ファッション甲子園 2025 優勝は青森県立弘前実業高校

第 24 回全国高等学校ファッションデザイン選手権大会「ファッション甲子園 2025」の最終審査会が 8 月 31 日、青森・弘前で開かれた。 優勝したのは、青森県立弘前実業高校。 引率教員の投票によるキラリ賞も受賞した。

ファッション甲子園はアパレル産業の発展と人材育成を目的に、全国の高校生を対象に行われるファッションコンテスト。 弘前商工会議所や青森県、弘前市による実行委員会が主催する。 今年は応募総数 1,908 点の中から、22 都道府県、31校、34 チームが最終審査に挑み、7 チームが受賞した。

優勝した弘前実業高校は、「木魂」をテーマに、青森の伝統工芸のブナコとねぷたの技法を生かした木のドレスを作った。 ステージが暗転すると、和紙が貼られたスカートがランプのように光をともし、会場に歓声が上がった。

準優勝の福知山淑徳高校(京都)の「Been comeshed (ビーンコメッシュド)」は、キラリ賞と特別賞「エルガール賞」の 3 冠。 ミツバチをあしらったニットドレスで優しいファンタジーを形にした。 3 位の兵庫県立兵庫工業高校の「とつきとおか」は、胎児を包み込む母の愛情を柔らかな原毛で表現。 ゲスト審査員の中島輝道賞も受賞した。 特別協力の海外ファッションブランド協会や審査員による賞も贈られた。

受賞作品は 9 月 17 - 23 日に、三越日本橋本店・本館 1 階中央ホールで展示される。 (繊研新聞 = 9-3-25)


話題の "ドーパミン ドレッシング" とは?
 ファッションは「どう見られるか」より「着てどう感じるか」の時代へ

パンデミックを経て生まれた "ドーパミン ドレッシング"。 カラフルな色や遊び心あるデザインで気分を高めるそのスタイルは、いまや素材やシルエットにまで広がり、心を整える装いへと進化している。 2025 年のランウェイは、高揚と静けさ、二つの感情を織り込みながら、新しい時代の装いを描き出している。 いま、知っておきたい - - "ドーパミン" の真意に迫る。

色が気分を変える - パンデミックが生んだ "幸福を纏う" 習慣

「ドーパミン ドレッシング」という言葉が SNS で広く注目を集め始めたのは、2020 年代前半。 原色のハッピーカラーやプレイフルなテキスタイルが、鬱屈とした社会の空気を切り裂くように鮮やかに登場した。 カラフルな色や遊び心あるデザインを身にまとうことで、脳内の「幸福ホルモン」ドーパミンが分泌され、気分が上向く - そんな心理的効果を期待するムーブメントだ。 背景には、コロナ禍による外出制限や閉塞感、そして高まるストレスがある。 リモートワークや自宅生活のなかでも、服装で日々の喜びを見出そうとする動きと共振し、この潮流は瞬く間に広がっていった。

(画像は左右にスライドしてください。)

やがてファッション業界もその空気を取り込み、ランウェイや広告キャンペーンは鮮やかな色彩であふれ出す。 ビビッドなピンクやフレッシュなグリーン、エネルギーを帯びたオレンジが「ポストコロナの着こなし」として受け入れられ、レッドカーペットでも派手色のドレスやスーツが主役に躍り出た。 それは単なる色彩トレンドではなく、自己解放やポジティブさの象徴として機能したのだ。 だが、ドーパミンドレッシングは "色" だけで語りきれるものではない。

2020 年代半ば、クワイエット・ラグジュアリーの台頭を経た 2025 年のファッションは、"もっと静かに感情と向き合う" 方向へも歩み始めている。 2025 - 26 年秋冬のランウェイを覗けば、ミュウミュウはシンプルなルックにビビッドな差し色を効かせ、サンローランは色彩とダイナミックなシルエットを融合。 艶やかなサテンや透け感のあるシースルーなど、素材の質感を前面に押し出した。 一方、ザ・ロウ、プラダ、ジル サンダー、ディオール、ジバンシィといったブランドは、抑えた色調のなかに緊張感と静けさを同居させた。

いまや「ドーパミン ファッション」には二つの側面がある。 派手色やアシッドカラー、異素材ミックスで感情を爆発的に高める「ドーパミン チャージ」と、ベージュやグレー、ネイビーといった穏やかな色で心を整える「ドーパミン ファスティング」だ。 そしてこの二つは色彩だけでなく、素材・シルエット・ディテール・着こなしの文脈にも広がっている。

装いが描くのは、感情の振れ幅

「ドーパミン チャージ」では、スパンコールやラメ、メタリック、フェザーなど光や動きで感覚を刺激する素材、大胆なオーバーサイズや構築的シルエット、遊び心ある刺繍やアップリケが典型例。 祝祭や旅を想起させるストーリー性のある服も、感情を押し上げる。 一方「ドーパミン ファスティング」は、カシミヤや極細ウール、シルクなど触れるだけで安心感をもたらす素材、装飾を削ぎ落とした直線的なラインや身体に沿うフォルム、視覚的ノイズを減らした静かなディテールが基調となる。 動きやすく制約のないデザインや、余白を感じさせるレイヤードもその静けさを際立たせる。

カラフルもニュートラルも、ファッション史の中で繰り返し現れてきた。 しかし今の時代が異なるのは、"心理的ウェルビーイング" を軸に服を選ぶ価値観が根づきつつある点だ。 これは Z 世代のライフスタイルやメンタルヘルス意識とも密接に結びつく。 SNS 断ちやマインドフルネス、セルフケアといった習慣が広がるなか、ファッションは「気分の調整装置」として再定義されつつある。 感情や気分に合わせて服を選ぶだけでなく、服によって感情や気分を能動的に生み出す。 COVID 以降、「弱さ」と向き合うことは恥ではなく、健やかに生きるための大切な行為として受け止められている。 ニューロ ダイバーシティへの配慮を示すブランドも増えている。

ニューロ ダイバーシティとは?

いまの潮流の中心にあるのは、「着てどう見られるか」ではなく「着てどう感じるか」という軸だ。 パンデミック期に培われた "色で気分を変える" という手法は、いまでは素材選びやシルエットの工夫として日常に溶け込み、スタイルの幅を広げている。 ファッションは単なる外見の演出ではなく、“感情の翻訳装置”として機能し始めている。 ドーパミンを意識したスタイルは、服を「自分を整えるための技術」として再び捉え直しているのだ。 (Ko Ueoka、Saori Yoshida、Vogue = 8-24-25)


BABYMETAL、ビルボード全米総合アルバムチャートで 9 位に

今年結成 15 周年を迎えたメタルダンスユニット「BABYMETAL (ベビーメタル)」の新作アルバム「METAL FORTH」が、米ビルボードの全米総合アルバムチャート(23 日付)で 9 位を記録した。

米ビルボードが 17 日に公式サイトで明らかにした。 BABYMETAL が所属するレコード会社ユニバーサルミュージックは、「メンバー全員が日本人のグループとしては史上初となる TOP10 入り」としている。

BABYMETAL は 2010 年に結成。 日本語詞を主体とした楽曲と、歌詞の世界を表現したダンスパフォーマンスで世界的な人気を獲得している。 現在のメンバーは SU-METAL (スゥメタル) と MOAMETAL (モアメタル)、MOMOMETAL (モモメタル) の 3 人。

これまでの全米総合アルバムチャートでの自己最高記録は、3 作目のアルバム「METAL GALAXY (19 年)」で記録した 13 位だった。 今作は 4 作目。 今年 8 月 8 日にリリースされ、ドイツのバンド Electric Callboy とのコラボ曲「RATATATA」や、ギタリストのトム・モレロが参加した「メタり!!」など全 10 曲が収録されている。 (丸山ひかり、asahi = 8-19-25)


風が通り抜ける涼やかさも叶えて

「ラルフ ローレン」のスリーピースは、あえて袖を通さずに
気負わないかっこよさを表現

「ラルフ ローレン コレクション」のジャケットを肩掛けで力が抜けた大人の余裕を伝えて。 スリーピースで知的な風格をたたえながら、薄手の梳毛ウール生地が美しいドレープを描き、優雅な印象を高めてくれます。 (Precious.jp = 8-8-25)


YOSHIKI さんが着物ショー審査員に 実家は元呉服店「楽しみ」

絹織物のまち・滋賀県長浜市で 10 月 13 日にある着物ショー「長浜 kimono AWARDS (きものアワード)」で、ロックバンド「X JAPAN」の YOSHIKI さんがゲスト審査員を務める。 米誌タイムが選んだ今年の「世界で最も影響力のある 100 人」の一人で、着物文化の発展に期待が高まる。 長浜は江戸時代から絹織物の産地として知られる。 最高級の白生地「浜ちりめん」が京都や大阪に出荷されてきた歴史がある。 きものアワードは昨年から始まり、今年の会場は琵琶湖岸の長浜城跡にある豊(ほう)公園。 服飾を学ぶ 12 校の 30 チームがデザインした着物や帯などを着物ショーとして競う。

実家が元呉服店、自身のブランドも

運営委員会によると、YOSHIKI さんの実家は元呉服店。 着物を世界に紹介したいと、自身の着物ブランド「YOSHIKIMONO」を持つ。 長浜市と接点のある企業の元役員の仲介で、今回のゲスト審査員が実現したという。 運営委員会の和田洋典会長は「多くの人に長浜へ着物姿で来てもらい、伝統の文化・産業を知ってほしい。 影響力のすごい YOSHIKI さんが学生の力に共感して、発信していただければ。」と期待する。 観覧定員は 2 千人で、着物での参加が条件。 申し込みは 8 月 1 - 20 日、専用フォームで。 詳しくは ホームページ

YOSHIKI さん「若者のデザイン楽しみ」

YOSHIKI さんのコメント : 家が呉服屋だったので、着物には感謝しています。 縮緬は長浜と丹後などにしか(主要産地は)残っていないので、関心を持っていました。 そんな中、縮緬の残る長浜市の市長から声をかけられたので、引き受けました。 長浜で若い人のデザインが出てくるので、楽しみにしています。 (小西良昭、asahi = 7-30-25)


「鬼滅の刃」新作映画が史上最速で興収 100 億円
 公開 8 日間で突破

人気漫画が原作のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃(やいば)』無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」の興行収入が、25 日に 100 億円を突破した。 配給するアニプレックスが 28 日発表した。 公開した 18 日から 8 日間で興収 100 億円を超えたのは、日本の上映作品で史上最速という。 これまでの最速記録は、2020 年に公開された前作「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の 10 日間だった。

興行通信社によると、日本で興収 100 億円を突破したのはこれで 49 作品になった。 半数以上にあたる 28 作品は洋画だが、コロナ下の 20 年の「鬼滅」前作が歴代最高の 404.3 億円を記録して以降、人気漫画が原作の邦画アニメが躍進。 「劇場版 呪術廻戦 0」(21 年、138.0 億円)や「ONE PIECE FILM RED」(22 年、203.4 億円)、「THE FIRST SLAM DUNK」(22 年、164.8 億円)、「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」(23 年、138.8 億円)、「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」(24 年、116.4 億円)などが次々と 100 億円超えを記録しているという。 (平岡春人、asahi = 7-28-25)


高校制服に複数の選択肢広がる ジェンダー意識の変化が背景か

今日の制服はスラックスを選ぶか、スカートを選ぶか - -。 近年、制服に複数の選択肢を設ける高校が広がっている。 大阪府教委によると、制服がある府立高校 142 校のうち 125 校が昨年度時点で 2 種類以上の制服を導入。 ジェンダーに対する意識の変化が背景にあるのではないか、と府教委の担当者は見る。

「小さいリボンは大人っぽく見える。」 「でも、やっぱり大きいリボンのほうがかわいい。」

去年 7 月上旬。 大阪府立泉陽高校(堺市堺区)の教室に生徒、保護者、教師など 15 人ほどが集まっていた。 全員の視線の先には 2 体のマネキン。 いずれも上半身は水色のシャツに紺色のブレザー。 下半身は 1 体が灰色のプリーツスカート、もう 1 体がスラックス。 この 2 着の制服は、2025 年度から導入された。 この日は、新制服に合うリボンとネクタイを選ぶために、制服メーカーが持ち込んだ 20 種類以上のサンプルをマネキンに当てながら、有志による話し合いが行われた。

同校の制服は長年、女子生徒がセーラー服、男子生徒が詰め襟だった。 特にセーラー服は襟に白い線が入った淡い水色のカバーをつけるのが伝統で、同校のシンボルにもなっている。 ブレザータイプの制服は新たに導入されたが、セーラー服も詰め襟も選択肢の一つとして残ったため、生徒は複数ある制服の中から着用したいものを選べることになった。

栗山悟校長によると、制服の見直しを考えたきっかけの一つが学校説明会だった。 訪れた中学生や保護者から「女子の制服でスラックスは選べるか」という質問が増え、性別で制服を分けることに対する社会の価値観の変化を感じたという。 防寒性など機能面も踏まえ、新制服の導入を決めたが、在校生と卒業生から「伝統を大切にしたい」という意見が上がり、既存の制服を残しながら新たな選択肢を作ることにした。 制服は今年の 4 月から導入され、「泉陽高校の新たなシンボルとなったら」と栗山校長は期待する。

近年、ジェンダーの観点から、従来の制服に加え、新たな制服を導入する学校が増えつつある。 その中には、セーラー服が長い歴史を持つ、いわばセーラー服の「名門校」もある。 1923 年頃にセーラー服を制服に採用し、100 年以上の歴史を持つ大阪府立清水谷高校がその一つだ。 2 年前、性別問わずスラックスとスカートが選べるブレザータイプの制服を導入した。

伝統と多様性はどのように共存しているのか。 同校によると、従来のセーラー服や詰め襟を着る生徒と新しいブレザータイプを着る生徒の比率は半々。 「最初は統一性がなくなるかもしれないと心配したが、導入してみると違和感はなく、学校の日常になっている」と同校の日笠賢校長(取材当時)は、去年 8 月こう振り返った。

生徒たちも好意的に受け止めている。 同校 3 年生の上原彩明さんはブレザーの制服を選び、気候に合わせて夏はスカート、冬はスラックスを着用しているという。 「どちらも選べるから、清水谷高校に入りたいと思った。」 別の 2 年の女子生徒もブレザーの制服を選んだ。 普段から私服はズボンが好きで、制服もスラックスを着用している。 「たくさん選択肢があって、自分らしくいられると感じる」と評価した。

新しい制服は、学校側の性別に対する意識にも影響している。 同校で新制服の導入以降、教員から、男女別で色を分けた座席表などこれまで当たり前に感じていたものに違和感を覚えると意見があったという。 分類は何のためにあるのか。 本当に必要なのか。 話し合うため、教員らが討論する場も設けられた。 「正解はないと思うが、最善の対応をするのが大事。 制服から得る多様性への気付きを、日々の教育に生かしたい。」と日笠校長。

「制服は社会を映す鏡。」 そう話すのは「セーラー服の社会史 大阪府立清水谷高等女学校を中心に(青弓社)」の著者の井上晃さん。 井上さんによると、日本の制服は時代と共に変遷してきた。 女子生徒の制服の主流は明治時代の和服と袴から、1920 年代に入るとセーラー服に変わった。 当時、洋服が普及したことに加え、ミッションスクールがセーラー服を採用したことで評判となり、多くの学校が制服を変えた。

だが、1940 年代になると、泥沼化していた戦争が影を落とすようになる。 各校が定めていた制服は廃止され、ヘチマ襟と胸下のベルトが特徴な全国統一の制服が制定された。 戦争が終わると、セーラー服は復活するが、ネクタイの結び方などの着こなし方はその時々のブームによって変化した。 (丘文奈、asahi = 7-27-25)


信長も切り取った蘭奢待の香りの秘密、明らかに 正倉院事務所が発表

奈良の正倉院に伝わり、歴史上の多くの権力者が手にしようとしてきた究極の香木、蘭奢待(らんじゃたい)。 宮内庁正倉院事務所(奈良市)は 8 日、その組織構造や成分を分析し、香りの秘密を明らかにしたと発表した。 蘭奢待は長さ 1.56 メートル、重さ 11.6 キロの巨大な香木。 正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」だが、香道が盛んになった室町時代ごろから、正倉院を管理していた「東大寺」の名を文字に隠した雅号の「蘭奢待」の名で有名になった。 足利義政や織田信長、明治天皇が一部を切り取ったという付箋(ふせん)がつけられている。

正倉院事務所は昨年、強力な光から X 線を発生させる兵庫県佐用町の大型放射光施設・スプリング 8 で、生物組織などの微細な構造を分析するマイクロ CT を使い、蘭奢待の脱落した微細な破片を分析した。

伐採された年代判明、香りも再現

その結果、木質に多くのすき間があり、そこに香りの元になる樹脂が蓄積されている構造が判明。 東南アジアで産出されるジンチョウゲ科の「沈香(じんこう)」と呼ばれる香木であることが確認された。 香り成分は、香料の研究・製造を手がける高砂香料工業(東京)が、繊細な匂いの感覚を持つ調香師の評価も交えて分析。 「ラブダナム」という植物樹脂由来の香料に近い香りを中心に、バニラやカラメルのような甘い香り、針葉樹のようなスパイシーな香りが複雑に合わさった香りの全容がわかった。 同社は蘭奢待の香りを人工的に再現することにも成功した。

東京大学総合研究博物館では破片を放射性炭素で年代測定し、香木が伐採された年代を 8 世紀後半 - 9 世紀末年と判定した。 蘭奢待が最初に文献に現れるのは鎌倉時代初め、1193 年の正倉院宝物の点検記録。 これまでは 752 年の大仏開眼法要の際、海外の珍しい物品が集められた中の一つと推定されてきたが、平安時代以降に持ち込まれた可能性が高まった。

正倉院事務所の飯田剛彦所長は「香木の香りは時間と共に薄れていくことは避けられない。 そうした『失われゆくもの』についてもきちんと調べて記録を残すことが我々の責務だ」と話す。 再現された蘭奢待の香りは、大阪歴史博物館(大阪市中央区)で開催中の特別展「正倉院 THE SHOW (8 月 24 日まで、9 月から東京に巡回)」で体験できる。 また、蘭奢待は 10 月 25 日 - 11 月 10 日、奈良国立博物館(奈良市)で開かれる「第 77 回正倉院展」で展示される予定。 (今井邦彦、asahi = 7-8-25)