TikTok に 870 億円の制裁金 欧州の利用者データ、中国に転送 アイルランドのデータ保護規制当局は 2 日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」の運営会社に対し、5 億 3 千万ユーロ(約 870 億円)の制裁金を科すと発表した。 欧州で利用する人の個人データの一部が中国内に保存されていたことなどが、欧州連合 (EU) の一般データ保護規則 (GDPR) に違反すると判断した。 GDPR はデータ保護監督機関の承認を得ず、EU 加盟国にノルウェーなどを加えた「欧州経済領域 (EEA)」の外に個人データを持ち出すことを禁止している。 運営会社は中国内のサーバーにデータは無いと主張していたが、調査したアイルランド当局は一部が保存されていたと指摘した。 また、中国が GDPR に見合う水準のデータ保護を法律で保証せず、スパイ行為の防止を目的にした「反スパイ法」などがデータ保護を妨げていると判断した。 さらに、データの使われ方などを利用者に示す「プライバシーポリシー」にも問題があった。 中国にいる開発者がシンガポールと米国に保存されている個人データにアクセスすることが、2022 年 12 月まで明記されていなかった。 運営会社は、6 カ月以内に GDPR に準拠するよう対応するか、欧州から中国へのデータ転送を停止する必要がある。 (ブリュッセル・牛尾梓、asahi = 5-2-25) TikTok、米でサービス再開 「トランプ氏に感謝」 中国系動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」は 19 日、米国でのサービスを再開した。 20 日に就任するドナルド・トランプ次期大統領の尽力のおかげだとしている。 安全保障上の理由から、米国で TikTok を事実上禁止する法律が 19 日に施行された。 これに先立ち TikTok は 18 日夜、米国内でのサービスを停止していた。 数百万人のユーザーがアプリにアクセスできなくなる中、トランプ氏は 19 日、「合意をまとめる」時間を確保するために法律の適用を猶予する大統領令を出すと約束。 また、自身の SNS 「トゥルース・ソーシャル」に、「米国が合弁事業で 50% 出資することを望む」、「これにより TikTok を救い、信頼できる手に委ねることができる」と投稿した。 トランプ氏の投稿後、TikTok は X で「サービスの復旧を進めている」との声明を発表。 トランプ大統領が、われわれのサービスプロバイダーが 1 億 7,000 万人以上の米国人に TikTok を提供しても罰則を受けないことを明確にし、保証してくれたことに感謝する」と述べた。 一方、出資比率をめぐる提案には言及しなかった。 (Alex Pigman、Thomas Urbain、AFP/時事 = 1-20-25) 「すべての情報源が奪われた」 米 TikTok 停止に戸惑うユーザー 人気の動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」が 18 日夜、米国でサービスを停止し、利用者らから戸惑いの声が上がった。 20 日に就任するトランプ次期大統領は、サービス停止の猶予を示唆しており、判断が注目される。 「本当にアプリが停止されて驚いた。」 サンフランシスコに住むメーガン・コーベットさん (30) は 18 日夜、そう話した。 毎日 1、2 時間はティックトックを見ており、最も使うアプリだという。 コーベットさんは「アプリ禁止がいいか悪いかを判断する十分な情報は持ち合わせていない」というが、「私はすべての情報をティックトックから得ている。 今、それがすべて奪われてしまった。」 ティックトックのサービス停止を受け、X (旧ツイッター)上では、利用者らが「バイデン(大統領)はろくでなしだ。 トランプを呼び戻せ!」、「トランプさん、ティックトックを救って下さい」などと投稿。 ティックトックから利用者が流入した中国発の SNS アプリ「小紅書」でも、中国語や英語で「さよなら、ティックトック」「すでにティックトックが恋しい」などの投稿が飛び交った。 今後の焦点はトランプ氏の判断だ。 ティックトックを禁止する法律の執行を 90 日間猶予するには、米国事業の売却に向けた道筋や、売却に向けた「著しい進展」を議会側に示す必要がある。 複数の米メディアは 18 日、生成 AI (人工知能)を使った検索サービスを提供する米新興企業パープレキシティが同日、ティックトックの中国の親会社バイトダンスに対し、新会社のもとで自社とティックトックの米国事業を統合する案を申し入れたと報じた。 ただ、統合には数カ月かかるとみられており、先行きは見通せない。 運営会社側はトランプ氏を「救世主」のように持ち上げて再開に期待を寄せるが、そもそもティックトック規制を打ち出したのはそのトランプ氏だ。 1 期目の 2020 年 8 月、ティックトックを禁止する大統領令を発表。 裁判所に差し止められ、禁止の先送りに追い込まれた。 だが、トランプ氏は最近、ティックトック容認に転じている。 トランプ氏は昨年 12 月の記者会見で、大統領選で若者票獲得に同アプリが寄与したとの見方を示し、「私はティックトックに温かみを抱いている」と話していた。 (サンフランシスコ・五十嵐大介、asahi = 1-19-25) 前面に出る安保の論理、かすむ表現の自由 米 TikTok 規制施行へ 動画アプリ TikTok (ティックトック)を規制する新法の施行を、米連邦最高裁が認めた。 全米 700 万とも言われるティックトックを仕事に使う人らの間では、憤りと落胆が渦巻く。 国家安全保障を持ち出せば、表現の自由を際限なく抑え込めてしまう - -。 憲法学者からはそんな懸念も出ている。 最高裁は今回、ティックトックが米国が対立する中国資本傘下にあり、中国側のコントロールを受けやすいことや、米国民の機密データを大量に収集していることを重視。 情報漏れなど安保上の懸念に対処するため、このアプリに限って非中国企業への売却を迫る規制法の「差別的な取り扱い」を正当化した。 同法が「表現の自由を保障した米国憲法に反する」とした会社側の主張は退けた。 「安保の名の下に、言論を制限する政府の権限は著しく拡大した。」 コロンビア大ナイト憲法修正第 1 条研究所のジャミール・ジャファー所長は批判する。 「この決定は将来、他の抑圧的な政策を正当化する余地を生むだろう。」 ワシントン大のライアン・カロ教授も「悪い先例になる」と考える。 カロ氏は、中国企業が資本参加する米映画館チェーン大手 AMC シアターズを引き合いに「最高裁の論理に従えば、AMC が親中映画を上映したり、米国の映画ファンの情報を収集したりする可能性があれば、政府は AMC を閉鎖できることになる。」 米国の裁判所には、安保政策については大統領や議会の判断を優先し、踏み込みを避ける傾向がある。 党派を超えて賛同を集めた法律についても、違憲判断を控えがちだ。 今回の決定は、そうした流れにも拍車をかけそうだ。 ジョージタウン大のアヌパム・チャンダー教授は、「この決定は安保問題をめぐって、司法が政治部門の顔を立てるうえで大きな意味を持つだろう」とみる。 表現の自由を定めた米憲法修正第 1 条に「中国例外」ができたようだとも指摘。 「中国とのつながりがあるという理由で、言論プラットフォームの閉鎖を正当化をしているようにみえる」と述べた。 最高裁は今回、規制法の施行予定日が 19 日に迫る中、短期間での検討を余儀なくされた。 そのため、今回の結論はティックトックに絞ったもので、ネット上の言論や表現の自由の問題に広く当てはめられないとわざわざことわっている。 だが、アヌパム氏は「最高裁の判断は、外国のプラットフォームを禁止したい人たちを勢いづかせかねない」とも述べた。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 1-18-25) TikTok、米で継続の可能性 トランプ氏「遠くない未来に決断」 中国発の動画投稿アプリ「TikTok」を規制する法律について米連邦最高裁は 17 日、運営会社の差し止め請求を退け、合憲と判断した。 ティックトックは声明で、バイデン米政権がすぐに対応策を取らない限り「残念ながらティックトックは 19 日にサービスを停止せざるを得ないだろう」と発表した。 一方で、トランプ次期大統領はサービス継続の意向も示しており、停止されても短期間で復旧することも考えられる。 ティックトックは米国で約 1.7 億人の利用者がいる人気アプリ。 規制法は、個人情報漏洩などの懸念を理由に、親会社の中国企業バイトダンスに対して米国事業を非中国企業に売却するよう要求。 売らない場合は米国内でのサービスを停止させるものだ。 法律が施行される 19 日にアプリのダウンロードや更新ができなくなる可能性がある。 ホワイトハウスは 17 日、トランプ次期政権の発足が法施行の翌日にあたる 20 日に迫っていることから、「施行のための措置は次期政権に委ねられるべきだ」とする声明を公表。 トランプ氏も自身の SNS に「ティックトックに関する決断は遠くない未来に行う。 ただし、状況を検証する時間が必要だ。」と投稿した。 トランプ氏は最近、サービス継続の必要性を訴えており、継続に向けて何らかの対応策を取る可能性がある。 ティックトック運営会社の周受資・最高経営責任者 (CEO) は 17 日、米最高裁の判断を受けた動画投稿で、「ティックトックを米国で続ける解決策を見つけるため、協力することを約束してくれたトランプ大統領に感謝したい。 700 万以上の米国の事業者が我々のプラットフォームで生計を立てている」と話し、トランプ氏の判断に期待を示した。 (ニューヨーク・真海喬生 サンフランシスコ・五十嵐大介、asahi = 1-18-25) トランプ次期大統領「TikTok」禁止の法律 発効延期求める アメリカのトランプ次期大統領は 27 日、1 月発効する中国系の動画共有アプリ「TikTok」を禁止する法律について、自身が大統領に就任したあとに交渉を通じた解決が出来るよう、発効の延期を求める意見書を連邦最高裁判所に提出しました。 バイデン政権のもとで成立したこの法律は TikTok の中国の親会社「バイトダンス」がアメリカ事業を売却しなければアメリカ国内でアプリを禁止するもので、トランプ氏が大統領に就任する前日の 1 月 19 日に発効します。 TikTok 側は言論の自由の侵害にあたり憲法違反だとして連邦最高裁判所に法律の一時的な差し止めを求めています。 これについてトランプ氏は 27 日、最高裁判所に意見書を提出し、法律の発効を延期するよう求めました。 意見書は第三者の立場から提出されたもので「この争いの是非について立場を表明するものではない」としたうえで「次期政権が交渉を通じた解決によって TikTok の全国的な利用停止を回避し、安全保障面での政府の懸念に対応しながら言論の自由の権利を守ることができるよう発効の延期を求める」としています。 最高裁判所は 1 月 10 日に国と TikTok 側の主張を聞くことにしていて判断が注目されます。 (NHK = 12-28-24) 「意図的に中毒的なアプリを設計」 米 13 州、TikTok を提訴 米カリフォルニアなど 13 州と首都ワシントン特別区の司法長官は 8 日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」が 10 代の若者に心理的な悪影響を与えているとして、消費者保護法違反などの疑いで提訴した。 SNS の若者への影響は米国で社会問題となっており、超党派による規制強化が進んでいる。 米医務総監、SNS にたばこのような「警告文」を 若者への悪影響で ワシントン特別区の訴状では、ティックトックが若者の心理に悪影響を与えると知りながら、アプリを意図的に中毒的な設計にしたと主張。動画の投稿の表示順を決めるアルゴリズム(計算手順)について、ドーパミンの分泌を刺激するように設計し、若者の心理的健康より利益を優先したと訴えた。 「年齢制限のないストリップクラブ」 また、ライブ配信機能「ティックトックライブ」で対価を受け取れる「コイン」について、米財務省などに送金業者としての登録をせずに運用しており、違法状態にあると指摘。 アプリが安全だと利用者や保護者を欺きながら、性的な動画でやりとりされる金額の最大 50% を手数料として課しているとして、「年齢制限のないストリップクラブのようだ」と批判した。 ニューヨークなど民主党の支持が強い州だけでなく、南部ルイジアナやサウスカロライナなど共和党の支持が強い州も提訴した。 ティックトックの広報担当者は 8 日の声明で、「訴えの多くは不正確でミスリーディングであり、我々は強く反対する。 我々は 10 代の若者の保護に深くかかわっており、これからも製品の改善を続けていく」と反論した。 カリフォルニアなど 41 州とワシントン特別区は昨年 10 月、米メタが若者への心理的な悪影響を知りながら利用者を欺いたとして提訴した。 ティックトックをめぐっては、安全保障上の懸念から米国での利用を禁止する法律が成立。 来年 1 月までの米国事業の売却を求められており、事業環境が厳しさを増している。 (ナッシュビル・五十嵐大介、asahi = 10-9-24) 米司法省、ティックトックを提訴 子どもの個人情報を違法に収集 米司法省は 2 日、中国発の動画投稿アプリ「ティックトック」が 13 歳未満の子どもの個人情報を違法に収集しているとして、「児童オンラインプライバシー保護法 (COPPA)」違反で提訴した。 米国では、バイデン政権がティックトックの禁止につながる法律を成立させており、同社への圧力が強まっている。 訴状では、ティックトックは 2019 年以降、利用者が 13 歳未満であると知りながら、保護者の許可なしでアカウントを作ることを認め、氏名、メールアドレス、電話番号など幅広い個人情報を収集したと指摘。 子どもの端末の使用状況や位置情報のほか、ネットの閲覧履歴、利用者の写真や動画が撮影された時間や場所などの「メタデータ」も収集していたとしている。 また、ティックトックは 13 歳未満向けの「キッズモード」があるものの、同社の年齢確認に欠陥があり、数百万人の子どもが通常のアカウントを作成することを認めたと主張。 保護者から子どものアカウントやデータの削除を求められても、多くの場合で応じなかったとしている。 ティックトックの月間利用者が数千万人いた 19 年、子どものアカウントを含めた規約違反などをチェックする「コンテンツモデレーター」と呼ばれる正社員の担当者は 24 人にも満たず、一つのアカウントの確認に平均 5 - 7 秒しかかけていなかったとも主張した。 ティックトックは声明で、「多くの主張は、すでに解決されたか事実関係が間違った過去の慣行に基づいており、これらの主張に反対する」と反論している。 米国では今年 4 月、ティックトックが中国側と事業を分割しなければアプリを禁止する法律が成立。 同社側は、表現の自由を定めた米国憲法に違反するとして米政府を相手に提訴している。 (サンフランシスコ・五十嵐大介、asahi = 8-3-24) |