鉱工業生産、2 カ月ぶり低下 タイ洪水響く

経済産業省が 28 日発表した 11 月の鉱工業生産指数(2005 年 = 100、季節調整済み)の速報値は前月比 2.6% 減の 90.1 で 2 カ月ぶりに低下した。 タイの洪水で部品の輸入が滞った影響で、自動車や電機の生産が大きく減った。 ただ、経産省は基調判断を「横ばい傾向」で維持した。 部品を国内で代替生産したり、タイで工場が復旧したりして、12 月には回復が予想されているためだ。

業種別では全 16 業種のうち、8 業種が低下し、8 業種で上昇した。 部品不足で乗用車の生産が減った輸送機械工業、携帯電話やデジタルカメラの生産が大きく減った情報通信機械工業などが低下。 一方、発光ダイオードの国内での代替生産が進んだ電子部品・デバイス工業などでは上昇した。 (asahi = 12-28-11)


借金依存、最悪の 49% 2012 年度政府予算案

24 日決まった 2012 年度の政府予算案は、一般会計の総額 90.3 兆円のうち借金が占める割合が 49% と過去最悪になった。 東日本大震災の復興費や年金の国の負担分を一般会計から切り離すことで、見かけ上の予算規模は 6 年ぶりに減ったが、実質的な歳出総額も過去最大にふくらんだ。

12 年度予算では、税収が 42.3 兆円に対し、新しく発行する国債(借金)は 44.2 兆円。 4 年連続で借金が税収を上回る。 11 年度当初予算の借金依存度は 47.9% だったが、これがさらに悪化する。

国債の発行額を増やさないために、一般会計から年金の国庫負担 2.6 兆円を外し、特別会計で扱うという前例のない措置もとった。 過去 3 年間は特別会計の剰余金などの「埋蔵金」をあててしのいできた。 だが、来年度は震災復興費に優先的に回すため、一般会計で使う埋蔵金などの税外収入は 11 年度の 7.1 兆円から 3.7 兆円に大幅に減少。 通常の国債ではなく、将来の消費増税をあてにした「交付国債」で穴埋めせざるを得なかった。 (asahi = 12-25-11)

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国債発行額、過去最大 12 年度、174 兆 2,313 億円

財務省は 24 日、2012 年度の国債発行計画を発表した。 過去の国債の返済期限にあわせて別の国債に借り換えるものも含め、発行総額は 174 兆 2,313 億円。 4 年連続で増え、当初計画としては、11 年度の 169 兆 5,943 億円を上回って過去最大となる。

一般会計の新規国債発行は 11 年度並みの 44 兆 2,440 億円。 特別会計では、震災復興にあてる「復興債」を 2 兆 6,823 億円発行する。 財政投融資に回す「財投債」は前年度比 7% 増の 15 兆円。 「借り換え債」は 0.9% 増の 112 兆 3,050 億円とした。

国債の発行残高は 12 年度末で 708 兆 9 千億円となる見込み。 借入金や政府短期証券などを加えた「国の借金」は、今年 9 月末で 954.4 兆円にのぼっていたが、12 年度は国債だけで 52.4 兆円増える見込みのため、12 年度末には 1 千兆円を超えるのが確実だ。 (asahi = 12-24-11)


日本、中国国債の大量購入検討 最大 8 千億円規模

日本政府が中国国債の大規模な買い入れを検討していることが 20 日、明らかになった。 25 - 26 日の日中首脳会談で合意する見通しだ。 日本の外貨準備資産の多様化と、人民元の国際的な地位向上がねらい。 欧州の政府債務問題で世界経済の先行きに不透明感が高まるなか、両国の経済連携を強化する。

日本は外国為替資金特別会計に 11 月末時点で 1 兆 3,047 億 6,300 万ドル(101 兆 2,887 億円)の外貨準備を持ち、大半を米国債で運用している。 外貨準備を使って、中国政府が発行する人民元建ての債券(国債)を最大 100 億ドル(約 7,800 億円)をめどに段階的に買い入れる。

日中両国は米国債を大量に保有しているが、近年の貿易量は日米間より日中間のほうが多く、経済の共通課題が増えている。 中国は短期国債を中心に日本の国債を買い進めており、日本側も「人民元保有による関係強化が必要(安住淳財務相)」として、中国債を一定程度購入する。

外為特会には為替介入時に買ったドル資産が積み上がっている。 今年は過去最大の約 8 兆円の巨額介入を含む介入で、さらに資産規模が膨らんだ。 こうした資産を有効活用する意味もあるとみられる。 日中首脳会談ではこのほか、国際協力銀行 (JBIC) の資金を活用した両国共同の環境投資ファンドの設立も合意できるよう最終調整している。 (asahi = 12-20-11)


日銀短観、景況感 6 ポイント悪化 2 四半期ぶりマイナス

日本銀行が 15 日発表した 12 月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の景況感が悪くなり、2 四半期(6 カ月)ぶりにマイナスとなった。 東日本大震災から立ち直りかけた前回調査から一転、歴史的な円高と欧州の政府債務(借金)危機が、経営者の心理を冷え込ませた。 一方、東日本大震災からの復興が進む東北は大きく改善し、景況感が約 20 年ぶりにプラスになった。

短観は 3 カ月ごとに企業に景況感を聞く調査で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた業況判断指数 (DI) で表す。 今回は 11 月 14 日 - 12 月 14 日に全国 1 万 846 社に尋ね、98.9% が回答した。 大企業・製造業の DI はマイナス 4 で、前回 9 月の調査から 6 ポイント悪化した。 9 月の調査では、震災で止まった工場がほぼ復旧したため、自動車などの生産が回復し、DI を押し上げたが、早くも息切れした。

落ち込みが目立ったのは輸出関連で、電気機械が前回より 16 ポイント悪化しマイナス 21、非鉄金属が 17 ポイント悪化の 0 だった。 1 ドル = 70 円台の円高に加え、欧州危機の影響で欧州やアジア向けの輸出も減り、DI を押し下げた。 一方、自動車は 7 ポイント改善の 20 と堅調だった。 (asahi = 12-15-11)

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大企業の景況感、大幅に悪化 2 四半期ぶりのマイナスに

内閣府と財務省が 9 日発表した 10 - 12 月期の法人企業景気予測調査(政府短観)によると、大企業(全産業)の景況感を示す指数はマイナス 2.5 となり、2 四半期ぶりのマイナスに転じた。 円高やタイの洪水被害、欧州経済の低迷による海外需要の不振が響き、前期(7 - 9 月期)の 6.6 から大幅に悪化した。

大企業製造業はマイナス 6.1 (前期は 10.3)。 パソコンやテレビの需要が落ち込んだ情報通信機械や欧米の荷動きが鈍った海運業などの景況感がマイナスに転じ、自動車・付属品製造も改善のテンポが鈍った。 指数は、前期と比べて「上昇」と答えた企業の割合から、「下降」の割合を引いた値。 (asahi = 12-9-11)


実質 GDP、年率 5.6% に下方修正 7 - 9 月期

内閣府が 9 日発表した 2011 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整済み)で前期(4 - 6 月)に比べて 1.4% 増、1 年続いた場合の年率換算では 5.6% 増となった。 民間企業の設備投資の減少が響き、11 月に発表された 1 次速報の 1.5% 増、年率 6.0% から下方修正された。

2 次速報は、1 次速報の後に公表された経済指標の動きを採り入れて推計し直したもの。 設備投資は 1 次速報では 1.1% 増と 4 四半期ぶりのプラスに転じたとされていたが、0.4% 減へと 4 四半期続けてのマイナスになった。 個人消費も自動車販売などが 1 次速報で見込んだほどに伸びておらず、1.0% 増から 0.7% 増に下方修正された。 物価の動きを反映して生活実感に近い名目 GDP は前期比 1.2% 増(年率 5.0% 増)。 1 次速報の 1.4% 増(同 5.6% 増)から下方修正された。

また今回の発表から基準を 00 年から 05 年に見直し、10 年度の実質成長率もさかのぼって算出した結果、3.1% 増(改定前は 2.4% 増)となり、90 年度の 6.2% 増以来の「高成長」だった。 ただ、10 年に名目 GDP で中国に抜かれた状況に変わりはないという。 (伊藤裕香子、asahi = 12-9-11)

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7 - 9 月期 GDP、4 四半期ぶりプラスに 年率で 6% 増

内閣府が 14 日発表した 2011 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 1 次速報は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整済み)で前期(4 - 6 月)に比べて 1.5% 増、年率換算で 6.0% 増となった。 プラス成長になるのは 10 年 7 - 9 月期以来、4 四半期ぶり。 東日本大震災後にサプライチェーン(供給網)の寸断で滞っていた生産や供給が戻り、個人消費や輸出が伸びた。 (asahi = 11-14-11)

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GDP、4 四半期ぶりプラス確実 7 - 9 月期、民間予測

内閣府が 14 日に発表する 2011 年 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) は、4 四半期ぶりのプラス成長が確実だ。 民間調査機関 15 社の予測平均をみると、物価変動の影響を除く実質の前期(4 - 6 月)比は 1.5% 増、年率で 6.2% 増と高い伸びを見込んでいる。

東日本大震災後にサプライチェーン(供給網)の寸断で滞っていた生産や供給が戻り、消費や輸出が大きく伸びたことが大きい。 輸出は各社とも 5 - 7% 台の高成長を見込む。 住宅投資も住宅エコポイント終了前の駆け込み需要で、押し上げ要因となっている。

見方が異なるのは、民間の設備投資。 復興の遅れや円高で大和総研が唯一、前期より減ると見込んだ一方、みずほ総合研究所は震災後に見合わせた投資が戻り始めたとして 2.6% 増を予測する。 公共投資は 15 社中 9 社がマイナスを予測する。 仮設住宅の建設による押し上げ効果が落ちつき、復興計画の遅れなども響いているようだ。 (asahi = 11-5-11)


7 - 9 月期設備投資、前年比 9.8% 減 2 期連続の減額

今年 7 - 9 月期の国内の設備投資額は、前年同期と比べて 9.8% 減の 8 兆 6,183 億円となり、2 四半期連続のマイナスとなった。 東日本大震災の影響で投資を控える動きが続いたうえ、鉄鋼業など海外需要の低迷による投資の抑制も響いた。

財務省が 2 日、法人企業統計調査(金融、保険業を除き、ソフトウエア産業を含む)として発表した。 今回の統計は、内閣府が 9 日に発表する 7 - 9 月期の国内総生産 (GDP) の 2 次速報に反映される。 1 次速報の年率換算の 6.0% 増から、下方修正される可能性が高い。

製造業は同 1.6% 減の 3 兆 3,164 億円。 前年に大型投資があった食料品や、自動車などの輸送用機械が大きく減った。 がれき撤去などに使われる生産用機械は同 24.9% 増の 1,727 億円と伸びた。 (asahi = 12-2-11)


「官民ファンド」創設へ インフラ整備へ政府・民主党

政府・民主党は、民間の資金を活用して空港や下水道などの建設や整備を進めるための「官民連携インフラファンド」を、来年にも創設する方針を固めた。 国や地方の財政状況が厳しいなか、ファンドを呼び水に民間の資金や人材を活用し、公共事業への投資を促すねらいがある。 地震などで被災した地域の復興にも活用したい考えだ。

ファンドは、公共施設の建設や運営を民間にゆだねる「PFI (プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)」の資金調達の手段。 「民間資金 PFI 等活用事業推進機構」などの名前で立ち上げる。

ファンドの規模は調整中だが、当初は数百億円規模を想定。 国がまず出資し、残りを銀行や証券会社、企業や個人の投資家から募る。 民間出身のファンドマネジャーが具体的な事業の掘り起こしを担う。 来年度予算案に人件費や準備費などを計上し、PFI 法改正案を来年の通常国会に提出する方針だ。 (asahi = 11-28-11)


日本経済の最大のリスク要因、欧州ソブリン債務危機 = 日銀総裁

[名古屋] 白川方明日銀総裁は 28 日、名古屋市内で講演し、日本経済にとって最大のリスク要因に欧州の「ソブリン債務危機」と述べ、日本経済は当面、輸出を中心に厳しい局面が予想されると指摘した。 減速した後には緩やかな回復経路に復していくことが日銀の中心的な見通しだとしたが、先行きにはさまざまな不確実性が存在するとの認識を示した。

このうち円高については「輸出や企業収益の減少、企業マインドの悪化などを通じ、景気の下振れ要因となる」とあらためて警戒感を表明し、今夏以降の 2 回の追加金融緩和策は、円高が景気に悪影響を与えるとの判断に基づいて実施したと語った。

<円高は景気の下振れ要因、過去 2 回の緩和で対応>

東海地区は自動車を中心とした輸出産業が盛んなこともあり、講演終了後の質疑応答も含めて、出席者の円高への関心の高さをうかがわせた。 白川総裁も「円高への対応」を講演の項目に盛り込んだ。

白川総裁は、定着している円高基調について「メリットもあれば、デメリットもある」としながら、現在の局面での円高は輸出や企業収益の減少など景気の下振れ要因になる可能性があると指摘。 日銀として、為替の動き自体に「機械的に対応して金融政策を行うわけではない」としたが、夏場以降の 2 回にわたる追加金融緩和措置は、円高が景気の下振れ要因になるとの観点から「金融緩和に踏み切った」と語った。

<為替介入は適切で効果発揮している、各国に理解求める>

政府が 10 月 31 日に実施した為替市場介入について、G7 や G20 で「為替の過度で無秩序な変動は望ましくないことが共有されている」と述べ、こうした背景から「(政府は)介入を適切に行っており、相応の効果を発揮している」と説明。 今後も国際会議などにおいて、日本の為替介入について「理解を求める努力を粘り強く続けていく」と語った。

<強力な金融緩和を推進、環境活かす努力が課題>

出席者からは、政府・日銀に対して一段と積極的な対応を求める声が出た。 総裁は、金融政策運営について「強力な金融緩和を引き続き推進し、日本経済が持続的な成長経路に復する過程を支えていく」と強調した。 ただ、すでに極めて緩和的な金融環境が実現しているにもかかわらず、「民間の経済主体が投資や支出を積極的に増やしていくという動きに繋がっていない」ことを憂慮。

現在行っている包括的な金融緩和政策や、先進国の中央銀行の中でも対国内総生産 (GDP) 比で最大の資金供給を実施していることを説明し、「緩和的な金融環境を活かすための努力がより重要な課題」と成長力の強化に向けた取り組みが重要と力説した。 また、デフレ脱却に関して「単にお金を増やすだけで、物価が上がるわけではない」とも指摘した。

<日本経済、当面減速した後に緩やかな回復経路へ>

日本経済の見通しについては、新興国のソフトランディングを「条件」に、「当面、減速した後、緩やかな回復経路に復していく」ことが中心的な見通しとしたが、当面は「輸出面を中心に厳しい局面が予想される」と語った。 先行きには「さまざまな不確実性がある」とも述べ、欧州当局者の表現を引用し、欧州の「ソブリン債務危機」を最大のリスク要因にあげた。

<欧州情勢、世界の景気にも影響与えている>

欧州問題の現状については「最近では、ユーロ圏の中で 3 番目に経済規模の大きいイタリア国債の金利も上昇している」とし、ユーロ圏諸国の国債を多く保有している欧州の金融機関は「市場での資金調達が難しくなっており、資金確保のために貸し出しを抑制せざるを得なくなっている」と指摘。 欧州では「財政、金融システム、実体経済の負の相乗作用が働き始めている」と述べ、こうした欧州の経済・金融情勢は「世界の他の地域の景気にも影響を与えている」との認識を示した。

<欧州問題でドル資金市場が不安定、日本の金融機関は問題ない>

欧州問題を受けた国際金融資本市場では「ドルの資金市場が最も不安定になっている」としたが、日本の金融機関については、ドル資金の調達に「問題はまったくない」と明言。

ただ、今後、欧州問題がリーマンショックのような事態に発展した場合には「世界の金融機関を巻き込む」と懸念を示し、すでに米欧中銀との協力で実施しているドル資金供給オペなど「今後とも主要国中央銀行と緊密な連絡をとりながら、金融市場の安定に万全を期していく方針」と語った。 (伊藤純夫編集、田中志保、ロイター = 11-28-11)


景気「回復・明るさ」倍増 41 社 朝日新聞 100 社調査

全国の主要 100 社を対象に朝日新聞が実施した景気アンケートで、今の国内景気について「緩やかに回復」、「足踏み状態で一部に明るさがある」と答えた企業が合わせて 41 社にのぼり、前回の 6 月調査の 19 社から倍増した。 東日本大震災で後退していた企業の景況感は改善したが、欧州経済の減速や高止まりする円高など、先行きへの懸念も色濃く出た。

調査は年 2 回で、今回は 11 月 7 - 18 日に実施。 原則として経営トップに面談した。 現状の景気認識は「足踏み状態」が 46 社と半数近くを占めたが、「悪化」と「急速に悪化」は前回の計 29 社から 3 社へと減少。 東京ガスの岡本毅社長は「生産が回復し、省エネ家電の買い替え需要もある」という。

ただ、先行きについては見方が分かれる。 来年 3 月の景況感を尋ねたところ、「よくなっている」と「改善の兆し」は計 38 社だが、「ほとんど変化がない」は 44 社、「悪化の兆し」と「悪化」は計 14 社だった。

国内では「復興需要は小さなものが動き出したが、本格的になるのは来年度以降(東京製鉄の西本利一社長)」といった前向きな要素があるが、「欧州危機や円高、タイの洪水があり、思ったほどの力強さはない(日本 IBM の橋本孝之社長)」と海外発の要因がどこまで波及するのかが見通せない。

今後の国内景気への懸念材料(二つ選択)は「円高の進行(62 社)」と「欧州経済の先行き(46 社)」に集中。 6 月調査のそれぞれ 7 社と 4 社から急増した。 前回多かった「電力不足」は 39 社から 6 社に、「福島第一原発事故の影響」は 38 社から 3 社に急減した。 野田政権の仕事ぶりは 41 社が「評価できる」とした。 経済界との対話や環太平洋経済連携協定 (TPP) の交渉参加の姿勢を重視する声が目立った。 (伊藤裕香子、asahi = 11-27-11)


日経平均、終値も 8,200 円割れ 2 年 8 カ月ぶり

24 日の東京株式市場で、日経平均株価は終値としては 2009 年 3 月 31 日(8,109 円 53 銭)以来、約 2 年 8 カ月ぶりに 8,200 円を下回った。 終値は前営業日の 22 日より 149 円 56 銭 (1.80%) 安い 8,165 円 18 銭。 東京証券取引所第 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は同 11.71 ポイント (1.63%) 低い 706.08、出来高は 14 億 9 千万株だった。

欧州の政府債務(借金)問題が拡大するとの懸念から、前日の欧米株式市場が大幅に値下がりした流れを受けた。 損失隠しが問題となっているオリンパスは、上場が維持されるとの思惑から買いがふくらんだ。 値幅制限の上限(ストップ高)となる同 150 円高い 1,019 円で取引を終えた。 (asahi = 11-24-11)

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日経平均、今年最安値圏 トヨタなど 70 社超最安値更新

21 日の東京株式市場で日経平均株価は一時、前週末より 30 円 98 銭安い 8,343 円 93 銭まで下げ、今年最安値圏で取引されている。 東京証券取引所第 1 部ではトヨタ自動車やソニー、みずほフィナンシャルグループなど 70 社超が取引時間中の今年最安値を更新した。

日経平均の午前の終値は前週末より 9 円 87 銭 (0.12%) 安い 8,365 円 04 銭で、終値での今年最安値(9 月 26 日の 8,374 円 13 銭)を下回る水準になった。 東証 1 部全体の値動きを示す TOPIX (東証株価指数)は同 1.89 ポイント (0.26%) 低い 718.09。 出来高は 6 億 3 千万株、売買代金は 3,596 億円で、いずれも前週末を下回った。

為替の円高基調が強まっていることに加え、米国の政府債務削減をめぐる与野党協議の難航が伝わり、売り材料になった。 市場では「米の政府債務削減交渉が難航した 8 月以降に相場が急落したこともあり、リスク回避で買い控え色が強まっている(大手証券)」との見方が出ている。 (asahi = 11-21-11)


需要不足 3.5%、年 15 兆円程度 7 - 9 月期

内閣府は 21 日、日本経済の実際の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」が、2011 年 7 - 9 月期にマイナス 3.5% になったとの試算を公表した。 需要不足を金額に換算すると、年 15 兆円程度(名目ベース)。 不足幅は 4 - 6 月期(マイナス 3.5%)から横ばいだが、依然として大幅な需要不足が生じている。

需給ギャップは実際の国内総生産 (GDP) と、民間設備や労働力を平均的に使った場合に生み出せる潜在 GDP の差。 マイナスは供給が需要を上回る状態で、物価が下がりやすい。 (asahi = 11-21-11)

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消費の鈍化くっきり 9 月の小売り、売上高が前年割れ

東日本大震災以降、好調だった消費に変調が生じている。 24 日出そろった小売業の主要な統計は、9 月の既存店売上高がすべて、前年を下回った。 悪天候など一過性の要因も大きいが、景気の減速を警戒して、消費者が財布のひもをしめている様子も浮かぶ。

イオンやイトーヨーカ堂など大型スーパーが加盟する日本チェーンストア協会が 24 日発表した 9 月の既存店売上高は前年同月比 3.6% 減で、2 カ月続けて前年水準を下回った。 百貨店やショッピングセンターなど他業態も軒並み前年比マイナスとなった。 食品スーパーと 8 月はプラスだったコンビニを除くと、8 月と比べた下げ幅も拡大している。 好調が続いてきたコンビニエンスストアも、たばこ増税に伴う駆け込み需要があった昨年の反動で 11 カ月ぶりに売上高が減った。 (asahi = 10-24-11)


10 月輸出額、3 カ月ぶり減 タイ洪水被害も影響

財務省が 21 日発表した 10 月の貿易統計(速報)によると、輸出額は前年同月比 3.7% 減の 5 兆 5,128 億円で、3 カ月ぶりに減少した。 輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支はマイナス 2,738 億円と、2 カ月ぶりの赤字だった。 輸出では、主力の自動車は 6.1% 増と東日本大震災後の回復が続いたが、洪水被害が出たタイ向けの輸出が減った影響などが出ている。

タイ向け輸出は半導体など電子部品が約 4 割、電極用銅など非鉄金属が約 3 割減り、全体は 5.1% 減だった。 欧州経済の混乱など世界的な景気低迷による半導体の需要減で、電子部品の輸出は全体でも 20.8% 減った。 一方、輸入は火力発電所で使われる液化天然ガス (LNG) が 63.8% 増など、22 カ月連続で増えて 5 兆 7,866 億円だった。 (asahi = 11-21-11)

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外貨準備、1 兆 2 千億ドル台 対ドルユーロ上昇で増加

財務省が 8 日発表した 10 月末の外貨準備高は、1 兆 2,098 億 8,200 万ドル(94 兆 5,764 億円)だった。 9 月末より 92 億 8,900 万ドル(7,261 億円)増えた。 対ドルでユーロが上昇し、金の価格も上がったためだ。

増加は 2 カ月ぶり。 10 月 31 日に実施した為替介入は決済が翌日以降になるため、11 月末の外貨準備高に反映される。 7 - 9 月に実施した為替介入の詳細も公表。 8 月 4 日に行った 4 兆 5,129 億円の円売りドル買い介入の 1 回だけだった。 (asahi = 11-8-11)

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11 年度上半期は貿易赤字 リーマンショック以来

財務省が 24 日発表した 2011 年度上半期(4 - 9 月)の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は 1 兆 6,666 億円の赤字だった。 東日本大震災で輸出が落ち込んだためだ。 半期での貿易赤字は、リーマン・ショックによる世界的な金融危機が影響した 08 年度下半期(1 兆 5,274 億円の赤字)以来となった。

赤字幅は、比較可能な統計が残る 79 年度以降では、第 2 次石油危機の最中だった 79 年度下半期に次ぐ 2 番目の大きさとなった。 上半期の輸出額は 32 兆 8,104 億円で前年同期比 3.8% 減。 大震災によって生産が激減した自動車(同 18.4% 減)、半導体などの電子部品(同 15.8% 減)が大きく落ち込んだ。

一方、輸入額は 34 兆 4,771 億円で、同 12.1% 増。原子力発電の代替のための燃料として原油(同 24.9% 増)や液化天然ガス(LNG、同 40.3% 増)の輸入が伸びた。 9 月単月の輸出額は 5 兆 9,807 億円で前年同月比 2.4% 増となり、半年ぶりに増加に転じた 8 月に続いて 2 カ月連続で増えた。 ただ、景気の先行指標ともいえる半導体など電子部品は同 9% 減となっている。 (asahi = 10-24-11)


事業仕分け : 原子力関連「予算縮減」 除染・廃炉へ予算を

衆院決算行政監視委員会の小委員会は 17 日、税金の無駄遣いをチェックする「国会版事業仕分け」の 2 日間の日程を終えた。 原子力関連の独立行政法人などへの支出について、委員 13 人中 12 人が「予算の縮減か見直し」と判定。 同委は今国会中に、対象全 4 事業についての最終判定をまとめ、政府への勧告か決議を行う方針だ。

17 日の仕分けでは、原子力関連独法や原子力政策の在り方に対し、委員らから厳しい意見が続出。 高速増殖炉「もんじゅ」の開発を行う経済産業省所管の独法「日本原子力研究開発機構」への支出で、12 年度の予算要望が 11 年度予算を約 160 億円も上回ったことに対し「原発事故に伴う除染や廃炉に向けた予算に組み替えるべきだ」との声が上がった。

委員らは同省所管の独法「原子力安全基盤機構」に対しても、3 人の理事全員が同省からの天下りであることを追及した。 11 の独法・公益法人では職員より理事が多いことも判明。 委員らは原子力関連の仕分けを行う小委員会の設置を提案した。 判定に際しては重複回答も許され、「予算縮減」以外の判定では「廃止」が 1 人、「組織・制度の改編」が 6 人だった。

17 日は原子力関連に先立ち、計画を凍結した「朝霞住宅」など国家公務員宿舎の建設・維持費についての仕分けも行われ、委員 9 人が「予算縮減か見直し」、3 人が「廃止」と評価。 財務省は「緊急時に役所に集まる職員のために宿舎は必要」と主張したが、国の財政状況や効率性の観点から、必要性を疑問視する意見が相次いだ。 (吉永康朗、mainichi = 11-17-11)


「牛肉・車・日本郵政」 米、二国間協議で見直し提起へ

米通商代表部 (USTR) のカーク代表は 11 日(日本時間 12 日)の記者会見で、環太平洋経済連携協定 (TPP) 交渉への参加方針を決めた日本との事前協議では、米国産牛肉の輸入規制撤廃や自動車市場の規制の改善、日本郵政の優遇措置見直しを重点 3 分野として話し合う意向を示した。

カーク代表は、日本の交渉参加方針について「我々は大変歓迎している」とする一方で、「3 分野はこれまでも日本と多くの協議をしてきたが、2 国間の場で協議を続ける」と表明。 また、「これらは我々が取り上げる課題の一部にすぎない」とも話し、3 分野に限らず、幅広いテーマを協議する考えを示した。 TPP をテコにして市場開放の要求を強める構えだ。

この日、枝野幸男経済産業相はカーク代表と会談。 枝野氏は会談後、記者団に対し「米国からいくつかの関心事項について話があった」と述べたが、具体的な内容の説明は避けた。 枝野氏は「USTR は強力な態勢を作るだろう。 経産省の通商部局の総力を挙げて、しっかりとした議論をしていきたい。」と話した。 (ホノルル = 尾形聡彦、福田直之、asahi = 11-12-11)


国の借金、初の大台超えへ 11 年度末 1,024 兆円に

国債や借入金などを合計した日本の「国の借金」が 2011 年度末の残高で 1,024 兆 1,047 億円に達し、初めて 1 千兆円を超える見通しとなった。 東日本大震災の復興費をまかなうため、今年度第 3 次補正予算案に 11.5 兆円の復興債発行を盛り込んだことなどが影響した。

これまで財務省は、11 年度末の借金の残高を 995 兆 9,232 億円と見込んでいた。 だが、3 次補正では復興債のほか、円高是正の為替介入に必要なお金を調達する政府短期証券の発行枠を 15 兆円増額。 原発事故の賠償金を払う東京電力の資金繰りを支えるため、交付国債の発行枠を 2 兆円から 5 兆円に増やし、借金残高の増加を招いた。

公的年金などの社会保障基金も加えた国際通貨基金 (IMF) の試算では、日本の政府債務残高は 2010 年時点ですでに 1,054 兆円(1 ユーロ = 107 円換算で 9 兆 8 千億ユーロ)。 国内総生産 (GDP) の 220% に達している。 (asahi = 11-5-11)

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野田首相、消費税 10% を国際公約 G20 で明言

野田佳彦首相は 3 日午後(日本時間同日夜)、主要 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議で「2010 年代半ばまでに段階的に消費税率を 10% まで引き上げる」と明言し、税率引き上げ時期などを定めた消費増税法案を「2011 年度内に提出する」と表明した。 首相は同行記者団に「信を問うなら法案が通り、(増税)実施前に信を問うやり方にしたい」と語り、法成立直後の衆院解散・総選挙の可能性に言及した。

首相が国際会議の場で消費増税を明言するのは初めて。 欧州の政府債務(借金)問題を見すえ、日本としても財政再建への道筋を明確に示す必要があると判断したもので、消費増税が国際公約となった。

首相は首脳会議で「健全な経済成長を実現するために財政健全化は不可欠」と強調。 そのうえで「日本は社会保障の安定財源の確保に着実に取り組む」と語り、財政再建に向けた決意を示した。 また、財政危機をめぐるギリシャの混迷について「さきの欧州首脳の合意は重要な一歩と評価するが、ここに至って問題はもはや経済金融を超えた政治の問題だ」と指摘。 「欧州の強い結束が示されれば、わが国としても協力を考える」と述べた。 (asahi = 11-4-11)


政府、ハリウッドにアニメ・玩具セールス 国策会社設立

日本のアニメや玩具などのコンテンツをハリウッドで映画化するプロジェクトが、今月スタートする。 政府が 9 割を出資するファンド「産業革新機構」が 60 億円を出資して 10 月に設立した新会社が日本に利益をもたらすため、ハリウッドに素材を売り込む。

新会社は「オール・ニッポン・エンターテイメント・ワークス」。 映画のヒットにより、書籍やゲームなど関連商品を含めて巨額の利益を生み出すのが目的。 まず、映画化を目指す日本の素材の権利を取得したうえで、米国のプロデューサーらと脚本作りや監督、俳優の選定などを進める。 当初 3 年で権利 10 件、30 億円の投資を見込んでいる。 (asahi = 11-3-11)


円高の悲鳴、日本企業の人員削減ラッシュ

東日本巨大地震と原発事故、電力不足による衝撃を徐々に克服しつつあった日本経済が円高ショックで再び揺らいでいる。 リーマン・ショック前に 1 ドル = 123 円だった円相場は、最近戦後最高値の 75 円台まで急上昇し、輸出企業は採算性の低下で、大規模な人員削減などリストラに着手した。 製造業では円高打開に向け、海外脱出が相次ぎ、観光など内需市場も冷え込んでいる。

さらに、日本企業の海外生産拠点であるタイが洪水被害を受けたほか、今冬には再び日本国内で電力不足が予想されるなど、最悪の状況が続いている。

人員削減

TDK が 1 万 1,000 人削減、パナソニックは今年 4,200 億円の赤字見通しを受け、1 万 5,000 人削減 - -。 日本では大規模な人員削減が相次いで発表されている。 東日本巨大地震、東京電力福島第 1 発電所の事故、電力不足を人員削減なしで乗り切った日本企業も円高に白旗を揚げた。

日本製紙グループ(1,300 人)、日本写真印刷(1,200 人)、日立造船(1,200 人)、三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券(1,300 人)など人員削減は全業種に拡大している。 中小企業に勤めるササカワ・アイコさん (38) は「これだけの人員削減はバブル崩壊並みのショックだ」と話した。 テレビ部門で生産を縮小するソニー、日立製作所なども人員削減計画を近く発表する見通しだ。

企業の海外脱出ラッシュ

特に輸出比率が高い自動車、電子機器分野では、円高で営業利益が最大 50% 減少し、日本国内での生産を断念する企業が相次いでいる。 パナソニックは 2009 年 12 月に完成した世界最大のプラズマパネル工場(兵庫県尼崎市)の稼働を年内にも停止する。 サムスン、LG など韓国勢に押された上、円高で作れば作るほど赤字が膨らむ状況に陥ったためだ。 パナソニックは、パネルの国内生産を断念し、海外からの輸入で競争力を確保する戦略だ。

日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「この為替水準では日本国内での新規事業は不可能だ。 日本の産業は完全に空洞化する可能性がある」と述べた。 トヨタ自動車は日本国内での 300 万台生産を維持すると宣言したが、価格競争力を維持するため、韓国製など外国製部品の調達を拡大している。

中小企業も海外移転を急いでいる。 静岡県浜松市の工業団地では、中小企業 10 社がこのほど、東南アジアへの移転に向け、事業協同組合を結成した。 群馬県金型工業会はメキシコへの集団進出を検討している。 日本政策金融公庫によると、今年 4 - 9 月に中小企業に対する海外進出資金の融資は 250 件を数え、前年同期の 2 倍に増えた。

タイ洪水の余波

円高を耐え抜いてきた海外生産も、タイの洪水で大打撃を受けた。 タイ製部品を使い、インドネシアなどの東南アジアや米国で現地生産してきたホンダ、トヨタなど自動車各社、ソニー、ニコンなど電子メーカーは連鎖的に生産に支障が出ている。 タイには 2,000 社を超える日本企業が進出している。

ホンダはタイ工場の浸水被害による部品不足を受け、北米の 6 工場で 50% の減産を決めた。 洪水被害を受けた生産設備の復旧には半年かかるとの見通しも示されている。 日本国内では、暖房需要が増える冬にも電力不足が懸念され、工場の正常操業が難しい状況だ。

観光客の急減

東日本巨大地震が起きるまで、外国人観光客で混雑していた東京の六本木ヒルズなどは、最近閑古鳥が鳴いている。 六本木ヒルズの店員は「30% ほどが外国人客だったが、原発事故に続く円高で、外国人が目に付かないほどだ」と嘆いた。

海外観光客を当て込んで新規投資を行った地方の観光ホテルも倒産寸前の状況に追い込まれている。 日本政府によると、4 - 9 月の日本への入国者数は前年同期比で 40% 減少した。 円高による人員削減で消費心理も冷え込み、流通など内需産業も低迷している。

日本政府の対応

日本政府は 10 月 31 日、推定 7 億円規模の為替介入を単独で行ったが、効果には懐疑的な見方が優勢だ。 政府の介入で 1 ドル = 79 円台にまで下落した円相場は、再び上昇に転じている。

円高が続くとの懸念から、1 日の東京株式市場では株価が下落した。 円高は投機勢力の動きも一因だが、欧州の財政危機で日本円が相対的に安全資産と見なされていることが根本的な要因だ。 ウォール・ストリート・ジャーナルなど海外メディアは「日本政府は負け戦に臨んでいる」と厳しく分析した。

日本政府は 3、4 の両日、フランスのカンヌで行われる 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議(サミット)で、各国に円高阻止への協力を求める方針だ。 しかし、欧米も財政危機回避や景気対策に精いっぱいの状況だ。 むしろ日本の為替介入が為替戦争を触発しかねないとの懸念も示されている。

日本政府は先月、円高による製造業の空洞化を防ぐため、補正予算案からの 2 兆円を含む総額 23 兆 6,000 億円の円高対策の実施を決めた。 - 東京 = 車学峰(チャ・ハクポン)特派員 (韓国・朝鮮日報 = 11-2-11)


政府・日銀が円売り介入 最高値更新を受け

政府・日本銀行は 31 日、円高ドル安に歯止めをかけるため、東京外国為替市場で円を売ってドルを買う「為替介入」に踏みきった。 同日早朝のオセアニア市場で円相場が一時、1 ドル = 75 円 32 銭まで値上がりし、戦後最高値を塗り替えたためだ。 為替介入は 8 月 4 日以来、約 3 カ月ぶりとなる。

対ドルの戦後最高値の更新は、今月 21 日以降で 5 度目。 欧米の景気が悪くなるとの不安から円が買われやすくなっている。 日銀が 27 日、円安を促す追加の金融緩和を決めたが、その後も円高が止まらないため、政府・日銀は今年 3 回目の為替介入を決断した。

超円高がさらに進めば、輸出企業などの業績に悪影響を与え、東日本大震災からの復興に水を差すおそれがあると判断したものとみられる。 介入後、安住淳財務相は財務省内で記者団に「実体経済を反映しない一方的な投機的な動きが続いていた。 納得いくまで介入する。」と述べ、今後も介入を続けていく方針を明らかにした。

介入を受けて、東京市場の円相場は急激に円安ドル高が進んだ。 1 ドル = 75 円台後半から一時は 4 円近く値下がりし、79 円 55 銭付近の値をつけた。 正午現在は、前週末午後 5 時時点より 3 円 35 銭円安ドル高の 1 ドル = 79 円 18 - 21 銭。 対ユーロでも一時、介入直前より 4 円超安い 111 円台半ばまで下げた。 正午現在は同 3 円 80 銭円安ユーロ高の 1 ユーロ = 111 円 25 - 27 銭。

東京株式市場では円安が好感され、日経平均株価は急速に上昇した。 一時は前週末より 100 円超値上がりし、8 月 16 日以来となる 9,100 円台を回復した。 午前の終値は前週末より 45 円 80 銭 (0.51%) 高い 9,096 円 27 銭。 (asahi = 10-31-11)


9 月の鉱工業生産指数、4% 減 景気低迷で半年ぶり低下

経済産業省が 28 日発表した 9 月の鉱工業生産指数(2005 年 = 100、季節調整済み)の速報値は前月比 4.0% 減の 89.9 となり、半年ぶりに低下した。 8 月の生産が多めだったことの反動が出たほか、世界的な景気低迷で外需が振るわなかった。 調査結果を受け、経産省は基調判断を「生産は横ばい傾向」と下方修正した。

業種別では 16 業種すべてで低下。 輸送機械工業は 6.0% 減と 5 期ぶりに下がった。 震災後の生産減を埋め合わせるため 8 月の生産を増やした反動で、9 月は前月と比べ落ち込んだ。 一方、一般機械工業は韓国や欧米向けの半導体製造装置が 30.1% 減と 2 期連続で低下。 円高による輸出減で、軸受けも 5.1% 減と 4 期ぶりに低下した。 (asahi = 10-28-11)

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鉱工業生産指数、0.8% 上昇 8 月「震災の影響ほぼ回復」

9 月は 2.5% 低下見通し

経済産業省が 30 日朝発表した 8 月の鉱工業生産指数(2005 年 = 100、季節調整済み)速報値は前月比 0.8% 上昇の 93.7 で、5 カ月連続の上昇だった。 基調判断は「東日本大震災の影響から回復しつつある」から「震災の影響からほぼ回復したものの、先行きについては注視する必要がある」に修正した。

市場予想の平均は 1.4% 上昇だった。 出荷指数は 0.3% 上昇の 94.7 で、在庫指数は 2.1% 上昇の 102.8。 在庫率指数は 1.5% 低下の 114.6 だった。 先行きは 9 月が 2.5% 低下、10 月は 3.8% 上昇を予測している。 (nikkei = 9-30-11)