また? 保育園の「自粛」に動揺 「自粛使わぬ」自治体も 3 度目の緊急事態宣言を前に、東京都中央区が保育園の「登園自粛」要請を行い、注目された。 担当者は「あくまでもお願い」とするが、昨春の宣言時に厳しく利用を制限する自治体が相次いだことから、保護者に警戒感が広がる。 一方、昨春の反省から「『自粛』という言葉は使わない」とする自治体も出ている。 「ご家庭での保育が可能な場合には、登園の自粛をお願いいたします」、「今回の変異ウイルスはお子さまにおいても感染リスクが高く、お子様を感染から守るため、何卒ご理解・ご協力の程よろしくお願いいたします。」 政府が新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を 4 都府県に出すことを正式決定した 23 日夕方、中央区はホームページなどで「登園自粛のお願い」と題する文書を公表した。 4 月 26 日 - 6 月末までの期間を「登園自粛要請期間」とし、保護者に協力を呼びかける内容だ。 厚生労働省は緊急事態宣言中も、保育施設は「原則開所」とするよう求める通知を 23 日に出している。 「保育施設は家に 1 人でいることができない年齢の子どもが利用するものである」ことなどから、感染対策を徹底したうえでの運営を求める。 原則から外れた区の対応に保護者は戸惑ったが、区は「要請は宣言とは直接関係ない」と釈明する。 「タイミング重なっただけ」 区によると、4月に区内の保育施設で子どもに感染が広がるクラスターが発生したことなどが原因で、「以前から検討しており、タイミングが重なっただけ」という。 「6 月末まで」としたのも、一定程度の期間がなければ感染対策の効果がはかれないと考えたことや、「細切れに自粛期間が延長されると、職場との調整が難しい」などの区民の声があったことなどが理由という。 担当者は「あくまでもお願いで、保育が必要な場合はもちろん利用してもらいたい。 昨春のように、特定の職種以外の方の利用を控えてほしいという趣旨ではない。」と話す。 それでも保護者の不安は消えない。 同区の 30 代女性会社員は、23 日に子どもを迎えに行ったとき、園長からこの知らせを聞いた。 感染対策に追われる園の職員の姿を見ていて、自粛要請に協力したい気持ちはあるが、週に数日は出勤する必要がある。 在宅勤務の日も子どもがいては仕事にならず、長期間になると本当に苦しい。 とりあえず今週は園に預けることができたが、「『あの家は預けているのに』などと、互いに監視し合う風潮になるのが不安」と話す。 「在宅ワークにも保育を」同時に通知 一方、同じ緊急宣言下でも、大阪市は「自粛」という言葉は使わず、「仕事が休みの日には家庭保育を」という呼びかけにとどめた、という。 同時に、23 日には市内の認可保育施設向けに「在宅ワークは就労扱いですので、保育の提供をお願いします」とする文書を出した。 担当者によると、「家にいるから子どもが見られるはず、という昨春のような運用では、保育を必要とする家庭を追い込みかねない」との判断だという。 同様に、都内のある自治体の担当者は「感染対策が重要なことに変わりはないが、自治体としては保育を提供することが仕事。 大人の仕事が制限されるより前に、保育施設の利用を制限するようなことはあってはならないと思う」と話す。 昨春の緊急事態宣言時、在宅勤務と育児の両立は難しいとする当事者の声を集めた調査を行った向山淳さんも、「在宅勤務が推奨される中、子どもを安心して預かってもらえる環境が整っていることはとても重要だ」と話す。 向山さんは「保育施設の自粛を呼びかけるのであれば、保育を必要とする保護者が利用を萎縮しないような丁寧な声かけが重要。 また、ベビーシッターなどの利用を補助するなど、保護者に寄り添った支援も考えてほしい。」と話す。 (中井なつみ、asahi = 4-28-21) 待機児童 4 万 7,700 人、2 年連続増加 昨年 10 月時点 認可保育施設に入れない待機児童は昨年 10 月時点で、全国で 4 万 7,738 人にのぼった。 前年同時期より 2,423 人多く、2 年連続の増加。 昨年 4 月(2 万 3,553 人)からは倍増した。 10 月調査は年度途中の申し込み分が追加されるため、多くなる傾向がある。 厚生労働省が公表した。 都道府県別では東京の 1 万 2,232 人が最多で、全体の 26% を占めた。 沖縄 4,101 人、千葉 3,384 人、大阪 3,126 人、兵庫 2,671 人が続き、都市部に集中する傾向が続いている。 厚労省は待機児童数を 4 月と 10 月に調べている。春は卒園による空きが出たり、保育施設の新設が多かったりして供給が増える。 一方、秋は年度途中の受け皿の整備が少ない中で新たに生まれた子どもや保護者の育児休暇明けなどの需要が加わり、待機児童が春より増える傾向がある。 10 月の調査は、自治体によって申込件数の集計にばらつきがあるため、厚労省は参考値として扱っている。 安倍政権は 2017 年度末までに「待機児童ゼロ」にする目標を掲げているが、実現は困難になっている。 そのため、待機児童解消の新しいプランを 6 月に打ち出す計画だ。 (西村圭史、asahi = 4-4-17) 保育士不足深刻化 来春開園なのに「まだゼロ」も 東京 保育士不足が深刻化している。 待機児童対策として、来春には都内で多くの民間保育施設がオープンするが、必要な保育士数がまったく確保できていない事業者もある。 来春に民間の 20 認可園などが開園し、保育の充実を急ぐ杉並区。 計 2,220 人分の子どもの受け入れが新たにできるようになるが、新規で 300 人の保育士が必要と見込む。 11 月末、各施設の求人活動を後押ししようと、隣の中野区やハローワーク新宿と合同で「保育のおしごと 就職相談・面接会」を開いた。 会場のホールに保育事業を営む 26 業者がブースを開設。 「うちの話を聞いてほしい」と来場者を必死に呼び込んだ。 (別宮潤一、asahi = 12-5-16) 消耗戦化する「保活」 出産前から・加点戦略いまや常識 来春の保育園の入園申し込みが秋から各自治体で始まり、入園先を探す「保活」が本格化している。 「保育園落ちた日本死ね!!!」との匿名ブログをきっかけに認可園に入れない「待機児童問題」がクローズアップされてから、初の保活シーズン。 政府は 2017 年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げるが、都市部では過酷さが増している。 「こんなに厳しいなんて。 3 月生まれを妊娠した自分が悪いのか…。」 保活を始めた大阪市天王寺区の病院職員橋本真菜さん (29) は、がくぜんとした。 来年 3 月に出産予定で、早めに復職したいと思っている。 夫と共働きなので優先されると楽観していたが、つわりが落ち着いた 9 月末に区役所に電話で状況を尋ねたら「認可保育園は無理。 認可外に預けて待つしかない。」と断言された。 認可園は保育士配置などの国基準を満たし、保育料も認可外園より安い場合が多く人気が集中する。 自治体が募集する 4 月入園が一番入りやすいが、同区では生後 6 カ月以上が対象で来年 4 月は無理。 空いていれば年度途中で入れるものの、待機児童が多い同区では期待薄だ。 橋本さんは望みをかけてほかの区の園も探し始めたが、入れないまま再来年 4 月になると 1 歳児クラスへの入園となる。 0 歳児の持ち上がりで枠が絞られ、最も入りづらい年齢だ。 (仲村和代、長富由希子、伊藤舞虹、asahi = 11-27-16) 埼玉・戸田市、新任保育士に 30 万円 待機児童解消へ独自策 埼玉県戸田市は待機児童解消のため保育士増員の独自策を打ち出す。 2017 年度から新たに市内で就労する保育士に最大 30 万円を給付するほか、保育事業者への補助策も拡充する。 同市の待機児童は 100 人超と県内で最も多いうえ、若い世代の流入で今後も保育所への入所希望者が増える見通し。 保育士を増やし保育所整備を促すことで受け入れ体制の充実を目指す。 市ではこのほど、新任保育士への給付金と事業者への支援策を柱とする「待機児童緊急対策アクションプラン」をまとめた。 3 年間の計画で、1,200 人の受け皿拡大を目指す方針を掲げた。 総事業費は約 30 億円、このうち 12 億円を市の一般会計から拠出すると試算している。 17 年度当初予算案に盛り込み、3 月議会での承認を目指す。 独自の保育士の確保策としては、新たに採用した常勤保育士に対し就職時に 20 万円、採用から 1 年がたった時点でさらに 10 万円を給付する。 市待機児童緊急対策室によると、新規採用の保育士への給付金は県内でも珍しいという。 毎月 8 万 2,000 円を上限に県や市、事業者で市内に勤務する保育士の家賃を補助する制度も始める。 保育事業者への運営費の補助も新設する。 同市は認可保育所の事業者が国から受け取る運営費の基準となる「公定価格」がさいたま市や蕨市など近隣市と比べて低く、補助金が少ないとの事情があり、近隣市との差額を補助する。 保育所を設ける際に事業者が負担する整備費の 4 分の 1 を補助する制度も 2 年ぶりに復活させ、市内での保育所整備を促す。 戸田市の今年 4 月 1 日時点の待機児童数は 106 人と前年から約 70 人増え県内で最多だった。 東京に隣接する同市では子育て世代の流入が多いうえ、共働きを始める家庭も多く「保育所を整備しても申込者数の増加が上回る(市待機児童緊急対策室)」状態だ。 就学前児童人口に対する保育所入所申込者の割合を示す「保育所入所申し込み率」も 34% と 13 年からの 3 年間で 10 ポイントも高くなった。 危機感を覚えた市は待機児童緊急対策室という専門部署のほか、市長や全ての部局長で構成する「待機児童緊急対策本部」も設置し、対策を検討してきた。 今回、3 年間の期限で新たな施策を打ち出すことで保育士や事業者の負担を減らし、受け皿拡大を急ぐ。 (nikkei = 10-20-16) 企業主導型保育所、出足は好調 まず 3,887 人分助成 待機児童対策の切り札として安倍政権が今年度から始めた「企業主導型保育所」の出足が好調だ。 企業が主として従業員向けに整備する施設で、内閣府は 6 日、1 次募集で 38 都道府県の 150 施設(定員 3,887 人分)への助成を決めたと発表した。 来年度末までに 5 万人分の整備を目指している。 1 次募集は 5 月 16 日 - 6 月 30 日に実施。 311 施設分の申請があり、まず書類審査を終えた施設への助成が決まった。 企業や病院などが事業所内に設置するほか、子どもを連れて通勤する負担を減らそうと、従業員が多く住む住宅街や駅周辺にも整備。 大阪府の関西空港や静岡県の御殿場プレミアム・アウトレットにも保育所ができる。 施設を設ける企業側の準備が整い次第、受け付けが始まる。 来年 4 月からの施設が多い。 主に従業員の子ども向けだが、今回助成が決まった約 75% にあたる 113 施設は従業員以外の子どもも受け入れる「地域枠」を設ける。 受け入れ数は保育所によって異なる。 助成が決まった保育所は、内閣府のホームページ (http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/index.html) で確認できる。 「地域枠」の有無も掲載されており、利用したい場合は保育所に直接申し込む。 (伊藤舞虹、asahi = 9-7-16) 待機児童 2.3 万人、増加続く 「隠れ」は 6.7 万人 自治体が認可する保育施設に入れない子ども(待機児童)が 4 月 1 日時点で 2 万 3,553 人いた。 昨年の同時期より 386 人多く、2 年連続の増加。 今回初めて同時に発表された「隠れ待機児童」は 6 万 7,354 人で、昨年同時期より 8 千人ほど増えている。 厚生労働省が 2 日、公表した。 安倍政権は 2017 年度末までの「待機児童ゼロ」を掲げ、保育施設の整備を進めている。 ただ、都市部で需要が集中し、対策が追いついていない。 認可保育施設の定員は計 263 万 4,510 人分で、昨年より 10 万 2,818 人分増えた。 一方、4 月からの利用を申し込んだ人は 255 万 9,465 人で、昨年より 8 万 6,684 人多い。 申し込みを上回る受け皿があるのに待機児童が増えた理由について、厚労省保育課は「申し込みが集中した都市部でニーズが施設整備を上回った」と説明する。 待機児童の 86.8% は 0 - 2 歳児が占める。 施設が新設されても 3 - 5 歳児クラスは空きがある一方、3 歳未満児のクラスはあふれているという背景もある。 (伊藤舞虹、asahi = 9-2-16) 認可保育所、入園予約制導入へ 1 歳まで育休取りやすく 待機児童の解消に向け、厚生労働省は認可保育施設などの「入園予約制」の導入を促す方針を決めた。 事前に予約して 1 歳で入園できるようにすることで、それまでの間は育児休業をとりやすくする。 予約制を設ける自治体を支援するための必要経費を 2017 年度予算の概算要求に盛り込む。 特に待機児童の多い都市部では認可保育施設の定員にほとんど空きがなく、年度途中での入園は難しい。 また、1 歳児の枠は 0 歳児からの進級でほとんど埋まる。 そのため保護者が新年度に合わせて育休を切り上げ、子どもが 0 歳のうちから入園を申し込むケースが多くなっている。 ただ、育休後に子どもを預ける手立てがあれば、子どもが 1 歳になるまで育休の取得を希望する親も多い。 入園予約制は自治体の認可保育施設などで子どもが 1 歳になった時に入園できる仕組み。 あらかじめ予約の枠を確保しておくことで、年度途中からでも入園が可能になる。 東京都品川区などが先駆的に実施しており、厚労省は今後、こうした自治体の取り組みを踏まえて詳細を詰める。 (水戸部六美、伊藤舞虹、asahi = 8-24-16) 住民反対で中止・延期、13 保育園 自治体待機児童調査 朝日新聞社が全国の主要 82 自治体に実施した待機児童調査で、今年 4 月に開園予定だったのに中止・延期された認可保育所などが、15 自治体で計 49 園あったことが分かった。 このうち「住民との調整」が理由だったのは、7 自治体で計 13 園あった。 子どもの声や車の通行量増加などへの懸念から住民が反対し、自治体に十分な説明を求める動きが広がっているようだ。 調査は 20 政令指定都市と東京 23 区、昨年 4 月時点で待機児童が 100 人以上いた 39 市町の計 82 市区町が対象。 中止・延期があった 49 園で影響のあった定員は計 3,230 人で、今年 4 月時点の待機児童数(約 1 万 4 千人)の約 2 割に上る。 理由で最も多かったのは、地中にある障害物の撤去などの「工事の遅れ」で 20 園。 「住民との調整」の 13 園は 2 番目に多く、影響のあった定員は計 1,006 人で待機児童数の 7% ほどだった。 建設コスト高騰による入札不調(7 園)などを上回った。 (藤田さつき、asahi = 6-12-16) 保育士確保へ争奪戦 競争激化、都心の求人倍率は 66 倍 東京で保育士の争奪戦が熱を帯びている。 都心の有効求人倍率は、今春の採用が佳境に入った昨年 11 月に 66 倍に跳ね上がった。 待機児童対策で施設が増える一方、離職率は年平均 8% を超え、「保育士集めはもう限界」との声も聞かれる。 「ボーナスは年 4 回。 年に 1 回は必ず昇給します。」 「家賃の自己負担は 1 万円。 冷蔵庫や洗濯機は園側で買いそろえます。」 東京・渋谷で 4 月下旬に開かれた保育士就職セミナー。 来春卒業予定の学生たちに、保育所の採用担当者がアピールした。 就職情報大手「マイナビ」が主催し、2 日間で計 67 法人がブースを出した。 世田谷共育舎(東京都世田谷区)は来春、区内に三つ目の保育所を開く。 必要な保育士数は 18 人。 中村淳子統括園長は「セミナーで話した学生の顔を思い出し、全員に『また会いましょう』と手紙を書く」と話した。 今年は 300 人以上に書くつもりだ。 23 区で 15 保育所を運営するアンジェリカ(目黒区)の大賀和哉・採用担当部長は「100 人の学生と話せた。 2、3 人でも面接に来てくれれば。」 結婚や出産で辞める保育士も多く、来春の採用予定は 40 人。 自社の売りは埼玉県にある直営農園を使った食育で、関心のある学生には見学時の飛行機代も負担する。 「保育士 1 人を確保するために数十万円をかける時代です。」 (別宮潤一、asahi = 5-28-16) 認可保育所、安心じゃない? 次々開設、各地で問題発覚 待機児童問題を解消するために次々と保育施設が開設されるなかで、安全面などで国の基準に基づいた認可保育所で問題が起きている。 「毎日、無事に帰ってくるかどうか気が気でなかった。 子どもも不安定になり、自分も精神的に追い詰められた。」 東京 23 区にある認可保育所に子どもを通わせていた保護者は、昨年春のことを振り返る。 この保育所は 2015 年春、都が独自に認定する認証保育所から、より基準が厳しい認可保育所になった。 ところが、直後から保育士が次々に辞め、保護者からは「掃除が行き届かず、ぜんそくが悪化した」などの意見が寄せられるようになったという。 地元の区はこの年の 4 月以降、職員を連日派遣して指導。 転園を希望する人は優遇する異例の措置をとった。 担当者は「こんなことは初めて。 事故だけは起こしてはいけないと、ギリギリの対応をしてきた。」 5 月から今年 4 月入園の 1 次募集までは、新規募集も停止した。 原因は、認可保育所になることが決まった後の 14 年末、運営会社の株式が譲渡され、経営者が変わったことだった。 突然、園の名前から保育内容まで変わるなどしたため、保育士に動揺が広がったという。 辞めた保育士の一人は「子どものために残りたかったが、限界だった」と話した。 自治体が認可保育所を増やすことに追われ、質のチェックが甘くなっているという指摘もある。 ある自治体の担当者は「保育士の配置や面積などの基準をクリアしてさえいれば、認可せざるをえず、一度認可すると、取り消しは難しい。 基準を厳しくしてしまうと参入のハードルがあがり、量を増やせなくなる。」 認可に関わったことがある専門家も「不安を感じつつ審査を通していることもある」と明かした。 保育所を運営するある株式会社の経営者も、「以前は、認可の申請を出す前に自治体側が厳しく中身をチェックしていたが、最近は甘くなっている」と話した。 京都市の認可保育所では 14 年 6 月、保育士資格のない職員が 5 歳児 3 人を園庭に投げだし、うち 1 人が頭の骨を折るけがをした。 市の特別監査報告書によると、この園では労務管理などが不適切で、保育士の離職率が高かったという。 問題は東京都や 100 万都市に限らない。 茨城県取手市の認可保育所では、保育士が 0 歳児に無理やりご飯を食べさせるなど不適切な行為をしていたことが昨年 1 月、発覚。 この園は、12 年に民営化されたばかりだった。 ずさんな会計処理なども発覚し、運営する社会福祉法人が運営辞退を届け出たため、今年 4 月からは別の法人に移譲された。 (仲村和代、asahi = 5-1-16)
保育士 6 千円、介護職 1 万円 来年度に月給増、首相表明 安倍晋三首相は 26 日の 1 億総活躍社会に関する国民会議で、保育士と介護職員の賃金を来年度から引き上げる方針を表明した。 平均月額で保育士は約 6 千円、介護職員は約 1 万円の上げ幅を想定。 経験のある保育士にはさらに上乗せし、最大で数万円程度の賃上げとする考えだ。 首相は会議で「保育士として技能、経験を積んだ職員について、競合他産業との賃金差がなくなるよう処遇改善を行う」と強調。 5 月にまとめる「ニッポン 1 億総活躍プラン」に盛り込む考えを明らかにした。 安倍政権は「待機児童ゼロ」や「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、保育や介護の受け皿を増やす方針を決定。 しかし、保育士は 2017 年度末までに約 9 万人、介護職員は 20 年代初頭に約 25 万人不足すると見込まれ、人材の確保が急務だ。 政府の昨年の調査では、賞与を含む女性保育士の平均賃金は月 26 万 8 千円で、全産業の女性労働者の平均より 4 万円以上低い。 来年度は保育士の賃金が月約 6 千円分上がるように 500 億円弱を充当。 さらに同程度の財源を確保して経験のある保育士に重点配分し、他産業並みに引き上げる。 (池尻和生、伊藤舞虹、蔭西晴子、asahi = 4-27-16) 「保育所の騒音で体調崩した」 損害賠償求め住民ら提訴 保育所からの騒音で体調を崩したとして、愛知県豊田市の住民らが保育所を運営する社会福祉法人を相手取り、防音設備の設置と計 600 万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁岡崎支部に起こしたことがわかった。 提訴は 3 月 30 日付。 訴えたのは、保育所近くで会社を経営する男性 (50) と従業員ら計 4 人。 訴状では、園庭で園児らが騒ぐ際の音は平均で 70 デシベル前後に達し、我慢の限度を超えた違法なものだと主張。 防音壁の設置を求めたがかなわず、騒音で精神疾患になり入院したなどと訴えている。 保育所側は「近隣の方と良好な関係を維持したい。 子どもの安全を守るため、防音壁を設置する。」としている。 (asahi = 4-15-16) 潜在待機児童 6 万人に 公表数の 2.6 倍 厚労省が緊急対策 厚生労働省は 28 日、親が育児休業中などの理由で、自治体が待機児童に含めていない子どもが昨年 4 月時点で約 1 万 1 千人いると明らかにした。 これまでの判明分と合わせると、潜在的な待機児童は約 6 万人となった。 国が認可保育所の待機児童として公表しているのは約 2 万 3 千人で、その約 2.6 倍に当たる子どもが算定から除外されている形だ。 塩崎恭久厚労相は同日、待機児童解消に向けた緊急対策を正式発表した。 待機児童が多い自治体に保育士や施設の床面積などの設置基準を緩めるよう要請したり、「一時預かり」や「小規模保育」など既存事業の活用を促したりすることが柱。 潜在的な待機児童として今回明らかにしたのは、「親が育児休業中」の 5,334 人、「親が求職活動を休止している」の 4,896 人。 これとは別に、認可施設への移行を目指して国費補助を受けている認可外施設に通う 825 人も公表した。 厚労省が待機児童と正式に定義して発表している昨年 4 月時点の子どもは、5 年ぶりに増えて 2 万 3,167 人。 (sankei = 3-28-16) 7 施設全廃、旧量販店改修 … 母親らこども園計画に待った 大阪府阪南市で市立の 4 幼稚園と 3 保育所を全廃し、旧家電量販店を改修した 600 人規模の認定こども園をつくる計画が進んでいる。 異例の場所と規模に驚いた子育て中の母親らは反対の声を上げたが、関連予算は市議会を通過。 「子どもの将来に関わる大切な話を勝手に決めないで」と、賛否を問う住民投票の実現に向けて動き出した。 「市民の声を聞いて下さい。」 24 日、阪南市役所前で母親ら約 50 人が「住民投票を求めます」の横断幕を掲げた。 9 カ月の長女を抱く樋之口(てのくち)敬子さん (36) は「あの建物に 600 人もの子が集まる。 どんな影響があるか不安。」と話した。 市の計画では、国道に面した旧ヤマダ電機阪南店(鉄骨 2 階建て、延べ約 6,800 平方メートル)を買収し、0 - 5 歳児約 630 人が通う幼保連携型認定こども園を整備。 子育て相談などの機能を併せ持つ「総合こども館」として 2018 年の完成を目指す。 (中川竜児、asahi = 3-26-16) 「隠れ待機児童」、昨年 4 月に 4 万 9 千人 厚労相が明言 認可保育施設に申し込んで入れなかったのに「待機児童」と認定されなかった子どもが、昨年 4 月時点で少なくとも 4 万 9 千人いたことがわかった。 自治体が待機児童と認定したのは同時期で 2 万 3,167 人。 その倍以上の「隠れ待機児童」がいたことになる。 塩崎恭久厚生労働相が 18 日の衆院厚労委員会で、山尾志桜里氏(民主党)の質問に対し、明らかにした。 待機児童は、自治体にあった保育利用の申込者数から認可施設に入った子どもの数などを引いて計算する。 厚労省の定義では、「特定の施設を希望し、空きがあって通える施設を利用しなかった」と自治体が判断したり、自治体の補助を受ける認可外施設に入ったりしたら、待機児童の対象外になる。 昨年 4 月時点で、「特定の施設を希望」を理由に待機児童に含まれなかったのは 3 万 2,106 人。 保護者が特定の保育所にこだわるケースがある一方、自治体が「自宅から通える」と判断しても通勤経路と逆方向にあったり、きょうだいで別々の施設だったりして利用を断念した事例もある。 東京都の認証保育所や横浜市の横浜保育室、堺市のさかい保育室といった自治体が基準を定めて補助する認可外施設に入所できた児童は 1 万 7,047 人。 こうした児童はかつて、待機児童に含まれていた。 ほかに認可施設に入れられず育児休業を延長したケースは待機児童に含めなくてもよいとされ、自治体によって数え方が違う。 厚労省はこの人数を公表していない。 山尾氏は、待機児童が少ないとされる自治体に引っ越したのに入れず困っている親がいると指摘。 「最後は子どもにツケが回っている」として全体数の公表を求めた。 塩崎氏は自治体側から意見を聴くとした。(伊藤舞虹、asahi = 3-18-16) 「保育園落ちた」ネット世論で政権一転 首相も軌道修正 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名のブログが、政府・与党に波紋を広げている。 政権幹部は当初、「議論しようがない」などと受け流していたが、ネット上でブログに共感する声が広がると一転して待機児童への政府対応を強調。 世論の大勢が政権批判に転じないよう、神経をとがらせている。 「ブログを読ませていただきました。 共鳴を呼んで広がっているのは承知しています。」 加藤勝信・1 億総活躍相は 8 日の閣議後の記者会見でそう語り、待機児童の受け皿拡充に取り組む考えを強調した。 石破茂・地方創生相も「(ブログに)刺激的な表現が使われている。 そこまで言う状況になぜ陥ったのか、虚心に分析しないといけない。」と述べた。 ブログの内容は 2 月 29 日の衆院予算委員会で民主党の山尾志桜里氏が取り上げた。 安倍晋三首相に「社会が抱える問題を浮き彫りにしている」とただすと、首相は「実際に起こっているのか確認しようがない。 これ以上議論しようがない。」と突き放した。 議員席からは「ちゃんと(ブログを書いた)本人を出せ」などとヤジも飛んだ。 (石井潤一郎、高橋健次郎、asahi = 3-8-16) |