みずほ銀、9 日からシステム移行 「世界最大級のプロジェクト」 ATM やネットバンクに臨時休止日

みずほ銀行とみずほ信託銀行は、入出金や口座管理などを担う勘定系システムを統合した次期システムへの移行作業を 9 日から始める。 4 千億円超の資金を投じて進めてきた世界最大級のプロジェクトが、最後のヤマ場を迎える。 みずほ銀の全国 466 店舗の口座データなどを 9 回に分けて移行し、平成 31 年度上期に完了させる。 これに伴い、来年 2 月上旬までの週末や連休に計 28 日間、みずほ銀の ATM (現金自動預払機)やインターネットバンキングなどに臨時休止日を設ける。 31 年度上期にも数日間休止する。 みずほ銀の個人口座利用者数は約 2,400 万人おり、影響は大きい。

当初は 28 年春の統合を目指したが、慎重に開発とテストを進めた結果、2 度の延期を余儀なくされた。 当初見込みの 3 千億円台前半から大きく膨らんだ開発費は、31 年度から 5 - 10 年かけて償却する予定。 (sankei = 6-1-18)

みずほ銀行がシステムを移行する理由や影響を Q & A 形式でまとめた。

Q : 移行の理由は

A : みずほ銀は平成 14 年 4 月の旧 3 行の合併初日と、23 年 3 月の東日本大震災の直後に大規模なシステム障害を起こした。 統合後も旧行時代のシステムを併存させ、部分的な見直しを続けてきた結果、システムの複雑化が進んでしまったのが原因だ。 次期システムに一本化すれば、こうした問題が解消される。

Q : 移行の方法は

A : 現行のシステムから預金などのデータを取り出し、次期システムに適合する形式に変換して転送する作業を行う。 全店舗で一斉に行うとトラブルが発生するリスクが懸念されるため、グループに分けて約 1 年かけて段階的に切り替える。

Q : 顧客への影響は

A : 移行作業中は ATM やネットバンクなどシステムを経由するサービスが使えなくなる。 休止期間は土日や連休に設定したが、デビットカードや競馬のネット投票への入金といった幅広いサービスも使えないので注意が必要だ。

Q : 移行中にトラブルが生じたらどうなる

A : 3 度目の大規模障害は致命傷になるため、リハーサルなどを積み重ねてきた。 不測の事態が発生したら移行作業を一旦中断して作業前に戻す仕組みも取り入れた。

Q : 移行の効果は

A : システム関連の経費を今後 10 年で 1 割、新商品の開発費も 3 割減らすことができる。 一方、全国銀行協会が 10 月に稼働する他行への振り込みを 24 時間 365 日可能とする決済システムへの当初の参加を見送るなど弊害もある。



みずほ銀、システム障害対策不備 1 カ月 虚偽説明指示か

3 月にシステム障害を起こしたみずほ銀行が、障害発生から 1 カ月近くも再発防止策を全店に徹底していなかったことがわかった。 一方、顧客には「対策を徹底している」と、実態と違う説明をするよう全店に指示していた。 金融庁はみずほ銀に立ち入り検査をしており、これらについても調査に乗り出すとみられる。 みずほ銀は西堀利(さとる)頭取が引責辞任する方向だが、経営陣の責任がより厳しく問われる可能性もある。

障害は 3 月 15 日に起きた。 116 万件(計約 8,300 億円)を超える現金振り込みが滞り、震災から約 1 週間後の 3 連休には全国の現金自動出入機 (ATM) が止まった。 原因は 14 日に東日本大震災の義援金が支店の口座に集中したためだ。 義援金用の口座を作って大量振り込みに備えなければいけないのに、これをせず、システムがダウンした。

幹部によると、本部が、義援金のような大量振り込みを受け付けるルールを行内のイントラネットを通じて全店に徹底したのは 4 月 11 日。 「大量振り込みが見込まれる場合は事前に協議書を作り、本部に相談する」との「通達」を出し、協議書の書式をつけた。

その前に行内ネットに「義援金を受ける時は特別な口座を作る」という「速報」を流したが、速報は約 1 週間で消える。 大手銀行では一般的にルールの新設や変更は通達で徹底することになっている。 行内はシステム復旧などで混乱し、「速報までしか手が回らず、徹底されなかったのだろう(みずほ銀関係者)」という。 ただ、大量振り込みは義援金だけとは限らず、再び障害を起こす恐れもあった。

一方、本部は 4 月 4 日に「対顧客説明骨子」を行内ネットで流し、取引先企業などから「大量振り込みへの対応は十分か」と聞かれた場合、「運営・ルールは全店に徹底している」と答えるよう全店に指示した。 同日、金融庁が検査に入っており、ある支店長は「きちんと対応していると示すためだろう。 虚偽説明の指導と受け止めた。」という。

みずほ銀広報室は朝日新聞の取材に対し、「(行内に設けた)第三者委員会の調査結果が出るまでコメントできない」としている。 (織田一、asahi = 5-10-11)


みずほ FG、システム統合前倒し検討 組織一体化も加速

みずほフィナンシャルグループ (FG) は、傘下の「みずほ銀行」と「みずほコーポレート銀行」の基幹システムの統合を前倒しする検討に入った。 システムを改善し、組織の一体化も加速する。 従来の統合計画は昨年 5 月に発表。 預金や決済、融資などのシステムを 2012 年度以降、順次一本化していくとしていた。 統合を終える時期は明示していないが、今回、預金や決済のシステムの前倒しを検討している。

今年 3 月に起こしたシステム障害では、両行のシステムや組織が複雑なことが混乱に拍車をかけた一因とみられる。 金融庁も問題視しており、立ち入り検査の結果次第では、組織の見直しを求める可能性がある。 (asahi = 4-29-11)


みずほ銀のシステム障害、義援金口座の設定漏れが原因

みずほ銀行が 3 月に起こしたシステム障害は、東日本大震災の義援金を受けつける準備を怠ったことが原因の一つだったことがわかった。 経営管理体制の甘さが問われそうだ。 28 日まとめた行内調査結果で判明した。 みずほ銀は、義援金のように多くの人が大量に振り込む可能性がある口座は原則、通常の口座とは別扱いにしている。 1 口座に振り込み依頼が殺到すると、システムへの負荷が高まり、ダウンしてしまうからだ。

しかし、フジテレビが系列局とともに 3 月 13 日から募集し始めた義援金の振込先になった東京中央支店の口座を、通常の口座と同じ扱いにしたまま別扱いに変えなかった。 このため、振り込み依頼が殺到してシステムが耐えきれなくなり、15 日に止まった。 今回のような形でシステムが止まることを想定した危機管理マニュアルも整えていなかったため、復旧作業が混乱。 現金自動出入機 (ATM) や外貨取引も止まり、被害を広げた。

みずほ銀は行内調査結果を 28 日にまとめ、金融庁に報告した。 当面の再発防止策として、不備があった危機管理マニュアルを改善することも盛り込んだ。 金融庁はみずほ銀に立ち入り検査に入っており、行内調査結果と合わせ、障害の原因を特定する。 その上で業務改善命令などの行政処分を出す方向だ。親会社のみずほフィナンシャルグループ (FG) にも立ち入り検査に入っており、グループ全体の管理体制なども調べている。

みずほ銀は行内調査結果を行内の第三者委員会に報告し、最終的な再発防止策を練る。 そのうえで、西堀利(さとる)頭取が引責辞任する方針を固めている。 自見庄三郎金融相も 28 日午前の閣議後の記者会見で、「人事権などを持つみずほ FG は、株主権を行使する義務や責任もある」と述べた。

システム障害は震災直後の 3 月 15 日に起き、給与振り込みなど約 116 万件(計約 8,300 億円)を超える入金が滞ったほか、ATM も数日間止まった。 (大日向寛文、asahi = 4-29-11)


みずほ、6 億円未回収 ATM 停止中、残高以上に支払い

みずほ銀行が、システム障害で現金自動出入機 (ATM) を止めた 4 日間、窓口で臨時に預金の引き出しに応じた際、口座の残高よりも多い額を請求されて支払った例が相次ぎ、計 6 億円強が回収できずにいることが 6 日分かった。 みずほ銀は 3 月 18 - 21 日、すべての ATM をほぼ止めた。 代わりに、全国の本支店と出張所を開け、窓口で 1 人 10 万円まで払い出す臨時の対応をとった。 4 日間で約 23 万件、計約 196 億円を支払った。

その際、みずほ銀はオンラインシステムが止まっていたため、払い出しを請求した人の預金口座の残高が確認できなかった。 このため、残高不足なのに請求通り満額支払ってしまう事態が起きた。 みずほ銀はシステム復旧後、残高不足だったことを確認。 足りない分は、口座に新たに入金されれば、すぐに引き落としてきた。 それでも 6 日時点で 6 億円強が回収できていない。

みずほ銀は当初から、残高を超えて払い出しに応じてしまう可能性があることを認識していた。 だが、東日本大震災の影響で現金が必要な人が多い時期に ATM をすべて止める事態となったため、現金引き出しに応じることを優先させた。 未回収の 6 億円強の中には、同じ人物が複数の支店を回る、明らかな「不正」とみられる引き出しもあった。 みずほ銀は、不足分を入金するよう預金者に電話でお願いしているが、それでも入金が無いときは法的措置も辞さない構えだ。 (asahi = 4-7-11)


みずほ銀、数万件入金されず 振り込み手続きミスか

みずほ銀行が依頼通りに現金を振り込めていない取引が、22 日夜の時点で数万件にのぼっていたことが 23 日、明らかになった。 先週からのシステム障害で滞った振り込みはすべて 22 日中に処理を終えたと説明していたが、実際には顧客の口座に入金されていなかった。

みずほ銀によると、22 日夜から 23 日にかけて、顧客の口座に入金できていたかどうかの確認作業を進めている。 広報担当者は 23 日朝、未入金があったかどうかも含めて「現在調査中で、事実関係はまだ分からない」としている。 何らかの手続きミスで、振り込みが滞った可能性がある。 未入金だと確認できた取引があれば、すぐに振り込み手続きを進める方針だ。

みずほ銀は 22 日朝、先週末 18 日までに滞った現金振り込み約 116 万件(計約 8,300 億円)の処理をすべて終えた、と説明していた。 だがその後、多くの顧客から「現金が口座に入っていない」との苦情が寄せられていた。

一方、みずほ銀は 23 日午前 7 時から、無人店舗の現金自動出入機 (ATM) を順次稼働させ、預金の払い出しや預け入れ、現金振り込みに応じ始めた。 17 日以来 6 日ぶりになる。 提携先のコンビニエンスストアやみずほ銀の店舗にある ATM は、前日から稼働を始めている。 本支店と出張所の店頭窓口も 23 日朝から通常通り営業している。

22 日は正午から午後 3 時までしかできなかったインターネットバンキングでの振り込みも、23 日は終日できるようにする予定。 外貨取引も 23 日は法人向けの一部を除いて再開。 大半の業務は、通常通りの営業に戻った。 だが、滞っている振り込みの処理に手間取れば、システムの完全復旧はさらに遅れる可能性もある。 (asahi = 3-23-11)


みずほ銀行、大規模障害を招いた「夜間バッチ処理」

19 - 21 日の 3 連休にすべての ATM が停止する事態に至ったみずほ銀行のシステム障害。 発端は 15 日未明に起きた「バッチ処理」のトラブルだった。 一瞬も止まることを許されない高い信頼性を求められる銀行システムに何が起きたのか。

銀行は窓口業務や ATM、インターネットバンキングなどで発生する金銭取引を「勘定系システム」と呼ばれる巨大システムで処理している。 みずほ銀行は口座利用客だけで約 2,500 万人を抱え、日々の入出金や送金、振り込み、記帳といった顧客の依頼のほとんどをオンラインで処理している。

給与振り込みは夜間処理

こうした取引は日中のコンピューター処理で完了するが、それ以外にも給与振り込みや企業間取引といった件数の多い業務が存在する。 これらは日中のシステム運用が終了した夜間にまとめて勘定系システムで処理している。 それがバッチ処理だ。

バッチ処理とは、大量のデータを一定期間ためておき、まとめてコンピューターで処理する操作を意味する。 日本の金融機関は、日中は勘定系システムをオンライン処理に使い、夜間は給与振り込みや企業間取引などのバッチ処理に振り分けている。 これは限られたシステムを有効活用するために、時間を区切って使い分ける考え方に基づいている。

夜間のバッチ処理では、その日に扱うべき取引データをチェックし、所定のフォーマットに整えたうえで、自行や他行の口座宛てに送金処理して取引を完了させる。 バッチ処理に使える時間は深夜から翌早朝までに限られる。 日中用のオンラインシステムを立ち上げるには 2 - 3 時間を要し、遅れは許されない。 「給与振り込みなどのデータは一定期間に集中するため、日程に合わせてシステムの処理能力を確保し、予定時間までにバッチ処理が終了するよう準備する(システム技術者)」という。

人為ミスの可能性も

しかし、みずほ銀行は 15 日未明、バッチ処理が予定時間までに終了しなかった。 原因について同行は「東京都内の特定支店の特定口座への振り込みが想定以上の件数に上った」と説明しており、その段階でシステムが動かなくなった可能性がある。 18 日夜の会見で西堀利頭取は「一部の口座では、データ容量の上限設定が適切な数値になっていなかった」と人為ミスの可能性に言及している。

いずれにせよ、14 日から 15 日にかけて終了させるべきバッチ処理は朝 5 時になっても終わらず、約 38 万件の処理が翌日に積み残された。 バッチ処理が長引いたせいでオンラインシステムの起動が遅れ、15 日と 16 日に ATM が一部利用できなくなり、さらに両日の夜間バッチ処理も計 12 万件を積み残すという悪循環に陥った。

この間、みずほ銀行はシステム上のつじつまを合わせながらオンライン処理を運用したが、通常にはない処理負荷に加え ATM などの利用集中もあり、17 日にはシステムがダウンした。

このトラブルを解消するには、15 日から積み残されたバッチ処理をいち早く片付け、一度崩れたバッチ処理とオンライン処理のバランスを取り戻すしかない。 3 連休の 19 - 21 日に ATM とインターネットバンキングを休止するのは、勘定系システムの能力をすべてバッチ処理に振り向けるためだ。 みずほ銀行はシステムのソフト、ハードを増強し、処理能力を高めたとしている。

ただ、西堀頭取は残るバッチ処理について、「本来、処理するはずの日付とは違う日にやる分、(システム処理が)煩雑になる」との懸念も明らかにしている。 3 日間で予定通りバッチ処理が完了するかは予断を許さない。 みずほ銀行は 19 日から 21 日まで毎日経過を説明し、21 日夕方には頭取が 3 連休の進捗を説明する予定としている。 (松本敏明、nikkei = 3-19-11)


みずほ銀 3 日連続 ATM 停止 「原因、震災とは関係ない」

東北関東大震災の被害の拡大や福島原発の事故で人々の不安が続くなか、みずほ銀行の ATM が 2011 年 3 月 15 - 17 日の 3 日連続で停止した。 システム障害はいずれも朝方に起こり、その日のうちに復旧しているものの、外貨預金の取り扱いができず、振り込み業務は処理が遅れている。

3月 17 日は 10 時 35 分にいったん復旧。 午後に西堀利頭取が緊急記者会見を開いて謝罪したが、17 時 50 分以降から再びオンラインが停止。 ATM ばかりか、インターネットバンキングも使えなくなっている。

原因は震災義援金の集中か?

システム障害の経緯は、3 月 15 日に個人や法人から依頼された約 38 万件、約 4,900 億円分の振り込みが未処理になったのがきっかけ。 夜間に処理を進めたが終わらず、16 日も全国 440 か店で降り込みや為替の受け付けなどの窓口業務が停止。 同日分の約 6 万件、約 800 億円の振り込みが未処理になった。

同行によると、システム障害は「震災とは関係ない」という。 15 - 16 日に「積み残し」になっていた振り込み処理が 17 日朝までに終わらず、3 日連続でトラブルに見舞われた。 銀行は夜間に翌日分の振り込みや口座振替などの処理を進めている。 18 日朝も ATM が稼働しない可能性もあるが、同行は「3 月 19 - 21 日の 3 連休中には完全復旧させる」と話している。

一方、記者会見で西堀頭取は原因について、「震災後に都内の複数の支店で多くの取引が集中したため、一時的にシステムの処理量が想定容量をオーバーしたため」と説明。 取引内容については「引き続き調査中」だが、東北関東大震災の義援金の振り込みが集中したことで発生したとの可能性が指摘されている。

17日夜にはオンライン業務すべて停止

みずほ銀行の ATM は 3 月 17 日 19 時現在、停止している。 それまでは、外貨預金の受け付け以外は、ATM での預金の入出金や残高照会、振り込み(予約)業務も稼働。 日中は窓口での振り込み業務も受け付けていたが、「処理に時間がかかる」としていた。 17 日昼過ぎに、同行はホームページ上でもお詫びの掲載とともに、ATM とインターネットバンキングが利用可能であることを知らせていたが、「オンライン停止しているので、すべての業務が止まっています」という。

みずほ銀行といえば、02 年 4 月 1 日のみずほ発足時に起こった大規模システム障害の「前科」もある。 震災直後であり、また原発事故や東京電力の計画停電、政府の節電対策への呼びかけなどで利用できる銀行 ATM が減っているだけに、同行の利用者のみならず、批判の声が高まりそうだ。 (J-CAST 3-17-11)