禁煙しない病院は診療報酬減 厚労省、徹底へ方針

子どもの患者や、呼吸器疾患や生活習慣病などの大人が通う病院・診療所について、厚生労働省は、屋内を全面禁煙にしていない場合は診療報酬を減額する方針を固めた。 禁煙化を徹底するための誘導策だ。 時期は検討中だが、2012 年度中にも実施する見通し。 厚労省によると、屋内が全面禁煙の病院は、08 年時点で全体の 63.8%。 残る 35% は喫煙室などを設ける分煙で対応している。 成人の約 23% (09 年)を占める喫煙者にも、一定の配慮をしているとみられる。

厚労省は 10 年 2 月、「受動喫煙の健康への悪影響は明らか。 公共の場は原則、全面禁煙であるべきだ。」との通知を自治体に出した。 昨年には同省の補助を受けた研究報告でも、「人の出入り時に喫煙室から煙が漏れる」、「喫煙者の肺に残った煙が徐々に吐き出される」といった理由から、「分煙では受動喫煙を防げない」との指摘があり、特に患者が集まる医療機関には、診療報酬を使って全面禁煙を促すことにした。肺がんなどのリスクを減らし、医療費抑制をはかる。 (asahi = 1-29-12)

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金曜入院と月曜退院が多い病院、診療報酬減 厚労省方針

厚生労働省は、入院期間が長くなりがちな「金曜入院」や「月曜退院」などの割合が高い病院について、病院側が受け取る入院基本料を減額する方針を固めた。 不必要な医療費を抑制するねらい。 診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会で了承されれば、4 月から実施する。

厚労省によると、金曜日に入院した患者の平均入院日数は 18.14 日で、曜日別で最長。 最も短い水曜日の入院患者より 3 日余り長い。 一方、退院の曜日別では、月曜日が 17.79 日と最も長く、最も短い土曜日退院とは 3 日近い差があった。

金曜日の入院は全体の 14%、月曜日の退院は 11% で、曜日別で見ると少なめ。 ただ、厚労省は、治療を行わないことが多い土日を挟んで入退院させることが、入院日数を長くして医療費を押し上げる一因になっていると判断。 高齢化で医療費が年々増えるなか、効率化のために見直すことにした。 (asahi = 1-26-12)


年金、6 月支給分から 0.3% 減額 物価指数下落を受け

厚生労働省は 27 日、国民年金や厚生年金など公的年金の支給額を 4 月分(6 月支給)から 0.3% 引き下げると発表した。 消費者物価指数の昨年の下落幅が固まったのを受け、年金額を調整する。 これと別に、過去の物価下落時に据え置かれた分も 3 年かけて引き下げる方針で、今国会で関連法案が成立すれば 10 月分から実施する。

公的年金には、毎年の物価の上昇や下落に合わせて、翌年度の支給額を増減させる仕組みがある。 総務省が 27 日公表した 2011 年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)は、前年比マイナス 0.3%。 これを受けて 12 年度は、国民年金(満額で月 6 万 5,741 円)の人の場合は月 200 円、厚生年金の専業主婦のいる標準的な世帯(月 23 万 1,648 円)の人の場合は月 708 円の減額となる。

また、政府は過去の物価下落時に特例的に据え置いた年金額を元の水準に戻すための関連法案を通常国会に提出する予定。 成立すれば、10 月分(12 月支給)からさらに 0.9% 引き下げられる。 一方、12 年度の国民年金の保険料は、近年の物価や賃金の下落を反映して 11 年度より 40 円引き下げられ、月 1 万 4,980 円になる。 (asahi = 1-27-12)

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年金減額、民主党も了承 特例の「払いすぎ」分

過去の物価下落時に年金が特例で据え置かれ、本来より高い額が払われている問題で、民主党の年金作業チームは 29 日、年金を減額して本来の水準に戻すべきだとの意見をまとめた。 政府側も来年度からの減額に前向きで、関連法案が来年の通常国会に提出される公算が大きくなった。 可決されると、来年度の年金は、今年の物価下落に伴う減額分に加え、さらに下がる。

年金は毎年度、物価の変動に応じて支給額が増減調整されている。 しかし、自公政権が 2000 年度からの 3 年間、物価下落にもかかわらず、減額を見送ったため、現在の年金額は本来より 2.5% 分高くなっている。 政府の行政刷新会議は 23 日、来年度から「払いすぎ」を解消するよう提言。 小宮山洋子厚生労働相も前向きな姿勢を示す。

厚労省は、毎年 0.8 - 0.9% ずつ減額して 3 年かけて解消する案を検討しており、今年の物価下落分(0.2 - 0.3% 程度の見込み)を加えると、来年度の減額幅は 1% 程度になる可能性がある。

1% の場合、国民年金(満額で月約 6.6 万円)の人で月約 660 円、厚生年金(専業主婦がいる標準世帯で月約 23 万円)の世帯で月約 2,300 円の減額になる計算だ。 また、党内では、特例解消の期間を 5 年に延ばし、毎年度の減額幅を縮める案も出ている。 (asahi = 11-30-11)

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来年度の年金 0.2 - 0.3% 減額見込み 物価下落で

来年度分の年金が物価に連動して減額される見通しが強まった。 今年の消費者物価指数がマイナスになりそうなため、年金も今年度より 0.2 - 0.3% 程度引き下げられる見込みだ。 これとは別に、政府は年金が本来より多く払われている状態の解消も検討中。 ただ、二重の減額には民主党内で慎重論がある。 物価の動きは今後の年金改革に影響しそうだ。

公的年金には、物価の変動に応じて年に 1 度、支給額を自動調整する「物価スライド」の仕組みがある。 来年度の額は、消費者物価指数の今年の平均をもとに来年 1 月に決まる。 25 日には総務省が今年 10 月分の指数を発表したが、今の流れでは今年は 0.2 - 0.3% 程度のマイナスになる見通し。 政権は例年通り、物価スライドを来年度分の年金にも適用する姿勢だ。

これを年金額に反映させると、基礎年金(満額で月約 6 万 6 千円)の人で月 100 - 200 円程度、厚生年金(標準的な夫婦で月約 23 万円)の世帯では月 400 - 700 円程度の減額になる計算だ。 (asahi = 11-25-11)

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政策仕分け、年金給付の減額提言 厚労相も賛意

行政刷新会議(議長 = 野田佳彦首相)の「提言型政策仕分け」は 23 日、年金が本来よりも多く支払われ続けている特例を見直し、来年度から支給額を本来の水準に下げるよう提言した。 年金担当の小宮山洋子厚生労働相は「私の見解としては、やっていくべきだと思う」と記者団に語り、減額を検討する考えを示した。

年金の支給額は、物価水準の上昇や下落に連動して増減される。 だが、1999 年からの 3 年間は物価が下がったのに、2000 - 02 年度の年金額は当時の自公政権が「高齢者の生活への配慮」を理由に特例で下げなかった。 このため、いまの受給者は本来より 2.5% 分多く年金をもらっている。 財務省などの試算では、年金の払いすぎは累計で 7 兆円に上る。

この日の政策仕分けでは、仕分け人から「7 兆円を現役世代が負担しており、世代間の不平等が広がっている」、「支給開始年齢の引き上げの議論より、最優先で取り組むべきだ」といった意見が相次ぎ、9 人全員が早期に特例を解消するよう求めた。

厚労省は 3 年かけて段階的に解消する案を検討している。 だが、年金受給者の反発は確実で、政権内の調整は難航しそうだ。 民主党厚生労働部門の作業チームが 22 日にまとめた中間報告では、賛否両論を併記した。 (稲垣大志郎、asahi = 11-23-11)


在宅サービス強化、職員の待遇改善制度化 介護報酬改定

今年 4 月の介護報酬改定で、介護保険のサービス内容と事業者に支払われる単価が 25 日、決まった。 日中・夜間にホームヘルパーらが訪問する定期巡回・随時対応型の新設など、在宅サービスの強化が柱。 また、介護職員の賃金引き上げのために国が支給する交付金制度が終わるのに伴い、引き上げに相当する分を介護報酬の中に組み込む。

社会保障審議会介護給付費分科会が小宮山洋子厚生労働相に改定案を答申した。 介護報酬は 3 年に 1 度改定され、4 月から全体で 1.2% 引き上げられる。 今回は、▽ 在宅サービスの充実、▽ 予防強化、▽ 医療・介護の連携、▽ 介護人材の確保の 4 分野に重点配分する。

具体的には、要介護度が中・重度でも住み慣れた地域で暮らし続けられるように、ホームヘルパーや訪問看護による「24 時間定期巡回・随時対応サービス」を創設。 要介護度に応じた定額制で、ホームヘルパーだけの利用で月 6 万 6,700 - 26 万 7 千円、訪問看護も利用すると 9 万 2,700 - 30 万 4,500 円(1 単位 10 円で計算)で、原則 1 割が利用者負担になる。 (asahi = 1-25-12)


高校生就職内定率 73.1% 11月末、2 年連続改善

厚生労働省が 17 日発表した今春卒業予定の高校生の就職内定率は、昨年 11 月末時点で 73.1% となり、前年同期を 2.5 ポイント上回った。 この時期の内定率としては 2 年連続で改善したが、2008 年秋に起きたリーマン・ショック前の水準には回復していない。

就職希望者は前年同期比 1.0% 増の 17 万人で、うち内定を得たのは同 4.5% 増の 12 万 4 千人。 就職希望者 1 人に対する求人数を示す求人倍率は 0.06 ポイント増の 1.09 倍になった。 東日本大震災の復興需要などに伴う求人が増えている。 被災 3 県の内定率も上昇し、岩手が 3.9 ポイント増の 80.1%、宮城が 15.9 ポイント増の 71.0%、福島が 6.9 ポイント増の 73.3% だった。 (asahi = 1-17-12)

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大卒内定率 71.9% 北海道・東北は前年比減

今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年 12 月 1 日時点)は 71.9% で、10 月 1 日時点に引き続き過去 2 番目に低かった。 文部科学省と厚生労働省が 17 日発表した。

内定率は過去最低だった前年同期 (68.8%) から 3.1 ポイント改善したものの、文科省は「依然として厳しい状況」としている。 地域別では、関東、中部、近畿、中国・四国、九州の 5 地域は、前年同期より 8.6 ポイント - 0.9 ポイント増えた。 その中で、「北海道・東北」は 69.5% %で、同 0.4 ポイント減った。 (asahi = 1-17-12)


日本の「団塊の世代」、今年から大量退職

日本の戦後最大のベビーブーム世代に当たる「団塊の世代」が、今年から本格的に定年退職を迎える。 1947 - 49 年に出生した同世代は、現在 664 万人に上る。 団塊の世代は当初、最年長層が 60 歳を迎える 2007 年から定年退職していく予定だったが、大量退職に伴う社会的ダメージを懸念した日本政府が、65 歳までの継続雇用などを柱とする法律を 06 年に制定したため、現在は同世代の男性の 70% 以上が再就職している状態だ。

団塊の世代は、日本が最も貧しい時代に幼少期を過ごしたものの、今では最も余裕のある世代だ。 これら世代は平均 1,677 万円の金融資産を持ち、負債はほとんどない。 老後の生活資金を月平均 33 万 2,000 円と見積もるほど、老後にゆとりがある。 団塊の世代の大量退職をめぐる思惑はさまざまだ。 まず、この世代が退職後に本格的に金を使うようになると見込む「引退待望論」がある。 団塊の世代が一斉に退職すれば、企業が若者を大量雇用する可能性が高いとの見方も出ている。

だが、日本政府は危機感を募らせている。 団塊の世代が退職し、本格的に年金を受給するようになるためだ。 同世代の医療費の増加も予想され、年間 2 兆円ほどの福祉費増加が見込まれる。 日本政府が消費税率の引き上げを急いでいるのも、団塊の世代の大量退職に備えるためとみられている。 - 東京 = 車学峰(チャ・ハクポン)特派員 (韓国・朝鮮日報 = 1-16-12)


ソニー、就活服装も不問 「個性、表現して」

「服装は自由に。」 電機大手のソニーが就職活動をする学生にこう呼びかけている。 ソニーは約 20 年前に「学歴不問」を掲げて就活に一石を投じた。 今回の呼びかけはスーツ姿の就活を変えるきっかけになるか。

就活生は男女ともスーツを着るのが定番だ。 これまではソニーの会社説明会や入社試験でも、要求していないのに、学生はスーツを着てきたという。 ソニーは昨年末、2013 年春の入社組を対象に、自社のウェブサイトで「日本特有のシューカツというルールを変えます」と宣言し、「普段通りの服装」を呼びかけた。 「服装でも個性を表現してほしい」と広報担当者は話す。 (asahi = 1-15-12)


入社 4 年までに全員海外経験 ヤマハ発動機が人材育成策

二輪大手のヤマハ発動機は 12 日、入社 4 年目までに日本人社員すべてに海外経験をさせる新たな人材育成計画を発表した。 海外は売上高比率が全体の 9 割を占める屋台骨。 さらに新興国を中心に事業強化を進めるため、若手の時期から駐在などの機会を与えていく。

ヤマハは現在、世界 200 以上の国・地域で事業を展開。 アジアを中心とした海外工場の能力増強に加え、国際感覚のある人材の育成にも投資が欠かせないと判断した。 今年から、出張や研修も含めて何らかの形で海外を経験させる。 これまでは、30 歳までに仕事で海外に行ったことがある社員は 5 割にとどまり、管理職になって初めて行く例もあったという。 (asahi = 1-13-12)


都道府県別月給、東京 20 年連続トップ 最下位は青森

厚生労働省が 11 日発表した 2011 年の賃金構造基本統計調査(速報)によると、都道府県別の所定内給与(月額)の平均額は、東京が前年より 8,100 円多い 37 万 2,900 円で、20 年連続トップだった。 最下位の青森は同 4,300 円少ない 22 万 2,200 円。 トップと最下位の差は 15 万 700 円で、前年の 14 万 900 円から 1 万円近く拡大した。

フルタイムで働く従業員を 10 人以上雇う全国 6 万 2 千事業所を抽出して昨年 6 月分として支払った額を聞き、4 万 5,818 事業所が回答した。 所定内給与は基本給に家族手当などを加えたもので、ボーナスや残業代は含まない。 全国の平均額は確定値が出るまで判明しないが、前回調査は 5 年ぶりにやや増加に転じた。 ただ、2008 年秋のリーマン・ショック以前の水準には戻っていない。

平均額が前年より増えたのは 24 都府県、減ったのは 23 道府県だった。 大企業が集まり、給与水準も高い東京都、神奈川県、千葉県は景気回復傾向を反映して上昇した。 (asahi = 1-11-11)


高校の再入学者 13% 増加 文科省「無償化の効果」

高校を中退した後に入り直す人が、高校無償化の始まった 2010 年度は前年度に比べて 13% 増えた。 文部科学省の調べでわかった。 無償化見直しが議論されるなか、政策の効果を訴える材料にしたい考えだ。

文科省によると、高校中退の経験者で同じ高校や別の高校に入り直した人は、03 年度の 1 万 1,245 人から減り続け、09 年度は 6,921 人だった。 長引く不況で「学び直し」の機会が阻まれてきた可能性があると分析する。 しかし、10 年度は 09 年度と比べて 13% 増の 7,617 人(岩手、宮城、福島県を除いて比較)で、7 年ぶりに増加に転じた。 (asahi = 1-5-12)


子ども手当「子どもの教育費に」 46% 厚労省調査

今年 6 月に支給された子ども手当を、保育料や塾代などの教育費に使ったとする子育て家庭が全体の 5 割近くにのぼったことが、厚生労働省の調査でわかった。 ただ、家庭の生活費に使った家庭も 2 割余りあった。

調査では、6 月に支給された 2 - 5 月分の手当の使い道(複数回答)について、1 万世帯から回答を得た。 「教育費 (46%)」に続いて多かったのは、服や生活用品など「子どもの生活費」の 30%。 一方、家のローンなど「家庭の生活費 (22%)」、「大人の遊興費 (1.5%)」など、子どもと直接関係ない支出もあった。

また、6 月支給分を満額(子ども 1 人につき 5 万 2 千円)受け取った約 7,600 世帯で、使途別の平均金額を見ると、▽ 教育費(1 万 7,900 円)、▽ 家庭の生活費(8,300 円)、▽ 子どものための貯蓄・保険料(7,900 円)、の順だった。 (asahi = 12-26-11)


大手の冬のボーナス、2 年連続増 3 年ぶり 80 万円台

大手企業の冬のボーナスが、2 年連続で増えた。 経団連の 21 日の最終集計によると、調査に答えた 165 社の平均は、80 万 2,701 円(前年比 3.6% 増)。 リーマン・ショック後は回復傾向が続き、3 年ぶりに 80 万円台となった。 来夏以降は東日本大震災が業績に与えた影響が出てくる可能性がある。

業種別では、製造業は 79 万 8,097 円(同 6.0% 増)だったのに対し、非製造業は 81 万 8,238 円(同 2.5% 減)だった。 製造業は、地デジ対応テレビやエコカーが売れた前年の業績が反映されたとみられるという。 (asahi = 12-21-11)


診療報酬、据え置きで調整 野田政権、両論に配慮

野田政権は、診療報酬の来年度の改定率について、据え置きの方向で最終調整に入った。 「薬価部分」は市場での値下がりを反映して約 1.3% 分引き下げる一方、医師の人件費や技術料などに当たる「本体部分」を同じ分だけ引き上げ、報酬全体でプラスマイナスゼロとする方向。 財務省や経済界などの引き下げ論と与党の引き上げ要求の間で、バランスをとる。 21 日にも決着させる方針だ。 (asahi = 12-20-11)


65 歳まで再雇用義務化 希望者対象に厚労省方針

年金の支給開始年齢引き上げに合わせて 60 歳以上の雇用を確保するため、厚生労働省は、65 歳まで希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固めた。 2013 年度から実施する考えだ。 一方、不安定な雇用が問題となっている、契約社員、期間従業員などの有期雇用については期間に上限を設け、契約満了の時期を決めない無期雇用への転換を促す。 いずれも 14 日の労働政策審議会に提案し、労使の同意を得て、来年の通常国会での法改正を目指す。

現在の高年齢者雇用安定法(高齢法)には、定年後の再雇用について、労使協定で基準を決めれば対象者を限定できる規定がある。 このため、希望しても再雇用されない人がいる。 一方、会社員が入る厚生年金は支給開始年齢が段階的に引き上げられている。 男性の支給開始が 61 歳となる 13 年度には、多くの企業が定年とする 60 歳以降も働けるようにしないと、無収入の人が出かねない。 (asahi = 12-14-11)


日本郵便、1 万人の雇用更新せず 65 歳以上非正規社員

政府は 13 日、日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)が 9 月末で 65 歳以上の非正規社員 1 万 706 人に対して雇用契約を更新しない「雇い止め」をしていたと明らかにした。 10 月 1 日に契約を更新したのは、9 月末にいた 65 歳以上の非正規社員の約 4% の 455 人だった。 社民党の又市征治参院議員の質問主意書に答えた。 日本郵便によると、今年 3 月にも 65 歳未満を含む約 6 千人の非正規社員の雇用契約を打ち切ったという。

同社は、昨夏の「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」の統合に伴い経費が増えたほか、はがきや手紙の減少で 2011 年 3 月期決算では 2 期連続の純損失となった。 雇い止めは配達や仕分け業務に必要な非正規社員数の見直しの一環だという。 同社は民営化された 07 年 10 月に就業規則を定め、非正規社員について、「原則として 65 歳まで」としている。

又市議員は質問主意書で「支店では要員不足で業務に支障が生じている」と批判、一部支店での時間外勤務の状況もただした。 答弁書では船橋(千葉県)、越谷(埼玉県)の各支店で 10、11 月に労使協定の上限を超える時間外労働をした社員がいたと答え、雇い止めとの関係などは調査中だとした。 (asahi = 12-13-11)


首相「中間層の厚み増す」 初の社会保障演説

野田佳彦首相は 4 日、京都市で開かれた国際労働機関 (ILO) アジア太平洋地域会議に出席し、社会保障政策の演説を行った。 「中間層の厚みを増していく社会の実現を図る」と唱えた。 セーフティーネット(安全網)づくりや雇用創出策を通じて「格差を固定化せず、貧困を生まない社会をめざし、社会参加の機会と経済成長の果実がすべての人にいきわたる社会を実現させる」とも訴えた。

首相が社会保障に焦点を当てた演説を行うのは就任後初めて。 政権内で消費増税と社会保障の一体改革をめぐる議論が本格化するのに合わせ、改革で目指す社会保障像を示した。 (asahi = 12-5-11)

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税と社会保障 一体改革の必要性強調 厚生労働白書

2011 年版の厚生労働白書が、23 日の閣議で報告された。 アンケートに基づき、「多くの人が社会保障は世代を超えて支えるべきだと考えている」と指摘。 菅政権が 6 月にとりまとめた税と社会保障の一体改革の必要性を強調している。 アンケートは今年 2 月、厚生労働省が成人 2,300 人を対象に郵送で実施。 58.3% から回答があった。

高齢化に伴い費用が増大する社会保障について、「すべての世代で支えていくべきで、高齢者と現役世代の負担増はやむをえない」と 56.6% が答え、全体の過半数を占めた。 ただ、20 歳代では「現役世代に今以上の負担を求めるべきではなく、高齢者の負担の増加はやむを得ない (15.8%) 」が、ほかの世代より多い。 さらに 20 代の 53.4% が「自分が一生涯で負担した分よりもかなり少ない給付しか受けられないと思う」と、将来の不安をのぞかせている。 (asahi = 8-23-11)


「就活長い」、「卒論書かせろ」 大学生ら 100 人がデモ

就職活動に追われる大学生らが 23 日、東京・新宿駅周辺で「就活ぶっこわせデモ」をした。 ツイッターやブログでの呼びかけに応じて集まった約 100 人が、「就活長いぞ」、「卒論書かせろ」などと声を上げながら、約 1 時間練り歩いた。 来春卒業予定の大学生の就職内定率(10 月 1 日時点)は 59.9% で、昨年に次いで低い。 デモを企画した早稲田大 5 年の小沼克之さん (23) は「勉強する時間を就活に奪われている。 新卒ばかりが求められるのもおかしい。」と話す。

リクルートスーツ姿で参加した都内の私立大 3 年の女子学生 (21) は、10 月から試験対策やマナーの講座に出席している。 「女性は笑顔でなければダメだと言われ、講座の最後には大声で『内定取るぞ』と言わされる。 就活のおかしさを伝えたかった。」 足を止めてデモを見ていた主婦 (53) は「声を上げたくなる学生の気持ちはよく分かる」と話していた。 (asahi = 11-23-11)

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大卒予定者の就職内定率 59.9% 過去 2 番目の低さ

来春卒業予定の大学生の就職内定率(10 月 1 日時点)は 59.9% と、文部科学省と厚生労働省が 18 日発表した。 過去最低だった前年同期 (57.6%) を上回ったものの、過去 2 番目の低さ。 前年度は、最終的な就職率も過去最低の 91.0% だった。 文科省は「わずかに光が差したが、依然厳しい状況」としている。

全国の国公私立大 62 校の 4,770 人を抽出し、就職希望者に占める内定者の割合を調べた。 就職希望率は前年同期より 3.3 ポイント増の 76.9%。 全国の来春卒業予定者数(約 55 万人)にあてはめると、約 42 万 3 千人が就職を希望し、その 4 割にあたる約 17 万人が内定を得られていない計算だ。

内定率は、全国の 6 地域すべてで上昇した。 北海道・東北 56.9% (1.3 ポイント増)、関東 64.9% (3.9 ポイント増)、中部 55.9% (4.0 ポイント増)、近畿 61.4% (0.9 ポイント増)、中国・四国 53.5% (0.5 ポイント増)、九州 52.6% (1.1 ポイント増)となっている。 国公立は 67.4% (4.2 ポイント増)、私立は 57.4% (1.6 ポイント増)だった。 (asahi = 11-18-11)


富裕層の所得増税検討 低所得者に現金給付 政府税調

政府税制調査会(首相の諮問機関)は、消費増税と社会保障の一体改革にあわせ、収入や資産の多い人を対象に、所得税や相続税を増税する検討に入った。 2013 年度以降の実施をめざす。 消費増税は所得の低い人ほど負担感が重くなるため、高所得者の課税を強化。 低所得者には現金を給付する仕組みも入れ、不公平感をなくす。

所得・相続増税は、年末にまとめる「社会保障と税の一体改革」の大綱に明記する方針。 ただ、所得税は東日本大震災の復興財源として、13 年 1 月から臨時増税が始まる。 高所得者とはいえ、同じ時期に別の所得増税が課せられれば、重税感が強まりすぎるとの反発も予想される。

所得税は、所得が増えるのに応じて税率が段階的に上がる。 1970 年代には 19 段階あり、最高税率は 75% だったが、その後、景気対策などで税率を下げ、いまは 6 段階、最高税率は 40%。 最高税率は収入から控除を引いた課税所得が 1,800 万円超の人を対象としており、たとえば、1 億円以上の人も同じ税率だ。 富裕層が優遇され、所得の高い人から低い人にお金を回す「再分配機能」が低下しているとの批判がある。 (asahi = 11-22-11)

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消費増税へ地ならし 内閣府、必要訴える報告書

内閣府は 27 日、増税の必要性を説いた二つの報告書を公表した。 野田政権は社会保障にあてるための消費増税の時期や幅を年内に決める考えで、その地ならしにしたいようだ。

一つめは、増税慎重派への反論を盛り込んだ「財政・社会保障の持続可能性」の報告書。 日本銀行が国債を直接引き受ければ増税しなくてもいいとの主張について、「金融政策の自律性が著しく制約され、財政規律が失われる」と否定。 社会保障のための増税なら、経済に与える影響も「結果的に小さくなる」とした。

もう一つの「世代間の公平」では、増税に否定的な人が増えている理由について、政府の「論理的な情報の整理や説明不足にある」と指摘。 社会保障給付や税負担で、お年寄りに比べて損をする若い人たちの理解を得るため、世代ごとの受益と負担のバランスを国が毎年示すことを提案した。 (asahi = 10-27-11)

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年金支給「68 歳から」案も 厚労省が改革 3 案提示

厚生労働省は 11 日、年金の支給開始年齢を 68 歳に引き上げる案を社会保障審議会年金部会に示した。 民主党政権が 6 月に「税と社会保障の一体改革」で示した「68 - 70 歳への引き上げ」に沿ったもので、高齢化で悪化が見込まれる年金財政の改善がねらい。 ただ、高齢者の働く場の確保とセットで議論をすることが欠かせないため、審議会の委員からは慎重論が相次ぎ、実現のハードルは高そうだ。

厚生年金の支給開始年齢は現在、65 歳まで段階的に引き上げられている途中にある。

厚労省はこの日、(1) 厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を 3 年ごとに 1 歳ずつ引き上げているのを、2 年ごとのペースに速め、支給開始自体は 65 歳に据え置く、(2) 現行通り 3 年に 1 歳ずつのペースで引き上げた後も、さらに基礎年金と厚生年金ともに同じペースで 68 歳まで引き上げる、(3) 支給開始年齢の引き上げを (1) 案のように前倒ししたうえで、さらに同じ 2 年に 1 歳ずつのペースで 68 歳まで引き上げる - - の 3 案を示した。

これらは、5 月下旬の政府の社会保障改革に関する集中検討会議で示したものと同じ内容。 社保審で年末まで議論を深めるが、生活困窮者を増やすことにもつながりかねず、政治的にも実現性は低いとの見方が強い。

一方、厚労省は、厚生年金をもらいながら会社員として働く場合に、収入に応じて年金を減額される「在職老齢年金」の仕組みについて、60 - 64 歳の減額基準を緩める見直し案も示した。 こちらは、年金の増額で就労意欲を高めるねらいで、年内の決定をめざす。 (asahi = 10-12-11)


非正社員の時給 30 円+1% 引き上げ要求 連合春闘方針

連合は 2012 年春闘の闘争方針案に、仕事の内容が正社員と変わらない非正社員について、時給 30 円プラス 1% の賃金引き上げ要求を盛り込む。 あわせて、「総合的な労働条件向上」をうたい、正社員登用の促進や福利厚生を含めた格差是正を目指す。

方針案では、正社員については全組合が取り組む最低限の課題として賃金カーブ維持分(定期昇給相当額)の確保を提示。 加えて賃金の減少傾向に歯止めをかけ、労働条件を元に戻すため、給与総額の 1% を目安に引き上げを求める。

賃上げは非正社員についても要求し、組合員以外にも波及させたい考え。 正社員と働き方が同じ非正社員については、正社員の定期昇給平均額の月 5 千円を時給換算した 30 円を土台に、さらに賃金改善分として 1% を目安に上乗せ要求する。 働き方が正社員と異なる場合は時給 20 円アップを目安とする。 これとは別に時給 1 千円の獲得など複数の目標を設定し、状況に応じ選べるようにする。 (asahi = 11-16-11)


厚生年金保険料、高所得者の負担増やす案 厚労省

会社員が加入する厚生年金で、所得が高い人の保険料を上げる検討が、社会保障審議会年金部会で 31 日始まった。 厚生労働省は、保険料を算定する月収基準の上限を今の 2 倍に引き上げる案を提示。 そのままだと年金額も大きく増えるため、給付の増額幅を抑える案も同時に検討する。 ただ、負担が増える企業側などから反発もあり、調整は難航しそうだ。

厚生年金の保険料は月収に相当する「標準報酬月額」に基づいて決められている。 9 万 8 千円から 62 万円まで 30 区分あり、これに一定の保険料率(現在は 16.412%)を掛けた額を、会社と本人が折半で負担している。

年金は、払った保険料に応じてもらえる金額が決まる仕組みのため、給付額が過大にならないよう、標準報酬には上限が設けられている。 今は 62 万円が上限で、月収がこの区分を上回る人(2009 年度末時点で約 210 万人)が自分で払う保険料は、一律で年約 76 万円(賞与にかかる分を含む)となっている。 (asahi = 11-1-11)


9 月完全失業率 4.1% 震災後初、被災地含む全国集計

総務省が 28 日発表した労働力調査によると、9 月の完全失業率(季節調整値)は 4.1% だった。 東日本大震災が発生した 3 月以降、福島、岩手、宮城の 3 県分を除いて集計していたが、これらの県でも必要なデータ数が集められるようになり、震災後初めての全国集計となった。 前月 8 月は被災 3 県を除いて集計していたため単純な比較はできないが、4.3% だった。

前月と同様、44 都道府県分のデータで集計した 9 月の完全失業率(季節調整値)は 4.1% で、8 月より 0.2 ポイント改善した。 完全失業者数は前年同月より 65 万人少ない 275 万人、就業者数は 6,276 万人で、前年同月と比べて 33 万人減った。 また、厚生労働省が同日発表した 9 月の有効求人倍率(同)は、前月より 0.01 ポイント高い 0.67 倍となり、4 カ月連続で改善した。 (asahi = 10-28-11)

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8 月完全失業率 4.3% 0.4 ポイント改善、3 カ月ぶり

総務省が 30 日発表した 8 月の完全失業率(季節調整値)は 4.3% で、前月に比べ 0.4 ポイント低下した。 3 カ月ぶりに改善した。

完全失業者数は 276 万人で、前年同月比 45 万人減と、15 カ月連続で減少。 うち、勤務先の人員整理や倒産などで失業した「勤め先都合」は 25 万人減、「自己都合」は 11 万人減だった。 総務省は 3 月分の発表以降、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の 3 県を除いた値で結果を公表している。 3 県が全国に占める割合は 5% 程度。 (nikkei = 9-30-11)

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7 月の失業率 4.7% 前月比 0.1 ポイント悪化

総務省が 30 日発表した労働力調査によると、7 月の完全失業率(季節調整値)は 4.7% で、6 月の 4.6% より 0.1 ポイント悪化した。 男性は 4.9%、女性は 4.5% だった。 完全失業者数は前年同月より 23 万人少ない 292 万人。 就業者数は 5,973 万人で、前年同月と比べて 20 万人減った。

東日本大震災の影響で、福島では調査ができず、岩手、宮城両県では調査は実施したが必要なデータ数が集まらなかったため、この 3 県分を除いて推計した。 また、厚生労働省が同日発表した 7 月の有効求人倍率(同)は 0.64 倍で、6 月より 0.01 ポイント上昇し、2 カ月連続で改善した。 (asahi = 8-30-11)

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6 月の有効求人 3 カ月ぶり改善 失業率は悪化 4.6%

総務省が 29 日発表した労働力調査によると、6 月の完全失業率(季節調整値)は 4.6% で、5 月より 0.1 ポイント悪化した。 前月は改善(下落)しており、悪化は 2 カ月ぶり。 一方、厚生労働省が同日発表した 6 月の有効求人倍率(同)は前月比 0.02 ポイント増の 0.63 倍となり、3 カ月ぶりに改善した。 統計数値は一進一退が続いているが、震災後の一方的な雇用悪化には歯止めがかかりつつある。

失業率は、東日本大震災の影響で十分に調査できなかった岩手、宮城、福島の被災 3 県のデータを除いて推計した。 男性の完全失業率は前月比 0.1 ポイント改善の 4.7%、女性は 0.2 ポイント悪化の 4.5%。 完全失業者数は前年同月より 36 万人減の 293 万人、就業者数は同 3 万人増の 6,002 万人だった。

「失業者数」には仕事探しをあきらめた人は含まれない。 総務省の担当者は、6 月の失業率の上昇について「企業の生産回復に伴い、仕事探しをあきらめていた人が求職活動を再開する動きが出ていることが背景にある」とみている。 (asahi = 7-29-11)

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5 月の完全失業率は 4.5%、0.2 ポイント改善

総務省が 1 日発表した労働力調査によると、5 月の完全失業率(季節調整値)は 4.5% で、4 月の 4.7% より 0.2 ポイント改善した。 男性 4.8%、女性は 4.3%。 完全失業者数は前年同月より 38 万人少ない 293 万人、就業者数は 6,019 万人で、前年同月と比べて 9 万人増えた。

東日本大震災の影響で、福島では調査ができず、岩手、宮城両県では調査は実施したが必要なデータ数が集まらなかったため、この 3 県分を除く推計値となった。 また、厚生労働省が同日発表した 5 月の有効求人倍率(同)は 0.61 倍で前月と同じだった。 (asahi = 7-1-11)

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4 月の失業率、4.7% 被災 3 県含まず

震災やその後の経済低迷による雇用悪化が鮮明になってきた。 総務省が 31 日発表した労働力調査によると、4 月の完全失業率(季節調整値)は 4.7% で、3 月と比べて 0.1 ポイント上昇した。 上昇は 6 カ月ぶり。 東日本大震災の影響で調査できなかった岩手、宮城、福島の 3 県を除く 44 都道府県分をまとめた。 一方、厚生労働省が同日発表した東北 3 県を含む 4 月の有効求人倍率(同)も、前月より 0.02 ポイント低い 0.61 倍となり、1 年 5 カ月ぶりに悪化した。

男性の完全失業率は前月と同じ 5.0%、女性は 0.1 ポイント高い 4.2%。 完全失業者数は 309 万人、就業者数は 5,994 万人だった。 総務省は 5 月分の失業率から、岩手、宮城の地震の影響が少なかった地域で調査を始めるが、福島は再開の見通しが立っていない。 失業率とは別に、厚労省がハローワークを通じてまとめている被災 3 県(岩手・宮城・福島)の失業者数(26 日時点)は、22 日時点と比べて 3,035 人増の 11 万 4,608 人となった。 (asahi = 5-31-11)


内定率、4 年ぶりに改善 企業の採用活動長期化

来年春に卒業を予定する大学・大学院生の就職戦線に、好転の兆しがでている。 就職情報会社ディスコが 21 日まとめた調査によると、10 月 1 日時点の内定率は 4 年ぶりに前年を上回った。 東日本大震災の影響で、企業が採用活動を例年より長く続けていることが背景にある。

調査対象はディスコが運営する就職情報サイトの会員。 毎年、4 - 7 月と 10 月の 1 日時点の内定(7 月までは内々定)率を調べている。 今回は 1,015 人が回答。 10 月時点の内定率は 80.1% で、過去最低だった前年 (76.9%) を上回った。 内定率は 7 月まで過去最低の水準が続いていた。

震災で多くの企業が面接、筆記試験などの開始を遅らせたため、今年は採用活動を遅くまで続けているところが多い。 例年なら 9 月までに終える大手企業でも、「震災で出遅れた学生の中に優秀な人材がいるはず(建設会社)」と、今月も続けている会社がある。 (asahi = 10-21-11)


政府、人事院勧告実施見送りへ 7.8% 削減法案を優先

野田政権は 21 日、今年度の国家公務員給与について、平均 0.23% 引き下げを盛り込んだ人事院勧告の実施を事実上見送り、平均 7.8% 下げる特例法案の成立を図る方針を固めた。 法案は東日本大震災の復興財源を確保する目的で 6 月に国会提出しており、今国会中の成立を目指す。

人事院勧告は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置で、実施をすべて見送るのは、財政難で給与引き上げ勧告の実施を見送った 1982 年以来となる。 人事院は「勧告を尊重しないと憲法違反の可能性がある(幹部)」と、なお抵抗する構えだ。

藤村修官房長官、川端達夫総務相らが 21 日午前、首相官邸で梶田信一郎内閣法制局長官と会談し、特例法案の正当性を確認した。 法制局長官は「国の厳しい財政状況や大震災に対処する必要性から臨時の特例措置として行うもので、人事院勧告の不実施が直ちに憲法の趣旨に反するとは言えない」との見解を示した。 政権はまた、大幅引き下げの特例法案が人勧引き下げ分の内容を含むとの見解もまとめた。 これらの方針を 28 日にも閣議決定する。 (asahi = 10-21-11)


雇用促進減税、申請伸びず 条件厳しく想定の 3% どまり

人を多く雇った企業の法人税を軽減する雇用促進税制が低空飛行を続けている。 菅直人前首相の肝いりの施策で年間約 17 万 5 千人の雇用創出効果があるとうたっていたが、受け付け開始 1 カ月後の 8 月末までに想定の約 3% しか申請が出ていない。 目標達成への道のりは険しい。

厚生労働省の調べによると、8 月末までの申請は全国で 705 社にとどまり、見込まれる新規雇用者数は 5,771 人足らずだという。 9 月以降は申請が増えている可能性もあるが、制度の効果が見込みを大きく下回るのは間違いなさそうだ。

雇用促進税制は、リーマン・ショック後の不況で、完全失業率が 5% 台に達するなど厳しい雇用情勢への対策のひとつ。 雇用者数を年 10% 以上増やすなどの条件を満たした会社は、法人税額から大企業で 10%、中小企業では 20% を上限に、次年度に増えた雇用者 1 人あたり 20 万円の税額控除が受けられる。 今年度の税制改正の目玉として 8 月から申請の受け付けを開始し、3 年の時限措置だ。 (asahi = 10-8-11)


円高対策、雇用調整助成金の支給要件緩和 厚生労働省

円高で売り上げが急激に減った企業を支援するため、厚生労働省は 7 日、休業手当の一部を国が助成する雇用調整助成金の支給要件を緩和した。 従来は、「最近 3 カ月の売上高などの平均が、その直前 3 カ月と比べて 5% %以上減少」が条件だったが、「直近 1 カ月とその直前 1 カ月を比べて 5% 以上減少」とする。 同様の要件緩和はすでに東日本大震災の被災地を中心に実施されているが、円高対策として全国に拡大する。 (asahi = 10-7-11)