の金指潔社長は「日本を代表するファッションの街の源がこの交差点。 開店に大きな喜びとともに強い責任を感じている。」と意気込みを語った。

渋谷区内には、渋谷駅周辺、代官山、原宿、表参道といったファッション、文化の発信地が多い。 中でも表参道と原宿エリアが交わる神宮前交差点は、連日、若者や観光客などでにぎわいを見せ、注目される場所だ。 (asahi = 1-13-12)


入社式 … なぜか新入社員がジーンズやワンピース

百貨店など小売り各社の入社式が 1 日行われた。 高島屋は「スーツ着用禁止」で、新入社員はジーンズやワンピースなどカジュアルな装いで出席し、鈴木弘治社長ら役員もノーネクタイで臨んだ。

鈴木氏は「百貨店は変化に対応できず苦戦している。 新しい感性で古い習慣を壊してほしい。」などと述べた。 「スーツ禁止」は、入社式後の意見交換会で新入社員の緊張を和らげる狙いで、初めて実施した。

新入社員からは「中国のネット通販大手と連携すべきだ」などの意見も飛び交った。 1 日はローソンも入社式を行った。 メーカーなどの多くは 2 日に入社式を開く。 (yomiuri = 4-2-12)


不測の事態に備え? 血液型印字、ブリーフで自己 PR

衣料品ブランドのヘインズは、春夏向けの男性用下着「血液型プリントボクサーブリーフ」を全国で発売している。 特徴は A、B、O、AB と大きくプリントされた血液型。 自分の血液型に合わせてはけば、ちょっと変わった自己 PR ができ、不測の事態が起きた場合に役立つかも知れない。 サイズは M、L、LL の 3 サイズ、色は 4 種類。 税込み 830 円。 (asahi = 3-17-12)


婦人服のクロスカンパニー、中国事業を加速

婦人服製造販売のクロスカンパニー(岡山市、石川康晴社長)は中国事業を加速させる。 3 月にインターネット通販に進出するほか、直営の大型店を瀋陽や北京に出すなど都市部を中心に店舗展開し、3 年後に 120 店体制を構築する。 ネット通販を通じてブランドを浸透させ、出店戦略にも活用する。 2015 年 1 月期に中国事業で 100 億円の売上高を目指す。

ネット通販では 3 月に中国の最大手「淘宝網(タオバオ)」、6 月をメドに日本のスタートトゥデイが中国で運営する「ゾゾタウンチャイナ」にもそれぞれ出店する。 主力ブランドである 20 - 30 代向け「アースミュージック & エコロジー」から取り扱いを始め、他のブランドにも拡大する。

クロスカンパニーは中国の子会社を通じて、昨年 9 月と 12 月に上海に店を出した。 店舗面積は 100 平方メートルと 160 平方メートル。 「アースミュージック & エコロジー」を扱う。 売り上げは好調に推移しているという。 5 月に瀋陽、7 月に北京にそれぞれ開く。 いずれも中国の食品大手、中糧集団の大型ショッピングセンター (SC) 内で、店舗面積 100 - 200 平方メートル程度の大型店を計画している。

これを皮切りにクロスカンパニーは「上海や北京など大都市の一等地に集中出店するドミナント戦略(石川社長)」で、店舗網を拡充していく。 これらの顧客・販売情報を内陸部を含めた出店戦略に活用する。 「ネットを通じて中国全土に拡販することで、人気エリアや販売動向をマーケティングする(石川社長)」狙いがある。

クロスカンパニーの 12 年 1 月期の売上高は 565 億円を見込む。 国内外の店舗展開を通じ、15 年 1 月期は 1,100 億円突破を目指す。 中国事業を拡大できるかどうかが、目標達成のカギを握りそうだ。 (nikkei = 2-29-12)

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クロスカンパニー、婦人服販売員の育成強化 店舗網の拡大にらむ

東西に研修所、店頭調査も

婦人服製造販売のクロスカンパニー(岡山市、石川康晴社長)は販売員の育成を強化する。 今夏をメドに研修施設を 2 カ所設置。 販売の現場で接客方法を指導する専任組織も国内の各地区ごとに順次立ち上げる。 店舗網の拡大に伴い、接客レベルの維持が課題となっている。 新たな休暇制度を導入し、販売員が働きやすい環境の整備も進めることで、顧客満足度 (CS) の向上を図る。

同社は 7 月までに東日本と西日本に 1 カ所ずつ研修施設「人材開発センター」を新設する。 設置場所は未定だが、実際の店舗と同じような売り場を再現し、基礎や実践段階の研修を行えるようにする。 従来は職場での実務を通じて教育する職場内訓練が中心だった。 同センターは店長クラスから新入社員まで幅広い層の教育に活用。 担当スタッフがマニュアルに沿って接客方法などを指導する場を設けることで販売力を高める。

現場における指導も強化する。 今月 1 日付で東京本部(東京・港)に管理職クラスで構成する「CS 委員会」を新設。 同委のメンバー 10 人が関東地区を中心に月 20 店舗のペースで覆面調査に赴き、顧客として来店する。 その場で課題を指摘し、接客方法を指導する。 今後は関西や中四国など地区ごとに委員会を順次設置し、今後 2 年で全店舗を調査する予定。

優秀な人材確保に向けて、販売員の大半を占める女性が働きやすい環境の整備にも取り組む。 出産 12 週前からの産休制度(法定は産前 6 週前)など既存の制度に加え、妊娠が判明した段階から 4 カ月間休める「妊娠休暇」を今春にも導入。 約 2,000 人の販売員を対象に実施する。

クロスカンパニーは 2013 年 1 月期中に国内店舗数を前期末比 96 店増の約 520 店とする計画。 その一方で、石川社長は「急激な拡大路線を進めたせいか、CS の低下を感じる」などと危機感を示し、「20 - 30 代の女性顧客は商品だけでなく接客も重視する傾向がある」として人材の育成を急ぐ。 (nikkei = 2-8-12)

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婦人服のクロスカンパニー、来期 96 店を国内新規出店

婦人服製造販売のクロスカンパニー(岡山市、石川康晴社長)は 2013 年 1 月期に国内で 96 店を新規出店する。 主力の 20 - 30 代女性向け衣料ブランド「アースミュージック & エコロジー」に加え、衣料雑貨の新ブランドを扱う店舗も展開。 来期末の国内店舗数を約 520 店まで増やす。 中国での事業も強化し、13 年 1 月期の売上高を今期見込み比 29% 増の 720 億円に伸ばす計画だ。

同社はここ数年は年 100 店ペースで出店しており、「事業拡大のため来期も攻めの姿勢を貫く(石川社長)」方針。 主力の「アース」は、従来の都市部の専門店ビルのほか、昨年 12 月に JR 阿佐ケ谷駅(東京・杉並)の商業施設に出店したのを皮切りに、駅や空港内の店舗を増やす。

20 - 40 代向けに投入する衣料雑貨の新ブランド「セブンデイズサンデイ」については「既に首都圏の商業施設数カ所への出店が固まった。(石川社長)」 3 月末にも 1 号店を開業する見通しで、初年度は 15 店を出す計画だ。

12 年 1 月期は売上高 560 億円、営業利益 75 億円で増収増益になる見込み。 昨年初進出した中国市場でも今春以降、上海や北京など大都市の一等地に集中出店する計画。 こうした取り組みで 13 年 1 月期の売上高は 720 億円、営業利益は100億円を目指す。 (nikkei = 1-17-12)

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クロスカンパニー、衣料雑貨で新ブランド 大型店舗を出店

婦人服販売のクロスカンパニー(岡山市、石川康晴社長)が、男女向け衣料雑貨の新ブランド「SEVENDAYS = SUNDAY (セブンデイズサンデイ、7DS)」で事業拡大を加速する。 来春以降、売り場面積が従来の 4 倍を基本とする大型店舗を出店。 顧客層の開拓や幅広い商品展開で既存の婦人服ブランドを超える旗艦ブランドに育てる方針だ。

「新ブランドの売り上げゴールは 800 億円。」 石川社長は「7DS」の展開に強い意欲を示す。 「事業投資も大きく当社にとって勝負をかける業態になる。」 同社の主力は 20 - 30 代の女性向けの婦人服ブランド「アースミュージック & エコロジー」。 売り上げの最終目標を年 400 億円と想定。 2012 年 1 月期は 260 億円に達する見通しで、「既に成長戦略を折り返したブランド(石川社長)」とする。

新たな収益の柱として導入する 7DS は「アウトドアで心地の良い時間を過ごせるオフタイムカジュアル」をコンセプトに、衣料品のほか、雑貨や自転車、アウトドア用品など、従来にない商品構成で展開。 初めて男性を対象に加え、幅広い年齢層の顧客を取り込む。

同社はこれまで「アース」をはじめとして、売り場面積が約 80 平方メートルの小型店を店舗戦略の基本としてきたが、新ブランドはその 4 倍以上の約 330 平方メートルを標準モデルに設定。 都心のファッションビルや路面店、郊外型ショッピングセンターなどに幅広く出店する。

初年度は 7DS に 10 億円以上を投じて 15 店を出店する。 3 年で 100 店に増やし、年 150 億円の売り上げを目指す。 同社の 11 年 1 月期の売上高は前の期比 35% 増の 410 億円。 今期は中国本土に初出店するなど海外市場も開拓。 15 年 1 月期に売上高 1,000 億円以上を目指す。 (nikkei = 11-29-11)


J フロントがパルコ買収へ 百貨店事業てこ入れ

百貨店の大丸と松坂屋を運営する J フロントリテイリングは、ファッションビル大手のパルコの買収をめざす方針を固めた。 百貨店の売り上げが落ち込んでいるため、事業を広げて利益をかせぐ考えだ。 パルコの筆頭株主の森トラストが保有している 33.2% の株を、すべて買い取る。 買い取り額は計 300 億円にのぼる見通し。 さらに、日本政策投資銀行(政投銀)がもつ、株に転換する権利がついた社債(転換社債)についても買い取り交渉を進める。 最終的に過半数の株の取得をめざす。

J フロントは、2007 年に大丸と松坂屋ホールディングスが統合して誕生。 国内に 22 店の百貨店を持つ。 ただ、統合した 08 年 2 月期に 1 兆 2 千億円近くあった売上高は年々減り、2011 年 2 月期には 9,501 億円まで落ち込んだ。 買収で、パルコに多い若者に人気のブランドなどを百貨店にも導入しててこ入れを図る。 (asahi = 2-24-12)


イタリアブランドのオシャレつなぎ ミドリ安全が発売

イタリアのスポーツ用品ブランド「ディアドラ」が日本限定の作業服「3D ハイブリッドつなぎ」を作った。 これを、作業服を製造・販売するミドリ安全が 3 月 1 日に売り出す。 作業員の動きを立体計測してデザインしており、しゃがみや前傾、開脚といった姿勢でも楽に作業ができる。 サッカーやテニスのウエアで培った「おしゃれ感」も特徴だ。 黄色と黒、紺とオレンジ色の 2 パターンあり、それぞれ 400 着限定。 1 万 1,800 円(税込み)。 (asahi = 2-21-12)


アパレルの村井商事、自己破産申請へ デリバティブ損で

アパレル商社の村井商事(大阪市)は事業を停止し、自己破産の申請準備に入った。 為替デリバティブと呼ばれる金融商品で損失が膨らんだ。 帝国データバンク大阪支社によると、負債額は 22 億 9,900 万円。

同支社によると、村井商事は輸入生地で製造した衣料品をアパレル商社に販売。 2011 年 3 月期の売上高は 30 億 1 千万円で本業のもうけを示す営業利益も黒字だったが、デリバティブによる損失(1 億 6,400 万円)が響き、純損益は赤字だった。 10 年 3 月期にもデリバティブで 9,700 万円の損失を計上している。 (asahi = 2-13-12)


白シャツで起死回生 熊本の縫製会社

記事コピー (asahi = 2-6-12)

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再出発企業がタイアップ 紳士用シャツ販売 熊本

県民百貨店(熊本市)が、衣料品メーカーの HITOYOSHI (人吉市)と共同開発した紳士用シャツの販売を始めた。 発売 2 週間で約 300 枚が売れるなど滑り出しは上々だ。 熊本岩田屋の撤退で店舗を引き継いだ県民百貨店と、経営破綻した親会社から独立した HITOYOSHI。 再出発した企業同士のタイアップ商品という点でも注目を集めているようだ。

シャツの開発が持ち上がったのは、昨夏。 HITOYOSHI の高い縫製技術に注目していた県民百貨店が「境遇が似た者同士で熊本を盛り上げよう」と提案した。 HITOYOSHI は 2009 年 2 月に破綻した東京の大手衣料品会社の工場を引き継いで発足した。 有名ブランドの製造を担う一方、昨年 10 月から東京の紳士服専門店「阪急 MEN'S TOKYO」で自社ブランドのシャツを売り始めた。 現在は阪急と県民百貨店で商品を取り扱っている。

共同開発したシャツの価格は 1 枚 5,145 円(税込み)。 白無地やストライプ、ギンガム、チェックなど 14 種類の色や型を取りそろえる。 売り場の女性販売員の声を反映させたため、赤系統の色が多くなったという。 ボタンには独特の光沢がある高瀬貝を使用。 襟と袖の形崩れを防ぎ、体になじみやすいとされる天然フラシ芯も採り入れた。 販売担当者は「1 万円クラスのシャツに使われる素材ばかり。 開発の経緯を知って買われるお客様もいらっしゃいます。」と話している。 (asahi = 1-6-12)


無農薬綿の肌着で復活期す 大和高田から東京出品 奈良

奈良県大和高田市で収穫された綿を使った肌着などの試作品が 8 - 10 日、東京ビッグサイト(東京都江東区)であるインターナショナル・ギフト・ショーに出品される。 かつて綿栽培が盛んだった地域を盛り上げたいとの思いで、関係者は早ければ今秋の商品化を目指す。

大和高田商工会議所は 2007 年、近くの畑などを「わったーらんど(計約 4 千平方メートル)」と名付けて借り、わたづくりセミナーに参加する市民の協力を得て、無農薬で綿の栽培を始めた。 09、10 年の収穫分のうち約 100 キロを糸にし、市内の 2 業者が昨年 7 月、試作品を東京でのイベントで展示。 好評だったため、3 業者を加えて、肌着やベビー用靴下、ショール、足首ウオーマーなど約 50 点を出品することにした。 (asahi = 2-3-12)


大人の街「銀座」から流行発信 ルミネ・阪急メンズ好調

昨年 10 月にリニューアルを果たした有楽町マリオン。 隣接して相次ぎ開店した「阪急 MEN'S TOKYO (メンズ・トーキョー)」、「ルミネ有楽町店」は共に業績好調だ。 背景には、より広い顧客層を見据えた戦略がある。 一方、銀座には新たな出店計画も。 「大人の街」銀座・有楽町エリアが、流行発信地として見直されている。

阪急メンズ 狙いは「上質知る男」

阪急メンズのコンセプトは「世界が舞台の、男たちへ。」 大阪・梅田のメンズ館が 2008 年 2 月に開店した時の「ナイスガイメイキング」の表現より、一歩も二歩も踏み込んだ。 「それだけ日本の男性がおしゃれや身だしなみに関して進化・成熟してきたということ。 一過性のトレンドでなく大きな潮流。」と語るのは山口俊比古店長だ。

出店に当たり、ターゲットを一言でくくる言葉として打ち出したのが「ジェットセッター」。 (ジェット機で)国内外を飛び回ってバリバリ仕事をし、お金に余裕があり、上質のものを知っている。 そんな大人の男性をイメージする。

実際、顧客の中心は 30 代後半から 40 代の男性。 出張で東京に来る地方のビジネスマンの姿も目立つ。 北海道から九州まで広範囲にわたる。 「週 1 回は東京と地方を行き来する。 そんな生活を送る方々にとっての商圏が存在していた。 日本男性の購買力を改めて見直しています。(山口店長)」

世界初のメンズトータルブティックを出店したフェンディやジミー・チュウなどが人気。 1 階のフレグランスとかばん・革小物のコーナーも好評だ。 フレグランスは目標の数倍の売り上げを達成。 革小物では名刺入れなどを自分用に買い求める女性客も増えている。

ルミネ 個性強い店の集合体

ルミネは、専門性が高く個性の強い店舗を選び、それを集合体として見せるのが人気の秘密。 さらに、有楽町店では、各店舗の独立性をより高めたフロアづくりを進めたという。 「路面店が多い銀座エリアを意識し、街中の路面店を買い回る感覚を目指しました。」 ルミネ有楽町店の重森淳一店長は語る。

それを象徴するのが、重森店長が「ぜひ出店してもらいたかった」と語るロンハーマンだ。 建材にもこだわった店内は数部屋に分かれ、サーフボードが置かれるなど、ロサンゼルス発の自由な空気が流れる。 開店から約 2 カ月半。 新聞や雑誌など約 320 の紙媒体、約 50 のテレビ番組から取材が殺到した。 広域からの来店も多く、好調なスタート。 開店前に用意した 50 万冊のフロアガイドは無くなり、増刷をかけた。

平日の夕方は女性客が増えるが、日中は子供連れのミセスも多く、週末はカップルや夫婦が急増する。 そんな有楽町の街の特性を意識し、施設のあり方や店選びを進めたという。 ルミネ 1 の地下 1 階のレストスペースにはテーブルとイスの配置に余裕を持たせ、ベビーカーを持ち込んでの食事もできる。 ルミネ 2 には人気のセレクトショップ、ユナイテッドアローズやトゥモローランドを配置。 男女複合型の品ぞろえを厚くしている。

ルミネや阪急メンズの来客は銀座一帯に流れ出し、「銀座」が再び活気づき始めている。 3 月 16 日には、6 丁目の旧ギンザコマツのビル 2 棟が建て替わり、ユニクロとコムデギャルソンが入る。 ユニクロの新店は過去に蓄積したノウハウを集積した地上 12 階建てのユニクロ最大の旗艦店。 東京の人気ブランド、アンダーカバーによる商品群「UU」を目玉にする。

コムデギャルソンがロンドン、北京に続いて開店するドーバーストリートマーケットギンザ・コムデギャルソンは、7 階建てのビルの 6 階までを使う。 コムデギャルソンのブランドの他、ルイ・ヴィトンやセリーヌ、イヴ・サンローランといった海外有名ブランド、サカイやマスターマインド・ジャパンなど日本の若手人気ブランドも置く。

現在、中央通りにあるユニクロ銀座店は、低価格な姉妹ブランド、ジーユーに変わる。 地上 5 階約 1,500 平方メートルの巨大店となる。 老舗も多い銀座は、内外有名ブランドに加え、進化したセレクトショップの集合体やファストファッションと、世界でも最も実験的な売り場などが入り交じるカオスのような存在へと変身していきそうだ。 (竹端直樹、高橋牧子、asahi = 1-23-12)


ジーンズの藍布屋、輸出専用ブランドを国内販売

ジーンズ製造販売の藍布屋(らんぷや、岡山県倉敷市、真鍋寿男社長)は今春から、輸出専用ブランドを国内で販売する。 国内では 2 万円台が中心の「桃太郎ジーンズ」を扱っていたが、1 万 6,000 円前後の輸出ブランドを投入する。 低価格ファストファッションの台頭など厳しい市場環境に対応し、値ごろ感のある商品群を手厚くすることで売り上げの底上げにつなげる。

国内販売を始めるのは 2011 年に立ち上げた輸出専用ブランド「ジャパンブルー」だ。 今年の春夏物から国内市場に投入する。 外国人の好みに合わせ、濃色で細身のデザインを採用したのが特徴だ。 輸出専用ブランドを国内販売するのはジーンズ業界では珍しいという。

12 年度は大型の商業施設などでのコーナーを中心に 50 店程度に卸販売する計画で、1 億円の売り上げを目指す。 今後 2 - 3 年で取扱店を 100 店に増やし、年間 3 億円規模にする。 「ジャパンブルー」についてはすでに欧米や香港、タイなど 22 カ国・地域の 60 店舗で扱っている。 販売も好調なことから「海外で築いたブランド価値を日本で生かせる(真鍋社長)」と判断した。

主力ブランドの「桃太郎ジーンズ」は高い品質が売り物で、中心価格は 2 万 2,000 円前後。 1 万 6,000 円前後と値ごろ感を持たせた「ジャパンブルー」を投入することで、幅広い購買層の取り込みを狙う。 「桃太郎ジーンズ」、「ジャパンブルー」とも低価格の海外製のジーンズより高めだ。 ただ「個人消費が落ち込む中でも高品質を求める国産品の需要は高い(真鍋社長)」という。

藍布屋の 11 年 2 月期の売上高は 27 億円(繊維加工事業なども含む)。 個人消費の冷え込みや低価格品の普及で国内ジーンズ市場は縮小傾向にあるが、新たな国産ブランド投入で収益性を高める考えだ。 (nikkei = 1-19-12)