東洋ゴム前社長ら書類送検へ 免震ゴム、性能偽装の疑い
東洋ゴム工業(東証 1 部上場、大阪市西区)による免震ゴムの性能データ偽装問題で、大阪府警は 31 日午後、山本卓司(たくじ)・前社長 (60) ら約 20 人と、子会社「東洋ゴム化工品(東京都新宿区)」も含めた法人としての両社を、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで書類送検する。 捜査関係者への取材でわかった。
山本前社長(当時専務)らは 2014 年 9 月上旬、枚方寝屋川(ひらかたねやがわ)消防組合(大阪府枚方市)の新庁舎建設工事に出荷した免震ゴム 19 基について、国土交通大臣の認定基準を満たしているかのように性能データを偽った疑いがある。 府警は、子会社の担当者が実際にデータを改ざんし、山本前社長らも容認したとみている。 免震ゴムは 00 年以降、国交相の認定がないと出荷できない建築材料に指定されている。 府警は偽装が組織ぐるみだったとみて、法人にも罰則を科す、同法の両罰規定を適用する。
書類送検されるのは 14 年 9 月当時の幹部と担当者。 東洋ゴム工業は久世哲也元専務 (59) = 当時常務 =、伊藤和行元常務 (62)、新庄治宏元取締役 (62) ら、東洋ゴム化工品は藤巻勝己元社長 (61) らも対象となる。 枚方市議が昨年 3 月、府警に虚偽表示の容疑で刑事告発していた。 府警は関係者約 50 人に任意で事情を聴き、捜査してきた。 (asahi = 3-31-17)
東洋ゴム、産業用ゴムで不正 必要な検査行わず
東洋ゴム工業は 7 日、子会社の東洋ゴム化工品が製造する産業用ゴム製品について、必要な検査を行わずに出荷するなどの不正行為があったと発表した。 船舶向けのバルブに使われる「シートリング」と呼ばれる製品で、納入先は 1 社という。 7 日午後 5 時から大阪市内で記者会見した同社の小野浩一・取締役常務執行役員は「痛恨の極みで大変重く受け止めている。 心からおわび申し上げる。」と謝罪した。
東洋ゴムによると、検査担当社員 1 人が、納入先に示した頻度の検査をしなかったり、未検査なのに過去のデータを検査成績表に転記したりしていた。 不正行為に関与した社員は 1 人で、この社員が担当した製品は 2009 - 17 年に出荷された約 12 万 9 千個という。 社員は調査に「面倒くさかった」と話している。 シートリングの納入先が、完成品のバルブの全数検査をしており、東洋ゴムは「納入先からは性能面の問題はないと聞いている」としている。 現時点では交換を納入先から求められていないという。
東洋ゴムでは 2007 年、断熱パネルの耐火性能を偽っていた問題が発覚。 15 年 3 月には免震ゴムの性能データの改ざんが判明し、さらに同 10 月、鉄道車両などで使われる防振ゴムでも不正行為が明るみに出た。 (nikkei = 2-7-17)
新たに 90 棟が性能不足 東洋ゴム免震改ざん
東洋ゴム工業と国土交通省は 4 月 21 日、建築基準に満たない免震材料を使った 55 棟以外に新たに 90 棟で性能不足の免震装置を使った物件があると発表した。 可能性のある 154 棟を対象に調査した。 他にデータ不足で大臣認定への適合性が判断できない物件が 9 棟ある。
また、建築基準に満たない免震材料を使った 55 棟以外に大臣認定に適合しない可能性がある物件は195件とされていたが、東洋ゴム工業は、「異なる製品を併用する重複があった」として、154 件に修正した。 このほか、これまで同社は、性能不足の製品のデータ改ざんについて、当初から関与が疑われた担当者が単独で行ったとしていたが、後任の担当者らを含め計 4 人が関与した可能性も明らかにした。 (asahi = 4-22-15)
免震ゴム偽装 195 棟、耐震性は確保 国交省が見解
東洋ゴム工業(大阪市)による免震ゴムの性能偽装問題で、国土交通省は、新たに偽装の疑いが発覚して同社が調査対象とした 195 棟についても、耐震性が保たれている可能性が高いという見解を示した。 3 日に初会合があった有識者委員会に報告した。
国交省によると、3 月 17 日に行った立ち入り調査で、195 棟に納入された免震ゴムのうち偽装が行われたとみられる約 3 千基の半数程度のデータを得ていた。 分析した結果、すでに国交省が耐震性を確認した 55 棟の免震ゴムより、揺れを抑える性能のばらつきが少ないことが分かったという。 同社には、すべてのデータを提出するよう求めている。
有識者委員会は今夏まで国交省に再発防止策や原因究明などの提言を行う。 同社は 2007 年にも建材の耐火性能偽装問題を起こしており、委員長の深尾精一・首都大学東京名誉教授は「建築への信頼を裏切った。 同様の事案を再び生じさせない対策をまとめる。」と述べた。 (asahi = 4-4-15)
ブリヂストンに交換品生産要請 免震ゴム問題で東洋ゴム
免震ゴムの性能偽装問題で、東洋ゴム工業(大阪市)はブリヂストンに対し、問題になっている「高減衰タイプ」の交換品の生産を要請した。 ブリヂストンは協力する方針。 必要な数を東洋ゴムだけでつくると時間がかかるため、できるだけ早い交換に向けて最大手の協力をあおぐ。 ブリヂストンは「製品仕様が異なり、在庫をそのまま出すことはできないが、協力は惜しまない(広報)」としている。 高減衰タイプの国内シェアは首位のブリヂストンが約 8 割、東洋ゴムが約 2 割を占めるという。 (asahi = 3-26-15)
不良免震ゴム「他にも納入の可能性」 東洋ゴムが報告
東洋ゴム工業(本社・大阪市)による免震ゴムの性能偽装問題で、国土交通省は 25 日、全国の 55 棟以外にも、新たな不良品の免震ゴムが納入されていた可能性がある、と同社から連絡を受けたと発表した。 設置場所や基数は同社が調査中で、判明し次第、報告するよう求めた。 国交省によると、新たに不良品の可能性がでてきたのは、すでに国交大臣認定が取り消された 3 製品以外のタイプ。 試験データの数値を改ざんした同じ元課長代理が関わった疑いがあるという。 同社は 55 棟のほかに、全国 195 棟に免震ゴムを設置しているという。 (asahi = 3-25-15)
不良免震ゴム、使用の公的施設 15 棟公表 国交省が一転
東洋ゴム工業(本社・大阪市)の免震ゴム性能偽装問題で、国土交通省は 17 日、不良品が使われた全国 55 棟のうち庁舎や病院などの公的施設計 15 棟を公表した。 17 日午後には、同社の兵庫県内の事業所に対し、立ち入り調査を実施する。 国交省は問題を発表した 13 日以降、「不安をあおる」などとして非公表としてきたが、工事中断などで納入先に動揺が広がっているため、方針を変えた。 同社に対し、今月中に安全性の調査を終えるよう指示したことも明らかにした。
国交省は 15 棟について「不特定多数の出入りがある」、「東洋ゴム工業が 16 日までに納入先への説明を終えた」と公表の基準を説明。 民間の病院 4 棟も所有者の同意を得られれば、公表するとした。 ただ、共同住宅など他の 36 棟は「財産価値が下がる」、「不安をあおる」などとして、調査で危険と判断されなければ、公表しない方針だ。
これまで国交省は 55 棟の具体名は明かしていなかった。 東洋ゴム工業も「不良品を製造した立場なので、納入先の同意なしに公表できない」としていた。 だが、静岡県御前崎市が 9 月完成予定の市消防庁舎で工事を中断するなど不安が拡大。 東洋ゴム工業の電話窓口 (0120・880・328) にも、17 日午前 9 時までにマンション住民らから 2,404 件の問い合わせが集中している。 (小林誠一、asahi = 3-17-15)
■ 国交省が施設名を公表した 15 棟
【庁舎(12 棟)】 日立市消防拠点施設(茨城県日立市) / 長野市第 1 庁舎(長野市) / 御前崎市消防庁舎(静岡県御前崎市) / 多治見砂防国道事務所庁舎(岐阜県多治見市) / 鳥羽警察署庁舎棟(三重県鳥羽市) / 伊勢庁舎本館(同伊勢市) / 枚方寝屋川消防組合新消防本部庁舎(大阪府枚方市) / 県庁第 1 別館(愛媛県松山市) / 県本庁舎(高知県高知市) / 高知東警察署庁舎(同高知市) / 安芸総合庁舎(同安芸市) / 南国警察署庁舎(同南国市)
【病院(2 棟)】 県立志摩病院外来診療棟(三重県志摩市) / 舞鶴医療センター(京都府舞鶴市) * ほかに 4 棟の民間病院。 所有者の同意が得られた後に発表予定。
【複合施設(1 棟)】 横浜山下町地区B1街区施設建築物(横浜市中区)
不良免震ゴム、問題認識後も 12 棟納入 東洋ゴム工業
東洋ゴム工業(本社・大阪市)の免震ゴムの性能偽装問題で、不良品が使われた全国 55 棟のうち 12 棟は、製造した子会社で不良品の疑いがあると昨年 2 月に発覚した後に納入されたことが分かった。 東洋ゴム工業は「性能不足だと確証が持てなかった」としているが、国土交通省は「免震を扱うメーカーとして言語道断だ」と批判している。
国交省と東洋ゴム工業によると、子会社の東洋ゴム化工品(本社・東京都新宿区)で問題が発覚したのは昨年 2 月だった。 兵庫県の工場で製品評価を 10 年以上担当した課長代理(当時)が交代し、後任者が性能不足の可能性に気づいた。 子会社の調査を経て東洋ゴム工業に報告されたのは昨年夏だったが、その後も納入を継続。 検証の結果、東洋ゴム工業が「偽装の可能性が高い」と判断し納入をやめたのは今年 2 月上旬だった。 子会社での問題発覚から納入中止までの間、12 棟に納められていた。
納入を続けた理由について、東洋ゴム工業は「データで性能不足との確証が得られたのは今年 2 月下旬から 3 月上旬だったため」と釈明。 ただ、「今となっては納入を続けたのは誤っていた」としている。 (asahi = 3-17-15)
性能不足の免震ゴム、建設中の長野市庁舎 1 棟にも
東洋ゴム工業(本社・大阪市)の免震ゴムの性能偽装問題で、長野市が建設中の市庁舎 1 棟にも不良品が使われていたことが 15 日、わかった。 市が明らかにした。 すでに高知県と愛媛県、大阪府で県庁や警察署など公共施設計 6 棟での使用がわかっている。
市によると、建設中の庁舎は 2013 年 8 月に着工し、今年 11 月に完成予定の市役所第 1 庁舎・市芸術館。 同社製の免震ゴムを使った装置が地下部分に計 90 基設置されている。 このうち、大臣認定を取り消されたのは 83 基で、残る 7 基についても「耐震性に問題がある」との説明が 13 日に国土交通省からあった。 免震装置の交換には大がかりな工事は必要なく、工期の延長の可能性は今のところないという。 市は今後、設計業者や施工業者と協議し、構造計算を改めてやり直すなど、建物の安全性に関して再検証する。 (森川愛彦、asahi = 3-15-15)
性能満たさない免震装置 県庁や警察署に使用
大阪市に本社がある東洋ゴム工業が製造販売した建物の揺れを抑える免震装置に、国に認定された性能を満たしていないものが見つかった問題で、高知県と愛媛県では問題の装置が県の庁舎や警察署に使われていたことが分かり、各県は今後対応を検討することにしています。 東洋ゴム工業が平成 15 年から 23 年にかけて国の認定を受けて製造販売した免震装置に、求められる性能を満たしていない製品が見つかり、国土交通省は一部の製品の認定が不正に取得されていたとして、13 日に認定を取り消しました。
国土交通省によりますと、問題の免震装置は 18 の都府県の 55 棟の建物に使われているということですが、高知県と愛媛県では県や警察の建物に使用されていたことが分かりました。 各県などによりますと、このうち高知県では、県の本庁舎と安芸市にある県の安芸総合庁舎、高知東警察署、それに、南国市で現在建設中の南国警察署に、また、愛媛県では県庁第 1 別館に使用されていました。
愛媛県の県庁第 1 別館は地上 11 階、地下 3 階建てで、災害時には県が対策本部を設置する拠点となります。 ことし 1 月に工事を完了したばかりで、震度 6 強の激しい揺れにも耐えられるとされています。 県によりますと、免震装置は地下の基礎部分にある 52 本の柱のうち 20 本に使用されているということです。 各県は今後メーカーから詳しい説明を聞き、どのような対応が必要か検討することにしています。 愛媛県総務管理課の水野良樹課長は「大変遺憾で、速やかに安全を確認するよう申し入れたい」と話しています。 (NHK = 3-14-15)
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