処理水 2 年で 10 万トン放出 福島第一原発タンク 7 割は放出基準超え

福島原発の処理水

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燃料デブリ本格取り出し、2037 年度以降にずれ込み 福島第一原発

東京電力福島第一原発 3 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の本格的な取り出しについて、東電は 29 日、2030 年代の初めとしていた開始時期が 37 年度以降にずれこむと発表した。 工法を検討した結果、準備に想定より長い 12 - 15 年程度かかる見通しになったためだ。 国や東電がめざす 51 年までの廃炉完了は、困難さが増している。

メルトダウンした 880 トン、採取はまだ 0.9 グラム

11 年 3 月の事故で炉心溶融(メルトダウン)した 1 - 3 号機にはデブリが推計 880 トンあり、取り出しは廃炉の最難関とされる。 昨年 11 月と今年 4 月に 2 号機で試験的に採取したが、計約 0.9 グラムにとどまる。 東電は、本格的なデブリの取り出しを 3 号機で 30 年代初頭に始める目標を示してきた。 具体的な工法を検討し、原子炉の側面の穴から取り出す「気中工法」と、デブリをコンクリートのような充?材で固める「充填固化工法」を組み合わせる方法を採用すると決めた。

原子炉内に残るデブリを細かく砕いて、側面から回収する計画だ。 量は段階的に増やしていく。 設備の設計などの実現性について 1 - 2 年かけて検証する。 この工法に必要な建屋の増設などに向け、3 号機の北側にある廃棄物処理建屋を解体する。 線量の高い放射性廃棄物が保管されており、解体に 10 年ほどかかるという。 これらの準備工事や内部調査、放射線量を下げる作業などに今後 12 - 15 年ほどかかるため、取り出し作業の開始は 37 年度以降になる。

一方、デブリの取り出しにかかる期間は示していない。 1、2 号機の取り出しについては時期や工法も未定だ。 東電に助言する原子力損害賠償・廃炉等支援機構の更田豊志廃炉総括監は 29 日の会見で、大規模取り出しについて「現実味は増してきた」とする一方、51 年までの廃炉完了について「もともと困難だ」と述べた。 (小川裕介、矢田文、asahi = 7-29-25)


東電旧経営陣の責任、高裁は認めず 原発事故「13 兆円賠償」ゼロに

2011 年に起きた東京電力福島第一原発事故をめぐり、東電の株主 42 人が旧経営陣 5 人に対し、「津波対策を怠って会社に損害を与えた」として 23 兆円の賠償を求めた株主代表訴訟の控訴審判決が 6 日、東京高裁であった。 木納敏和裁判長は、旧経営陣に13 兆 3,210 億円の賠償を命じた一審判決を取り消し、株主側の請求を棄却する判決を言い渡した。 株主側は上告する方針。 旧経営陣は、勝俣恒久元会長(24 年に死去)、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長、小森明生元常務。 死去した勝俣氏の訴訟は相続人の遺族が承継した。

一審は小森氏を除く 4 人の賠償責任を認めていた。 原発事故の刑事責任が問われた別の裁判でも今年 3 月に旧経営陣 2 人の無罪が確定していて、民事裁判でも旧経営陣の責任が否定された。 訴訟の主な争点は、旧経営陣が巨大津波の発生を予見できたか(予見可能性)と、津波対策を指示していれば事故を回避できたか(結果回避可能性)の 2 点だった。

高裁判決は、原発事故は被害が甚大になることから、いつ起きるかわからない巨大津波の対策として求められるのは「原発の運転停止だった」と指摘。 運転停止で国民生活や経済活動に影響する点を踏まえると、旧経営陣の予見可能性を認めるには、運転停止を正当化できる信頼度のある根拠が必要だとした。 次に、国が 02 年に公表した地震予測「長期評価」について検討。 長期評価では、福島県沖でも大津波を伴う巨大地震が起きる可能性が示されていた一方、国自身が長期評価の信頼性をやや低く捉えていた点などから運転停止の根拠には「不十分だった」とした。

長期評価に関する旧経営陣の認識についても言及した。 長期評価に関する報告をもっとも多く受けたのは武藤氏で、その内容は「短期間に巨大津波が来るとの切迫感や現実感を抱かせるものではなかった」と認定。 こうした事情を考慮すると、武藤氏は巨大津波を予見できたとは言えず、武藤氏より情報が少なかったほかの旧経営陣についても予見可能性を認めなかった。 その上で高裁は、津波を予見できなかった旧経営陣には、事故を回避する対策をとる義務もなかったと指摘。 旧経営陣の賠償責任はないと結論づけた。

判決を受けて東電は「個別の訴訟に関することは回答を差し控える」とコメントした。 (黒田早織、asahi = 6-6-25)

〈編者注〉 原発崩落の直接的原因が、最も '基本的な予備電源の欠落' であることを知る現在では、訴える側の悔しさはよく分かります。 では、そのような基本的点検確認までが無視されるような状況がどうして出来上がったのかを考えると、それまで一般的に蔓延していた '原発の安全神話' だったことに他ありません。 その「安全神話」作りに東電幹部も加担していたのではないかとも考えてしまうのですが …。

 

敦賀原発 1 号機の廃炉完了、7 年遅れ 有害な水の処理装置用意できず

日本原子力発電は 19 日、敦賀原発 1 号機(福井県)について、2040 年度としていた廃炉の完了時期を 7 年先延ばしすると発表した。 原子炉建屋にある機器の解体作業が遅れるためという。 原電は同日、原子力規制委員会に廃炉計画の変更届を提出した。 敦賀 1 号機の廃炉作業は 17 年に始まった。 原電によると、原子炉建屋内にある圧力抑制室と呼ばれる機器の解体作業が遅れる見通しという。 解体の際に有害物質を含む約 1,500 トンの水を抜いて無害化する計画だが、受注メーカーが装置を用意できず、別のメーカーが設計からやり直した。

原子炉の解体などで出る放射性廃棄物は、圧力抑制室を撤去した後のスペースに保管するため、原子炉の解体も 7 年遅れの 33 年度からになるという。 敦賀原発では、2 号機が昨年 11 月、再稼働に向けた申請が「不許可」となり、原電は再申請に向けた追加調査を検討している。 また、原電は国内初の商業炉である東海原発(茨城県)の廃炉作業も 01 年から進めているが、廃炉の完了時期は 4 回延期し、35 年度としている。 (小川裕介、asahi = 5-19-25)


台湾で「原発ゼロ」実現 唯一稼働の原発が停止、政策見直し可能性も

台湾で唯一稼働している第 3 原発 2 号機(?東県)が 17 日に稼働期限を迎えて停止し、台湾の民進党政権が実現を目指してきた「原発ゼロ」が実現した。 ただ、頼清徳(ライチントー)政権は将来的な原発の再活用を否定しておらず、脱原発政策を見直す可能性は残っている。 台湾当局や台湾メディアによると、第 3 原発 2 号機は 17 日夜に稼働をとめた。 台湾では一時、計 6 基の原発が稼働していたが全て停止した。

台湾の立法院(国会に相当)は 13 日、原発の稼働期限を最長 20 年間延期できる法改正案を、電力の不足や価格上昇への懸念を理由に稼働停止に反対する野党が主導して可決した。 ただ、頼氏は第 3 原発 2 号機の稼働期限をただちに延期することはせず、予定通り停止させる考えを示していた。 (台北・高田正幸、asahi = 5-18-25)


2 回目採取の燃料デブリ、放射線量基準値以下 23 日取り出し完了へ

東京電力は 21 日、福島第一原発 2 号機から採取した溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の放射線量が、取り出しの基準値を下回ったと発表した。 順調に作業が進めば、23 日にもデブリの取り出しが完了するという。 デブリの試験的取り出しは 2 回目となる。 東電は 17 日、1 回目より原子炉格納容器の中心部に近い場所にあるデブリを装置で持ち上げることに成功。 その後、格納容器から引き出して「隔離箱」に収納した。

燃料デブリの持ち上げ

21 日に箱の外から放射線量を測ったところ、20 センチの距離換算で毎時 0.1 ミリシーベルト(前回は約 0.2 ミリシーベルト)だった。 東電は、作業員が過剰に被曝(ひばく)しないよう 20 センチの距離で毎時24ミリシーベルトを下回ることを確認してから回収するとしていた。  今後、隔離箱からデブリ専用の容器に移し、23 日にも試験的取り出しを完了させる予定。 その後、茨城県大洗町の分析施設に運ぶ。 (玉木祥子、asahi = 4-21-25)

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燃料デブリ、中心部近くで「つかんだ」 福島第一原発 2 回目取り出し

東京電力は 17 日、福島第一原発 2 号機の原子炉格納容器内で、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出し装置でつかんだと発表した。 試験的取り出しは 2 回目で、1 回目より中心部に近い場所のデブリを持ち上げることに成功。 今後、格納容器の外に引き出して回収し、茨城県内の研究施設で分析する予定だ。

取り出し作業は 15 日に開始。 東電によると、17 日に「釣りざお式装置(全長約 22 メートル)」の先端を格納容器の底部に下ろし、数ミリの黄色っぽい小石状のデブリを持ち上げた。 昨年 11 月に初めて取り出した場所から 1 - 2 メートルほど中心部に近い場所にあるデブリで、周囲にはデブリとみられる塊が前回より多くあったという。 今後、数日かけて装置を格納容器から引き出し、デブリの放射線量を確認したうえで専用の容器に入れて回収する。

炉心溶融(メルトダウン)が起きた福島第一原発 1 - 3 号機にあるデブリは推計 880 トン。 東電は昨年 11 月、事故後初めて釣りざお式装置で 0.7 グラムを採取した。 今回は前回とは別の場所から採取し、サンプルを増やすことでデブリの性状や分布のデータ拡充につなげたい考えだ。 東電は 2017 年にカメラでデブリを確認し、19 年には持ち上げに成功したが、取り出し作業に使う「ロボットアーム」の開発の遅れなどで難航した。 (矢田文、小川裕介、asahi = 4-17-25)

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福島第一原発デブリ、2 回目の取り出し始まる 狙いは前回と違う場所

東京電力は 15 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の 2 回目となる試験的な取り出しを始めた。 原子炉格納容器内に装置を入れ、1 回目より中心部に近い場所からの採取を試みる。 東電によると、15 日午前 10 時ごろ、原子炉格納容器までの通り道にある「隔離弁」を開けて、取り出し装置が通過した。 今後、取り出し装置を格納容器の中に押し込み、デブリを採取する。

東電は昨年 11 月、原発事故後初めて約 0.7 グラムの燃料デブリを取り出した。 分析の結果、核燃料に含まれるウランや、燃料を覆う管の素材ジルコニウムなどが検出された。 だが、デブリ全体がそれと同様の組成なのかは分からない。 東電は今回、1 回目よりも 1 - 2 メートルほど格納容器の中央に近い場所から採取する計画だ。 分析するデブリのサンプル数を増やし、性状や分布の知見を拡充することで、格納容器内の状況把握につながる可能性がある。 今後の本格的な取り出し方法や保管方法の検討に役立てたいとしている。

ただ、がれきなどの障害物があって、デブリがある格納容器底部に近づけないと判断した場合、1 回目と同じ場所から採取する。 取り出しには、前回と同じ「釣りざお式装置」を使う。 最長約 22 メートルまで伸び、先端にカメラやデブリをつまむ金属製の器具がある。 これらを遠隔で操作し、格納容器の底部に先端部を釣り下ろしてデブリを採取する。 作業が完了するまで 12 日ほどかかる見通しという。 採取したデブリは茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設に運んで分析する。

前回の取り出しはトラブル続きだった。 当初、昨年 8 月に着手する予定だったが、装置を格納容器内に押し込む 5 本のパイプの並び順のミスが発覚。 9 月に取り出しに着手したが、装置先端のカメラの映像が確認できなくなり、作業は 1 カ月以上中断した。 その反省をふまえ、東電は今年 3 月下旬、作業員を対象にパイプの並び順などを確認する作業の訓練を実施。 取り出し装置についても、先端部を釣り下ろすときの安定性を高めるよう改良したという。 (玉木祥子、asahi = 4-15-25)


浜岡原発 2 号機で原子炉解体始まる 国内初の作業、「大廃炉時代」へ

廃炉を進めている中部電力浜岡原発 2 号機(静岡県御前崎市)で原子炉の解体作業が始まった。 17 日、運転時に核燃料が入っていた原子炉圧力容器の上ぶたをクレーンで持ち上げて取り外した。国内の商業炉では初めてで、「大廃炉時代」が本格的に始まる。

放射性廃棄物はどこで誰が処分? 進まぬ議論、原発廃炉が抱える課題

浜岡原発 1、2 号機はいずれも核燃料で沸騰させた水の蒸気で直接タービンを回す、沸騰水型炉だ。 1 号機は 1976 年に運転を開始し、出力は 54 万キロワット。 2 号機は 78 年に運転開始し、同 84 万キロワット。 2006 年に原発の耐震指針が改定された後、対応するために必要な耐震補強などにかかる費用が大きいとして、08 年に中部電が廃炉を決定。

09 年から作業が始まっている。 これまでに建屋内の使用済み核燃料を同じ敷地内にある 4、5 号機の燃料プールへ搬出し、未使用燃料は敷地外に運び出した。 設備の除染を行い、15 年度からはタービンや発電機、原子炉建屋の一部についても解体を進めてきた。 これから始まる原子炉の解体は、廃炉作業の本丸とされる。 原子炉圧力容器や内部の炉内構造物は人が近づけないほど放射線量が高い。 作業は専用のロボットを使った遠隔操作などで行うため、高度な技術が求められる。

中部電は、2 号機の原子炉から先行して解体し、12 年ほどかけて 2 基の原子炉を解体する。 最終的に建屋の撤去を終えて、廃炉を完了する時期は 42 年度を見込む。 中部電は 1 号機の廃炉にかかる費用を約 379 億円、2 号機については約 462 億円と見込んでいる。 ただ、廃炉作業で生まれる大量の金属やコンクリートなどの廃棄物の処分先は決まっていない。

国内では、日本原子力研究開発機構が小型の実験炉を廃炉にした経験があるが、商業炉で廃炉を完了した例はまだない。 現時点で、18 基(東京電力福島第一原発を除く)が廃炉を決めており、ほかにも運転期間が長い原発が多い。 これから「大廃炉時代」を迎えるが、廃棄物の処分先が決まらず、廃炉計画の延期が続いている。 (矢田文、asahi = 3-17-25)



福島第一原発の燃料デブリ、「釣りざお装置」での再採取を検討 東電

東京電力は 28 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の再採取を検討すると明らかにした。 事故後初の試験的取り出しと同様、「釣りざお式装置」を使うことを想定。 今回採取したのは約 0.7 グラムと少ないため、知見を増やす。 実施時期などは精査中という。 東電は、今月 7 日に採取が完了した燃料デブリを数カ月から1年程度かけて分析し、今後の取り出し方法や保管方法の検討に生かすという。 一方、原子力規制委員会の山中伸介委員長や政府の廃炉に関する有識者会議では、再び採取してサンプリング数を増やすよう指摘された。

2 号機には推計約 240 トンの燃料デブリがあるとされる。 東電はこれまで、釣りざお式装置による採取の後は、国費も投じて開発した「ロボットアーム」での試験的な取り出しをするとしていた。 しかし、ロボットアームはいまも動作精度を改善するための試験が続いている。 東電はロボットアームによる取り出しなどを今年度中に始める計画だが、間に合うかは不透明だ。 (福地慶太郎、矢田文、asahi = 11-28-24)


採取した燃料デブリ、放射線量は基準内 7 日以降に取り出し完了へ

東京電力は 5 日、福島第一原発 2 号機の原子炉格納容器から採取した溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)について、取り出しができる放射線量の基準値を下回ったと発表した。 取り出し作業の完了は 7 日以降になるという。 東電は 2 日、燃料デブリをつまんだ装置を格納容器の外側に設けた「隔離箱」に収納。 5日に隔離箱の上に置いた線量計で測ったところ、20 センチの距離で毎時約 0..2 ミリシーベルトだったという。

作業員が過剰に被曝しないために決めた基準(20 センチの距離で毎時24ミリシーベルト)を下回ったため、6 日に隔離箱の中で箱形の容器に入れる予定。 7 日以降、隔離箱の側面にある窓を開け、バケツ型の容器に入れる。 東電は、バケツ型容器に入れた時点を燃料デブリの試験的取り出しの完了としている。 福島第一原発の 1 - 3 号機には推計 880 トンの燃料デブリがある。 政府と東電は今回、2 号機で試験的に 3 グラム以下の燃料デブリを取り出し、成分などを分析して今後の取り出し方法の検討に生かすとしている。 (玉木祥子、福地慶太郎、asahi = 11-5-24)


福島第一原発 2 号機のデブリ、格納容器外に取り出し成功 事故後初

東京電力は 2 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を原子炉格納容器から取り出し、格納容器外に設置する隔離箱内に移した。 一定の放射線量を下回っていることが確認されれば、容器に入れて運び出し、分析などを行う。

福島第一原発 1 - 3 号機内には、事故によって生じた燃料デブリが推計 880 トンある。 非常に強い放射線を出すため、その取り出しは廃炉作業の最難関といわれている。 今回は、試験的に 3 グラム以下を取り出す予定で、先月 28 日に、燃料デブリを取り出すための「釣りざお式装置」を格納容器内に挿入。 30 日に底部にある燃料デブリを装置先端の爪でつまむことに成功していた。 東電によると、11 月 2 日午前 9 時 50 分ごろに、小石状の燃料デブリをつまんだ装置を、格納容器の外に出した。 燃料デブリの大きさは 5 ミリ以下という。 燃料デブリが格納容器の外に出されるのは事故後初めてだ。

今後、取り出した燃料デブリの放射線量を測定する。 基準値を下回っていれば、専用の容器に入れて取り出しを完了。 研究機関に運び、分析する。 燃料デブリの試験的取り出しは、今年 8 月に作業開始の直前に、装置の接続ミスが発覚。 9 月に再開後もカメラの不具合があり、中断を繰り返していた。 (矢田文、asahi = 11-2-24)


福島第一原発 2 号機、デブリ取り出し再開 カメラ交換し 1 カ月ぶりに

東京電力は 28 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出し作業を約 1 カ月ぶりに再開した。 映像が確認できなくなったカメラを交換し、復旧させたが、不具合の原因を特定できていないままの再開となった。 東電によると、28 日午前 9 時過ぎ、原子炉格納容器までの通り道の途中にある「隔離弁」を開けた。 今後、取り出し装置を格納容器の中まで押し込むという。 福島第一原発 1 - 3 号機には推計 880 トンの燃料デブリがある。 東電は今回、2 号機から 3 グラム以下の燃料デブリを採取し、分析する計画。 今後の取り出し方法の検討に生かすという。

試験的な取り出しは当初、2021 年に開始する予定だった。 装置開発の遅れなどがあり、今年 9 月 10 日、3 年遅れで作業に着手。 ところが、同 17 日以降、取り出し装置先端のカメラ 2 台の映像が確認できなくなった。 そのため、カメラを 2 台とも交換していた。 不具合の原因はわかっていないが、東電は高放射線量の現場でカメラの電源を切っている間に、高線量により装置に電気がたまったためだと推定。 再発防止策として、今後は電源を切らず、燃料デブリをつまみ上げるまで休養日を入れずに作業を続ける。 取り出しはこれまで約 2 週間かかるとしていたが、期間は短くなる見込みという。 (福地慶太郎、asahi = 10-28-24)

燃料デブリ取り出し、不具合カメラ 1 台の映像復旧 残り 1 台も交換へ

東京電力は 17 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業で、映像が確認できなくなった装置先端のカメラ 2 台のうち 1 台を交換したところ、復旧したと発表した。 18 日は残り 1 台の交換を試みるという。 東電によると、取り出し装置は最大約 22 メートルまで伸びる。 先端についている 2 台のカメラの映像が 1 カ月前から、遠隔操作室から確認できない状態が続いていた。

東電はこの日、装置のケーブルを切断して新たに接続部をつくり、カメラ1台を交換。 遠隔操作室で映像を確認できたという。 18 日に残り 1 台のカメラを交換し、復旧しても、その後の取り出し装置の動作確認などを終えるまで約 2 週間かかる見込み。 東電は、動作確認なども終わった後に燃料デブリの取り出し再開時期を示すとしている。 (福地慶太郎、asahi = 10-17-24)


福島第一原発、不具合のデブリ採取装置を引き抜きへ 中断長期化か

東京電力は 19 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し装置を原子炉格納容器から引き抜くと発表した。 装置先端のカメラ映像が確認できない原因を調べる。 着手前の段階に戻ることになり、取り出しの中断が長期化する恐れもある。 福島第一原発 1 - 3 号機には推計 880 トンの燃料デブリがある。 東電は今月 10 日、事故後初めて燃料デブリの取り出しに着手。 最大約 22 メートルまで伸びる「釣りざお式装置」を格納容器に入れ、試験的に 3 グラム以下を取り出して分析する計画だ。

原子炉内は放射線量が非常に高いため、建屋から離れた「遠隔操作室」で、装置先端のカメラ映像を見ながら取り出し作業をする予定だった。 しかし、17 日に先端のカメラ 2 台の映像が確認できなくなった。 格納容器の外にあるケーブルや接続端子などを調べたが、異常は見つからなかったという。 今後は準備ができ次第、4 日ほどかけて装置を縮め、格納容器の外側の「隔離箱」まで戻す。 隔離箱内のカメラで外観を確認するという。 格納容器への通り道にある「隔離弁」も閉じるといい、取り出し作業に着手する前の状態に戻る。

東電はその後の作業については「精査する」と説明する。 だが、カメラの交換には隔離箱から装置を出す必要があり、取り出し作業の長期中断は避けられそうにない。 今回の取り出し装置は、2019 年 2 月に 2 号機で初めて燃料デブリとみられる塊を持ち上げたときにも使われた。 国費も投じて開発したロボットアームの開発が難航するなか、活用実績を重視して採用された。 ただ、19 年の調査は 1 日限りだったのに対して、今回は約 2 週間だ。 格納容器の内部は高い放射線量に加え、燃料デブリを冷やす水が常に注がれているため、湿度も非常に高い。

東電はカメラは高線量でも耐えられる設計だとして、放射線による影響とは考えにくいと説明する。 一方、政府関係者は「格納容器の中はサウナのような状態。 水分が入るなどの問題が起きたのかもしれない。」と推測する。 東電の広報担当者は 19 日の会見で「カメラもケーブルも防水性のあるものを使っている。 その影響は限りなく少ないと思うが、それも含めて確認したい。」と話した。 (福地慶太郎、矢田文、asahi = 9-19-24)


福島第一原発 2 号機のデブリ取り出し再び中断、装置のカメラ故障で原子炉内の映像映らず

東京電力福島第一原子力発電所 2 号機で 17 日、溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しに使う装置のカメラが故障したことが、関係者への取材でわかった。 原子炉内の映像が映らなくなり、作業を中断している状態という。 東電は 10 日から、2011 年 3 月の原発事故後初めて、デブリの試験的な取り出しを開始。 当初は 8 月 22 日の予定だったが、準備作業中に手順ミスが判明して中断し、3 週間遅れで再開していた。 (yomiuri = 9-17-24)


燃料デブリ取り出し再開、来週にも 東電、手順ミス調査結果公表

東京電力福島第一原発の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しに向けた準備で起きた手順ミスについて、東電は 5 日、原因調査の結果と今後の方針を発表した。 装置の動作確認などに数日かかるといい、取り出しの着手は週明け以降になる見通し。 政府と東電の計画では、同原発 2 号機の原子炉格納容器の底部にある 3 グラム以下の燃料デブリを試験的に取り出す。 燃料デブリは 1 - 3 号機に推計 880 トンあるが、いまだ手つかずで詳しい組成などはわからないため、少量を分析して今後の取り出し方法の検討などに生かしたいという。

東電は当初、8 月 22 日朝に格納容器につながるルートの途中にある「隔離弁」の先へ取り出し装置を挿入し、作業に着手する予定だった。 ところが、この日、装置を押し込む 5 本のパイプの並び順が誤っていることがわかり、作業を延期した。 東電によると、装置に電気などを供給するためのケーブルを 5 本のパイプの内側に通す作業は、7 月下旬に行った。 しかし、東電は「一般的な準備作業」ととらえ、パイプの順番を現場で確認していなかったという。 東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「パイプの並び替えや装置の動作確認などには数日程度かかる。 当社が確認したうえで、具体的な作業日程はあらためて事前にお知らせする。」と述べた。 (福地慶太郎、矢田文、asahi - 9-5-24)


「廃炉の本丸」初日から手順誤り作業中断 容器内へ装置を挿入できず

東京電力は 22 日、福島第一原発 2 号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出しを予定していたが着手できなかった。 朝、準備作業を始めたが手順を誤り、この日の作業を中断した。 廃炉作業で最も難しいといわれる燃料デブリの取り出しは初日からつまずいた。

福島第一原発の燃料デブリ、「耳かき 1 杯」でも取り出す意義とは

福島第一原発は東日本大震災で被災し、原子炉の冷却設備が使えなくなった。 運転中だった 1 - 3 号機では核燃料が溶け落ちる「メルトダウン(炉心溶融)」が起きた。 3 基には推計 880 トンもの燃料デブリがあるが、いまも手つかずのままだ。 硬さや詳しい組成はわかっていないため少量を取り出して、分析するとしている。 今回取り出しを試みるのは、2 号機の原子炉格納容器の底部にある燃料デブリだ。 約 2 週間かけて試験的に 3 グラム以下の燃料デブリを取り出す計画だった。

デブリのある底に到達するまで 1 週間ほど

現場の放射線量は毎時数十シーベルトで、数分もいればほとんどの人が死亡するほど高い。 このため、燃料デブリの取り出しは遠隔操作でやるしかなく、「廃炉の本丸(東電)」とも言われる最難関の作業だ。 当初は 2021 年に、試験的な取り出しを始める方針だったが、国費も投じたロボットアームの開発の遅れなどで 3 回延期。 今回の取り出しは当初計画から約 3 年遅れとなった。 アームは改良中のため、過去の調査でも使った簡易な「釣りざお式装置」を使う。 この装置は最大約 22 メートルまで伸び、先端に照明やカメラ、燃料デブリをつまむ金属製の器具がある。 2 号機から約 400 メートル離れた建物から装置を遠隔操作し、燃料デブリをつかむという。

ただ、建屋で格納容器に装置を出し入れする作業をしたり、取り出した燃料デブリを運んだりするのは生身の作業員だ。 作業員にとっては夏場の重装備での作業となるため、毎日の作業は朝の 2 - 3 時間に限定。 格納容器内への装置の挿入は機械などを使う必要があり、時間がかかるため、燃料デブリのある底に到達するまで 1 週間ほどかかるという。 小石状の燃料デブリをつまんだら、その後もまた約 1 週間かけて装置を縮め、隔離箱内で燃料デブリの放射線量を測る。 毎時 24 ミリシーベルトを上回る場合は、原子炉内に戻す。 建屋内で燃料デブリの計量などをする作業員の被曝線量を国の規則で定めた範囲内に抑えるためだ。 超えなければ、計量後に茨城県内の分析施設に運び、成分などを調べる。

作業初日の 22 日午前 7 時 24 分、全面マスクに防護服姿の作業員らが、格納容器の外側に設けた作業ハウスで準備作業を開始。 格納容器への通り道にある「隔離弁」を開け、そこから釣りざお式装置を挿入しようとした。 しかし、作業の途中で装置を伸ばして押し込むための手順が誤っていることに気づき、午前 9 時前に作業を中断した。 格納容器内への装置の挿入はできなかった。 隔離弁を開けたことによる周辺への放射能漏れは確認されていないという。 23 日以降の作業の再開については、調整中という。

「初めて中に手を突っ込むことに最大の意義」

東電の小早川智明社長は 22 日、新潟県柏崎市で報道陣の取材に対し、「ここで焦って何かを進めてより大きなトラブルになるよりは、しっかりと安全、着実に進めてもらうことが我々にとっても必要」と話した。 政府と東電は 51 年までに福島第一原発の廃炉完了を目標に掲げる。 工程表では廃炉までの期間を 3 段階に分け、燃料デブリの取り出し開始以降から廃炉完了までを最後の「第 3 期」としてきた。 東電の方針では、2 号機で試験的取り出しをした後は、取り出す量を徐々に増やす計画だ。 30 年代初頭には 3 号機でさらに多い量の取り出しを始め、1 号機に展開するという。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の更田豊志・燃料デブリ取り出し工法評価小委員会委員長は「格納容器と外部の境界を維持しながら、初めて中に手を突っ込むことに最大の意義がある」と語る。 放射性物質を格納容器の外に漏らさない対策は、今後の燃料デブリ取り出しでも重要になるからだ。 一方、各号機は燃料デブリの分布や建屋の損傷状況などが異なり、様々な取り出し方法が検討されている。 (福地慶太郎、矢田文、asahi = 8-22-23)


東電、福島第一原発 2 号機プールの冷却を停止 不具合原因を調査へ

東京電力は 9 日、福島第一原発 2 号機の使用済み燃料プールの冷却を停止したと発表した。 関連設備に不具合があり、原因を調べる。 使用済み核燃料 587 体を保管しているが、急激な温度上昇は予想されないことから、安全上の問題はないとしている。 東電によると、9 日午後 1 時 5 分ごろ、2 号機の使用済み燃料プールの水が流れ込む「スキマサージタンク」の水位が低下していることを確認。 一方、プールの水位は下がっていないという。

東電は原因調査のため、9 日午後 4 時 36 分、プールの冷却ポンプを止めた。 当時のプールの水温は 34.5 度。 東電の予測では、今後の 1 時間あたりの温度上昇幅は約 0.06 度で、水温は最高でも 46 度程度にとどまるという。 福島第一原発では今年 6 月にも、トラブルで 6 号機の使用済み燃料プールの冷却が約 10 時間にわたり停止。 東電によると、当時、プールには使用済み核燃料 1,280 体があったが、急激な温度上昇はなく、安全上の問題はなかったという。 (asahi = 8-9-23)


福島第一原発 6 号機、燃料プールの冷却再開 トラブルで 10 時間停止

東京電力は 18 日夜、電源設備のトラブルで停止していた福島第一原発 6 号機の使用済み燃料プールの冷却を再開したと発表した。 冷却は約 10 時間停止していたが、急激な温度上昇はなく、安全上の問題はなかったという。

東電によると、6 号機のプールには使用済み核燃料が 1,280 体ある。 18 日午前 8 時半ごろ、6 号機の一部の電源が停止。 この電源に接続する使用済み燃料プールの冷却ポンプが止まった。 別の電源設備を使い、同日午後 6 時 19 分にポンプを起動し、冷却を再開した。 再開時のプールの水温は 23.5 度で、冷却停止時から 1.5 度上昇していたという。 電源設備は 6 号機タービン建屋地下 1 階にあり、設備の停止直後に同じ階で火災報知機が作動。 火の気はなかったが、煙が確認された。 東電は関連を調べている。 (福地慶太郎、asahi = 6-18-24)