「人生最高」 コシノジュンコさん文化勲章 おしゃれは服だけじゃない

政府は今年の文化勲章を、ファッションデザイナーのコシノジュンコさんら 8 人に贈ることを決めた。 コシノさんは 17 日、報道各社の囲み取材に応じ、「文化勲章っていうのは、もうこれ以上ありません。 身に余るどころか、ビビッております。」と笑顔を見せた。 着用していたのは黒と銀の太めのストライプのジャケットにロングスカート。 色の決め手は「新聞のモノクロ紙面でも映えるから。 これが赤とグレーだと、モノクロだとベタッとしたほぼ一色になってしまうの。」 生地には光沢があり、見るからに柔らかそうだった。 記者が「素材はシルクですか?」と問うと、「そうなの!」と破顔した。 シルクは高級素材だ。 そして言った。 「人生最高です。」

寺山修司さんが手がけて美輪(当時は丸山)明宏さんが主演した舞台「毛皮のマリー」の衣装や、万博のパビリオンのユニホーム。 そして、ベトナムやキューバでのショー … コシノさんはファッションを軸にしながらも、その活動の幅は常に文化全体へと広がり、ときに社会的な影響も与えてきた。 「ファッションって、洋服のことだけだと思われがちだけど、そうじゃない。 服を着た人の行動や生き方がどう変わるか、そこにこそファッションの意味があると思うんです。」

着る物だけではなく、考え方や所作、価値観までもが「おしゃれ」であること。着るものによって人は意識が変わって成長し、社会全体を前向きに変えていくと信じている。「着る物だけがただ格好良くてもダメ。 行動や考え方も『おしゃれ』でなきゃいけない。」 受章は「背中をどーんと押された思い。 まだまだやりたいことがある。」と笑う。 「ファッションという稼業で未知の世界を切り開くのが私の仕事。 ファッションはここまでではないということを見せ続ける使命があるんです。」

1970 年の大阪万博では三つのパビリオンのユニホームを手がけ、今月閉幕した大阪・関西万博では計画段階から誘致特使を務めた。 「2 度も万博に関わることができて光栄です。 前回活躍していた当時の若手たちは、今や日本の軸を担う一流になった。 あの経験が日本の基盤をつくったと思います。 万博は夢が膨らむ。 世界中から人々が集まって、経済も発展する。」

今回の万博では、戦火のさなかにあるウクライナがパビリオンを出展したことに心を打たれた。 「あの状況で参加してくださるなんて、それだけで涙が出ました。 日本には世界を受け入れる余裕がある、それだけでも希望だと思うんです。」 挑戦を続ける原動力について聞かれると「元気じゃないと何もできない。」 「私は常々『過去はゴミだ』って言っているんですよ。 一方で、未来に何をするか考えるのは自由でしょう? やる気になればなんでもできる。 気だけじゃなく、本気でやることが大事です。 おかげでいまも現役バリバリ。 先日も渋谷でショーをやりました。」

世界各国でも積極的にショーを行ってきた。 ベトナム戦争終結後に現地で初めてショーを行った日本人デザイナーでもある。 「あの時は、前向きになってもらいたかったんです。 戦争が終わって、楽しみを取り戻すために。 無鉄砲にもやってみようと思った。 その後、ベトナムという国はあっという間に進歩して、みんなが笑顔になった。」と振り返る。

キューバでショーを開いた際には、「なぜ?」と質問されることも多かったが、大切なのは政治ではなく大衆、市民の心だという。 「政治体制なんて関係ない。 大衆が喜んでくれればそれでいい。 人が楽しんでくれるという経験こそ、生きていてよかったと思えることなんです。」 日本人デザイナーとして文化勲章を受けたのは、森英恵さん、三宅一生さんに続いて 3 人目。 「森先生が道をつくってくれた。 パリでお会いした時に『一度じゃなくて、続けていくのよ』と声をかけられたんです。 続けることが大事だと教わり、パリで 22 年間ショーを続けることができました。」

若い世代のデザイナーに伝えたいことについて問われると、「デザインだけじゃなく、トータルで物づくりを考えることが大事。 日本は素材も技術も優れているから、自信を持っていい。 産地に行けば新しい発見がある。 挑戦的で実験的であることを恐れないでほしい。 面白がるっていうのもファッションの一部。 遊びの精神がないと余裕が生まれないし、そこから新しい創造が生まれると思うんです。」と言った。

2017 年に文化功労者に選ばれており、今回の受章は「その後の活動を見てくれていたのだと思う」と自己分析。 その間にあったコロナ禍では、これまでになかった時間を得たという。 「私は長年、1 日フリーで何もない日がなかった。 でもコロナで、初めてそういう日を経験した。 だから本を出しました。 『56 の大丈夫(世界文化社)』というタイトルで、長年のメモや言葉をまとめたんです。 突然あんなことになっても、それまでできなかったことを行動に移せた。 そういった状況判断はセンスだと思っています。」

NHK 連続テレビ小説「カーネーション」のヒロインのモデルになった洋装店経営の母のもとに生まれ育ち、デザイナーの道を進んでからは音楽や文学など異分野の人々とも多くの交流を重ねてきた。 「60 年代、70 年代は、みんな一緒に時代を作っていた。 ファッション界だけじゃなく、いろんな人たちと関わってきたから今がある。 私は生まれた時からファッション界にいたでしょう? だから、違うことをいている人と話すことが面白かった。 仕事って、そうした人との出会いから生まれるものなんです。」

自身が若かった頃を振り返って「いい時代でもあった」というコシノさん。 現在の日本について「国に大きなビジョンが欲しい」と語る。 そして文化勲章を受章したことで、自身も「国に貢献したい、ますますそう思っています」と熱く語った。 (編集委員・後藤洋平、asahi = 10-18-25)


「とにかく欲しい!」 ファッションプロの指名買いアイテム、2025年秋冬

「人の数だけ「いい!」と思うアイテムがある。 スタイリストやエディターなどファッションプロが個人的な感情全開で語った、十人十色のコメントに耳を傾けて…。

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セリーヌのデニムジャケット

「セリーヌのメンズがとにかく欲しい!」 スタイリスト 飯島朋子さん

「実は、私のワードローブはほとんどがメンズアイテムなんです。 マイケル・ライダーが手がけたセリーヌのデビューコレクションは、本当に着たいと思う服が多かった! ポロ ラルフ ローレンで経験を積んだ彼らしいアメリカン・カジュアルのミックススタイルを、デザイナーチームが手がけたウィンターラインのデニムジャケットでひと足早く楽しみたいです。 一枚で着ても絵になるシルエットと、開襟デザインが素敵。 私はあえてジャケットやコートのインナーにしたいと着こなしの妄想を膨らませています。 懐かしさのあるきれいな装いに仕上げるのが気分です。」

アライアのニットセットアップ

「これぞ、ボディ礼賛服」 エディター 中馬あかねさん

「"あなたの身体はあなた自身のもの。" デザイナー、ピーター・ミュリエからのシンプルで力強いメッセージを胸に、ボディ礼賛なおしゃれを楽しみたい! マーク・マンダースの彫刻に着想を得た新作のセットアップは、繊細かつ構築的なフォルムから誰も真似のできないエレガンスが漂います。 女性のボディラインを知り尽くした唯一無二のシルエットは、見た目よりずっとフレキシブルで、着用すると抱きしめられている感覚に。 アライアのニットウェアは、私にとっての究極のタイムレスです。」 立体的なラッフルショルダーは、女性の普遍的なタフネスを象徴。

リトコフスカのデザインカットソー

「意思ある服を広めたい」 SpurShop バイヤー 永嶋真理さん

「約 3 年前、オランダ在住の日本セールス担当・奥山真実子さんに教えてもらったのがリトコフスカとの出合い。 困難な状況でも創造をやめない姿勢と、常にファッションを楽しもうとする思いが心に響きました。 こういうブランドこそ、日本でもっと広まってほしい! SpurShop が入っている EC サイト『ミラベラ』での取り扱いが今季から始まり、長年の応援が実った気分。 注目はカットソーとシャツを組み合わせたトップス。 襟ぐりが2カ所あり、首の通し方で印象が変わるユニークな一枚です。」 2009 年に設立されたウクライナ発のブランド。 戦禍の続くキーウに生産拠点を置き、前向きなメッセージを発信する。

ヘルノのエコファーブルゾン

「正直、脱ぎたくないです」 Spur 編集部 衣笠

「ライフスタイルブランドとして拡張を続けるヘルノ。 ダウンアウターへの信頼は絶大ですが、数年前から登場しているカーリーエコファーのブルゾンが私的にはイチ押しで、ぜひ皆さんに試着してみてほしい! ぬいぐるみのようなクリクリした素材がとっても気持ちよく、見た目以上に軽やかで、ふわっと包まれる感覚が最高です。 一度羽織ってみると『もう脱ぎたくない …』と思うはず。 価格高騰が続くアウター界の中ではかなり良心的なプライスというのも、大声で伝えたいポイントです!」 首もとにレザーベルトを飾った新作が登場。 柔らかな質感にクールな味つけを加え、装いの幅を広げる。

タムのハイウエストパンツ

「タムを知ってほしいんだ!」 スタイリスト 小川夢乃さん

「私にとって買い物は推し活。 流行ではなく、運命を感じたときに購入します。 最近では、タムの 2025 - '26 年秋冬コレクションがあまりにも素晴らしくて! スタイリング、ヘアメイク、モデル選びまで見事に抜けがなかった。」

「デザイナーの玉田達也さんのセンスのよさと、いいチームで製作している雰囲気が表れていました。 近くで服を見たいと展示会にも伺い、このパンツを購入。 メンズアイテムが多い中、これなら自分でも、再構築されたウエストコート部分をアレンジして着られる。 最近は資産価値や転売価格ばかりが語られがちですが、やっぱり感情が動く買い物こそ豊か。 そして若手のデザイナーさんの服を広く届けるのもスタイリストの仕事。 タムは『みんな、こんないい服があるよ!』と伝えたくなるブランドです。」

メゾン マルジェラのドレス

「手のかかる子ほど可愛い」 スタイリスト 権藤千絵さん

「壊れたものを修繕したり、リメイクして長く使うことが好き。 このドレスはまさしくそんな "手をかけるほどに深まる愛着" を表現しているような洋服だと思います。 シャツ、パンツ、シルクドレスをドッキングしたブランドの DNA がぎゅっと詰まった仕立てなのですが、使用されている 3 ピースの中で自分が普段よく着るものといえば開襟シャツくらい。 それでもテーラードパンツも好きだし、ドレスにも憧れている。 組み合わさることで着慣れないアイテムにチャレンジしたいと思わせてくれる、物語性あふれる一着です。」 今季のテーマ "English Heritage" を体現する。 (Spur = 10-12-25)


「この秋何買った?」 ファッション業界人が選んだ今季のトップバッター 9

秋のファッションシーズンが本格始動。 デザイナーやバイヤー、スタイリストにプレスまで - - おしゃれの最前線に立つプロたちが、この秋最初にゲットした "トップバッター" アイテムを公開。 暑さが厳しい夏も過ぎ去り、気分はすっかり秋モード。 おしゃれプロたちは、ひと足先に新しい季節を楽しむアイテムを楽しんでいる様子。 デザイナーやバイヤー、スタイリストやプレスが「この秋まず欲しかった!」とリアルに買って愛用しているのは、気分を一気に秋へシフトしてくれる一着や小物たち。 リアルに愛用しているアイテムから、シーズンのムードをいち早くまとうヒントを探って …。

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1 「コム デ ギャルソン」のジャケット
 安部真理子・「シャランポワ」、「アドリン ヒュー」デザイナー

気に入っているポイントは?

「キラッと光るお花のモチーフがちりばめられたチェック柄に心を奪われました。 クラシックなチェックに華やかさと遊び心が加わることで、ベーシックなスタイルにもアクセントを効かせられるのが魅力です。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「軽やかなコットン素材のなので、秋の始まりは冷房対策として室内での羽織りとして持ち歩いていました。 涼しい日はミニワンピースの上に合わせてシーズンらしいレイヤードを楽しんでいます。」

2 「ミャウ」のカーディガン
 安部真理子・「シャランポワ」、「アドリン ヒュー」デザイナー

気に入っているポイントは?

「コンパクトなサイズ感と、さりげなく施されたワンポイントの刺しゅうに惹かれて『ミャウ』のカーディガンを購入。 シンプルなデザインの中に小さな遊び心が感じられて、どんなコーディネートもモードにクラスアップしてくれるところが魅力です。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「夏の終わりにはキャミソールの上にさらりと羽織っていましたが、秋にはフロントボタンを閉じて同色のボトムと合わせ、セットアップのように着こなすことがお気に入りです。 カジュアルな雰囲気からぐっとシックな印象まで幅広く対応でき、季節の変わり目に頼れる存在です。」

3 「フミカ ウチダ」のエコレザーボディスーツ
 長尾悦美・クリエイティブディレクター

気に入っているポイントは?

「『フミカ ウチダ』のエコレザーボディスーツは、ストレッチ素材のおかげで見た目以上に着やすく快適。 スクエアに開いた胸もとのラインがデコルテを美しく見せ、モードな雰囲気を添えてくれるのもお気に入り。 タフさと女性らしさをあわせ持つ一枚です。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「涼しくなるまでは一枚で潔く! 存在感のあるデザインなので、それだけで十分スタイリングが完成するのもうれしいですね。 秋にはニットを重ねて、異素材のレイヤードで新しい表情を楽しみたいと思っています。」

4 「レナータ ブレナ」のビスチェ
 柳瀬美央・ファッションインフルエンサー

気に入っているポイントは?

「残暑の時期でもレイヤードを楽しめるビスチェは、まさに秋の始まりにぴったりのアイテム。 選んだのは、『スーパーエーマーケット』が『レナータ ブレナ』に別注したピスタチオカラーの一枚です。 落ち着いたトーンが多くなりがちな秋冬の装いにフレッシュなアクセントを加えてくれるところが気に入っています。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「暑い日にはシンプルな白いタンクトップにさらりと重ねて、軽やかなレイヤードを楽しみました。 秋にはブラウンのニットをインナーにして、季節らしいカラーコーディネートに挑戦したい気分。」

5 「カレンソロジー」のスウェットパンツ
 坂井麻衣・スタイリスト

気に入っているポイントは?

「一見スカートのようにも見えるほど、たっぷりとしたボリューム感がお気に入り。 『カレンソロジー』のスウェットパンツは、シルエットがきれいなのでカジュアルにもきれいめにも着られるのが魅力です。 肌触りがとても柔らかく、ストレスを感じない快適なはき心地もポイント。 リラクシーでありながらスタイルアップも叶えてくれる一本です。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「夏は、クロップドトップを合わせて腰ばきに。 上半身にバランスを持ってきて、スタイルアップを意識していました。 そこにシャツを羽織れば、リラックス感がありながらもきれいめに見えるスタイルになり、休日コーデとして大活躍。 秋はテーラードジャケットに白スニーカーを合わせて、カジュアルさと上品さをミックスした着こなしを楽しみたい気分。」

6 「パーバーズ」のニットセット
 坂井麻衣・スタイリスト

気に入っているポイントは?

「『パーバーズ』のニットセットは、フーディーノースリーブとボレロを一緒に着るとバランスがとてもかわいく、セットで購入しました(それぞれ別売り!)。 もちろん単品使いもできるので着回し力が高く、気分やシーンに合わせてアレンジできます。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「夏はノースリーブを一枚でさらりと。 背中が大胆に開いていて、バックスタイルも推しポイント。 ボレロは冷房対策として持ち歩いたり、ストールのように肩がけしたりと活用しました。 まだセットでは着られていませんが、この秋はぜひ組み合わせて楽しみたいと思っています。 ノースリーブはビスチェ感覚でシャツやワンピースに重ねるスタイリングを試したいし、ボレロは前後を逆にすると V ネックのニットのように着られるデザインなので、単品でもシンプルに合わせやすそう。」

7 「ミュウミュウ」のボートネックセーター
 ファッションエディター Daeun

気に入っているポイントは?

「秋に向けて『ミュウミュウ』のボートネックセーターを新調しました。 ワイドに開いたネックラインはそのまま着てもよいし、胸もとまでずらしてベアトップ風にアレンジできるのもお気に入りのポイント。 シンプルなデザインながら着こなし次第で印象を変えられるので、デイリーから特別なシーンまで幅広く活躍してくれそうです。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「薄手のデザインなので、暑さが残る日は T シャツやタンクトップに重ねてレイヤードを楽しみました。 軽やかで抜け感が出るので、いつものスタイルにさりげなく新鮮さをプラスしてくれるのがうれしい。 これからの季節はジャケットやカーディガンのインナーとして取り入れたいと思っています。」

8 「ブルック キャラハン」のロングスリーブブラウス
 滝口理奈・「ビオトープ」 PR

気に入っているポイントは?

「先日『ビオトープ』で初めてポップアップを開催した LA 発のブランド『ブルック キャラハン』の一枚。 "涼しさは欲しいけれど、どこかに秋らしさも感じたい" と思っていたタイミングにぴったりでした。 心地よいコットンポプリン素材で、軽やかさと上品さを兼ね備えたトップスは、スタイリングの幅を広げてくれる存在です。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「セットでターコイズブルーのパンツも手に入れたので、今は爽やかにセットアップで楽しんでいます。 もう少し寒くなってきたらデニムやコーデュロイのパンツと合わせて、ぐっとシックなムードにしたい。 特にインディゴデニムを合わせて、ネイビーのワントーンで仕上げる着こなしを試したいと思っています。」

9 「デターム」のコラーゲン スコープネック ボディスーツ
 ソーシャルエディター Momo

気に入っているポイントは?

「『デターム』のコラーゲン スコープネック ボディスーツは、肌に潤いを与えるコラーゲン生地を使用していて、しっとりとした新感覚の着心地を楽しめる点に惹かれました。 フロントは程よく上品に、バックは大胆に開いたデザインで女性らしい洗練されたシルエットを演出してくれるところや、一枚でも使えるレイヤードコーデでも使える万能さがお気に入りです。」

残暑と秋、それぞれの着こなしは?

「汗ばむような日はさらっと一枚で着るだけで涼しげに決まり、軽やかな着心地を楽しめました。 シンプルながら存在感があり、アクセサリーや小物次第で印象を変えられるのも good。 秋にはインナーとして取り入れたり、ジャケットやニットと重ね着することでスタイルに奥行きをプラスできそうです。」 (Anna Abe、Elle = 10-3-25)


2025-26 秋冬ファッション 必修トレンドキーワード 7 をおさらい

パリ、ミラノ、ロンドン、NY で数々のショーやプレゼンテーションが行われた、2025-26 年秋冬コレクション。 今シーズンは、「ステルスウェルス(知る人ぞ知る密かなぜいたく)」や「テーラリング」などのキーワードが浮上。 ランウェイでは、レオパード柄やロゴ T シャツなど、これまでの「クワイエット・ラグジュアリー」のトレンドとは真逆のルックが席巻した。いっぽうで、レースのディテールやペンシルスカート、ブラウンカラーのアイテムなど、タイムレスでエレガントな装いも注目を浴びていた。

(画像は左右にスライドしてください。)

  1. レース

    今シーズンのランウェイを席巻したレディライクなトレンドといえば、レースのアイテム。 ニュートラルな色合いから意外性のあるカラーまで、幅広い展開を見せた。 特にサンローランがこのトレンドを牽引し、洗練されたセンシュアルなシルエットを大胆なカラーでアップデート。 モデルのベラ・ハディッドがネイビーブルーのレースがあしらわれたパワーショルダーのセットアップを着用してランウェイを闊歩したほか、グリーンやイエロー、バーガンディなどのカラーバリエーションもお目見えした。

    グッチとフェンディは、それぞれフェミニンなレースのウェアを、クロエはボヘミアン調のシアーなレースのドレスを発表。 キャロリーナ ヘレラでは、カラフルなセットアップが視線を集めていた。 また、ラバンヌはレースにスパンコールを組み合わせ、ステラ マッカートニー、ディオール、ルイ・ヴィトンは、レースのトリミングでアクセントを加えていた。 手軽に取り入れられて、決して時代遅れになることのないこのトレンドは、スリップオンドレスや、かぎ針編みのレースのワンピース、レースのトリミングが施されたセットアップなど、さまざまなスタイルで楽しむことができる。

  2. ブラックからブラウンへ

    このところ数シーズンにわたり人気再燃中のブラウンの勢いは、まだ衰える気配がない。 ドレスからアウター、シャツやスカートまで、2025-26 年秋冬のランウェイでよく目立っていたこの色は、黒に代わり今まさに取り入れるべきニュートラルカラーのひとつだ。 ステラ マッカートニーは、チョコレートブラウンのストラップドレスを披露。 マイケル・コースは美しいブラウンのスパンコールドレスを発表し、トッズはドロップウエストのブラウンのドレスに、同色のローファーを合わせていた。

    トリー バーチはアスレジャールックに、ヴィクトリア・ベッカムはレザージャケットに、グッチはフェイクファーのアイテムにブラウンを取り入れている。 デートルックから日常使いのアウターまで、ブラウンは今シーズン以降も続く定番カラーのひとつとして、さまざまな着こなしで活躍する予感。

  3. ペンシルスカート

    2025-26 年秋冬ランウェイのスーツスタイルで目を引いたのは、エレガントなペンシルスカート。 各都市のファッションウィークで大きな存在感を放ち、特にボディラインに沿うミディ丈のセパレートスタイルのスカートスーツが復活を遂げていた。 もちろんスーツだけでなく、オーバーサイズのニットやフィット感のあるコルセット、フリル付きのブラウスなどと合わせたコーディネートも多彩に登場。

    クリエイティブ・ディレクター、ヴェロニカ・レオーニが新たに率いるカルバン・クラインは、フレッシュなミニマリズムを先導し、ピンストライプを施したグレーのノーカラーのスカートスーツに、90 年代風のパンプスをオン。 いっぽうサラ・バートンによるジバンシィのデビューコレクションでは、クラシカルな色合いの砂時計形のジャケットとペンシルスカートのスーツが、フェンディとグッチでは、軽やかなパステルカラーのルックがランウェイを飾った。

    ペンシルスカートはオフィスだけでなく、パーティなどでも活躍するアイテムのひとつ。 エルマンノ シェルヴィーノやキャロリーナ ヘレラでは、レースや装飾をあしらった華やかなバリエーションが披露された。 サンローランは鮮やかなカラーのトップスを、ディオールはロングソックスのようなニーハイブーツを合わせて、幅広いコーディネートを提案している。 オフィスではクラシカルな白シャツと合わせたり、夜のおでかけにはビビッドカラーのトップスなどと組み合わせたりするのもおすすめ。

  4. レオパード柄

    2025-26 年秋冬シーズンに旋風を巻き起こしたパターンがあるとすれば、それはレオパード柄だ。 数シーズンごとに繰り返される定番トレンドのひとつだが、今シーズンはこの数年人気を集めていたアウターや小物だけでなく、ドレスやニット、スカートスーツにまで広がりを見せている。 ヴァレンティノはフェイクファーのトリミングをあしらったセットアップを披露し、サンローランは PVC 素材のトップスやペンシルスカートにこの柄を起用。 フェンディやケイトもレオパード柄のアイテムを全身に採用し、大胆なルックに仕上げている。

    この柄を得意とするドルチェ & ガッバーナやヴェルサーチェ、ロベルト カヴァリのコレクションでも印象を残していたいっぽうで、控えめに取り入れたブランドも。 スキャパレリはベルト、コナー・アイヴスとエトロはバッグやシューズでさりげなくレオパード柄を起用していた。 全身でまとめても、アクセントとして加えても、スタイリッシュな印象を与えてくれること間違いなし!

  5. ケープ & ドレープのアウター

    今季共通して見られたトレンドのひとつが、ケープやケープ風のシルエットのアウター。 NY では、カルバン・クラインとアルチュザラがドレープの効いたエレガントなウールコートを発表し、ケイトとマイケル・コースは、レイヤードスタイルでこのトレンドに独自のアレンジを加えていた。 ブランドン マックスウェルは大胆なパターンが目を引くスカーフ付きのドレープコートを提案し、この人気トレンドを見事に取り入れていた。

    マックイーンはルネサンス期を彷彿させるフリルを、アーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエールが率いるルイ・ヴィトンは、ベルトバッグでウエストを絞ったケープを発表し、流れるようなシルエットのアウターと融合させた。 ロクサンダはドレープをたっぷりとあしらったアウターを取り入れ、アルベルタ フェレッティはシルクのドレスの上にカシミヤのスカーフコートを重ね、マックスマーラもフード付きのロングニットケープを披露。 ケープやドレープの効いたアウターは、秋冬の気まぐれな天候を乗り切るのに欠かせないアイテムとなりそう。

  6. ネイキッド&シアー

    ヌーディなルックがレッドカーペットで再び脚光を浴びている。 実際、2025 年の授賞式シーズンには、ヒップや脚を見せる大胆なネイキッドドレスを選ぶセレブが数多くいた。 いっぽう、2025-26 年秋冬のランウェイでは、より身近なスタイルで肌を露出するルックが披露され、なかにはオフィスルック風のコーディネートも見られた。 ニナ リッチ、キャロリーナ ヘレラ、エムエム6 メゾン マルジェラでは、軽やかな素材とテーラードアイテムを組み合わせたルックが登場。 クロエをはじめ、ヴァレンティノやブルマリン、アルチュザラは、あえてバストや下着を見せる大胆なデザインのドレスやトップスを発表した。

    いっぽう、ディーゼルやディースクエアードはヒップが見えそうな超ローライズのボトムスを、フィービー ファイロはバックレスのスカートを披露し、ボトムスで抜け感を表現した。 このトレンドを取り入れるには、少し勇気がいるかもしれないが、ふんわりとしたシアー素材のブラウスにトライしたり、スリップドレスの上にオーガンジーのスカートやワンピースを重ね着したりするのがおすすめ。

  7. フェイクファー

    2025-26 年秋冬コレクションのランウェイでは、フロアレングスのコートに、クロップド丈のジャケット、ストールやハンドバッグなど、あらゆるアイテムにフェイクファーが用いられていた。 アルチュザラはバイカラーのフェイクファーを使用したガウンコートで、またグッチはさまざまな丈のアウターで、このトレンドを牽引。 (Amy de Klerk、Masayo Fukaya、Harper's Bazaar = 9-22-25)