東電 7,400 人削減案、政府報告書に盛る 社員の 14%

東京電力の原発事故に伴う賠償費用を捻出するため資産評価を進めている政府の「東電に関する経営・財務調査委員会」は、近くまとめる報告書に、2014 年 3 月末までにグループの社員約 5 万 3 千人の約 14% にあたる 7,400 人の削減を盛り込む方針を固めた。

委員には賠償資金を捻出し、電力料金の値上げを抑えるためには厳しいリストラが必要という意見が大勢だ。 人員削減は新規採用の抑制や早期退職、子会社の売却などで対応する。 企業年金も、今後の会社側の拠出額を減らすため、運用利回りを引き下げて支給額を減らす。 利回りを現役社員は年 2.0% から 1.5% へ引き下げるが、最高年 5.5% の OB は調整が難航している模様だ。 (asahi = 9-28-11)

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東電、企業年金を減額へ 数千人の人員削減も

東京電力が、社員や OB の企業年金の支給額を削減する方針を固めた。 人員も数千人規模で削減する。 原発事故の賠償問題で政府支援を受けたり、料金を値上げしたりするには、5 月に公表した合理化策を積み増して、世論の理解を得ることが必要と判断した。

企業年金は、給付額に影響する利回りを引き下げる方針だ。 現在は現役社員が年 2.0%、OB が最高で年 5.5%。 下げ幅は調整中だ。 引き下げには社員や OB の同意が必要となる。 約 3 万 7 千人いる社員(今年 3 月末時点)も、今後減らす。 ただ、当面は賠償支払いの業務に約 3 千人をあてるため、人員削減には数年かかる見通しだ。 1,100 人を予定していた来春入社の新卒採用は中止を決めている。 今後、希望退職を募ることも検討する。 (asahi = 9-17-11)


震災失業者の確定拠出年金、出しやすく 脱退要件緩和へ

東日本大震災で失業した人の確定拠出年金について、厚生労働省は、加入者が途中で脱退して積立額を引き出しやすくする方針を固めた。 本来は 60 歳まで受け取れないが、脱退の要件を大幅に緩め、年金資産が約 100 万円以下の人に認める方向だ。 被災者の生活再建を後押しするねらい。 秋の臨時国会に関連法案の提出を目指す。

確定拠出年金は、厚生年金や国民年金に上乗せされる私的年金の一種。 月々の掛け金が個人単位で管理され、離職・転職しても資産を引き継げる。 掛け金を事業者が払う「企業型」と、個人が払う「個人型」があり、全国で約 413 万人が加入する。 年金は原則 60 歳までもらえず、途中で脱退して年金資産を引き出すのにも、さまざまな制限がある。

たとえば、加入者の大半を占める企業型では、資産残高が 1 万 5 千円以下でないと引き出せないのが原則。 ただ、転退職で確定拠出年金に残れなくなる人(再就職で公務員になった人など)に限っては、残高が 50 万円以下や拠出期間が 3 年以下なら、両型とも引き出しが認められる。

これに対し、経済的に困った被災者から「年金資産をすぐ受け取りたい」との声が出ており、厚労省は、企業型で引き出しを認める対象を残高約 100 万円以下の人まで広げる方針。 個人型もこれに近い水準を検討している。 両型とも失業と自宅の損壊などを緩和の条件にする方向だ。 それ以外の人は脱退や部分的な取り崩しもできない見通し。

確定拠出年金は 2001 年の導入で歴史が浅く、加入者の平均資産残高は約 130 万円にとどまる。 岩手、宮城、福島の 3 県で、今回の緩和の対象者は数百〜数千人とみられている。 (小林豪、津阪直樹、asahi = 9-26-11)


民間給与、3 年ぶり増加 平均 412 万円

民間企業で働く人が昨年 1 年間に受け取った給与の平均は 412 万円で、前年より約 6 万円増えた。 国税庁の民間給与実態統計調査でわかった。 増加は 3 年ぶりだが、1989 年並みの水準という。 同庁によると、1 年を通じて働いた給与所得者は 4,552 万人で、前年より 46 万人増えた。 このうち、女性は前年より 37 万人増え、1,823 万人。 男女別の統計を取り始めた 78 年以来、最多だった。

給与総額は 187 兆 5,455 億円(前年比 4 兆 6,710 億円増)。 男女別の平均給与額は、男性が 507 万円、女性が 269 万円。 給与額の人数分布は、300 万円超 400 万円以下が 823 万人で最も多かった。 業種別の平均給与は「電気・ガス・熱供給・水道業」の 696 万円がトップだった。 (asahi = 9-19-11)


日立、全管理職に職務給導入 10 月から 9 千人対象

日立製作所は 10 月から、全管理職約 9 千人を対象に、ポストや仕事の成果で差をつける給与制度を導入する。 これまでは年功序列的な仕組みだったが、欧米では一般的な職務給や成果給の性格を強め、外国人や若手の幹部登用を加速させる。

現在の管理職(課長職以上)の給与は、仕事の経験期間などを基準に上がっていく社内資格をもとに決まっている。 このため、若手が管理職になっても給与は上がらなかった。 今回の制度変更では、給与の 3 割を部長や課長といったポストに応じて決まる職務給に変える。 また残り 7 割も、仕事ぶりの評価に応じて年 1 回の昇給額に最大 3 倍の格差をつける。 (asahi = 9-17-11)


失業手当、給付期間再延長へ 被災地の一部さらに 90 日

野田政権は15日、東日本大震災の被災地で働いていた人を対象とした失業手当(雇用保険)について、給付の特例延長期間を広げる方針を固めた。 5 月に震災特例措置として延長期間を従来の 60 日から 120 日へ広げたが、今回、被害が大きかった沿岸部などについて 210 日へ拡大する。

現在は給付日数が最も短い人は 10 月 14 日から失業手当が打ち切られることになっているが、今回の措置で一部地域では来年 1 月中旬まで受け取れるようになる。 失業手当は、離職時の年齢や雇用保険への加入期間、離職理由などに応じて給付日数(90 - 330 日)が決まる。

在職時の給与の 5 - 8 割を受け取ることができ、従来の制度では 60 日間の延長が認められている。 菅政権は 5 月、「特定被災区域」に指定した岩手、宮城、福島 3 県を中心とする被災地の事業所に勤める被災求職者について、特例で 60 日の延長期間を 120 日に広げた。 さらに、勤務先の事業所が休止・廃止となって賃金が受け取れない場合には、実際に離職していなくても給付の対象とする措置も取っている。

今回はさらに 90 日間延長するが、対象となるのは岩手・宮城・福島 3 県の沿岸部と、東京電力福島第一原発事故による警戒区域や計画的避難区域の自治体に限る。 内陸部は復旧が進んで雇用の改善がみられるためとしているが、10 月中旬に失業手当を受け取れなくなる人も出始める。 (asahi = 9-16-11)


日本の先生、働き過ぎ? 事務作業長く OECD 調査

日本の先生は先進国の中で勤務時間が長いことが、経済協力開発機構 (OECD) が 13 日に発表した調査結果から明らかになった。 ただ、長いのは授業ではなく、事務作業の時間。 負担が重い一方で給与は減る傾向にあり、教員の質を確保する手立てが課題になっている。

調査によると、日本の小学校の先生の勤務時間は、2009 年の時点で年間 1,899 時間。 データのある調査対象国 21 カ国の中で米国に次いで 2 番目に多かった。 ただし授業に費やす時間は 707 時間で、OECD 加盟国の平均を 72 時間下回っており、授業以外の事務作業などの時間が勤務時間数を押し上げていることがうかがえる。

一方で給与をみると、05 年の水準を 100 とした場合、平均は 7 ポイント上昇していたのに対し、日本は 5 ポイント下がっている。 OECD の調査担当者は「日本は仕事の負担は重いが、報酬は恵まれていない。 優秀な人材が集まり教員の質を上げるような対策が必要」と話す。 (asahi = 9-14-11)


最低賃金、平均で 7 円引き上げ 目安超す増額 27 県

今年度の最低賃金(時給)の改定額が全国の都道府県で決まった。 厚生労働省の 13 日の発表によると、全国の最低賃金の加重平均は昨年度から 7 円アップの 737 円となった。 厚労省の審議会が示した引き上げの目安は大半の地域で 1 円だったが、西日本を中心に、それを上回る引き上げ幅の県が相次いだ。

最低賃金は毎夏に、公労使で構成する中央最低賃金審議会が都道府県ごとの引き上げの目安を示し、それに基づいて各地方最低賃金審議会が具体的な額を決める。 その後、異議申立期間を経て 9 月末から 11 月にかけ正式に改定される。 最高は東京の 837 円、最低は岩手、高知、沖縄の 645 円。 その差は 192 円で昨年度から 13 円拡大した。

7 月に中央最賃審が示した目安では、最低賃金が生活保護水準を下回る 9 都道府県については原則、2 年以内に逆転を解消するよう求めた。 東京、埼玉、大阪、広島、兵庫、京都の 6 都府県は、今回の改定で逆転はなくなる。 東日本大震災の被災地の宮城は逆転解消に 8 円の増額が必要だったが、「震災被害で引き上げられる状況にない」と経営側が強く主張し、1 円にとどまった。

9 都道府県と目安が 4 円だった千葉、愛知県以外の 36 県では、引き上げの目安は震災の影響や景気の不透明感から 1 円とされていた。 これに対し鹿児島の 5 円をはじめ、4 円が 7 県、3 円が 10 県、2 円が 9 県と、計 27 県で目安を上回る増額を決めた。 (asahi = 9-13-11)


高卒の求人倍率 0.68 倍 震災影響、西高東低鮮明に

厚生労働省は 9 日、来春卒業予定の高校生の 7 月末時点の求人倍率が、全国平均で 0.68 倍となったと発表した。 前年同期比で 0.01 ポイント改善したが、依然 1 倍を下回る厳しい状況だ。 地域ごとにみると、東日本大震災や節電の影響などを受けた東日本で求人数、求人倍率ともに悪化が目立つ一方で、西日本では大半で改善しており、西高東低の傾向が鮮明になった。

高校生の就職活動は、ハローワークで受け付けた企業の求人情報が、高校を通じて生徒たちに公開される。 企業による採用試験は 16 日に解禁される。 求人倍率は就職を希望する高校生 1 人に対し何件の求人があるかを示す。 全国平均はリーマン・ショック後の 2009 年から 3 年連続で 1 倍を下回っている。 (asahi = 9-10-11)


過去の給食費滞納分も対象に 子ども手当からの天引き

厚生労働省は 8 日、10 月 - 来年 1 月分の子ども手当(来年 2 月支給)から導入される保育料や給食費の天引きについて、過去の滞納分すべての天引きを認める方針を示した。 ただし親の同意を条件とする。 地方自治体の担当者を集めた会議で明らかにした。

天引きの仕組みは、今年の通常国会に提出され、後に取り下げた政府案にも盛り込まれたが、天引き対象は、手当の支給対象期間に起きた滞納分と想定していた。 今回、給食費などの滞納に悩む自治体の要望を受けて、対象期間を限定しない方針に転換した。

また、滞納額が多い場合に、滞納している子どもの兄弟・姉妹分の手当からも天引きできるか、という自治体側の質問に対し、厚労省側は、親の同意があれば徴収を認める方向で検討する考えを示した。 (asahi = 9-8-11)

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子ども手当今年度限り 所得制限 960 万円児童手当復活

民主、自民、公明 3 党の政調会長は 3 日夜、子ども手当の見直しについて東京都内で協議し、(1) 9 月末に期限の切れる子ども手当を今年度末まで続けるための特別措置法案を今国会に提出する、(2) 来年度以降は自公政権時代の児童手当を復活・拡充させる - - ことで合意した。 所得制限は来年度から額面収入 960 万円程度とする方向だ。

3 党幹事長が 4 日に会談し、正式に合意する。 子ども手当を 9 月末まで続ける根拠となっている「つなぎ法」は廃止し、新たに特措法を制定。 今年度末までは子ども手当の仕組みを事実上維持し、来年度からは「児童手当法の改正を基本とする」ことを特措法案の付則に明記する。

現行の子ども手当は月額 1 万 3 千円。 10 月以降は、▽ 0 - 3 歳未満に 1 万 5 千円、▽ 3 - 12 歳の第 1、2 子に各 1 万円、第 3 子以降に 1 万 5 千円、▽ 中学生に 1 万円、をそれぞれ支給することで 3 党は合意済みだ。 来年度からの所得制限世帯について、減額支給するか、税額控除するかは引き続き協議する。 金額は月 9 千円程度を軸にする。 (asahi = 8-4-11)

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子ども手当減額へ 民主、公明案受け入れ 所得制限も

「子ども手当」の支給額を減額するなどの見直し法案が、今国会で成立する方向となった。 所得制限を設け、支給額を原則月額 1 万円に減らす公明党案を、民主党が基本的に丸のみする方針を固めたためだ。 民主党は 16 日に自民、公明両党と政調会長の協議を開始。 細部を詰める作業を急ぐ。

現行の子ども手当は、所得制限がなく、中学生まで一律月 1 万 3 千円支給されるが、法的根拠の子ども手当法の期限は 9 月末で切れる。 また、4 月 29 日の民自公 3 党合意では、子ども手当などの民主党マニフェストの修正が、赤字国債発行の特例公債法案の成立の前提条件の一つとされた。 このため、民主党は今国会の会期延長を前提に見直し法案成立を目指している。

見直しをめぐっては、公明党の坂口力元厚生労働相が、▽ 支給対象を年間収入 1,200 万円未満(例えば、専業主婦に子ども 2 人のサラリーマン世帯)に制限、▽ 支給額を中学生まで月 1 万円とし、3 歳未満と第 3 子以降の子どもは月 1 万 5 千円とする試案を作り、民主党の岡田克也幹事長ら政権幹部も理解を示している。 (asahi = 6-17-11)


「非正社員」の割合過去最高 「派遣切り」で派遣は減少

厚生労働省が 29 日発表した 2010 年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、民間企業で働く派遣やパートといった「非正社員」の割合は 38.7% だった。 3 年前の前回調査を 0.9 ポイント上回り、1987 年の調査開始以来の最高を更新した。 昨年 10 月初めの状況を、全国の従業員 5 人以上の 1 万 414 事業所と、従業員 3 万 3,087 人が答えた。

非正社員の内訳は、パートが前回比 0.4 ポイント増の 22.9%、契約社員が同 0.7 ポイント増の 3.5%、派遣社員が同 1.7 ポイント減の 3.0%、嘱託社員が同 0.6 ポイント増の 2.4%。 2008 年秋のリーマン・ショック後に起きた「派遣切り」の影響で派遣社員の割合は減ったが、定年後も 65 歳まで雇用を確保するよう義務付ける法律が 06 年に施行され契約社員や嘱託職員が増えた。 (asahi = 8-29-11)


就職したら「結婚のため貯金」 大学生、際立つ堅実志向

社会人になった後の一番のお金の使い道は「貯金」で、主な目的は「結婚資金」 - -。 就職支援会社の毎日コミュニケーションズが実施した学生への調査から、派手な消費より将来への備えを優先する堅実な若者像が浮かび上がった。 大学 4 年生ら 789 人に複数回答で聞いた。 「社会人になってお金をかけたいもの」は、「貯金 (62%)」が「旅行 (48%)」や「ファッション (39%)」を上回り、「家電・家具 (18%)」や「車 (16%)」に大差をつけた。

貯金の目的は文系男子を中心に「結婚資金 (23%)」が最多で、「なんとなく (18%)」、「入院など不測の事態に備えて (16%)」と続いた。 バブル崩壊後に幼少期を過ごし、もともと倹約志向が強い世代だが、調査担当者は「震災が拍車をかけ、将来に漠然とした不安を募らせている」と分析している。 (asahi = 8-29-11)


国保滞納者の差し押さえ急増、4 年で 5 倍 朝日新聞調査

国民健康保険(国保)の保険料を滞納し、財産を差し押さえられる世帯が増えている。 朝日新聞社が 19 の政令指定市と東京 23 区に聞いたところ、回答があった 37 市区の差し押さえ件数の合計が、2010 年度までの 4 年間で 5 倍に増えたことがわかった。 差し押さえた財産を換金するケースも急増。 雇用悪化を背景に国保料収納率の低下に歯止めがかからず、強制徴収が加速している実態が浮き彫りになった。

調査は 7 月、計 42 市区を対象に 06 - 10 年度の差し押さえ状況を聞いた。 仙台、京都両市と東京都渋谷区は 10 年度分について「未集計」、「非公表の段階」と回答。 大田、板橋両区は「古いデータが残っていない」と答えた。 残る 37 市区の差し押さえ件数は 06 年度、計 3,429 件だったが、10 年度は 4.96 倍の計 1 万 7,020 件に増加。 特に指定市の伸びが大きく、増加率は 6.6 倍に上った。

10 年度でみると、指定市では横浜(2,913 件)、福岡(1,745 件)、名古屋(1,254 件)の順に多く、北九州は 99 件だった。 23 区は杉並区の 943 件が最多。 差し押さえた財産の内訳は預貯金が 50% で最も多く、保険 (22%)、不動産 (15%) と続いた。 36 市区が回答を寄せた差し押さえ金額(滞納額)は総額 91 億 3 千万円。 4 年前に比べて 4.6 倍となった。 (asahi = 8-29-11)


介護施設半数「人手不足」 離職率 3 年ぶり悪化 昨年度

介護現場の人手不足感が再び強まっている。 23 日に公表された 2010 年度の介護労働実態調査によると、「職員が不足している」とする介護事業所は 50.3% と過半数に上り、前年度より 3.5 ポイント増加。 1 年間に辞めた人の割合を示す離職率は 17.8% で、3 年ぶりに悪化した。

昨年 10 月 1 日時点の状況について、厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」が調査。 全国の約 1 万 7 千事業所とそこで働く約 5 万 1 千人を抽出し、約 7,300 事業所、約 2 万人から回答があった。 ここ数年は政府が介護職員の処遇改善に力を入れた効果で改善傾向にあったが、同センターは「景気の回復に伴い、介護よりも待遇がいい他の仕事へ転職する傾向が再び強まっているのではないか」とみている。 (asahi = 8-24-11)


東北・関東の雇用、5 カ月連続減 = パートの圧縮目立つ - 厚労省

厚生労働省は 17 日、6 月の毎月勤労統計調査に関連して地域別の特別集計(従業員 30 人以上)を発表した。 それによると、東日本大震災に伴う原発事故で電力供給に不安を抱える「東北・関東」地域の労働者数は、前年同月比 3.2% 減の 1,106 万人。 マイナスは 5 カ月連続で、減少率はこの間で最大だった。 特にパートタイム労働者の減少が目立ち、企業が非正規雇用を圧縮している実態が浮き彫りとなった。

「東北・関東」を雇用形態別にみると、パートタイム労働者は 6.4% 減となり、月を追うごとに減少率が拡大している。 正社員などの一般労働者は 2.2% 減だった。 (jiji = 8-17-11)


国民年金後払い 10 年前分まで可能 衆院委可決

未納になっていた国民年金の保険料を、10 年前までさかのぼって払えるようになる。 こうした内容が盛り込まれた国民年金法などの改正案が、3 日の衆院厚生労働委員会で可決し、4 日の衆院本会議で成立する。 懸案の主婦年金の救済は、先送りが決まった。 国民年金の未納問題が深刻なため、改正案は無年金や低年金を防ぐ狙いがある。 3 日の委員会では共産党を除く与野党が賛成。 来年 10 月から実施予定で、3 年間限りの特例になる。

国民年金の保険料は原則毎月払う必要があり、現行では直近 2 年分しかさかのぼって払えない。 例えば、保険料をこれまで 14 年分しか納めていない 58 歳の場合、直近 2 年分と、60 歳になるまで保険料を納めても年金はもらえない。 払った期間が通算 25 年に達しないためだ。 70 歳まで払える任意加入制度もあるが、65 歳ではもらえない。

今回の改正では、こうした人も年金を受け取る資格を満たせるよう、後払いできる期間を直近 10 年まで延ばす。 すでに通算 25 年以上払っている人も、未納分があれば過去 1 カ月分後払いするごとに年金額は毎月約 140 円増える。 ただ、後払いを無期限に認めると、かえって保険料を納めない人が増える懸念もある。 そこで、与野党の修正協議で 3 年限りの特例となった。 (asahi = 8-3-11)


学童保育、2 万カ所突破 被災地では 7 カ所再開できず

共働き家庭の小学生などが放課後を過ごす放課後児童クラブ(学童保育)が、初めて 2 万カ所を超えた。 全国学童保育連絡協議会が東日本大震災で大きな被害を受けた 34 市町村を除いて集計。 5 月 1 日現在で 2 万 204 カ所あり、1 年間で 667 カ所増えた。 利用児童も 2 万 2,901 人増え、81 万 9,622 人に。 潜在的な需要が大きいとして、菅政権は 2017 年度に 129 万人を受け入れる目標を掲げている。

一方、34 市町村についても調査したところ、36 カ所が被災により利用できなくなっていた。 昨年 5 月 1 日時点では 207 カ所あり、5 分の 1 程度にあたる。 ほかに利用できなくなっていた 15 カ所を含めた 51 カ所のうち、7 カ所は再開できず、残りは図書館など別の場所を活用したり、他のクラブと合同で開いたりしている。 (asahi = 8-2-11)


夏のボーナス 2 年連続増の 79 万円 経団連、大企業集計

経団連が 28 日発表した大企業の夏の賞与調査(最終集計)によると、組合員 1 人あたりの平均妥結額は前年同期比 4.42% 増の 79 万 1,106 円だった。 増加は 2 年連続。 東日本大震災前までの景気回復で、製造業が同 6.96% 増の 79 万 3,030 円だった。 一方、非製造業は同 2.45% 減の 78 万 5,008 円と 4 年連続で減少した。 調査対象は東京証券取引所第 1 部上場企業が中心で、従業員 500 人以上の 19 業種 158 社。 (asahi = 7-28-11)

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5 月の賞与、大幅アップ 震災対応で慰労? 給与は 1% 増

厚生労働省が 5 日発表した 5 月の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給や残業代、賞与を含めた現金給与総額は前年同月比 1.1% 増の平均 27 万 1,621 円だった。 基本給や残業代はやや減ったが、震災対応への慰労金とみられる賞与が大幅に増え、3 カ月ぶりに前年水準を上回った。

基本給が前年同月比 0.4% 減の 24 万 2,975 円、残業代が同 3.3% 減の 1 万 7,159 円。 震災による電力不足や、自動車部品などの供給網が寸断された影響で、工場や飲食店を中心に残業が減った。 賞与は同 67.7% 増の 1 万 1,487 円。 なかでも建設業は 3.5 倍の 2 万 7,412 円、情報通信業は 86.7% 増の 4 万 1,400 円だった。 両業種とも震災復旧に伴って残業などが増えており、賞与にも反映されたとみられる。 (asahi = 7-5-11)


介護保険費用、10 年で倍に 09 年度 7 兆 4 千億円

2009 年度の介護保険費用の総額が 7 兆 4,306 億円となり、初めて 7 兆円を超えた。 08 年度に比べて 6.9% 増加。 制度が始まった 00 年度は 3 兆 6 千億円余だったが、10 年間で 2 倍に達した。 厚生労働省が 29 日に公表した介護保険事業状況報告でわかった。

利用者負担(原則 1 割)を除く公費と保険料の負担も前年度より 7.1% 増え、計 6 兆 8,721 億円だった。 厚労省は「09 年度の介護報酬増額 (3%) が影響した」とみている。 09 年度末の要介護認定者数は 485 万人で、1 年間で 17 万人増加。 1 カ月あたりの介護サービスの利用者は 393 万人で、前年度より 4.2% 増えた。 (asahi = 7-3-11)

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改正介護保険法が成立 24 時間対応の新サービス導入

改正介護保険法が、15 日の参院本会議で可決され、成立した。 介護が必要な人の在宅生活を支えるため、24 時間対応の新たな訪問サービスを導入することが柱。 保険料上昇を抑える目的で、都道府県の基金を取り崩せるようにもなる。 介護保険は、原則5年ごとに制度を見直すことになっている。 今回の改正では、介護が必要な人も住み慣れた地域で暮らせるような態勢づくりを図る。

新訪問サービスでは、看護師やヘルパーが定期的に巡回するほか、緊急時の通報にはオペレーターが対応することで、24 時間対応をめざす。 特別養護老人ホームの入所待ちは 2009 年度末で 42 万人に上るが、在宅生活を促すことで待機者を減らす狙いもある。 (asahi = 6-15-11)


3 県含む今春大卒就職率、91.0% 「氷河期」下回る

文部科学省と厚生労働省は 1 日、今春卒業した大学生の就職率が 91.0% だったと発表した。 5 月の発表では、東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島各県を除き 91.1% としていたが、3 県を含めた結果、0.1 ポイント下がった。 「就職氷河期」と呼ばれた 2000 年春を下回り、統計を取り始めた 97 年以降で最低となった。

地域別に見ると、北海道・東北は前年比 0.1 ポイント減の 89.2%。 関東 (92.7%)、中国・四国 (91.5%)、近畿 (91.4%) より低かったが、九州 (88.2%)、中部 (89.0%) をわずかに上回った。

北海道・東北地方の就職率について、文科省の担当者は「2 月時点では前年より好調だったが、震災の影響でマイナスに転じたのではないか」と話している。 (asahi = 7-1-11)

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被災地の高校求人、落ち込む 昨年比、福島では 4 割減

来春卒業する高校生向けの求人の出足が、東日本大震災の被害が特に大きかった福島県で昨年より 4 割減、宮城県で 3 割減と大きく落ち込んでいることが 1 日、わかった。 ハローワークで受け付けを開始した 6 月 20 日から 5 日分の求人を各労働局が集計した。 沿岸部だけでなく内陸部も大半の地域で減少しており、被災地の高校生の就職環境は厳しくなりそうだ。

求人は 1 日、全国のハローワークを通じて高校側に公開された。 高校の教員は今後、その求人票をもとに生徒の進路相談に乗る。 企業の採用試験は例年、9 月 16 日に解禁される。

5 日間で受け付けた福島県内の求人は 297 人分で昨年同期の 504 人分から大きく減った。 東京電力福島第一原発の事故による警戒区域が管轄のハローワーク相双では、昨年の 62 人が 3 人になった。 福島労働局の担当者は「原発事故の復旧のメドがつかず、地域の復興ビジョンも描けないうちは企業も採用計画をたてづらいのだろう」と話す。 (asahi = 7-1-11)

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今春の大卒就職内定率 91%、過去最低

今春卒業した大学生の就職内定率は 91.1% で、統計を取り始めた 1997 年以降で最低だった。 文部科学省と厚生労働省が 24 日発表した。 東日本大震災で被害の大きかった東北地方の大学は調査対象に含まれておらず、実態はさらに低い可能性がある。

前年より 0.7 ポイント悪化し、「就職氷河期」と呼ばれた 2000 年春と並んだ。 不況に加え、震災後に企業が新規採用を絞り込んだことも影響したと見られる。 文科省の推計によると、今春の大学卒業生は約 55 万 5 千人。 37 万人が就職を希望したが、うち 3 万 3 千人が就職できなかったと見られる。 (asahi = 5-24-11)

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大学生の就職内定率 8 割切る 震災で取り消し多発の恐れ

今春卒業予定の大学生の 2 月 1 日時点の就職内定率は、前年同期比 2.6 ポイント減の 77.4% で過去最低だった。 東日本大震災による企業業績の悪化で内定取り消しが多発するおそれがあり、文部科学省は全国の大学を通じて実態調査を始めた。 一方、高校生の 1 月末時点の内定率は 83.5% で、前年同期比 2.4 ポイント増。 高校生は地元中小企業への就職が多く、「被災地では大学生以上に取り消しが出るのでは」との懸念が出ている。

文科省と厚生労働省が 18 日発表した。 大学生の内定率が 2 月 1 日時点で 8 割を切ったのは、比較可能な調査が始まった 1999 年度以来、初めて。 就職希望者のうち、卒業が目前に迫っても就職先が決まらない大学生が推計で約 9 万人いることになる。 男子は前年同期比 1.2 ポイント減の 78.9%、女子は同 4.2 ポイント減の 75.7% だった。

地域別にみると、全国 6 地区のうち、▽ 北海道・東北だけが前年同期と比べて数字が上がり、同 0.5 ポイント増の 78.3%。 ほかの地域は、▽ 関東 79.9%、▽ 中部 70.7%、▽ 近畿 80.3%、▽ 中国・四国 76.3%、▽ 九州 70.5%。

今春卒業予定者の内定率は、昨年秋からの調査で過去最低の数字が続いていたが、ハローワークが中小企業の求人開拓に力をいれるなどした結果、昨年同期 (80.0%) との差は 2.6 ポイントまで縮小。 文科省内では震災前、今年 4 月 1 日時点の内定率が昨年同期の 91.8% を上回るとの見方が出ていたが、震災後は「最終的には厳しい数字になるだろう」とみられている。

高校生の内定率は、集中的な就職支援策の効果もあり前年同期を上回ったが、厚労省は震災で地元企業の倒産や内定取り消しが発生するとみており、文科省同様、情報収集や対応策の検討を始めた。 国公私立高校の全日制と定時制に通う生徒で就職を希望しているのは 16 万 3 千人(前年同期比 1.3% 増)で、このうち 1 月末時点で内定したのは 13 万 6 千人(同 4.2% 増)。

内定率は男子が 87.0% (同 2.3 ポイント増)、女子は 78.7% (同 2.2 ポイント増)だった。 都道府県別で高いのは、▽ 富山 95.3%、▽ 石川 94.4%、▽ 福井 93.6%。 一方、低いのは、▽ 沖縄 55.6%、▽北海道 66.8%、▽宮城 70.9% だった。 (青池学、横田千里、asahi = 3-18-11)

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大卒の就職内定率 68.8%、過去最低 12 月 1 日時点

今春卒業を予定している大学生の昨年 12 月 1 日時点の就職内定率が 68.8% と、調査が始まった 1996 年以降で最低となったことが 18 日、文部科学省と厚生労働省の調査で分かった。 7 割を下回ったのは初めて。 調査は全国の国公私立大 62 校を抽出し、就職希望者に対する内定者の割合を調べた。

男子は前年同時期より 2.9 ポイント減の 70.1%、女子は 5.8 ポイント減の 67.4% で、いずれも過去最低を更新した。 文系は 3.7 ポイント減の 68.3%。 「就職に有利」とされてきた理系でも 7.3 ポイント減の 71.3% で、文理別でも最低を記録した。 地域別でみると、6 地区中、北海道・東北を除く 5 地区が下落。 中部が 8.0 ポイント減の 61.7% で、落ち込みぶりが際立っている。 関東は 4.3 ポイント減の 72.1%。 (asahi = 1-18-11)


共通番号制の大綱決定 名称は「マイナンバー」

菅政権の政府・与党社会保障改革検討本部(本部長・菅直人首相)は 30 日、国民一人ひとりに番号を割りふって所得や社会保険などの個人情報を管理する「社会保障・税の番号制度」の大綱を正式決定した。 番号の名称は「マイナンバー」で、2015 年 1 月の導入を目指し、今年秋の臨時国会にも法案を提出する。

共通番号は、消費税率を引き上げた後の低所得者対策に所得の正確な把握が不可欠になるとして、菅政権が「税と社会保障の一体改革」と共に制度設計してきた。 一つの番号で様々な情報を結びつけることで、課税や給付の漏れを防いで公平感を高めたり、住民票など手続き時の書類を減らしたりする狙いがある。

共通番号を使うのは、年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務の 6 分野。 このほか東日本大震災のような大災害時には、預金の払い戻しや保険金支払いなどにも使えるようにする。 18 年をめどに利用分野の拡大も検討する。 (asahi = 6-30-11)


高齢者の職増やし消費底上げ 20 年に 17 兆円増試算

経済産業省は「長寿社会における成長戦略」を策定する。 高齢者が働ける場を増やすことで心身の健康を保ってもらい、医療費などの社会保障給付を抑制。 高齢者の消費意欲を高める商品やサービスの開発を促し、消費の底上げを狙う内容だ。 高齢者による消費増の効果は 2020 年に最大 17 兆円とみている。

経産省はこの戦略を 29 日の産業構造審議会で正式に決め、7 月に予定される政府の新成長戦略実現会議の議論に反映させたい方針だ。 経産省の試算では 10 年に 284 兆円だった国内消費市場は、現状のままだと 20 年になっても 287 兆円と横ばいにとどまるが、成長戦略の実施で高齢者の消費は 17 兆円拡大、雇用は約 230 万人増えると見込む。 (asahi = 6-25-11)


経団連、政権の税と社会保障改革案を批判

日本経団連は 15 日、菅政権が 20 日にまとめる予定の消費増税と社会保障の一体改革案について、「多くの課題を残している」と厳しく批判する意見を公表した。 消費増税分を社会保障にあてる方針は評価したが、現役世代や企業の負担増に関し、真剣な議論をしていないという、経済界のいら立ちを反映している。

たとえば社会保障費の保険料負担。 労働人口が減るなかで、個人と企業の負担がどれほど増えるかの見通しは示されていない。 高齢者医療制度でも、経団連は税負担の割合を 7 割にすべきだと主張しているが、政府は具体的な数値を出さなかった。 (asahi = 6-15-11)


定年、65 歳まで延期求める 厚労省研究会が報告書案

厚生労働省の「今後の高年齢者雇用に関する研究会」は 7 日、年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、企業に義務付けている定年を現在の 60 歳から 65 歳に延ばすよう求める報告書案をまとめた。 厚労相の諮問機関である労働政策審議会に今秋、提出し、来年の通常国会で高年齢者雇用安定法の改正を目指す。

会社員が加入する厚生年金は 2001 年度から、支給開始を 60 歳から 65 歳へと段階的に引き上げている。 13 年度以降は、定年後も働けないと無年金・無収入になる期間が発生する人が出始める。 そのため、年金を受け取るまでの雇用確保が課題となっている。

研究会は報告書で、定年延長の時期について、(1) 基礎年金にあたる定額部分の支給開始が 65 歳になる 13 年度に、定年も 65 歳にする、(2) 現役時代の収入に応じた報酬比例部分の支給開始が 13 - 25 年度にかけて段階的に引き上げられるのに合わせ、定年も段階的に引き上げる - - ことを提案する。 (asahi = 6-8-11)


所得比例年金の保険料率 15% 民主の社会保障改革案

消費増税と社会保障の一体改革に向けた民主党の社会保障改革案が、明らかになった。 焦点の新しい年金制度では、払った保険料に応じて支給される所得比例年金の保険料率を 15% に設定。 すべて税金で賄う最低保障年金と組み合わせ、誰もが 7 万円以上の年金を受け取れる構想を掲げる。

民主党の抜本改革調査会(会長・仙谷由人代表代行)が 26 日に正式決定し、30 日に開かれる菅政権の「集中検討会議(議長・菅直人首相)」に提出する。 サラリーマンの年金保険料は、現行では 2017 年度以降は 18.3% (労使合計)で固定。 新年金でも会社と折半する。 遺族年金や障害年金も設け保険料を上積みする考えで、現行と同程度の水準になりそうだ。 (asahi = 5-26-11)


大卒求人倍率、悪化 1.23 倍 中堅・中小が回復せず

リクルートが 24 日発表した 2012 年 3 月卒業予定の大学生・大学院生に対する民間企業の求人倍率は、「超就職氷河期」といわれた 11 年卒を 0.05 ポイント下回る 1.23 倍となった。 08 年秋のリーマン・ショックで大きく落ち込んだ企業の採用意欲は、依然として中堅・中小企業を中心に回復感に乏しく、今後、東日本大震災の影響が深まれば、さらに落ち込む可能性もある。

調査は 2 月下旬に始め、震災をはさんで 3 月末まで実施。 従業員 5 人以上の 4,251 社、学生 7,528 人から回答を得て、全体の就職希望者数と求人数を推計した。 就職希望者は前年比 0.2% 減の 45 万 5 千人。 これに対し求人数は 3.8% 減の 56 万人と予測。 求人倍率は、比較できる 1987 年 3 月卒以降で、5 番目の低水準になる。

求人を減らしたのは中堅・中小企業だ。 従業員 1 千人以上の大企業の求人総数が 4.9% 増と 3 年ぶりに増えた一方、1 千人未満の企業は 6.7% 減と 3 年連続で減少。 対象企業の約 7 割は震災前に回答しており、求人減の理由には業績低迷が多く挙がった。 (asahi = 5-25-11)

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12 年春の新卒採用「増やす」倍増 100 社アンケート

2012 年春の新卒者採用計画について、朝日新聞社が主要 100 社を対象に行った調査で、採用を「増やす」という企業数が、「減らす」という企業数を 3 年ぶりに上回った。 東日本大震災後も大半の企業が採用計画は変えないと答えたが、今後の景気の落ち込みによっては見直す企業も出てきそうで、就職戦線は不透明感が強まっている。

調査は当初、2 月下旬に始め、3 月上旬に終える予定だった。 だが 3 月 11 日に大震災が発生したため、計画に変更がないかを再度、3 月下旬までに確認した。 その結果、調査時点で計画を変更すると答えた企業はなかった。 多くの企業ではバブル崩壊後に新卒採用を抑制した結果、その後の景気回復期に人材不足に陥った苦い経験があり、「非常時でも一定数を採用したい(東レグループ)」という思いは強いとみられる。

回答は「前年並み」が 39 社(前年 48 社)で昨年に続いて最も多かったが、「増やす」が 29 社となり、前年(15 社)の約 2 倍になった。 逆に「減らす」は前年(21 社)から半減し、12 社に。 「未定」は 20 社だった。

「氷河期」といわれた過去 2 年より採用意欲が上向いたのは、08 年秋のリーマン・ショック後の経済低迷で落ち込んだ業績が回復傾向を示していたことが大きい。 「新興国での事業拡大に向けた態勢強化(三菱電機)」など、成長分野に手厚く人員を配置しようとする動きも増えていた。

ただ、震災による生産設備の損壊や原発事故に伴う計画停電の影響で、各社の事業活動は当面、停滞を余儀なくされそうだ。 業績が大きく下振れする可能性もあり、すかいらーくと三越伊勢丹ホールディングスの 2 社は、現時点では 12 年春の採用計画に変更はないものの、「今後見直す可能性はある」とした。

すかいらーくは、東北の店舗に食材を供給していた工場と店舗二十数店が被災。 「事業計画全体が狂った。 採用も減らす方向で検討することになるだろう。(広報)」という。 そうした声は計画見直しに言及していない企業からも出ている。 ある自動車大手の担当者は「とりあえず計画に沿って選考を始めるが、最終的な採用数は未知数。」 電機大手の担当者も「生産回復が優先で、新卒採用まで考えが及んでいないのが実情」と漏らす。

被害の長期化が予想されるなか、「適正な採用規模を見通せなくなる企業が増えるのではないか。 採用を計画より抑える動きが広がる可能性がある。(大手就職情報会社)」との見方もある。 一方、被災地の学生への配慮から 21 社は面接などの選考活動の開始を例年の 4 月から 5 月、27 社は 6 月に遅らせるとした。 4 月から始めると答えた 39 社も「被災地の学生向けに夏採用枠を設ける(ローソン)」といった柔軟な対応をとるとしている。 (本田靖明、asahi = 4-5-11)