東芝、サムスンと生産委託交渉 システム LSI

東芝は 24 日、半導体のシステム LSI (大規模集積回路)の生産を韓国・サムスン電子に委託する方向で交渉していることを明らかにした。 LSI 事業は巨額の開発投資が必要で収益性が低いため、設計はするが生産は縮小し、コストを抑える。 両社は主力の半導体メモリー事業で激しく競い合っているが、非主力分野では提携する。

システム LSI は、情報の演算処理やデータ保存などの機能をまとめた半導体。 テレビなどさまざまな家電製品に使われる。 顧客企業の求めに応じて作るため、少量多品種の生産になり、もうけが薄くなりがちだ。 このため、東芝は来年度以降、設計のみを手がける製品を増やす。 ただし、金額など生産委託の条件を重視しており、サムスンのほかに、台湾の受託生産専業メーカーなどと提携する可能性もある。

東芝の半導体事業は、利益の大半を、パソコンのメモリーカードなどに使うフラッシュメモリーで稼ぎ出している。 LSI 事業は低迷しているため、2009 年には分社化の検討を表明。 同業他社との再編を水面下で模索していた。 今後は経営資源を LSI からフラッシュメモリーに回し、競争力を強化する。 (asahi = 12-24-10)

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ソニー、東芝の工場買い戻しへ デジカメ用部品増産狙う

ソニーが、長崎県諫早市にある半導体の生産設備を東芝から買収する交渉を進めていることがわかった。 買収額は 500 億円前後とみられ、近く合意する見通しだ。 主にゲーム機向けの半導体が作られてきたが、ソニーは買収後に一部を改修し、デジタルカメラなどの中核部品で、今後の需要増が見込まれる画像センサーの増産に充てる方針だ。 設備はかつてソニーが東芝に売却したもので、今回は買い戻す形になる。

生産設備はソニー子会社の工場の敷地内にあり、東芝が 6 割、ソニーグループが 4 割を出資する会社が、高性能の演算処理用半導体「セル」を製造している。 ソニーのゲーム機「プレイステーション 3 (PS3)」向けが中心で、一部は東芝のテレビにも使われている。 ソニーは今回、生産設備を手に入れるほか、共同出資会社の経営権も取得する方向。 設備の一部を、半導体の画像センサー「CMOS (シーモス)センサー」用に変え、生産能力を高める。

このセンサーは、レンズで集めた光を電気信号に変換する「電子の目」に当たる基幹部品。 デジカメに加え、カメラ付きスマートフォン用の需要が伸びており、自社製品向けのほか、他メーカーへの外販も増やす。 セルの生産も続け、PS3 向けのほか、東芝にも供給する方針だ。 ソニーは 9 月に 400 億円を投じて CMOS センサーの増産方針を公表したが、今回の買収でさらに生産体制を強化する。 新工場の建設に比べ、投資額も抑えられるとみている。

一方、東芝は、セルを最高級テレビ「セルレグザ」に搭載するなど、ゲーム機以外での展開を見込んで生産を続けてきた。 ただ、セルレグザは 1 台数十万 - 100 万円し、生産台数はわずか。 ほかに有望な使い道が見つからず、生産撤退に傾いたとみられる。

この生産設備でつくられてきたセルは、ソニー、東芝、IBM が共同で開発。 もともとソニーが生産設備を持っていたが、巨額の投資負担を軽くしたいソニーと、主力の半導体を強化したい東芝の戦略が合致し、2008 年に東芝に約 900 億円で売っていた。 (asahi = 12-23-10)


シャープが 70 インチ液晶テレビ 来春、北米市場に

シャープは 14 日、来春をめどに北米市場に画面サイズ 70 インチの大型液晶テレビを投入する方針を明らかにした。 法人用にはすでに 108 インチを販売しているが、一般消費者向けでは北米や国内向けに製造・販売している 60 インチを超えて同社最大の大きさとなる。

北米の住宅は国内より居間が広いことが多く、70 インチなどの需要も大きいと見込む。 家電量販店を通して販売する予定だが、想定価格などの詳細は未定。テレビの価格下落が続くなか、画面の大型化によって単価アップにつなげたい考え。 日本国内で販売するかどうかは未定という。 (石山英明、asahi = 12-15-10)


三洋、子会社で早期退職 400 人 一転赤字予想に

三洋電機は、米オン・セミコンダクターに売却する子会社「三洋半導体(群馬県大泉町)」の従業員 1,700 人のうち、約 400 人が早期退職すると発表した。 割り増し退職金の支払いなどで経費がかさむため、2011 年 3 月期の連結純損益は当初の 50 億円の黒字から 250 億円の赤字に転落する見通し。 純損益の赤字は 3 期連続となる。

オン社は三洋半導体の従業員のうち 1,200 人しか雇わない意向で、三洋は残り 500 人に三洋内での配置転換を提案。 しかし全国転勤などが敬遠され、退職金が割高な早期退職が増えた。 また、ほかにも半導体市況の悪化に伴い、三洋はオン社に、2 年を限度に半導体事業の経費を肩代わりすると約束しており、その負担分が今期は 140 億円に上るという。 (asahi = 12-9-10)


23 センチ、持ち運びできるヘアアイロン パナソニック

パナソニックは、バッグに入れて持ち運べるキャップ付きヘアアイロン「ミニコテ」を来年 3 月 1 日に発売する。 長さ 23cm で従来より 6cm 短く、重さも約 3 割軽い。 販売目標は年 30 万台。 携帯電動歯ブラシに続くヒットを狙う。 想定価格約 4 千円の「EH-HW13」と、水分の蒸発を抑える機能がある「EH-HW23 (約 5 千円)」の 2 機種。 (asahi = 12-6-10)


世界最高効率の太陽電池、三洋が販売へ 欧州で 2 月

三洋電機は、太陽光を電気にする変換効率を従来より 0.5 ポイント向上させ、世界最高の 21.6% にした太陽電池を来年 2 月に欧州で売り出す。 来年度中に国内にも投入する。 「HIT」と呼ばれる独自構造の太陽電池で、三洋によると世界最高だった米サンパワー製(変換効率 21.4%)を上回った。 電池表面の集電極を 2 本から 3 本に増やし、電気を効率よく回収。 屋根など設置面積が限られる住宅用に向いているという。

現在の三洋の太陽電池の生産能力は 565 メガワット。 3 日に事業説明会を開いた前田哲宏・ソーラー事業部長は 2015 年度までにこれを 1,200 - 1,350 メガワット程度に増やすと表明。 他社から調達する安価な「多結晶型」とあわせ 15 年度には 1,500 メガワット分の販売を目指す。

大口向けの営業も強化しており、兵庫県淡路市では HIT パネル 5,022 枚を使った出力 1 メガワットの「あわじメガソーラー 1」が市役所の隣地で運転を始めた。 自治体の設置規模では東京都水道局の 1.2 メガワット(京セラ製)に次ぐという。 (asahi = 12-4-10)


新興国へ「停電でも見られる TV」 東芝が海外事業強化

東芝が、経済成長が見込まれる海外地域でのテレビ事業の強化策を次々と打ち出している。 29 日には「停電しても見られる液晶テレビ」など、東南アジア向けの戦略製品を発表。 アフリカ、中東での需要増をにらみ、エジプトのメーカーと組んでテレビを現地生産する方針も明らかにした。 来年の家電エコポイント終了で落ち込むのが確実な国内市場に代わり、事業拡大の柱に据える。

東南アジアで 12 月に発売する「パワーテレビ」は、電波や電力事情が良くない地域でも快適に見られる機能をつけたのが特徴だ。 電気信号を増幅させるブースターを内蔵。 民生用液晶テレビとして初めてバッテリーを搭載し、停電が起きても約 2 時間見続けられる機種も用意した。

最も安い機種は 24 型で 190 ドル(約 1 万 6 千円)、32 型で 300 ドル(約 2 万 5,200 円)程度に抑えた。 東南アジアでは薄型テレビの割合が 4 割弱にとどまるというが、「新興国モデルの切り札」として、ブラウン管テレビからの買い替えをねらう。

生産するインドネシアの工場では、来年 3 月に 5 億 - 10 億円程度を投じて製造ラインを増強する。 東芝の 2010 年度の ASEAN (東南アジア諸国連合)地域のテレビ販売台数は約 50 万台で、市場シェアは 1 割強だが、11 年度には 120 万台、シェア 2 割に引き上げる目標だ。

将来の布石として先行的な投資も進める。エジプトの家電メーカー「エル・アラビ」と合弁会社の設立を交渉中で、来年春をめどに現地生産を始める。 今はブラウン管テレビが大半を占めるアフリカ・中東向けに「パワーテレビ」を出荷する。 アフリカでの生産を打ち出したのは、日本メーカーではシャープに続き 2 社目となる。海外戦略を急ぐ背景には、日本市場の先行き不透明感がある。 今年度は家電エコポイントの影響で好調だが、来年 3 月に制度が終了し、7 月には地上デジタル放送に完全移行するため、それ以降急激に落ち込むのは確実。 東芝の大角正明・上席常務は「来年は今年より国内市場が 800 万 - 1 千万台程度落ち込む。 新興国の市場拡大に向けて積極的に仕掛けなければいけない状況だ。」と話す。

東芝は、新興国向けの販売台数の割合を現在の 15% から 13 年に 50% まで高める計画を掲げる。 中国では、今夏に有力メーカーの TCL 集団と、テレビの供給や販売網の構築で提携した。 東芝は「レグザ」を世界ブランドに育てる考えだが、09 年の世界シェアは約 5% で、6 位にとどまる。 新興国の開拓で先行した韓国サムスン電子をはじめ、先進国以外に力を入れるライバルは多い。 (橋田正城、asahi = 11-30-10)


地デジ世帯普及率、9 割突破 未対応は 745 万世帯

来年 7 月の地上デジタル放送(地デジ)への完全移行を控え、地デジに対応した受信機の世帯普及率が 9 月末現在で 90.3% にのぼったことが 24 日、総務省のまとめでわかった。 家電エコポイント制度の延長でデジタルテレビの販売が伸び、3 月末から 6.5 ポイント上昇したが、目標の 91% はわずかに下回った。

世帯普及率は、地デジ対応テレビやチューナーなどの受信機を所有している世帯の割合。 ただし、アンテナの調整なども終えて、実際に地デジを視聴できる世帯は 85.1% にとどまる。 受信機を購入していない世帯も含めると、地デジに未対応なのは 3 月末時点から 370 万世帯減って 745 万世帯となった。

都道府県別の世帯普及率で最も高かったのは 95.1% の新潟で、長崎 (86.1%)、鹿児島 (86.1%)、沖縄 (78.9%) の普及が遅れている。 ただ、普及率が最高と最低だった県の差は半年前より 6.7 ポイント縮小している。 (asahi = 11-24-10)

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10 月の薄型テレビ出荷、過去最高 エコポイント特需で

10 月の薄型テレビの国内出荷台数は前年同月の約 2.4 倍の 283 万 3 千台になった。 電子情報技術産業協会が 24 日発表した。 単月としては 2001 年に集計を始めてから最多。 同協会は、家電エコポイントが 12 月から半減されることになって駆け込み購入が増えたとみている。

これまで最多だったのは 09 年 12 月の 239 万 6 千台だった。 今年 10 月の内訳をみると、中型の 30 - 36 型が伸び、前年同月の 2.5 倍ほどの 100 万 2 千台だった。 同協会の統計は、メーカー傘下の販売会社や営業所などが小売店に出荷した数をまとめている。 民間の調査会社が量販店を対象に調べたデータでは、10 月の販売台数は前年同月の 3 倍を超えていた。 (asahi = 11-24-10)


103 型 3D ディスプレー発売へ 一般向けでは世界最大

パナソニックは 18 日から、103 型の 3D プラズマディスプレーの受注を始める。 縦 1m74cm、横 2m41cm で、一般販売用 3D ディスプレーでは世界最大。 想定価格は約 850 万円で、量販店や専門店で注文できる。 テレビ放送を受信するには別途チューナーが必要。 購入前には家に入るかなど業者の下見がある。 同社は業務用では 152 型の 3D ディスプレーを販売している。 (asahi = 11-17-10)


GOPAN、いよいよ発売 「コメからパン」に予約殺到

三洋電機は、予約殺到で発売を延期していたホームベーカリー「GOPAN (ゴパン) SPM-RB1000」を 11 日に売り出す。 開発に 5 年をかけ、「自宅のコメでパンづくり」を世界で初めて実現。 小麦アレルギーの子どもに、米食復活に、と予約は数カ月先までいっぱいだ。 廃止が決まった「SANYO」ブランドにとって、最後の大ヒットならぬ大ホームラン商品となるか。

「彼にとって、食パンはあこがれの食べ物なんです。」 名古屋市中区のパート従業員紀谷聖美(きや・きよみ)さん (41) は、小麦アレルギーを持つ小学 2 年の長男 (7) の気持ちを、こう話した。 生後 8 カ月で発症。 給食の白い食パンがどんな味かは知らないままだ。

紀谷さんは 10 月、アレルギーで悩む人の支援団体から GOPAN の存在を聞いた。パンを膨らませるための小麦グルテンも上新粉で代替できる。 「同じものを食べる幸せを知ってほしい。」 店頭想定価格の 5 万円は高いが、購入を考えている。

魚沼産コシヒカリの産地、新潟県の JA 北魚沼(組合員 1 万 1,984 人)のコメ販売額は、この 2 年で 3 億円以上減った。 若者の米食離れが一因とみる三浦哲郎理事長は「うまいコメの味を広く分かってもらいたい」と、すでに GOPAN 10 台を予約。 催しを通して「コメの魅力」を PR する考えだ。 8 月にはコシヒカリ 1.2 トン分(約 250 万円相当)を「商品の広報用に」と三洋に提供することを決めた。

GOPAN は 7 月の発表当時、10 月 8 日の発売予定だった。 だが、月 5 千台の販売計画に対し 8 月末までに 1 万件以上の注文が殺到。 延期後も予約は増え続けた。 ネット上の閲覧回数も三洋製品で過去最高の 14 万回を突破。 多くの家電量販店は 11 日に商品を並べられず、年内の引き渡しが難しい場合もあるという。

三洋は来年 4 月にパナソニックの完全子会社となり、SANYO ブランドも 2012 年 4 月に消滅する。 幹部は「三洋の技術の集大成をとにかく広く伝えたい」という。 (榊原謙、asahi = 11-11-10)


風当てて爆発物チェック 日立が開発 駅改札機と併用も

自動改札機の形をしたゲートから通行者に風を当て、採取した空気の成分で瞬時に爆発物をチェックする - -。 そんな新型の探知機を、日立製作所が国の委託事業で開発した。 微量でも化学物質が体やズボンなどに付着していれば、2、3 秒で判別が可能だという。 今後は、実際に駅に設置できるよう、乗車券の改札機能を付けたものを開発する考えだ。

新型探知機は、改札機型のゲートを通る際、片方の側から通行者に風を当てて、もう片方の側で空気を吸入。 隣接した場所に設置した検知器で成分を調べる仕組みだ。 日立製作所によると、通行者を立ち止まらせる必要がない「ウオークスルー型」の爆発物探知機はこれまで例がないという。 手製爆発物の原料となる化学物質は揮発性が高く、「空気中に放出されるものをとらえればチェックできる」という発想で開発を進めたという。

横浜市で開かれるアジア太平洋経済協力会議 (APEC) 期間中の 11 月 12 - 14 日には、国土交通省と日立製作所などが、横浜駅の東急東横線の自動改札機に並べて設置し、実証実験をする。 改札利用者の協力を得ながら、爆発物以外に過敏に反応しないかなどをチェックする予定だ。 (五十嵐透、asahi = 11-6-10)


紙のように薄く曲げられる充電池、実用化にめど NEC

NEC は、紙のように薄く、曲げられる「有機ラジカル電池」の実用化にめどをつけた。 2013 年ごろに携帯電話などへの搭載をめざす。 形の柔軟さを生かし、将来的には電子ペーパーなど幅広い機器での利用を見込む。 有機ラジカル電池は、ノートパソコンや携帯電話に広く使われるリチウムイオン電池と同じく、繰り返し充電可能な「二次電池」。 電極にプラスチックの一種を使い、厚さは 0.7 ミリほどと薄いが、短時間で高い出力を出せる反応の良さが特徴だ。

NEC は 01 年に開発した後も性能の向上を進め、最近は充電回数をリチウムイオン電池並みに高めることができた。 今後の使い道としては、まず携帯電話のカメラ用フラッシュの電源を想定。 超薄型の電子看板やディスプレー付きの次世代 IC カードなどへの応用も考えている。 (asahi = 11-5-10)



24.5 型有機ELディスプレー ソニーが試作機公開

ソニーは 1 日、24.5 型の業務用の有機 EL ディスプレーの試作機を公開した。 来年度にも製品化する。 販売価格は未定。 今年 5 月から 7.4 型の業務用を販売しており、より大きなサイズも加えて医療分野などの需要を開拓する。 有機 EL は、液晶に続く次世代ディスプレーの有力技術だが、大型化や生産コストの低減が難しい。 ソニーは 3 月に消費者向けの小型有機 EL テレビの国内出荷を終了し、業務用に軸足を置いている。

ソニーは同日、有機 EL ディスプレーや画像センサーの技術を生かし、業務用映像分野の事業規模(2009 年度は 3 千億円)を 13 - 15 年度のうちに年 5 千億円に引き上げる目標も公表した。 (asahi = 11-1-10)



携帯電動歯ブラシ「ポケットドルツ」 100 万本を突破

今年 4 月に発売されたパナソニックの携帯用電動歯ブラシ「ポケットドルツ」の販売台数が、今月に入り 100 万本を突破した。 同社は当初 30 万本だった今年度の販売見通しを 150 万本に上方修正。 11 月からローズピンクやピンクゴールドなど口紅を模した「ルージュカラー」 5 色を限定販売する。

ポケットドルツは、ポーチなどに収納できる小ぶりなサイズと動作音の静かさが特徴。 外出先で電動歯ブラシを使う需要を掘り起こし、女性を中心に人気が出た。 パナソニックは、ここ数年約 220 万本で推移していた電動歯ブラシ市場が今年度は約 370 万本に膨らむと予測する。 GfK ジャパンの調査でも、ポケットドルツ発売の 4 月以降、電動歯ブラシの市場規模(数量ベース)は一気に 2 倍強に広がった。 (asahi = 10-27-10)


蛍光灯タイプの LED、やっと登場 2 社、年内にも

オフィスや店舗でおなじみの直管形の蛍光灯。 これに代わる LED (発光ダイオード)ランプがようやく年内にも発売されることになった。 パナソニックと東芝ライテックが 18 日、開発と発売の見通しを相次いで発表。 寿命は蛍光灯の 3 - 4 倍という。 ただ口金部分は全く新しい形になるため従来の蛍光灯との互換性はなく、専用の照明器具や工事が必要になる。

新しい口金は「L 形」と呼ばれ、落下防止や誤挿入の対策で両端が異なる形をしている。 東芝が商品化するのは 40 ワットと 20 ワット相当のランプ 2 種類。 パナソニックはまず 40 ワット相当の製品化をめざす。

直管形の LED ランプは海外からの輸入品が国内でも一部流通。 しかし口金部分の改造を伴ったり、ちらつきや照度不足を指摘する声が出たりしていた。 照明メーカーなどからなる日本電球工業会が今月 8 日に直管形の規格を新たに制定。 2 社はこれを受け規格に従った商品の発売を決めたもので、日本製として「質」を重視して売り込む考え。 同工業会は「電球形 LED は予想以上の早さで普及している。 直管形の立ち上がりも速いのでは。」とみる。(永島学、asahi = 10-23-10)

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イオン、1 千円台 LED 電球発売へ 各社も低価格に力

小売り大手のイオンは 4 日、LED (発光ダイオード)電球を 1,580 - 1,680 円(税込み)で売り出すと発表した。 LED 電球は省エネ・長寿命が長所である一方、値段の高さが普及の壁になっていた。 スーパー各社が低価格商品を扱い始めたことで、2 千円以下が主戦場になりつつある。

イオンは、プライベートブランド (PB) 「トップバリュ」の新商品として、7 日から全国のジャスコやマックスバリュなど約 2 千店で販売する。60 ワット相当が 1,680 円、40 ワット相当が 1,580 円。 日本メーカーの中国工場に生産を委託し、自社の物流網を使って大量に売ることで低価格を実現したという。

大手スーパー各社も低価格の LED 電球に力を入れる。 イトーヨーカ堂は 60 ワット相当、40 ワット相当ともに 1,780 円の商品を販売。 西友も 60 ワット相当で 1,770 円の商品を 7 月に発売した。

LED 電球は、1 千円を切る中国製も出回り始めている。 ただ、家電量販店大手のヨドバシカメラによると、売れ筋は日本の大手メーカー製の 2,500 - 3 千円のもの。 売り場担当者は「スーパー勢の価格攻勢で、大手メーカーもさらに安い製品をつくるはず。 LED 電球の普及が一気に進むと思う」と期待している。 (角田要、asahi = 10-5-10)

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LED 照明、化学・電機業界が全面対決 すみ分け崩壊

白熱電球や蛍光灯に代わる省エネ商品の LED (発光ダイオード)照明器具を巡り、化学メーカーが最終商品の販売を始めた。 もともと化学メーカーは「川上」の部品を手がけ、「川下」の製品販売は電機メーカーと、すみ分けてきた。 単価が高く売り上げが伸びている LED 照明では、それが崩れ、電機業界は部品の自社生産拡大で対抗。 両業界の真っ向勝負になっている。

LED 照明は消費電力が白熱電球の 15% 前後で済み、人気を集めている。 2009 年は 318 億円だった国内の市場規模は、15 年には 1,342 億円まで成長する見込みだ。 住友化学は 2 月、「スミルック」のブランド名で自社開発の LED 照明の発売を始めた。 現在は長方形の板状の形しか製造しておらず、学校の教室や企業などのオフィス向けの販売が中心。 将来的には円形なども製造し、家庭向け市場にも参入する方針だ。

基板や蛍光体など LED 照明の基幹部品の製造技術を持つ三菱化学は 9 月から欧州で、家庭向けの LED 照明の販売に踏み切った。 同社は 1990 年代から DVD などの記録メディアを「バーベイタム」のブランドで 120 カ国で販売しており、そのブランド力や販売網をいかす。 日本でも販売する予定だ。 奥川隆生・執行役員情報電子本部長は「世界で取れるシェアがわずか 1% としても、パイは大きい」と話す。

迎え撃つ電機業界。 シャープは、これまで主に化学メーカーに外注してきた LED 素子の一部を自社製造し始めた。 狙いは製造原価の引き下げ。 海外メーカーの参入などもあり、単価が高い LED 照明も販売現場ではじわじわと価格の下落が始まっているという。 東芝なども、同様の取り組みを強める考えだ。

業界の垣根を越え、他業界への参入について住友化学の広瀬博社長は「材料開発にとどまらず、付加価値の高い商品で新分野に進出することは市場の活性化につながる」と語り、今後も積極的に川下への戦略を続ける考えだ。 (内山修、asahi = 9-27-10)


取り外し型カーナビが熱い? 地デジ化対応で、安さ人気

運転席から取り外して持ち運べる小型カーナビ「パーソナル・ナビゲーション・デバイス (PND)」の品ぞろえをメーカー各社が進めている。 埋め込み型と比べて取り付け工事がいらず、機能を絞って低価格に抑えたことから人気が出て、テレビの地上デジタル化をにらんだ高級機種も登場。 地図や案内機能も備える多機能携帯電話(スマートフォン)なども巻き込み、新たな競争に突入している。

「車の地デジ化はゴリラにお任せ!」 今月 1 日、東京であった PND 最大手、三洋電機の新機種「ゴリラ NV-SD760FT」の発表会で、タレントの関根麻里さんは笑顔を振りまいた。 すぐ脇には、総務省の地デジ推進キャラ「地デジカ」のぬいぐるみが置かれた。

ワンセグ対応の PND でシェアを拡大してきた三洋の新機種は、家庭の地デジ映像と同じフルセグ映像を映せるタイプとして業界最薄・最軽量なのが最大の売り。 店頭想定価格は 10 万円と、一般的な PND の売れ筋(4 万 - 5 万円)より高い。 担当者は「地デジ画面に慣れた消費者は、ワンセグのカクカクした動きでは満足できないはずだ。」

強気の背景には、来年 7 月のアナログ放送の停波があり、買い替え需要が見込めることだ。 「地デジ化がカーナビに及ぶと認識できていない人が相当いる(業界関係者)」といい、埋め込み型も含め 1 千万台程度が地デジ化の必要があるとの試算もある。 カーナビでは埋め込み型にこだわってきた富士通テンは先月、ついに PND 「イクリプス EP001」の投入を発表。 同社は「PND を求めるニーズに遅まきながらも対応したい。 今後は各社の体力勝負になる。」とみる。

PND の販売台数は、三洋の試算によると 07 年度は市場全体の 13.5% だったが、09 年度には 20.1% に拡大。 11 年度には 26% の 135 万台になると見込む。 カーナビ市場全体の拡大が見込めないなか、埋め込み型のシェアの侵食が進んでいる形だ。 (asahi = 10-17-10)


「SANYO」ブランド 意外なところで健在

パナソニックによる完全子会社化で原則廃止となる三洋電機の「SANYO」ブランドが、京セラ製の携帯電話で元気に生き続けている。 2008 年に京セラが三洋から携帯電話事業を買収したが、SANYO ブランドへの人気や信頼が市場によっては根強いため、京セラがブランドとして使い続けているためだ。 情報技術の見本市 CEATEC (シーテック)では、京セラが 8 月末に北米で発売したスマートフォン「Zio (ザイオ)」が展示され、注目を集めた。

液晶画面を指でなぞって操作するタッチパネル式で、本体に SANYO のロゴが入る。 基本ソフト (OS) に米グーグルのアンドロイドを搭載、国内市場への投入は未定というが、重さ 105 グラムと米アップルの iPhone (アイフォーン)より 2 割以上軽く、CEATEC 会場での評判は上々だった。 京セラは「いつまで SANYO の名を使うかは決まっていない」(広報)という。 (asahi = 10-10-10)


レアメタルなしで「カップリング」 立命館大教授ら

今年のノーベル化学賞に決まった「クロスカップリング反応」を、希少金属(レアメタル)のパラジウムではなく、国内でたくさんとれるヨウ素をつかって実現する技術を北泰行・立命館大教授(有機合成化学)らが開発した。 テレビや携帯電話の液晶などの新素材として 2011 年度中の実用化を目指すという。

パラジウムを触媒に炭素同士をうまくつなげる画期的な合成法を開発した業績で、根岸英一・米パデュー大特別教授、鈴木章・北海道大名誉教授ら 3 人のノーベル化学賞受賞が決まったが、希少金属のパラジウムは入手に制約がある。 日本の生産量が世界で 2 番目に多いヨウ素を使えば、製造コストの大幅な削減が見込まれるという。

さらに、パラジウムを触媒とするカップリングでは、100 度以上の高温でも生産物を 22% の効率でしか得られないのに対し、ヨウ素なら 100 度以下でも 88% になるという。 北教授は「今はパラジウムなどレアメタルの触媒を使っているが、今後は資源が豊富なノンメタルの研究が進む」と話す。 (長崎緑子、asahi = 10-9-10)


女子学生発案、3D デジカメ実現 タカラトミー来春発売

旅先で写真を撮影することが好きな同志社大の女子学生のアイデアをもとに、タカラトミーが 3D (3 次元)写真を撮影できるデジタルカメラの商品化にこぎつけた。 同社の社員が講師を務める授業に学生が企画書を出したのがきっかけで、来春、全国の量販店などで発売する予定だ。

商品名は「3D Shot Cam(税込み 5,980 円)」。 カメラには、人間の両目とほぼ同じ間隔でレンズが二つ並ぶ。 右目と左目で見た景色を同時に撮影、L判サイズで印刷し付属ののぞき眼鏡(ビューアー)に写真をセットしてのぞくと、立体的な写真が楽しめる仕組みだ。 液晶画面がカメラにないためその場で画像確認はできないが、ビューアーが紙製で平らにでき、ポストカードなどに利用できるという。

アイデアは経済学部 4 年の日下部淑世さん (23) が出した。 学外からテーマを募る科目の一つに、タカラトミー社員の渡辺公貴さん (50) がおもちゃの開発過程を教える授業があり、日下部さんが 3D カメラの企画書を 2009 年初めに提出。 家電各社が今年にはいり 3D テレビを相次ぎ発売する 1 年以上前だったが、渡辺さんはブームになるかもしれないと判断。 社内に持ち帰り、コストなどを検討し商品化を決めたという。

日下部さんは「3D なら、より臨場感があり楽しかったことを分かちあえるのではとの思いが発端になった。 家族や友達同士で盛り上がって下さい。」と話す。 (渡辺秀行、asahi = 10-7-10)


お年寄りも扱いやすい最軽量サイクロン掃除機 シャープ

シャープは重さ 2.8kg と業界最軽量のサイクロン掃除機「EC-PX120」を 10 月 21 日に売り出す。 主に高齢者向けで、ゴミのたまる容器の本体への装着位置を色つきの矢印で示すなど、わかりやすい仕様にした。 想定価格は 4 万円。 また運転音が業界最小の「VX220」(想定価格 8 万円)、車輪を増やし小回りがきくようにした「AX120」(同 7 万円)も同時発売する。 (asahi = 10-6-10)


消費電力半分以下の液晶ディスプレー 日立ディスプレイズ

中小型液晶パネル大手の日立ディスプレイズは 4 日、従来の液晶パネルに比べて消費電力を 2 分の 1 以下に抑えることができる新型ディスプレーを発表した。 MEMS (微小電子機械システム)技術を使い、光源を特殊なシャッターで透過させて映像を表示する。 2011 年後半から量産を始め、携帯電話などでの需要を見込んでいる。

赤、緑、青 3 色の発光ダイオード (LED) バックライトを高速で開閉するシャッターで透過させて映像を映し出す。 カラーフィルターや偏光板を通して映像を映し出す従来の液晶パネルに比べて、光の透過率を 10 倍近く向上させた。 一般的な LED ディスプレーに比べ、消費電力を 2 分の 1 以下に抑えることができる。

白黒表示の場合、外光を反射させることで LED バックライトを使わず表示できる。 11 年後半から千葉県茂原市内の工場で量産を開始する予定。 2 型 - 4 型の携帯電話やデジタルカメラ向けのほか、6 型 - 10 型のタブレット型端末での需要も見込んでいる。 (nikkei = 10-4-10)


アジア家電、上陸加速 韓国 LG テレビ 10 機種発売へ

テレビ世界 2 位の韓国・LG 電子は 27 日、日本で液晶テレビ 10 機種を 11 月に発売すると発表した。 最新鋭の 3D (3 次元)対応など幅広い機種を取りそろえ、参入する。 中国・ハイアール(海爾集団)も、日本で白物家電の品ぞろえを増やす構え。 世界各地でシェアを伸ばすアジアの家電メーカーが、日本勢の「お膝元(ひざもと)」を攻略し始めた。

「世界へ」腕試し

LG が投入するのは、「インフィニア」シリーズの 10 機種。 大きさは 22 インチから 55 インチまでフルラインでそろえた。 最上位機種には 3D のほか、明るさ制御や残像低減など「世界最先端の技術(日本法人幹部)」を搭載。 店頭想定価格は 8 万 - 48 万円前後で、日本の大手と同水準に設定した。 性能、価格の両面で日本勢に真っ向勝負を挑む構えだ。

LG は日本で 2005 年に小型テレビを発売したが、普及せず撤退。 今回はヨドバシカメラ、ビックカメラ、エディオンの家電量販大手を主な販路とし、年末商戦に合わせて本格参入。 5 年以内に 5% の販売シェア獲得をめざす。 日本は世界有数の家電市場だが、人口減少で今後の成長は見込みにくい。 LG 本社の権一根常務は記者会見で「日本製品は画質、音質に優れている。 多くを学び、日本でもグローバルに出る製品を開発していく。」と述べた。

白物家電の分野でも、中国のハイアールが今月中旬、日本で販売する商品を売れ筋の中・大型に広げる事業強化策を発表。 両社の幹部は「日本の消費者は世界でもっとも厳しい目を持つ。 ここで成功すればその後の世界展開に役立つ。」と口をそろえる。 世界で培った自信をもとに日本で腕を試し、さらに製品開発力の強化につなげるという思惑が垣間見える。

「ガチンコ勝負」日本勢警戒

アジア勢の「本格上陸」に、日本メーカーには警戒感が広がる。 パナソニックの大坪文雄社長は 27 日、「LG とはガチンコ勝負になる。 海外で彼らの強さはわかっている。」と話した。 テレビが来夏に地上デジタル放送に完全移行した後は、駆け込み需要の反動で大幅な落ち込みが見込まれる。 韓国 2 社に引き離される日本勢にとって、LG の日本参入は新たな悩みの種だ。

日本メーカーは、海外での「攻め」も急ぐ。 パナソニックは機能を省いて手頃な価格にした商品の販売を、新興国を中心に 12 年度に 1 兆円にする方針。 ソニーもインド向けに大型スピーカーをつけたテレビを発売するなど、新興国での販売拡大を進める。

だが、韓国・中国勢の勢いは止まらない。 ブランドは世界中に浸透し、日本メーカーのシェアを奪っている。 コンサルティング会社 A・T・カーニーの山本美樹夫プリンシパルは「日本の消費者も、テレビはメーカーごとの差がなくなっていることを知っており、LG も脅威になりうる。 価格競争が激しくなれば、撤退する日本企業も出てくるかもしれない。」と話す。

日本人引き抜き開発

アジア勢は、徹底した市場調査と日本人も加わった製品開発で、日本市場のドアをこじ開けようとしている。 「ここまでお客様のことを調べ上げるのか?」 LG の日本向けテレビの開発にかかわった日本人男性社員は、LG の市場調査の手法を目の当たりにして驚いた。 この男性は今春まで 20 年近く、日本の電機大手でテレビの開発に携わってきたが、LG に引き抜かれた。

LG が日本へのテレビ投入を検討し始めたのは昨秋。 今年 5 月には本社の開発陣が来日し、日本メーカーから引き抜いた日本人数人とチームを組み、開発を本格化させた。 5 月以降、のべ数千人を対象に「覆面調査」も実施した。 ブランド名を明かさず、他社製品と並べて感想を聞く手法だ。

「日本では見たことがないデザイン」という評価の一方、「アフターサービスの充実」、「録画機能がほしい」という要望が出た。 それを受け、LG は携帯電話向けなどで展開してきた全国の顧客サポート網を強化。 独自の機能として、全機種を外付けハードディスクにつないで録画できるようにした。

今秋発売のドラム式洗濯機を皮切りに、3 年間かけて白物家電の品ぞろえを大幅に増やすハイアールも、LG と似た手法で、日本への本格参入の機会をうかがってきた。 まず、07 年夏に約 130 人を対象に、洗濯機についてアンケートや聞き取り調査を実施。 特に多かった「布団や毛布が洗える」、「腰を大きくかがめなくても、洗濯物を出し入れできる」という要望を、開発の基本に据えた。

中国・青島の本社にいる数十人の日本人技術者と、日本の営業担当者が共同で開発。 昨夏には東京で、試作機を他社製品と並べて主婦 100 人に見てもらった。 完成品は、日本人の体格に合わせてドラムの位置を高く、奥行きを浅くした。 「日本の生活習慣を熟知しているのは日本人。」 ハイアール日本法人幹部はできばえに自信をみせる。 (五十嵐大介、五郎丸健一、asahi = 9-28-10)

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中国・ハイアール、日本向けに売れ筋家電を開発 競争へ

白物家電の世界最大手、中国・ハイアール(海爾集団)は 15 日、日本での事業拡大策を発表した。 今までは小型で低価格の冷蔵庫や洗濯機が中心だったが、日本市場向けに開発したドラム式洗濯機を皮切りに、3 年間で売れ筋の中・大型商品を増やす。 消費者の「国産」へのこだわりが強い日本で、国内メーカーとの競争が本格化しそうだ。

「われわれは忍耐強く、日本の消費者の声に耳を傾けながら開発を進めてきた。 ハイアールの市場開拓戦略は変わらない。」 15 日に東京・秋葉原で開いた発表会で、ハイアールの周雲傑・副総裁は事業拡大に自信を見せた。

同社は海外市場を、(1) 参入、(2) 定着、(3) 主導、の 3 段階に分けて開拓する戦略を掲げる。 2002 年に進出した日本は「参入」段階で、一人暮らし向けの小型機種や 2 槽式洗濯機などの「すき間商品」を投入し、国内メーカーとすみ分けてきた。 09 年の売上高は 75 億円で、冷蔵庫・洗濯機の市場シェアは 3% にとどまる。

ただ、プロ野球チームのスポンサーなどで知名度も向上してきたことから、今後は「定着」段階として品ぞろえを大幅に増やすことにした。 その目玉が今秋に発売する高価格帯のドラム式洗濯機だ。

日本向けの「戦略商品」として、日本人技術者が 2 年前から主婦から聞き取り調査をしながら開発。 洗濯物の容量が 10 キロと大きく、ふとんが洗え、中身を取り出しやすいよう形状も工夫した。 価格は 10 万円台前半を見込み、性能が同じ程度の他社製品より 2 割ほど安い。 「消費者が本当に求める機能と合理的な価格(幹部)」をうたう。

洗濯機以外でも、13 年までに冷蔵庫で中・大型機種を次々投入するほか、エアコンの発売も計画。 15 年には日本の売上高を 300 億円まで増やし、冷蔵庫と洗濯機のシェアも 1 割に伸ばす目標も打ち出した。 この日、販売店向けに開いた展示会には、日本以外で販売中の商品も並べて品ぞろえをアピールした。

日本市場は少子高齢化で縮小傾向が続く。 09 年度の白物家電の出荷額は前年度比 3.5% 減の 2 兆円弱だった。 だが、ハイアール以外にも、LG 電子(韓国)が今秋にも薄型テレビを発売するほか、エレクトロラックス(スウェーデン)が掃除機などの品ぞろえを増やし、販路を量販店にも広げるなど、日本市場への攻勢は続く。 (五郎丸健一、五十嵐大介、asahi = 9-16-10)

ハイアール (海爾集団)〉

1984 年に中国・青島で創業した世界最大の白物家電メーカー。 冷蔵庫と洗濯機の販売台数で世界首位。 165 カ国で製品を販売し、2009 年のグループ売上高は 1,243 億元(約 1 兆 5,300 億円)。 02 年には三洋電機と業務提携し、日本市場に進出。 自社ブランドの製品を販売するほか、三洋ブランドの冷蔵庫も生産している。


ムラタセイコちゃん、S 字平均台スイスイ 新型ロボ発表

村田製作所は 27 日、一輪車にまたがる同社製ロボット「ムラタセイコちゃん」が、S 字にカーブした平均台の上でも上手に移動できるようになったと発表した。 これまでは直線の平均台でないと移動できなかった。 セイコちゃんは身長 50 センチで体重 6 キロ。 一輪車のタイヤの幅は 1.5 センチ。 内蔵カメラが幅 2.5 センチの平均台の S 字を認識し、体をどの程度回転させればいいかを瞬時に計算しているという。 (asahi = 9-28-10)


「洗髪ロボ」で、入院中でもサッパリ パナソニック開発

パナソニックは、髪の毛を自動で洗ってくれる「洗髪ロボット」を開発した。 仰向けになって頭を乗せれば、16 個のもみ玉に仕込んだセンサーが頭の形を読み取り、シャンプーしながら頭全体を心地よくマッサージしてくれる。 29 日に東京ビッグサイトで始まる「国際福祉機器展」に出展、2012 年の市販を目指す。

タッチパネルで髪の長さなどを選択すれば、髪全体にお湯とシャンプーが吹き付けられ、左右8個ずつのもみ玉が約 8 分かけて洗い上げる。 一度使えば好みの洗い方などを記憶する機能もあるという。 病院などで「お風呂は無理でも髪だけでも洗いたい」という要望が多いのに手が回らない、という看護師らの声を受けて開発。 価格は未定だが、介護施設などでの導入も想定しているという。 (asahi = 9-26-10)