中国東北部の飲食店火災で 22 人が死亡 習近平主席が原因究明を指示 中国東北部の遼寧省遼陽市の飲食店で 29 日午後 0 時 25 分ごろに火災が発生し、22 人が死亡、3 人がけがをしたと国営新華社通信などが報じた。 火災があったのは飲食店や銀行などが立ち並ぶエリア。 中国の SNS 上で拡散された動画には、激しく燃え、黒煙が立ち上る様子が映っている。 現地メディアは、火災発生当時、風が強く吹いていたため、燃え広がったという目撃者の声を伝えた。 22 両の消防車が出動し、85 人の消防隊員が現場で救助にあたり、発生から 3 時間後には火の勢いが収まったという。 発生 4 時間後には、習近平(シーチンピン)国家主席が負傷者の救助、犠牲者遺族のサポート、原因の究明などを指示したと国営中央テレビ (CCTV) が報じた。 中国は5 月 1 日から 5 日間の連休で、習氏は、人々の移動や観光が増加するため、各地域と関係部門は安全を徹底するように強調したという。 (asahi = 4-29-25) 地震で崩壊のビル施工の中国企業幹部を逮捕 タイ、死者は 47 人に ミャンマー中部を震源とする地震で、隣国タイの首都バンコクで建設中の高層ビルが崩落した事案をめぐり、タイ捜査当局は 19 日、施工を担った中国国有企業幹部の中国人の男を逮捕したと発表した。 現地メディアが報じた。 外資企業の株式保有率に関する法律に違反した疑いがあるという。 倒壊した 33 階建てビルの施工は中国国有企業「中鉄十局」と、タイの大手ゼネコン「イタリアン・タイ・デベロップメント」の共同事業体が請け負った。 崩落事故では 47 人が死亡し、47 人が行方不明になっている。 バンコク・ポストによると、逮捕されたのは中鉄十局の現地法人の幹部、チャン・チュアンリン容疑者。 そのほか、タイ人幹部 3 人についても逮捕状が出ているという。 タイ当局は、国の安全基準を満たさない鉄筋が使われていた疑いについても、捜査を進めている。 震源地から約 1 千キロ離れたバンコクでは、高層ビルの外壁が損傷するなどの被害が相次いだが、建物そのものが崩落する事故は、このビル以外に伝えられていない。 (大部俊哉、asahi = 4-20-25) ◇ ◇ ◇ バンコクで崩壊の建設中のビルは中国とタイの会社が建設 ミャンマーの大地震の影響で隣国タイの首都バンコクで倒壊した建設中のビルについてタイの建設会社と中国の国営建設会社が工事を請け負っていたと地元メディアが伝えました。 タイの地元メディアは、バンコクで倒壊した建設中のビルについて、工事を請け負っていたのはタイの建設会社と中国の国営建設会社(中鉄十局)だったと伝えました。 工事は 2020 年に始まり、全体の 39% まで進んでいたとしています。 また、中国メディアの「財新」はこの中国の建設会社が海外で受注した初めての超高層建築ビルだったとも伝えています。 ビルが倒壊した後、中国の建設会社の公式 SNS からこのビルに関する情報が見られない状態になっていて、削除されたとみられます。 (FNN = 3-29-25) 中国でトランプ大統領がミシン作業する AI 画像が SNS で拡散、米中貿易戦争激化で 米紙報じる トランプ米政権が中国からの輸入品に対する追加関税を引き上げて合わせて 145% になったことに対抗し、中国も米国からの輸入品の税率を 125% にひきあげる報復関税を発表。 米中の貿易戦争が激化する中、中国の SNS では人工知能 (AI) が生成したトランプ大統領が工場で働くミームや動画で米国をやゆし、貿易戦争をあおる動きが広まっているという。 米ニューヨーク・ポスト紙によると、トランプ大統領と米実業家で米政権の政府効率省 (DOGE) を率いるイーロン・マスク氏、ヴァンス副大統領が、青いジャンプスーツの作業着を着て並んでナイキのスニーカーを組み立てるフェイク画像などが拡散されているという。 ほかにも、トランプ大統領が縫製工場でミシン作業をする動画やヴァンス副大統領が iPhne を組み立てる画像なども出回っている。 「メーク・アメリカ・グレイト・アゲイン (MAGA : 米国を再び偉大な国にする)」のスローガンをもじって「メーク・アメリカ・ゴー・アウェー(アメリカよ、消えふせろ)」と描かれた赤いキャップを被るペンギンの画像などもあり、反米感情をあおるものも多い。 ベトナムに製造拠点のあるナイキなど米アパレルブランドの多くがアジアで製品を作っていることから関税の影響が指摘されており、iPhone も同様に関税によって価格が大幅値上げされる可能性が取り沙汰されている。 (ロサンゼルス・千歳香奈子通信員、日刊スポーツ = 4-13-25) 中国航空会社の「超薄座席」が物議 - 中国メディア 2025 年 4 月 10 日、中国能源網は中国南方航空の旅客機で「超薄座席」が導入されたことが物議を醸したと報じた。 記事は、中国南方航空がこのほど新型の「超薄座席」を導入したことを紹介。 新しい座席は従来の旅客機の座席よりも大幅に薄くなっており、軽量化、省スペース化によって機体 1 機あたり 14 - 28 席を増やせ、年間で最大 3 億元(約 60 億円)の収益増につながることが見込まれると伝えた。 そして、実際に搭乗した乗客からは「まるで刃物のような椅子」、「拷問椅子のようだ」と不快感を訴える声が続出、「LCC みたいな座席」、「高速鉄道の普通座席より狭い」、「腰が痛くて長時間は無理」といった批判的な投稿が SNS に相次いで寄せられているとした。 一方で「短距離なら我慢できる範囲」、「思ったほど悪くない」という肯定的な声もあり、ネットユーザーの間では賛否両論となっていることを紹介した。 その上で「超薄座席」の導入は航空会社のサービス簡素化の一環であり、このような取り組みは南方航空に限られた動きではないと指摘。 東方航空や厦門航空など他の航空会社でもみられ、一部の路線では「水とパンのみ」といった簡易機内食が提供されるケースも報告されていると伝えた。 記事によると、航空各社がサービスの簡素化を進める背景には各社の深刻な業績悪化があるという。 南方航空は 24 年に約 17 億元(約 340 億円)、東方航空は約 44 億元(約 880 億円)の純損失を計上しており、コスト削減と収益回復のためエコを強調して機内サービスの簡素化を進める「グリーンフライト」や機内食の事前予約制といった施策を次々と打ち出している。 記事は最後に、中国社会科学院財経戦略研究院の魏翔(ウェイ・シアン)研究員による解説を紹介。 魏氏は航空業界が業界再編の波に飲まれる中、一部航空会社はサービス品質低下を余儀なくされ、消費者から LCC 扱いされることになると指摘した上で、航空会社側がこの変化をポジティブに受け入れれば合理的なサービス調整ができるが、フルキャリアとしての位置づけにこだわりすぎると戦略と現実のギャップが生じてブランド危機、ひいては経営危機に陥る可能性があるとした。 そして、消費者の価格志向が進む中でコスト調整を余儀なくされている航空会社は、限りあるコストで安全性や利便性、基本的なサービス品質の確保を優先的に取り組む必要があるとの認識を示した。 (川尻、Record China = 4-12-25) 老人ホームで火災、20 人死亡 中国・河北省承徳、当局が原因調査 中国国営新華社通信によると、中国北部の河北省承徳の老人ホームで 8 日夜に火災があり、9 日午前 3 時までに 20 人の死亡が確認された。ほかの入居者も近くの病院に搬送され、治療を受けているという。 地元当局は火災の詳しい状況や原因の調査を始めた。 承徳は北京の約 200 キロ北東にあり、清朝の皇帝が利用した避暑山荘などがある。 老人ホームのある隆化県は承徳市中心部からさらに北に約 50 キロに位置する。 (北京・畑宗太郎、asahi = 4-9-25) バッテリーが突然! 高層マンションの一室でいきなり爆発 中国・山東省 高層マンションの一室が突然、爆発。 炎が噴き出し、コンクリート片などが飛び散りました。 現場は中国東部・山東省の青島。 街に爆発音が響き渡りました。 部屋の住人は当時、不在で負傷者はなし。 まもなく火は消し止められましたが、室内は …。 消防によりますと、原因は電動スクーターで使用するリチウムイオンバッテリーと判明。 現場には焼けて骨組みだけとなったスクーターが残されていました。 中国では電動自転車やバイクのバッテリーが爆発し、炎上するケースが相次いで発生。 建物内にバッテリーなどを持ち込めないように対策が進められています。 しかし今回、爆発が起きた部屋の住人は改造スクーター 2 台とともにバッテリーを室内に保管。 しかもバッテリーは違法に電圧のリミッターが外されていて、それらが連鎖的に爆発したとみられています。 この事故を受け、現地当局は違法に保管されたバッテリーがないか調査を始めたということです。 (テレ朝 = 4-7-25) 中国の若者に広がる「日本式地下アイドル」の実態 中国のライブハウスやイベントスペースでは、地下アイドル(地下偶像、略称 : 地偶)が日本語で歌を歌い、中国人ファンが応援する … そうしたカルチャーが上海を中心に中国各地に広がっている。 日本の地下アイドル文化を元にしているため、アイドルとファンとの距離が近いのが特徴で、SNS や動画プラットフォームを活用してファンとコミュニケーションを取り、独自のファン文化を築いている。 地下アイドルは男女問わず存在し、音楽スタイルやパフォーマンスは J-POP が多いが、K-POP ベースのほか中国の土地の習俗や伝統を取り入れた歌などもありジャンルは広がっている。 はじまりは日本のコンテンツで、やがて中国独自のコンテンツが増えていったというのは、動画プラットフォーム「ビリビリ」の成長過程にも似ている。 中国地下アイドル市場の急成長 2023 年は 91組の地下アイドルグループが新たに誕生し、「中国地下アイドル元年」と呼ばれた。翌 2024 年には 174 組が結成され、2025 年には 1 月 - 2 月だけで 25 組がデビューしている。 なかでも上海、北京、成都などの大都市で盛んだ。 特に上海では毎週およそ 10 公演が行われ、例えば南京東路の第一百貨店 7 階「世界樹」劇場では定期的にライブが開催される。 ビリビリ動画などで「地偶」を検索すれば多数の地下アイドルの動画が確認できる。 地方がコンテンツとして弱いかというとそんなことはない。 吉林省長春の地下アイドル「Blossom」は、地元の高麗人参、長白山、黒龍江、アムールトラなど地元自慢を盛り込んだ中国語の歌のライブ動画を配信し、ビリビリで 500 万回を超える再生数を記録。 この動画をきっかけに「中国東北地方にも地下アイドルがいる」というワードが SNS でトレンド入り、地下アイドルというニッチなカルチャーがマスで話題になる初めてのケースとなった。 地下アイドルのライブチケットは有名アーティストのコンサートよりもずっと安く、イベントの規模に応じて数十元 - 200 元程度(約 200 円 - 4,000 円)で、中には無料のときもある。 最近、中国の若者の間では、コストパフォーマンスを意識する傾向が強まっている。 アイドルのすぐ近くでライブが見られて、しかも安いとなればお気に入りのエンタメになるのも納得だ。 チケットの売上は主催者が回収し、アイドルやマネージメント会社には入らない。 イベントで行われるメッセージ入りのチェキ(40 - 100 元程度)や握手・会話などができるスペシャルチケットの売上が地下アイドルの収入となる。 「稼げない」という過酷な現実 地下アイドルを追いつづける理由を調べてみれば、「ビジュアルの魅力や歌やダンスのスキルよりも、パフォーマンスのために一生懸命努力している姿に惹かれる」という意見が多い。 また「世間の目を気にすることなく職場や学校での立場を忘れて、一般人に近い等身大の姿のアイドルとコミュニケーションができ、友達のような親近感を感じることができるというのが大事」なんだという。 そのため、地下アイドルが収入を得るためには歌唱力やダンスのスキル向上も大事だが、それ以上にファンに適切な対応ができるかがポイントとなる。 ファンの名前やアカウント名を覚えるだけでなく、ファンと SNS で交流したり、ファンの SNS の投稿内容を把握して次の会話に活用するといったファンサービスをする人も珍しくない。 さらに、アイドル自身の今後の方向性について、ファンと直接意見を交わすこともあり、アイドルはファンからより直感的で具体的かつ即時のフィードバックを得る。 一方的なアウトプットではなく双方向のインタラクションというのが地下アイドルの魅力的なところだ。 しかし、地下アイドルだけで生計を立てることができるのはごく一部に限られる。 多くの人がほかの仕事やアルバイト、学業と両立しながら活動を続けている。 朝日中は仕事や学校に通い、夜に集まって数時間のダンスや歌の練習を行い、ファンサービスの方針を相談し共有する。 練習場のレンタル代や衣装代は基本的に自己負担で、活動を続けること自体が赤字になりがちだ。 うまく名を売って稼げるようになればアイドル一本で生きようとはするが、多くは数年やっても稼げないため、地下アイドルの引退を余儀なくされる。 新しい地下アイドルグループは増えてはいる一方で、メンバーが脱退したりグループがなくなったりすることも茶飯事だ。 ファンは追っては去っていくのを見届けるのを繰り返すわけだ。 ところで中国の地下アイドルのステージを見てみたいと思う読者もいるかと思う。 客層は日本よりも若く、多くは 20 代から 30 代の男性だ。 中国のサブカル趣味の年齢層はあがってはいるものの、各種 SNS や記事を見ていると、40 代以上の男性がアイドルを追いかける姿はまだ共感をする人が少ないように思える。 面白そうだからと中国の地下アイドルのライブを見に行こうとするのは若い人にとめておくほうがいいだろう。 ただ日本にはそれ以外にもニーズがある。 日本特有のサブカルから転じたものなので、多くの地下アイドルグループが日本の曲をカバーし、著作権的にはグレーゾーンで活動している。 「中国語のオリジナル曲を増やしたらファンの反応が悪かったため、日本語のカバー曲を追加した」といった事例もある。 K-POP で踊るのはどうかという相談には「日本料理店で韓国料理を食べるか?」という返信があるという話も。 そうした背景から、日本語オリジナル曲のニーズがどうも結構あるのだ。 (山谷剛史、36Kr Japan = 3-22-25) 中国海軍の戦闘機が海南島で墜落、地面に突っ込み炎と黒煙が立ち上る - 台湾メディア 台湾メディアの壹蘋新聞網によると、中国軍で海南島などを管轄する南部戦区海軍の戦闘機 1 機が 15 日午後 1 時半ごろ、訓練中にコントロールを失い、同島北部の臨高県加来鎮付近の空き地に墜落した。 中国海軍は公式 SNS で戦闘機 1 機が墜落したことを認めた。 パイロットはパラシュートを使って脱出に成功し、地上での被害はなかったとしている。 ネット上では、J-15 とみられる戦闘機が地面に突っ込み炎と黒煙が立ち上る様子を捉えた動画が拡散した。 南部戦区海軍は「事故の処理を進め、原因についてさらに調査し確認する」とコメントした。 (柳川、Record China = 3-16-25) 中国の元配達員、困窮者に無料で食事提供 美談の裏にもう一つの現実 中国・上海で困窮した人に無料で食事を提供する店が現れている。 振る舞うのは、かつてフードデリバリーの配達員をしていた店主ら。 美談の裏には、経済が変調するなかで、公的なセーフティーネットの整備が進まない現実も見え隠れする。 青や黄色のヘルメットをかぶった配達員たちが電動バイクに乗って縦横無尽に行き交う大都市・上海。 通り沿いに、目を引く赤字の看板がある。
さまざまな野菜を調味料に絡めて食べる、重慶名物の冷菜を提供する庶民的な店だ。 店頭で申し出れば、無料で提供している。 助けを求めに来るのは 1 日に数人。 「春節(旧正月)の後はいない日の方が少ない。 上海に来て仕事のない人や社会に出たばかりの人です。」 店主の宋凡祥さん (37) はそう語る。 宋さんは、中国東北部の黒竜江省の出身。 上海などの沿海部よりも発展が遅れているとされる地域だ。 故郷でロシアとの貿易業を営んでいたが、通貨が急落し、事業を続けられなくなった。 2021 年、上海に。 「上海に出稼ぎに来る人は起業に失敗したか、失業した人ばかり。 投資が必要ない配達の仕事は最も向いている。」 宋さん自身も配達員となった。 だが、現実は甘くなかった。
当初ポケットには 20 元(約 400 円)しかなく、毎日 17 - 18 時間、解体現場の仕事と掛け持ちして食いつないだ。 食事はバイクの上。 ネットカフェではパソコンを起動する金もなく、店員に頼んで空いている席に寝させてもらった。 土砂降りの雨で転倒し、商品をぶちまけたこともあった。 宋さんはその後、人づてに支援を得て始めた店を繁盛させ、今では複数の従業員を抱えるまでになった。 困難に直面する人たちを見て、「昔の自分を見ているようだ」と感じ、無料で食事の提供を始めた。 共産党系のメディアによると、上海には今、宋さんの店のような「無料の食事」の看板を掲げる店が増えているという。 宋さんは語る。 「自分の衣食住が解決したから、同じように雨にぬれている人に傘をさしてあげようと考えた。 ひとつの場所に落ち着き、食べていけること、医療を受けられること、それが人々の最も関心があることです。」 国営新華社通信によると、近年フードデリバリー業界は急成長し、中国全土で配達員は 1 千万人超、1 日 8 千万件の注文が飛び交う。 一方、運営業者と雇用関係にない配達員たちの社会保障は脆弱で、経済メディアは「裸で走っているようなもの」と表現する。 配達中の事故や病気で高額の医療費を払えなくなる配達員の存在も問題化。 今年 2 月、新規参入の業者が配達員に社会保険を提供することを表明して注目された。 だが、流動性の高い業界において給与の圧迫につながる可能性もあり、二の足を踏む業者も多い。 現役配達員の男性 (27) は月 1 万元(約 20 万円)を稼ぐが、「4 年前は 1 日 7 時間で稼げたのが最近は 10 時間以上かかる」と経済の変調を嘆く。 「今は給与額を優先せざるを得ない。」 公平な社会を求め、収監も 昨夏、上海の配達員たちの悲哀を描いた映画「逆行人生」が評判を呼んだ。 IT 企業をリストラされ、家族に隠して配達の仕事をする中年男性が主人公。 ライバルがひしめく中、店員と人脈がないと配達する商品を手にするのにも時間を取られ、配達が遅れれば客にののしられる - -。 ヒットの背景には、豊かな暮らしが長くは続かないのではないかという不安感が広まっていることがありそうだ。 当局にとっても望ましい状況ではない。 昨秋、中国では無差別殺傷事件が相次いだ。 社会では競争からこぼれ落ちた者が報復しているとの受け止めが広がった。 当局が厳罰姿勢や監視を強めた年末以降は沈静化し、李強(リーチアン)首相は 5 日の全国人民代表大会で「社会の安定を守った」と報告した。 ただ、当局は公的なセーフティーネットを確立するよりも、問題を顕在化させないことに神経をとがらせているように見える。 共産党系メディアが無料で食事を提供する店を美談として取り上げる一方、当局はセーフティーネットを求めるデモに関係した人物を処罰するなどしている。 広東省深セン市の張海さん (55) は 23 年 2 月、湖北省武漢市で起きた医療手当の削減に抗議するデモに関連し、国外メディアの取材を受けたとして騒動挑発の罪で 1 年 3 カ月にわたり収監された。 医療手当について高齢者の命を救うお金だと答えただけだった。 「公平・公正な社会になってほしい。」 そう願って出所後も発信を続けている。 (上海・小早川遥平、asahi = 3-10-25) 中国のガソリンスタンド、電気自動車普及で「廃業ラッシュ?」 5 年以内に約 2 万軒が消える 中国で電気自動車の普及が進む中、今後 5 年以内に国内のガソリンスタンド約 2 万軒が廃業するとの予測が示された。 中国石油グループ経済技術研究院が発表した「2024 年国内外石油ガス産業発展報告」によると、現在約 11 万軒ある中国内のガソリンスタンドは 2030 年までに 9 万軒へと減少する見通しだ。 新エネルギー車(電気自動車、ハイブリッド車、水素燃料車)の普及拡大に伴い、ガソリン需要が縮小することが要因とされる。 中国における新エネルギー車の販売台数は 2023 年に前年比 41% 増となり、過去最高を記録した。 2024 年時点で累計台数は 3,140 万台を超え、全自動車の 8% 以上を占めるに至っている。 こうした変化を受け、一部のガソリンスタンドは顧客確保のため、電気自動車向けの充電設備の設置や、コンビニやカフェの併設など新たな取り組みを進めている。 しかし、売上の減少を補うには至らず、廃業を余儀なくされる事例も増えるとみられる。 (佐藤美穂、江南タイムズ = 2-27-25) 中国アニメ映画が空前ヒット 興行収入 2 千億円超、日本でも公開予定 中国で春節(旧正月)に公開された中国のアニメ映画「ナタ 2」が空前のヒットとなっている。 国営中央テレビ (CCTV) は、興行収入が歴代 1 位になり、13 日には 100 億元(約 2,100 億円)を突破したと伝えた。 アジア映画で歴代トップに立ち、世界で 17 位に付けている。 日本でも公開予定という。 この映画は、2019 年に公開された「ナタ 魔童降臨」の続編で、西遊記にも登場する子ども姿の神を主人公にしたファンタジー。 最新の CG 技術を駆使した映像が評判を呼んでいる。 中国メディアによると、1980 年生まれの餃子監督は、幼少期に日本のアニメ「ドラゴンボール」や「聖闘士星矢」の影響を受けたという。 世界トップ 10 も視野に CCTV は、中国初の 2 億人動員、単一市場の興行収入で「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を抜いて世界 1 位など、連日の記録更新を伝えている。 景気の不調で映画市場の失速も伝えられていただけに、国を挙げて人気作をもり立てようという狙いがみえる。 中国では、コストパフォーマンスを重視する消費者が増えている。 香港メディアは映画鑑賞が低コストの娯楽として依然人気があり、高品質の作品の需要は高いと分析。 AI (人工知能)の予測として、興行収入が 145 億元(約 3,040 億円)を超え、世界トップ 10 に入るとの見方を伝えている。 作品を見るために何度も映画館に通う人もおり、現時点の人気は中国国内が支える。 14 日に米国で公開される予定で、国外でも受け入れられるかが最終的な興行収入を左右しそうだ。 (上海・小早川遥平、asahi = 2-14-25) 人口減の中国で続く出産への「政府介入」 若者からは冷めた反応 「鉄鎖(てっさ)の女性」の存在が中国社会を震撼させてから 3 年が過ぎた。 これまでの中国取材のなかでも、ひときわ印象深い事件だった。 北京冬季五輪の開催を翌月に控えた 2022 年 1 月、中国東部の江蘇省徐州市豊県で撮影された女性の動画が拡散した。 真冬にみすぼらしい小屋で、首を鎖につながれて閉じ込められていた。 女性は人身売買の被害者で、「夫」との間に 8 人の子どもがいた。 1999 年に長男を出産。 2011 - 20 年に 7 人の子どもを産み、この間に精神障害が悪化したという。 「夫」には 23 年 4 月、虐待と監禁の罪で懲役 9 年の一審判決が下されている。 著しい経済発展を遂げた中国で、こんなことが起きうるのかという衝撃が広がった。 女性が誘拐と売買の対象とされることへの怒りとともに、次のような反応も相次いだ。 「一歩まちがえれば、鎖につながれていたのは自分だったかもしれない」、「(北京冬季五輪で国民的スターとなった)谷愛凌選手のような優秀な人間にはなれないけれど、私、娘、孫娘と鉄鎖の女性の差はほんのわずかだ。」 鎖という強烈な表象が「女性の人権」をクローズアップさせた背景には、女性の誘拐と人身売買が中国で 80 年代から社会問題になってきた経緯がある。 男尊女卑の考え方や貧困に加えて、要因の一つとして指摘されているのが、「一人っ子政策」の影響で男性の比率が高くなったことだ。 農村部などで結婚相手がいない息子のために女性を買って連れてくる、という発想につながった。 産児制限の現状、「事実上の撤廃」という表現は適切か 一人っ子政策は人口爆発を恐れた中国政府が 79 年に始め、2015 年まで続けた。 産児制限は徐々に緩和され、16 年に 1 組の夫婦が 2 人まで、21 年には 3 人まで産むことが認められた。 3 人まで産めるようになったことを「産児制限の事実上の撤廃」と表現する人もいるが、ここで忘れてはいけない問題がある。 産める人数は「人口・計画出産法」で定め、国家権力が出産という極めて個人的な領域に介入する考え方は変わっていないのだ。 少子高齢化は食い止められず、中国の人口は 22 年末に 61 年ぶりの減少に転じた。 今年 1 月に発表された 24 年末の人口は、1949 年の建国以来初めて 3 年連続のマイナスを記録した。 人口減社会に突入したいま、中国政府は結婚と出産の奨励に躍起だが、価値観が多様化した若者らを思い通りに誘導することは難しい。 結婚の機運を盛り上げようと昨年 9 月に政府が主導して開いた 1 万人規模の合同結婚式に対しては、冷ややかな反応が見られた。 中絶の強制などによる悲劇を招き、人口構成をゆがめた一人っ子政策と、現在の出産奨励。 対極にある動きだが、人口をコントロールしようという姿勢は同じだ。 「産むな」とか「産め」とか都合良く求めるのはやめてほしいとの思いが、若者らを出産からさらに遠ざけているように見える。 (金順姫、asahi = 2-13-25) 中国四川省で大規模な土砂崩れ 1 人死亡、28 人と連絡取れず 中国四川省宜賓市の山間部で 8 日午前 11 時 50 分(日本時間同午後 0 時 50 分)ごろ、大規模な土砂崩れが起きたと、国営中央テレビ (CCTV) が伝えた。 1 人が死亡、2 人が負傷し、28 人と連絡が取れなくなっており、現地で救助作業が続いている。 この土砂崩れで住宅 10 棟が土砂に埋まったという。 CCTV の映像には、山頂付近から広い範囲で斜面が崩れ、周辺が大量の土砂に覆われている様子が映っている。 習近平(シーチンピン)国家主席は行方不明者の捜索に全力を挙げるよう指示を出した。 (瀋陽・金順姫、asahi = 2-9-25) 中国・瀋陽の食品市場で爆発 習氏が視察したばかり 情報統制か 香港紙「星島日報」は 26 日、中国東北部・遼寧省瀋陽市内の食品市場で爆発が発生したと報じた。 この市場は、習近平国家主席が 23 日に春節(旧正月)前の視察として訪れたばかりだった。 当局による発表はなく、爆発の原因や被害状況は明らかにされていない。 星島日報などによると、爆発は 26 日正午過ぎに、同市瀋河区の「大東副食品商場」入り口付近で発生。 爆発後、周辺地域は一時閉鎖されたという。 市場周辺は 29 日に春節を迎えるのを前に、買い物客でにぎわっていた。 海外の SNS (ネット交流サービス)に投稿された爆発直後とみられる映像には、血を流して倒れる人々や、大きく破損したバイク、自動車などが映っていた。 一部の中国メディアも 26 日に爆発の一報を伝えたが、当局が規制したのか、現在は閲覧できなくなっている。 (北京・岡崎英遠、mainichi = 1-27-25) |