自動車、進む海外生産 上半期の台数は最多、比率 57% 日本自動車工業会がまとめた 2010 年上半期の国内自動車メーカーの海外生産は、前年同期比 51.1% 増の約 641 万 1,259 台と上半期では過去最高の台数になった。 国内生産は約 484 万台で、海外生産の比率は 57% に達した。 これまでの上半期の最高はリーマン・ショック前の 08 年で、623 万 2,099 台。 09 年は各社とも在庫調整を進めたため、10 年はアジア、欧州、北米、中南米、アフリカ、大洋州の全地域で前年同期を上回った。 中でも、米国での生産が同 71.3% 増の 138 万 4,594 台へ回復。 アジアも 54.3% 増の 333 万 6,984 台と大幅に伸び、全体を押し上げた。 海外生産は 07 年 1 - 12 月に初めて国内生産を上回り、09 年には海外生産比率が 56% にまで高まった。 日本市場が縮小しているのに対し、需要が急拡大している中国やタイなどアジアの新興国での生産が大きく伸びているためだ。 (asahi = 11-7-10) ◇ ◇ ◇ 富士重工、米中での生産拡大へ 販売好調・円高対応で 富士重工業が、米国での生産拡大を検討していることが明らかになった。 北米では販売台数が伸びているが、円高で輸出採算が悪化しているためだ。 中国での現地生産も年内に正式決定する方針で、2015 年度までに世界全体での生産台数を現在の約 64 万台から 80 万台に引き上げる。 森郁夫社長が朝日新聞社のインタビューに答えた。 生産台数拡大の方針は、年度内にまとめる 11 - 15 年度の中期経営計画に盛り込む。 米国では中型車「レガシィ」などの販売が好調で、今年度は前年度(22 万 7 千台)を上回る過去最高の 27 万 4 千台の販売を見込む。 現行計画では米国工場(インディアナ州)でレガシィなどを年 16 万台生産。 残る 10 万台強を日本から輸出する。 森社長は「円高が進むなら次の手を考えなければいけない。 米国は生産能力がそろそろ限界で、販売が伸びるなら(米国で)投資する必要がある」と話した。 富士重工は国内生産に占める輸出比率が 6 割程度と比較的高い。 11 年 3 月期連結決算での営業利益は、前期の 2.6 倍の 700 億円を見込むが、為替差損は 359 億円にのぼる。 海外の生産拠点は米国工場だけで、円高が進むなか、どう海外展開するかが課題の一つになっている。 中国ではスポーツ用多目的車「フォレスター」などの販売が好調。 需要拡大に合わせて現地企業との合弁生産を始める方針だ。 森社長は「(合弁相手などの方向性を)年内に決める。 中国では現地メーカーも力をつけており、進出はラストチャンスだ。」と話した。 米中での生産拡大は、販売が上積みできるところに新工場をつくる方針に基づくもので、国内での生産規模は維持する。 本工場(群馬県太田市)では 11 年度中に軽自動車の生産をやめ、資本提携するトヨタ自動車と共同開発する小型スポーツカーの生産を始める。 輸出向け車両の一部も生産し、稼働率を維持する。 (西村宏治、asahi = 11-7-10) ◇ ◇ ◇ 三菱自動車、中国で生産態勢強化 低価格の小型車検討 三菱自動車は 6 日、中国での生産態勢を強化すると発表した。 現地メーカーなどとの二つの合弁会社のうち、1 社への出資比率を引き上げて経営への関与を強め、低価格の小型車の生産も検討する。 中国での今年度の販売台数は 17 万台の見込みだが、2015 年度までに 30 万台に増やす。 益子修社長が同日会見して明らかにした。 三菱自は中国大手の広州汽車(広東省)などとの合弁会社「広汽長豊汽車」(湖南省)に 14.59% を出資しているが、11 年 6 月に設立する新合弁会社に事業を引き継ぎ、新会社には三菱自が 50% を出資。 社名には「三菱」の名前も入れる方針だ。 新会社の生産能力は現合弁会社の年 8 万台から、17 年までに 25 万台に増やす。 益子社長は「50% 出資で事業に責任を持つことができ、利益にも大きく貢献する」と述べた。 広汽長豊は現在、スポーツ用多目的車の「パジェロ」などを生産。 12 年 7 月からは新車種の生産も始める。 三菱自は 11 年度から、100 万円以下と低価格の世界戦略車をタイで生産、全世界へ輸出するが、中国の新会社での生産も検討している。 (江渕崇、asahi = 11-6-10) 中国、トヨタだけ通関手続き厳格化 尖閣問題 日本経済新聞(電子版)は 26 日、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる日本と中国のの摩擦が激化した 9 月下旬、中国当局がトヨタ自動車の輸入部品に対する通関を遅延させていた、と報じた。 同紙は、「中国当局が(日本当局に)拘束された中国人船長の釈放のために、日本企業の中国工場で使われる日本の部品に対する税関検査を厳格化し、通関を遅らせた。 当時、このニュースを聞いた日本の企業は大きな衝撃を受けた。」と報じた。 同紙はまた、「日本の主要企業のうち、通関に明らかな問題が生じたのはトヨタ自動車だけだった。 日本を代表する企業のため、標的になったとみられる。」と説明した。 同紙によると、中国当局は同時期に、浙江省杭州市にある販売店に手数料・サービス料の名目で 7 万元(約 85 万円)を支払ったトヨタ系列の金融会社に対しても、「違法にリベートを支払った」として罰金を科したという。 同紙はさらに、「トヨタのリベート疑惑のニュースは、中国国営の新華社通信と中国中央テレビ (CCTV) によって、中国全土に大々的に報じられた」と伝えた。 - 東京 = 鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員 (韓国・朝鮮日報 = 10-26-10) 共産党・政府への直接批判も 中国各地で反日デモ 【南京 = 奥寺淳、重慶 = 峯村健司】 中国西部の甘粛省蘭州と陝西省宝鶏で 24 日、日本への抗議デモがあった。 地元住民らの目撃情報によると、蘭州では 100 人以上の若者らが「日本製品ボイコット」などと叫んで行進。 宝鶏では約 2 千人の若者らがデモに参加した。 「多党制を導入せよ」、「住宅が高すぎる」といった横断幕も掲げられ、中国共産党・政府を直接批判する訴えが現れ始めた。 23 日には四川省徳陽でデモが起きており、中国当局はデモ封じ込めに各地で厳戒態勢を敷いたが、収入格差などの問題が深刻な内陸部の中小都市で 2 日続けてデモが起きた形だ。 反日に紛れて、当局への不満も噴出し始めた事態に、指導部は極めて神経をとがらせているとみられる。 宝鶏は 16 日にデモがあった陝西省の省都西安から西に約 170 キロにあり、人口 370 万人。 鉛生産が盛んな工業都市だが、沿海部の都市に比べると収入水準は低い。 役人の腐敗や不動産価格の急激な上昇に対し、市民からは不満の声が出ているとされる。 目撃者によると、デモ隊は反日スローガンは赤色の横断幕、中国政府への批判などは緑と青の布と区別して行進を始めた。 共産党の一党支配体制への批判のほか、「馬英九(台湾総統)、大陸はあなたを歓迎する」との文言もあったという。 治安当局は横断幕を没収。 数名が連行されたとの情報もある。 一方、デモの呼びかけがあった江蘇省南京では 24 日、100 人ほどの若者らが集まったが、治安当局に排除された。 重慶でも大学当局が学生の集団での外出を禁じるなどの措置でデモを封じ込めた。 これに先立ち、中国外務省の馬朝旭報道局長は 23 日夜、日中関係改善に向けた 22 日の前原誠司外相の発言に「留意する」との談話を発表。 「日本とともに努力し、戦略的互恵関係を推進させたい」とした。 (asahi = 10-25-10) ◇ ◇ ◇ 反日デモ、3 日連続で発生 武漢にも飛び火 【武漢 = 小林哲、上海 = 奥寺淳】 中国四川省成都などで起きた大規模な反日デモは 18 日、湖北省武漢にも飛び火し、若者ら最大 2 千人が日本製品ボイコットなどを叫んで行進した。 中国での反日デモは 3 日連続。 デモ隊が向かった地域に多数の武装警察が出動し、厳戒態勢が敷かれた。 デモは午後 2 時半(日本時間同 3 時半)すぎ、繁華街の魯巷広場から始まった。 当初は約 100 人だったが、デモを見た若者ややじ馬が加わり、最大で約 2 千人に膨らんだという。 同日夜、デモ隊が向かった地点の 2 - 3 キロ手前から道路が一部通行止めとなり、迷彩服を着た数百人の武装警官が現場に向かった。 デモ隊の一部は警官隊と衝突し、参加した学生 (21) は「警官に殴られたり、連行されたりする参加者もいた」と話した。 デモ開始時、1 千人以上の警察がデモ隊を見守っていた。 その後、中国国旗を持った若者が「打倒小日本(日本の蔑称)」などと叫びながら市内を歩き、参加者が興奮し始めたため、公安幹部が「自制心を持つように」と拡声機で呼びかけた。 一部デモ隊が武漢にあるホンダの合弁工場を目指しているとの情報があり、ホンダの社員も警戒に当たっていた。 (asahi = 10-19-10) ◇ ◇ ◇ 中国で再び反日デモ 若者ら 1 万人 日系店襲撃情報も 【綿陽(中国四川省) = 林望】 中国四川省成都などで起きた大規模な反日デモは 17 日、同省北部の綿陽市に飛び火し、住民の目撃情報によると、1 万人以上の若者らが「日本商品排除」などを叫びながら、市中心部を練り歩いた。 パナソニックの販売店のガラスが割られたり、日本メーカーの車が襲撃されたりしたとの情報もある。 中国当局は 17 日、デモ再発を防ごうと成都のほか、北京や上海などでも日本関係施設に対して厳戒態勢を敷いた。 しかし、若者らはインターネットや携帯電話で呼びかけ合い、警備の比較的少ない内陸部の地方都市で再びデモを起こした。 重慶の日本総領事館によると、綿陽の在留邦人は 10 人前後で、けが人などの情報はないという。 中国外務省の馬朝旭報道局長はこれに先立つ 17 日未明、「一部の群衆が日本の誤った言動に対して義憤を表明することは理解できる」との談話を発表。 一方で「法に基づき、理性的に愛国の熱情を表現すべきであり、非理性的、違法な行為には賛成しない」と暴力行為には反対する考えを示した。 (asahi = 10-17-10) ◇ ◇ ◇ 中国 3 都市で数千人の反日デモ 日系店に投石、被害出る 【北京 = 林望、古谷浩一】 中国の四川省成都など少なくとも 3 都市で 16 日、大規模な反日デモがあり、日系スーパーのガラスが割られるなどした。 尖閣諸島問題を巡り東京の中国大使館前で同日、中国に対する抗議デモが予定されていたことなどに反発し、インターネットや携帯電話を通じてデモの呼びかけが行われていた。 これほど大規模な反日デモが中国各地で起きたのは 2005 年 4 月、日本の国連安保理入りの動きや、小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝に対する反発が広がった時以来となる。 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で悪化した日中関係は、今月初めにブリュッセルで菅直人首相と温家宝(ウェン・チアパオ)首相が会談し、関係修復の動きが進んでいたが、中国での根強い反日感情が示された形だ。 今月下旬のハノイでの開催に向けて調整が本格化していた日中首脳会談など、両国関係改善への動きにも影響を与えるとみられる。 北京の日本大使館や成都の日系企業駐在員らによると、16 日午後 2 時(日本時間同 3 時)ごろから、成都市中心部にあるイトーヨーカ堂と伊勢丹の前に 1 千人以上の若者らが集結。 若者らは「釣魚島(尖閣諸島)を返せ」などと叫び始めた。 その後、周囲の群衆なども参加して数千人規模にふくれあがり、石やペットボトルも投げられた。 イトーヨーカ堂は臨時休業し、客らを避難させた。 重慶の日本総領事館によると、成都市在住の日本人は 300 人前後で、けが人の情報などはないという。 中国の新華社通信によると、陝西省西安市では 7 千人以上の学生たちが「日本製品を買うな」などと叫びながら市内を行進。 日の丸が燃やされたほか、一部が日系スポーツ用品店に押し入り、治安当局に排除された。 河南省鄭州市でもデモがあったという。 中国のネット上では 13 日ごろから、16 日に東京の中国大使館前で中国への抗議デモが予定されていることに反発し、各地でデモを呼びかける書き込みが出ていた。 (asahi = 10-16-10) ◇ ◇ ◇ 「反日デモはマスゲーム」中国有名作家が「愛国」に一石 反日デモは政府に踊らされたマスゲーム - -。 尖閣諸島沖の衝突事件で日中の緊張が高まった先月、中国の若手人気作家、韓寒さん (28) が自身のブログで発表した文章で、民族主義的な反日の動きを冷ややかに切り捨てた。 当局によってすぐに削除されたが賛否両論を呼び、多様化する市民の声を映しだした。 「内政の問題ではデモのできない民族が、外国に抗議するデモをしても意味はない。 単なるマスゲームだ。」 文章を発表したのは、中国各地で反日デモの呼びかけが広がった 9 月 17 日。 ネットなどで燃え上がった反日世論とは一線を画す立場を鮮明にした。 主張を貫くのは、中国国内に多くの矛盾を抱える中、政府が外国と対立するたびに庶民が「愛国」を叫ぶことへの疑問と、政治には踊らされないという冷めた視線だ。 政府の土地開発で立ち退きを迫られて抗議の自殺をした庶民や、当局に拘束された作家の名前を挙げ、「もし唐福珍や謝朝平のためのデモをすることができるなら、釣魚島や(妨害された北京)五輪聖火リレーのために自分もデモに参加しよう」とした。 土地の私有が認められていない中国の国情を踏まえ、こう問いかけてもいる。 「土地を持たないものが他人のために土地を争い、尊厳の与えられていないものが他人の尊厳を守ろうとする。 そんな安っぽい人間でいいのか。」 文章はその日のうちに削除されたが、ネット上で広がり議論を呼んだ。 「失望した」、「かっこつけの政府批判」との批判と同じくらい、「よくぞ言った」、「自分の気持ちをこれほど明快に表現した文章はない」といった支持が集まったという。 韓さんを知る上海の編集者、秦俟全氏は「文章は政府や極端に民族主義的なグループと一線を画す、少なくない中国の声を反映した。 中国社会が変化のただ中にあり、民間にも多様な声があることの表れだ。」と話している。 韓さんは若者からカリスマ的な支持を集め、ブログの閲覧数は 4 億回を超える。 米タイム誌で今年、「世界で最も影響力のある 100 人」に選ばれた。 (林望、asahi = 10-16-10) 日中の官民、44 事業で協力合意 スマートグリッドなど 日中の官民が環境技術分野で協力を進める日中省エネルギー・環境総合フォーラムが 24 日、都内で開かれた。 情報技術で再生可能エネルギーを安定供給させるスマートグリッド(次世代送電網)など、過去最多の計 44 事業で協力すると合意した。 5 回目の今年は、レアアース(希土類)の輸出停止問題などで日中関係がぎくしゃくする中での開催となったが、中国からの約 350 人を含め約 1,100 人が参加。 合意した 44 事業のうち新規は 36 件に達した。 主な新規事業は、▽ 東芝と清華大学のスマートグリッド研究開発、▽ 日産自動車が北京市で省エネ・二酸化炭素排出削減型の新交通情報システム導入など。 全体会合で大畠章宏経済産業相は「両国間には様々な課題が存在するが、アジアの平和と繁栄のためにも戦略的互恵関係を深める努力が必要だ」と話し、環境技術協力の促進を表明。 中国・国家発展改革委員会の張暁強副主任は「中国の省エネ・環境産業は大きな市場だ。 双方が協力すれば両国民の利益にかなう。」と、一層の協力拡大を呼びかけた。 程永華・駐日中国大使は日中関係の現状を「曲折し、状況が変化した」と表現。 「できるだけ早く正しい道筋に復帰し、大きな成果が得られることを望む」と述べた。 (asahi = 10-24-10) 「消費者軽視、長期戦略欠如のツケ」中国市場で苦しむ日本企業 中国の経済系メディア・和訊網は、「日本企業 : 中国を廉価な生産基地とみなし、長期的戦略なし」というタイトルの評論を掲載した。 まず冒頭で、日本の企業は発展の上で中国が最も重要な地域であることを認めているにもかかわらず、中国で利益をあげる日系企業は年々減少しているという現象を紹介するとともに、2005 年の携帯市場撤退からはじまり、ノートパソコン、デジタルカメラ、家電製品、そして自動車に至るまで、中国の消費者が日系企業の製品に対してそっぽを向き始めている状況も紹介した。 そして文章はその原因について、以下のように論じた。 ■ 日本企業はチャイナマネーを求めて最も早くやってきた海外企業といえるが、その目的は中国市場の潜在力ではなく、プラザ合意による円高で仕方なく海外に生産拠点を移転するといったものだった。 2000 年以前は中国市場の潜在力を低く見積もり、2000 年以後は中国市場の経営リスクを高く見積もっているのである。 ■ 短期的な視点しか持たない戦略のために、日本企業は中国の消費者に対して自信過剰となりブランド管理を軽視してきた。 中国人社員を管理層や上層部を配置せず、重要な方針決定は日本人のみで行ったために時間がかかった。 また、研究開発においても日本企業は積極性、力の入れ具合が欧米国家にはるかに劣っていた。 ■ 「一流製品は日本、二流製品は欧米、三流製品は中国」というのが長い間中国人が日本企業に対して持っていた感覚だ。 これが、例えばトヨタが国外市場で一般的にエアバッグを 5 つ搭載した乗用車を生産しているのに中国ではエアバッグを 2 つしか装備しない、といったような、中国に対する傲慢さ、中国の法律に対する軽視を生み出した。 さらに、消費者トラブル対応でも日本企業は傲慢さを見せたと指摘。 05 年に発生したソニーのデジタルカメラ問題、今年のトヨタのリコール問題、00 年に東芝のノートパソコンに発生した不具合に関するアメリカと中国との対応の違いなどを例に挙げた。 そして最後に、08 年の金融危機以降、日本企業はようやく中国市場の価値を見直すに至ったとし、日本企業が「世界の工場」から「世界の市場」となった中国で業績を挽回するには、win-win 確立のために誠意を持ち、「ローカライズ拒否」の姿勢から「ローカライズ受け入れ」に転換しなければならないと提言した。 (サーチナ = 10-22-10) 伊勢丹、中国・天津への出店延期へ デモ影響か 三越伊勢丹ホールディングスは、来春までに予定していた中国・天津への伊勢丹 2 号店の出店が遅れる見通しになったことを明らかにした。 現地の合弁企業先が決まらないためだが、尖閣諸島問題で日中間の緊張が高まり大規模なデモが起きていることも影響しているとみられる。 緊張が続き環境が整わなければ、出店中止の可能性もある。 伊勢丹は、中国では上海、天津、成都、瀋陽に計 4 店を出している。 天津の 2 号店開業に向けて現地の 2 企業と交渉していたが、条件面で折り合わず 8 月末までに決裂。 ほかの合弁先を探しているが決まっておらず、出店のめどが立たない状況だ。 中国では反日感情が一部で高まっており、成都では 16 日に伊勢丹やイトーヨーカ堂がデモ隊に包囲された。 三越伊勢丹は中国市場を重視する方針は変えないものの、日中関係の行方によっては、中国への出店計画全体に影響が出る可能性もある。 (asahi = 10-20-10) 三菱商事、中国山東省政府と提携 グループで事業展開へ 商社最大手の三菱商事が、中国第 3 位の人口と経済規模を持つ山東省政府と包括提携を結び、具体的なビジネス案を詰めていることがわかった。 三菱グループ各社も事業に加わる。 日本の企業グループと省政府との提携はまだ珍しいが、中国では省政府単位でも経済発展やインフラの向上を望む機運が高まっており、こうした協力関係は今後も広がる可能性がある。 三菱商事と山東省は昨年 12 月に「包括的かつ戦略的な合作協議書」を結んだ。 現在、三菱商事が中心となり、三菱グループの主要企業が山東省との間で協議。 環境関連や鉄鋼、食品・農産物などの分野で互いの利益になる事業の具体化を詰めている。 同省にある中国の大手鉄鋼メーカーへの機械や装置の納入、現地での農産物の加工、改良の余地が大きい低温物流など広範なインフラ整備が、案として挙がっているという。 三菱グループとしては、今後も経済発展が見込めそうな山東省との交流強化で、知名度や信頼性を高める狙いがある。 各社が山東省以外で個別事業を受注する際にも、他社より有利になるとみる。 山東省の政府や企業にとっては三菱が持つ技術や事業ノウハウ、ネットワークを取り込めるメリットがある。 「山東省側が三菱グループや日本企業にかける期待は大きい(三菱商事幹部)」という。 2009 年の山東省の人口は約 9,470 万人で、巨大な消費市場を持つ。 経済規模は約 3 兆 3,800 億元(約 42 兆円)で広東省や江蘇省に次ぎ、中国の国内総生産 (GDP) の約 1 割を占める。 同省の青島などには日本や韓国など多くの外国企業が進出しており、日本向け農産物の輸出基地にもなっている。 (神谷毅、asahi = 10-17-10) 三菱 UFJ、中国での融資目標 1 兆円 現地法人を増資へ 三菱東京 UFJ 銀行は 15 日、中国の現地法人「三菱東京 UFJ 銀行(中国、上海市)」の資本を増やし、現在約 8 千億円の現地での融資残高を 1 - 2 年後をめどに 1 兆円に引き上げると発表した。 8 日に増資し、資本金を以前から 15 億元(約 180 億円)増やし、80 億元(約 1 千億円)にした。 今回の増資で、現地で認められる 1 企業あたりの融資の上限が約 110 億円から約 130 億円に引き上げられる。 現在 12 拠点の支店や出張所も 3 年後までに 20 拠点に増やし、営業を強化する。 現地法人の資本力は、英大手銀 HSBC などと並び、外国資本の銀行トップの水準になったという。 (asahi = 10-15-10) ユニー、上海出店を発表 中国食品メーカーと共同 ユニーは 13 日、2012 年末に中国・上海に大型スーパー「アピタ」を出店すると発表した。 同社は香港に 2 店舗を持つが、中国本土への出店は初。 中国市場で最大の食品メーカー「頂新(ケイマン)ホールディング」と共同で出店する。 頂新とは同日、合弁会社(資本金約 30 億円)を 12 月に設立することで合意した。 出資比率はユニーが 70%、頂新が 30%。 今後 10 年間で上海を中心に約 20 店舗を集中出店し、年間売上高 1 千億円を目指すとしている。 ユニーは単独での中国進出も検討したが、商品調達や出店地の選定を、中国でノウハウのある頂新に委ね、出店ペースを早めることにした。 大手スーパー各社は中国本土への出店を急いでいる。 イオンは現在、25 店を出店。 セブン & アイ・ホールディングスも 12 店舗を運営している。 (asahi = 10-13-10) 日中間で M & A 加速 1 - 9 月、昨年 1 年間分を上回る 日本と中国の間の企業合併・買収 (M & A) が加速している。 今年 1 - 9 月、中国企業による日本企業の M & A は 19 件。 昨年 1 年間の件数(11 件)をすでに上回っている。 一方、日本企業による中国企業の M & A は 45 件と、こちらも昨年 1 年間の件数(24 件)を上回っている。 日本企業のブランドや技術を欲する中国企業、巨大消費市場を狙う日本企業という構図が顕著だ。 情報会社トムソン・ロイターがまとめた。 海外企業による日本企業の M & A と、日本企業による海外企業の M & A の合計は 500 件と、前年同期と比べ約 3 割増。 件数で最も多いのは日米間の約 120 件。 日中間は 64 件で 2 番目だが、日米間は前年同期比約 2 割増にとどまり、勢いは日中間の方にある。 中国企業による日本企業の M & A で今年最大だったのは、中国の繊維大手「山東如意科技集団」によるアパレルメーカー「レナウン」への約 40 億円の出資。 一方、日本企業による中国企業の M & A では、「電通」が中国の大手販売促進会社に約 50 億円出資した案件が最大だった。 (千葉卓朗、asahi = 10-5-10) 中国人観光客、8 月までは 09 年上回る 104 万人 日本政府観光局 (JNTO) が 27 日発表した 1 - 8 月の中国からの観光客数は約 104 万人で、昨年 1 年間の約 101 万人を早くも上回った。 訪日観光ブームで急ピッチで増えてきたが、沖縄県尖閣諸島沖の漁船衝突事件を受け、観光業界では 9 月以降の減少が心配されている。 8 月は前年同月の約 1.5 倍の 17 万 1,800 人で、8 月としては過去最高。 今年 7 月より 6,700 人増えた。 JNTO は、政府が 7 月に中国人の個人観光ビザの発給要件を緩めたことで、訪日旅行の需要が刺激されたとみている。 チャーター航空便や九州を訪れるクルーズ船などの団体観光客も好調だった。 政府は今年の海外からの旅行客を 1 千万人(09 年は 679 万人)に増やす計画で、中国からは 180 万人を呼び込む考え。 達成するには、9 - 12 月の 4 カ月で月 20 万人ペースでの誘致が必要になる。 しかし衝突事件を受け、中国から 10 月に予定されていた 1 万人規模の団体旅行がキャンセル。 北京市の観光当局が旅行会社に訪日観光の募集などを自粛するよう呼びかけている。 日中の緊張関係が長引けば、年末にかけて観光客の動向に影響が及ぶことになる。 (asahi = 10-3-10) ◇ ◇ ◇ 中国人の訪日旅行、大幅ダウン 尖閣衝突の影響鮮明に 観光庁の溝畑宏長官は 29 日の記者会見で、中国人の訪日旅行の予約が大幅に減っていることを明らかにした。 尖閣諸島沖の漁船衝突事件の影響がはっきりしてきたが、「中国を最重点市場とすることには変わりない」と強調した。 溝畑氏は「10 月 1 - 7 日の国慶節の連休の訪日旅行のキャンセルは少ないが、連休明けの新規予約は当初の予想より大幅に減っている。 引き続き状況を注視したい。」と述べた。 連休のキャンセルが少ないのは、すでに代金を払い込んでいるためとみられる。 一方、日本航空の大西賢社長は 29 日の記者会見で、漁船衝突事件後に中国路線で計約 1 千人のキャンセルがあったことを明らかにした。 影響が長引いた場合について「機材の小型化で対応し、(さらに訪日客が)減るようなら減便も視野に入れる」と述べた。 全日本空輸でも、団体客を中心にキャンセルが計約 3,500 人にのぼっている。 (asahi = 9-29-10) ◇ ◇ ◇ 北京市当局「訪日旅行自粛を」 旅行会社呼び出し要請 北京市観光当局が旅行業界に対し、訪日旅行の募集などの自粛を呼びかけたことが 22 日わかった。 沖縄県・尖閣諸島沖での衝突事件を受けた措置で、中国が経済力を背景に日本に圧力をかけた形だ。 旅行自体が禁止されたわけではないが、日本では中国人観光客の増加に期待が出ていただけに、自粛が広がれば影響は大きい。 北京の複数の旅行業界関係者によると、北京市観光当局は 21 日夕、数十社の旅行会社を呼び出して会議を開催。 日本旅行の募集の広告や宣伝を積極的に行わないように求めた。 事実上の自粛要請で、文書での通知はなく口頭での要請だったという。 大手旅行社の担当者は 22 日、すでに予約が入っている 10 月上旬までの訪日旅行は予定通りに行うとしたうえで、10 月中旬以降については「中日関係が緊張しており、日本への旅行は勧めていない」と語った。 また、別の旅行社の担当者は「旅行客の安全を考えて、行かないようにと提案している」とした。 中国政府は旅行規制を明言していないが、中国外務省の姜瑜副報道局長は 21 日の定例会見で、「中国の旅行者は安全で快適な場所を選んで旅行するだろう」と含みを持たせていた。 中国政府は、逮捕された船長が即時釈放されなければ「対抗措置を取る」と繰り返し表明。 温家宝(ウェン・チアパオ)首相も 21 日にニューヨークで「日本側がすべての責任を負わなければならない」と警告した。 民間交流などにさらに影響が広がる恐れがある。 一方、日中関係筋は 22 日、馬淵澄夫国土交通相が訪日した中国国家観光局の祝善忠副局長の表敬会見をキャンセルしたことで、「中国側は不快感を示しており、中国観光当局の動きに影響を及ぼした可能性がある」との見方も示した。 ■ 日本の観光業界「痛い」 中国では 10 月 1 日から「国慶節」の大型連休に入り、大勢が旅行に出る。 日本の観光関連業界にとっても「かき入れ時」のはずだった。 「中国からの観光客は既に少なくなっている気がする。」 中国人観光客の人気スポット、富士山 5 合目の観光施設「五合園レストハウス」の関係者は話す。 東京都を拠点とするバス会社では、週に数件あった中国人客関連の問い合わせがぱたりと止まった。 中国からの訪日客数は最近急増していた。 日本を訪れる中国人の数は 2008 年には 100 万人を突破。 今年 7 月には日本政府が中国人の個人観光客のビザ発給要件を大幅に緩和し、同月は前年の約 2.4 倍の 16 万 5,100 人が訪れていた。 銀座などの高級店でも最近は中国人客が「上客」になっている。 11 日に増改築を終えて再オープンした東京都中央区の三越銀座店では、中国語を話せるスタッフ 4 人を置いた。 同店の担当者は「早く通常通りの関係に戻って、一人でも多くのお客様に来てもらいたい」と願う。 日本旅行業協会 (JATA) は「中国人客は 05 年の反日デモで落ち込んだが、ようやく回復した。 観光業の活性化を引っ張る存在だけに、今回の問題での需要の冷え込みは痛い。」と話す。 (北京 = 古谷浩一、asahi = 9-22-10) ◇ ◇ ◇ 中国、日本からの上海万博訪問団 1 千人の受け入れ延期 外務省は 20 日、中国の招待で 21 - 24 日に訪中の予定だった 1 千人の「日本青年上海万博訪問団」について、中国側が受け入れ延期を 19 日夜に通知してきたと発表した。 同省によると、中国側の実施団体である政府系の「中華全国青年連合会」から 19 日夜、在中国日本大使館に電話があり、「現在の雰囲気でこのような友好交流事業を実施することはふさわしくない」として、事業の延期を一方的に伝えた。 沖縄県尖閣諸島沖で中国漁船の船長が逮捕された事件との関連については明言しなかったという。 日本政府は同日夜、在中国日本大使館幹部を通じ「青少年交流事業は安定した日中関係の礎を築く上で意義のあるもので、訪中直前の中国側の決定は極めて不適切かつ遺憾だ」と中国側に申し入れた。 日本青年上海万博訪問団は、5 月末の温家宝首相訪日時の日中首脳会談で、温首相が鳩山由紀夫前首相に提案。 大学生ら約 1 千人が上海を訪問し、上海万博の視察や、中国の青年との交流を行う予定だった。 (asahi = 9-20-10) ◇ ◇ ◇ 北京の観光イベント 日本の訪中団、出演急きょ取りやめ 【北京 = 古谷浩一】 北京で 19 日に始まった国際観光イベント「北京国際観光祭」で、観光庁が主催する日中青少年観光交流の訪中団などの日本からの参加団体の出演が急きょ取りやめとなった。 尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件で抗議デモなどが起きている中、主催者の北京市から取りやめの打診があったといい、日本側は団員の安全などを考えて出演を辞退したという。 このイベントの 19 日の開幕式には中国のほか約 20 カ国からの団体が参加し、自国の伝統芸能などを披露したが、日本の団体の出演がなく、会場に並ぶ各国旗の中に日の丸も見えなかった。 訪中団は約 40 人で、17 日に北京入り。 沖縄のエイサーや津軽三味線などを、北京国際観光祭の開幕式などで演奏する予定だった。 阿波踊りを披露する予定だった別の団体も出演取りやめになったという。 (asahi = 9-19-10) ◇ ◇ ◇ 尖閣衝突に抗議 中国、1 万人訪日旅行中止 【北京 = 坂尻信義】 10 月に日本への約 1 万人の団体旅行を予定していた中国の大手企業が 17 日、東シナ海の尖閣諸島沖で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突、船長が逮捕された事件に抗議し、団体旅行を取りやめた。 7 月に政府が中国人の個人観光客のビザ発給要件を緩和後、日本政府観光局が海外からの団体旅行としては最大規模として誘致の成功をアピール。 少なくとも数億円の経済波及効果を見積もっていた。 日本への団体旅行を中止したのは、健康食品や化粧品の販売を手がける宝健日用品有限公司(本社・北京、社員約 3 千人)。業績をあげた販売代理店を対象に家族同伴の旅行を企画。 社員の一部も同行し、10 月上旬から東京と大阪の 2 コースに分かれて順次来日する予定だった。 同社は、中止の理由について「日本への抗議」であり、「尊厳ある中国人であるため」の決定だとしている。 17 日午後に北京市内で記者会見し、正式に発表する。 一方、日本側にとっては、今回の大型案件の誘致は、別の候補地だった韓国と競り勝って実現した。 訪日観光客を増やして経済成長を目指す政府にとっては中国からの訪日客に期待するだけに、訪日中止は痛手となる。 同社首脳が今春、日本を視察に訪れた際に自ら誘致役をかってでた前原誠司国土交通相は同日、閣議後の会見で、「中止の決定は残念だが、外交関係にはさまざまな波がある。 長い目で見れば 1 万人といわず 2 万人くらい来ていただくように話をすることが大事だ。」と述べた。 (asahi = 9-17-10) 日中間の貨物に遅れ 中国税関、一部で検査を厳格化 【北京 = 吉岡桂子】 北京や上海など一部の中国税関がここ数日、日本との輸出入に対する通関の検査を厳しくしている。 このため自動車部品や機械などの輸出入に遅れが出始めた。 日本企業の生産活動に影響を及ぼしかねず、日本政府や企業は情報収集を急いでいる。 日本側には、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に絡んだ中国側の嫌がらせではないかと懸念する声もある。 北京では 25 日から突然、日本向けの商業用航空貨物がすべて開梱(かいこん)検査の対象となった。 通常は 10 - 20% を抜き取り検査してすませており、検査の遅れから予定した便に載せられない貨物が相次いでいる。 日本からの輸入品も検査率を引き上げられた。 上海では 21 日、税関当局が大手運輸業者に対して、航空貨物を全量検査し、検疫の検査率も 10% から 50% に引き上げると通告してきた。 上海港でも海運貨物の輸出許可が遅れ、日本向けコンテナの積み残しが出ている。 天津港など各地で同様の事態となっている。 日本の大手運輸会社の担当者は「多くの日本メーカーは部品の在庫をできるだけ減らし、空輸で相互に調達して両国の工場で生産しており、検査の厳格化が長引けば影響は大きい」と心配する。 日中間の貿易では、中国政府は指示を否定しているものの、電化製品や電気自動車に必要なレアアース(希土類)の中国から日本への輸出が漁船衝突事件後に止まっている。 中国漁船の船長を解放後も北京空港で貨物検査を強化し始めており、日本への対応を緩める気配はみられない。 日本にとって中国は輸出入とも最大の貿易相手国。 日本貿易振興機構 (JETRO) によると、2010 年上半期(1 - 6 月)の貿易総額は 1,383 億ドル(前年同期比 34.5% 増)で、半期ベースでは 08 年下半期以来 3 期ぶりに過去最高を更新した。 日本からの輸出は建設機械や電子・自動車部品など、日本への輸入は電気機器の完成品などの伸びが大きい。 中国にとっても日本は米国、欧州連合に次いで、東南アジア諸国連合と並ぶ貿易相手となっている。 (asahi = 9-26-10) 「中国の要求が通った」と市民 = 邦人社会に期待と懸念 - 中国 【北京】 中国漁船衝突事件で、日本側が逮捕した中国人船長の釈放を発表した 24 日午後、北京の市民からは、「中国の要求が通った」、「家族も安心しているだろう」と喜びの声が聞かれた。 一方で、「そもそも捜査する必要があったのか」と船長逮捕の「不当性」を指摘する人もいた。 中国では事件を受け、日本人学校に鉄球が撃ち込まれるなど各地で抗議活動が発生。 中国に暮らす邦人は船長釈放決定に、「日本に対する反発が和らいでくれるといい」と期待している。 一方、旧日本軍の遺棄化学兵器関連事業の受注に向けた準備のため、現地調査で河北省石家荘市を訪れていたゼネコン「フジタ」の日本人社員 4 人が当局の取り調べを受けているとの報道は、中国の邦人社会に衝撃を与えた。 中国での勤務経験が長い日本企業駐在員は、「漁船事件と邦人拘束は関係ないというが、ビジネスでしか中国を知らない日本人は、『中国は何でもする怖い国』という思いを抱いたはずだ。 中長期的に企業の対中ビジネス戦略に影響を与えるかもしれない。」と懸念を示した。 (jiji = 9-24-10) ◇ ◇ ◇ 北京の日本人学校、運動会延期 尖閣衝突で反日行動警戒 【北京 = 古谷浩一】 尖閣諸島沖の東シナ海で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件で中国での対日感情が悪化していることを受け、北京市の日本人学校(児童・生徒数 596 人)は 15 日、18 日に予定していた運動会を 10 月に延期することを決めた。 12 日に窓ガラスが割られ、「侵犯は許さない」との落書きがされる事件が起きた天津市の日本人学校(児童・生徒数 193 人)も 18 日の運動会を延期か中止するとしている。 中国では 18 日に事件に反発して日本に抗議する大規模なデモを呼びかける動きがあり、両校ともに中国公安当局から児童らの安全確保のためにこの日の開催の取りやめを検討するように要請を受けていた。 中国のほかの都市の日本人学校などでも今週末の行事の延期や中止を検討する動きが広がっている。 (asahi = 9-15-10) 日産、中国での生産能力倍増へ 年 120 万台目指す 【鄭州(中国河南省) = 琴寄辰男】 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は 20 日、2012 年の中国生産能力を現在の 2 倍近い年 120 万台に拡大する方針を明らかにした。 日産は 5 月の決算発表時、12 年に 100 万台の年産能力を目指す方針を示していたが、中国市場の拡大を受けて 20 万台上積みした。 20 日開かれた日産の中国合弁会社「鄭州日産汽車」の第 2 工場(年産能力 14 万台)の完成式で表明した。 新工場は約 10 億元(約 128 億円)を投じて建設。 日産の合弁会社「東風汽車」の広州工場(広東省)から移管したスポーツ用多目的車 (SUV) を生産する。 新工場の完成で、鄭州日産の年産能力は 6 万台から 20 万台に拡大。 12 年にさらに 24 万台まで増やす。 東風汽車も広州第 2 工場(年産能力 24 万台)を稼働させるなどして、日産は中国での年産能力(現在 67 万台)を 120 万台まで引き上げる方針だ。 日産の今年 1 - 8 月の中国販売台数は前年同期比 41% 増の 66 万台。 現在の年産能力に迫っており、操業時間の延長などで対応している。 ゴーン社長は完成式で「新工場の稼働によって、拡大する中国での需要と、日産の生産能力の差を縮められる」と語った。 また、ゴーン社長は完成式後の記者会見で、尖閣諸島沖の衝突事件をきっかけとする日中両国の関係悪化が販売に与える影響について、「マイナスの影響の兆候はない」と話した。 (asahi = 9-21-10) 住友商事、中国で水事業参入 最大手と提携し下水処理 住友商事は 17 日、中国の水事業最大手の北京首創と水インフラ関連事業で提携すると発表した。 住友商事が 40%、北京首創が 60% を出資して香港に合弁会社を設立。 まず山東、浙江の両省で下水処理事業を手がけ、今後 3 年で約 500 億円を投資して水インフラ関連事業を拡大する。 北京首創は中国 33 都市で上水供給や下水処理事業などをしている。 住友商事はトルコや中東などで水事業を手がけ、水処理関連技術のノウハウを持つ。 両社は水インフラ関連事業を中国全土に広げ、将来は他の国の事業にも共同参画することを検討する。 中国では水インフラの整備が急速に進められているが、下水道普及率は 20% ほどにとどまる。 住友商事は水処理関連の市場規模が今後も拡大するとみている。 (asahi = 9-17-10) 北九州 - 上海の貨物定期便を 10 月開設 中国の航空会社 中国の貨物専門航空会社「揚子江快運航空(上海市)」の舒偉東(シュウ・ウェイドン)社長は 15 日、北九州と上海(浦東)を結ぶ貨物定期路線を 10 月 14 日に開設する方針を明らかにした。 北九州空港に国際貨物の定期路線が開設されるのは、2006 年 3 月の開港以来初めて。 中部空港を訪問中の舒社長などによると、北九州 - 上海線には、最大で約 15 トン搭載できる小型貨物専用機を、週 3 便運航する。 快運航空は、中国の 4 大航空会社の一つ、海南航空グループに属し、02 年に設立された。 (asahi = 9-15-10) |