老朽化設備で検査不正、日産が 15 万台リコール

日産自動車は 7 日、出荷前に行う完成車の検査で新たな不正が見つかり、国土交通省に対し、13 日に約 15 万台のリコール(回収・無償修理)を届け出ると発表した。 昨年 9 月以降、検査不正が明らかになるのは 4 度目。 一連のリコールの対象は約 130 万台となる。 不正があった主力工場では老朽化した検査設備が使われるなど、品質軽視が否定できない状況も明らかになった。

リコールの対象は、主力の小型車「ノート」や小型車「マーチ」、電気自動車「リーフ」、受託生産するいすゞのトラック「エルフ」など計 11 車種。 追浜工場(神奈川県横須賀市)とオートワークス京都(京都府宇治市)の 2 工場で 2017 年 11 月 7 日 - 18 年 10 月 25 日にかけて製造された車両が対象だ。 (yomiuri = 12-7-18)


日産、新たに不正な検査が発覚 ブレーキなど複数項目

日産自動車の出荷前の完成車検査で新たな不正が見つかったことが 6 日、わかった。 自主的な調査で発覚し、国土交通省と対応を協議している模様だ。 リコール(回収・無償修理)も検討している。 全ての自動車を対象に行う「全数検査」の工程のうち、ブレーキなど複数の項目で不正な検査をしていたという。 月内にも公表する。

日産では昨年 9 月以降、相次いで検査不正が発覚。 今年 9 月 26 日には、出荷前の自動車の抜き取り検査で、排ガスや燃費の検査データを改ざんする不正が見つかったことを受けて、国交省に調査報告書と再発防止策を提出していた。 2 日後の 9 月 28 日にはスバルでブレーキなどの安全性能検査の不正が発覚。 これを受けて、日産で改めて調べたところ、今回の不正が判明したという。 出荷前の自動車や二輪車の検査をめぐっては、スズキやマツダ、ヤマハ発動機でも排ガスや燃費検査データの不正が発覚している。 (asahi = 12-6-18)


日産、排ガス測定値改ざん 国内 5 工場で 1,171 台

日産自動車は 9 日、国内の 5 工場で、新車の出荷前に行う排ガス検査の試験で、測定値を改ざんしていたと発表した。 試験環境が決められたルールから逸脱していたものがあったほか、排気ガスの成分の測定値の一部を書き換えていた。 対象は 1,171 台。 日産は再発防止を急ぐが、イメージダウンによる国内販売への影響は避けられない。

日産自動車は国内 5 工場で実施した新車の排ガス検査試験で、測定値を改ざんしていたと発表した。 日産では 17 年に無資格者が完成検査を行っていた不正が発覚している。 完成検査工程の一環で、出荷前の車の性能を評価するために抜き取り検査を実施する際に不正があった。 排ガス測定で想定したような結果が出ない場合に、都合のいい数値に書き換える不正が行われていたとみられる。

同日に横浜市内の本社で記者会見した日産の山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサーは「(2017 年に発覚した)完成検査問題への再発防止に取り組むなか、こうした事案が起こり、お客様や関係者に深くおわび申し上げる」と述べた。 国内工場のうち栃木工場(栃木県上三川町)、追浜工場(神奈川県横須賀市)、日産車体湘南工場(神奈川県平塚市)、日産車体九州(福岡県苅田町)、オートワークス京都(京都府宇治市)の 5 工場で不正を確認した。 データは 2013 年 4 月からのものを対象としている。

日産は車両の品質について大きな問題が生じるとはしていない。 不正の有無の検証を終えていない「GT-R」を除くすべての車種で、国の保安基準を満たしていることを確認したという。 山内氏は「カタログで公表している燃費の数値に誤りはない」と説明した。 これらの不正行為について 9 日に国土交通省に報告した。 日産では 17 年に無資格者が完成検査を行っていた不正が発覚している。 山内氏は「原因や背景について、徹底的に調査を進めている」と話した。 「調査を受けて適切な再発防止策をとりたい」と説明した。 (nikkei = 7-9-18)



無資格検査問題、制度見直し検討会設置へ 国交相が表明

日産自動車とスバルが無資格者に新車の検査をさせていた問題を受け、石井啓一国土交通相は 21 日の閣議後会見で、「タスクフォースを設置し、検査の確実な実施のために見直すべき点がないか検討を始める」と表明した。 有識者と国交省の担当者で構成し、28 日に初会合を開く。 年度内に結論を出す予定という。

無資格検査問題を受け、日産は 17 日に国交省に調査報告書を提出。 その中に盛り込んだ再発防止策について、石井氏は「進捗(しんちょく)具合については当面、四半期ごとに報告を求めていく」と述べ、監視していく方針を明らかにした。 また、日産への処分について、「行政処分や罰則の適用は、しかるべき事実が認められた場合には厳正に対処する」と語り、刑事罰も含めて検討する考えを示した。 (asahi = 11-21-17)


日産、無資格者の完成検査問題で 30 車種・3 万 8,000 台を追加リコール

日産自動車は 10 月 25 日、無資格者による完成検査が行われていたことに伴い、「ノート」など 3 万 8,650 台のリコールを国土交通省に届け出た。 日産自動車は、国土交通省の 9 月 16 日の立入検査で無資格者による完成検査を行っていたことが発覚。 10 月 6 日に 38 車種、約 116 万台のリコールを届け出た。 しかしその後、検査体制を改善したとしていたが、日産車体湘南工場、日産自動車追浜工場、同栃木工場、日産自動車九州の 4 か所でも継続されていたことが発覚。 日産は国内向け生産を停止し、改めて法令順守への是正を進めており、今回社内調査によって明らかになった 3 万 8,650 台の追加リコールを届け出た。

対象となるのは日産ノート、セレナ、シルフィ、NV350 キャラバン、パラメディック、エルグランド、ジューク、アトラス、NV200 バネット、NV200、GT-R、エクストレイル、スカイライン、シビリアン、ウイングロード、NV150 AD、ティアナ、フーガ、シーマ、キューブ、フェアレディ Z、リーフ、マーチ、OEM 供給のいすゞエルフ、スズキランディ、マツダファミリアバン、三菱デリカバン、デリカ D:3、ランサーカーゴ、ふそうキャンターの 30 車種。 2017 年 2 月 10 日 - 10 月 18 日に製造された 3 万 8,650 台。 全車両、指定整備工場において自動車検査員による点検を行い、安全環境性能法規(保安基準)に関する不具合が認められた場合は是正する。 (Response = 10-25-17)


日産「無資格検査」を誘発した、時代遅れの国交省の認証制度

問題の本質は、実はここにあるのでは

「国内向け」だけが出荷停止の理由

日産自動車の西川廣人社長が 10 月 19 日に記者会見し、9 月に無資格者が車両の最終検査をしていたことが発覚した後も無資格検査が継続して行われていたとして、お詫びした。 日産は 2 週間近く「国内出荷」を停止する。 19 日の記者会見などによると、子会社の日産車体湘南工場では発覚後も無資格者の検査が続き、国内最大の日産九州工場、栃木工場、追浜工場では、国交省に届けていた場所とは違う場所に検査行程を移して最終検査をしていたという。 九州、栃木、追浜の 3 工場については、不祥事発覚後の初期の調査では、違う場所に移していたことに気付かず、後の社内調査で判明したため、19 日に公表した。

道路車両運送法に基づいて国道交通省が定めた「通達」を日産は無視し、それが発覚した後もその通達を破っていたことになる。 現行のルールでは日産の行為は到底許されるものではない。 ただ、日産の肩を持つわけではないが、こうした不祥事がなぜ起こるのか、という本質的な問題を筆者は考えたいと思う。

日産の出荷停止が「国内向け」であることに気付いている方はいるだろうか。 不祥事が発覚した工場では輸出用の自動車も一緒に生産して、一緒に検査しているのに、無資格者が検査していても、輸出は OK なのである。 その理由は単純。 海外では有資格者による最終検査を求めていないからである。 そして、「通達」で定められた有資格者による検査については、有資格者に、どのような技能が求められるかは明確に定義されていない。 資格は国などの公的機関が認めたものでもないし、高度なテクニックを有しているわけでもない。 「能力をもった人を会社が指名する」といった程度である。

だから極論すれば、自動車の運転免許の切り替えの際に、無事故無違反の「ゴールド免許」の人が短時間の安全啓蒙映画を見て更新が済むイメージで、「資格」を与えようと思えば、短時間適当にビデオでも見せて勉強させ、「講習済」のお墨付きを企業が与えれば、それで「有資格者」になってしまうのである。 そんなにお金がかかるわけでもないのに、日産はなぜ、こんな簡単なことをやっていなかったのか不思議でならない。

日産にはコストカットのイメージが強烈に付いているので、経費削減で手抜きしたのではないかと見る読者もいるだろうが、世界の消費者に最終製品として送り出すクルマで、品質管理で手を抜いて不具合を起こせば、訴訟ラッシュでどんなしっぺ返しが来るかくらいは、グローバルで商売している日産ならよく分かっているはずだ。 それなのに、日産では無資格者が検査を続けたのはなぜか。答えは単純である。 無資格者が検査しても、有資格者が検査しても、実態的には何も変わらないからである。

筆者は 20 年以上、自動車産業を取材、観察してきて、多くの自動車工場に訪れている。 自動車工場の写真撮影はアングルなど制限があるが、この最終検査工程だけは、何の制約もなく写真 OK のことが多い。 「儀式」の工程であり、何のノウハウもないといっても過言ではない場所だからだ。

「品質」とは何か? という問い

そもそも日本の自動車メーカーは「自工程完結」などと言って、品質は一つの工程内で完結させ、下流工程に不良品を流して迷惑をかけないとの発想があり、それを徹底している。 この最終検査の段階で、もし不具合が発生したら、工場全体の品質管理が問われるほどの深刻な大問題になる。 だから、最終検査で不具合が見つかることは、ほぼゼロに近い。 企業で不祥事が起こる要因の一つに、法規やルールが実態に即していないため、ついついそれを破ってしまうケースがある。 日産の今回の不祥事は、これに該当する。 ただし、これは「ルール違反」なので、絶対に許されることではない。 無免許でも運転がうまくて事故を起こさないから、運転してもいいでしょ、といった屁理屈と同じ類になってしまうからだ。

今回のような日産の不祥事を起こさないようにするためには、「ルール」を変える必要があるのではないかと筆者は感じる。 日本の自動車産業に関わっている人の中には、そう感じている方もいるのではないか。 ただ、この局面でそれを言うと、「ルール破り」をさも肯定するかのように聞こえてしまうので、それは口が裂けても言えないだろう。

率直に言うが、こうした最終検査のことも含めて国土交通省が主管の「型式認証制度」は一部が時代遅れになりつつある。 各自動車メーカーの工場の最終検査で、統計学などを駆使して不具合がどれくらい出ているのか、あるいは出る確率があるのかを確認し、問題がないのであれば、有資格者による検査制度は廃止にすればいいし、逆に問題があるのならば、有資格者を厳密に定義していくことが求められる。 海外では有資格者による最終検査が求められていないということは、廃止にしても大勢に影響はおそらく影響はないだろう。 (井上久男、現代ビジネス = 10-23-17)

〈編者注〉 「ものづくり」に携わる大半の人々にとって、「自動車製造にだけ、かように時代にそぐわないルールがあったのか」との驚きではなかったのかと思います。 有資格者による最終検査を施して工場を出荷してしまえば、後の責任からは全て免れる、後は運転する側が責任を負わなければいけない、との前時代的な思想に立脚しているのは明白です。 現実に最終段階で不具合が発見されたら、最悪の場合、初めからの作り直しになりますし、誤って不具合のまま出荷されたとしたらこれも、結局は工場に逆戻りです。 更に、欠陥で実被害が生じたら、これも作る側が全責任を持たなければなりません。 かような実情の中で、一体「最終検査」が何を意味するのか、判断に窮してしまいます。


日産、4 千台追加リコールへ 検査員増員が出荷再開の前提

新車の無資格検査問題で日産自動車は 20 日、近く国土交通省へ追加リコール(回収・無償修理)を届け出る準備に入った。 「是正した」と表明した 9 月以降も無資格検査を続けていたことに伴う措置で、販売した約 4 千台が対象になる見通し。 完成車の国内全 6 工場で国内向けの出荷も停止。 再開には再発防止策の履行が前提になるとみられ、約 300 人という完成検査員の増員も焦点となる。

日産の問題について菅義偉官房長官は 20 日の会見で「ユーザーの信頼を著しく損なうものであり、極めて遺憾だ」と非難。 「不安や混乱が広がらないよう対応に万全を尽くし、再発防止を徹底していただきたい」と注文を付けた。 日産は出荷停止に伴い、国内販売向け車両の生産もストップさせた。 2 週間程度で再開したい考えだが、問題発覚後、在庫車の販売を一時停止し、その後、検査態勢が改善したとして再開した経緯もある。 このため、西川広人社長は 19 日の会見で「非常に慎重にいきたい」と強調した。

再発防止策としては、セキュリティーゲートで完成検査のラインへの立ち入りを制限し、資格のある検査員しか入れないように管理を厳重にする。 指紋認証の活用も検討。 管理が徹底されているか外部機関に監査してもらう方針だ。 大手証券の試算では、2 週間の生産停止により、販売で 2 万台、営業利益で 100 億円の減少要因になるという。 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ (S & P) は 20 日のリポートで、「格付けへの影響は限定的」としながらも、「出荷再開の遅れや、ブランド毀損による大幅な販売台数減」に懸念を示した。

日産の完成検査員の資格者は 500 - 600 人程度で、うち工場で従事するのは約 300 人。 SUBARU (スバル)の資格者は約 250 人、マツダは約 600 人としているが、生産規模に対して日産は少ないとの見方もある。 従事者の少なさが問題の一因となった可能性は否めない。 検査員の資格の認定基準は自動車各社が独自に定めているが、日産幹部は「他社と比べて資格を取得するまでが大変なルール。 それが人手不足などで維持できなくなっていた。」と明かしており、基準の見直しも課題になりそうだ。 (高橋寛次、sankei = 10-21-17)


日産 6 工場で出荷停止、影響拡大 部品メーカー困惑

無資格検査問題への対策を再徹底

日産自動車は 20 日、無資格検査問題への対策を再徹底するため、国内 6 カ所の完成車工場で出荷を停止した。 販売店は顧客への謝罪に追われ、部品メーカーは生産調整の検討を強いられそうで、問題の影響が各方面に広がっている。 「ニュースでご覧になったと思いますが、ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」 東京都内のある販売店では、店員が来店する客一人一人に頭を下げていた。 カウンターでは女性店員がひっきりなしに電話をかけ続け、顧客への状況説明に追われた。

店内の目立つ場所には 2 日に発売されたばかりの旗艦車種、新型「リーフ」が展示されていた。 出荷停止を受けて納車時期が遅れる恐れもあるが、店員は「詳しいことはまだ何も分かりません」と困惑した表情。 「新型車は出ばなをくじかれるとその後の挽回が極端に難しくなる(自動車アナリスト)」とされ、今後の販売への影響が懸念される。 日産は 19 日、9 月中旬に国の立ち入り調査で問題が発覚した後も神奈川、栃木、福岡の 3 県にある 4 工場で無資格従業員による検査が続いていたと発表した。 都内の別の販売店の店員は、購入キャンセルなどの影響は現時点でないとしながらも「まさか 2 度目があるとは。 10 月末に再発防止策が発表されて、11 月には再出発できると思っていたのに。」と肩を落とした。

日産によると、出荷停止は検査体制の見直しに万全を期すために実施される。 検査工程を明確に区分けし、検査員の入退場を厳しく管理するための設備改修なども必要となることから、2 週間程度かかる見通し。 その間は工場出荷前の最終工程である完成車検査も停止するため「生産そのものが止まることになる。(日産)」 対象は国内で販売する車で、輸出車両は通常通り生産・出荷しているというが、国内向けの比率が高い追浜工場(神奈川県横須賀市)などでは大幅な稼働率低下は避けられない。

駆動系部品を扱う神奈川県のある部品メーカーは「日産から工場の稼働状況や出荷再開のメドについての十分な説明がなく、対応がとれない」と困り顔。 日産にとって、対策の不徹底は二度と許されないだけに「多少時間をかけても慎重に進める(西川広人社長)」方針だが、取引先への丁寧な説明も求められそうだ。 静岡県の板金メーカーは「停止が 2 週間を超えて長引くようなら、日産向けの生産を一時ストップさせることも考えざるを得ない」と話した。 (安藤大介、古屋敷尚子、和田憲二、mainichi = 10-20-17)


日産が 116 万台リコール 38 車種、無資格検査問題で

日産自動車が無資格の従業員に新車の検査をさせていた問題で、同社は 6 日、38 車種計約 116 万台(2014 年 1 月 - 17 年 9 月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。 38 車種には、同社工場で組み立てている他社ブランドの車も含まれており、いすゞ、スズキ、マツダ、三菱が対象。 (asahi = 10-6-17)

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日産、121 万台リコール 西川社長「費用 250 億円以上」

日産自動車は 2 日、無資格の従業員が国内 6 工場で検査工程に携わっていた問題について記者会見を開いた。 西川広人社長は「心からおわびしたい」と陳謝し、検査体制に不備を抱えたまま納車した車両については週内に国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出る方針を示した。 対象は約 121 万台で、費用は 250 億円以上になる見通しだ。

新車が公道を走れるようにするための「完成検査」に資格を持たない従業員が携わっていた問題は、国交省による 9 月 18 日以降の立ち入り調査で発覚した。 西川社長は「完成検査というのは国から委託され進めているプロセス」と説明。 無資格の従業員が携わっていたことについて「ものづくりの世界ではあってはならないことだ」と話した。 追浜工場(神奈川県横須賀市)など国内に 6 つある日産の完成車生産拠点の全てで同じ状況が確認されており、日産は 9 月 29 日に再検査が必要な在庫車について顧客への引き渡しを停止した。 対象車については日産系列の販売店で完成検査相当の点検を終え次第、3 日から納車に向けた登録手続きを再開する。

日産はすでに顧客の手に渡った車両についても、販売店での検査のやり直しが必要と判断した場合はリコールを届け出る方針だ。 納車後、1 回目の車検を受けていない 2014 年 10 月から 17 年 9 月に生産した車両約 121 万台が対象となる見込み。 リコール費用について西川社長は「250 億円以上になることを覚悟している」と話した。 日産は無資格の従業員による完成検査が見過ごされていた原因や、いつごろから行われていたのかについてなお調査中としている。 西川社長は「今後、1 カ月かけて原因やその背景にある要因、従業員の意識を含めて徹底的に検証したうえで対策を立てたい」と話した。

2 日の東京株式市場で日産株は寄りつきからまとまった売り注文に押され、一時前週末比で 5% 安まで急落した。 終値は 3% 安の 1,084 円 50 銭まで戻した。 不適切検査問題の発覚前から、日産株への投資家の評価は厳しい。 17 年 4 - 6 月期決算の発表後、ここ 1 カ月半の騰落率ではトヨタ自動車(9% 高)とホンダ(11% 高)、スズキ(7% 高)に比べ、日産自は 1% 安と出遅れている。 日産の稼ぎ頭の北米市場で成長が頭打ちし、競争激化による販売奨励金(インセンティブ)の増加などで収益力が低下していることが下げ材料となっている。

2 日は日産が看板商品と位置づける電気自動車 (EV) 「リーフ」の発売日だった。 上向き始めた国内販売の切り札として、販売現場の士気も高まっていた矢先だけに、販売会社からは「水を差された」との声が出ていた。 海外では安全性を審査する制度が異なるため、日産は輸出向けの車両や海外生産車については「全く問題ない」としている。 国交省の指摘を受け国内各工場の検査体制を是正した 9 月下旬以降の生産車については、通常通り顧客への引き渡しを続ける方針だ。

日産自動車の検査不備問題の発覚を受け、国土交通省は 2 日までに自動車メーカーに対し不正がないか調査を指示した。 トヨタ自動車は、社内資格を持つ担当者が検査しているか定期的に監査しており「不正な検査はしていない(同社)」という。 国交省の指示を受けて改めて全工場の調査を始めており、結果をまとめ国交省に報告する。 ホンダは「資格者が検査しており、各工場の検査体制に問題はない」という。 過去に遡り適正に検査していたか調査している。

SUBARU (スバル)も調査に着手。 マツダは対応も含め「確認中」といい、まず調査の手順などを検討する。スズキは検査態勢の確認を進める。 16 年に燃費不正問題が発覚し、実質的に日産の傘下入りした三菱自動車も調査に着手した。 (nikkei = 10-2-17)


日産、大規模リコールも 国内全 6 工場で不適切検査

日産自動車の国内 6 工場で発覚したずさんな検査体制は法令順守意識の低さを示し、ブランドイメージに打撃となりそうだ。 改善できなければ仏ルノーと企業連合で進める世界市場での拡大戦略に響きかねない。 今後、販売済みの車両の大規模リコール(回収・無償修理)に発展すれば業績に影響する可能性もある。 日産による記者会見から一夜明けた 30 日、全国に約 2,100 ある日産系列の販売店に混乱が広がった。 首都圏のある販売会社では「報道より詳しい情報は得られていない」と言い、「再検査が必要な車両の番号や再検査の方法などについて、日産からの情報提供を待っている」という状況だ。

納車待ちの顧客から「いつ車両が手元に届くのか」といった声が寄せられているが、30 日の段階で回答できていない。 日産は既に検査体制を是正して国内各工場で生産を続けており、この販売会社は新型の電気自動車 (EV) 「リーフ」を含む受注活動を続けている。 資格を持たない従業員が新車の出荷前に必要な完成検査に携わっていた問題は、国土交通省による 9 月 18 日以降の立ち入り調査で発覚した。 追浜工場(神奈川県横須賀市)など国内 6 つの完成車組み立て工場の全てで同様の不備が確認された。

大量生産車の安全性などを審査する型式指定制度では本来 1 台ずつ国が行う検査を、工場から出荷する直前の完成検査を通じて車メーカーが肩代わりしている。 国の信頼を裏切ったという意味で三菱自動車が燃費データを水増しして届け出た問題に似ており、石井啓一国土交通相は「制度の根幹を揺るがす行為だ」と日産を厳しく批判するコメントを出した。 国交省は国内のほかの車メーカーにも検査に不備がないか調査を指示した。

日産は無資格の従業員による完成検査が見過ごされた理由や始まった時期について「調査中」としている。 検査責任者は法令を認識しながら、現場では有資格者を示すバッジをつけない従業員が交じって完成検査を行っていたことが分かっており、管理の不徹底が背景にあるとの見方もある。 日産は既に顧客に届いた車両についても完成検査のやり直しが必要と判断した場合は国交省にリコールを届け出る方針。 対象は最大で 100 万台規模になる恐れがあり、かかるコストは見通せない。 ただ海外工場に関しては安全性を審査する制度が異なるため「全く問題はない」としている。

日産はルノーや三菱自と合わせた世界販売が 2022 年に 16 年比 4 割増の 1,400 万台になると予測する。 今回の問題はグローバルマザー工場と位置づける追浜工場でも見つかっており拡大戦略が揺らぐ可能性もある。 国内での日産の販売は 16 年 11 月に部分改良して発売した小型車「ノート」のヒットなどで今年 8 月まで 10 カ月連続で前年実績を上回った。 収益源である米市場の勢いに陰りが見え、日本市場の重要性は増している。 業績への打撃を最小限に抑えるには原因究明と情報開示を急ぐ必要がある。 (nikkei = 9-30-17)