米 3 州、VW を提訴 排ガス不正に現 CEO も関与と指摘

独フォルクスワーゲン (VW) による排ガス不正問題で、ニューヨークなど米 3 州の司法当局は 19 日、民事制裁金を求めて同社を提訴したと公表した。 当局側はミュラー最高経営責任者 (CEO) も含めた組織ぐるみの不正や隠蔽があったと主張。 VW 側はこれまで組織的な不正を否定しており、今後説明が求められそうだ。

提訴したのは、ほかにマサチューセッツ州とメリーランド州。 訴状では、ミュラー氏やウィンターコルン前 CEO が 2006 年、米国の規制に対応する措置が必要との報告を受けながら対応せず、不正ソフトの導入を決めたとしている。 米メディアによると、ミュラー氏の関与が指摘されるのは初めてで、制裁金は数億ドルにのぼる可能性があるという。 排ガス不正を巡っては、VW が 6 月、米環境当局などと最大約 147 億ドル(約 1.6 兆円)を支払うことで和解しているが、刑事捜査や集団訴訟も抱えており、今後負担が膨らむおそれがある。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 7-20-16)


VW、1.5 兆円支払いで米当局と和解 排ガス不正で

【ニューヨーク = 稲井創一】 独フォルクスワーゲン (VW) によるディーゼル車の排ガス不正問題で、VW と米当局は 28 日、VW が総額 147 億ドル(約 1.5 兆円)を支払うことで和解した。 米国における自動車メーカーの訴訟和解金(制裁金)としては、トヨタ自動車の 12 億ドルを大きく上回り、過去最高となる。

VW は排気量 2,000cc の不正車の買い戻し費用や罰金、集団訴訟の和解金などに約 100 億ドルを支払う。 該当する不正車は 47 万 5,000 台あり、所有者には 5,100 - 1 万ドルの補償金を支払う。 さらに環境関連費用や電気自動車の普及促進などに 47 億ドル支払う。 主力車の 2,000cc の不正問題を巡り米当局などと和解したことで、米国での同社の排ガス不正問題はヤマ場を越える。

今回の不正問題で、主力エンジン技術「ディーゼル」の燃費に対する信頼性が大きく低下し、世界の自動車メーカーのエンジン開発戦略にも影響を及ぼした。 VW は次世代燃費車の軸足をディーゼル車から電気自動車に置いた新たな成長戦略を米国でも推進する。 ただ、米国内でシェアは約 2% と苦戦。 ブランドイメージが大きく傷ついたこともあり、米国での反転攻勢は容易ではなさそうだ。

米国では米メキシコ湾で発生した原油流出事故での和解金を巡り、2015 年 10 月に英石油大手 BP が米政府・州政府に 208 億ドル(約 2.1 兆円)支払うことで最終合意した。 米国での環境汚染や規制面で違反すると巨額の支払いが企業に課せられるリスクが鮮明になっている。 米国で事業展開する日本企業にとっても、従来以上の厳格な法令順守が求められそうだ。 (nikkei = 6-29-16)


VW の昨年国内販売、6 年ぶり減 輸入車首位の座を失う

独フォルクスワーゲン (VW) が 2015 年に日本国内で販売した新車は、前年比 18.8% 減の 5 万 4,766 台だった。 ディーゼル車の排ガス規制逃れによるブランドイメージの悪化などが響き、6 年ぶりに前年を下回った。 前年まで 15 年連続で守ってきた輸入車首位の座を、独メルセデス・ベンツに明け渡した。 日本自動車輸入組合が 8 日、発表した。 外国メーカーによる輸入車全体の販売台数は前年比 1.6% 減の 28 万 5,496 台。 6 年ぶりに前年を下回った。

10 月まで前年を上回るペースで伸びていたが、シェアの高い VW の減速が全体の足を引っ張った。 VW グループ傘下のアウディの販売台数も 6.4% 減の 2 万 9,414 台だった。 首位のメルセデス・ベンツは 7.1% 増、3 位の独 BMW は 1.3% 増だった。 12 月単月の VW の販売台数は前年同月比 39.2% 減の 4,532 台、アウディは同 29.0% 減の 2,472 台だった。 (asahi = 1-8-16)


VW に制裁金も、米司法省提訴「消費者欺いた」

【ワシントン = 安江邦彦】 独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) が違法ソフトウェアで排ガス規制を不正にクリアしていた問題を巡り、米司法省は 4 日、VW を大気浄化法違反などでミシガン州東部地区の連邦地裁に民事提訴したと発表した。 民事制裁金の支払いや違法行為の差し止めを求めている。 ロイター通信によると、制裁金は理論上 900 億ドル(約 10.7 兆円)以上になる可能性もあるという。

訴状によると、VW は米当局による検査時に限って、ディーゼル車から出る排ガスに含まれる有害物質の量を減らすソフトウェアを利用し、米環境保護局 (EPA) の排ガス基準を満たしていた。 この結果、通常の走行時には窒素酸化物 (NOx) が基準の最大 40 倍も排出され、大気汚染を引き起こした。 司法省幹部は「米国人の健康を害し、消費者を欺いた」と指摘している。 (yomiuri = 1-5-16)


VW、インドで最大規模の 32 万台リコール ディーゼル不正

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) が排ガス規制を不正に逃れていた問題で、VW のインド法人は、インド国内で販売した VW グループのディーゼル車約 32 万 3,700 台を自主的にリコール(回収・無償修理)すると発表した。 同国の自動車業界では過去最大規模のリコールとなる。 VW インド法人によると、2008 年から今年 11 月にかけて販売した VW のディーゼル車のほか、傘下のアウディ、シュコダの各ブランドで「EA189」と呼ばれるエンジンを搭載した車両が対象。 不正を指摘されたソフトを修正する。 リコールにかかる費用は公表していない。(シンガポール = 都留悦史、asahi = 12-2-15)


VW の CO2 不正、最新の 43 万台も 欧州の販売に懸念

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) は 13 日、二酸化炭素 (CO2) 排出量を偽って燃費性能をよく見せていた不正で、約 43 万台は最新車種だったと発表した。 可能性があるとしていた約 80 万台の半数以上が、店頭で売られている車種だったことになる。

欧州メディアによると、不正車は欧州で売られたものだった。 10 月の世界販売台数は前年 10 月より 3.5% 減ったが、販売に一段と影響が出そうだ。 対象は排気量 1 - 2 リットルの小型車の 2016 年モデル。 「ゴルフ」や「ポロ」などの VW 乗用車が 28 万 1 千台、シュコダが 8 万 3 千台、セアトが 3 万 2 千台、アウディが 1 万 5 千台、VW 商用車が 1 万 7 千台。 VW はインターネットを通じて、客に知らせる。 (ロンドン = 寺西和男、asahi = 11-15-15)


VW ディーゼル車、CO2 排出量でも不正 80 万台対象か

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) は 3 日、車の販売前に受ける型式認証手続きの際、二酸化炭素 (CO2) の排出量の数値が実際より低くなるように不正をしていたことがわかったと発表した。 内部調査の結果、不正が判明したといい、対象車両は VW グループ全体で 80 万台に上る可能性があるとしている。

VW は新たな不正の対策費は現時点で 20 億ユーロ(約 2,660 億円)に上るとみている。 ただ、「不正の規模を正確に評価することはできない」ともしており、費用は膨らむ可能性がある。 ディーゼル車の排ガス規制をめぐる不正に加え、CO2 排出量を抑えて実際より燃費性能をよく見せる不正も見つかり、経営への打撃はさらに広がりそうだ。 VW は今回の不正対象車の大半はディーゼル車としている。 独メディアによると、ガソリン車も対象に含まれ、ブランド別では VW の「ポロ」、「ゴルフ」などのほか、グループのアウディ、シュコダ、セアトにも広がるという。 (ロンドン = 寺西和男、asahi = 11-4-15)


稼ぎ頭のポルシェ・アウディに疑惑波及 VW 排ガス不正

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) の排ガス不正問題をめぐり、グループの高級車メーカー「ポルシェ」、「アウディ」で新たな不正疑惑が出てきた。 両社はあわせてグループの営業利益の 6 割ほどを占める稼ぎ頭だけに、不正が事実であれば、経営の立て直しに響く可能性がある。

米環境保護局 (EPA) は 9 月に不正を公表して以降、VW のグループ会社やほかのメーカーでも不正がなかったか調べてきた。 その結果、排気量 3 リットルの車でも違法なソフトが搭載された不正が確認されたという。 EPA 幹部は 2 日の記者会見で「VW は、再び法律を守るという義務を果たせなかった。 この深刻な問題についての調査を今後も続けていく。」と述べた。

EPA の指摘に対し、ポルシェは同日の声明で「EPA から我々の車種『カイエン』に不正があるとの連絡を受けたが、この指摘には驚いている」として、不正はなかったとの見解を示した。 VW も EPA の指摘を否定する声明を発表。 今後は EPA と VW 側がそれぞれ見解の違いを、どう説明するかが注目される。 (ロンドン = 寺西和男、ニューヨーク = 畑中徹、asahi = 11-3-15)


ドイツ検察、詐欺容疑で前 CEO の捜査着手 VW 不正

ドイツの検察当局は 28 日、独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) の排ガス規制試験をめぐる不正問題で、引責辞任したマルティン・ウィンターコルン前最高経営責任者 (CEO) について、詐欺容疑で捜査に着手したことを明らかにした。 独メディアが一斉に伝えた。 検察当局は声明で、名前は明らかにしていないものの、前 CEO のほかにも不正に関わった疑いがある人物について、VW から告発を受けているとしている。

不正問題を巡っては、前 CEO ら同社幹部が、排ガス規制試験を不正に逃れるソフトと知りながら、同社が販売したディーゼル車に搭載していたかが焦点となっている。 同社は、不正に関わった疑いがある複数の社員を停職処分にしたことを明らかにしている。 前 CEO は先週、一連の責任を取る形で辞任したが、不正への関与は否定していた。(ベルリン = 玉川透、asahi = 9-28-15)


VW 排ガス規制逃れ、欧州各国も調査へ 1,100 万台

独自動車大手フォルクスワーゲン (VW) が排ガス規制を不正に逃れるソフトウェアを使っていた問題で、ビンターコルン最高経営責任者 (CEO) は 22 日、「信頼を損ねて大変申し訳ない」と謝罪した。 発覚した米国だけでなく、欧州各国や韓国の政府も VW 車の調査に乗り出す方針で、不正問題は世界的な広がりを見せている。

ビンターコルン氏は自社のホームページに掲載したビデオ声明で「何が起きたかを突き止めるのに懸命に作業し、速やかにすべてを明らかにする」と語った。 一方で「一部の人の過ちによって、従業員の誠実で懸命な仕事ぶりが疑われることがあってはいけない」とも述べたが、不正が「組織ぐるみ」だったかは具体的に言及しなかった。 謝罪するのは、20 日に文書で公表してから 2 度目になる。 VW にとって急速に事態が悪化するなか、改めて謝罪する必要に迫られた。

VW は、不正なソフトウェアを使っていたディーゼルエンジン車と同型のエンジンを積んだ車は、世界で 1,100 万台あると 22 日に公表した。 これを受け、報道などによると、ドイツや韓国に加え、フランスやイタリアなどの当局が 23 日までに、調査に乗り出す方針を表明した。 対象となる車は日本では販売していないという。 (田中美保、リスボン = 寺西和男、asahi = 9-23-15)


VW に 48 万台の改修命じる 米当局、排ガス規制逃れで

米環境保護局 (EPA) は 18 日、排ガス規制を逃れるソフトウェアを搭載していたとして、独自動車大手のフォルクスワーゲン (VW) に対し、米国で販売された約 48 万 2 千台のシステムを改修するように求めた。 EPA などは大気浄化法に違反する疑いがあるとして調査に着手した。 米メディアによると、米当局は同法違反で 1 台あたり最大 3 万 7,500 ドルの制裁金を課すことができ、VW への制裁金は最大 180 億ドル(2 兆 1,600 億円)に上る可能性があるという。

EPA によると、対象は 2008 年以降に販売された 4 気筒のディーゼルエンジンを搭載した車両で、VW の「ゴルフ」や、VW グループのアウディの「アウディ A3」など 5 車種。 問題のソフトウェアは、当局の排ガス試験が行われていることを検知し、テストをしている間だけ排ガスを低減する仕組みになっていた。 そのため、通常走行の場合は排ガスを抑える効果が限られ、最大で基準の 40 倍の窒素酸化物 (NOX) を排出していたという。(ロンドン = 寺西和男、asahi = 9-19-15)