諫早水門、常時開門へ 干拓訴訟、首相が上告断念の方針 菅直人首相は 14 日、国営諫早湾干拓事業(長崎県)で潮受け堤防排水門の 5 年間の開門を命じた福岡高裁判決について、上告を断念する方針を固めた。 判決は確定し、干拓の事業主体の農林水産省は 2012 年度にも長期開門調査を実施、常時開門となる方向。 段階的な開門は認めるという同省の路線を抜本的に転換する判断だ。 上告期限は今月 20 日。 菅内閣は 17 日の閣議で上告断念を正式決定する。 それに先立ち鹿野道彦農水相らが 16 日にも長崎県を訪れ、開門に反対している中村法道知事らに上告断念の方針を伝える方向だ。 50 年以上前に構想が浮上し「止まらない大型公共事業の典型」といわれた事業は大きな転換点を迎えた。 菅首相は諫早干拓事業を「公共事業見直しの象徴」と位置づけていた。 農水省は 1 年以上の期間をかける長期開門調査を実施する方針を固めていた。 その際には、門の開き具合や開く期間で水量を調節する段階的な開門方法を採用する考えだった。 だが、6 日の福岡高裁判決で命じられた「5 年間の常時開門」と異なるため、同省は上告する方向で検討を続けていた。 しかし、菅首相は野党時代から諫早湾の干拓問題に強い関心を示し、何度も現地を視察。 02 年には「一般国民は誰も干拓事業が必要とは思っていない。 進めたいのは予算を消化して天下り先を確保している農水省と業者から献金を受けている族議員だけ」と批判。 今回の判決後の 7 日には「私にとっても大変長い間取り組んできた問題であり、いろいろな場面が思い出される。 判決への対応を検討していきたい。」と記者団に語っていた。 最終的には首相が、「開門調査はするが、開門を命じた判決は受け入れない。」という農水省の方針を受け入れず、上告断念が固まった。 農水省と与党が設置した検討委員会は 4 月に「環境影響評価(アセスメント)の上で開門調査を実施することが適当」とする報告書をまとめていた。 その過程では、開門調査の方式を 3 パターンに分けて検討。 その結果、当初から門を全開する方式では、堤防の閉め切りでできた調整池の汚れた淡水が一気に海に流れ込むため、漁業や防災面で悪影響を与えるとされ、対策費が 600 億円以上かかると試算していた。 潮受け堤防から離れた地域の佐賀県などの漁業者は、有明海での漁業悪化の原因を干拓事業と疑い、開門を強く求めてきた。 一方、干拓地で営農する農業者や長崎県側は開門に一貫して反対しており、開門調査の問題は長年地元を二分してきた。 民主党内でも佐賀県連と長崎県連で対応が分かれている。 (asahi = 12-15-10) ◇ ◇ ◇ 諫早干拓訴訟、二審も開門命じる 福岡高裁 国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、有明海沿岸の漁民らが潮受け堤防の撤去や堤防排水門の常時開門を求めた訴訟の控訴審判決が 6 日、福岡高裁であった。 古賀寛裁判長は 5 年間の常時開門などを命じた一審・佐賀地裁判決を変更したうえで、改めて国に開門を命じた。 干拓事業と有明海の漁業環境の悪化との間の因果関係や事業の公共性が争点だった。 2008 年 6 月の一審判決は、有明海全体への影響は認めなかったが、諫早湾内と付近に限り「漁船漁業やアサリ漁、養殖漁業の環境を悪化させた」と判断。 環境変化の調査期間などとして、判決確定から 3 年以内に 5 年間の常時開門を命じていた。 この訴訟は、1997 年に諫早湾が堤防で閉め切られた後に発生したノリの凶作などを受け、漁民らが 02 年に工事差し止めを求めて佐賀地裁に提訴。 工事の進行を踏まえ、請求内容を「潮受け堤防の撤去」と、堤防にある南北の各排水門の「常時開門」に変更していた。 一審後、国側と原告側がともに控訴。 控訴審で国側は「漁業不振には複数の原因がある」と指摘。 事業に高い公共性があると主張した。 原告側は「漁業被害の発生は明白で、干拓事業に防災効果はない」などと反論。 開門が新たな水質悪化を招くとの指摘に対し、防災機能を保つために徐々に開ける「段階的開門」を提案していた。 干拓事業は農林水産省が水害などの防止と農地造成を目的に 89 年に着工。 約 7 キロの潮受け堤防で諫早湾内の 3,550 ヘクタールを閉め切り、干拓地と調整池を設けた。 総事業費は 2,533 億円で、07 年に完工した。 干潟部分 672 ヘクタールが農地となり、08 年 4 月から営農が始まった。 (asahi = 12-6-10) 市街地の古い看板 5 枚、景観重要広告物に認定 大津市 ![]() 大津市内に残る古い看板を未来に残そうと、市は市街地の商店の看板 5 枚を「景観重要広告物」に認定した。 看板を歴史遺産として公的に認定するのは全国的に珍しいといい、受賞者も「思いもよらなかった」と驚く。 昨年 4 月に中核市になったのに伴い、市は看板など広告物の設置を認可するようになった。 「どうせなら歴史的な看板を表彰しよう」と、今夏に優れた看板を公募。 約 80 件の応募の中から 2 カ月かけて審査してきた。 選ばれたのは、▽ 漬物店「八百与(やおよ)」(長等 2 丁目)、▽ ふなずし専門店「元祖 阪本屋鮒寿司」(長等 1 丁目)、▽ 和菓子店「鶴里(かくり)堂」(京町 1 丁目)、▽ 和菓子店「御饅頭処(おまんじゅうどころ)餅兵(もちひょう)」(中央 2 丁目)、▽ 歯科医院「石田歯科医院」(中央 1 丁目) - - の 5 枚。 設置から 75 - 140 年ほどたっており、歴史的な景観作りに貢献していると評価された。 「八百与」は 1850 (嘉永 3)年創業。 大正時代から昭和初期にかけて近江かぶらのかす漬け「長等漬」と千枚漬を宮内庁におろしてきた。 看板には「宮内庁御用達」とある。 6 代目店主の小倉秀一さん (60) は「看板はどこのものより古いと自負してきた。 でも、市から正式に認定されると、やっぱりうれしいですね。」と笑顔で話した。 審査委員長の美術家、石川亮さんは「東海道で一番初めの宿場町の大津には『見られる』という意識が高いのか、質のいい看板が多い。 技術的に優れているのと同時に、ものを大事に扱う文化も育まれているのだと思う。」と話している。 受賞作や他の応募作品、最近作られた看板やのれん、ちょうちんなどの写真は、17 日まで大津市浜大津 1 丁目の旧大津公会堂で公開している。 (高橋玲央、asahi = 12-12-10) 地方 3 公社の借金 7.6 兆円 自治体が 4.4 兆円保証 地方自治体が出資する土地開発公社、住宅供給公社、道路公社の地方 3 公社のすべて(計 1,112 公社)について朝日新聞が調べたところ、総額 7 兆 6,461 億円の借金を抱え、うち 4 兆 4,082 億円を自治体が債務保証していることがわかった。 国の後押しもあり各地では公社の解散が進んでいるが、財政規模の小さい自治体では借金が重荷となって解散すらできず、公社の借金だけが膨らみ続けるという深刻な実態が明らかになった。 朝日新聞が全国の自治体に取材して集計した。 結果、2009 年度決算時で 3 公社が抱える借金は、土地開発公社(1,020 公社)が 3 兆 2,074 億円、住宅供給公社(51 公社)が 1 兆 8,376 億円、道路公社(41 公社)が 2 兆 6,010 億円だった。 いずれも、バブル崩壊後の事業の失敗や停滞が主な原因だった。 公社が抱える借金のうち、自治体が公社へ委託した事業で生じたものは、自治体が金融機関への「保証人」となり、公社が返済不能となった場合の返済を保証する。 その額は土地開発公社で 2 兆 5,609 億円、道路公社で 1 兆 8,473 億円にのぼった。 地方 3 公社の多くは全国でインフラ開発が進んでいた 70 年代前後に設立された。 その後の公共事業の縮小や人口減少で、多くの公社が役割を終えたり、需要が予測を下回って採算割れしたりしている。 国は 09 年度から、公社解散時に残った借金を自治体が肩代わり返済する目的で起債し、長期償還できる第三セクター等改革推進債(三セク債)制度を導入、解散を促している。 朝日新聞の調べでは、今年 4 月時点で都道府県や政令指定都市にあった 154 公社のうち、今年度だけで 11 公社が解散・破産し、さらに 12 公社が来年度以降の解散を決めていた。 昨年度までの過去 5 年間では 12 公社しか解散しておらず、今年度以降に解散の動きが加速していることがわかる。 一方、指定市以外の市区町村にある土地開発公社の解散は足踏み状態だ。 958 公社(今年 4 月時点)の解散数は今年度までの過去 5 年間で年 17 - 30 件(市町村合併時を除く)で推移しており、来年度以降の解散を決めているところも 12 公社にとどまっている。 解散後の公社の借金は、債務保証分以外も含めて自治体が背負うことになるため、財政規模の小さな市区町村は、公社の解散が急激な財政悪化を招くとして、存続させているところが目立った。 (高野遼、歌野清一郎、asahi = 12-9-10) 竹原・阿久根市長のリコール成立、即日失職 市長と市議会の対立が続く鹿児島県阿久根市で 5 日、竹原信一市長 (51) の解職の賛否を問う住民投票が実施され、即日開票の結果、賛成票(7,543 票)が反対票(7,145 票)を上回り、解職が成立した。 竹原氏は即日失職した。 当日有権者数は 1 万 9,756 人で、投票率は 75.63% だった。 今後の焦点は、来年 1 月に予定される出直し市長選に移る。 竹原市長は同日午後 11 時すぎに同市内で記者会見し、「また次に選挙があります」と述べて敗北宣言をした。 半年近く議会を招集しないまま条例や予算を専決処分で決めた手法、議会との対立が招いた市政の混乱を、市民は否定した。 首長と議会の関係を見直す地方自治法改正論議にも影響した「阿久根騒動」は、一つの節目を迎えた。 ただ、竹原氏は出直し市長選に立候補する意向を表明している。 解職請求(リコール)運動を進めてきた市民団体「阿久根市長リコール委員会」の監事、西平良将氏 (37) も立候補する意向で、騒動の決着は年明けになる。 竹原氏は市議 1 期目の 2008 年 8 月、「市役所・市議会改革」を公約して市長選で初当選。 就任直後、議員定数を 16 から 6 に減らす条例改正案を議会に提案し、否決されて対立へ。 09 年 4 月、議会から 2 度目の不信任決議を受けて失職したが、翌 5 月の出直し市長選で再選されると強権的な姿勢を強めていった。 課ごとに人件費総額を記して張り出していた紙をはがした職員を昨年 7 月、懲戒免職処分にした。 職員が訴えた裁判で「処分は不当」とする判決が出ても「裁判所に自治はできない」と無視した。 今年 3 月から議会出席を拒否。 知事から 2 度の是正勧告を受けて 8 月末に臨時議会を開くまでに、市長と市職員、市議のボーナス減額や市議報酬の日当制(日額 1 万円)導入、来年度からの固定資産税率引き下げ、副市長選任など十数件を専決処分で決めた。 その多くを議会側は「議決が必要なのに議会招集の要請にも応じず、違法性が高い」として承認しなかったが、竹原氏は「専決の効力が優先する」として撤回しなかった。 こうした手法は「独善的」だとして 8 月、リコール委を中心に市長解職請求の署名集めが始まり、有権者の半数を超す 1 万 197 人分の署名が集まった。 リコール委は 10 月、市選管に本請求した。 リコール委側は「反対意見を言う人を排除する竹原市長には市長、リーダーとしての資質がない」と批判。 竹原市長を支持する市民や市議は「改革を止めるな」と、解職阻止をめざして街宣活動を行ってきた。 (asahi = 12-5-10) 公共事業費を 1 割削減へ 財務相方針、2 年連続で大なた 野田佳彦財務相は 1 日、来年度予算の公共事業費について、今年度予算の約 5.7 兆円から 1 割程度減らす方針を固めた。 公共事業費は、民主党が掲げた「コンクリートから人へ」を実現するため、今年度予算でも前年度より 2 割近く削減。 厳しい財政事情を反映し、2 年連続の大幅カットとなる。 菅内閣は 6 月に閣議決定した「財政運営戦略」で、来年度予算の歳出額について国債費を除いて 71 兆円以下に抑えることを決めている。 各省庁の予算要求額は、高齢化に伴って 1.3 兆円増える社会保障費を含めて 72.6 兆円にふくらんだ。 これを 71 兆円の枠内に抑えるには、公共事業費をいっそう削減するしかないと判断した。 1 割削減が実現すると、公共事業費は、ピークだった 1997 年度予算の約 9.7 兆円から 5 割近く減ることになる。 来年度の公共事業費について、各府省は今年度予算とほぼ同額の約 5.7 兆円を要求。 その大半は国土交通省(約 4.8 兆円)と農林水産省(約 0.6 兆円)が占めている。 財務省は、菅内閣が「成長戦略」に盛り込んでいる国際的なコンテナ港湾や大都市圏の道路の整備などには、優先して予算配分する方針。 地方の道路・港湾の整備、農業土木などが削減の対象になりそうだ。 8 月末の概算要求で、各省庁は既存予算の 1 割削減を求められたが、公共事業費はすでに大幅に減らしているとして、前原誠司国土交通相(当時)は反発。 前年比横ばいで要求した経緯があるが、菅内閣として、削減を徹底しなければ、予算が組めなくなるという事情を優先する方針に切り替えた。 ただ、景気の先行きに減速懸念が出ているなかで、民主党や地方自治体などの反発が強まるのは必至だ。 (高田寛、asahi = 12-2-10) 橋下知事、民主のハローワーク移譲方針撤回に激怒 橋下知事は 1 日、民主党の地域主権調査会がハローワークの事務や権限を地方に移譲せず国が引き続き行う、と提言をまとめたことについて「初めて政権をとって感覚がまひし、わざと統一地方選で負けようとしているのでは」と述べ、怒りをあらわにした。 11 月 29 日の地域主権戦略会議で菅直人首相が出先機関の地方への移譲に意欲を示したばかり。 橋下知事は 1 日発足した関西広域連合について「こういう動きを抑えるため、広域連合が政治的に権限移譲を迫れるよう力を蓄えないと」と期待を寄せた。 兵庫県の井戸敏三知事は広域連合設立について「地方発分権改革の先導、と評価されるよう取り組んでいきたい」とコメントを出した。 (asahi = 12-1-10) 地方への財源配分要望が続出 菅政権初の全国知事会議 菅直人政権になって初めての全国都道府県知事会議が 22 日、官邸で開かれ、国会で継続審議扱いのままになっている地域主権改革関連 3 法案の早期成立など、全国の知事たちから菅政権に対する注文が相次いだ。 会議は約 4 時間にわたり、政府側からは菅首相、片山善博総務相らが出席。 地域主権改革関連法案の扱いについて片山氏は「限られた国会日程のなか、法案処理はタイムリミットのあるものからやらざるを得ないが、できるだけ早くやりたい法案のなかには 3 法案も入っている」と釈明した。 各知事からはこのほか、地方交付税の増額をはじめ、将来的な消費増税にともなう地方消費税(5% のうち 1%)の拡充など、国から地方への財源配分要望も続出。 こうした要望に対し、片山氏は「地方税は全く今のまま、国税だけ上げるというのはバランスを欠く。 自治体側も地方税についてどうするのかを真剣に考えていただきたい。」と逆注文する場面もあった。 (asahi = 11-22-10) B 級の B はビーフの B 鳥取で「牛食の祭典」 牛肉を用いた B 級グルメを究める人たちが「県境なき牛団(うしだん)」という団体を結成し、鳥取市で「牛食の祭典」を開いた。 兵庫、鳥取、広島の 9 団体が参加。 専門サイト「ウシペディア」(http://www.usipedia.jp/)も立ち上げ、地域を超えた「牛食愛」を発信する。 中心的な役割を果たしているのは、鳥取市で B 級グルメ本を出版する植田英樹さん (40)。 B 級グルメの雑学を競うテレビ番組でチャンピオンに輝いた経験を持ち、その幅広い人脈で牛肉を使った各地のご当地グルメ団体に参加を呼びかけた。 「B-1 グランプリ」のような集客力のある祭典に育てるのが目標だ。 今月 1 日に発足した「牛団」には、植田さんがこよなく愛する鳥取のホルモン入り焼きそば「ホルソバ」や、牛肉を巻いたものもある郷土食「とうふちくわ」、兵庫県佐用町の「ホルモン焼きうどん」、ご飯の上にビフカツをのせた兵庫県加古川市の「かつめし」、牛のひき肉を使った広島県府中市のお好み焼き「備後府中焼き」など九つの振興団体が参加する。 牛団の結団式を兼ねた祭典は 20、21 両日の午前 10 時 - 午後 3 時、鳥取市若葉台北 1 丁目の鳥取環境大学周辺で開催。 都合で参加できないホルモン焼きうどんを除く 8 団体が出店する。 加盟団体ではないが、牛すじ入りの「姫路おでん」も友情出店して盛り上げる。 植田さんは「牛食を愛し、牛食で地域を盛り上げたい人はぜひ牛団に参加して」と呼びかける。 年 1 回、加盟団体のご当地での開催を目指すという。 (井石栄司、asahi = 11-20-10) 「6 次産業」農家、収入増へ自ら生産・加工・販売 第 1 次産業(農林業)、2 次産業(製造業)、3 次産業(小売業)の性格をあわせ持つ「6 次産業」が注目されている。 農家が育てた作物を農協などに売るだけでなく、加工や消費者への販売まで自らやって利益を上げる手法だ。 頭打ちの収入を少しでも伸ばそうと取り組む人が広がっており、加工を手がける生産者はこの 5 年で 4 割増えた。 京都市の農家が設立した農業生産法人「こと京都(山田敏之社長)」は、九条ねぎに、使いやすく刻むカットの手間を加えて成長した。 12 月には新工場を稼働させる。 これまでは業務用だけだったが、スーパーなど消費者向けにも販路を広げる予定だ。 カットネギを始めたのは 2000 年。 山田氏はその 6 年前にアパレルの営業マンから実家の農業を継いだが、休みなく働いても収入は年 400 万円程度。 売り上げ増を狙って作付けを九条ねぎに絞り、さらにカットに目を付けた。 東京のラーメン店へ飛び込み営業をすると、ラーメンブームにも後押しされて売り上げが急増した。 昨年の売上高はネギだけで 2 億 7 千万円。 将来の目標は 10 億円だ。 滋賀県甲賀市の農業法人「甲賀もち工房」は、複数の農家が集まって加工、販売を手がける。 94 年に活動を始め、06 年に法人化した。 契約農家から市場の 5 割以上高く仕入れたもち米を使い、正月用の餅のほか草餅や米粉のめんを作って直売施設で売る。 「売り上げは、もち米をそのまま売る場合の 2 倍以上(広報担当者)」という。 大阪府枚方市には、全国に広がる農家レストランの先駆け的存在である農園「杉・五兵衛」がある。 約 5 ヘクタールの敷地に従業員ら約 50 人が働き、敷地でとれた作物を使った料理を提供する。 「市場に出荷するだけの農家だったら、ここまで人は雇えなかった」と野島五兵衛社長は話す。 農林水産省によると、08 年度の農業の国内生産額は 9 兆 8 千億円。 一方、流通や外食までを加えた農業・食品関連産業の国内生産額は 99 兆 2,300 億円。 国内には輸入農産物も流通しているので単純比較はできないが、市場規模は農業生産の 10 倍以上ある。 転売の過程で付加価値がつくことが大きな理由の一つだ。 6 次産業は、その付加価値を農家自らがつける試みだ。 農林水産省が 5 年ごとに行う農林業センサスによると、加工を手がける農業者や農業集団の数は、10 年は 5 年前の約 43% 増の 3 万 4 千となった。 近畿農政局は「生産量の拡大より、『質』の向上を目指す人が増えた」と分析する。 ただ、課題も多い。 農家が加工、販売まですれば在庫をかかえるリスクも抱え込む。 甲賀もち工房では 2 年前、おつりの手間を省こうと草餅の価格を数十円上げて切りのいい額にしたところ、ぱたりと売れなくなった。 担当者は「値上げ理由がしっかり説明できないと消費者に受け入れてもらえない」と話す。 また、商品への苦情も直接、受けることになる。 販売まで手がけるある農業者は「私たちが大したことないと感じても消費者はとんでもないと考えることも多い。 細心の注意が必要。」と話す。 (田幸香純、asahi = 11-2-10) ◇
知事会、規制骨抜きへ一斉特区作戦 保育ママ事業など 地域活性化などを目的とする国の構造改革特区の申請を、複数の都道府県が同じ内容で一斉に申請する。 全国知事会(会長 = 麻生渡・福岡県知事)が 2 日、地方分権推進特別委員会を開き、申請する提案項目を決めた。 特区制度を使い、事実上国の規制を骨抜きにしてしまおうとの狙いだ。 7 月の全国知事会議で橋下徹・大阪府知事が「地方がまとまって行動しないと国は動かせない」と提案し、検討してきた。 この日決まった提案は、▽ 自宅などで少人数の子どもを預かる「保育ママ事業」について、9.9 平方メートルの保育専用の部屋が必要としている規制の緩和、▽ 障害者の就労を支援する事業所を社会福祉法人だけではなく、NPO 法人などでも開設できるようにする、など計 23 件。 申請の締め切りの 17 日までに提案ごとに参加する都道府県を募るが、すでに 34 - 46 の自治体が同調を決めている。 (asahi = 11-2-10) 地方空港、税金で国際線維持 16 空港、計 6.6 億円 国際線が乗り入れている全国 22 の地方空港を調べたところ、海外航空会社に対する着陸料や施設利用料の減免など自治体の支援が 2009 年度に少なくとも 16 空港で計 6 億 6 千万円に上ったことがわかった。 搭乗率がわかった 52 路線中 8 割近い 40 路線では採算ラインとされる 65% を下回っていることも判明。 利用の低迷を税金で穴埋めして路線を維持する構造が広がっている。 これまで海外航空会社の路線は羽田、成田の両空港の発着枠が小さいため地方空港に流れていた。 だが、10 月 31 日に国際定期便が復活した羽田や発着回数が増える成田空港への集中が進むことは必至。 生き残りをかけた地方空港間の支援競争に拍車がかかり、国際線からの撤退を迫られる空港が出てくる可能性もある。 定期国際線をもつ地方空港のうち、中核的な新千歳、福岡を除く 22 空港を対象に朝日新聞が 09 年度の座席利用率(搭乗率)と海外航空会社に対する支援を地元の自治体などに聞いた。 自治体からの計 6 億 6 千万円の支援は、1 回の着陸にならすと 6 万 - 7 万円となる。 地方空港の国際線で多く利用される約 140 人乗りの機体だと、航空会社が本来支払うべき着陸料は 1 回 12 万円前後だ。 支援の内訳をみると、12 空港で経営の根幹となる着陸料を減額、補助しており総額は計 2 億 6 千万円。 うち着陸料が国に入る「国管理」の 5 空港は、国による減額のうえに自治体が補助している。 着陸料支援は、地方空港同士が競争する形で年々拡大している。 福島空港は 09 年度から値引き率を 2 分の 1 から 15 分の 14 まで引き上げた。 隣県との競合で 4 年間で利用者が 4 割減ったことで危機感を強め、近隣で最も着陸料を減免している秋田空港並みにした。 静岡県も 9 月、昨年の静岡空港開港時から実施している 3 分の 2 の減額を拡大する検討に入った。 ターミナルビル賃料の減額・補助も少なくとも 9 空港で約 2 億 8 千万円あった。 運航支援金、地上業務の経費補助なども 1 億円を超す。 (後藤遼太、asahi = 11-1-10) コスプレ列車、丹後を走る この格好で観光も … ![]() 北近畿タンゴ鉄道 (KTR) は 31 日、アニメの登場人物らに扮した「コスプレーヤー」を乗せた貸し切り列車を西舞鶴 - 宮津駅間で走らせた。 あいにくの雨模様の中、10 - 30 代の男女約 40 人が途中下車しながら京都府宮津市内の景勝地や酒蔵の観光を楽しんだ。 若者を呼び込もうと、参加費 1,500 円の「コスプレ列車」を企画。 インターネットのサイトなどで参加者を募ったところ、奈良、愛媛、新潟などから若者が集まった。 8 月に天橋立でコスプレ交流会を開き、今回も協力した天橋立観光協会の宮崎美帆さん (33) は「コスプレーヤーは自らの姿を写真にとり、サイトに載せる。 幻想的な丹後の景色も写れば、観光 PR にもなる。」と効果に期待する。 初めて丹後地域を訪れたという兵庫県尼崎市の女性 (27) は「コスプレで観光できて楽しかった。 奈具海岸の眺めは迫力があった。 晴れた日にもう一度来てみたい。」と話していた。 (平畑玄洋、asahi = 11-1-10) 彦根ゆるキャラ、雨でも盛況 商店街ではユルイアスロン ![]() 滋賀県彦根市の中心商店街で開かれている「ゆるキャラまつり in 彦根」 2 日目の 24 日は、全国のゆるキャラ 160 体が登場。 午後から雨が降り出すあいにくの天候だったが、前日を上回る約 4 万人の観客が繰り出した。 2 日間を通じた観客数はこれまでで最多の約 7 万 5 千人(いずれも主催者発表)で、衰えを知らぬゆるキャラ人気の高さを見せつけた。 水に弱いゆるキャラたちはブースや控え場所に避難したが、傘をさしかけられながら練り歩くキャラもいて、最後まで人波が絶えなかった。 会場周辺の花しょうぶ通り商店街では、サブイベントとして 3 種競技「ユルイアスロン」を開催。 商店街の通りに設けられたコースで、3 人一組のチームがゆるキャラの応援を受けながら、サイダーの早飲みや三輪車の運転の速さを競った。 (asahi = 10-25-10) ◇ ◇ ◇ ひこにゃん、フランス人もメロメロ 人気投票で 1 位に 滋賀県彦根市のひこにゃんが、パリで今夏あった「ジャパン・エキスポ」の来場者アンケートで、日本各地の 33 のゆるキャラ中、人気第 1 位となった。 ![]() 日本のマンガとアニメを愛するフランス人たちが集う祭典で、新たにゆるキャラを売り込もうと、財団法人・自治体国際化協会が企画。約 1,200 人から回答があり、112 票を獲得した。 「サムライ姿がいい」などが理由で、30 票 20 位だった奈良県のせんとくんなどを引き離した。 今年4歳のひこにゃん、世界進出も夢でない? (9-29-10) マツタケ大豊作 山中の群生地、まるでシメジ ![]() 岩手県沿岸地域でマツタケが大豊作だ。 シーズン当初の 9 月 20 日ごろはまったくだめだったのに、10 月に入ると一転。 まるで雨後のタケノコのような状態に。 アカマツが生い茂る田野畑村の山では、シメジのように群生したものも。 元郵便局長の早野一弘さん (63) はこの 36 年で初めて 1 千本超を収穫。 例年の 5 倍だ。 猛暑が過ぎて適温になり、雨も適度だったためらしい。 だが、普段は 1 キロ 3 万円前後の取引価格が今年は 1 万円以下という。 「喜んでばかりもいられない。」 (asahi = 10-12-10) ご当地検定、曲がり角 受検者減り採算悪化、各地で中止 全国でブームとなった「ご当地検定」が曲がり角を迎えている。 地方の活性化策として 2005 年前後から各地に誕生したが、受検者の減少による採算悪化から、中止に追い込まれる検定が相次いでいる。 せっかく合格した人が知識を生かす機会がないなど、一時的な客寄せだけに終わってしまうケースも少なくないようだ。 沖縄の文化や歴史をテーマにした「沖縄大好き検定」は今秋に予定していた試験の中止を決めた。 地元の大学関係者らが 08 年に始め、年 1 回実施。 初回は 1,035 人が受検したが、昨年は 514 人に半減していた。 公式ガイドブックも出版し、1 - 3 級の各合格者には認定証を発行。 観光の振興や、地元の人が郷土を理解するために役立てたいという趣旨だった。 だが、合格者が公的な観光ガイドとして働けるような仕組みもなく、受検する意義を打ち出せなかった。 東京や大阪にも受検会場を設けるため、事業費は 1 回につき 500 万円程度は必要。 行政の助成もなく、3 年目で行き詰まった。 ユニークさで注目を集めた検定も状況は厳しい。 松葉ガニで有名な兵庫県香美町の「香住! カニ検定」も今年、姿を消した。 地元観光協会などが主催。 試験後に受検者全員が参加できるカニ食べ放題も話題になったが、07 年から実施 3 回で受検者は半減。 担当者は「町外へのカニの宣伝効果はあったと思うが、それ以上の展開はできなかった。」 筆記試験を通過すると、黒豆の収穫体験などができる兵庫県篠山市の「黒まめ検定」は今年の試験実施を見送った。 成績上位者は「黒まめ博士」とされるが、それ以上のメリットはない。 「このまま続けても受検者数はじり貧。 今年の実施はやめて、内容を見直す時間が欲しかった。」と担当者はいう。 ■ 地元観光業界が頼り 財団法人「地域活性化センター(東京)」によると、04 年に誕生した「京都・観光文化検定試験」がブームの火付け役。 08 年の調査では、全国で約 240 件の検定があった。 さらに 300 件ほどに増えたとみられる。 実施主体は地元の商工会議所や自治体が半分以上を占める。 受検者減少は各地で共通の悩みだ。 全国最大級の京都検定でも、受検者は当初の 1 万人強から半減した。 同センターの石橋義浩・コンサルタント業務課長は「受検者の大半は地元の人。 観光地として全国区の京都でさえ、頭打ちになるのは当然。」と指摘する。 どの検定も、受検者減少を食い止めるためにまず頼るのは地元観光業界だ。 「金沢検定」の場合、地元ホテルやタクシー業界などに、ビジネス検定としての利用を呼びかける。 石橋課長は「合格者の活用方法が一番の課題。 公的ガイドへの登用などが求められる。 検定を受検する目的を明確にするのが重要ではないか。」 03 年、全国の先駆けとして始まった「東京シティガイド検定(東京観光財団)」。 合格者有志が NPO 法人をつくり、ボランティアで都内観光のガイドを務める。 こうした動きとは別に、参加する楽しみに目的を絞った検定もある。 年 2 回開催される神奈川県小田原市の「小田原まちあるき検定」は、毎回 50 人程度が受検。 朝から町を歩いて、昼に名物を食べ、午前中に学んだことを簡単に試験して、おみやげを持って帰る。 合否はない。 ◇ ご当地検定に限らず、地域活性化のアイデアには各地が悩み続けている。 つい飛びついてしまうブームの移り変わりは激しい。 検定の次は「ご当地ヒーロー」。 その後、滋賀県彦根市のキャラクター「ひこにゃん」などの「ゆるキャラ」が乱立した。 今は「B 級グルメ」がブームのまっただ中。 07 年に始まった「東京マラソン」の成功にあやかり、市民マラソン大会も各地で盛んだ。 民間シンクタンクのブランド総合研究所(東京)の田中章雄社長は「単にブームにのるだけでは、失敗が目に見えている。 ご当地検定などで地域をアピールすることを、地元のどの産業の活性化に、どう結びつけるか、という明確なシナリオが求められる。」と語る。 (湯地正裕、asahi = 10-9-10) 阿久根市長リコール署名過半数、住民投票へ 市選管集計 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長の解職(リコール)を求め、市民団体「阿久根市長リコール委員会(川原慎一委員長)」が集めた署名について、同市選管は 5 日、有効数は 1 万 197 人分だったと発表した。 市長解職の是非を問う住民投票の実施に必要な有権者の 3 分の 1 (6,646 人分)を上回り、有権者(9 月 2 日現在で 1 万 9,836 人)の半数を超えている。 異議申し立てなどの手続きを経て、リコール委は早ければ 14 日にも住民投票を本請求する意向だ。 選管は署名簿を 6 日から 7 日間、市役所で公開し、異議申し出を受け付ける。 署名数はこの手続きを経て最終的に確定する。 住民投票は本請求の翌日から 60 日以内に行われることになっており、順調なら 12 月上旬になる公算が大きい。 (asahi = 10-5-10) ◇ ◇ ◇ 阿久根市長、今度は「司法尊重」 … 副市長専決の適否で 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が 23 日、専決処分で副市長に選任した仙波敏郎氏 (61) とともに鹿児島市の県庁を訪れた。 竹原市長は「25 日に臨時市議会を開くことを報告に来た」と伊藤祐一郎知事との面会を求めたが、知事は「(市長の解職を求める)直接請求(リコール)が始まった段階であり、お会いできない」と断った。 竹原市長らの訪問は、伊藤知事が 20 日、専決処分による副市長選任を「違法性が強い」と指摘したことに抗議する目的もあったという。 竹原市長は面会を断られた後、県庁で会見し、「法治国家であり、(選任が)違法かどうかは司法が判断することだ」、「知事でも、政府高官でも(違法かどうかは)言えない」と語った。 面会の申し入れはこの日午前 8 時半ごろにあり、県側は同 9 時ごろ「お会いできない」との知事の言葉を伝えたという。 しかし午後 1 時すぎに竹原、仙波両氏は県庁 5 階の秘書課を訪ね、取り次いだ知事公室長に「知事は公の場で『副市長選任は違法性が高い』とコメントした。 これは、リコールの応援をするものだ。」と抗議した。 知事公室長は伊藤知事の言葉として、「はっきり『お会いできない』と言っているのに、あえてお見えになるのは、明らかなパフォーマンスではないか」と伝えた。 竹原市長は昨年 12 月に障害者の出生を否定するかのような自身のブログが問題になってから、一部の報道機関を除き、取材に応じなくなっていた。 報道陣に「なぜ今日は会見に応じたのか」と問われると、「うその記事を書いたり、本当にひどかった。 マスコミに対する不信感だ。 それは払拭(ふっしょく)されていない。」などと述べた。 また、仙波氏を専決処分で選んだことの適否について、竹原市長は「司法判断を尊重する」と説明したが、懲戒免職にした係長(今月復職)を巡り、これまで、復職などを命じる司法判断を無視していた点との整合性を記者に問われると、「別の次元の話だ」と反論した。 (asahi = 8-23-10) ◇ ◇ ◇ 阿久根市の行く末は … リコール手続き、まち再び揺れる 混乱を続けた市政に、終止符を打つことになるのか - -。 議会を開かないまま専決処分を重ねるなどしてきた鹿児島県阿久根市の竹原信一市長のリコールに向けて 16 日、市民が動き始めた。 ただ、市長を支持する声は、今も根強い。 この 2 年近く市長派、反市長派に割れてきた人口約 2 万 4 千人のまちは、再び揺れている。 午前 9 時。 リコール委の委員長を務める川原慎一さん (42) が、リコール委の仲間 4 人と市庁舎内にある市選管事務局の入り口に立った。 一礼し、入室する。 左腕には、今回の運動用に自分たちで新調した「Recall (リコール)」と書かれた黄色の腕章が巻かれていた。 「竹原市長は 2 度にわたる選挙で市民に選ばれました。 市民は官民格差の是正を柱とした『改革』に期待したが、やり方があまりに独善的であります。」 流れる汗をぬぐおうともせず、用意した請求理由を 3 分ほどで読み上げる。 自身を解職請求の代表者とする申請書を選管側に提出した。 市内でギフト店を営むかたわら 4 年前から市の PTA 連絡協議会の会長を務める。 竹原市長が市議だった時代からつきあいがあり、教育問題への熱意は感じていたという。 が、昨年 5 月に出直し選挙で再選を果たすと、竹原市長の政治手法は強引さが目立ち始めた。 障害者の出生を否定するような市長のブログ記述が問題になった際は、謝罪を求めに市庁舎に出向いた。 しかし、市長は面会に応じず、姿を見せなかった。 「竹原市政の先に展望は見えない。」 今年 1 月、20 - 40 代の約 50 人と竹原市長のリコールを視野に入れた市民団体を立ち上げた。 「阿久根の将来を考える会」、これがリコール委に発展した。 竹原市長は議会への出席をボイコットしたり、議会を開かないまま専決処分を繰り返したりし始めた。 知事に違法性を指摘され、今月末に臨時議会を招集すると公表し、懲戒免職にした係長は復職させたが、体質は変わっていないとみている。 事前の取材に川原さんは「私も商売をやっており、(運動の失敗や支持者の反発を想像すると)正直怖いが、子どもたちに、どうこの阿久根をバトンタッチするかを第一に考えることにした」と漏らしていた。 16 日の届け出を終えた川原さんは、取材に「リコール活動を宣言して以来、道のりは正直長かった。 運動はこれからだが、身の引き締まる思いだ。」と緊張感を漂わせた。 一方、2 日に就任した元愛媛県警巡査部長の仙波敏郎副市長は、午前 9 時 45 分から、市庁舎の大会議室で記者会見を開いた。 竹原市長の「市民が市政に関心をもって頂くのは結構なことだ」とするコメントを公表し、「市長は前から予定していた公用で出かけて不在」と語った。 会見場には約 30 人の報道陣が詰めかけた。 リコールが始まることへの見解を問われた仙波副市長は「市民への市政に関する説明が不十分であったために運動が始まったわけで、改めるべきは改めないといけない」と語った。 それでも、表情に不満の色は隠せなかった。 「もう少し様子を見てもよかったのではないか。 臨時議会も(25 日に)開くし、(懲戒免職にした)係長も復職させた。 職員労組との窓口も復活させる。 大きな争点はクリアしている。 何が争点なのか。 不思議だ。」と市長を擁護した。 市民の反応は割れている。 阿久根市議会(定数 16)のうち、反市長派は 12 人、市長派は 4 人とされる。 市長を支持する男性 (72) は「リコールは仕方ない。 反対派市議が先導しているのだから。」 だが住民投票が実施されても解職賛成は過半数に至らないとみる。 「それだけ市長への支持は根強い。 市長はいいことばかりしてくれている。」 一方、市長を支持しないという自営業の男性 (56) は「今のままじゃよくない」とリコール成立に期待する。 「何でも自分の考えを押し付ける市長ではいけない。 ただ解職が成立して市長選になっても、問題は、次の市長に誰がなるかだ。」 (asahi = 8-16-10) ◇ ◇ ◇ 阿久根市長問題「看過できぬ」 総務相、対応検討へ 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が議会を開かず専決処分を連発している問題で、原口一博総務相は 30 日の閣議後の記者会見で「違法な状況が続くことは看過できない。 どのように対応できるか検討したい。」と述べた。 同省は 2 度にわたる県の是正勧告にも従わない市長の姿勢を問題視し、具体的な対応策を検討する考えを示したものだ。 原口総務相は、竹原市長が副市長人事を議会に諮らず決めたことを例に引き、「議会に託された民意に反して(人事を決定)することはできない。 法が破られることを非常に危惧(きぐ)している。」と指摘。 「副市長は議会の同意を得て選任する」と定めた地方自治法に反するとの認識を示し、「法の違反といわれる事態について、どのように対応できるか検討したい」と話した。 (asahi = 7-30-10) |