世界の CO2 排出量、09 年は減少 21 世紀以降で初 化石燃料を燃やして出た二酸化炭素 (CO2) は 2009 年に世界で 308 億トン(CO2 換算)になり、08 年より 1.3% 減ったという論文を、英米仏などの国際研究チームが 21 日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に発表。世界全体の排出量が減少するのは 21 世紀に入ってからは初めて。 世界的な不況の影響を受けたためだが、先進国での減少率が高い一方で、中国などの新興国では増えた。 論文によると、世界全体の 09 年の排出量は 1 年前に 2.8% 減と予想されていたが、半分以下の減り方にとどまった。 日本で 11.8%、英国 8.6%、ロシア 8.4%、ドイツ 7%、米国 6.9%、それぞれ減った。 世界的な金融・経済危機の影響をもろに受けた。 中国は 8% 増、インド 6.2% 増、韓国も 1.4% 増だった。 研究チームは「09 年は減ったといっても人類史上、2 番目に多い排出量」と指摘。 今年の排出量は逆に 3% 以上増えて、00 - 08 年の高い増加率に近づくと予測している。 (asahi = 11-22-10) 環境税 11 年度導入の方針 政府民主 石油石炭税を増税 政府・民主党は 18 日、環境対策の財源とする地球温暖化対策税(環境税)を 2011 年度から導入する方針を固めた。 石油や石炭などの化石燃料にかかっている石油石炭税を増税して、環境税に衣替えさせる。 増税は最終的に 5 割(2,500 億円規模)を想定しているが、経済界は大幅な負担増に難色を示しており、初年度は数百億円規模となる見通しだ。 民主党税制改正プロジェクトチーム (PT) が同日、石油石炭税を増税するなどの提言案をまとめた。 政府税制調査会はこの提言を受けて、最終的な制度設計に入る。 2,500 億円の規模は、国内排出権取引制度などの環境税以外の温暖化対策も踏まえたうえで、「2020 年に温室効果ガスを 90 年比で 25% 削減する」との目標達成に必要な予算額として算出した。 石油石炭税は主に輸入業者が納めており、増税した場合、ガソリンの販売価格に増税分が転嫁される可能性がある。 このため、民主党は消費者の負担増を避けるため、ガソリン税の上乗せ税率分(旧暫定税率)は一定規模で縮小するよう、政府税調に検討を求めることも盛り込む。 09 年の衆院選では、旧暫定税率を廃止して環境税を導入すると公約に掲げており、何らかの負担減を求める声が党内に強くあがっていたことが背景にある。 昨年は財源を生み出すために旧暫定税率の廃止は見送った。 環境税は、燃料価格に転嫁することで利用者の節約を促し、税収を温暖化対策に使って温室効果ガスの削減効果を高める狙いがある。 ただ、新法か法改正が必要なので、参議院で少数与党のねじれ国会のなか、実現には不確かな部分もある。 (asahi = 11-19-10) 九州の離島、中国から越境汚染か … 微小粒子検出 空気中を漂い健康被害の原因と指摘される微小粒子状物質「PM2.5」が、九州の五島列島でも環境基準を超えて検出されたことが、海洋研究開発機構の竹谷文一研究員らの調査でわかった。 中国などからの越境汚染の可能性が高い。 PM2.5 は、毛髪の直径の約 30 分の 1に当たる直径 2.5 マイクロ・メートル(1 マイクロ・メートルは 1,000 分の 1 ミリ)以下の物質で、工場排煙や自動車の排ガスなどに含まれる。 肺がんなどにつながる可能性があり、環境省が昨年 9 月に環境基準を定めた。 竹谷さんらは、九州の五島列島・福江島で昨年 9 月から 1 年間にわたって PM2.5 の濃度を測定。 その結果、基準値を超える日数が 26 日に及び、「年間 8 日未満」とする環境基準を大きく上回った。 島や周辺部に大規模な汚染原因はなく、基準値を超えた日の気象条件を調べたところ、中国など大陸方面から大気が流れ込む日が多かった。 (yomiuri = 11-10-10) レアメタル回収、微生物で簡単に 森下仁丹など特許出願 森下仁丹は 4 日、工場排水などからレアメタル(希少金属)を効率的に回収できるバイオカプセルを大阪府立大と共同開発し、特許を出願したと発表した。 煩雑な工程が必要とされるレアメタルの回収がより簡単にできるという。 大阪府立大の小西康裕教授らが開発した、鉄イオンを取り込んで呼吸する微生物による金属回収法を活用。 この微生物を、森下が得意とする技術であるシームレス(継ぎ目のない)カプセルで包んだ。 カプセルは直径数ミリで、微生物は通さずに金属イオンは通す性質を持つ浸透膜で作る。 レアメタルを溶かした液体に沈めると、微生物がレアメタルを取り込む。 その後、カプセルを焼却すればレアメタルのみ採取できるという。 (asahi = 11-5-10) 生きもの会議、名古屋議定書採択 遺伝資源に国際ルール 名古屋市で開かれた生物多様性条約第 10 回締約国会議(国連地球生きもの会議)は 30 日未明、医薬品のもとになる動植物など遺伝資源の利用について定める国際ルール「名古屋議定書」と、生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」に合意した。 手続きを進めた後に採択し、閉幕する見通しだ。 条約の根幹をなす二つの主要議題をめぐる交渉は難航したが、議長国・日本は、期限ぎりぎりで期待された成果をあげられそうだ。 名古屋議定書は、企業が医薬品や食品の開発につながる動植物や微生物を利用した場合に、金銭の支払いや共同研究への参加を通じて、資源がもたらす利益を原産国と分け合う国際ルールだ。 会議では、食糧や木材など世界中の自然を利用して発展した先進国と、植民地時代から多くの資源を持ち出されてきた途上国の主張が対立。 事務レベルの交渉で合意できず、議長の松本龍環境相が、各国の閣僚と協議した結果をふまえて議定書の議長案を提示し、各国が合意した。 議長案は、資源を利用する場合に事前に原産国の許可を得ることや、利用者が原産国側と利益配分のための個別契約を結ぶことを定めている。 争点だった不正な持ち出しを監視する仕組みは、手続きが適正かチェックする機関を利用国側にも一つ以上、設ける。 利益配分の対象範囲は、研究開発で資源を改良した製品(派生品)の一部も含むことができるとした上で、契約時に個別判断するとした。 途上国は、議定書発効前に利用された資源も対象にするよう求めたが盛り込まれていない。 代わりに、途上国が議定書のルールを運用する体制づくりを支援する仕組みを、日本の資金で整備する。 一方、2020 年までの世界目標は松本環境相の提案で、名古屋ではなく採択の地の県名を冠して「愛知ターゲット」と名付けられた。 野心的な目標を求める先進国と、高い目標が開発抑制につながるのを懸念する途上国の主張が対立。 30 日未明も交渉が続いたが、多くの折衷案が出されて合意した。 個別目標は、▽ 魚の乱獲を避ける、▽ 侵略的外来種を根絶するなど、20 項目にのぼる。 (asahi = 10-30-10) ◇ ◇ ◇ 生態系保全は、自然利用のルールは 生きもの会議開幕 多様な生きものが生息できる自然環境を守るため、各国が対策を話し合う国連地球生きもの会議が 11 日、名古屋市の名古屋国際会議場で開幕した。 生態系の損失を食い止める世界共通の目標を掲げ、自然を継続的に利用するために必要な新たな国際ルールに合意できるか。 29 日までの期間中に、NGO や企業関係者を含めた約 8 千人が参加し、交渉のとりまとめや効果的な取り組みの進め方について知恵を出し合う。 11 - 15 日は、遺伝子組み換え作物をテーマにした関連会合。 18 日から、193 の国や地域が集う本会合(生物多様性条約第 10 回締約国会議)が開かれる。 27 - 29 日は閣僚級会合で、150 カ国以上の閣僚が訪れる。 11 日の関連会合の開会式に出席した鹿野道彦農林水産相は各国に、「生物多様性の損失は、これまでにない速度で進んでいる。 豊かな生物多様性を次世代に引き継ぐことが私たちの責務だ。 ともに困難な課題を乗り越えていこう。」と呼びかけた。 関連会合では、輸入された組み換え作物が生態系を乱す被害を想定し、責任と補償のあり方を定めた新ルールが採択される見通しだ。 本会合では、海や山、森林などの保全や外来種の侵入対策、生態系とビジネスとのかかわり、自然と共生してきた先住民の権利保護など、さまざまな議題を話し合う。 こうしたテーマを網羅した 2020 年までの世界目標「名古屋ターゲット」の合意を目指す。 また、医薬品や食品の原料として利用される動植物や微生物などの遺伝資源から得られる利益の公平な配分について取り決める国際ルール「名古屋議定書」を採択できるかも大きな焦点だ。 ターゲットや議定書をめぐる準備会合では、自然や資源を利用して発展を遂げた先進国と、生態系が豊富でその損失による影響を大きく受ける途上国の主張が対立。 難航が予測される交渉のとりまとめ役として、議長国・日本の采配が注目される。 (asahi = 10-11-10) ◇ ◇ ◇ アジア版レッドデータ構築へ 環境省、数千種ウェブ掲載 環境省は、絶滅の恐れがある動植物の情報を集めた「レッドデータブック」のアジア版づくりに乗り出す。 アジア 14 カ国の国際プロジェクトでウェブ上で公開する。 各国の税関職員らに対して生物種の判別方法の研修も推進。 情報収集と人材育成の両面を強化し、アジア地域の違法な動植物取引に歯止めをかけるのが狙いだ。 名古屋市で今月開く生物多様性条約第 10 回締約国会議(国連地球生きもの会議)で計画を発表する。 日本は、自国内の絶滅危惧(きぐ)種についてレッドデータブックの整備を進めてきた実績があり、そのノウハウを計画に生かす。 アジアのウェブ版レッドデータブックには、数千種の動植物が掲載される見通しだ。 国際自然保護連合 (IUCN) がまとめた世界の絶滅危惧種リストでは知ることのできない、アジア各国の詳しい生物データを盛り込む。 情報は英文でまとめ、各国が生物保護の政策づくりにすぐに役立てられるようにする。 絶滅の恐れがある動植物の国ごとの詳細な分布や個体数、法規制や保護の状況について、踏み込んだ記述をする方針だ。 まずトラやアジアゾウ、オランウータンなどを含む哺乳(ほにゅう)類と希少植物について、来春にもウェブ公開を始める。 環境省は、ウェブ版に参加する各国の研究者や政府機関から幅広く情報を集めるのに加え、日本から各国へ調査員を派遣し、収録データの充実をはかる。 今回の国際プロジェクトには日中韓のほか、タイ、フィリピン、ミャンマー(ビルマ)、マレーシア、インドネシアなどが参加。 日本はウェブサイトづくりや研修など一連の事業に、年間約 1 億円を資金援助する方針だ。 違法取引の監視にあたる税関職員が動植物の種類を判別する能力を高める必要があるとして、マレーシアやベトナムで税関職員らを対象にした研修会を開催。 さらに、マレーシアやインドネシアでは、若手研究者向けに、サンゴや植物の分類手法についての研修会も開く。 環境省は「アジア地域には、生物多様性が豊かな一方で、自国内の生物について情報の収集や研究が進んでいない国々が多い。 一連の事業で情報の蓄積と人材の育成をすすめることで、アジアの生物多様性についての正確な評価につなげたい。」としている。 (山本智之、asahi = 10-4-10) ◇ ◇ ◇ 「海洋保護区」を指定へ = 海の生物多様性保全で中間案 - 環境省 環境省は 1 日、海の生物多様性を保全するための基本方針などを盛り込んだ「海洋生物多様性保全戦略」の中間案を同省の有識者検討会に示し、大筋で了承を得た。 生物多様性上重要な海域を「海洋保護区」に指定し、管理や規制を行うことなどが柱。 今月名古屋市で開催される生物多様性条約第 10 回締約国会議 (COP10) でも紹介する方針だ。 中間案によると、海の多様性保全に当たっては、沿岸域や外洋域といった海域ごとの特性を踏まえた対策を推進する。 海洋保護区については、海洋生物多様性や海洋生態系の保全のため「明確に特定された海域において、その海域の利用形態を考慮して、法律またはその他の効果的な手法により管理される区域」と定義。 国立公園など既存の制度も活用しながら指定していくこととした。 (jiji = 10-1-10) ◇ ◇ ◇ 「生態系保全の 10 年」提言 国連会合で前原外相 【ニューヨーク = 平井良和】 生物多様性の保全をテーマにした初めての国連首脳級会合が 22 日、国連本部で開かれた。 冒頭で前原誠司外相が演説し、今後 10 年間を生態系保全のための集中的な行動期間「国連生物多様性の 10 年」と定めることや、生物多様性の現状を検証し、政策提言する国際機関の設置を求めた。 前原外相は、10 月に名古屋市である生物多様性条約第 10 回締約国会議(国連地球生きもの会議)の議長国として発言した。 生きもの会議では 2020 年までに実行する生態系保全策の世界目標「名古屋ターゲット」の採択を目指しているが、各国の意見集約が難航している。 前原外相は、締約国の合意を求めるとともに、締約国以外にも行動を呼びかけた。 また、生態系の損失が人類に及ぼす危険性を把握し、保全に向けた対策を提言する「生物多様性と生態系サービスについての政府間科学政策プラットフォーム (IPBES)」の設置を呼びかけた。 地球温暖化の知見を集める「国連気候変動に関する政府間パネル (IPCC)」が温暖化対策の枠組みづくりを促したように、生物多様性の知見を集めることで、生態系保全のための新たな環境外交を進める狙いがある。 設置に向けた協議は 08 年から続けられている。 近く国連総会で建議され、年内にも議決される見通しだ。 92 年に採択された同条約には 193 カ国・地域が加盟するが、米国は経済活動への制約を懸念して参加していない。 「国連の 10 年」や IPBES の設置によって、条約を超えた枠組みをつくり、自然保護政策での実績と資金力のある米国に協調を促す。 (asahi = 9-23-10) リサイクル紙で折りたたみいす 三重のメーカー開発 ![]() 金属製パイプの代わりにリサイクルした紙を筒状にした「紙管」を使った珍しい折りたたみいすを、三重県鈴鹿市のいすメーカー三惠工業(岡田信春社長)が製作した。 「地球にやさしい」が売り文句で、体重 120 キロの大人が座っても壊れないほど頑丈だ。 紙管は段ボールのリサイクル製品を利用。 高さ 63 センチの子供用と 73.5 センチの大人用があり、背もたれや腰掛ける座面、脚の四隅は、リサイクルできる樹脂のポリプロピレンを使った。 安田府佐雄(ふさお)・開発部長は「強度負荷試験でも、紙製の強度は金属製に劣りません。」 重さは子供用が 1 脚 3.1 キロ、大人用 5 キロで、子供用は金属製より 1 キロほど軽い。 指を挟まないように座る場所とパイプの間に空間を作り、安全性にも配慮した。 このいすは、地球環境にやさしい製品をめざして同社と名古屋市内のデザイン会社、環境コンサルタントの 3 社が共同開発した。 フレームの材料を金属から紙に替えたことで、製造工程での CO2 排出量は 40% 削減できた、としている。 まず、3 歳から小学校低学年児童向けに開発。 昨年 8 月、子供用(6,300 円)の販売を始め、今年 12 月に大人用を発売する。 金属製のいすは 1 万円を超えるものが多いが、紙製は 1 万円を下回る見込みという。 昨年は、環境負荷の低減に配慮したすぐれた製品を表彰するエコプロダクツ大賞推進協議会の審査委員長特別賞(奨励賞)を受賞したほか、日本産業デザイン振興会のグッドデザイン賞、キッズデザイン協議会のキッズデザイン賞にも選ばれた。 安田部長は「このいすは丸ごとリサイクルできる。 子供たちにエコの心を伝えたい。」と話している。 問い合わせは、同社の販売会社「サンケイ (059/378/0465)」へ。 (佐野登、asahi = 10-28-10) 生態系保全へ企業も努力 … 国内 400 社の自主組織発足へ 日本経団連と国際自然保護連合(本部・スイス)などが主催する「ビジネスと生態系に関する国際対話会合」が 26 日午前、名古屋市の名古屋国際会議場で始まった。 世界の経営トップら約 130 人が参加。 会合での討議を経て、生態系保全に賛同する日本企業約 400 社でつくる「生物多様性民間参画パートナーシップ」を発足させる予定だ。 生物多様性条約第 10 回締約国会議(国連地球生きもの会議)の関連会合の一つ。 生きもの会議では 2020 年に向けた生態系保全の目標(名古屋ターゲット)を話し合っているが、この会合では目標達成のために企業がどう取り組むかを議論する。 経団連は昨年 3 月、「生物多様性に資する行動に自発的かつ着実に取り組む」、「資源循環型経営を推進する」など、経営で実践すべき 7 原則を掲げた「生物多様性宣言」を採択。 この 7 原則を一つでも実行できる企業を組織化。 共通のロゴマークをつくるなどして、生態系保全に取り組む姿勢を PR する。 (asahi = 10-26-10) ◇ ◇ ◇ 生態系への配慮を点数化 企業活動の評価法開発 損害保険大手 NKS Jホールディングス傘下の損保ジャパン・リスクマネジメントは、国際的に活動する環境 NGO のバードライフ・アジアと共同で、企業活動が生態系を配慮しているかどうかを評価する手法を開発した。 これをもとに、具体的な課題や対策を企業に助言する「生物多様性コンサルティング」を月内に始める。 生物多様性条約第 10 回締約国会議が名古屋市で開かれるのを機に、国内でも生態系保全を意識する企業が増えると判断した。 生物多様性に関し、環境 NGO と連携して企業を総合的に支援するサービスは国内初という。 具体的には、(1) 商品設計、(2) 営業・サービス・システム、(3) 購買、(4) 土地の利用・管理、(5) 輸送・物流、(6) 社会貢献活動、(7) 投融資、(8) 省エネ・リサイクル・廃棄物管理の 8 項目について、「生態系の維持を配慮しているか」、「外来種の移入を促していないか」などの観点からそれぞれ点数化。 商品や事業所別にも評価を行う。 そのうえで経営戦略や管理体制づくりを助言する。 評価は 1 件につき 50 万円から。 2010 年度中に計 5 千万円の受注を見込んでいる。 生物多様性基本法が 08 年に施行され、企業などの事業者は、生態系に及ぼす影響の低減に努めることなどが定められている。 日本経団連などは多様性について情報交換する「生物多様性民間参画イニシアティブ」を 26日に設立し、企業の積極的な取り組みを促す考えだ。 (寺西和男、asahi = 10-17-10) 海にプカプカ、風車で発電 環境省が実用化実験へ 環境省は、海に風車を浮かべて発電する「浮体式洋上風力発電」の実用化に向けて、海域での実証試験に乗り出す。 海底に直接据え付ける「着床式」に比べて、「浮体式」は、より深い海域でも使えるのが特徴で、洋上で風力発電が可能なエリアが広がるという。 2012 年度に実証機をつくり、16 年度の実用化をめざす。 陸上に風力発電施設をつくる場合、好適地が限られているうえ、景観の妨げになったり、騒音が問題化することもある。 これに対し岸から離れた沖合は、景観や騒音の影響が少なく、風力発電の新たなフィールドとして期待されている。 日本の領海と排他的経済水域 (EEZ) は計約 447 万平方キロと世界 6 位の広さがあり、風が強く洋上風力発電に適した海域も多い。 環境省は、沖合 30 キロ未満で水深 50 - 200 メートルの海域を対象に海上の風の強さなどを分析。 浮体式洋上風力発電によって生み出せるエネルギーの潜在量は、原発 56 基分に相当する 5,600 万キロワットにのぼると試算している。 再生可能エネルギーの一分野として実用化することで、二酸化炭素 (CO2) の排出削減につなげるのが狙いだ。 実証機は 2 メガワット級になる見込み。 環境省は、設計や製造、設置海域の環境調査費など計 15 億円を、来年度予算の概算要求に盛り込んだ。 環境省地球温暖化対策課は「浮体式の洋上風力発電装置の開発は、世界的にもまだ始まったばかり。 国が後押しすることで、世界をリードする技術を育てたい。」としている。 (山本智之、asahi = 9-12-10) 光から電気へ、世界最高の変換効率達成 シャープ・東大 シャープは、光から電気への変換効率が自社測定で 42.1% と世界最高の太陽電池を東大と共同で開発したことを明らかにした。 人工衛星などに使われる化合物系の太陽電池に集光レンズを組みあわせ、これまで最高だった米企業の 41.6% を超えた。 ガリウムやヒ素などの元素を混ぜた化合物の層に光を吸収させて発電する仕組みで、シャープは昨年 10 月、当時として世界最高の 35.8% を達成。 今回、この電池を改良し、レンズをつけた。 住宅用で主流の結晶系の太陽電池は変換効率が 20% 以下であるのに対し、高コストだが変換効率が 30% 以上と高い化合物系は主に宇宙開発やソーラーカーレースなどに使われている。 シャープはさらに効率を高め、大規模発電所での利用も想定するが、実用化には量産などによる低コスト化が不可欠という。 (asahi = 9-9-10) 蓄電池使い電力安定供給へ 東京電力・東芝など実証事業 東京電力は東芝など電機メーカーと共同で、発電に波がある太陽光など再生可能エネルギーによる発電設備が増えても、蓄電池を使って、安定的に電力を供給できるようにする技術の実証事業に乗り出す。 3 - 5 年かけ、仕様や性能が異なる蓄電池をうまく制御する方法を研究する。 太陽光や風力による発電は天候によって大きく変動するため、得られた電力が大量に送電網に流れ込むと、電力供給の安定性が損なわれる。 そこで送電網に蓄電池をつないでならすことが望ましい。 だが、蓄電池はメーカーによって規格が異なり、交ざって存在すると制御が難しいという難点があった。 今回の実証事業ではリチウムイオン電池の蓄電池を使用。 遠隔操作に必要となる通信方法を定め、異なるメーカーの電池を共通に使えるようにする。 また、たくさんの電池を通信回線で結んで、一つの電池のように扱う技術も開発。 電力会社の中央給電指令所から簡単に制御できるようにする。 (竹中和正、asahi = 9-4-10) 子ども eco 検定、初の開催 温暖化やごみの問題に挑む 小中学生に環境問題についての知識や関心を持ってもらい、環境保全を実践する力を育む「子ども eco 検定(NPO こどもエコリテラシー協会主催、東京商工会議所、朝日新聞社後援)」の 1 回目が 4 日、各地で開かれた。 事前に 151 人が申し込んだ。 参加者はこの日、身のまわりの動植物や温暖化、ごみに関する問題など 50 の問いに、三つの選択肢から正答を選んだ。 正答率 7 割以上で合格となり、10 月初めに通知される。 検定の詳細は同協会ホームページ(http://www.kodomoeco.jp)。 (asahi = 9-4-10) 「世界が日本人の生活すれば地球 2.3 個必要」 WWF 世界中の人が日本人と同じ暮らしをしたら、地球が 2.3 個必要になる - -。 環境 NGO・世界自然保護基金 (WWF) ジャパンが 25 日、日本人の生活が自然環境に与える影響を発表した。 食糧や燃料などの消費をまかなうために、必要な森林や海の面積などをもとに算出した。 世界全体では、地球 1.44 個が必要な生活をしているという。 人間の生活がどの程度、自然環境に依存しているかを示す物差しの一つ「エコロジカル・フットプリント」という指数の 2006 年のデータを使って分析した。 森林や漁場、農地が持つ生産能力や、生活のために消費する化石燃料の量などを組みあわせて計算する。 日本の自然環境が持つ生産能力を人口 1 人当たりで換算すると、各国平均の約 3 分の 1。 一方、自然環境にかけている負荷は平均の 1.5 倍で、足りない分は外国からの「輸入」で補っている。 負荷が最も大きいのは、開発がめざましいアラブ首長国連邦で、地球 5.7 個分。 2 番目は米国の 5 個分で、日本は 29 番目だった。 中国は約 1 個で、1 個以下の国の多くはアフリカ諸国だ。 今年の世界全体のデータでは、8 月 21 日に、地球 1 個分を消費し尽くしたという。 (asahi = 8-26-10) 自然と共存、世界の里山つなげ 政府がネットワーク 政府は、世界各地の「里山 (SATOYAMA)」をつなぐ国際ネットワークを立ち上げる。 日本の里山のように、生態系の回復が追いつく範囲で人が自然を活用する事例を集め、自然との共生の好例として世界に発信する狙い。 10 月に名古屋市である生物多様性条約第 10 回締約国会議(国連地球生きもの会議)の期間中に設立総会を開く。 日本の里山では、人が燃料などを得るため定期的に木々を伐採することで、森林が維持されてきた。 環境省は SATOYAMA を世界に広めようと、昨年から日本、フランス、マレーシアで国際会議を開催。 海外の「里山」を探そうと、現地調査もした。 その結果、果樹や家畜が豊富なインドネシアの農家の裏庭「プカランガン」や、風土に根ざしたチーズやワインを生産するフランスの「テロワール」、家族単位で管理されるアルゼンチンの農地や周辺の自然「チャクラ」のほか、韓国、フィリピン、スペイン、アフリカ・マラウイなど各地で日本の里山のように自然を維持しながら利用する例が確認できた。 一方、会議での議論や調査を経て、こうした地域では里山同様、都市化や産業化、過疎化が進み、維持管理ができなくなりつつあるという共通の課題もわかった。 政府は、維持管理の知識・技術を伝える人材の育成や、そのための資金支援を進めるには、国や自治体、国際機関を結ぶネットワークが必要と判断。 「国際 SATOYAMA パートナーシップ」を設立し、まずは事例をデータベース化して各国間の情報交換や資金協力に役立ててもらう。 事務局は国連大学(本部・東京)に置く予定で、各国や自治体、国際機関、研究者、NGO などに参加を呼びかける。 (平井良和、asahi = 8-16-10) 企業の CO2 排出量を算出 日本興亜損保など新システム 日本興亜損害保険は、企業活動全般にかかるコストなどから二酸化炭素 (CO2) 排出量を算出できるシステムを日立ソフトウェアエンジニアリングと共同開発した。 このシステムを売り込み、CO2 削減を支援するコンサルタントサービスも 8 月から始める。 社内だけでなく、営業や出張など社外での企業活動による CO2 排出量を計算できるサービスは国内初という。 開発したシステムは、企業の経理部門で管理する電気やガス使用量のほか、営業用の社有車のガソリン代、新幹線の料金などを含む出張費や交通費、コピー用紙代など、約 20 項目の数値を入力するだけで部署別の CO2 排出量などが分かる。 「コスト削減を意識しながら CO2 削減も同時に進められる」という。 システムの初期導入費を含む年間利用料は約 250 万円から。 首都圏の企業を中心にサービスを始める。 日本興亜損保は自然災害で保険金支払額が変動するため、温暖化防止の取り組みを強化し、このシステムの開発に取り組んでいた。 (寺西和男、asahi = 8-3-10) ◇ ◇ ◇ 生きもの目線で企業を採点 生態系の影響評価に新指標 ![]() 生きものに優しい企業を 100 点満点で採点する指標を、環境 NGO バードライフ・アジア(東京都)とパナソニック(大阪府)が協力してつくった。 生態系への悪影響が少ない原料を使っているかなど、「生きものの目線」で企業を総合評価する仕組みだ。 10 月に名古屋市である国連地球生きもの会議を前に、企業が生態系へ配慮する動きが加速している。 指標は 09 年、自社の事業がどれくらい生態系に影響を与えているか把握しようと考えたパナソニックが、NGO に相談。 約 1 年の議論をへて完成させた。 採点項目は、(1) 原料、(2) 土地利用、(3) 事業所の操業、(4) 商品の開発、(5) 販売や物流の仕組み、(6) 社会貢献の六つ。 環境マネジメントの専門家らが、企業側が提出した資料などをもとに採点する。 それぞれの項目に、「商品の生物への影響を分析している」、「外来種の移入に適切な対応をとっている」など細かな採点基準が設けられている。 採点を受けた結果、パナソニックは 61 点。 4 段階評価の上から 2 番目で「努力が認められる」レベルだった。 違法伐採された木材を利用していないとして原料調達の分野では高得点をマークしたが、工場敷地内につくった緑地が地域の生態系と合っていないという理由で、土地利用の分野では低かった。 採点の依頼は、金融関連の企業など数社から寄せられているという。 バードライフ・アジアの鈴江恵子さんは「企業が事業活動に生態系配慮の考えを織り込むようになれば、自然保護の取り組みは大きく進む。多くの企業に広げたい」と話している。 (asahi = 7-26-10) ◇ ◇ ◇ 環境への貢献度、業績評価に反映 シャープが新制度 シャープは 30 日、すべての部門の業績評価に環境への貢献度合いを反映させる新制度を導入したと発表した。 部門評価の 5 - 20% を、環境への取り組みで決める。 部門の業績に連動している従業員の給料にも一定の影響が出るという。 来年 3 月までに、関連会社や海外拠点にも広げる。 新興国での創エネ・省エネ商品の受注件数、環境配慮型商品の投入モデル数など、部門ごとに目標を定めて達成率を評価する。 シャープは「エコ・ポジティブ・カンパニー」を企業ビジョンに掲げており、「社員全員がエコについて考え、貢献することが大切だ(太田賢司専務)」として、導入を決めたという。 (asahi = 6-30-10) 家庭用の太陽光発電、12 年以内に 3 割故障 NPO 調査 家庭に設置された太陽光発電システムの約 3 割が、12 年以内に故障している - -。 NPO 法人「太陽光発電所ネットワーク(PV ネット)」が 23 日、そんな調査結果を発表した。 「10 - 20 年故障しないと言って販売されるケースが多いが、実際は注意が必要だ」と呼びかけている。 同ネットの会員が設置した太陽光発電システム 483 台について調べたところ、149 台 (31%) が設置から 12 年以内に故障していた。 設置の仕方が悪くて故障したり、部品が劣化したりする例があった。 落雷や、電線などの影で太陽光が当たらない部分からの劣化がみられるという。 また、詳しく調べた 32 台では、部品の劣化で発電量が低下。 本来の性能などから予測される発電量と比べると、実際の発電量が 10 年で 4 割下がったケースもあった。 政府は温室効果ガスを 2020 年までに 90 年比で 25% 削減させる目標を掲げている。 このため、環境省案では太陽光発電システムを 20 年までに 1 千万世帯に普及させる考えだ。 PV ネットの都筑建事務局長は「販売業者の説明が不十分で、経年劣化などに気づかない消費者が多い。 大量普及させるなら、業者の説明義務を徹底させたり、メーカーの製造技術を向上させたりすることが必要だ。」と話す。 (asahi = 7-25-10) 洋上の風力発電、国内初稼働 7 基で 7 千世帯分の能力 富士重工業と日立製作所は、茨城県鹿島灘の洋上風力発電所「ウインド・パワー・かみす」に納めた風車 7 基が稼働を始めたと 21 日発表した。 強い風や波にさらされる港湾外の海上で風力発電を始めるのは、国内で初めてという。 全体で年間約 7,000 世帯分の電力をまかなう能力を持つ。 (asahi = 7-22-10) 日米など 23 カ国、CO2 削減で連携 大臣会合で採択へ 日米欧や中国など 23 カ国が、スマートグリッド(次世代送電網)の構築や工場・ビルの省エネ化、電気自動車の普及など約 10 分野で連携することが分かった。 スマートグリッドの構築では、2050 年までに最大年 22 億トン(06 年の世界の排出量の約 8% に相当)の二酸化炭素 (CO2) の削減を目指す。 各国が CO2 削減に向けた情報や取り組みを共有し、温暖化対策に役立てる。 米ワシントンで 19、20 の両日に初めて開催される「クリーンエネルギー大臣会合」で、各国が提案する約 10 分野の基本方針「イニシアチブ」を採択する予定。 この会合は、昨年 12 月の国連気候変動枠組み条約締約国会議 (COP15) での各国の対立を受けて、オバマ米大統領が「担当閣僚で議論を深めよう」と呼びかけたことがきっかけで行われる。 日本など主要国 (G8) に中国やインドなど新興国を加えた主要経済国フォーラム (MEF) のメンバーが出席する。 日本は、世界のエネルギー使用の約 6 割を占める工場・ビル分野における省エネ技術の普及を米国と共に提案する。 具体的には、電力などエネルギーを大量に消費する産業別に班を設立し、CO2 の排出を減らす最新技術のデータベースの作成や、エネルギー使用量の測定方法の標準化を進める。 韓国とイタリアは、スマートグリッドの世界規模での構築に向け、規制のあり方などを検討する班などの設置を共同提案。 中国は電気自動車の普及に向けた政策の情報交換の場の設置などを提案する。 (asahi = 7-19-10) サンゴ北上、千葉県沖で成長続ける 海水温上昇が原因か ![]() 千葉県館山市沖で 17 日、サンゴの調査が行われ、従来は伊豆半島が北限とされていたテーブル状のサンゴが冬を越して成長し続けていることを確認した。 海の環境調査に取り組む NPO 法人「OWS (東京都)」によるもので、研究者ら 16 人が潜水。 昨年見つけた同じサンゴが生き残っているのを確かめた。 サンゴの北上を監視する「造礁サンゴモニタリング調査」の一環。 テーブル状のサンゴはミドリイシの仲間で、直径 20 センチ近いものもあり、10 年近くかけて成長したと推測されるという。 サンゴが従来の分布域から北上する現象は、和歌山県の串本、長崎県の五島列島、静岡県の伊豆半島でも見つかっている。 海水温の上昇が原因と考えられ、海の生態系が変わり、将来は漁業に影響する恐れもあるという。 調査メンバーの山野博哉国立環境研究所主任研究員は「地球温暖化との関連を探るには 10 年以上の監視が必要になる」と話している。 (山本智之、asahi = 7-18-10) 生態系ビジネス、10 年後は 25 兆円に 08 年の約 5 倍 生態系の価値を経済的に評価する報告書「生態系と生物多様性の経済学 (TEEB)」は 13 日、生態系ビジネスの市場規模が今後、拡大するという予測をまとめた。 生態系に配慮した認証商品の普及などによって、2008 年に約 5 兆 7 千億円だった市場規模が、20 年には 25 兆円程度に拡大する可能性があるとしている。 報告書は、有機栽培などの認証を受けた農産物が、08 年に世界の食品・飲料品市場の約 2.5% にあたる 3 兆 5 -5千億円を占めていると分析。 20 年には 19 兆円に伸びると見込んでいる。 また、開発などによる自然の損失を、別の場所で保護された自然の価値を買い取る形で埋め合わせる「生物多様性オフセット」の市場は、3 千億円から 9 千億円に広がるとしている。 この報告書は、ドイツなどを中心に研究が進められ、08 年の生物多様性条約第 9 回締約国会議で中間報告が出された。 今年 10 月に名古屋市である第 10 回会議(国連地球生きもの会議)で最終報告が公表される予定だ。 これまで「ただ同然」と考えられがちだった自然の価値を、経済的に評価する際の指針になるとして企業の注目を集めている。 (平井良和、asahi = 7-13-10) 日ロ、省エネ分野で協力 風力発電所建設など 【モスクワ = 副島英樹】 日本の経済産業省とロシアのエネルギー省が 9 日、省エネや再生可能エネルギー分野で協力する共同行動計画にモスクワで署名した。 2012 年にアジア太平洋経済協力会議 (APEC) が開かれる極東ウラジオストクで、8 基の風力発電所を建設するプロジェクトを日ロ共同で推進することも確認した。 APEC 会場の電力はすべて再生可能エネルギーでまかなう計画だ。 メドベージェフ大統領が最優先課題に掲げる経済の「現代化」の中で、省エネは重点分野の一つ。 省エネ先進国である日本への期待は高く、人材育成を担う「日ロエネルギー効率センター」の設立などにも協力を求めている。 (asahi = 7-10-10) クールビズの次は「朝型生活」、日光活用し CO2 削減 家庭の二酸化炭素 (CO2) 排出量を減らそうと、環境省は 21 日から早寝早起きの朝型生活を呼びかけるキャンペーンを始めた。 朝型生活で電力の使用を減らし、地球温暖化防止に役立てるのが狙い。 都内で開かれたイベントでは、女優の辺見えみりさんや小沢鋭仁環境相らが「朝、太陽の明かりで暮らすことが CO2 カットの早道」と呼びかけた。 環境省は 2005 年に打ち出した「クールビズ」が一定程度定着したことを受け、新たな CO2 削減の生活習慣を考えてきた。 最近、時間の有効利用や健康を考える人たちが増えて注目される朝型生活に「CO2 の削減効果もある(環境省)」と目をつけた。 同省によると、日光で過ごす朝の時間を 1 日当たり 1 時間増やし、夜の就寝をその分だけ早めると、平均的な家庭の場合、照明による 1 年間の CO2 排出量の 5 分の 1 にあたる約 85 キログラムを削減できる、としている。 政府は 20 年までに、温室効果ガス排出量を 1990 年比で 25% 削減する目標を掲げている。 (asahi = 6-21-10) CO2 排出量「2030 年に 3 割減」 経産省が目標試算 経済産業省は 8 日、2030 年の二酸化炭素 (CO2) の排出量について「1990 年比 30% 程度削減する」との試算をまとめた。 20 年までに同 25% 削減、50 年までに同 80% 削減という政府目標はすでに掲げられているが、30 年時点の削減水準を正式に試算したのは同省として初めてだという。 政府は月内にも、「30% 削減」を 30 年までのエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」に盛り込み、閣議決定する予定。 次世代自動車や省エネ型住宅の普及など同計画の施策の実現が達成の前提としている。 30% 削減は、すべて国内の省エネなどで削減する「真水」で、海外からの排出枠購入分などは含まれていない。 部門別の内訳はオフィスや商店などの業務が同 37% 減、家庭が同 34% 減、運輸が同 29% 減、産業が同 27% 減。 30% 削減に必要な費用は累計で 131 兆円と試算。 ガソリン代や電気代が安くなるなど省エネの利点を差し引いても 62 兆円が必要だという。 (asahi = 6-8-10) 太陽光発電、雲の位置予測し安定供給 三洋など米で実験 三洋電機は太陽電池で起こした電力を蓄電池にためるスマートエナジーシステム (SES) を使い、電力を安定供給する実証実験を米国で始める。 雲の位置を予測する技術を持つカリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD) と提携、太陽電池の出力が急激に落ちても停電しないシステムの開発を目指す。 電力供給が日本にくらべて安定していない米国では、急に曇るなどして太陽光発電所の出力が落ちると広範囲で電力不足に陥る可能性がある。 新システムでは同校の技術で曇り出す時刻を正確に割り出し、前もって蓄電池から放電を始めて停電を防ぐという。 実験は 7 月 1 日から 3 年間。 三洋製の太陽電池、リチウムイオン電池、制御装置など 3 億円相当分を UCSD に提供する。 まずはキャンパス内の売店などに太陽電池とリチウムイオン電池を設置して実験し、将来は規模を拡大していくという。 三洋は 2015 年度までに SES 事業で 1 千億円の売上高をめざしている。 (榊原謙、asahi = 6-7-10) |