働く女性、過去最多の 2,329 万人 男女賃金格差は拡大

厚生労働省が 20 日発表した「働く女性の実情(女性労働白書)」によると、2010 年の女性の雇用者数は年平均で前年比 0.8% 増の 2,329 万人となり、過去最多になった。 結婚や出産の後も働く女性が増えたものの、非正規雇用が主流のため、男女間の賃金格差は広がっている。

総務省が毎月発表する労働力調査のデータをもとに算出した。 既婚女性の就業率は 25 - 29 歳が 50.4%、30 - 34 歳が 52.0% で、10 年前と比べて、それぞれ 10 ポイントほど増えた。

産業別では、医療・福祉が前年比 5.2% 増の 483 万人、卸売業・小売業が 0.4% 増の 477 万人。 雇用形態別では、パートやアルバイトといった非正規雇用が 1.8% 増の 1,218 万人だったが、正規雇用は前年と同じ 1,046 万人だった。 男性のフルタイム労働者の賃金を 100 とした場合、女性は 69.3 で前年より 0.5 ポイント減少した。 (asahi = 5-20-11)


被災 3 県の失業者 10 万 6 千人 今後も増える見込み

厚生労働省の今月 13 日時点の集計によると、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県の失業者数は計 10 万 6,461 人に達した。 集計方法が違うため単純に比較できないが、3 県の労働局のまとめでは先月下旬時点で計約 7 万人だった。 把握しきれていない失業者も多いとみられ、今後も数は増えそうだ。

3 県で、震災発生翌日の 3 月 12 日から今月 13 日までに交付された離職票・休業票の数を、厚労省がまとめた。 離職票・休業票は、失業者が失業手当の受給手続きのために勤め先から交付を受ける書類で、地震や津波の被害が大きかった地域では、まだ準備に手がまわらない事業主もいるとみられる。

県別では岩手が 2 万 2,853 人、宮城が 4 万 6,194 人、福島が 3 万 7,414 人。 合計では前年同期の 2.4 倍に上る。 同じ期間に実際に失業手当の受給が決まったのは 6 万 4,389 人で前年同期の 3 倍だった。 これらの数字には、農業や漁業などの個人事業主の失業者は含まれていない。 (asahi = 5-18-11)

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震災理由の解雇や派遣切り 労組が電話相談

東日本大震災を理由とした解雇や派遣切り、賃金補償のない休業などが今後増える可能性があるため、労働組合が相次いで緊急の電話相談窓口を設置する。

全労連は 28 日午前 10 時から午後 6 時まで「大震災・緊急労働相談 110 番」を実施する。 電話番号は 0120・378・060 で全国からの相談に対応する。 個人加入できる「全国ユニオン」も 30 日と 5 月 1 日、「雇用を守る震災ホットライン」を行う。 両日とも午前 10 時から午後 8 時までで、電話番号は 050・5808・9835。 (asahi = 4-26-11)

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震災原因の内定取り消し、218 人 厚労省発表

厚生労働省は 15 日、東日本大震災の影響で内定を取り消された人が 218 人になったと発表した。 13 日までに事業所から全国のハローワークに寄せられた通知をまとめた。 前回集計の 6 日時点から 45 人増えた。

地域別では、福島県が前回集計より 14 人増えて 22 人に。 福島第一原子力発電所の事故処理が続いており、事業の継続や再開の見通しが立たない企業が多いとみられる。 岩手県は 2 人増の 49 人、宮城県は 4 人増の 24 人。 東京都は 71 人で前回集計と変わらなかった。

入社時期を繰り下げた事業所は前回集計より 59 増えて 140 になり、1,481 人が自宅で待機するなどしている。 厚労省の担当者は「被災地には行方が分からない経営者も多く、内定取り消しの件数はさらに増えるだろう」とみている。 (asahi = 4-16-11)


最低保障年金「年収 600 万円超は支給なし」で最終調整

菅政権が検討している新しい年金制度で、新設される最低保障年金は現役時代の平均年収が 600 万円以下の人を対象にすることになった。 民主党と厚生労働省が最終調整。 6 月末に菅政権がまとめる消費増税と社会保障の一体改革に盛り込まれる方向だ。

民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」では、月額 7 万円の満額を支給するのは、現役時代の平均年収が 300 万円以下と限定。 年収がそれを超えると減額し、600 万円超で支給額をゼロとする方針を固めた。 これを受けて、厚労省は財源の試算を始めた。,/p>

最低保障年金は、民主党が 2003 年のマニフェストから考え方を打ち出しているもので、年金改革の柱になる。 支給範囲では、07 年に当時の小沢一郎代表が「年収 600 万円前後まで満額、1,200 万円超は支給なし」との考えを提案。 ただ、「大半の人に支給することになり、必要財源が巨額になる(厚労省幹部)」として断念している。

現行の基礎年金(満額月 6 万 6 千円)は加入者だけが対象で、財源は税と保険料で折半する仕組み。 一方、最低保障年金はすべて税金を財源とし、ほとんど収入がなかった人も含む低所得者に支給するため、年収 300 万円超の所得層の多くは年金支給額が減る見通し。 財源は、基礎年金より 5 兆円程度増えそうだ。

新年金制度は、2015 年度の移行開始を目指す。 当面は現行制度の見直しから手をつけ、徐々に移行させていくため、新制度が完成して月額 7 万円の最低保障年金が支給されるのは開始から 40 年後になる。 そのため、民主党の調査会は議論を封印し、制度設計の先送りも検討。 だが、年金の具体案を示さないと与野党協議の実現がさらに難しくなるため、近く具体案をまとめることとした。

最低保障年金に対しては、野党から「今より多くの税金を使い、多くの人の年金を減らす仕組みを導入する必要があるのか(厚労相経験者)」との批判も出る。 民主党内にも慎重論があり、与野党協議の実現性は不透明だ。 (山田史比古、asahi = 5-15-11)


社会保障改革、「世代間公平」打ち出す 厚労省案公表

菅政権が 6 月末にまとめる消費増税と社会保障の一体改革に向けて、厚生労働省は 12 日、社会保障改革案を公表した。 高齢者だけでなく、子育てや就労などで現役世代へのサービスも充実させる「世代間公平」を目指す。 ただ、焦点の年金制度改革などの具体案の提示は先送りされた。

12 日の「集中検討会議(議長・菅直人首相)」で、細川律夫厚労相が示した。 検討会議は必要な財源規模も示した社会保障改革案を 5 月末に取りまとめる。

社会保障給付費の 7 割は、年金や介護など高齢者向けの制度が占める。 一方、財源の多くは現役世代が負担する保険料や借金に頼ってきた。 そこで厚労省案では、雇用不安を背景に「現役世代が不安、負担感を強め、社会保障への不信感も高まっている」と分析。 若い世代がメリットを実感できる制度を充実させ、「全世代対応型」に転換する考えを打ち出した。

「妊娠期から学齢期までの切れ目のない一貫したサービス」など子育て支援策や、職業教育の充実など就労支援策を前面に提示。 低所得者対策では、医療や介護、子育てなど各制度にかかる自己負担の総額に、所得に応じた上限を定める「利用者負担総合合算制度」の導入を検討する。

一方、民主党の看板政策だった年金制度改革では、会社員と公務員の年金の一元化や厚生年金の適用拡大など現行制度の見直しを優先。 医療や介護で必要に迫られている給付と負担のバランスの見直しについては、「給付の重点化」「高齢世代と現役世代の公平な負担」と記すにとどめた。 (asahi = 5-12-11)


内々定者の辞退増・採用の長期化 … 震災、悩む人事担当

内々定の辞退者が多く出ないか心配だ。 採用活動が長期に及びかねない - -。 2012 年春入社の新卒者採用に向け、企業の人事担当者がこんな不安を強めていることが、毎日コミュニケーションズの調査でわかった。 調査は 4 月上旬、東日本大震災の新卒者採用への影響について、東京に本社を置く企業の人事担当者 315 人に聞いた。 被災地の学生への配慮などから、選考開始時期を例年の 3 月や 4 月から、5 月や 6 月に遅らせたという回答が約 4 割を占めた。

採用上の不安点について最も多かったのは「内々定者の歩留まり率(入社する割合)」。 各社の選考時期が分散し、学生が入社試験を受けられる企業が増えたため、内々定を出しても囲い込みが難しくなるのではとの不安があるようだ。 「面接や試験への参加者の減少」、「(他社に流れた学生の枠を補充するための)採用活動の長期化」がこれに続いた。

新卒選考の開始時期をめぐっては昨年来、学業に専念できる時間を増やすために遅らせるべきだとの意見が浮上。 一部の業界から反発の声が上がるなど、議論が活発化した。 毎日コミュニケーションズの担当者は「足並みがばらついた状態で進む今年の採用戦線は、選考開始時期の議論を深める試金石となるのでは」と話す。 (本田靖明、asahi = 5-9-11)


社会保障負担に上限案 所得に応じ軽減図る 厚労省

医療や介護、子育てなどにかかる自己負担の総額に、所得に応じた上限を定める新しい仕組みづくりが検討されていることがわかった。 制度間の縦割りをなくし、より経済力に応じた負担軽減策を打ち出す狙い。 厚生労働省の社会保障改革案に盛り込まれ、6 月末にも菅政権が取りまとめる「税と社会保障の一体改革」の方針に反映される。

医療保険の窓口負担や介護保険の利用者負担には、それぞれ制度ごとに所得層別の上限がある。 保育所の保育料も、所得に応じて設定されている。 今回検討している新たな仕組みでは、こうした社会保障サービスを利用する際に支払う額を合算した総額に対して上限を設定。 上限額は所得によって段階を設け、上限を超えた分を公費などで補う考えだ。

厚労省の改革案では、「利用者負担総合合算制度(仮称)」と明記。 実現には、各世帯の所得を把握する必要がある。 このため、2015 年に導入する予定の「社会保障と税の共通番号制度」の定着後に実施をめざすことになる。

また、低所得者対策のため、医療費の窓口負担が一定額を超えると払い戻される高額療養費制度を見直す。 現在、所得層によって上限額が 3 段階に分けられているが、区分を増やしたうえで低所得者層の上限額を引き下げる。 逆に高所得者層の上限額を引き上げることで、財源を捻出する。

一方、膨れ続ける社会保障費を抑えるため、サービス利用時の自己負担の範囲を広げる方策も検討。 年金では、高所得者の基礎年金を減額する案も出ている。 民主党が検討中の改革案も踏まえ、厚労省は 5 月中旬に社会保障改革案を「集中検討会議(議長・菅直人首相)」に提出する。 (asahi = 4-25-11)


日航、無給の休職者募集 震災で減便、コスト削減狙う

日本航空は 5、6 月に無給で休職する社員を募る。 パイロットをはじめ全職種を対象に、1 カ月単位で休んでもらう。 東日本大震災で一時的に減便しており、月 100 人程度の休職でコストを削る。 7 月以降は便数の回復などを見て決める。 (asahi = 4-6-11)


「負担増でも社会保障充実を」 47% 朝日新聞世論調査

年金など社会保障のあり方について、朝日新聞社が実施した郵送による世論調査によると、日本が目指す方向は「負担が増えても社会保障を維持・充実させる」が 47% と、「保障の水準が下がっても負担を軽減する」の 36% を上回った。 消費税増税について「社会保障財源確保のため」として聞くと、賛成が 57% で、反対は 37% だった。

その一方で、政府や政党は年金制度をどうするべきか判断材料を「示していない」が 89% に達するなど、政治への強い不満が表れている。 年金制度への信頼は「大いに」、「ある程度」あわせて 59%、信頼していないは「あまり」「まったく」あわせて 40% で、一定の信頼感はある半面、いまの制度は「公平」と考える人は 24% にとどまり、66% は「公平でない」と感じている。

社会保障財源確保のための消費税増税に賛成の 57% の人に、何 % までなら認めるかと聞くと、ほぼ半数が「10%」と答えた。 続いて多いのは「7%」で 3 人に 1 人だった。 消費税の使い道を社会保障分野に限り、その費用の増加に合わせて税率を引き上げるという意見に対しても、賛成が 50% と反対 42% を上回っている。

財源不足を補う方法を四つの選択肢で問うと、消費税引き上げ 44%、所得税・法人税の引き上げ 23%、保険料引き上げ 3%、サービスの削減 16% となり、所得税・法人税の引き上げを考える人も一定程度いる。 年金問題での政府の取り組みを「評価する」は「大いに」、「ある程度」あわせて 21% で、「評価しない」が「あまり」「まったく」あわせて 76% だった。

菅内閣の進める「社会保障と税の一体改革」の取り組みに「期待する」は 24% にとどまり、70% は「期待しない」と冷ややかだ。 調査は全国の有権者 3 千人を対象に 2 月上旬から 3 月中旬にかけて実施。 有効回答率は 71% で、このうち大半の回答は東日本大震災よりも前に得た。 (石原幸宗、asahi = 3-21-11)


主婦年金救済、現行案を撤回へ 厚労省、後払い方式検討

菅政権は 6 日、夫の退職時に年金の変更を届けなかった専業主婦に対する現行の救済策を撤回する方針を決めた。 細川律夫厚生労働相と片山善博総務相、枝野幸男官房長官が同日夜、首相官邸で会談して合意。 今後は、国民年金法の改正による救済をめざす。

現行の救済策は、変更を届けなかった後の期間について、直近 2 年分のみ保険料納付を求め、それ以前は納付したものとみなす内容。 厚労省が昨年 3 月に決め、今年 1 月から実施したが、総務省の年金業務監視委員会や野党から「不公平だ」という批判が出て、一時停止していた。

片山総務相はこの日の会談後、記者団に「できるだけ早く監視委員会の意見をまとめるよう要請する」と述べ、細川厚労相に正式に見直しを求める考えを示した。 一方、細川氏は「法改正を視野に、抜本的な改善策を早急に検討する」と言及。 厚労省は、変更を届けなかった後の期間を無条件で国民年金の加入期間と認め、保険料を後払いできる法改正案を検討している。 (asahi = 3-7-11)


非正規社員も厚生年金に 首相、加入条件緩和の意向

菅直人首相は 5 日、税と社会保障の一体改革を議論する集中検討会議で、「非正規労働の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。 全力を挙げてやってみたい。」と述べた。 会社員が対象の厚生年金の加入条件を緩め、非正規雇用の労働者にも対象を広げる考えを示したものだ。

雇用の流動化や就職難から、パートの主婦に加え、最近は若い世代にも非正規労働者が急増している。 本来は自営業者を対象にした国民年金加入者のうち、今では雇用されている労働者が 4 割を占める。 そこで将来の不安を減らすためにも、老後に受け取る年金額が比較的多い厚生年金への加入を促す狙いがある。

与謝野馨経済財政相は 5 日の会議後の記者会見で、「非正規労働者が社会保障から取り残された存在になると、将来の無年金、低年金を作り出してしまう」と強調した。

現行制度では、非正規労働者でも労働時間が正社員の 4 分の 3 (通常週 30 時間)以上なら厚生年金の対象になる。 年金改革論議の中で、こうした条件を見直していくことになりそうだ。 医療保険でも、大企業の会社員が入る健康保険組合や中小企業社員向けの協会けんぽに非正規労働者が加入できるよう検討する。 自公政権時代にも、厚生年金の対象に非正規労働者を加える法案が提出されたが、廃案になっている。 (asahi = 3-5-11)


51 厚生年金基金で積立金不足 70 万人、減額の恐れ

サラリーマンらが入る厚生年金基金のうち 51 基金で「企業年金」の積立金がなくなり、「厚生年金」の積立金が計約 3,660 億円不足していることがわかった。 穴埋めは難しく、いずれは最大約 70 万人が約束された年金額を受け取れなくなる可能性がある。 民主党の大久保勉参院議員の資料請求を受け、厚生労働省が初めて明らかにした。

51 基金は、企業年金と、国の厚生年金の一部を代行して運用・支給している。 2010 年 3 月末で、企業年金の積立金がなくなり、代行部分は平均約 300 億円の積立金が必要なのに、平均約 72 億円足りなかった。 11 基金は 100 億円以上も不足していた。

積立金は株式などで運用しているが、近年の株安で運用成績が悪化したり、損失が出たりしたという。 ある基金の幹部は「08 年のリーマン・ショックで損が出て、積立金が必要額の半分近くまで落ち込んだ」と打ち明ける。 各基金は代行部分の積立金を取り崩しながら企業年金と代行部分を支給し続けている。 だが、不足したまま払い続ければ、基金によっては 10 年ほどでなくなってしまう。

積み立て不足解消は資産運用で大きなもうけを出すか、企業が穴埋めするしかない。 だが、51 基金は中小企業が集まった基金がほとんどで、穴埋めのための新たな負担は難しい。 厚生年金の代行は国に返上できるが、必要な積立金がなければ認められない。

穴埋めできなければ、基金は解散したり、破綻に追い込まれたりする可能性がある。 この場合、企業年金が支給されず、厚生年金の代行部分も減額される恐れがある。 厚生年金は国が保障しているため、国が税金などで穴埋めする可能性もあり、その場合は国民負担となる。

厚生年金基金は約 600 あり、現役世代の加入者と年金受給者は計約 700 万人。 51 基金の加入者と年金受給者は計約 70 万人で、その 1 割にあたる。 厚労省によると厚生年金基金に入る人の平均的な月間支給額は基礎年金 4 万 7 千円、厚生年金 11 万 8 千円、企業年金 3 万 9 千円の計約 20 万円。 破綻すれば 2 割以上減る可能性もある。

厚生年金基金は企業年金支給のために企業や業界単位で作られ、国が行う厚生年金の一部を代行している基金もある。 今は約 600 基金。 現役世代の加入者は約 450 万人。 大手企業の基金は積み立て不足を穴埋めして厚生年金の代行を返上し、企業年金に絞って負担を軽くする基金が多い。 一方、中小企業の基金は不足分を穴埋めできず、代行返上できない基金が多い。 (座小田英史、松浦新、asahi = 2-28-11)


非正社員の割合 34%、過去最大に 失業期間は長期化

総務省が 21 日発表した労働力調査によると、パートやアルバイト、派遣社員など非正社員が全雇用者に占める割合は、2010 年平均で 34.3% となり、比較可能な 02 年以降で最大となった。 非正社員の割合は前年は大幅に減っており、増加は 2 年ぶり。 引き続き雇用の調整弁になっていることがうかがえる。

毎月、公表している約 4 万世帯が対象の調査の平均値を出した。 役員を除く雇用者数は 5,111 万人で前年より 9 万人増えた。 正社員は 25 万人減って 3,355 万人となり過去最少に。 非正社員は 34 万人増の 1,755 万人で 08 年に次ぐ多さだった。 非正社員の割合は男性 18.9%、女性 53.8%。

非正社員のうち、増加が目立ったのはパート・アルバイトで、前年から 39 万人増の 1,192 万人。 一方、派遣社員は 12 万人減の 96 万人にとどまった。 今国会では、派遣規制を強化する労働者派遣法改正案の審議が予定されており、先を見越した企業の「派遣離れ」の動きが続いている。

一度、失業した人がなかなか次の仕事に就けず失業が長期化する傾向も強まっている。 10 年平均の完全失業者数 334 万人のうち、失業期間が 1 年以上の失業者は前年から 26 万人増の 121 万人。 3 年連続の増加で、過去最多となった。 1 年以上の失業者増の傾向は全世代に共通する。 (asahi = 2-21-11)


この春の正社員賃金、「上げる」は 4 割 全国の企業調査

帝国データバンクの調査では、2011 年度に正社員の賃金を上げると答えた企業が約 4 割になり、上げないと答えた企業を 3 年ぶりに上回った。 一方、非正社員の賃上げは「ない」と答えた企業が依然として過半を占めた。 1 月に全国 2 万 3,356 社に調査し、1 万 1,017 社が回答した。 正社員の賃金のベースアップや賞与の引き上げの見込みが「ある」と答えたのは 37.5%。 前年度の 31.8% を 5.7 ポイント上回り、2 年連続で増えた。

「ある」と答えた企業が多い業種は製造や卸売り。 それぞれ 42.5%、41.0% が「ある」と答えた。 賃上げの理由(複数回答)では、「労働力の定着・確保」が最多の 56.2%。 次いで「業績拡大」が 50.5%、「同業他社の賃金動向」が 14.3% だった。

賃上げの見込みが「ない」と答えた企業は前年度を 4.7 ポイント下回る 35.8%。 理由は「業績低迷」をあげる企業が 73.8% と最も多かった。 非正社員の賃上げは「ない」と答えた企業が 51.5%。 前年より減ったが、3 年連続で半数を超えた。 帝国データバンクは「正社員との格差拡大が進むことが懸念される」としている。 (津阪直樹、asahi = 2-19-11)


公認会計士、合格しても 4 割浪人 合格者増・不況が原因

昨年の公認会計士試験合格者のうち、過去最悪の約 4 割が就職できず、資格が得られない「会計士浪人」になっていることが金融庁の調査で分かった。 2006 年から合格者を大幅に増やしたことや、不況が原因とみられる。 金融庁は一般企業に採用を呼びかけているが、合格者の就職環境は年々悪化している。 調査は昨年 12 月 - 今年 1 月、試験合格後に通う実務補習所の入所者 1,918 人に実施。 1,513 人(有効回答 78.9%)から回答を得た。

調査によると就職、内定した合格者は 57.4% で、過去最悪だった前年調査の 71.7% を 14.3 ポイント下回った。 会計士になるには試験合格後、監査法人や企業などで会計監査の実務を 2 年以上積まなければならないが、昨年の合格者約 2 千人のうち 800 - 900 人程度が実務を積めず、資格取得が見込めない事態になっている。

金融庁は 06 年、「一般企業など幅広い分野で活躍が期待される」として、合格者数をそれまでの 1 千人台から 2 千 - 4 千人台に増やしたが、監査法人以外への就職は依然として進んでいない。

監査法人の内定者が全体の 89.7% だったのに対し、一般企業と役所は計 6.8%。 前年の 2.1% より増えたものの、「大半の企業は欲しがらないし、合格者も行きたがらない(金融庁幹部)」という状況だ。 一般企業では資格取得の要件である会計実務を積める保証がないことが、合格者が敬遠する最大の理由という。

金融庁はこうした問題を解決するため、公認会計士試験の合格者をこれまでの 2 千人程度から、今年は 1,500 人程度まで減らす方針を示している。 資格制度も 13 年から大幅に変え、実務経験の条件を緩めた「企業財務会計士」と呼ばれる別の資格を新設する考えだ。 (津阪直樹、asahi = 2-19-11)


年金受給資格「10 年間に短縮検討」 与謝野経財相

税と社会保障の一体改革を担当する与謝野馨経済財政相は 18 日の BS フジの番組で、年金について「保険料を 10 年払ったらもらえるとかも、やっていかないといけない」と述べた。 現在は保険料を 25 年払わなければ年金を受給できないが、期間の短縮を検討する考えを明らかにしたものだ。 受給資格を得られる期間を 10 年に短縮することは、自民、公明両党が無年金対策として提案している。

与謝野氏は「払い忘れた時にさかのぼって納められる要件も考えないといけない」とも言及。 国民年金を後払いできるのは過去 2 年分までだが、それを延ばす考えだ。 一方、「わざと払わない人は同情するに値しない」として、保険料を払った人だけが年金を受け取れる社会保険方式を堅持する考えを強調した。 (asahi = 2-18-11)


日本郵便、大量雇い止めへ 非正規数千人規模か

日本郵政グループの郵便事業会社(JP 日本郵便)は、約 16 万人にのぼる非正規社員の一部について、3 月末に切れる契約を更新しない「雇い止め」を全店規模で実施する。 昨年夏の宅配便「ゆうパック」統合などで巨額の赤字を抱えたためだ。 近く対象者に通告を始めるが、打ち切りは「数千人規模になる可能性もある(幹部)」という。

日本郵便は、全国の支店で配達や仕分け業務に必要な非正規社員の規模の見直しに着手。 今月に入り、希望退職を募り始めた。 今後は配置転換などに応じるか聞いたうえで、非正規社員の大半が 3 月末に契約期間を満了することから、2 月下旬から打ち切りの通告を始める。 全店規模で退職を募るなどして雇い止めをするのは初めてという。

日本郵便は昨年 7 月、「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」を統合、それに伴う経費がかさんだ。 大規模な遅配も起きて 10 年 9 月中間決算は 928 億円の営業損失を計上。 通期でも 1,050 億円の営業損失を見込む。 このままではゆうパックだけで毎年 1 千億円規模の赤字が出るといい、先月末にまとめた経営改善策で人件費の削減を掲げていた。 12 年度の新卒採用を見送ることも決めた。

日本郵便は昨年 12 月、非正規社員約 6,000 人を正社員に登用した。 非正規社員全体の必要な人数は絞り込む一方で、正社員化は今後も続けるという。 (岡林佐和、asahi = 2-12-11)

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「日本郵便、JAL に似て危機的」民営化委員長が指摘

郵政民営化委員会の田中直毅委員長は 4 日、経営が悪化している郵便事業会社(JP 日本郵便)について「路線ごとの利益を把握していなかった JAL に似ており、危機的な状況だ」と述べ、経営破綻した日本航空になぞらえて早急な経営立て直しが必要だとの認識を示した。

郵政民営化の進み具合を点検する委員会はこの日、赤字の一因となった昨年 7 月の「ゆうパック」統合と遅配問題に対して日本郵便がまとめた経営改善策について、所管する総務省から状況を聴いた。 田中氏によると、委員からは月ごとの荷物数や売り上げなどの業績の把握や情報開示が同業他社に比べて不十分、との指摘が相次いだ。

10 年 3 月末に 2,269 億円だった同社の自己資本が 9 月末に 1,676 億円と、約 600 億円減少していることも問題視され、「債務超過に陥るおそれもある」との懸念が出たといい、宅配便事業からの撤退を検討すべきだ、との意見も出た。 総務省に対しても「国民の資産が損なわれているのに、株主である国は国民に代わって厳しく監督する努力を払っていない」として、監督責任を問う声が上がった。

田中氏は「実績が伴わなければ経営責任が問われる」とし、次回以降、同社の経営陣から事情を聴く考えを示した。 (asahi = 2-4-11)


非正規労働者の厚生年金加入へ前向き 与謝野氏答弁

税と社会保障の一体改革を担当する与謝野馨経済財政相は 10 日の衆院予算委員会で、「社会保障制度改革では年金などに非正規労働者もきちんと加わるよう、立場の弱い人に光を当てなければならない」と述べた。 いまは国民年金に加入しているパートなどの非正規労働者について、厚生年金への加入に道を開く考えを示したものだ。

会社員が加入する厚生年金には労働時間などの条件があるため、非正規労働者の多くは入れない。 年金制度改革の中で、厚生年金の対象となる条件を緩和していく方向だ。 国民新党の下地幹郎氏の質問に答えた。 (asahi = 2-11-11)


大阪市の生活保護費、全国最多に 2011 年度予算案

大阪市は 8 日、1 兆 7,206 億円の 2011 年度一般会計当初予算案を発表した。 このうち、生活保護費は全国の市町村で最多の 2,916 億円に上り、19 年連続の増加となった。 市によると、市内の生活保護費受給者は昨年 12 月で約 14 万 8 千人。 保護費は、貧困ビジネスへの対策で 71 億円の圧縮効果があったが、それでも 10 年度当初より 53 億円増えた。 市は働くことができる受給者の就労を支援する取り組みを強化する。

市は現在市内の 3 区で受給者と保護申請者を対象に、就職先探しを手助けする「総合就職サポート事業」を実施しているが、新年度からは全 24 区に拡大し、スタッフも 68 人から141 人に倍増。 2 万 9 千人を支援して、4,200 人の就職を目指す。

また、受給者の相談や支援にあたるケースワーカー 1 人が受け持つ 59 歳以下の受給世帯数を、70 世帯から 60 世帯に減らし、負担軽減で生まれた時間を、職が見つかりやすい層の就労対策にあてる。 さらに、生活保護の中の住宅扶助が家賃以外の目的に使われることを防ぐため、市が受給者本人に代わって家主に家賃を直接納付する制度も新設し、システム構築に 8,400 万円を計上する。

歳入面では、市税収入を 6,226 億円計上し、3 年ぶりの増加を見込んでいる。 法人市民税も前年比 18.6% 増の 1,085 億円を盛り込んだ。 平松邦夫市長は「今後も収支不足が見込まれるので、補填(ほてん)財源に頼らない行財政改革に取り組む」と述べた。 (坪倉由佳子、asahi = 2-8-11)

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生活保護、最多の 3 兆円超 09 年度、失業者が急増

2009 年度に支払われた生活保護費が初めて 3 兆円を超えたことが、21 日分かった。 08 年 9 月のリーマン・ショック以降、失業者が生活保護に大量に流入し、働ける年齢の受給者が急増したためだ。 厚生労働省は、就労・自立支援の強化などを中心に、生活保護法などの改正を検討する。

生活保護費は国が 4 分の 3、地方自治体が 4 分の 1 負担している。 厚労省のまとめによると、09 年度決算では国負担分が 2 兆 2,554 億円、地方負担分が 7,518 億円で、総額は 3 兆 72 億円。 前年度より約 3 千億円増えた。

年金だけでは生活できない高齢者世帯の増加で、生活保護受給者は増え続けている。 さらに 08 年 9 月以降は生活保護を申請する失業者が増えた。 保護受給世帯は昨年 10 月時点で過去最多の 141 万世帯。 このうち、病気や障害がなく働ける年齢の世帯は 23 万世帯で、2 年で倍増した。

指定都市市長会(会長 = 矢田立郎神戸市長)は昨年、財政運営に影響が出ているとして生活保護の全額国庫負担など社会保障制度の改革を求める意見書を国に提出している。

厚労省は近く自治体との協議に入る。 具体的には、保護受給者の就労と自立を促すための支援策の強化、不正受給の防止策など生活保護の適正化に向けた対策を検討する。 ただ、市長会が求めている保護費の全額国庫負担については、「現段階で国と地方の負担割合を変える予定はない(保護課担当者)」という。

地方との協議で制度改革案をまとめ、政府が検討している税と社会保障制度の一体改革にも反映させたい考え。 法改正が実現すれば、1950 年の制度創設以来の大幅改正となる。

自治体の財政「火の車」 支出は都市部に集中

増え続ける生活保護申請で自治体財政は「火の車」だ。 生活保護が集中するのは失業者が多い都市部。 東京都、政令指定都市、中核市で、保護費の 6 割にあたる 1 兆 9 千億円が 09 年度に支出された。 今年度も、19 政令指定都市のうち 17 市で、09 年度決算額を超える当初予算を組んでいるにもかかわらず、補正を組む状況に陥っている。

09 年度決算で最多の 2,675 億円を支出した大阪市。 今年度当初予算はそれを上回る 2,863 億円だが、2 月に補正を組む予定だ。 名古屋市も今年度は前年度比 8 千人増の 3 万 8,200 人を見込んでいたが、9 月時点ですでに 4 万人を超え、2 年連続で 100 億円規模の補正を組んだ。

指定都市市長会が昨年 10 月に国に要望した改革案の柱の一つは、働ける年齢の人には 3 - 5 年の期間を設け、「集中的かつ強力な就労支援」をすることだ。 期間が来ても自立できない場合、保護打ち切りも検討する仕組みだ。

市長会の提案に、弁護士らで作る生活保護問題対策全国会議などは「生活保護に期限を設けることになり、生存権を保障した憲法 25 条に違反する。 生活保護の増加は非正規雇用の増加や社会保障の不備に原因があり、働く場を用意しなければ解決しない。」と強く反発している。

国の推計では生活保護基準以下の所得なのに生活保護を受けていない人は最大 229 万世帯。 本来生活保護が受けられる人に十分に行き届いていないという指摘もある。 (諸麦美紀、永田豊隆、asahi = 1-22-11)


介護保険の超過利用、8 割が「家族で介護しきれぬから」

介護保険で利用できる限度額を超えたサービスを利用した人の 8 割近くが、家族では介護しきれないことを理由にしていたことが 7 日、厚生労働省の調査で分かった。 限度内なら 1 割負担だが、超過分のサービスは全額自己負担になる。 介護保険利用者の 3% 程度が超過サービスを利用している。

厚労省は、昨年 3 月分で限度額の 7 割以上を使った人から 1 万 2,730 人を抽出し、利用状況を調べた。 さらに理由について、利用計画を作ったケアマネジャーに聞いた。 超過した理由を複数回答で尋ねたところ、77.5% が「家族で介護を補えない」を挙げ、47.7% が「本人や家族から強い要望があるため」と答えた。 同省は「家族の意向を優先したケアプランになっていないか、まずケアプランの作り方そのものを見直す必要がある(老健局老人保健課担当者)」としている。 (asahi = 2-8-11)


「大学生は主体性が足りない」 経団連、企業アンケート

最近の大学生には主体性や創造力が足りない - - 産業界にこんな不満があることが、日本経団連のアンケートでわかった。 最近の新卒採用で企業側は、募集人数に達しなくても求める人材がいなければ採用しない「厳選採用」を続ける。 内定率の向上には、大学教育の内容を巡る企業と大学のミスマッチを解消する努力が求められている実情が改めて浮き彫りになった。

大学生の採用で重視すること(複数回答)を企業に 1- 5 ポイントで評価してもらったところ、「主体性」が平均 4.6 ポイントで最多。 「コミュニケーション能力」と「実行力」が 4.5 ポイントで続いた。 一方、最近の大学生に不足している素質を尋ねる(同)と、一番多かったのが「主体性」で 89.1%。 能力・知識面で不足を尋ねた(同)ところ、既存の価値観にとらわれない発想ができる「創造力」が 69.3% でトップだった。

大学に取り組みを期待することの質問(同)では「教育方法の改善」が 76.5% を占めた。具体的には、学生に体験活動をさせる授業などが挙がり、教員が一方的に講義する授業への不信を示した。 企業側は大学教育にどう参加しているのか。 27.3% が幹部や実務担当者を大学に派遣して講義をし、インターンシップを実施している企業も 48.3% に達した。 経団連は「今後も大学側との協力を進めたい」と話している。

アンケートは昨年 9 - 11 月、経団連会員企業 1,283 社と非会員の地方中堅企業に尋ね、596 社から回答を得た。 (吉田博紀、asahi = 2-7-11)


不明高齢者 572 人の年金支給停止へ 厚労省

高齢者の所在不明問題で、厚生労働省は 4 日、死亡が確認されたり連絡がとれなかったりした高齢者 572 人の年金について、2 月支払い分から差し止めると発表した。 年金は 11回に 2 カ月分が支給され、今回の差し止め額は計約 1 億 2,700 万円になる。

同省は、昨年 6 月までの 1 年間に医療機関にかかっていない 76 歳以上の年金受給者約 34 万人を対象に、11 月から郵便や訪問で調査を実施。 572 人の内訳は、郵便で家族から「本人の消息が分からない」と回答があったのが 506 人、訪問調査で所在不明を確認したのが 7 人、59 人は既に死亡していながら、家族らが届け出をせず年金が支給されていた。 厚労省は、支給した分について返還を求める。

一方、自治体から所在が確認できないとの情報があった 46 人についても、厚労省はすでに支給を差し止めたり、これから差し止めたりする。 (asahi = 2-4-11)


労組組織率 18.5% パート割合過去最高 2010 年

2010 年の全雇用者に占める労働組合員の割合(組織率)は、34 年ぶりに上昇した前年と変わらず 18.5% だったことが、厚生労働省の労働組合基礎調査でわかった。 雇用者数も組合員数も減少する中、パート労働者の組合員が増え続けている。

10 年 6 月末現在の状況を調査した。 組合員数は、前年より 2 万 4 千人少ない 1,005 万 4 千人。 組合数も 329 組合減の 2 万 6,367 組合。 組合員数は 2 年ぶり、組合数は 10 年連続で減少した。 パート労働者の組合員は 2 万 6 千人増の 72 万 6 千人。 全組合員に占める割合は 7.0% から 7.3% に上昇し、いずれも調査項目となった 90 年以降で最高となった。

業種別では、卸売業・小売業が前年より 2 万 8 千人増えて 117 万 6 千人。 このうちパートが 3 分の 1 を占めた。 一方、製造業は 1 万 4 千人減の 273 万 9 千人。 産業別労組では、流通系労組が多く加盟する UI ゼンセン同盟が 2 万 7 千人増の 105 万 8 千人で最多。 自治労は 1 万 7 千人減の 84 万 6 千人だった。

民間企業の規模別の組織率は、1 千人以上で 46.6% だったが、999 - 100 人は 14.2%、99 人以下は 1.1% にとどまった。 厚労省の担当者は「パートの増加などで組織率は維持したが、下げ止まったとは判断できない」としている。 (asahi = 2-2-11)