淡路市長「若い方、ありがたい」 パソナの本部機能移転

人材サービス大手のパソナグループが東京の本部機能を淡路島に移し、2024 年 5 月までに約 1,200 人を異動させる計画を発表した。 休暇を楽しみながら働く「ワーケーション」の施設も設置し、外部企業も利用できるようにするという。 新型コロナウイルスの流行を機に進む、働き方改革や地方移住の先進例となるのか。 「人口の確保は行政の命題。 若い方たちが来てくれるのはありがたい。 住まいやオフィスが確保できるように、未利用の土地や住宅の情報を提供していきたい。」 淡路市の門康彦市長はこう話し、歓迎した。

パソナによると、移転する業務は人事や財務経理、新規事業開発など。 デジタル技術を活用して社内に導入したり、他社から業務を受託したりする「DX (デジタル・トランスフォーメーション)・BPO センター淡路」も開設する。 災害などに備え、本社機能の東京への一極集中を避ける狙いもある。 また、異動する従業員のために、来年春までに島内に点在する約 5,700 平方メートルのオフィスを借りることが決まっている。 大浴場やバーを備えた社宅(140 戸)も用意するという。

パソナは 2008 年に淡路島で就農支援の取り組みを始めた。 現在は県立淡路島公園(淡路市)内でアニメパーク「ニジゲンノモリ」を運営しているほか、廃校を利用した観光施設「のじまスコーラ(同市)」、8 月には劇場と和洋食レストランを備えた「青海波(同市)」を開業している。 パソナの計画にネット上では「東京のオフィスでなくてもやっていけることを示すという意味では画期的なやり方」、「いきなり淡路島勤務と言われても困るのでは」などと議論が盛り上がっている。 (滝坪潤一、asahi = 9-2-20)



消費者庁、徳島に戦略本部を新設へ 全面移転は見送り

政府は来年 4 月、徳島市に「消費者庁新未来創造戦略本部(仮称)」を新設する。 政府関係機関の地方移転の一環で試行的につくった拠点を拡充し、恒常的な組織として政策研究や国際業務を担わせる。 過去に検討されていた全面移転は見送る。 宮腰光寛消費者相が 19 日午後、同市内で徳島県知事らと面談し、発表する。 戦略本部では、試行段階で 60 人ほどいた人員を 80 人規模に増やす。 常駐するトップを参事官級(課長相当)から審議官級(部長相当)に格上げする方針。 認知症と消費者被害をテーマとする研究や、必要性が高まっている国際交流の拠点などとして使うほか、首都圏での大災害時のバックアップ機能を持たせる。

国会対応や危機管理、制度整備といった対外調整が必要な業務は引き続き、東京で行う。 政府関係機関の地方移転は、安倍政権が「地方創生」の施策の一つとして検討している。 消費者庁は 2017 年 7 月、徳島市に時限的な「消費者行政新未来創造オフィス」を開き、国民生活センターなどの機能の一部を移した。 その効果を検証した結果、徳島県内を実証フィールドとした消費者問題の分析・研究の成果を評価。 恒常的な拠点を置くことが決まった。 (松山尚幹、asahi = 8-19-19)



文化庁「お試し移転」、京都市内で実験開始 24 日まで

京都市で 11 日、移転が決まった文化庁の職員が実際に仕事をしてみる「お試し移転」が始まった。 24 日まで。 21、22 両日は宮田亮平長官も参加する。 拠点は京都府庁旧本館(上京区)と京都芸術センター(中京区)。 11 日は同センターに詰めた文化庁の佐藤安紀政策課長らが、東京の本庁とテレビ会議をつなぎ、問題がないか確かめた。 職員約 10 人が交代で、自治体や文化施設との打ち合わせなどの業務にあたり、課題を検証する。 国や京都府、京都市などでつくる移転協議会は、移転先や組織体制などを 8 月末までに決める方針。 (岡本智、asahi = 7-11-16)


文化庁、数年内に京都へ = 統計局、消費者庁は実証実験 - 省庁移転で基本方針・政府

政府は 22 日午前、全閣僚でつくる「まち・ひと・しごと創生本部(本部長・安倍晋三首相)」の会合で、中央省庁などの地方移転に関する基本方針を決定した。 自治体から誘致案が示された 7 省庁のうち、文化庁を数年中に京都府へ全面的に移転すると明記。 消費者庁は徳島県、総務省統計局も和歌山県でそれぞれ実証実験を行い、8 月末までに移転の可否を判断する。 会合で安倍首相は「政府機関の地方移転は、地域に仕事と人の好循環を作り出すための重要な施策だ」と述べた。

中央省庁など政府機関の地方移転は、東京一極集中の是正が狙い。 政府は東京、埼玉、千葉、神奈川の 1 都 3 県を除く 43 道府県に提案を呼び掛け、8 道府県が中央省庁 7 機関の誘致案を寄せた。 基本方針は、文化庁の京都移転について伝統文化の蓄積や、観光振興など今後拡充が見込まれる業務などを勘案した結果「移転の効果は大きい」と評価。 政府内に「文化庁移転協議会(仮称)」を設置し、年内をめどに具体的な内容を決め、数年中に全面移転するとしている。

消費者庁の徳島移転は、現在進めている ICT (情報通信技術)を用いた試行勤務を経て 8 月末までに結論を出す方針を示した。 総務省統計局の和歌山移転も一部業務について、実証実験を行い、8 月末に方向性を決めることになった。 残る観光庁、中小企業庁、特許庁、気象庁の 4 機関の移転は見送った。 (jiji = 3-22-16)


消費者庁の徳島移転「有用性に限界も」 お試し期間終了

安倍政権が消費者庁の徳島県移転を検討していることを受け、同庁職員が同県神山町に滞在して仕事をする 4 日間の「お試し移転」が 17 日、終了した。 板東久美子長官は、テレビ会議システムなどの ICT (情報通信技術)の活用について「有用性に限界を感じた点もある」と述べ、東京を離れて業務を行うことの難しさを指摘した。 ICT を使って場所にとらわれずに働く「テレワーク」を実践するのが今回の目的。 板東長官はテレビ会議などで東京にいる職員との打ち合わせや有識者会議への出席を試みた。

記者会見でその感想を述べ、@ 大人数の会議では出席者の反応が把握できない、A 重大事故が起きた時の危機管理対応は難しい、B 国会提出中の法案は直接対面しないと説明できない、C 悪質商法などの取り締まりは秘密保持が重要でテレワークにはなじまない - - などの問題を列挙した。 「(テレビ会議などは)業務のメインとして使っていくことは難しいのではないか。 補完的な役割が強い。」と話した。 全国への交通アクセスも「不便に感じた」と語った。 (毛利光輝、asahi = 3-17-16)


文化庁、京都に「全面移転」 … 政府計画案

政府が「地方創生」の一環で検討する文化庁の京都移転に関する計画案が 25 日、判明した。 国会対応や企画立案部門など一部の部署を除き、同庁長官を含めた機能を京都府にほぼ全面的に移転する。 現在 1 人の次長ポストを増設した上で、東京と京都にそれぞれ次長を配置。 具体的な移転時期や費用は、関係省庁などで新設する協議会で検討し、年内に移転スケジュールを固める方針だ。

文化庁移転は、京都府と京都市が「国宝の約 5 割が関西に集積している」などと主張し、熱心に誘致活動を続けてきた。 移転は当初、定員約 230 人のうち、文化財保護の関係部署など一部にとどまる見通しだったが、馳文部科学相が主導して方針を転換。 政府が 3 月にまとめる政府機関の地方移転に関する基本方針でも、文化庁に関して「数年以内」の「全面移転」を盛り込む方向で調整している。 (yomiuri = 2-26-16)


省庁移転「待ってます」 … 京都、徳島

政府が文化庁の機能の一部を京都府に移す方針を固めるなど、政府機関の地方移転が現実味を帯びてきた。 徳島県への消費者庁の一部業務の移転にも前向きで、3 月末までに基本方針を決める。 ただ、東京から遠く離れた地方への移転を心配する声もあり、決定まで紆余曲折しそうだ。

候補は 7 機関

「オール京都で要望に参りました。 ぜひ、ご英断をお願いしたい。」 京都府の山田啓二知事や門川大作・京都市長、立石義雄・京都商工会議所会頭、文化関係者ら 12 人が 14 日、上京して、馳文部科学相に地元の熱意をアピールした。 馳文科相は昨年 12 月の現地視察で移転候補地の敷地内に入れず、不満を漏らしていたが、「昨年は皆さんの本気度がわからず、色々と失礼した」と移転に前向きな姿勢を示した。 面会後、山田知事は「一つ山を越えた。 誘致が進むように努力したい。」と語った。

「地方創生」の一環として、政府は昨年 3 月、東京圏を除く 43 道府県を対象に移転先を募集。 42 道府県から中央省庁や国の研究機関など計 69 機関について誘致の提案があった。 昨年 12 月には、移転候補を 34 機関に絞り込んだ。 うち中央省庁は、京都府が誘致する文化庁や、消費者庁(徳島県)、中小企業庁(大阪府)など 7 機関。 有識者会議の議論などを踏まえ、今年 3 月末までに移転についての基本方針を決定する予定だ。

人口減対策

「県庁の 9 階、10 階を空けて待っています。」 消費者庁の移転を求める徳島県の飯泉嘉門知事は、移転場所として県庁の一部などを提供すると張り切る。 職員たちが移り住めば人口減対策にもなるともくろむ。 徳島は食品偽装防止の条例を全国に先駆けて制定するなど、消費者行政に力を入れてきた。 河野消費者相も前向きだ。 昨年末に視察し、今年度中に消費者庁長官や職員を 1 週間ほど徳島で「お試し勤務」させると明言。 今月 12 日の閣議後の記者会見では、国民生活センターの業務の一部を 4 月以降、同県内で試験的に行う考えも示した。

県は「お試し勤務」の場所として山あいの神山町を用意している。 首都圏の IT 企業が相次いでサテライトオフィス (SO) を設けている町だ。 町の SO で働く隅田徹さん (53) は「徳島はインターネット環境が整っており、東京と変わらないスピードで仕事ができる。 省庁が来れば、関連する企業や人も集まり、活性化する」と期待する。 ただ、14 日に自民党本部で開かれた会合で、消費者団体から「徳島では安定的に非常勤職員を確保できないのでは」、「消費者行政の後退を招かないか」との意見が相次ぐなど、移転を懸念する声は多い。 県は「丁寧に対応していくしかない」とする。

大阪は不安感

大阪府は省庁側の冷ややかな反応を心配している。 中小企業庁の移転と特許庁の一部移転を求めているが、国による現地視察は一度も行われていない。 特許庁の職員は、内閣府の聞き取りに「(地方に分散するより) 1 か所に集中した方が効率的に業務ができる」などと反対意見を述べているという。 今月下旬、両庁と府の担当者レベルの意見交換が初めて行われるが、府の担当者は「本気で東京一極集中を是正しようという意気込みが感じられない」と漏らしている。 (yomiuri = 1-15-16)