笹子トンネルが全面復旧、2 カ月ぶり 天井板を撤去 車 3 台が巻き込まれ、9 人が死亡した天井崩落事故が起きた中央自動車道笹子トンネル(山梨県)は、復旧作業が終わり、8 日午後 4 時ごろ、上下線ともに開通した。 全面復旧は昨年 12 月 2 日の事故から約 2 カ月ぶり。 事故後に上下線で通行止めとなっていたが、中日本高速道路(本社・名古屋市)は下り線の天井板をすべて撤去し、昨年 12 月 29 日に対面通行の形で仮復旧。 1 月 11 日からは上り線の天井板撤去作業を行ってきた。 対面通行による渋滞を緩和するため、1 月 1 日から無料となっていた迂回路の中央道富士吉田線の大月 IC - 河口湖 IC 間は今月 11 日で無料措置を終える。 (asahi = 2-8-13) 天井ボルト、6 割以上が抜ける状態 笹子トンネル 【村田悟】 9 人が死亡した中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故で、国土交通省は 1 日、天井板をトンネルに固定するボルトの約 6 割が調査で抜けたと発表した。 ボルトはたとえ下に引っ張っても、きちんと固定されていれば抜ける前にボルト自体が折れる設計で、接着剤の不足などで強度が足りなかった可能性があるという。 国交省がトンネル内の崩落していない区間で計 183 本のボルトを引っ張って強度を調べたところ、113 本が抜けた。 うち 16 本は、天井板やつり金具を支えるだけの力もなかった。 16 本は崩落現場の周辺に集中しており、一部はさびていた。 引き抜かれたボルトには、先端の一部にしか接着剤が付着していなかったものが多数あったという。 また、関係者によると、崩落現場でボルトが抜け落ちた穴の調査でも、接着剤は穴のごく一部にしか残っていなかったという。 一方で、トンネルのコンクリート壁やボルト自体には、強度に問題は見つからなかった。 (asahi = 2-2-13) ◇ ◇ ◇ 笹子トンネル、ボルトの接着剤不足 国交省調査 【真海喬生、村田悟】 中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の上り線で、崩落した天井板をコンクリート壁に固定するボルトに十分な量の接着剤が使われていなかったことが、国土交通省の調べでわかった。 接着剤はボルトをコンクリート壁に固定して強度を確保するためのもので、国交省はずさんな工事が大規模崩落の主要因だった可能性があると見ている。 笹子トンネルは、コンクリート壁に長さ 13 センチのボルトを埋め込んで天井板をつり下げる構造だった。 ボルトをコンクリート壁に固定するためには、接着剤や砂利などが入ったカプセルを穴に入れてからボルトを差し込むのが一般的な工法だ。 カプセルが割れて接着剤が穴の奥に広がり、ボルト全体に行き渡って接着力が高まる。 ボルトは荷重の 3、4 倍の重さに耐えられる設計だった。 ところが、事故後に国交省が崩落現場でコンクリート壁から抜け落ちたボルトを調べると、接着剤はボルトの付け根付近にしか残っていなかった。 崩落現場以外の抜け落ちなかったボルトも同様だった。 (asahi = 2-1-13) 国道トンネルでモルタル 3.7 トン崩落 千葉・君津 30 日午前 8 時半ごろ、千葉県君津市大戸見の国道 410 号のトンネル「大戸見隧道(ずいどう、全長 38.5 メートル)」で、天井付近のモルタルが大量に崩れ落ちているのを車で通りかかった近所の住民が見つけた。 県は再び崩落する恐れがあるとして通行止めにした。 県道路環境課によると、国道は片側 1 車線で路側帯がある。 崩落はトンネル中央部で起き、約 1.7 立方メートル(重さ 3.7 トン)のモルタルが落ちていた。 巻き込まれた通行人や車両はなかった。 2010 年 9 月の打音検査で異常はなかったという。 同じように内壁にモルタルを吹き付けたトンネルは県が管理する道路に 21 カ所あり、同課は一斉点検する方針。 (asahi = 1-30-13) モルタル落下、東北新幹線でも 宮城の岡トンネル JR 東日本は 28 日、東北新幹線の白石蔵王 - 仙台にある岡トンネル(宮城県村田町)で、側壁から重さ約 650 グラムのモルタル片がはがれ落ちていたと発表した。 コンクリートの継ぎ目を埋める「化粧モルタル」で、18 日に上越新幹線で落下しているのが見つかったのと同じもの。 28 日の始発前点検で社員が発見した。 線路から 1 - 2 メートル離れた場所に落ちており、運行に支障はなかったという。 同社はこれまで、「運行や周囲の安全、本体構造に影響がない」と判断したトンネルの損傷は公表してこなかったが、中央道笹子トンネルの天井崩落事故で「トンネルの安全性について関心が高まっている」として、見つかった損傷は全て公表することに改めたという。 (asahi = 1-28-13) 新幹線トンネル、緊急点検へ 側壁からモルタル片脱落 新潟・群馬県境にある上越新幹線の大清水トンネルで側壁からモルタル片がはがれ落ちたトラブルを受け、太田昭宏国土交通相は 25 日の閣議後会見で、JR 各社にトンネルの緊急点検を指示すると発表した。 同日中に通達を出す。 完成後 20 年以上経った新幹線トンネルのうち、継ぎ目を埋める「化粧モルタル」が天井部に使われているトンネルが対象。 JR 東、東海、西の各社に、壁近くでの目視と打音検査で点検させ、数カ月以内の報告を求める。 太田国交相は「天井から落ちれば事故になりかねず、安全に万全を期したい」と述べた。 (asahi = 1-25-13) トンネル壁片落ちた形跡なし JR 北海道が点検 北海道函館市の JR 北海道の車両基地で 21 日朝、到着した貨物列車の機関車の屋根にモルタル片 1 個が落ちているのが見つかった問題で、JR 北は同日、列車が通過した津軽海峡線の約 25 カ所のトンネルの内壁を点検したが、モルタル片が落下した形跡はなかったと発表した。 青函トンネルでは、見つかったモルタルと同じものは使っていなかったという。 同線は同日夕に運転を再開したが、特急など 21 本が運休し、約 2 千人に影響が出た。 (asahi = 1-22-13) ◇ ◇ ◇ 青函トンネル内壁片落ちる? JR 北海道、運転見合わせ 21 日午前 9 時半ごろ、JR 北海道の車両基地(北海道函館市)に到着した機関車の屋根にモルタル片 1 個が落ちているのが見つかった。 JR 北は、貨物列車が通過した津軽海峡線のトンネルで、内壁のモルタル片が落下した可能性もあるとして、青函トンネルを含む同線の運転を上下線とも見合わせて点検を始めた。 この影響で、午後 1 時 15 分現在、特急 13 本を含む 21 本が運休した。 JR 北によると、モルタル片は 5 センチほど。 下り貨物列車(20 両編成)の点検で見つかったという。 運転を見合わせているのは五稜郭駅(函館市)から蟹田駅(青森県外ケ浜町)までの区間で、青函トンネルを含め約 25 カ所のトンネルがあるという。 (asahi = 1-21-13) インフラ点検歴一覧化へ 国交省、トンネル・橋など 【木村聡史、稲田清英】 トンネルや橋、水門といった全国のインフラ(社会基盤)について、点検・補修の履歴、構造、築年数などを一覧できるデータベースづくりに国土交通省が乗り出す。 中央自動車道笹子トンネルで起きた天井崩落事故を機に、老朽化への対策や必要な維持・管理を効率よく進めるためだ。 システムをつくるための調査費を今年度の補正予算案か、遅くても新年度の当初予算案に盛り込む方針。 具体的には、▽ いつ、どんな点検や修繕をしたか、▽ 構造に注意が必要な特徴はあるか、▽ 使われ始めて何年たつか、といった情報を蓄積する。 どこにどんな施設があるかだけでなく、点検や修繕の履歴を中心に集める「カルテ」だ。 都道府県や市町村、高速道路を管理する高速道路会社などからも情報を集める。 (asahi = 1-4-13) 鉄道トンネルも天井の緊急点検を指示 国交省、JR に 国土交通省は 19 日、鉄道トンネルで天井部の設備が落下する危険がないかを緊急点検するよう、JR 4 社など 5 社に指示した。 中央自動車道・笹子トンネルの天井板崩落事故を受けたものだ。 まず新幹線のトンネルが中心で、問題が見つかれば在来線や各地の私鉄などにも範囲を広げるという。 全国にある新幹線のトンネルと、東京臨海高速鉄道(りんかい線)が走る東京湾の海底トンネルなど約 500 カ所が対象。 風圧による影響がほかの電車より大きい新幹線を優先して点検を進め、来年 3 月末までに報告を求める。 点検するのは、架線をつり下げるために天井部にある装置で、重さは約 200 キロ。 通常は 40 メートルごとに、10 本の鉄製のボルトで天井に固定されている。 ボルトを近くで見て損傷がないか確認するほか、ハンマーでたたいて異常を調べる「打音検査」もする。 鉄道営業法ではトンネルについて、新幹線は 10 年に 1 度、その他は 20 年に 1 度、打音検査を義務づけている。 (asahi = 12-19-12) 笹子トンネル下り、不具合 670 カ所 国交省、緊急点検 中央自動車道笹子トンネル上り線の天井崩落事故で、国土交通省は 13 日、つり天井を固定するアンカーボルトが抜けたり、さびで腐食したりするなどの不具合が下り線でも計 670 カ所で見つかったとする緊急点検の結果を公表した。 国交省は、崩落した上り線と同構造の下り線で多数の不具合が見つかったことを重視。 中日本高速道路のこれまでの安全管理に問題があったとして調べる。 中日本高速は、下り線のつり天井を撤去して年末までに対面通行で仮復旧させる方針だが、上り線の復旧はさらに時間がかかりそうだ。 下り線のアンカーボルトは計 1 万 2,002 カ所。 手で引っ張ると簡単に抜けたり、ゆるんだりしていたものが 632 カ所あった。 コンクリート製の天井板をつる金具のボルト脱落や破損が 10 カ所、天井板を支える土台の損傷が 9 カ所、トンネル本体のコンクリートのひびが 19 カ所あった。 中日本高速は 9 月、目視を中心に点検したが、ほとんどは見逃されていた。 (asahi = 12-13-12) 神戸のトンネル、天井ボルト脱落 阪神高速、点検で判明 山梨県の中央自動車道・笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて、類似構造のトンネルを点検していた阪神高速道路は 8 日、神戸山手線の神戸長田トンネルの上下線(神戸市)で、天井板の吊(つ)り材計 6,600 カ所のうち 7 カ所で天井のボルトが 4 本抜け落ち、4 本にゆるみが見つかった、と発表した。 同社によると、点検で吊り天井のボルトに不具合が見つかったのは初めて。 同社によると、神戸長田トンネルは、2003 年 8 月に開通。 天井板が設置されているのは下り線(3.9 キロ)の 2.1 キロと、上り線(3.4 キロ)の 2.3 キロ。 今月 3 - 7 日に触診したり打音したりする緊急点検を実施していた。 (asahi = 12-8-12) 笹子トンネルだけ打音検査せず マニュアルでは義務 【工藤隆治、中田絢子、村田悟】 山梨県の中央自動車道笹子トンネルの天井崩落事故で、天井板を固定する金属ボルトの異常を検知する打音検査が、高速道路会社3社が共有する点検マニュアルで義務化されていたことがわかった。 中日本高速道路は他のトンネルでは実施していたが、笹子トンネルだけは「目視で異常を確認した場合」と条件付きに切り替えて運用していた。 点検マニュアルは中日本と東日本、西日本の高速道路 3 社が前身の日本道路公団から引き継いだものをもとに民営化後の 2006 年に共同で作成。 定期的に実施する詳細点検は「構造物の健全性を把握するため近接目視・打音等により詳細な診断を行う」と定義している。 打音検査はコンクリート内部の腐食やボルトのゆるみを異音で検知する。 中日本高速もマニュアルに沿って詳細点検をしていたが、笹子トンネルだけは同マニュアルの「天井板の留意事項」の項目にある「目視で確認するなどの配慮が必要」との記述をもとに、異常があれば打音検査するという運用をしていた。 (asahi = 12-6-12) トンネル崩落 : 他は著しい損傷なし 中日本高速が緊急点検 ![]() 中日本高速道路は 4 日、笹子トンネル事故を受けて実施した、管内のつり天井式トンネルの緊急点検について、「著しい損傷はなかった」と発表した。 今後、詳細な点検結果を公表する方針。 ▽ 中央自動車道・恵那山トンネル(長野県 - 岐阜県)、▽ 東名高速・都夫良野トンネル(神奈川県) - - でボルトの緩みなどの有無を調べる打音検査を実施。 笹子トンネルは、下りは対象区間約 4.4 キロのうち約 4 割の約 1.9 キロで点検を終えたが、事故のあった上りはがれきが残り、点検を実施できていない。 点検結果について、同社は OK (損傷なし)から、AA (機能面で速やかに補修が必要)まで、8 段階の判定区分を設けている。 これまでの点検では、補修の緊急性が高い AA や A (速やかにではないが補修が必要)に該当する異常は見つかっていないという。 他の判定区分に該当する異常の有無は「取りまとめ中」とした。 (沢田勇、mainichi = 12-4-12) 中日本高速きょう捜索 49 トンネル緊急点検 天井崩落 山梨県の中央自動車道の笹子トンネル上り線(全長約 4.8 キロ)で 9 人が死亡した崩落事故で、山梨県警は 4 日に、業務上過失致死傷容疑でトンネルを管理する中日本高速道路(本社・名古屋市)を家宅捜索する方針を固めた。 また国土交通省は 3 日、崩落したトンネルと同様のつり天井方式を採用している全国 37 カ所 49 本のトンネルを緊急点検するよう、高速道路会社などに指示した。 県警などによると、事故では、つり金具と鋼材で支えられた天井のコンクリート板約 330 枚(約 360 トン)が落下。 ワゴン車など 3 台が下敷きになり、9 人が死亡、2 人が負傷した。 つり金具を固定する最上部のボルトが老朽化で折れるか、抜け落ちたことが崩落につながった可能性があるとみられている。 中日本高速では、9 月に現場を点検。 最上部は目視で確認したが、異常は確認されなかったとしている。 県警は、こうした点検が適切だったかどうかについて捜査を進める。 (asahi = 12-4-12) 旧型構造、V 字崩落 目視点検は「異常なし」 山梨県の中央道「笹子トンネル」で 2 日に起きた天井板の崩落事故は、老朽化が原因である可能性を、中央道を管理する中日本高速道路が認めた。 高度成長期に広がった全国の高速道路は急速に「高齢化」している。 更新の費用確保と安全対策が課題だ。 つっかえ棒を外されたように V 字形に崩れた天井板がトンネルの奥まで続いている - -。 トンネルの監視モニターが崩落現場を映し出した。 落下した天井板は路面から高さ 4.7 メートルにあり、トンネル上部の空間を左右に仕切り、外部の空気を入れ、トンネル内の排ガスを外部に送り出すためにある。 この形式は換気量が多いのが特徴で、笹子トンネルが開通した 1977 年ごろには一般的だった。 一方、最近の主流は天井部に大きなファンをつけ、トンネルを煙突に見立てて内部の空気を排出する方式だ。 これだと圧迫感がなく、コストも抑えられる。 「経年劣化についても原因としては考えている。」 事故後に記者会見した中日本高速の吉川良一・代表取締役専務執行役員は、落下原因の一つにこの排気構造があると述べた。 この形式は、同じ中央道で長野県と岐阜県の県境を通る「恵那山トンネル」など全国にある。 国土交通省は、全国の高速道路会社 6 社と直轄国道を管轄する各地方整備局に緊急点検を指示する方針だ。 天井板はつり金具と両壁の受け台に支えられており、今回は中央から V 字形に落下した。 谷本親伯(ちかおさ)・大阪大学名誉教授(トンネル工学)は「つり具と天井板をつないで固定しているネジが、振動などで少しずつゆるんだか、腐食するなどしたのでは」と指摘する。 トンネル中央部は排ガスがたまりやすく、腐食が進んだ可能性があるという。 ![]() 周辺の地質が影響した可能性を指摘する声もある。 石原研而(けんじ)・中央大研究開発機構教授(地盤工学)は「トンネルの外側から内側に向かって力が加わる。 トンネル周辺の岩盤が変形しやすい性質なら、トンネル全体が変形して天井板を支えていたバランスが崩れたという可能性も考えられる。」 国交省は、トンネル完成時の検査で幅や高さ、環境アセスメントを満たしているかを確認するにとどまり、強度の確認は「建設業者からの引き渡し時に発注者の責任でやるもの」として各高速道路会社に任せている。 日本道路協会の指針は、重要性の高い道路トンネルでは年に 1 回、一般のトンネルでも 5 年に 1 回程度は点検が必要と定めている。 中日本高速によると、詳細点検は 5 年から 10 年に 1 回で、今年の 9 - 10 月にグループ会社が実施。 目視や音で確認したが「異常はなかった」という。 トンネルはもともと点検に決め手がないとも言われている。 木村定雄・金沢工業大学教授(トンネル工学)は「天井板そのものが落下するという事故は今までに聞いたことがない。 新たなリスクとして、点検のあり方を見直していく必要もある。」 (asahi = 12-3-12)
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