G20 で欧州危機波及の遮断は道半ば、為替は「日本の主張取り入れ」 [カンヌ(フランス) 4 日 ロイター] カンヌで開かれた 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議(サミット)は、世界経済の混乱を回避するために、欧州債務問題解決への結束と強化を図ることが最大の目的となったが、メンバー以外のギリシャ情勢に翻弄され、所期の目的を達成することができなかった。 首脳宣言は「ユーロ圏の包括的な計画を歓迎する」と支持する声明を採択するにとどまった。 欧州内ではイタリアが財政再建や構造改革について国際通貨基金 (IMF) の監視を受けることとなり、危機の広がりを遮断するには道のりがあることを示す結果となった。 一方、歴史的な円高への対応として、日本政府は 10 月 31 日に 3 カ月ぶりに行った為替介入を説明し各国の理解を求めたが、これもギリシャ問題にかき消され各国の関心を集めることができなかった。 ただ、行動計画に「為替レートの過度な変動、無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与えることを再確認する」との文言が盛り込まれたことは、一定の成果と言える。 日本政府同行筋は「日本の主張がそのまま入った」と評価した。 <欧州問題危機波及の「遮断」は道半ば、イタリアも IMF 監視下に> 首脳宣言は世界経済について「前回の会合以降、世界の景気回復は、特に先進国において弱まり、失業率は依然容認できない水準にある。 新興市場にも成長鈍化の明確な兆候がある。」と、懸念を表明。 主たる要因として「欧州におけるソブリンリスクのため、金融市場の緊張が増大した」と明記し、欧州債務問題を契機とした世界経済の減速に強い危機感を示した。 議論の過程では、複数の国が「今回の危機の状況は 2008 年のサブプライム問題と比べて、国家の債務問題であるという点でより深刻だ(同行筋)」との指摘があったという。 こうした共通認識にもかかわらず、G20 は危機克服のための前向きな討議ができないまま、混迷するギリシャ情勢に翻弄された。 G20 直前に欧州で合意されたギリシャ問題の包括的対策や銀行の資本増強、欧州域内の安全網である欧州金融安定ファシリティー (EFSF) の一層の拡充が議論の争点だった。 しかし、突然ギリシャが包括的対策への国民投票を表明し、突っ込んだ議論どころか、初日の討議では「ユーロ圏からは包括合意を守らなければ 1 セントも支援しない」や「国民投票は無責任」など批判が噴出する事態だったという。 その後ギリシャは国民投票を撤回したが、包括対策の新たな資金支援の枠組み協議も不発に終わった。 野田佳彦首相も「欧州の強い結束が示されれば、日本としても協力を考える」と述べ、対策を実行に移すよう述べるにとどめている。 首脳宣言でも「ユーロ圏の包括的な計画を歓迎し、各国の改革を含め、早期の具体化と実施を促す」としたが、議論が停滞するなか、事態は混迷を極めている。 さらに、イタリアが改革の監視を IMF に要請、G20 がこれを歓迎するなど、欧州債務問題が広がりを見せていることが新ためて浮き彫りになった。 バローゾ欧州委員長は 4 日の会見で「イタリアは自ら率先して、公約実施の監視を IMF に要請した。 これは、イタリアの改革が同国やユーロ圏全体にとっていかに重要であるかを示す証左と考える。」と述べた。 <日本への関心集まらず> 日本にとっては、歴史的な円高水準が続く為替市場の対応も焦点の一つだった。 野田首相は、全体会合初日の討議で「日本経済の下振れリスクが顕在化する状況が生まれていたことを踏まえて介入を実施した」と説明し、市場操作に批判的な各国の理解を求めた。 これに対して各国からは「何のコメントもなかった」ことも明らかにしており、世界経済の喫緊の課題であるギリシャ問題にかき消された格好。 ただ、行動計画ではかろうじて「為替レートの過度な変動及び無秩序な動きは経済及び金融安定に対して悪影響を与えることを再確認する」と盛り込んだ。 日本政府同行筋は「この間の G20 財務大臣会合の文言と同じだが、首脳のレベルの計画に入ったのは初めて。 率直に言って日本が主張した点がそのまま入っている。」と評価した。 <将来の消費税上げが国際公約に、後退許されず> 一方、野田首相は先進国で最悪の財政状況にある日本の財政再建の取り組みで将来の消費税引き上げ方針を明言。 行動計画にも、2010 年代半ばまでに消費税を段階的に 10% まで引き上げるための法案を今年度内に提出することをコミットすることが明記された。 与党内でも反発が強い将来の消費税引き上げ方針は、国際公約となり後退が許されない状況となった。 (asahi = 11-5-11),/p> ◇ ◇ ◇ G20、新金融規制合意 日本 3 メガなどに資本強化要求 仏カンヌの G20 サミットで 4 日、世界の大手金融機関に対し、自己資本を手厚くするよう求める新金融規制を取り入れることで合意した。 対象となったのは日本の三つの大手銀行グループを含む 28 金融機関で、2016 年から段階的に規制が強められる。 日本で対象となるのは、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ (FG)、三井住友 FG、みずほ FG の 3 メガバンクグループ。 海外ではシティグループ(米国)やドイツ銀行(独)などが選ばれた。 リストには、10 月に破綻したデクシア(ベルギーなど)も含めると 29 社が並んだ。 毎年 11 月にリストを更新する。 新規制は、世界規模で事業を展開する銀行などのうち、金融市場への影響がとりわけ大きい金融機関が対象。 普通株や利益を積み上げた「内部留保」が中心の「中核的な自己資本」をより厚くし、経営体力をつけるように求める。 (asahi = 11-5-11) ◇ ◇ ◇ 欧州基金の再拡充を促す G20、声明採択し閉幕 パリで開かれていた主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議は 15 日夕(日本時間 15 日深夜)、共同声明をまとめて終わった。 欧州の政府債務(借金)問題の解決に向け、欧州通貨「ユーロ」を使う各国に欧州金融安定化基金 (EFSF) の機能を再び拡充するよう促した。 声明では「23 日の欧州連合 (EU) 首脳会議で、包括的な対策が打ち出されるよう期待している」との文章が盛り込まれた。 対策は、ユーロ圏 17 カ国がつくった EFSF の再拡充や、公的資金を投じて経営が悪くなった銀行の資本を増やす取り組みを指す。 再拡充策は、投資家がギリシャなどの国債を買って損をした時、この基金で損の一部を穴埋めする仕組みなどが検討されている。 投資家が安心して国債を買えるようにして、基金の規模より多くの国債を買い支える効果を狙っている。 (asahi = 10-16-11) ◇ ◇ ◇ G20、欧州に債務解決策要請へ 11 月サミットが期限 主要 20 カ国・地域 (G20) は 14 日からパリで開く財務相・中央銀行総裁会議で、ユーロ圏各国に対し、政府債務(借金)問題の解決策を急いで示すよう求める。 11 月 3、4 日に仏カンヌで開く G20 首脳会議(サミット)を期限とする見通しだ。 欧州債務問題は、ギリシャ国債などを持つ銀行の経営悪化といった金融不安へと広がっている。 このままでは欧州が不況になり、新興国の輸出が減るなどして世界経済も悪くなりかねない。 このため、G20 各国はユーロ圏各国に解決を急ぐよう共同声明に盛り込む方向で調整している。 欧州問題について、オバマ米大統領は 10 日に電話会談したサルコジ仏大統領、キャメロン英首相と「断固たる措置が必要」との考えで一致しており、G20 はこうした認識でもまとまるとみられる。 会議に出席する関係者によると、具体的には、欧州金融安定化基金 (EFSF) で、値下がりしているスペインやイタリアなどの国債を買い支え、銀行には資本注入(資金支援)するといった解決策を早く決めるよう求める。 これが示されれば、米国や日本などは、EFSF が必要なお金を集めるために発行する「EFSF 債」の買い増しなど、欧州支援の検討に入る見通しだ。 (asahi = 10-12-11) ギリシャ国債カット率 50% ユーロ圏首脳会議で合意 欧州連合 (EU) のユーロ圏 17 カ国は 26 日夜から 27 日朝にかけ、ブリュッセルで首脳会議(サミット)を開き、欧州の政府債務(借金)問題を解決する包括策で合意した。 ギリシャ国債を持つ金融機関に額面の 50% の損を求めるほか、欧州金融安定化基金 (EFSF) の再拡充策を決めた。 ギリシャ国債の債務削減では、金融機関が自主的に元本に利子を含んだ国債の価値の 21% カット案をのんでいた。 しかし、ギリシャの借金を減らすため、カット率を大幅に引き上げることで EU と金融機関側が合意した。 額面 50% カットは 1 千億ユーロ(約 10.6 兆円)に相当する。 EU と国際通貨基金 (IMF) による公的支援も追加し、ギリシャの債務の国内総生産 (GDP) 比は現在の 165% から 2020 年には 120% まで下がる見込みという。 EFSF の再拡充では、国債を持つ投資家が損をした場合に EFSF のお金で一部を保証することと、財政不安を抱える国の国債を買い入れる特別目的投資会社を作ることを決めた。 この二つの併用で、EFSF が支援に使える資金規模は 1 兆ユーロ(約 106 兆円)規模になり、今の「4 - 5 倍」にふくらむ。 ユーロ圏サミットに先立って 26 日開かれた EU 27 カ国のサミットでは、欧州の銀行の資本増強策で合意した。 銀行の資産のうち、経営体力を示す「中核的自己資本」の比率を、7 月の特別検査(ストレステスト)で合格基準としていた 5% から一時的に 9% に引き上げるよう求める。 試算では合計 1,064 億ユーロ(約 11.3 兆円)の資本増強が必要になるという。 最終的な必要額は 11 月末までに欧州銀行監督局 (EBA) が公表する。 (asahi = 10-27-11) ◇ ◇ ◇ 欧州基金の再拡充で大筋合意 ユーロ圏、包括策にめど ユーロ圏各国は 23 日、欧州の政府債務(借金)問題を解決するため、欧州金融安定化基金 (EFSF) の機能を再拡充することについて大筋で合意した。 経営が悪くなった銀行に資金注入したり、財政不安に苦しむ国の国債を買い支えたりする能力を高める。 EFSF の再拡充をめぐっては、ユーロ圏を引っ張る独仏が対立し、最大の懸案になっていた。 大筋合意したことで、債務問題を解決する「包括策」の大枠が固まった。 包括策には、▽ EFSF の再拡充、▽ 銀行の資本増強策、▽ ギリシャへの追加支援、の三つを盛り込む。 26 日のユーロ圏首脳会議(サミット)で正式に決める見通しだ。 フランスのサルコジ大統領は 23 日の欧州連合 (EU) サミット後の記者会見で、「EFSF の再拡充では合意に近づいた」と語った。 EFSF は、ユーロ圏各国がお金を出しあってつくっている。 基金の規模を大きくするなどの拡充策が 10 月中旬に決まったばかりだが、それだけでは危機を封じ込められないとの指摘があり、再拡充する方向で各国が話し合っていた。 (asahi = 10-24-11) ◇ ◇ ◇ 欧州銀行の資本増強、月内に包括策で一致 独仏首脳会談 ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は 9 日夕、ベルリンで会談し、欧州の政府債務危機の波及を食い止めるため、欧州の銀行が資本を増強し、経営体力を高める必要があるとの認識で一致した。 また、今月中にも問題に対応するための包括策を打ち出す方針を示した。 会談後に会見したメルケル首相は「欧州の銀行の資本増強に向けて必要なことを実施する」と述べた。 サルコジ大統領は、資本増強策について、独仏間で基本的な考え方に違いはないことを強調した。 さらにサルコジ氏は、11 月 3 - 4 日にフランス・カンヌで開く主要 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議を成功させるためにも、「今月中に問題を解決しなければいけない」と述べ、「包括的な対応策」を検討していることを明らかにした。 (asahi = 10-10-11) ◇ ◇ ◇ 欧州金融大手デクシア経営破綻へ ギリシャ危機後で初 フランスとベルギーに主な経営基盤を置く金融大手デクシアは 9 日午後、取締役会を開き、両国政府に支援を要請する。 公的管理のもとで会社を解体し、優良資産を他社に売る事実上の破綻処理に入る見込みだ。 ベルギー政府は自国内の資産について公的資金注入で一時国有化も検討する。 ギリシャの政府債務(借金)危機が起きた昨春以降、欧州の主要金融機関の経営破綻は初めて。 公的資金注入も初となる。 両国の首相らも同日、ブリュッセルで会合を開き、預金者保護などの支援方針を詰めた。 欧州メディアによると、デクシアが持つ資産を優良資産と不良資産に切り分ける案が有力になっている。 優良資産はさらに国別に分ける。 ベルギー国内の資産はベルギー政府が一時国有化し、フランス国内分は同国の公的金融機関が買収する案が出ている。 ルクセンブルクにも資産があり、この分は欧州以外の資本家への売却が検討されている模様だ。 不良資産も各国政府が保証する方向という。 (asahi = 10-9-11) スペインのデモ 80 カ国へ 失業不安・怒り … ネット連携 失業への不安を抱え、貧富の差の広がりに怒る人々が 15 日、世界各地でデモをした。 80 カ国・地域以上、1 千超の都市にのぼる予定という。 主要 20 カ国・地域の財務相らはパリに集って経済危機の封じ込めに動くが、「救われるのは大企業や金融機関ばかり」との思いがネットでつながり、街頭を埋めた。 危機の震源、欧州。 スペイン北部、マツに恵まれた木材加工の町サンレオナルドで、ドアメーカー「ノルマ」が存亡の縁にある。 半世紀以上にわたり、住民約 2 千人の半数を支えてきた会社だが、不況で需要が激減した。 「ノルマは町の誇りだ。 地元サッカーチームの名前でもある。 絶対につぶすわけにはいかない。」 夫婦で 30 年以上も工員として働いてきたヘスース・エルビーラ町長 (54) は言う。 まず「有期契約」だった地元の若者ら約 130 人が雇い止めになった。 会社はさらに 6 月、残る正社員 570 人の半減か、150 人の解雇と賃下げの組み合わせを提案し、労組とぶつかっている。 祖母、父と 3 代にわたって働いてきたトマス・ガルシアさん (45) は「我が家にとって今回の危機は、1970 年代の石油ショック以上の衝撃だ。 クビを切られたら教育費と住宅ローンを払うため町を出る。」と話す。 ただし、どこに行っても、手取りで約 1,200 ユーロ(約 13 万円)ある月給は維持できそうにない。 スペインの失業率は 21%、若者に限れば 45% にのぼる。 だが、政府に景気対策を打つ余地は乏しい。 重ねた債務(借金)の多さが金融市場で問題視され、緊縮財政に動かざるを得ないからだ。 行き詰まる世界経済、救われない暮らし。 いっせいのデモは、スペインが発火点だった。 政党や労組に属さない 20 - 30 代の若者がフェイスブックやツイッターで仲間を広げた。 1% の金持ちでない「われわれ 99%」のための社会を。 こんな言葉が世界中で掲げられた。 (マドリード = 稲田信司、asahi = 10-15-11)
◇ ◇ ◇ NY デモ、1 万人超が参加 ハッカー集団も支持攻撃予告 経済格差などをめぐって全米各地に広がっている抗議活動は 5 日、ニューヨークでのデモに 1 万人以上が参加、これまでで最大規模に発展した。 労働組合や学生団体も組織参加するなど、賛同者は多彩になりつつある。 参加者たちは、抗議活動の拠点としているウォール街近くの公園から、市庁舎前の広場に向かってデモ行進。 「銀行は公的資金を受けたのに、我々は見放された」、「戦争をやめろ、金持ちに課税しろ」などとシュプレヒコールをあげた。 警察官も大量動員された。 デモ行進に参加した 31 歳の女性は、「もし私が1セントでも盗みを働いたら、捕まるのに、企業は搾取しても何のおとがめもないのはおかしい」と訴え、米国の富を独占する上位 1% に対し、「我々 99% が声を上げる時だ」と続けた。 「ウォール街を占拠せよ」を合言葉にする抗議活動は 9 月 17 日から始まり、自動車産業や看護師の組合が加わるなど徐々に参加者が増えている。 また、抗議活動を支持する行動の一環として、政府や企業のウェブサイトへの攻撃を繰り返す国際ハッカー集団「アノニマス」は、世界最大のニューヨーク証券取引所のサイトを 10 日に攻撃すると予告している。 (asahi = 10-6-11) ◇ ◇ ◇ 格差是正求めるデモ、NY で長期化 M・ムーア氏も応援 高失業率に苦しむ米国で、経済政策の見直しや格差是正を求めるデモが長期化している。 ニューヨークで 3 週間目に突入した 1 日にはブルックリン橋を埋め尽くし、約 700 人が逮捕された。 デモはフェイスブックなどネットを通じてボストンやロサンゼルスなど全米各地に広がっている。 「ウォール街を占拠せよ」と名乗るグループが 9 月 17 日から、米国経済を象徴するウォール街近くの公園で居座りを続けている。 大学を卒業してもうまく就職できない現状や、貧富の格差に不満を持つ若者らが入れ代わり立ち代わり参加。 警察官との衝突が散発的に起きている。 映画監督のマイケル・ムーア氏らが応援に駆けつけるなど注目を集めている。 (ニューヨーク = 田中光、asahi = 10-2-11) NY 外為、ユーロ 100 円台突入 10 年ぶり円高水準 3 日のニューヨーク外国為替市場では、ギリシャの財政再建への懸念が広がり、ユーロが売られて円が買われた。 円相場は対ユーロで一時 1 ユーロ = 101 円を超え、100 円台に突入。 2001 年 6 月以来約 10 年ぶりの円高ユーロ安水準となった。 その後のオセアニア市場では 100 円 70 銭台をつけた。 4 日の東京外国為替市場では、円を買ってユーロを売る勢いはややおさまり、1 ユーロ = 101 円台前半での値動きが続いている。 午後 1時時点は、前日午後 5 時時点より 1 円 54 銭円高ユーロ安となる 1 ユーロ = 101 円 18 - 25 銭。 欧州の債務問題への懸念は、3 日のニューヨーク株式市場にも波及した。 大企業で構成するダウ工業株平均は前週末比で 258.08 ドル (2.36%) 安い 1 万 0,655.30 ドルで取引を終えた。 終値としては今年の最安値で、昨年 9 月中旬以来、約 1 年ぶりの安値水準に落ち込んだ。 (asahi = 10-4-11) ◇ ◇ ◇ ユーロ安加速、10 年ぶり 1 ユーロ = 102 円台に 22 日の外国為替市場でユーロ安が進み、午後 6 時すぎに、前日午後 5 時時点より 1 円 77 銭円高ユーロ安の 1 ユーロ = 102 円 62 銭付近をつけた。 102 円台は、2001 年以来 10 年ぶりの円高ユーロ安水準。 前日の米国から始まった世界的な株安を受けて、投資家が損失リスクを避ける動きが加速した。 とくに政府債務(借金)不安を抱えるユーロから円に資金を避難させる取引が広がっている。 (asahi = 9-22-11) ◇ ◇ ◇ 欧州、債務危機の打開策見えず EU 財務相会合閉幕 ポーランドでの欧州連合 (EU) の財務相会合は 17 日、欧州の債務危機への対応策を議論して閉幕した。 ギリシャ支援を続けることで一致した以外に、新味のある結論はない。 現段階で、EU が一気に状況を打開するような策を示せないことは明確になった。 「欧州全体では、他の主要国よりも国内総生産に対する財政赤字の比率は小さい。 一部の国の問題を全体で解決しようとしているところだ。」 閉幕後に記者会見したトリシェ欧州中央銀行総裁はそう述べ、欧州全体の信用力は高いことを強調した。 しかし、22 日の G20 財務相・中央銀行総裁会議でも欧州の債務問題は主要議題となる。 世界の関心はしばらく欧州に注がれそうだ。 短期的には、すでに決めたギリシャ支援策を着実に進めるほかに、EU に明確な手だてはない。 それさえも、加盟国間の利害関係を調整しながらの難しい道だ。 (asahi = 9-17-11) ◇ ◇ ◇ G7 「世界経済減速 明確な兆候」欧州危機議論が大半 仏マルセイユで開かれていた主要 7 カ国 (G7) 財務相・中央銀行総裁会議は 9 日、世界経済の現状について、「成長が減速している明確な兆候が出ている」として、各国が「こうした試練に対し、力強く、国際的に連携した対応を行う決意だ」とする合意文書を採択して閉幕した。 米政府高官によると、会合では、欧州の金融危機への対処についての議論が大半だったという。 複数の関係者によると、欧州が 7 月に決めた欧州金融安定化基金 (EFSF) の柔軟化を打ち出した決定について、きちんと履行することが重要だとの認識で一致したという。 (仏マルセイユ = 寺西和男、尾形聡彦、asahi = 9-10-11) ◇ ◇ ◇ 欧州中銀、成長率予測を下方修正
【フランクフルト = 菅野幹雄】 欧州中央銀行 (ECB) は 8 日の定例理事会で、単一通貨ユーロを採用する 17 カ国共通の政策金利を年 1.5% で据え置くと決めた。 欧州域内の債務不安などを反映し、前回の 6 月時点に比べて景気見通しを下方修正。 物価上昇率の予測自体は変えずに物価高のリスクへの警戒をやや緩め、利上げ路線の棚上げを示唆した。 欧州中銀は四半期に一回、内部の経済予測を公表している。 6 月時点で 2011 年、12 年の実質経済成長率(予測の中央値)は 11 年 1.9%、12 年 1.7% の見通しを 1.6%、1.3% へとそれぞれ大幅に下方修正した。 消費者物価上昇率の中央値は前回と同じ 2.6%、1.7% とした。 トリシェ総裁は 8 日の記者会見の声明で「経済の下方リスクが増している」と強調、一部の国の債務不安や株安が景気に悪影響を及ぼしつつあることを認めた。 一方で物価については「先月の見解と違い、リスクは上下で釣り合いが取れている」と強調した。 株式や債券相場の下落を受け、欧州中銀は 4 月と 7 月に政策金利を 0.25% ずつ引き上げた。 「物価に上向きのリスクがある」と指摘し、さらなる利上げを探る姿勢を見せていた。 総裁は 8 日、「金融政策は引き続き緩和的だ」と指摘したものの、物価高のリスクに対する認識を変えたことで、債務不安の進行や景気への悪影響により目配りする姿勢を示した形だ。 ユーロ圏の消費者物価上昇率は 8 月も前年同月比 2.5% と物価安定で目指す「2% 未満」を超えた。 だが、すでに金融支援を受けたギリシャやユーロ圏中核国のイタリアやスペインの財政に対する不信が高まり、金融市場が大きく混乱した。 4 - 6 月期の経済成長率も著しく減速し、不確実性が高まっている。 (nikkei = 9-8-11) ブラジル、アジア、東欧 … 新興国が相次ぎ為替介入 ブラジルやアジア、東欧の新興国が、ドルなどを売って自国通貨を買う為替介入を相次いで実施している。 欧州の財政・金融不安を背景に、リスクがあるとみられる新興国からの資金流出が起きているためで、自国の通貨価値を守る狙いがあるとみられる。 ブラジル中央銀行は 22 日、27 億 5,300 万ドル(約 2,100 億円)を先物市場で売却したと発表した。 ブラジルの金融市場には今夏まで、高い金利を背景に外国から投資資金が集まり、7 月には通貨レアルが対ドルで、変動相場制に移行後の最高値をつけた。 同国政府・中銀はレアル売り、ドル買いの介入を続けていた。 (asahi = 9-24-11) ◇ ◇ ◇ G20、途上国支援へ協調 財務相会合 共同声明採択 主要 20 カ国・地域 (G20) の財務・開発大臣の初会合が 23 日にあり、先進国と途上国の格差を縮めていくため、G20 各国が途上国の開発支援で協調していくことを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。 共同声明は途上国の成長に向け、食糧問題と途上国でのインフラ不足の解消を優先して議論するとした上で、食糧問題では世界の人口増に備え、「途上国での農業生産を倍増させる必要がある」と指摘。 研究の強化や農業への投資拡大と同時に、農産物などの過剰な価格変動を抑える規制の重要性を強調した。 インフラの不足が途上国の成長を阻害しているとして、投資環境の改善などの検討を進める必要性も指摘した。 昨年 11 月のソウルでの G20 首脳会議(サミット)で、これまで先進国の支援を受けてきた新興国も途上国支援の立場にまわることを明確にした。 具体的な支援策は、今年 11 月に仏カンヌで開かれる G20 首脳会議でまとめる予定だ。 (ワシントン = 寺西和男、asahi = 9-24-11) ◇ ◇ ◇ G20、緊急共同声明へ 危機回避へユーロ圏に対応促す 22 日夜(日本時間 23 日午前)に開かれる主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議で、欧州の政府債務問題の解決に向けユーロ圏に取り組みを促す内容などを盛り込んだ緊急の共同声明をとりまとめる方向で調整に入ったことがわかった。 G20 の交渉に加わる関係者によると、議長国のフランスが提案した初期の共同声明案では、ユーロ圏各国に、財政危機に直面するギリシャなどを支援するための欧州金融安定化基金 (EFSF) の機能拡充などを着実に進める決意を確認すると言及。 日本は中長期的な財政再建や東日本大震災からの復興、米国は財政再建とともに雇用対策などの景気の下支え策に取り組んでいることに触れ、ユーロ圏各国に危機回避に向けた取り組みを促す内容だという。 同時に中央銀行の金融政策について、物価の安定を維持しつつ、経済回復を支えるとの役割に触れたうえ、金融市場の安定化に向けて全力で取り組む姿勢も打ち出しているという。 今回の G20 は、23 日の IMF (国際通貨基金)と世界銀行総裁会合に合わせ、緊急で開かれるため、当初は共同声明を出す予定はなかった。 しかし、22 日から急きょ、共同声明をまとめる作業に入ったという。 世界の株安連鎖などの金融市場の動揺を抑える狙いがあるとみられる。 (ワシントン = 寺西和男、asahi = 9-23-11) ◇ ◇ ◇ G20 を緊急開催へ 9 月下旬にワシントンで 9 月 23、24 日にワシントンで開かれる国際通貨基金 (IMF) と世界銀行の年次総会に合わせ、主要 20 カ国・地域 (G20) の財務相・中央銀行総裁会議が 22 日に急きょ開催されることが分かった。 欧米の政府債務問題が世界の金融市場を揺るがしており、対応策などを協議する見通しだ。 G20 の財務相・中銀総裁会議は 10 月 14、15 日にパリで開かれる予定だが、今年の議長国フランスが、その 3 週間前にも開くよう各国に要請した。 日本からも新財務相らが出席する方向だ。 9 月 9 日には主要 7 カ国 (G7) の財務相・中銀総裁会議がフランス・マルセイユである。 ここで欧米の政府債務問題などを話し合い、その内容を中国やインドなどの新興国を含む G20 でも共有し、各国に協力を求めるとみられる。 (asahi = 8-31-11) 35 兆円の米雇用対策、富裕層の増税で 政府が計画発表 米ホワイトハウスは 12 日、オバマ米大統領が 8 日に打ち出した総額 4,470 億ドル(約 35 兆円)の雇用対策の大半を富裕層への増税でまかなう計画を発表した。 野党・共和党が反対してきた増税案が多く含まれており、今夏に続いて米与野党の対立が再燃する可能性がある。 オバマ大統領は 8 日、給与税の半減など約 2,500 億ドルの減税と、道路や学校の補修など約 1 千億ドルの公共事業を柱とした雇用対策を発表した。 財源は「すべて捻出し、財政赤字は増やさない」としていたが、具体策を示していなかった。 ホワイトハウスは 12 日、雇用対策法案を米議会に提出するのを機に財源を明らかにした。 主な財源は、▽ 所得が 20 万ドル(約 1,500 万円)超の個人や 25 万ドル(約 1,900 万円)超の世帯に対する所得控除の削減などで 4 千億ドル、▽ ヘッジファンド・マネジャーへの優遇策の撤廃で 180 億ドル、▽ 石油会社などへの税制優遇の撤廃で 400 億ドル、など。 今後 10 年で、雇用対策額を上回る計 4,670 億ドルを確保するという。 (asahi = 9-13-11) ◇ ◇ ◇ 米、3 年で 35 兆円の雇用対策 オバマ大統領演説 オバマ米大統領は 8 日、雇用創出策と景気刺激策についての重要演説を行い、減税や公共事業を通じて、今後約 3 年で 4,470 億ドル(約 35 兆円)を投入する雇用対策を打ち出した。 給与税の半減などの減税で約 2,500 億ドル、道路補修などの公共事業で約 1,000 億ドルを投入するのが特徴だ。 米議会の協力をどの程度得られるかが今後のカギを握る。 (ワシントン = 尾形聡彦、asahi = 9-9-11) ◇ ◇ ◇ 米大統領、公共事業による雇用創出表明へ 減税延長も オバマ米大統領が、雇用創出や景気刺激策について打ち出す 8 日の重要演説で、社会的なインフラ整備などの公共事業を通じた雇用対策や減税延長などを盛り込む方針であることが 2 日、分かった。 オバマ政権高官が同日夜、朝日新聞の取材に明らかにした。 大統領は 8 日午後 7 時(日本時間 9 日午前 8 時)に米上・下院の合同本会議で演説を予定している。 合同本会議での演説は、毎年初めの重要演説である「一般教書演説」のほかは、2009 年に医療保険制度改革で演説して以来。 政権は強い意気込みで準備を進めている。 政権高官によると、オバマ大統領は、公共事業による早期の雇用創出などを米議会に直接呼びかける見通しだという。 高官は 2 日夜、公共事業の打ち出しの提案は、「詳細な内容になる」と語った。 また、今年末で期限切れとなる給与税の減税延長、米韓自由貿易協定 (FTA) などの両国間で合意に達しているものの議会による批准が遅れている各種貿易協定の早期発効などを、米議会側に強く働きかけたい考えだという。 (asahi = 9-3-11) 米 GDP 改定値、1.0% 増に下方修正 4 - 6 月期 米国の 2011 年 4 - 6 月期の実質国内総生産 (GDP) 成長率の改定値は、前期比 1.0% (年率換算)の低成長にとどまった。 経済情勢をくわしくみた結果、7 月末に発表した速報値の 1.3% より引き下げられ、米景気の減速が鮮明になった。 米商務省が 26 日発表した。 1 - 3 月期は 0.4% とマイナス成長に迫っており、4 - 6 月期はわずかに改善したが、低成長が続いた。 雇用が増えず、個人消費や住宅販売も伸び悩んでいる影響が大きい。 市場の予測では 1.1% ほどに引き下げられるとの見方が多かった。 市場では、リーマン・ショック後の景気後退のような「二番底」に陥るのではないかとの懸念が強まっている。 (asahi = 8-27-11) ◇ ◇ ◇ FRB 議長「米 GDP 減速、日本の震災影響」 米連邦準備制度理事会 (FRB) のバーナンキ議長は 7 日、ジョージア州アトランタでの講演で、今年 1 - 3 月期の米実質国内総生産(GDP、改定値)が年率換算で前期比 1.8% 増と、減速したことについて、日本の震災の影響が大きかったとの見方を示した。 バーナンキ議長は、FRB の金融政策については、労働市場の回復の遅れをなどから「緩和的な政策は依然として必要だ」と指摘。 国債購入を通じた大規模な追加緩和は 6 月末に終えるものの、その後も当面は現在の緩和的な金融政策を継続する考えを示した。 事前の講演テキストによると、バーナンキ議長は「日本での地震と津波に伴う部品供給網(サプライチェーン)の混乱が、経済活動を妨げた」と言及する見通しだ。 (ワシントン = 尾形聡彦、asahi = 6-8-11) 東アジア経済統合、日中が共同提案 自由化へ作業部会 日中両政府は 12 日、インドネシアで開かれた東南アジア諸国連合 (ASEAN) と日中韓 3 カ国の経済相会合で、関係国で物品や投資の自由化を検討する作業部会を作る提案をした。 東アジア地域の経済統合について、議論を進めるためだ。 東アジア経済統合を巡っては、「ASEAN + 3 (日中韓)」の枠組みを推す中国と、インドなどを含めた「ASEAN + 6 」を主張する日本が対立。 実質的な議論は進んでこなかった。 今回の提案で両国は、枠組みをめぐる議論は先送りすることで合意した。 (マナド = 福田直之、asahi = 8-13-11) NY ダウ暴落、512 ドル安 8 カ月ぶり安値水準 4 日のニューヨーク株式市場は、世界経済の先行き不安が高まり暴落した。 大企業で構成するダウ工業株平均は前日比 512.76 ドル (4.31%) 安い 11,383.68 ドルで取引を終えた。 終値としては今年の最安値を更新し、昨年 12 月 9 日以来約 8 カ月ぶりの安値水準となった。 1 日の落ち幅としては、680 ドル暴落した 2008 年 12 月 1 日以来、約 2 年 8 カ月ぶりの大きさとなった。 ダウ平均はこの 10 営業日で 1,300 ドル超下落した計算になる。 同日発表された 7 月 30 日までの一週間の新規失業保険申請件数の改善が鈍かった。 最近発表された他の消費や景況感に関する経済指標も低調で、米経済が急速に失速しているとの不安が高まった。 (asahi = 8-5-11) ◇ ◇ ◇ 米債務上限引き上げで合意 デフォルト回避 オバマ米大統領は 7 月 31 日(日本時間 1 日)、与野党との間で、米政府の「債務上限引き上げ」と「10 年で 2.4 兆ドル(約 185 兆円)の財政赤字削減」で合意したと発表した。 米上院と下院で 8 月 1 日にも法案を可決する見込み。 2 日までに上限を引き上げなければ、米政府の借金である米国債が史上初めて、利払いが滞る「債務不履行(デフォルト)」に陥る恐れがあったが、直前で回避される見通しになった。 オバマ大統領は「デフォルトを回避でき、米国に与えていた危機を終えることができる」と語った。 合意ではまず 0.9 兆ドルの財政赤字を削減する。 さらに米議会で超党派委員会を設け、税制や社会保障制度の改革などで 1.5 兆ドル分の追加削減を検討する。 債務上限は第 1 段階で 0.9 兆ドル幅、第 2 段階で 1.2 兆ドル幅を大統領権限で引き上げられるようにする。 これで 2012 年末までは必要資金を政府が借り入れできるようになる。 米国は政府の債務上限を議会が定めている。 昨年来の与野党対立で上限引き上げができないまま、今年 5 月に上限の 14.3 兆ドルに達した。 7 月 22 日には政権と野党・共和党の協議が決裂し、29、30 両日には与野党双方が提出した法案がそれぞれ否決された。 政権と与野党は 30 日午後から大詰めの協議をしていた。 米国の財政不安と政治の迷走を受け、金融市場では先週後半から世界的な株安が続いた。 ドルを売る動きも広がり、円相場は先週末には東日本大震災直後の戦後最高値(1 ドル = 76 円 25 銭)に近づく 1 ドル = 76 円 70 銭台まで円高が進んだ。 (ワシントン = 尾形聡彦、asahi = 8-1-11) ◇ ◇ ◇ 米債務上限上げ、合意できず アジア市場への影響必至 米債務上限引き上げをめぐるオバマ政権、与党民主党と野党共和党との協議は、目標にしてきた米東部時間の 24 日夕(日本時間 25 日朝)までの合意はできなかった。 世界の金融市場の混乱を避けるため、政権や共和党は、日本などアジア市場が開く前に一定の合意に達することをめざしていた。 米政権と議会は 24 日も引き続き協議を続けたが、同日夕になってもホワイトハウス、議会の双方から発表はなく、交渉に大きな進展はなかったとみられる。 米メディアによると、共和党側は債務上限について小幅の引き上げを主張しているのに対し、オバマ政権と民主党は、2012 年末までの政府の資金繰りをまかなえるように、比較的幅の大きい上限の引き上げを求めているという。 (ワシントン = 尾形聡彦、asahi = 7-25-11) 外国市場の円高巡り、為替介入を示唆 野田財務相 野田佳彦財務相は 24 日、広島市での民主党の会合で講演し、「マーケット(市場)や欧米の状況だって注意深く見守っていかないといけない。 必要があれば断固たる措置をしていきたい。」と述べ、外国為替市場での円高に対し、円売りの為替介入に踏み切る可能性を示した。 野田氏の発言は、米政府の債務上限引き上げをめぐる交渉が大詰めを迎え、円高が加速しかねないことを牽制したものだ。 東京外国為替市場の円相場は今月 14 日、約 4 カ月ぶりの円高水準となる 1 ドル = 78 円 45 銭まで上昇した。 (asahi = 7-25-11) ◇ ◇ ◇ 欧州の財政不安「世界経済の長期波乱要因」 日銀副総裁 日本銀行の山口広秀副総裁は 20 日、長野県松本市で講演し、欧州各国で高まる財政不安について、「長期間にわたって、世界経済の波乱要因であり続ける可能性が高い」と述べ、強い警戒感を示した。 山口氏は「近年は金融関連の取引が広く複雑に入り組んでいるため、金融市場のどこかに不安が発生すると、国際的な金融市場全体に不安感が広がってしまう」と指摘。 財政危機が心配されるギリシャなどの国債を持つ欧州金融機関に損失が出れば、世界各国に負の影響が広がりかねないとの懸念を示した。 さらに、「欧州から一見距離がある日本経済も、株安や円高を通じて混乱に巻き込まれる可能性がある」と、日本への波及のおそれについても言及した。 (asahi = 7-20-11) ◇ ◇ ◇ 円急騰、一時 78 円台 約 4 カ月ぶり 13 日早朝の外国為替市場で円相場が急騰し、一時 1 ドル = 78 円 50 銭台まで上昇した。 1 ドル = 78 円台をつけたのは今年 3 月中旬以来約 4 カ月ぶり。 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがアイルランドの格下げを発表。 欧州財政への懸念がさらに膨らみ、ユーロが売られるとともにドルに対しても円が買われた。 (山川一基、asahi = 7-13-11) ◇ ◇ ◇ ギリシャ財政再建関連法案を可決 債務不履行の危機回避 財政危機に陥っているギリシャは 29 日、追加の財政再建関連法案を国会で可決した。 欧州連合 (EU) が求めていた支援続行の条件がクリアされ、国際的な金融危機につながりかねない債務不履行の危険は、当面回避された。 法案は公務員削減など 2015 年までの 284 億ユーロ(3 兆 2 千億円)の緊縮策と、500 億ユーロ(5 兆 7 千億円)の国営企業の民営化が柱。 定数 300 の国会で、パパンドレウ首相率いる与党 155 人のうち 1 人が反対したが、野党の 1 人が賛成した。 反対は 138 人。 7 人が欠席・棄権した。 (アテネ = 前川浩之、asahi = 6-29-11) ◇ ◇ ◇ ギリシャ格付け世界最低 S & P、3 段階下げ「CCC」 米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ (S & P) は 13 日、ギリシャの長期国債格付けを B から 3 段階格下げし、CCC とした。 B マイナスのエクアドル、ジャマイカ、パキスタンなどを抜いて世界で最も低い水準になった。 S & P は「ギリシャは債務整理をする可能性が高まっており、それは我々の基準では債務不履行にあたる。 今後 12 カ月の間に債務不履行が起きるリスクが非常に高まっている。」とした。 格下げを受けてギリシャの 10 年物国債の市場金利は一時 17% を上回った。 ギリシャは欧州連合 (EU) と国際通貨基金 (IMF) から 1,100 億ユーロ(13 兆円)の緊急融資を受けているが、これでは不足するとみられ、20 日のユーロ圏財務相会合で追加支援を検討する。 ただ、ドイツから条件として返済繰り延べなどの投資家負担を求める声が出ている。 (ロンドン = 有田哲文、asahi = 6-14-11) |