知床沖観光船事故 沈没した「KAZU I」の船底に 3 か所の穴 24 日の落下前の調査で判明

北海道・知床半島沖で沈没した観光船「KAZU I (カズワン)」の引き揚げ作業が進む中、これまでの水中カメラや潜水士による調査で、左側の船底に 3 か所の穴が開いていることが関係者への取材で新たにわかりました。 海上保安庁などは今後、沈没との関連を調べる方針です。 「KAZU I」は、24 日午前、作業船がえい航していたところ、深さ 182 メートルの海底に落下するトラブルに見舞われましたが、3 か所の穴は、えい航される前の調査で判明していたということです。

地元で他の観光船を運航する業者や、「KAZU I」の運航会社の元従業員からは、今年 3 月の時点で、船底に穴が開いていたと指摘する声が上がっていました。 海底に落下した「KAZU I」については、海上保安庁は「原形はとどめている」と説明していて、25 日は、午前 8 時半すぎから無人潜水機が、これまでより丈夫なベルトをかけ直す作業を行いました。 26 日は、作業船が「KAZU I」を海面近くまでつり上げた後、水深の浅い海域に移動し、船上に引き揚げて、27 日、網走港に入る予定です。 (HBC 北海道放送 = 5-25-22)


沈没観光船、えい航中落下 水深 182 メートル、再び海底に - 回収へ調整・知床事故

北海道・知床半島沖で 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が沈没した事故で、第 1 管区海上保安本部(小樽市)は 24 日、えい航中のカズワンが水深 182 メートルの海底に落下したことを明らかにした。 船底を下にした状態で、原形をとどめているという。 同本部によると、海上保安庁と契約した専門業者から午前 10 時 20 分、「カズワンを海底に落とした」と連絡があった。 同 8 時 - 10 時の間に、海中につるされていた船体が、何らかの理由で落下したとみられる。

無人潜水機が同 11 時 42 分、ウトロ漁港から西 11 キロの海底に沈んだカズワンを確認した。 同本部などは今後、深い海に潜る特殊技術「飽和潜水」を用い、再び船体をつり上げて回収する方針で、業者と調整している。 カズワンは 24 日にも海面上に引き揚げられる予定だった。 今回、事故時よりもさらに深い海底に沈んでおり、損傷状況によっては、事故原因の解明に影響を及ぼす可能性もある。

同本部などによると、高い水圧に体を適応させた潜水士らが 23 日、引き揚げに向けた準備作業を実施。 水深約 120 メートルの海底に沈む船体をワイヤを使って水面下 10 - 20 メートルまでつり上げ、作業台船に固定させた。 作業台船はその後、斜里町沖の浅い海域に向け、1 - 2 ノット(時速約 1.85 - 3.7 キロ)のゆっくりとした速度で進んでいた。 24 日午後に斜里町沖に到着後、数時間かけ作業台船の甲板上に引き揚げる予定だった。 (asahi = 5-24-22)


知床事故の運航会社、許可取り消しへ 法令違反複数確認 - 来月中旬にも処分・国交省

北海道・知床半島沖で 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が沈没した事故で、斉藤鉄夫国土交通相は 24 日、事故を起こした運航会社「知床遊覧船」の事業許可を取り消す方針を明らかにした。 海上運送法上、最も重い行政処分に当たり、事故を受けての許可取り消しは初めてとなる。 国交省は同日、処分に必要な聴聞を実施することを桂田精一社長 (58) に通知。 聴聞は 6 月 14 日に行われ、正式な処分は同月中旬となる見通し。

同省は、事故翌日から実施している特別監査の結果も公表した。 海上運送法違反が複数確認された上、昨年も事故を起こし特別監査を受けたのに、安全管理体制の改善が見られなかったと指摘した。 閣議後の記者会見で斉藤国交相は「このまま事業を継続させると再び事故を起こす可能性が高いため、許可取り消しが適当だ」と説明した。 海上運送法は、事業者に対し「安全管理規定」とそれに基づく「運航基準」を定め、順守することを義務付けている。 今回の特別監査で、同法違反 3 件、規定違反 17 件が確認された。

桂田社長は運航管理者に選任される際、同法が定める「運航管理の実務経験が 3 年以上」の要件を満たすと申告していた。 しかし、実際は実務経験はなかった。 桂田社長本人が聞き取りに対し、虚偽申告を認めたという。 また、運航管理者は航行中事務所にいて船長と定期的な連絡をするべきだったのに、事故当日は不在だった。 代行となる「運航管理補助者」が豊田徳幸船長 (54) だけだったことも特別監査で判明した。 (jiji = 5-24-22)


カズワンの引き揚げ作業再開 事故 1 カ月、沈没海域へ花束手向け

北海道・知床半島沖で乗客・乗員計 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が沈没した事故で 23 日、海底に沈んでいる船体の引き揚げに向けた作業が再開された。 海上保安庁によると、この日午後、水深 10 - 20 メートルまで船体をつり上げたうえで、現場海域を離れる予定という。

海保が依頼した民間の潜水士は 23 日朝から、「飽和潜水」によって水深約 120 メートルの海底まで潜り、つり上げ用のベルトを船体に取り付ける作業を始めた。 潜水士が台船上に戻った後、船体が壊れないよう気をつけながら、台船の巻き上げ機で水深 10 - 20 メートルまでつり上げる。 当初はそのまま網走沖の水深の浅い地点に移動させる予定だったが、強風が見込まれるため、手前の斜里沖に向かう予定。 24 日にも台船上に船体を引き揚げるという。

事故発生から 1 カ月となった23日は、カズワンが拠点としてきた斜里町のウトロ漁港から、小型観光船2隻がカズワンの乗客の関係者とみられる人たちを乗せて現場海域に向かった。乗船者によると、沈没地点の近くまで行き、海に花束を手向けて黙祷したという。 地元の小型観光船業者は今回の事故を受けて営業を自粛し、行方不明者の捜索に加わってきた。

斜里町長も献花 「1 カ月は区切りでない」

北海道斜里町の知床半島沖で乗客・乗員計 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が沈没した事故は 23 日、発生から 1 カ月を迎えた。 一時、遺体安置所となり、現在は献花台が置かれる斜里町の町営体育館ではこの日午前、馬場隆町長と中山展宏・国土交通副大臣が献花に訪れた。 午前 10 時ごろ、小雨が降る中、馬場町長と中山副大臣はそろって花束を手に体育館に入った。 献花台に花を手向け、手を合わせた。

馬場町長は献花後、「1 カ月は区切りではない。 捜索は懸命に続けている。 見つかっていない方々の一刻も早い発見をお祈りした。」と話した。 中山副大臣は「再発防止に向けて不退転の覚悟で進めていくことをお誓いした」と述べた。 町営体育館は事故翌日の 4 月 24 日に 11 人が発見されて以降、遺体安置所として使われた。 乗客の家族らは遺留品を確認した上で、遺体との対面に臨んだ。

これまで発見された 14 人の遺体がすべて家族の元に戻ったのを機に、遺体安置所は 5 月 2 日にいったん閉鎖された。 ただ、花を手向ける人たちが後を絶たず、屋外の入り口横に置いていた献花台は撤去せずに屋内に移動させた。 町によると、22 日までに計 810 の献花があったという。(佐々木洋輔)

製図した設計士「まさかあの船が …」

北海道・知床半島沖で事故を起こした観光船を運航会社「知床遊覧船」が 2005 年に購入した際、当時の社長(前社長)が設計士に頼み、船体図面を作っていた。 朝日新聞は関係者から図面を入手し、製図した設計士の男性に話を聞いた。 「まさかあの船が大きな事故を起こすなんて。」 男性は自身が作った図面をめくりながらこう話した。 のちに「KAZU I (カズワン)」と名づけられた観光船は、1985 年に山口市の造船所で造られた。 長らく瀬戸内海を航行し、波の穏やかな平水区域で旅客船として使われていた。

設計士の男性によると、前社長がカズワンを購入した際、前社長から「図面がないと検査のときなどに困るので描いてほしい」と頼まれた。 図面は翌 06 年 1 月にまとまったという。 カズワンの事故を受け、男性は一日も早い行方不明者の発見に加え、船の引き揚げ成功を願う。 「引き揚げ後、どこに傷があったのか、どのように浸水したのかを調べ、沈没の原因を明らかにしなければならない。」 事故後、海上保安部に船体の情報を伝え、事故原因の究明に協力しているという。 (市原研吾、asahi = 5-23-22)


無人潜水機を初投入、船を撮影し道警カメラも回収 知床観光船沈没

北海道・知床半島沖で乗客・乗員計 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が沈没した事故で 8 日、海底で見つかった船の内部を捜索するため、初めて無人の潜水機が海中に投入された。 無人潜水機は水深約 120 メートルの海底に沈む船まで到達。 第 1 管区海上保安本部によると、5 日前に船内を撮影した後、回収不能になっていた北海道警の水中カメラについて、遠隔操作によって回収することができたという。

搭載したカメラで船の撮影にも成功しているが、8 日午後 3 時時点で行方不明者につながる手がかりは見つかっていないという。 無人潜水機は 7 日夜までに、民間の作業船「新日丸」が現場海域に運んできていた。 ROV と呼ばれ、高性能のカメラやライトを搭載し、海上から遠隔操作する。 これまでは海保や海上自衛隊、北海道警などが水中カメラを投入し、船体について調査を進めてきたが、船内の状態をより詳しく確認することが期待されている。

国は今後、無人潜水機のほか、深い海に潜れる「飽和潜水」と呼ばれる特殊な方法も用いて船内を調査する予定で、船の引き揚げについても準備を進めている。 事故は 4 月 23 日に発生。 これまでに 14 人が見つかり、いずれも死亡が確認された。 12 人の行方はいまもわからず、海保などが広範囲で捜索を続けている。 (asahi = 5-8-22)


水深 100m のカズワンまで「通常潜れない」 海保幹部が語った課題

北海道斜里町の知床半島沖で 26 人が乗った観光船「KAZU I (カズワン)」が行方不明となった事故をめぐり、海底から「KAZU I」と書かれた船体が見つかった。 海上保安庁の奥康彦参事官が 29 日昼、同町ウトロ支所前で記者団に状況を語った。 捜索には 29 日から海上自衛隊の掃海艇「いずしま」が参加し、船体は、カズワンから救助要請があった半島西側の「カシュニの滝」付近で見つかったという。

正午ごろに取材に応じた奥氏は「いま、情報が入ってきている状況。 詳しい状況は、整理したのちに正しく発表する。」と前置きし、「ソナー(水中音波探知機)を使った捜索の中で、何かあるかもしれない点はわかってきた。 本日、水中カメラでそれを確認できた。」と明かした。

その上で「(船体の文字が)鮮明に見えて、間違いないだろうという報告が上がってきている」と説明。 船体に「KAZU I」と記されていたことを明らかにした。 「調査を進めて間違いなくカズワンだと言えれば、正しく発表する」とも話した。 船体に乗員・乗客がいる可能性については「今後の捜索方法を検討している」と述べるにとどめ、「(発見場所の水深が) 100 メートルなので海保の通常の装備では(潜水士が)潜れない。 水中カメラの捜索が続く。」と明かした。 29 日中に詳細な情報が公表されるかを問われると、「あると思うが、深いところなのでカメラがどこまで確認できるかによって時期も変わる」と説明した。

また、船体の引き揚げについては、「船体がしっかりしていたら、ワイヤをかけてゆっくりつり上げるとか可能性として考えられるが、船体がどういう状態か、機材が入ってこられるか調整、検討しないと何とも言えない」と述べた。 (* 実際は水深 120m。- 滝沢貴大、asahi = 4-29-22)


知床の観光船不明、発見された計 10 人の死亡確認 海保が発表

第 1 管区海上保安本部によると、北海道斜里町の知床半島沖で観光船「KAZU I」と連絡がとれなくなった事故で、海上や岩場で発見された 10 人の死亡が確認された。 男性 7 人、女性 3 人で、24 日朝以降、知床岬周辺などで見つかっていた。 (asahi = 4-24-22)


26 人乗った観光船が「浸水」、海保など現場へ 北海道・知床沖

第 1 管区海上保安本部によると 23 日午後 1 時 13 分ごろ、北海道・知床半島西部沖を航行中の観光船から、「浸水している」との 118 番通報があった。 船は北海道斜里町の「知床遊覧船」が運航する「KAZU I」で、乗員・乗客は計 26 人。 自力航行が出来る状況かどうかは不明という。 海上保安庁の巡視船など 4 隻、ヘリコプター 1 機、北海道警のヘリ 1 機が現場に向かっている。 観光船は知床半島西部の「カシュニの滝」の沖合を航行していたという。 (asahi = 4-23-22)