最新 iPhone にも搭載「AI 半導体」 CPU とは何が違うのか AI は半導体で進化する 高性能な AI (人工知能)を実現するためには、高性能な半導体が不可欠である。 現在、AI の処理には、画像処理用の半導体である「GPU」が広く利用されている。 最先端の AI が要求する膨大な計算量を処理するため、GPU を進化させた AI チップの開発が進んでいる。 AI の進化に対して、半導体はどのように進化しているのか。 そして、半導体の進化は、AI の進化にどのような影響をあたえるのだろうか。 利用者の要望に応じて新しい文章やイラストなどをつくりだしてくれる「生成 AI」の利用が世界中で広がっている。 文章を生成してくれる OpenAI の「チャット GPT」は、日本でも人気の生成 AI の一つだ。 アップルの「シリ」やグーグルの「ジェミニ」、アマゾンの「アマゾンアレクサ」などの AI アシスタントを日常的に使っている人も多いだろう。 そのような AI の進化を裏で支えてきたのが「半導体」だ。 近年の AI は、その性能を発揮するために膨大な計算量を必要としている。 膨大な計算量を短時間で処理するためには、高性能なコンピューターが必要だ。 コンピューターの性能は、その中に搭載されている半導体の性能が決めるといってもよい。 すなわち、高性能な AI は、高性能な半導体なしには実現できないのである。 半導体、LED や冷蔵庫のセンターにも そもそも「半導体」とは、金や銅などの「導体」と、ゴムなどの「絶縁体」の中間的な電気の通しやすさをもつ物質のことだ。 代表的な半導体は、ケイ素(シリコン)やゲルマニウムである。 最近では、半導体でつくられた電子部品、すなわち「半導体デバイス」のことを指して、「半導体」とよぶことが多い。 「次世代半導体の開発」や「半導体製造工場を新たに建設」などとニュースで報じられるときは、物質としての半導体ではなく,半導体デバイスのことを指している。 ひとくちに半導体デバイスといっても、その種類は実に幅広い。 スマートフォンやパソコンの頭脳として使われている「CPU (中央処理装置)」は、現代の代表的な半導体デバイスの一つだ。 また、照明として広く使われている「LED (発光ダイオード)」も半導体デバイスであり、炊飯器や冷蔵庫に入っている「温度センサー」も半導体デバイスだ。 現代では、電気を使うあらゆる製品に半導体デバイスが使われているといってよい。 AI の需要の高まりにともない、「AI 半導体」が注目を集めている。 AI 半導体とは、AI の処理に適した、あるいは AI の処理専用の半導体デバイスのことである。 スマートフォンやパソコンの頭脳として利用される CPU は、幅広い処理を行うことができる汎用的な半導体デバイスである。 そのため、CPU でも AI の処理は可能だ。 しかし、AI の処理には膨大な計算量が求められるため、CPU で処理しようとすると、かなりの時間がかかる。 そこで現在は、AI に関する処理はそれに適した半導体デバイス、すなわち AI 半導体にまかせることが多くなっている。 AI 半導体は,あなたのスマートフォンの中にも入っているかもしれない。 2024 年に発表されたアップルのスマートフォン「iPhone 16」には、「A18」という半導体デバイスが搭載されている。 A18 は、スマートフォン全体の制御を行う CPU と、画像処理を行う「GPU (画像処理装置)」という半導体デバイス,そして AI の処理を行う「ニューラルエンジン」という AI 半導体を一つにまとめたもの(半導体チップ)である。 AI 半導体を搭載することで,アップルの AI アシスタント「シリ」の処理速度などを向上させている。 ニューラルネットワークの処理に向いている GPU 現代の AI の多くは、「ディープラーニング(深層学習)」という手法を使っている。 ディープラーニングとは,ヒトの脳の神経細胞(ニューロン)のネットワークをコンピュータープログラムとして模した「ニューラルネットワーク」を使って、画像や言語など、さまざまなものを学習する手法だ。 ニューラルネットワークは、層状に配置された多数の人工ニューロンの間で信号がやりとりされることで、学習などを行う。 AI の処理に膨大な計算量が求められるのは、多数の人工ニューロンの間で行われる大量の信号のやりとりを計算しなければならないからだ。 現在、ニューラルネットワークの計算に適した半導体デバイスとして,「GPU」が広く利用されている。 GPU (Graphics Processing Unit : 画像処理装置) は、コンピューターが画像をえがくための処理を行う半導体デバイスだ。 画像処理と AI のニューラルネットワークの処理は、計算方法が似ていることが知られている。 GPU が AI の処理に広く利用されるようになったきっかけは、2012 年に開催された画像認識コンテストだ。 このコンテストで優勝したのは,カナダ・トロント大学の AI 研究者ジェフリー・ヒントン博士(1947 〜)らの研究チームである。 彼らはディープラーニングの手法を使うことで、圧倒的な成績(画像認識の正解率)で優勝を果たした。 このときのディープラーニングの計算に、GPU が使われていたのである。 これ以降、画像処理用の GPU が AI の処理に広く使われるようになった。 さらには、GPU を土台に改良された AI 専用の半導体デバイスも開発されるようになっていく。 コンテストで優勝したヒントン博士は、ディープラーニングの開発者の一人でもある。 ヒントン博士は、ニューラルネットワークを使った AI の学習方法の開発に貢献したとして、2024 年のノーベル物理学賞を受賞している。 構造(アーキテクチャ)がちがう CPU と GPU,/p> CPU や GPU は、微小な「トランジスタ」などの半導体部品(素子)を、1 枚の基板上に組み合わせた「集積回路 (IC)」の一種である。 トランジスタとは、電流のオン・オフを切りかえたり、電気信号を増幅したりする機能をもつ素子である。 集積回路の中には,「MOSFET」とよばれる 1 万分の 1 ミリメートル程度の微小なトランジスタがぎっしりと詰まっている。 一つの集積回路に含まれるトランジスタの数は、ときに数百億から数千億個にもなる。 CPU や GPU は、集積回路中のトランジスタの電流のオン・オフを高速で切りかえることで、さまざまな計算や論理演算を行う。 CPU も GPU も、トランジスタなどの素子によって構成されていることは同じである。 ここでくわしくは説明しないが,材料や製造方法も基本的に同じだ。CPUとGPUの半導体デバイスとしての大きなちがいは,その構造(アーキテクチャ)である。 CPU や GPU において、プログラムなどの処理(計算)を行う単位を「コア」という。 CPU は、コンピューターの頭脳として、複雑で多様な処理を行わなければならない。 そのために、CPU は計算能力の高いコアを数個〜数十個そなえている。 一方、GPU が担当するのは画像処理だ。 なめらかな画像をえがくためには、較的単純な計算を同時に大量に行う,、すなわち並列処理を行う必要がある。 そこで GPU は、並列処理を行うために数千個のコアをそなえている。 ただし,一つ一つのコアの計算能力は,CPU のコアにくらべると低い。 CPU と GPU はコアの計算能力やその数、並べ方などの構造(アーキテクチャ)がちがうことで,ことなる機能を実現しているのである。 (福田伊佐央、asahi = 6-3-25) NTT ドコモ、住信 SBI ネット銀行を買収へ 悲願の銀行業参入 NTT ドコモがネット銀行大手の住信 SBI ネット銀行を買収する方針を固めたことがわかった。 これを機に銀行業に参入する。 ドコモは金融事業を強化し、自前で展開する「d ポイント経済圏」の拡大や顧客の囲い込みにつなげる狙いだ。 NTT は 29 日午前、「本日、NTT ドコモの取締役会に付議する予定」とのコメントを公表した。 携帯大手で唯一グループ内に銀行を持っていないドコモにとって、銀行参入は悲願だった。 住信 SBI ネット銀行の過半数以上の株式を取得して子会社化する方向で調整している。 同銀行の株式は 3 月末現在で三井住友信託銀行、SBI ホールディングスがそれぞれ約 34% 保有している。 格安スマートフォン業者との競争激化や、人口減少で通信事業の成長が頭打ちとなるなか、携帯各社は金融などの非通信分野に活路を見いだしている。 ドコモと競合する au (KDDI)、ソフトバンク、楽天モバイルもそれぞれ銀行などの金融サービスをグループ内に持ち、各社の経済圏への囲い込みで収益を高めようとしている。 キャリア最大手のドコモも金融部門が好調だ。 一昨年以降、ネット証券大手のマネックス証券や、オリックス傘下のオリックス・クレジットを相次いで子会社化。 さらに、d ポイントの高還元が売りのクレジットカード「d カード Platinum」の会員数は今年 5 月時点で 60 万を超え、2025 年 3 月期決算での金融事業の収益は前年比 22% 増の 4,483 億円まで拡大した。 ただ、自社が提供する専用アプリと三菱 UFJ 銀行の預金口座を連携させると d ポイントがもらえる「d スマートバンク」はあったものの、自前の銀行を持っていない点で出遅れていた。 前田義晃社長も昨年 7 月の朝日新聞のインタビューで「ドコモの金融系サービスを利便性よく使っていただく意味でも口座の機能は重要」と銀行業の意義を説明。 金融機関との連携や買収の可能性に触れ、「相手がいれば 24 年度内の参入を視野に入れたい」と意欲を示していた。 しかし、調整は難航。 親会社 NTT の島田明社長は今年 2 月の第 3 四半期決算会見で「できれば次の決算の発表(5 月)ぐらいまでには結論を出していきたい」と述べていた。 今月 9 日の決算会見ではドコモの前田社長が「3 月までにめどをつけたいと私も豪語していたが、かなわなかったのは残念。 現時点で何も決まっていない。 あらゆる可能性を探っている」と話していた。 (黒田健朗、asahi = 5-29-25) 最新 iPhone、半年遅れの販売 新興大国と「35%」の駆け引き 米アップルのスマートフォン iPhone の最新シリーズ「16」の販売が、世界から半年以上遅れて 4 月に新興大国インドネシアで始まった。 遅れた理由は同国政府が製品の国内販売を禁じてきたためだ。 背景には、巨大な人口を切り札に製品供給網を自国へと引き込もうとする同国と、グローバル企業との駆け引きがあった。 4 月 11 日。 首都ジャカルタ中心部のショッピングモールに、開店時間を前に長蛇の列ができた。 客の目当ては、この日から国内販売が始まった iPhone16 だ。 列の先頭に並んだ自営業のイヴァンさん (26) は、韓国のサムスン電子製のスマホを愛用していたが、トランプ米政権の「相互関税」導入を機に乗り換えを決意したという。 関税合戦の影響を受けて、今後 iPhone の販売価格が上がるかもしれないと思ったためだ。 イヴァンさんは「先頭で並べて幸運だ」と興奮気味に話した。 国内でアップルの認定販売店を運営する小売業者によると、販売価格は 1 台 1,590 万インドネシアルピア(約 14 万円)から。 政府の統計では都市や職種ごとに差はあるものの、国内の平均月収は 500 万ルピアほどとされる。 安い買い物ではないはずだが、整理券を手に行列に並んだ人々が次々と製品を受け取った。 アップルは昨年 9 月に「16」を世界で発売したが、インドネシア政府は iPhone が同国の定める電子機器の「国産化率」の基準に達していないとして販売を禁止した。 製造業振興を目指す同国は、電子機器や医薬品などに、仕入れや製造過程における原材料や作業人員などの現地調達比率を設定。 スマホは 35% 以上とし、従わなければ企業に製品の販売禁止といった制裁を科す。 この措置を巡り、同国と GAFA の一角が綱引きを繰り広げたのだ。 iPhone 16 の販売を巡り、インドネシア政府と米アップルが繰り広げた駆け引きの内容とは。 記事後半では、製造業振興を進めたい同国の背景事情と、トランプ関税の影響について伝えます。 現地報道によると、アップルは同国政府に iPhone ではなく、持ち物の紛失を防ぐための製品 AirTag (エアタグ)の工場を、製造委託先を通じてシンガポールと近接する北西部バタム島に新設すると提案。 これに対して同国工業省は今年 1 月の報道発表で、措置の解除には投資額の更なる積み増しが必要との見解を示した。 事態が動いたのは 2 月。 同省の報道発表によると、同社は AirTag 工場に加えてジャカルタ近郊に研究開発 (R & D) 拠点も新設すると提案。 国内 15 大学と連携し、半導体設計の研究も行うとした。 同国は国産化率の算定にあたって研究開発関連の投資を含める計算手法も採用しており、新提案でアップルが基準を満たしたと判断。 同国政府は同社製品に対する販売禁止措置の解除にようやく同意した。 同国政府には、アップルの製品供給網を国内に引き込む狙いがあったとみられる。 サムスンや中国の OPPO など、競合企業が国内に工場を持つ一方、アップルは生産拠点を持たない。 同国の人口は約 2 億 8 千万人で、印中米に次ぐ世界 4 位。 成長途上の巨大市場へのアクセスをテコに、投資を引き出そうと試みたようだ。 オランダの植民地支配からの独立後、インドネシアはスハルト政権による「開発独裁」期に工業化が進んだ。 だが、中国の台頭により 00 年代に資源ブームが起きると、天然資源に恵まれたインドネシアでも 1 次産品の輸出に依存する構図が強まり、工業化は停滞。 産業構造の高度化を図ろうと、鉱物資源の加工や精錬工程の強化などとともに、製造業振興にも力を注いできた。 約半年間に及ぶ腹の探り合いの末、同国は巨額の投資を引き出すことに成功。 アップルが投資を実行すれば、世界生産の 6 割超を担う AirTag 工場に加え、アジア初という R & D 拠点を国内に抱えることになる。 ただ、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の浜田美紀・上席主任調査研究員は今回の一件について、企業から見れば「事業が政権の方針に左右される、不確実性の高い状況だ」と指摘していた。 そんな同国も、米政権の関税政策を受けて国際環境が激変する中で「現実路線」にかじを切りそうだ。 プラボウォ大統領は 4 月 8 日、国産化率を緩和する方針を示した。 産業振興を目的とした厳しい現地調達基準を理由に、企業が投資を見送る事態の回避に動いた形だ。 米政権から 32% とされた同国への関税についても、報復ではなく、交渉で事態の打開を図る構えだ。 アジアでは人口 14 億人超のインドも、製造業振興策「メイク・イン・インディア」を進める中で、電子機器などに高関税を設定。「高関税の受容か、国内生産か」の選択を企業に迫り、iPhone 工場の誘致などに成功している。 だが、インドも相互関税を受けてトランプ政権との「ディール」に動いており、対米国で市場開放に向かう可能性がある。 (ジャカルタ・河野光汰、バンコク・伊藤弘毅、asah = 5-11-25) ドコモに続いて au も値上げ発表 携帯大手、値下げ競争から転換? KDDI は 7 日、データ通信を無制限で利用できる au のプラン「使い放題 MAX+ 5G/4G」について、8 月 1 日から 330 円値上げすると発表した。 NTT ドコモも 4 月に主要プランの値上げを表明。 ここ数年激化した大手による値下げ競争の転換点となるのか、ソフトバンクや楽天モバイルの動向も注目される。 KDDI は、月額税込み 7,458 円だったのを 7,788 円に引き上げるのと同時に、混雑時の快適な 5G 通信、海外でのデータ通信を月あたり 15 日分まで追加料金なしで使い放題できるサービスなども利用できるようにする。 4 月に当面無料として始めた衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」もプランに組み込んだ。 そのほかの既存プランの多くも 110 - 330 円高くする。 値上げの理由として、電気代の値上がり、建設会社や販売代理店など取引先の労務費の上昇を挙げた。 7 日に会見した竹沢浩・取締役執行役員常務は「昨今の様々なコスト高騰をステークホルダー(利害関係者)の皆様と乗り越え、今とこれからにつながる好循環を推進する」と述べた。 また、ローソンのクーポンなどの特典が得られる定額サービス「Ponta パス」を盛り込んだ、新たなデータ無制限プラン「au バリューリンクプラン」(月額 8,008 円)の提供も 6 月 3 日から始める。 携帯業界では 2020 年ごろから、楽天モバイルの本格参入や菅政権時の「官製値下げ」で価格競争が続いた。 だが、ドコモは主要プランを 1 千円以上値上げし、スポーツ動画配信サービスの見放題などを組み込むと今年 4 月下旬に発表した。 ドコモは物価高の影響を否定している。 (黒田健朗、asahi = 5-7-25) アップル、関税でコスト 1,300 億円増 iPhone インド生産へ 米アップルは 1 日、トランプ米政権による関税によって 2025 年 4 - 6 月期に 9 億ドル(約 1,300 億円)の損失が生じる見通しを明らかにした。 米国で販売する「iPhone (アイフォーン)」の生産を中国からインドに移管することも正式に発表した。 同日の 1 - 3 月期決算説明会で、ティム・クック最高経営責任者 (CEO) が明らかにした。 トランプ関税によるコスト増は、1 - 3 月期にはほとんど影響がなかったが、これから重くのしかかる。 欧州連合 (EU) から 4 月にデジタル市場法 (DMA) 違反で課された制裁金 5 億ユーロ(約 800 億円)を上回る水準だ。 iPhone は現在、米政府が累計 145% の追加関税を課した中国で大半を組み立てている。 影響軽減のため、アップルは供給網を見直す。 クック氏は「4 - 6 月期に米国で販売される iPhone の多くはインド製になる。 タブレット端末 iPad はベトナム製になる。」と語った。 米国以外で販売するものは、引き続き中国で生産する。 (サンフランシスコ・奈良部健、asahi = 5-2-25) ◇ ◇ ◇ 米国向けの iPhone 生産、中国からインドに全量移管へ 英紙報道 英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) は 25 日、米アップルが米国で販売するスマホ「iPhone」の生産を、来年にもすべて中国からインドに移管する方針だと報じた。 トランプ政権の高関税政策の影響をやわらげるため、中国頼りの生産体制を見直す。 アップルは、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)などに委託し、iPhone の大半を中国で生産してきた。 米国で販売する年 6 千万台以上はすべて、来年末までにインドからの調達に切り替えるという。 米中は関税の掛け合いが過熱し、トランプ政権は中国からの輸入品に対して 145% の追加関税をかける強硬姿勢を示している。 スマホは対象から外したが、別途、関税を課すと示唆している。 アップルはコロナ禍で中国の供給網が打撃を受けたことで、インドでも iPhone の生産を手がけていた。 ただ、その多くはインドや周辺国向け。 米国向けの全量をつくるには大幅な生産能力の引き上げが必要だ。 インドに移管するのは完成品の組み立てで、部品の調達も含めた移管は難しいとみられている。 トランプ関税の発表を受け、アップルの時価総額は 7 千億ドル(約 100 兆円)減少した。 アップルは、インドで生産済みのアイフォーンを米国に輸出するなど、対中関税を避けるための対応を急いでいた。 (ワシントン・奈良部健、asahi = 4-25-25) レクサス、購入 2 週間で盗難 悪用された位置情報、ストーカー被害も 福岡市の会社役員の男性 (54) は 3 年ほど前、インターネットの中古車販売情報に心を躍らせた。 念願の高級車トヨタ「レクサス LX」が手頃な価格で売り出されていたからだ。 販売業者は間に入れず、売り主と直接メールでやりとりして購入が決定。 埼玉県内の受け渡し場所に現れた男性に現金約 520 万円を手渡し、12 時間ほどかけて自宅に持ち帰った。 男性が衝撃の事実に触れたのは約 2 週間後。 パーツ交換などのために車を預けた整備業者から電話を受けたときだ。 「すみません、驚かないでください。 車を盗まれました。」 隣町の板金工場から持ち去られたという。 「そんなことが …」と男性は面食らった。 だが、悲劇はレクサスを買った時点で仕組まれたものだった。 実は、窃盗グループが事前にこっそり、米アップル社製の紛失防止グッズ「エアタグ」を車に取り付け、盗む機会をうかがっていたのだ。 エアタグは 2021 年に発売された 500 円玉大の電子機器。 5 千円ほどで買える。 無線通信「ブルートゥース」を使用しており、利用者が初期登録をしておくとスマホ画面上の地図などで現在の位置を確認できる。 財布やバッグに入れておくと、紛失の際に捜しやすくなる。 位置情報を地図に表示 仕組みはこうだ。 まずエアタグが発信する信号を、他人のものも含め周囲にある iPhone などが検知、暗号化。 データを同社のクラウドデータサービスに送信する。 利用者のスマホは、そのデータをもとにエアタグの位置を特定。 地図アプリなどで表示するという。 電池は最低でも1年程度もつ。 窃盗グループはこのエアタグの利便性を悪用し車を捜し出した。 そして、持っていたスペアキーで車を盗んだという。 事件後、福岡県警はグループ 3 人を逮捕。 ただ、男性に車を受け渡した人物がこのグループの一員だったのか、男性には知らされていない。 グループのうちの一人で、有罪となった元暴力団組員の男 (33) の地裁判決によると、男性が車を買った 2 日後にはグループの一員が位置情報をもとに福岡県内でレクサスを捜し回っていた。 「エアタグが取り付けられたことが分からないまま、簡単に居場所がわかられるのは怖い。」 男性は振り返る。 位置情報を知らせる発信器の悪用は、過去にも問題になってきた。 21 年、改正ストーカー規制法が施行され、無断で全地球測位システム (GPS) 機器を取りつけたり、位置情報を取得したりする行為が規制対象になった。 警察庁によると、機器の悪用によるとみられるストーカー事案の相談は 23 年、全国で 486 件。 前年の 2 割増だ。 エアタグについての統計はないが、悪用した事件はすでに他にも確認されている。 福岡県警は 23 年 6 月、元交際相手の女性の車にエアタグを付けて居場所を把握し、つきまとったり待ち伏せしたりしたとして 50 代の男をストーカー規制法違反容疑で逮捕した。 アップル社の本社がある米国では、同社が損害賠償を求められる訴訟も起きている。 ロイター通信によると、2 人の女性が 22 年 12 月、「エアタグによって元パートナーやストーカーから追跡されやすくなった」として同社を提訴。 エアタグについて「ストーカーや虐待者が選ぶ武器だ」と指摘した。 警告出せる機能を公開 また、オハイオ州の地元テレビ局は同年、元交際相手に射殺された女性の車内からエアタグが見つかったことを報じた。 女性はこの元交際相手から送られてきたメッセージで自身の居場所を指摘されていたという。 同社も対策は取っている。 21 年 12 月、意図しないエアタグが周囲に取り付けられた場合に、iPhone 以外のスマホでも警告を出したり、エアタグから音を鳴らせたりするアプリを公開した。 グーグルも 23 年 7 月、端末上で近くのエアタグの有無を調べられる機能を使えるようにした。 ただ、こうした機能を使っても「警告が出るまで、通常 8 時間以上かかる」と IT ジャーナリストで成蹊大の高橋暁子客員教授は指摘する。 警告が出るまでの時間を短くした場合、近くの人のエアタグに反応して、通知が増える可能性が考えられる。 だが、高橋さんは悪用事例が相次いでいることを踏まえ「メーカーには、もっと安全性を重視してほしい」と指摘する。 エアタグが犯罪に利用されるケースがあることを、アップル社はどう受け止めているのか。 同社日本法人の担当者は サイト を紹介した。 そこには見解がこう記されている。 「エアタグは、人々が自分の持ち物を見つけやすくするために設計されており、人や他人の所有物を追跡するためのものではありません。 あらゆる悪用を断固として非難します。」 (上月英興、鳥尾祐太、asahi = 5-1-25) NTT ドコモ値上げ、主要プラン 1 千円以上 DAZN は追加料金なし NTT ドコモは 24 日、新しい料金プランを 6 月 5 日から始めると発表した。 無制限でデータ通信のできる主要プランを 1 千円以上値上げする。 同時に、サッカー J リーグやプロ野球などを見られるスポーツ動画配信「DAZN for docomo(月額 4,200 円)」が追加料金なしで見放題になる。 新プランは「ドコモ MAX」で、月に税込み 8,448 円払うと無制限でデータ通信できる。 前身の eximo (同 7,315 円)より 1 千円以上高くする一方、国際ローミングを 30 ギガまで無料で使えるようにするなどした。 斎藤武副社長は発表会見で、「これまでデータ利用量に応じた料金プランを提供してきたが、バリュー(価値)を盛り込んだプランに一新する」と説明。 物価高の影響は否定し、値上げとの指摘には「その分を上回る価値を入れ込んでいる」と語った。 今後コンテンツサービスの追加も視野に入れているという。 また、0.5 ギガ 550 円などのプランのあった「irumo」をなくし、新プラン「ドコモ mini」で 4 ギガ 2,750円と 10 ギガ 3,850 円を用意した。 オンライン専用プラン「ahamo」は続ける。 (黒田健朗、asahi = 4-24-25) 東京や大阪に「偽基地局」か 携帯つながりにくくなる恐れも 総務大臣「対応している」 村上誠一郎総務大臣は 4 月 15 日の記者会見で、SNS 上で問題視されている「偽基地局」に言及した。 「個々の SNS 投稿の内容の真偽を含め、個別具体的な回答は控えるが、都内周辺で携帯電話サービスの混信事案が発生していることは把握している。 現在関係機関と連携して対応している」と話した。 SNS では 12 日ごろから、都内や大阪府周辺で偽の通信基地局を設置し、携帯電話の通信を妨害したり、中国語のフィッシングメールを送信したりする行為を確認したとの投稿が話題になっている。 記者に一連の事象についての対応を問われた村上大臣は冒頭のように回答し「誰もが安心して電波を利用できる環境の確保に取り組む」とした。 ITmedia News では、実際に偽基地局を確認したという人物や、携帯キャリア各社の対応について取材を進めている。 詳細は別途記事化する。 (ITmedia = 4-15-25) Google の新スマホ「Pixel 9a」国内発表 7 万 9,900 円から デザイン刷新、カメラバンプも極薄に ![]() Pixel 9a が国内発表 9a では、デザインを大幅に刷新。 フレームとエッジともに丸みを帯びていた 8a と異なり、Pixel 9 シリーズと同じくフラットなフォルムに刷新した。 また、昨今のスマートフォンとしては珍しく、カメラバンプの厚みが薄くなっており、凹凸が非常に少ない背面デザインとなっている。 カラーはホワイト系の Porcelain、ブラック系の Obsidian、パープル系の Iris、ピンク系の Peony の4種類を用意する。 Google の最新チップ「Google Tensor G4」を採用し、8GB メモリ、6.3 インチ「Actua ディスプレイ」を搭載。 ディスプレイは、8a よりも 35% 明るいピーク輝度 2,700 ニト(最大輝度 1,800 ニト)を実現し、最大 120Hz のアダブティブリフレッシュレートをサポート。 ディスプレイ内指紋認証にも対応する。 OSは Android15、7 年間の OS アップデートが受け取れる。 ディスプレイのベゼルは厚めだ 同社の AI アシスタント「Gemini」も利用可能。 音声で Gemini と会話できる「Gemini Live」も用意さており、有料プラン「Gemini Advanced」に加入している Pixel 9 シリーズユーザーは、カメラをかざしながら周囲に見えるものについて聞いたり調べたりできる、動画と画面共有機能を順次提供するという。 画像生成機能「Pixel Studio」や、オンデバイスAI「Gemini Nano」も利用可能だが、AI 機能のうちスクリーンショットから情報を読み取る「Pixel Screenshot」、電話の内容を要約するメモ機能「Call Notes」(日本では未提供)には対応しない。 背面カメラには、1,300 万画素の超広角カメラと、4,800 万画素の広角カメラを採用。 広角カメラのセンサーは 1/2 インチと 8a より小型化しているものの、画素数を 6,400 万画素から落とし、ピクセル幅は 8a と同じ 0.8μm をキープ。 レンズも F1.89 から F1.7 に明るくなっている。 また、A シリーズとして初めてマクロフォーカスに対応。 広角カメラでより被写体にせまった撮影が可能だ。 8 倍までの超解像ズームも利用可能。 1,300 万画素のフロントカメラも搭載する。 動画は 4K (背面 30fps/60fps、前面 30fps)に対応。 カメラの AI 機能として、Pixel 9 シリーズに搭載した「一緒に写る」を A シリーズで初搭載。 2 枚の集合写真を 1 枚に合成することで、撮影者を含む全員がそろった写真を生成できる。 また、集合写真などで複数枚撮影した中から各々ベストな表情を 1 枚に合成する「ベストテイク」、生成 AI を使って背景を拡張できる「オートリフレーム」、例えば紅葉や新緑を写真に追加するといった高度な編集加工ができる「編集マジック」の「イマジネーション」機能のほか、消しゴムマジック、音声消しゴムマジック、夜景モード(パノラマ対応)、天体写真機能なども利用可能だ。 フラットデザインのボディは、フレームにサテン仕上げのメタルフレーム、背面に複合素材のマットガラス、前面に米 Corning の Gorilla Glass 3 を採用。 防塵防水は IP68 に準拠する。 重さは 185.9g。 バッテリーは 5,100mAh、最大 23W の急速充電と、Qi 対応のワイヤレス充電をサポートする。 ストレージ別の価格は、128GB モデルが 7 万 9,900 円、256GB モデルが 9 万 4,900 円、純正ケースが 4,900 円。 発売記念キャンペーンとして、27 日までの期間中に購入したユーザーに対し、Google ストアで次回から利用できるストアクレジットを 1 万 5,000 円分プレゼントする。 また、Pixel のほか iPhone SE などの下取りを増額。 例として、iPhone SE(第 2 世代)を下取りに出すと、2 万 5,100 円のキャッシュバックが受けられ、9a が実質 3 万 9,800 円から購入できるとしている。 (ITmedia = 4-9-25) |