米にデフレリスク、景気後退の恐れも 内閣府が報告書 内閣府は 27 日、海外経済の動きを分析した報告書「世界経済の潮流」をまとめた。 米国については、消費者物価上昇率(食品とエネルギーを除く)が 10 月時点で前年比 0.6% になっていることに触れ、「物価上昇率がさらに低下し、(物価が継続的に下がる)デフレに陥るリスクがある」として、米国経済の先行きに強い懸念を示した。 報告書は米国の 2011 年の実質経済成長率を 2% 台前半と予測。失業率は 11 年 9% 前後、12 年 8% 前後と高止まりし、賃金も伸び悩むと見ており、「大幅な需要不足の存在を考慮すると、物価上昇率はさらに(現状から)低下する可能性がある」とした。 また、今年末で失効する「ブッシュ減税」延長問題にも触れ、オバマ政権が、中間選挙後に米下院で過半数を握った野党共和党と対立を続け、延長法案などを米議会で可決させられなければ、「増税と同じ効果をもたらし、(緩やかに持ち直している)景気が再び後退する恐れがある」と指摘した。 (asahi = 11-27-10) 米 FRB、成長率見通しを大幅に下方修正 10・11 年 【ワシントン = 尾形聡彦】 米連邦準備制度理事会 (FRB) は 23 日、追加金融緩和を決めた 2 - 3 日の連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事録要旨を公開した。 FOMC 内で追加金融緩和の効果を疑問視する意見があったほか、ドル安につながるとの見方も出ていたことが明らかになった。 一方、FRB は同時に公表した米経済見通しで、2010 年と 11 年の成長率見通しを大幅に下方修正した。 FRB は 3 日の FOMC で、11 年 6 月末までに国債を 6 千億ドル(約 50 兆円)分購入する追加金融緩和を打ち出した。 議事録によると、大半の参加者は長期国債購入が金利低下を通じて景気を刺激する効果を認めたが、一部の参加者は追加購入が景気の回復ペースに与える影響は限定的と予測していたという。 また、一部の参加者からは「ドルの価値下落につながる可能性がある」との指摘もあった。 米国の追加金融緩和を巡っては、「ドル安と新興国の通貨高をもたらす」との批判が新興国などで高まっていたが、FRB 自身がドル安をもたらす可能性を認識していた形だ。 一方、同時に公表された米経済見通しで、FRB は 10 年の成長率見通しの中央値を 2.4 - 2.5% (6 月時点は 3.0 - 3.5%)と大きく下方修正。 11 年も 3.0 - 3.6% (同 3.5 - 4.2%)に引き下げた。 11 年の失業率見通しの中央値は 8.9 - 9.1% (同 8.3 - 8.7%) へと上昇し、高止まりを予測。 こうした経済見通しの悪化が、追加金融緩和に踏み切る背景になった。 (asahi = 11-24-10) ◇ ◇ ◇ 米 FRB 大幅な追加緩和 6 千億ドルの長期国債買い入れ 【ワシントン = 尾形聡彦】 米連邦準備制度理事会 (FRB) は 3 日、金融政策を決める連邦公開市場委員会 (FOMC) を開き、来年 6 月末までに 6 千億ドル(約 49 兆円)の長期国債(米国債)を金融機関から買い入れることを柱にした追加の金融緩和策を決めた。 国債購入を通じて低金利で大量のお金を流し、米国景気を刺激するのが狙いだ。 FOMC 後の声明で、来年 6 月末までに月間 750 億ドル(約 6 兆円)のペースで長期国債を購入すると表明した。 「購入規模や買い入れペースは定期的に検証し、雇用の最大化と物価安定に資するように調整する」とし、景気がさらに悪化すれば、国債購入額を増やして一層の追加緩和に踏み切る可能性も示した。 短期金利の誘導目標も従来通り 0 - 0.25% とし、事実上の「ゼロ金利政策」を維持する。 FRB は 2008 年秋のリーマン・ショック後の不況に対応するため、同 12 月に短期金利の誘導目標を 0 - 0.25% まで下げ、「ゼロ金利政策」を導入した。 さらに、昨年 3 月には長期国債 3 千億ドルの購入に加え、住宅ローン担保証券や政府機関債の購入の大幅拡大を打ち出し、世の中に出回るお金の量を増やす「量的緩和政策」に踏み出した。 ただ、昨年 10 月末には長期国債、今年 3 月末には住宅ローン担保証券(計 1.25 兆ドル)と政府機関債(1,750 億ドル)の購入を終え、量的緩和を縮小していた。 だが、再び国債購入に乗り出したことで、市場では「量的緩和第 2 弾」と受け止められている。 国債の購入規模は前回の倍で、大規模な緩和になった。 FRB が量的緩和に逆戻りせざるを得なかったのは、米国経済の減速懸念が高まっているためだ。 09 年 10 - 12 月期の実質国内総生産 (GDP) の成長率は年率換算で前期比 5.0% 増に達したが、10 年 1 - 3 月期は同 3.7% 増、同 4 - 6 月期は同 1.7% 増、同 7 - 9 月期も同 2.0% 増にとどまる。 特に、失業率は 9 月も 9.6% と高く、雇用が改善しない。 米経済を支える個人消費も伸びず、物価上昇率が低下して「デフレ」に陥ることを心配する声も出始めた。 このため、FRB は今年夏以来、追加緩和の用意があることを繰り返し表明してきた。 一方、長期国債の購入で長期金利が低下すれば、ドルを売って円を買う動きにつながる。 今後、円高ドル安の圧力が強まる恐れもある。 (asahi = 11-4-10) ◇ ◇ ◇ 「米経済、追加緩和する状況」 FRB 議長、講演で表明 【ワシントン = 尾形聡彦、ニューヨーク = 山川一基】 米連邦準備制度理事会 (FRB) のバーナンキ議長は 15 日、ボストン市内で講演し、米経済の現状について「追加緩和を行う状況に当たるようだ」と表明した。 追加緩和を強く示唆する発言で、11 月 2 - 3 日に開かれる米連邦公開市場委員会 (FOMC) で追加緩和に踏み切る可能性が一段と強まった。 バーナンキ議長は「物価上昇率はあまりに低すぎる。 (一方で)失業率はあまりに高すぎる。」 「デフレの危険性は望ましい水準よりも高い」などと足もとの米経済に強い懸念を示した。 FRB は前回 9 月 21 日の FOMC 後の声明で「追加緩和を行う用意がある」と言及。 市場は、バーナンキ議長の姿勢に変化があるかどうか注目していた。 FRB の追加緩和が濃厚になったことで、米長期金利の低下観測が強まり、外国為替市場ではドルを売って円を買う圧力が増すことになる。 15 日の海外市場ではバーナンキ議長の発言が伝わった直後、円相場は 1 ドル = 80 円 90 銭台に上昇した。 ニューヨーク市場の午前 9 時(日本時間午後 10 時)時点は、前日午後 5 時時点と比べ 13 銭円高ドル安の 1 ドル = 81 円 27 -37 銭。 (asahi = 10-15-10) 米の景気後退、戦後最長の 18 カ月 全米経済研発表 【ワシントン = 尾形聡彦】 米国の景気の転換点を判定する全米経済研究所 (NBER) は 20 日、2007 年 12 月に始まった景気後退が、09 年 6 月に終わっていたと発表した。 景気後退は 18 カ月に及び、第 2 次大戦後の最長を記録したことが確認された。 これまで戦後最長は 1973 - 75 年、81 - 82 年にそれぞれ記録した 16 カ月だった。 サブプライムローン問題をきっかけにした米景気の後退は、極めて深刻だったことが正式に裏付けられた。 ただ、足もとの米経済は失業率が 9.6% と高水準にとどまり、減速懸念が強まっている。 NBER は「09 年 6 月以降の経済活動が好ましいと結論づけているわけではなく、景気後退がその月に終わり、景気回復が始まったと判定しただけだ」としている。 米景気を巡っては、米連邦準備制度理事会 (FRB) が 09 年 9 月の声明で「経済活動は上向いた」とし、事実上の景気回復宣言を行っていた。 (asahi = 9-21-10) 米国の生活困窮者、史上最悪の 4,360 万人 人種で格差 【ニューヨーク = 田中光】 米国勢調査局は 16 日、2009 年の生活困窮者が史上最悪の 4,360 万人にのぼったと発表した。 米国全体に占める貧困率も 08 年の 13.2% から 14.3% に悪化、1994 年以来の高水準に達した。 長引く不況の影響が響いており、10 年はさらに悪化すると指摘する専門家は少なくない。 中間選挙を前に、オバマ政権と与党民主党に一層、厳しい風が吹きそうだ。 統計の貧困ラインは毎年、変わる。 09 年は、4 人家族の世帯収入で 2 万 1,954 ドル(約 187 万円)、1 人の場合で 1 万 956 ドル(約 93 万円)と設定されている。 統計によると、生活困窮者は 3 年連続の増加で、08 年より 380 万人増えたという。 貧困率を人種別でみると、白人が 12.3% だったのに対し、アフリカ系(黒人)は 25.8%、中南米系(ヒスパニック)は 25.3% と、人種間格差は小さくない。 (asahi = 9-18-10) オバマ米大統領、追加景気対策を発表 総額 15 兆円規模 【ワシントン = 尾形聡彦】 オバマ米大統領は 8 日、米オハイオ州で演説し、米経済を下支えするための追加の景気対策を発表した。 企業減税や公共事業の積み増しで、財源規模は今後 10 年間で 1,800 億ドル(約 15.1 兆円)。 減税などを通じて、企業の成長を支え、雇用創出を加速させる狙いだ。 オバマ大統領は「民間部門が経済回復の主要なエンジンにならなければならない」と強調。 企業減税を軸に景気対策を行う方針を示した。 追加経済対策では、投資減税として 2011 年末まで、企業が設備投資をする際、1 年目に 100% 課税所得から控除することを認める。 減税を先取りする効果があるため、11 年末までは「2 千億ドル(約 16.8 兆円)の景気刺激になる(米政府)」という。 最終的な財政負担額は 300 億ドル(約 2.5 兆円)になる見通しだ。 また、企業の研究開発投資減税を拡大、恒久化し、10 年で 1 千億ドル(約 8.4 兆円)規模の減税となる。 道路建設や鉄道網の整備などで今後 6 年で少なくとも 500 億ドル(4.2 兆円)以上の公共事業を積み増しし、早期の雇用創出を目指す方針だ。 オバマ大統領は議会の協力を得て早期に追加景気対策を実現したい考えだ。 ただ、高水準の失業率が続いていることで、野党共和党にはオバマ政権の経済政策への批判が根強く、曲折も予想される。 (asahi = 9-9-10) 米、4.2 兆円規模の公共事業実施へ 雇用対策で 【ニューヨーク = 尾形聡彦】 オバマ米大統領は 6 日、道路建設など公共事業による追加経済対策を実施すると発表する。 今後 6 年間継続する計画で、1 年目に全体の「かなりの部分(政府高官)」に当たる約 500 億ドル(約 4 兆 2 千億円)分を前倒しして支出したい考え。 米景気の減速感が急速に強まっていることを受け、米経済を下支えする施策を打ち出す。 道路建設、鉄道網の整備など、雇用創出が早期に見込める公共事業にまずは注力する方針だ。 オバマ大統領は 6 日午後(日本時間 7 日未明)、ウィスコンシン州での遊説で、高速道路網の修復、鉄道とバスの乗り換え網の整備、空港の修繕や航空管制システムの近代化などの公共事業投資で、早期に雇用創出する方針を明らかにし、米議会に協力を呼びかける。 大統領はこうした投資の効率化を図るため、インフラ融資を行う銀行の設立も提案する。 オバマ大統領はこれ以外にも、風力や太陽光などのクリーンエネルギーや研究開発への投資拡大、米国内での雇用創出を促す減税措置を検討している。 今週、こうした追加景気対策を連続的に打ち出していく構えで、今回の公共事業による追加経済対策はその第一弾に当たるものだ。 オバマ政権は発足直後だった 2009 年初め、7,870 億ドルの米史上最大の景気対策を打ち出すなど、景気刺激に努めてきた。 しかし、09 年後半から拡大に転じていた米景気は、最近急速に減速感を強めている。 10 年 4 - 6 月期の米実質国内総生産 (GDP) 成長率は 8 月 27 日に、年率換算で前期比 1.6% 増へと下方修正されており、米国内で懸念が強まっていた。 (asahi = 9-7-10) 米 GDP、大幅下方修正 4 - 6 月期は年率 1.6% 増 【ジャクソンホール(米ワイオミング州) = 尾形聡彦】 米商務省が 27 日発表した 2010 年 4 - 6 月期の実質国内総生産 (GDP) の改定値は年率換算で前期比 1.6% 増となり、7 月末に発表した速報値の年 2.4% 増を大きく下回る成長率に修正された。 世界経済を引っ張る米国景気の減速がより鮮明になった。 米景気は 09 年 7 - 9 月期から 4 四半期連続で拡大が続いている。 ただ、09 年 10 - 12 月期には年 5.0% だった成長率が、10 年 1 - 3 月期に 3.7%、4 - 6 月期には 1% 台まで縮小している。 米国の景気回復のペースが急激に鈍っていることを表している。 ただ、事前の市場予測(1.4% 増程度)ほどは悪化しなかったとして市場には安堵(あん・ど)感も出た。 このため、ニューヨーク市場は株価が上昇して始まり、対ドル円相場も一時 1 ドル = 85 円台の円安ドル高に振れた。 4 - 6 月期の GDP の改定値が大きく下向きに修正されたのは、企業の在庫の積み増しが予想以上に低調だったことが大きい。 景気回復で販売が増えるのに伴って在庫投資も増えるとみられていたが、個人消費が力強さを欠き、企業が在庫の積み増しを抑えた。 このため、生産量が伸びず、成長率が低くなった。 米景気減速がはっきりしてきた中で、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) のバーナンキ議長は 27 日、米ワイオミング州のジャクソンホールで開催中の経済シンポジウムで講演する。 米経済の今後の見通しをどう語るかに市場の注目が集まっている。 米景気が再び悪化し、二番底に向かうのかの分岐点にさしかかっているだけに、そのかじ取りを担うバーナンキ議長にとっては「金融危機の収束以来、最も重要な演説(ワシントン・ポスト紙)」ともみられている。 シンポジウムには、日本銀行の白川方明(まさ・あき)総裁や欧州中央銀行 (ECB) のトリシェ総裁が出席しており、世界経済の情勢を巡って非公式に意見交換を重ねることになりそうだ。 (asahi = 8-27-10) ◇ ◇ ◇ NY 株が大幅続落 265 ドル安 円相場は 85 円台 【ニューヨーク = 山川一基】 11 日のニューヨーク株式市場は米景気の先行き不安から大幅続落。 大企業で構成するダウ工業株平均は前日比 265.42 ドル (2.49%) 安の 1 万 0378.83 ドルで取引を終えた。 終値としては 7 月 22 日以来約 3 週間ぶりの安値水準。 米連邦準備制度理事会 (FRB) が前日、米景気回復の速度が鈍化しているとの声明を出したことに加え、11 日発表の米貿易統計で貿易赤字が拡大したことも嫌気された。 ハイテク株主体のナスダック総合指数は 68.54 ポイント (3.01%) 安の 2,208.63。 米景気への懸念の高まりから、安全資産とされる債券は買われた。 同日のニューヨーク債券市場では長期金利の指標となる 10 年物国債の利回りが前日比で 0.08% 幅低い(価格は高い) 2.69% となった。 昨年 3 月中旬以来の低水準。 一方、ニューヨーク外国為替市場の円相場は、午後 5 時(日本時間 12 日午前 6 時)時点で前日比 12 銭円高ドル安の 1 ドル = 85 円 24 銭 - 34 銭となった。 欧州市場の時間帯に円相場は一時、約 15 年ぶりの円高水準となる 1 ドル = 84 円 70 銭台まで上昇した後、米市場でややドルが買い戻された。 (asahi = 8-12-10) ◇ ◇ ◇ 「日本型デフレ、米国はならぬ」財務長官が懸念打ち消し 【ニューヨーク = 尾形聡彦】 「我々はそうした(日本型のデフレの)運命を回避できる」 - -。 ガイトナー米財務長官は 2 日、米金融規制強化についての当地での講演後の質疑応答で、こう述べた。 米経済の先行きに対する懸念を強く打ち消した形だ。 またガイトナー長官は、銀行が保有する資本の規制強化で世界的な合意の必要性を訴えた。 ガイトナー長官は「米国は(危機の拡大を招いた)他国の教訓から学んで、危機の火消しに迅速に動いた」と説明。 「多くの人々の予測よりも力強い経済成長を実現しており、主要銀行の経営基盤も以前よりずっと強い」として、「(日本型デフレに陥るとは)思わない」と明言した。 米国では、4 四半期連続で実質国内総生産 GDP) がプラス成長を記録しているものの、2009 年 10 -12 月期には年率換算で 5.0% だった成長率が、10 年 4 - 6 月期には 2.4% まで縮小。 連邦準備制度理事会 (FRB) のバーナンキ議長が米経済の見通しについて「異例なほど不確かだ」と述べるなど、先行きの不透明性が高まっている。 米市場では、日本のような不況の長期化やデフレを心配する声も目立ち始めている。 (asahi = 8-3-10) ◇ ◇ ◇ 米 GDP、2.4% 増 伸び縮小、減速懸念 4 - 6 月期 【ワシントン = 尾形聡彦】 米商務省が 30 日発表した 2010 年 4 - 6 月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は、年率換算で前期比 2.4% 増となり、4 期連続のプラス成長になった。 ただ、09 年 10 - 12 月期に同 5.0% 増、10 年 1 - 3 月期に同 3.7% 増(いずれも改定値)だったのと比べ、伸び率の段階的な縮小は顕著で、米景気の減速を映し出している。 4 - 6 月期の GDP がプラス成長になったのは、米 GDP の 7 割を占める個人消費が前期比 1.6% 増だったことが大きい。 しかし、1 - 3 月期(1.9% 増)よりも減速し、従来は世界経済の牽引役だった米消費の伸び悩みが目立っている。 08 年秋の金融危機の影響で、米経済は 08 年 7 - 9 月期から 4 四半期連続でマイナス成長に陥ったものの、09 年 7 - 9 月期以降は拡大傾向が続いてきた。 ただ、最近は、景気が減速するとの見方が、急速に強まっていた。 「(米経済の)リスクは下振れ方向に傾いている。」 国際通貨基金 (IMF) が 30 日に発表した 10 年の米国についての年次報告書は、米経済の減速懸念を鮮明にした。 契機になったのは、今春に拡大した欧州の財政危機だ。 ギリシャの財政危機への懸念を背景に、5 月 6 日には米株式市場でダウ工業株平均が、一時 1 千ドル近くという史上最大の下げ幅を記録。 その後も株式市場が乱高下するなかで、米消費者心理は冷え込んでいった。 金融政策を担う米連邦準備制度理事会 (FRB) は、金融政策決定会合に当たる「連邦公開市場委員会」後に出す声明で 6 月下旬に、昨年夏以降前進させ続けてきた景気判断を、一転して後退させた。 今月 21 日には、バーナンキ FRB 議長が「米経済の見通しは異例なほど不確かなままだ」と言及。 FRB が 28 日に発表した全米 12 地区の 6 - 7 月を対象にした景況感報告では、議長発言を裏付けるように、2 地区が、経済活動のペースが減速していると指摘した。 特に心配されているのは、経済に幅広い影響がある住宅市場の動きの鈍さだ。 4 月末で住宅購入に伴う政府の減税策が期限切れになって以降、住宅着工件数は 5 月、 6 月と 2 カ月連続で前月割れし、異例の低水準が続く。失業率が 9.5% と高水準の状態が続き、家計収入の先行きが不透明ななかで、米消費者が住宅購入を手控えている形だ。 FRB の景況感報告も「米国のほとんどの地区で住宅市場は低迷している」と強い警戒感を示している。 (asahi = 7-31-10) GM が再上場申請、過去最大級の資金調達へ 【ニューヨーク = 山川一基】 米自動車最大手ゼネラル・モーターズ (GM) は 18 日、米証券取引委員会 (SEC) に株式の再上場を申請したと発表した。 年内の上場を目指すとみられ、再上場に伴う資金調達は過去最大規模を見込んでいる。 SEC に提出した文書によると、ニューヨーク証券取引所とカナダのトロント証券取引所に上場する。 ただ、発行する株式数や価格を発表せず、「今後の市場環境などを考慮して決まる」としている。 エドワード・ウィテイカー最高経営責任者 (CEO) はこれまで、新規株式公開の規模について「米国で過去最大級になる」と述べている。 2008 年のクレジットカード大手ビザの 197 億ドル(約 1 兆 6,700 億円)に匹敵する額になりそうだ。 一方、米政府は再上場に際し、保有する GM 株 61% の一部を売却し、GM は過半数を政府が握る公的管理状態から脱する見通しだ。 GM は昨年 6 月に経営破綻(はたん)し、連邦破産法の適用を申請して上場も廃止となった。 その後、米政府から 500 億ドル(約 4 兆 2,500 億円)の公的資金を受けて債務やコストを削減。 約 1 カ月で裁判所の管理下から抜け出し、今年 1 - 3 月期、4 - 6 月期は 2 四半期連続で純利益を計上した。 (asahi = 8-19-10) 「米英独仏、格下げの距離縮まる」 ムーディーズ報告書 【ニューヨーク = 山川一基】 米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは 17 日、現在最上位の「トリプル A」に格付けしている米、英、独、仏の 4 カ国について、「格下げへの距離がさらに縮まった」とするリポートを発表した。 財政引き締めの結果、将来の経済成長がさらに鈍化する可能性などを理由にあげている。 同社は欧州の 3 カ国について、市場の信頼を失う前に財政引き締めにかじを切ったと指摘。 米国を含め、債務の状況を考えれば今のところ格付けは安定的だとした。 しかし各国は、財政出動による経済刺激策がこれ以上困難な状況にあり、どう経済を活性化させて税収増を図るのか、どうやって低コストの資金調達を今後も維持していくのかが新たな課題として突きつけられている、と指摘。 そのうえで、「高齢化問題を考えれば、中長期の財政問題に立ち向かうために各国に残された時間は減りつつある。 格付けを維持するためには、様々な改革が決定的に重要だ。」と述べた。 (asahi = 8-18-10) 米の金融規制強化法、来週成立 銀行の高リスク投資制限 【ワシントン = 尾形聡彦】 1930 年代の大恐慌時以来約 80 年ぶりとなる米国の抜本的な金融規制強化法案が 15 日、上院で賛成多数(賛成 60 票、反対 39 票)で可決された。 これで上下両院で法案が通過したため、来週半ばごろにオバマ米大統領が法案に署名し、成立する見通し。 数十年続いてきた金融業界の規制緩和の流れを転換するものといえ、日本を含めた世界各国の政策に影響を与えそうだ。 この法案は、2008 年秋以降の金融危機を教訓に、銀行が投機的な投資に傾斜するのを規制したり、消費者が中身を理解しないまま危険な金融商品に手を出したりするのを防ぐ内容になっている。 法案では、銀行によるヘッジファンドへの投資を制限する。 また、米連邦準備制度理事会 (FRB) のもとに消費者保護の機関をつくり、住宅ローンやクレジットカードなどの金融商品の透明性を高める。 FRB が銀行、証券、保険などの金融大手を一元的に監督し、監督機関同士のすき間が生じないようにもする。 金融システムの危機の高まりを事前に察知するため、財務長官が議長を務める「金融安定監視委員会」をつくる。 経営難に陥った大手金融機関を、金融市場と切り離して解体する仕組みも整えた。 オバマ政権が昨年夏に米議会に法制化を働きかけ、審議が続いてきた。 上下両院が 6 月末に法案を一本化。 一本化法案は 6 月 30 日に下院で可決され、上院で審議されてきた。 ドッド上院銀行委員長は 15 日の会見で「次の経済危機がきても封じ込めることができる」と強調した。 オバマ大統領は 15 日、法案可決を受けた演説で「法案は、米国の家庭や企業により大きな経済的な安定をもたらすものだ」と称賛し、署名する意向を示した。 (asahi = 7-16-10) G20 財政目標 日本例外にしても「団結」優先 世界第 2 位の国内総生産 (GDP) を誇る日本が、G20 の財政目標から「例外」としてはじかれた。 先進国で最悪の長期債務(借金)を抱える日本は、一律の目標には従えないと反発。 だが、財政再建の手法をめぐって欧米が対立し、金融市場が不安定になる中、G20 は例外を設けてでも「団結」の表明にこだわった。 G20 サミットの最大の焦点は財政再建の加速で、世界の景気が冷え込むかどうかの判断だった。 議長国カナダのハーパー首相は今月に入り、首脳宣言に「2013 年までに財政赤字の半減」を掲げたいと各国に書簡を送り、欧米の対立の収拾を図った。 サミット後、市場に動揺を起こさないためだ。 財政赤字は税収などで予算を賄えない額で、日本は新規国債発行額に相当する 44.3 兆円。 これを半減するには、国債発行を 20 兆円台に抑えなければならない。 菅政権がまとめた「財政運営戦略」でも、11 年度の新発国債発行は「今年度の水準(44 兆円)を上回らない」とされた。 ハーパー首相は、日本を例外にした理由について借金の引き受け手を重視。 国債の国内の買い手が 5 割弱の米独、3 割のギリシャに比べ、日本は 95% を国内で調達し、投げ売りによって金利が跳ね上がるリスクが少ないとの理由からだ。 宣言には「各国の状況に応じて」という前提条件がついた。 状況に応じた計画変更も許されており、実効性より「団結」だけを優先させた。 (大月規義 = トロント、asahi = 6-28-10) ◇ ◇ ◇ 金融危機の再発防止へ協議 G20 が開幕 【トロント = 大月規義】 世界の経済問題を中心に話し合う 20 カ国・地域首脳会議(G20 サミット)が 26 日午後(日本時間 27 日午前)、当地で開幕した。 最大の課題は、金融危機の再発防止で、初日は、世界経済を再び上昇基調に戻す方法を話し合った。 主要国首脳会議 (G8) に中国やインド、ブラジルなどの新興国が加わる G20 サミットは、2008 年の金融危機「リーマン・ショック」を機に結成され、今回が 4 回目。 27 日(最終日)には、銀行経営を安定化させるためどのような規制をかけるかや、関税の撤廃などを含めた世界貿易機関 (WTO) ドーハ・ラウンド交渉、気候変動、生物多様性問題について話し合う。 (asahi = 6-27-10) ◇ ◇ ◇ G20 経済「かなりの弱さ存在」 米大統領が各国に書簡 【ワシントン = 尾形聡彦】 オバマ米大統領は 18 日、今月下旬のトロントでの 20 カ国・地域 (G20) サミットを前に、各国首脳にあてた 16 日付書簡を公開した。 欧州の財政危機を背景に、G20 各国の経済に「かなりの弱さが存在している」として、世界経済の回復に向けて各国が協調して行動すると同時に、中期的な財政再建の必要性を訴えた。 書簡でオバマ大統領は、世界経済を腰折れさせないため、景気刺激策を継続する必要性に言及した。 また、中国を名指しすることは避けながらも、「世界経済の活力のためには市場が決める為替レートが不可欠だ」として、中国・人民元の対ドル相場での切り上げを促す考えをにじませた。 (asahi = 6-19-10) ◇ ◇ ◇ 世界経済「重大な試練残る」 G20 財務相会合共同声明 韓国・釜山での 20 カ国・地域 (G20) の財務相・中央銀行総裁会議は 5 日、ギリシャ危機の影響で世界経済には「重大な試練が残っている」とした共同声明を採択し、閉幕した。 討議では、今月末のカナダでの G20 首脳会合(サミット)に向け、財政再建を各国ごとに進めていくことなどで協調する姿勢を確認した。 一方、金融規制ではいぜん溝が残った。 「重大な試練が残る」とした今回の共同声明は、米ワシントンでの前回(4 月)の会合と比べ、世界経済の行方に慎重になった。 「ギリシャ危機がより深刻との認識が前回との最大の違い(韓国政府高官)」で、「欧州で今起きている事態とリスクは、議論全体に反映された。(カナダのフレアティ財務相)」 声明では、最大 7,500 億ユーロ(約 83 兆円)の緊急融資を可能にする「欧州安定化メカニズム」など、欧州連合 (EU) や欧州中央銀行 (ECB)、国際通貨基金 (IMF) がとったギリシャ危機への対応策を「歓迎する」とした。 財政赤字問題では「経済成長に配慮した財政再建策をとる必要性がある」との認識で一致した。 ハンガリーでも政府が「前政権が財政数値に不正を加えていた」と公表し、従来は南欧が中心だった財政危機が東欧にも及びかねない状況だ。 EU 幹部は 5 日、「(問題が)誇張されている」と火消しに躍起だが、財政問題への関心は強まっている。 各国の中でもとりわけ対応を迫られるのが日本。 主要国で最悪の財政状態ながら、具体的な財政再建策の提案が遅れている。 5 日の会議には白川方明・日本銀行総裁と、財務省の峰崎直樹副大臣が参加した。 峰崎氏は「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体で実現していく」と菅直人新首相の方針を説明。 新成長戦略と、今後 3 年間の財政運営を盛り込む中期財政フレームを月内に出すとした。 ■ 金融規制には溝も もう一つの重要課題になったのは、世界的な金融規制の強化だった。 ECB のトリシェ総裁は「金融規制改革は、コインの裏側」と指摘。 金融危機の再発を防ぐための規制強化は、世界経済を持続的に回復させていくために欠かせない、との認識が各国に強いためだ。 5 日の共同声明では、ヘッジファンドや、格付け会社への規制強化を加速させることも申し合わせた。 ただ、金融システムの救済にかかった費用を回収するために、銀行に事実上の税金を課す「銀行税」を巡って、各国の溝は深い。 多額の税金を投入して金融機関を救済した米欧は、銀行から多額の費用を徴収する方針で、他国にも導入を呼びかけている。 これに対して、カナダなど金融危機による影響が小さかった国々からは「必要ない」との反発が強い。 会合での討議結果についても、「金融業界が費用を分担するという大まかな合意に達した(スペインのサルガド財務相)」、「(銀行税について)合意はない(カナダのフレアティ財務相)」と受け止め方が割れた。 5 日の共同声明は、「金融危機で税金を投入した国々」に絞る形で、金融機関が費用を負担すべきだとの方針をようやく盛り込んだ。 金融監督を巡っては、米欧間にも食い違いが目立った。 「どの銀行の経営状態が悪いのか分からない」という疑心暗鬼を払うため、米国は銀行の検査内容を公表するように求めているのに対し、一部の欧州諸国は抵抗した。 (釜山 = 福田直之、稲田清英、尾形聡彦、asahi = 6-5-10) ◇ ■ G20 共同声明の骨子
米新築住宅販売が急減、過去最低の 30 万戸 5 月 【ワシントン = 尾形聡彦】 米商務省が 23 日発表した 5 月の米新築一戸建ての住宅販売件数(季節調整済み)は、年換算で前月比 32.7% 減の 30 万戸となり 3 カ月ぶりに減少。 販売件数は 1963 年 1 月の統計開始以来、最低だった。 米住宅市場の需要の弱さを象徴するもので景気の先行きに不透明感が増している。 急落は、住宅購入の際の米政府の減税措置が 4 月末で期限切れになった影響とみられる。 市場でも下落が予想されていたが、その水準は事前予測(約 41 万戸程度)を大きく下回った。 4 月の販売件数も、50 万 4 千戸から 44 万 6 千戸に下方修正された。 (asahi = 6-24-10) 世界競争力ランキングに変化 中国が英仏日抜く スイス・ローザンヌにある調査研究機関・国際経営開発研究所 (IMD) はこのほど、「2010 年世界競争力年度報告」を発表した。 「羊城晩報」が伝えた。 ▽ 米国、16 年ぶり 3 位にダウン 今年の世界競争力ランキングでは、長らく 1 位を保ってきた米国が順位を下げ、シンガポールと香港地区が米国を抜いて 1 位と 2 位を占め、世界で最も輝きを放つ「新星」となった。 同報告によると、シンガポールと香港の経済は金融危機の影響を受けて大きく変動したが、力強い反転ぶりをみせたという。 シンガポールと香港以外にも、アジアの他の経済体が同じく経済の力強い復興に後押しされて順位を上げた。 うち台湾地区、マレーシア、韓国は昨年から大きく順位を上げ、台湾は 8 位、マレーシアは 10 位、韓国は 23 位に躍進した。 日本は順位を下げて 27 位となった。 過去 16 年にわたりトップを保ってきた米国が今回は 3 位にダウンした。 米国以外の伝統的な経済強国のうち、ドイツは 16 位、英国は 22 位、フランスは 24 位、イタリアは 40 位だった。 今回のランキングでもう 1 つ注目されるのは、大陸部のランキングの継続的な上昇ぶりにほかならない。 大陸部は昨年より 2 つ順位を上げて 18 位となり、英国、フランス、日本といった「老舗の」経済強国を追い抜いた。 また成長著しい新興国 BRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国)の中でもトップだった。 今回、インドは 31 位、ブラジルは 38 位、ロシアは 51 位だった。 ▽ 先進国の負債が警戒ライン突破 今年のランキングでは、マクロ経済の状況、政府の効率、企業の効率、インフラという四大要素の 300 を超える項目の評価指標を参考にしたほか、今回は国際金融危機と主権債務危機などの要因の影響を特に考慮した。 同報告によると、主要 20 カ国・地域 (G20) の平均債務水準が国内総生産 (GDP) に占める割合は 2007 年の 76% から 2010 年は 106% に上昇した。 こうした状況が持続不可能であることは明らかだ。 先進国は公共債務の対 GDP 比を 60% 以内の「受け入れ可能水準」まで引き下げなければならない。 推計によると、日本が債務をこの水準まで引き下げるのに成功するのは 2084 年のことになるという。 イタリアは 2060 年、英国は 2028 年、米国は 2033 年に引き下げを達成する見込みという。 (中国・人民網 = 6-1-10) ギリシャも経常赤字国 市場の不安ぬぐえず Q 財政危機のギリシャは経常赤字なのか? A ギリシャは、自動車や電機といった基幹産業の育成が遅れ、貿易収支は赤字が続いている。 一方、首都アテネにあるパルテノン神殿などの古代ギリシャ遺跡や、エーゲ海といった観光資源に恵まれている。 このため世界中から観光客が集まり、サービス収支は黒字だ。 ただ、貿易赤字がそれ以上に大きいため、差し引きして経常収支は赤字だ。 Q 経常赤字はやはり問題なの? A 経常赤字国の場合、支出が収入を超えているので、海外から借り入れるなどして資金を調達する必要がある。 日本は国の借金である国債の 95% を国内投資家が保有しているが、ギリシャ国債は 70% を海外の投資家が持っている。 Q 危機の原因は? A 2008 年秋のリーマン・ショックによる世界的な経済危機に加え、ギリシャ政府が経済統計を改ざんしていたことが発覚した。 欧州の金融機関がギリシャ向けの投資や融資に慎重になってしまい、ギリシャ国債の利回りが急上昇して過去の借金の借り換えが難しくなってしまった。 Q ギリシャだけの問題で終わるのだろうか? A ギリシャと同じような財政不安を抱えている国は少なくない。 例えば、ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインといった欧州諸国も財政赤字と同時に、経常赤字になっている。 今後、ギリシャより経済規模が大きい国が危機に陥ったら、ユーロ圏や国際通貨基金 (IMF) などによる支援枠組みで支えきれるのかという問題が生じそうだ。 (asahi = 5-15-10) 米 GDP、3.2% 増 3 期連続プラス成長 1 - 3 月期 【ワシントン = 尾形聡彦】 米商務省が 30 日発表した 2010 年 1 - 3 月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は、年率換算で前期比 3.2% 増となり、3 期連続のプラス成長を記録した。 ただ、09 年 10 - 12 月期に比べると成長率は減速した。 雇用などに明るさが見える一方、経済に幅広い影響がある住宅投資が落ち込むなど懸念も残る。 GDP の 7 割を占める個人消費が同 3.6% 増で 3 四半期連続でプラスになった。 3 月の非農業部門の就業者数も前月比 16 万 2 千人増と 3 年ぶりに大きな伸びを示し、消費者心理を好転させている。 米経済の成長率は、08 年秋の金融危機の影響で同年 7 - 9 月期から 09 年 4 - 6 月期まで 4 四半期連続でマイナスになった。 その後は、09 年 7 - 9 月期からプラスが続いている。 ただ、同年 10 - 12 月期が年率換算で 5.6% 増の高成長だったのに比べると、10 年 1 - 3 月期は縮小した。 事前の市場予測(平均 3.4% 増)はわずかに下回った。 やや緩やかになったとはいえ、3 四半期連続のプラス成長は米国の景気回復の底堅さを表している。 オバマ米大統領は 30 日、「米経済は 1 年前よりずっといい状態にある」と述べた。 ただ、住宅市場は不振が続く。 1 - 3 月期の住宅投資は同 10.9% 減で、3 四半期ぶりのマイナスに転じた。 マケイン上院議員は 27 日、「地元のアリゾナ州では、48% の住宅は住宅ローン額よりも実際の価値が下がってしまっている。 地域社会は大変な困難に直面している。」と語った。 3 月の米住宅着工件数は年換算で前月比 1.6% 増の 62 万 6 千戸と増えているが、200 万戸前後で推移した 05 年ごろの 3 分の 1 程度。 「依然として落ち込んだ水準(米連邦準備制度理事会)」との懸念が根強い。 (asahi = 5-1-10) 世界経済回復「予想以上」 出口戦略を重視 G20 閉幕 【ワシントン = 北沢卓也】 当地での 20 0カ国・地域 (G20) の財務相・中央銀行総裁会議は 23 日午後(日本時間 24 日)、「世界経済の回復は予想以上に進んでいるが、実情に応じて景気刺激策や財政出動の出口戦略が必要」とする共同声明を採択し、閉幕した。 次回は、6 月にカナダで開く G20 首脳会合の準備のため、同月上旬に韓国・釜山で開かれる。 焦点となっていた国際通貨基金 (IMF) などに金融支援を要請したギリシャ問題については、欧州連合 (EU) 関係者からの報告にとどまり、共同声明にも盛り込まれなかった。 声明では健全な財政と経済成長を維持している国・地域には内需の拡大を促すことで、「貯蓄を増やし、財政赤字を削減すべき国の需要減少を和らげる」とした。 ただ、会合後の記者会見でガイトナー米財務長官は、G20 の会合外で欧州やギリシャなどと協議したことを明らかにし、「(事態の)緊急性についての認識の高まりを歓迎する。 ギリシャ当局、欧州、IMF の迅速な行動を促したい」と語った。 一方、菅直人財務相は会合後の会見で、ギリシャの財政危機への対応について、「日本への直接的な影響は極めて小さい。 現時点では、(EU など)関係者の努力を見守りたい。」と述べた。 声明では、世界経済は予想以上に回復しているが、失業率が高止まりしている国も多く、「異なる政策対応が必要」と指摘。 民間主導の景気回復が遅れている場合は、景気刺激策を継続するよう求める一方、金融危機への対応で膨らんだ財政出動の「出口戦略」を検討する必要性も盛り込んだ。 米国が求めている中国・人民元の切り上げ問題についても議論は見送られた。 菅氏は記者会見で、議題にならなかった理由について「G7 や G20 などの場で議論することは、中国があまり好まないことを皆さんが知っている」と述べ、出席者が中国に配慮したため、との見方を示した。 (asahi = 4-24-10) |