今年度 2 回目の処理水の海洋放出始まる、福島第一原発 来月 4日まで 東京電力は 17 日、今年度 2 回目となる福島第一原発からの処理水の海洋放出を始めた。 昨年度からの累計では 6 回目。 敷地内のタンクで保管している水約 7,800 トンを海水で希釈しながら放出する予定で、順調に進めば 6 月 4 日に完了する見込み。 東電によると、放出予定のタンクの水の放射性物質の濃度を測定したところ、トリチウム以外の放射性物質の濃度はいずれも国の法令基準を下回った。 日本原子力研究開発機構と民間の分析機関の分析も同様の結果だったという。 東電の測定では、放出予定の水のトリチウムの濃度は 1 リットルあたり 17 万ベクレル。 原子力規制委員会が認可した計画で定める同 1,500 ベクレル(法令基準の 40 分の 1)を下回るよう、100 倍以上の海水で希釈して放出するという。 政府と東電などは昨年 8 月の放出開始以降、福島第一原発の周辺で海水や魚の放射性物質の濃度を測定しているが、異常な値は確認されていないという。 (asahi = 5-17-24) 福島第一で電源の一部停止 処理水放出止まる 掘削でケーブル損傷か 東京電力福島第一原発で、外部から電力の供給をうける系統の一部が 24 日午前 10 時 43 分ごろに停止し、処理水の海洋放出が中断された。 復旧のめどはたっていないという。 東電によると、電源が停止した数分後に敷地内では、協力会社の作業員が負傷し救急搬送された。 作業員は停止した系統のケーブル近くを掘削作業していたといい、東電は掘削作業によりケーブルが損傷したとみている。 今回の停電の影響で、今月 19 日から行われている処理水の海洋放出が停止した。 放出再開のめどはたっていない。 使用済み燃料やデブリの冷却設備などは運転を継続しており、原発周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値に変動はないという。 (asahi = 4-24-24) 福島第一原発、処理水放出 4 回でタンク貯水量 1.9 万トン減 東京電力は 8 日、福島第一原発の処理水の海洋放出によって、同原発のタンク貯水量が放出開始時点から約 1 万 9 千トン減り、約 132 万 6 千トン(今月 4 日時点)になったと発表した。 同原発には 1 千基超のタンクがあるが、減少量はタンク 19 基分に相当するという。 東電は昨年 8 月に処理水の海洋放出を開始。 4 回に分け、タンクの水計約 3 万トン分を大量の海水で希釈しながら海に流した。 ただ、この間も溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)が残る建屋に雨や地下水が入り、汚染水が増加。 大半の放射性物質を除去できる「多核種除去設備 (ALPS)」に通したうえでタンクにためているため、減少分は約 1 万 9 千トンだったという。 (福地慶太郎、asahi = 4-8-24) 処理水放出、今年度の 3 万 1,200 トンを完了 … 震度 5 弱の地震で一時停止後に再開 東京電力は 17 日、福島第一原子力発電所の処理水について 4 回目の海洋放出を完了し、今年度予定していた計約 3 万 1,200 トン(1 回約 7,800 トン)の放出を終えた。 4 回目は 2 月 28 日から放出を開始。 3 月 15 日に福島県沖で起きた最大震度 5 弱の地震の影響で一時放出を停止したが、安全確認を行った上で、当初予定していた 17 日に放出を完了した。 今回も周辺海域の海水や魚類への影響は確認されていない。 東電は来年度、7 回にわたって計約 5 万 4,600 トンを放出する計画だ。 1 回あたりの放出予定量は今年度と同じ約 7,800 トン。 (yomiuri = 3-17-24) 福島第一の汚染水 1.5 トン漏れ問題 規制委「実施計画違反の疑い」 東京電力福島第一原発の浄化装置の清掃作業で建屋外に汚染水が 1.5 トン漏れた問題について、原子力規制委員会は 19 日、原子炉等規制法に基づく実施計画に違反する疑いがあるとの認識を示した。 今後の検査で詳しい状況を確認し、違反かどうかを判断する。 作業の進め方を議論する規制委の有識者検討会が同日あり、規制委の現地事務所が検査の状況を報告した。 東電の作業手順書は、排気口の弁が閉じた前提で作成されているのに、実際には弁が開いた状態で作業員に引き渡されたことなどから、実施計画違反の疑いがあると説明した。 外部の有識者からは「同じような原因のトラブルが繰り返されている。 (弁の開閉をチェックする) AI による画像解析などの技術も積極的に検討して」といった指摘が出た。 東電によると、汚染水漏れは 2 月 7 日に発生した。 汚染水の浄化装置の配管に水を流して清掃していたところ、本来は閉じるべき排気口の弁が 16 カ所中 10 カ所で開いていたため、汚染水 1.5 トンが建屋の外に漏れた。 海への流出など外部への影響は確認されていないという。 (福地慶太郎、asahi = 2-19-24) 福島第一原発で「減容処理設備」の運用を開始 当初計画より 1 年遅れ 東京電力は 13 日、福島第一原発内で、廃炉作業で出た廃棄物の容積を減らす「減容処理設備」の運用を、同日から始めたと発表した。 空調のトラブルにより、当初の計画よりも約 1 年遅れの稼働となった。 減容処理設備は、廃炉作業で出た比較的放射線量の低いがれきなどの金属とコンクリートが対象。 ギロチンのようなもので切断したり、コンクリートをシュレッダーのように細かく破断したりして、容積を約半分に減らせるという。 処理能力は、1 日に金属は 60 立方メートル、コンクリートは 40 立方メートル。鉄骨造り平屋建てで、高さは約 14 メートル、延べ床面積は約 5,100 平方メートル。 この日は、金属の処理を開始した。 コンクリートの処理は 3 月中旬の開始を予定している。 処理した金属とコンクリートは、専用のコンテナに入れて敷地内の貯蔵庫の中で保管する。 昨年 3 月に運用を始める予定だったが、空調の不具合で風圧のバランスが悪く、放射性物質が建物外へ飛散する可能性があることが判明したことなどで、調整のため延期していた。 (佐々木凌、asahi = 2-13-24) 福島第一の処理水の海洋放出、3 回目が完了 4 回目は年明けの見通し 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、東電は 20 日、3 回目の放出を終えたと発表した。 2 日から作業を開始し、タンクにためた約 7,800 トン分を海水で希釈しながら放出した。 東電は今年度中にあと 1 回の放出を計画している。 東電によると、放出設備の配管に残っていた水を押し出す作業を始め、午後 0 時 1 分に完了したという。 今回の放出作業でトラブルなどはなかったという。 放出期間中に東電や国が周辺海域の海水や魚をサンプリングし、トリチウムなどの濃度を分析した。 いずれも国の放出基準などは下回っているという。 東電の計画によると、今年度は約 3 万 1,200 トンの水を 4 回に分けて海に放出する。 4 回目の作業に向け、2 カ月かけてタンクに貯蔵する処理水の移送作業を進める。 4 回目の放出は、年明け以降になる見通し。 (矢田文、asahi = 11-20-23) 処理水の海洋放出、3 回目が始まる これまで同様の 7,800 トン分 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、東電は 2 日、3 回目の放出を始めたと発表した。 1、2 回目と同じく、タンクにためた水約 7,800 トンを海水で希釈しながら放出する。 順調に進めば 20 日に完了するという。 東電によると、2 日午前 10 時 21 分にポンプを起動させ、処理水を海に流す作業を始めた。 放出前、希釈した後の処理水のトリチウム濃度を東電が測定したところ、原子力規制委員会が認可した計画で定める 1 リットルあたり 1,500 ベクレル(法令基準の 40 分の 1)を下回ったという。 8 月から始まった 1 回目の放出以降、東電や政府、福島県などが福島第一原発周辺の海水や魚を採取し、トリチウムの濃度測定を続けている。 11 月 1 日までに判明した結果に異常は確認されていないという。 また、中国を含む 11 カ国の専門家らで構成する国際原子力機関 (IAEA) の調査団が 10 月下旬に放出開始後初めてとなる現地調査や聞き取り調査をした。 年内にも報告書を公表するという。 (矢田文、asahi = 11-2-23) 福島第一原発で作業員が汚染廃液を浴びる ALPS の配管洗浄で飛散 東京電力は 25 日、福島第一原発の汚染水から大半の放射性物質を除去する「多核種除去設備(ALPS = アルプス)」の配管を洗浄していた 20 - 40 代の男性作業員 5 人が、配管を洗った廃液を防護服の上から浴びたと発表した。 5 人とも全面マスクをしていて、放射性物質の体内への取り込みはなかったが、このうち 4 人に体の汚染を確認した。 除染したが、うち 2 人は股間付近や両腕の表面で原発を出る基準濃度(1 平方センチあたり 4 ベクレル)を下回らなかったため、福島市内の病院へ搬送する。 ただ、原発構内の医療室の医師の診断では、放射線障害による熱傷の可能性は低いと判断されたという。 東電によると、25 日午前 10 時 40 分ごろ、協力企業の作業員 5 人は汚染水が通る配管に硝酸液を流して洗浄していたところ、廃液をタンクに流すためのホースが抜けて、約 100 ミリリットルの廃液が飛び散った。 うち 1 人は全面マスクの汚染があり、ベータ線の被曝線量が 5 ミリシーベルト以上になったことを知らせる線量計のアラームが鳴ったという。 (asahi = 10-25-23) 処理水放出、2 回目が完了 … 海水や魚類のデータに異常なし 東京電力は 23 日、福島第一原子力発電所の処理水について、2 回目の海洋放出を完了した。 1 回目に続き、周辺海域の海水や魚類のデータに異常はみられなかった。 東電は今年度にあと 2 回の放出を計画しており、今後、3 回目の放出時期を決める。 東電の計画では、今年度は貯蔵量の約 2% にあたる約 3 万 1,200 トンを 4 回(各回約 7,800 トン)にわけて放出する。 1 回目は 8 月 24 日 - 9 月 11 日に実施し、2 回目は今月 5 日から放出を始めていた。 23 日午前から、放出設備の配管に一部残っていた処理水を真水で押し出す作業を開始し、正午過ぎに終えたという。 2 回目の放出でも、政府や東電が周辺海域の海水や魚類を採取し、放射性物質トリチウム(三重水素)などの濃度を調べたが、いずれも国の排出基準などを大きく下回った。 国際原子力機関 (IAEA) も 16 日から海水などを採取しており、今後分析を進める。 IAEA の分析には、放出に反対している中国の分析機関も参加している。 (yomiuri = 10-23-23) 海水からトリチウム検出 東電、通常精度で 3 回目 東京電力は 10 日、福島第 1 原発の処理水放出口付近で 9 日に採取した海水から、放射性物質トリチウムが 1 リットル当たり 11 ベクレル検出されたと発表した。 通常の精度で分析し、検出されたのは 3 回目。 世界保健機関 (WHO) の飲料水基準(1 リットル当たり 1 万ベクレル)を大きく下回っていることから、東電は「安全上、問題はない」としている。 東電によると、検出されたのは原発 3 キロ圏に 10 カ所ある採取場所のうち、放出口から最も近い場所の海水。 8 月 31 日と 10 月 7 日の採取分からも、それぞれ 10 ベクレルと 9.4 ベクレルが検出されている。 残りの 9 カ所では検出下限値未満だった。 (kyodo = 10-10-23) 処理水の放出後初、IAEA が 24 日から調査 中国の専門家も参加 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、政府は 6 日、国際原子力機関 (IAEA) の調査団が今月 24 日から 27 日にかけて来日し、放出開始後初の調査を実施すると発表した。 調査団は、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、韓国、マーシャル諸島、ロシア、米国、英国、ベトナム出身の 11 人の専門家や IAEA 職員で構成するという。 東電による処理水の 2 回目の放出は、5 日に始まった。 問題がなく作業が進めば、23 日に放出が完了する。 (福地慶太郎、asahi = 10-6-23) 福島第一原発の処理水 2 回目の放出開始 17 日間かけ放出の計画 福島第一原子力発電所にたまる処理水について、東京電力は、ことし 8 月から行った 1 回目の海への放出に続き、2 回目の放出を、5 日午前 10 時 18 分に始めたと発表しました。 福島第一原発では、トリチウムなどの放射性物質を含む処理水が1000基余りのタンクで保管されていて、東京電力は基準を下回る濃度に薄めたうえで、ことし8月24日から海への放出を始めました。 1 回目の放出は 9 月 11 日に計画どおり完了し、国や東京電力が周辺の海域で行っている海水のモニタリングでは、トリチウムの濃度が最大で 1 リットル当たり 10 ベクレルと、放出の停止を判断する 700 ベクレルを大幅に下回っています。 東京電力は、設備の点検などを行ったうえで、10 月 3 日から 2 回目の放出の準備を始め、大量の海水と混ぜ合わせた処理水を「立て坑」と呼ばれる設備にためたうえで、想定どおり薄められているか確認していました。 その結果、トリチウムの濃度は 1 リットル当たり 63 から 87 ベクレルと、国の基準の 6 万ベクレルや自主的な放出基準の 1500 ベクレルを大きく下回ったということで、東京電力は 5 日午前 10 時 18 分に 2 回目の放出を始めたと発表しました。 2 回目の放出では、1 回目と同様に、タンク 10 基に入っている処理水およそ 7,800 トンを、17 日間かけて連続で放出する計画です。 福島第一原発の処理水は、9 月 28 日時点でタンクの容量の 98% にあたる 133 万 8,771 トンに上っていて、今年度の計画ではこのうちタンク 40 基に入る 3 万 1,200 トンを放出することにしています。 松野官房長官 「モニタリング結果など国内外に情報発信行う」 松野官房長官は午前の記者会見で「引き続きモニタリングの結果など、透明性高く国内外に情報発信を行っていく。 また地元にも寄り添って密に意思疎通を図りながら、安全性の確保や風評対策、なりわい継続支援に取り組んでいく」と述べました。 そのうえで「中国にはさまざまな形で表明された関心に対して、丁寧に説明を重ねるなど日本として真摯に対応してきている。 引き続き、こうした取り組みを重ね、日本産食品の輸入規制の即時撤廃を含め、科学的根拠に基づく対応を求めていきたい。」と述べました。 (asahi = 10-5-23) 処理水放出から 1 カ月、周辺の海水や魚に異常なし 2 回目は月末以降 東京電力福島第一原発で処理水の放出が始まって 24 日で 1 カ月。 東電や国などによる海水や魚のトリチウム濃度測定では、24 日時点で放出を止めるような異常な値は出ていない。 東電は毎日、原発 3 キロ以内で海水を採取。 放水口から約 200 メートルで 8 月 31 日に採った海水が 1 リットルあたり 10 ベクレルだったが、そのほかは検出限界値(同約 10 ベクレル)未満だった。 処理水の放出停止を判断するレベル(同 700 ベクレル)を大きく下回る。 水産庁は、放水口の南北数キロでほぼ毎日、魚を採取。 24 日までの発表では、ヒラメやマダイ、トラフグなど 48 検体を調べたが、いずれも検出限界値(1 キロあたり約 10 ベクレル)を下回ったという。 1 回目の放出は 9 月 11 日に完了し、現在は設備を点検中。 今月末に点検結果を公表した後、2 回目の放出を始める予定。 1 回目と同じく、タンクの約 7,800 トン分を海水で希釈して放出する。 2 回目の放出に向け、希釈前の水に含まれる放射性物質を東電と民間の分析機関、日本原子力研究開発機構がそれぞれ分析。 いずれの結果も、トリチウム以外の放射性セシウムなど 29 種類の放射性物質の濃度が法令基準を下回ったという。 (矢田文、福地慶太郎 = 9-24-23) 福島第 1 原発処理水、初回の放出完了 周辺トリチウム濃度に異常なし 東京電力は 11 日、福島第 1 原発処理水の 1 回目の放出作業が完了したと発表した。 海への放出は 8 月 24 日に始まり、1 回目の放出量は 7,788 トン。 漏洩など設備上のトラブルはなかったという。 今後、3 週間程度かけて放水設備や作業工程などを点検し、10 月中にも 2 回目の放出を始める。 東電によると、10 日午後に 1 回目の放出予定量をタンクから送り出し、11 日午後 0 時 15 分に配管に残った約 16 トンの処理水をろ過水で押し流す作業が終了した。 2 回目の放出準備に向けた点検の結果は 9 月末に公表する。 今年度は計 4 回の放出を計画しており、処理水の放出総量はタンク保管容量の 2.3% にあたる 3 万 1,200 トン。 10 月中にも始まる 2 回目でも約 7,800 トンの放出を予定している。 一方、原発周辺の海水に含まれる放射性物質トリチウム濃度について、 1 回目の放出開始から 1 カ月程度は毎日測定する。 これまでの放出では、計画の排水基準(1 リットルあたり 1,500 ベクレル)を超えるような数値は出ていない。 また、国際原子力機関 (IAEA) も 8 日の声明で、原発 3 キロ以内の複数の場所で採取した海水のトリチウム濃度を独自に分析した結果、いずれも検出限界値を下回ったことを明らかにした。 IAEA は「日本側が示す評価と矛盾はない」としている。 (sankei = 9-11-23) IAEA が福島第一原発周辺で水質分析を実施 分析結果を公表 日本政府が先月 24 日に開始した福島第一原発の処理水の放出をめぐり、IAEA = 国際原子力機関は、放出後初めて実施した福島第一原発周辺での海水の水質分析の結果、トリチウムの濃度が運用の基準値を下回ったと発表しました。 IAEA は、先月 24 日の処理水の放出開始後、初めて、福島第一原発から 3 キロ以内の海水の水質分析を独自に行いました。 IAEA は分析結果を公表し、トリチウムの濃度が、運用の基準値を下回っており、東京電力側と日本政府側が公表している値と一致すると明らかにしました。 IAEA は、今後も「現場での監視と評価を継続する」としていて、モニタリングデータなどの情報提供を続けるということです。 11 日からは、IAEA の定例理事会が開かれる予定で、日本側は、理事会で、処理水の放出について説明する方針です。 (日テレ = 9-11-23) 福島沖の魚、トリチウム検出されず 原発の処理水放出を受けて調査 水産庁は 26 日、福島沖でとれた魚を調べたところ、トリチウムは検出されなかったと発表した。 東京電力福島第一原発の処理水が 24 日午後に海洋放出されたことを受け、25 日早朝に 4 - 5 キロ沖合でとれたヒラメ 1 匹とホウボウ 1 匹を測定した。 今後 1 カ月ほどは毎日測定し、結果を同庁のホームページで公表する。 (加藤裕則、asahi = 8-26-23) ◇ ◇ ◇ 処理水放出した周辺 10 カ所のトリチウム測定 東電「異常ない」 東京電力福島第一原発から放出された処理水について、東電は 25 日、放水口の周辺など 10 カ所の海水のトリチウム濃度を調べた結果を発表した。 いずれの場所も検出できる限界値を下回ったといい、「放出に伴う異常な値は出ていない」と説明している。 東電は、24 日午後 1 時過ぎに処理水の放出を始めた。 その約 2 - 3 3時間後に原発から 3 キロ以内の 10 カ所で、0.5 リットルずつ海水を採取して検査したところ、トリチウム濃度はすべて「検出限界値未満」だったという。 今回の検出限界値は 1 リットルあたり 10 ベクレル程度で、いずれもそれを下回ったことを意味する。 東電の計画では、放出する処理水のトリチウムの濃度は 1 リットルあたり 1,500 ベクレル(国の法令基準の 40 分の 1)未満。 原発から 3 キロ以内で海水の濃度が同 700 ベクレルを超えたら、放出を止めて設備に問題がないかを調べることになっているが、その値も大きく下回った。 東電は今後 1 カ月程度は毎日 10 カ所で海水を採取し、翌日に分析結果を公表する方針。 ただ、台風などで海が荒れている場合は海水を採るための船を出せず、測定できない可能性もあるという。 25 日に記者会見した東電の担当者は「迅速にわかりやすく説明して、懸念などの払拭に努めていきたい」と話した。 東電の計画では、震度 5 弱以上の地震が起きたり、津波注意報や高潮警報などが発令されたりした場合は、放出を停止することになっている。 日本列島に接近中の台風の影響について、「高潮警報が出るなど、放出に影響を及ぼすような自然現象が予想される場合はあらかじめ放出を停止する可能性がある」と説明した。 (福地慶太郎、asahi = 8-25-23) 処理水の海洋放出、24 日にも開始へ 政府が最終調整 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、政府は 24 日にも放出を始める方向で最終調整に入った。 政府関係者が明らかにした。 関係閣僚会議を 11 日朝に開いて正式に決定する。 9 月から福島県沖で底引き網漁が解禁となることを考慮し、8 月中の放出開始に踏み切る。 岸田文雄首相は 21 日、首相官邸で記者団の取材に応じ、「息の長い廃炉プロセスの前提となる不可欠のステップが、今回の処理水の海洋放出だ。」と強調した。 首相は取材に先立ち、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長らと首相官邸で面会した。 放出に反対する漁業関係者に放出計画の安全性や風評対策などについて直接伝え、理解を求めた。 坂本氏は発言の冒頭で「漁業者、国民の理解を得られない処理水の海洋放出に反対だということはいささかも変わらない」と強調。 一方で、放出計画が「国際的な安全基準に合致」と評価した国際原子力機関 (IAEA) の報告書などに触れ、「科学的な安全性への理解は私ども事業者の間でも深まってきた」と述べた。 そのうえで「科学的な安全と社会的な安心は異なる」とし、風評対策などの予算確保を求めた。 首相は「坂本会長のお言葉を重く受け止める。 今後数十年の長期にわたろうとも、政府全体として責任をもって対応させていただく」と応じた。 政府と東電は 2015 年に「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と福島県漁連に文書で伝えている。 坂本氏は面会後、「約束は破られてはいないが、果たされてもいない」と指摘し、「我々の望みは安心して漁業を継続すること。 国にしっかり受け止めてもらいたい。」と述べた。 首相は「国として(放出開始時期を)判断すべき最終的な段階に至っている」として、20 日に福島第一原発を訪れ、汚染水から大半の放射性物質を除去する多核種除去施設 (ALPS) を視察した。 東電幹部らとも面会し、「最大限の緊張感を持ち、長期間を見通して、内外の信頼を裏切らないとの決意と覚悟を持って全力を尽くさなければならない」と要請した。 政府は、IAEA の報告書などをもとに放出計画の妥当性を国内外に説明してきた。 しかし、中国は「核汚染水」と呼んで強く反発し、日本の水産物への放射性物質の検査を厳格化し、鮮魚は輸出が事実上ストップしている。 韓国では尹政権が IAEA の報告書を尊重する考えを示すが、野党は放出計画の見直しを求める。 松野博一官房長官は 15 日、7 月末 - 8 月中旬に開かれた核不拡散条約 (NPT) 再検討会議の準備委員会での議論を踏まえ、「国際社会の理解醸成が進んでいる」との認識を示している。 (笹川翔平、asahi = 8-21-23) 処理水放出、8 月末にも開始の見通し 日米韓首脳会談後に時期決定へ 東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、政府は 18 日の米、韓両国との首脳会談後に放出時期を決める方向で調整に入った。 岸田文雄首相が米国から帰国後に関係閣僚会議を開いて決定する。 政府が「夏ごろ」としてきた海洋放出は、早ければ 8 月末にも始まる見通しだ。 複数の政府関係者が明らかにした。 首相は 18 日に米・ワシントン郊外である日米韓首脳会談に合わせ、米国のバイデン大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と個別に会談する予定。 両首脳に処理水の安全性やその科学的根拠、放出後の対応などを説明して理解を得たうえで、放出時期を最終決定する。 首相は、全国漁業協同組合連合会の関係者らとも面会し、放出について自ら説明する方向で調整している。 首相官邸の幹部らは、時期を決めてから実際に海洋放出するまで、準備作業や周知などで 1 週間以上は必要とみている。 一方、福島県沖では 9 月から底引き網漁が解禁され、漁期に入ってからの放出開始は避けたい考え。 このため、今のところ 8 月末ごろから放出を始める想定をしている。 官邸幹部らは、米国での首脳会談を経て放出時期を決定する理由のひとつに、韓国政府への配慮があるとする。 韓国内では、海洋放出に一定の理解を示す尹政権に批判もある。 会談前に放出時期を決めれば、放出をめぐる会談での尹氏の対応に焦点があたり、来年総選挙を控える尹政権にマイナスと判断したという。 また、海洋放出に強く反対する中国に対し、日米韓で足並みをそろえて対応していることをアピールする狙いもある。 日本政府は中国政府に、日中の専門家による協議を呼びかけているが中国側は拒否。 日本政府は、国際会議の場などで中国側の主張が科学的根拠に基づいていないと強調しており、首脳会談を機に改めて正当性を内外に示したい考え。 処理水の海洋放出をめぐっては、国際原子力機関 (IAEA) が「国際的な安全基準に合致」すると評価した報告書を公表。 首相は「科学的根拠に基づいて国内外に丁寧に説明していく」との立場を取る。 一方、国内への対応では西村康稔経済産業相が東北地方の漁協組合を訪問し、安全性や風評被害への対応について理解を求めている。 海洋放出計画では、大半の放射性物質を除去する多核種除去設備 (ALPS) に汚染水を通した後、海水を混ぜて希釈。 トリチウム濃度が国の基準の 40 分の 1 (1 リットルあたり 1,500 ベクレル)未満になるよう調整し、処理水として放水口から流すことになっている。 (asahi = 8-6-23) 福島原発「処理水」海洋放出計画は「国際的安全基準に合致」 … IAEA が報告書公表 東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出計画について、国際原子力機関 (IAEA) は 4 日、「国際的な安全基準に合致している」として妥当性を認める包括報告書を公表した。 人や環境に与える影響については「無視できるレベル」と評価した。 処理水は、汚染水を多核種除去設備 (ALPS) で浄化処理し、トリチウム(三重水素)以外の放射性物質の大部分を取り除いた水だ。 同原発の貯蔵タンクで保管されているが、来年前半にはタンクが満杯になる見通しで、廃炉作業に支障をきたす。 このため政府は 2021 年 4 月、処理水を海洋放出する方針を決定し、IAEA に放出計画の安全性に関する調査を要請した。 IAEA は、中国や韓国を含む 11 か国の専門家らでつくる調査団を日本に派遣し、現地調査などを進めてきた。 東電の計画では、処理水は放出前に大量の海水で 100 倍以上に薄め、トリチウム濃度を国の排出基準の 40 分の 1 未満にする。 その上で沖合 1km の海底トンネルの先端から放出する。 放出は今夏にも始まり、30 年程度かかる見通しだ。 放出設備の工事は 6 月 26 日に完了した。 原子力規制委員会は今週中にも原子炉等規制法に基づく使用前検査の終了証を交付する予定で、放出に向けた設備上の準備は全て整う。 (yomiuri = 7-4-23) |