コメから基準値超のカドミウム、業者が回収へ 秋田県「影響ない値」 秋田県は 4 日、小坂町の農事組合法人「熊谷農進」が生産したコメから基準値を超えるカドミウムが検出されたと発表した。 県内のほか、横浜市や仙台市など 4 業者を通じて流通した約 86 トンのうち一部から基準値超えのカドミウムが検出された。 県は「数十年という長期的に摂取した場合でも健康に影響はないとされる値」としているが、出荷先の業者が自主回収に動いている。 食品衛生法では、カドミウムの濃度 0.4ppm を超えるコメの流通を禁じている。 今年 3 月、東北農政局が県に基準値を超えたコメが流通しているという情報を提供。 県が調べたところ、熊谷農進が昨年 9 - 10 月に 4 業者に対して出荷したコメのうち、1 業者のコメから 0.47 - 0.87pmm のカドミウムを検出したという。 県によると、86 トンのうち少なくとも約 29 トンは在庫として残っている。 さらに約 8 トンは産廃処理されているといい、残る約 50 トンについて自主回収などを進めているという。 原因について、熊谷農進などによると、夏場に田んぼに十分に水をはってカドミウムの吸収を抑える「湛水管理」がうまくいかなかったことが原因と考えられるという。 出荷前にカドミウム濃度検査をするよう県は指導しているが、熊谷農進はしていなかった。 熊谷聴代表理事は「考えが甘かった」と謝罪した。 (隈部康弘、asahi = 4-4-25) ホンダ車 220 万台調査 エンジン不具合巡り 米当局 【ニューヨーク】 米運輸省道路交通安全局 (NHTSA) は 28 日、ホンダが米国で販売した約 220 万台を対象に、エンジンの不具合に関する本格的な調査を始めたと発表した。 リコール(回収・無償修理)につながる可能性がある。 調査対象は 2016 - 25 年型の「パイロット」、18 - 25 年型の「オデッセイ」など 6 車種。 NHTSA は、該当車種が信号待ちなどで停車後にエンジンが自動で再始動しないとの苦情が寄せられたことを受け、22 年に予備調査を開始。ホンダは対策を講じたが、NHTSA には引き続き同様の苦情が寄せられているという。 NHTSA によると、不具合に関連したとみられる衝突や火災の事故が 4 件、負傷事故が 2 件報告されている。 (jiji = 3-29-25) 東北新幹線、約 7 時間半ぶりに運転再開 東北新幹線は、強風の影響で東京駅と盛岡駅の間の上下線で運転を見合わせていましたが、午後 6 時 10 分に全線で運転を再開しました。 JR 東日本によりますと、東北新幹線は、午前 10 時半ごろから仙台駅から白石蔵王駅間を中心に強風が吹いていたため、東京駅から盛岡駅の上下線で、運転を見合わせていました。 その後、JR 東日本は風が弱まり、複数の架線に付着をしていたビニールなどの飛来物の撤去も終了したとして、午後 6 時 10 分、およそ 7 時間半ぶりに上下線で運転を再開させました。 ただ、今後の気象状況によっては、強風により速度を落として運行する可能性もあるとしていて、大幅な遅れが生じる可能性があるとしています。 (TBS = 3-26-25) ドコモ「d 払い」で通信障害、スマホ決済使えず 設備故障が原因 NTT ドコモは 26 日、スマートフォンの決済サービス「d 払い」で通信障害が発生したと発表した。 同日午後 5 時半ごろから、スマホを使った店舗での支払いができなくなっているという。 設備の故障が原因で、復旧の見通しは未定という。 (村井七緒子、asahi = 3-26-25) 英ヒースロー空港閉鎖 日本の航空会社にも欠航など影響 イギリス・ロンドンのヒースロー空港が近くの変電所で発生した火災の影響で停電し、21 日いっぱい閉鎖されることを受け、日本の航空会社にも欠航などの影響が出ています。 日本航空はロンドンに向けて午前 1 時すぎに羽田空港から出発した便の目的地をフィンランドのヘルシンキに変更したほか、午前 10 時ごろに出発した便は羽田空港に引き返しています。 このため、21 日にロンドンを出発予定の 2 便は欠航するということです。 全日空も午前 10 時すぎに羽田空港から出発した便が引き返しています。 この便は 22 日、再出発できるように調整しています。 (テレ朝 = 3-21-25) テスラが EV「サイバートラック」をリコール 米販売のほぼ全車両 米電気自動車 (EV) 大手のテスラは、走行中に外装のパネルの一部がはずれて事故が起きる可能性があるとして、「サイバートラック」約 4 万 6 千台をリコール(回収・無償修理)する。 事故は確認されていないという。 米運輸省高速道路交通安全局 (NHTSA) が明らかにした。 対象は、2023 年 11 月から今年 2 月までに製造された車両。 この車種では、米国でこれまでに販売された、ほぼすべての車両が対象となるとみられる。 主力モデルに比べると販売台数は少なく、経営への直接の影響は小さいとの見方がある。 ただ、トランプ米政権の中枢に入ったイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) が政府職員の人員削減の旗振り役となっていることやその政治的な発言などへの反発から、全米で不買運動や抗議が続いている。 今回のリコールが、テスラにとってさらなる打撃となる可能性もある。 サイバートラックは角張ったデザインが特徴で、発売当初から話題を呼んでいた。 今年 1 月には、米ラスベガスの「トランプ・インターナショナル・ホテル」の前で爆発を起こして 1 人が死亡、7 人が負傷した自爆テロ事件があった。 (サンフランシスコ・奈良部健、asahi = 3-21-25) 機内でモバイルバッテリー禁止に 相次ぐ安全対策 火災事故の影響か アジア各国・地域の航空会社で、携帯電話などを充電するモバイルバッテリーの利用を機内で禁止・制限する動きが相次いでいる。 韓国で起きた旅客機の火災事故の影響が指摘されており、各社が対応に追われている。 日本人の乗客も多いタイ国際航空は今月に入り、「パワーバンク(モバイルバッテリー)との関連が疑われる機内火災を受け、新たな安全対策を導入した」として、15 日から機内での利用を禁止すると発表。 「乗客および乗務員の最高レベルの安全を確保するため」と説明する。 シンガポール航空も 4 月 1 日から飛行中のモバイルバッテリーの利用を禁止すると発表。 台湾の中華航空やエバー航空などは同様の措置をすでにとっている。 航空各社はこれまでも、モバイルバッテリーを預け入れ荷物の中に保管するのを禁じてきたが、安全対策をさらに強化した形だ。 こうした動きは、韓国南部・釜山の国際空港で 1 月に格安航空会社 (LCC) の旅客機から出火した事故後に相次いでいる。 出火原因は調査中だが、韓国メディアは機体後方の荷物棚から煙と火が出たという目撃者の情報を伝えており、モバイルバッテリーや電子機器から火が出た可能性がある。 事故後、韓国の航空会社はモバイルバッテリーを機体の荷物棚に保管することを禁じ、手元に置くよう求めている。 (ニューデリー・石原孝、asahi = 3-14-25) トヨタが稼働を再開へ ダイハツ・スズキは停止継続 取引先事故で トヨタ自動車は 12 日、仕入れ先の爆発事故の影響で止めていた完成車工場について、部品調達のめどが立ったとして 13 日夕方から稼働を再開すると明らかにした。 同じく生産を止めているダイハツ工業とスズキは稼働停止を継続するという。 再開するのは、10 日から止めていた高岡工場(愛知県豊田市)の1ラインと、豊田自動織機長草工場(同県大府市)の 2 ライン。 「RAV4」と「ハリアー」を生産していた。 一方、ダイハツは滋賀第 2 工場(滋賀県竜王町)と、トヨタ車の生産を受託する京都工場(京都府大山崎町)の稼働を 15 日まで止める。 スズキは湖西第 2 工場(静岡県湖西市)の 1 ラインを 13 日まで止める。 いずれも 10 日から稼働を停止しており、再開は今後の状況をみて決める。 事故は 6 日朝、トヨタの系列部品メーカー「中央発条」の藤岡工場(愛知県豊田市)の第 3 工場で発生。 従業員 1 人が死亡し、2 人がけがを負った。 同社が手がけるばね部品は製造する部品メーカーが限られており、影響が広がっている。 中央発条は 12 日、事故が起きた生産ライン以外は第 3 工場の安全を確認し、11 日午後から生産を再開したと発表。 部品供給が滞る中、代替生産も進めているという。 (稲垣千駿、asahi = 3-12-25) ◇ ◇ ◇ トヨタ系部品メーカーの工場で爆発、1 人死亡 2 人けが 愛知県豊田市 6 日午前 8 時ごろ、愛知県豊田市深見町のトヨタ自動車の関連会社「中央発条」の藤岡工場で爆発があったと従業員から消防に 119 番通報があった。 豊田市消防本部によると、40 歳の男性が死亡し、40 代と 50 代の男性が軽傷を負った。 工場内にある集じん機が爆発したという。 中央発条は主にばね製品を手がける部品メーカー。 藤岡工場では 2023 年 10 月にも爆発事故があり、トヨタの完成車工場が約 10 日間にわたって稼働を停止。 トヨタグループの国内全 14 工場 28 ラインのうち、最大で 8 工場 13 ラインが止まる影響が出た。 (asahi = 3-6-25) 東北新幹線の連結運転中止、14 日まで延長 事故原因特定できず 東北新幹線上野 - 大宮駅間を走行中の「はやぶさ・こまち 21 号」の連結器が外れた事故で、JR 東日本は 8 日、東北新幹線と秋田、山形両新幹線との「連結運転」の中止を 14 日まで延長すると発表した。事故原因を特定できていないためで、15 日以降の運転計画は未定としている。 連結運転の中止により、秋田新幹線「こまち」は秋田 - 盛岡間、山形新幹線「つばさ」は新庄、山形 - 福島間での折り返し運転を続けている。 (細沢礼輝、asahi = 3-8-25) ◇ ◇ ◇ 連結部分が外れて停車した東北新幹線 午後 2 時 34 分ごろに運転再開 6 日午前 11 時半ごろ、東北新幹線上野 - 大宮間を走行中の新青森・秋田行き「はやぶさ・こまち 21 号」の車両の連結部分が外れ、分離して停車した。 この影響で、東北、上越、北陸新幹線は全線で運転を見合わせていたが、午後 2 時 34 分ごろ運転を再開した。 JR 東日本によると、はやぶさ(10 両編成)には約 450 人、こまち(7 両編成)には約 200 人が乗車中。 けが人はいないという。 車内は空調は正常に作動している。 両列車はそれぞれ大宮駅まで運転し、同駅で運転を打ち切った。 連結の仕組みは 昨年 9 月には東北新幹線「はやぶさ・こまち 6 号」が宮城県内を時速約 315 キロで走行中、連結部分が外れ、両列車が分離した状態になった。 JR 東日本の当時の調査によると、こまち 6 号の運転台パネルの裏側から、最大約 2 センチの金属片が複数見つかった。 新車製造時にパネルをドリルで取り付けた際の削りくずとみられ、そのうちのひとつが強制分離スイッチの端子同士をつないでしまっていたという。 そもそも連結の仕組みはどうなっているのか。 2 本の列車を連結して走行させる「併合運転」は、主に東北新幹線と、ミニ新幹線の秋田、山形両新幹線との間で行われている。 連結には、それぞれの列車の先頭部に収納された「密着連結器」を使用。 密着連結器は、連結部分のすき間が少ないのが特徴だ。 連結作業が行われるのは、秋田新幹線「こまち」は盛岡駅、山形新幹線「つばさ」は福島駅。東北新幹線を走る列車と上り方面は連結し、下り方面は分離する。 連結や切り離し作業は運転台の操作で行われる。 連結作業では、後方の列車がゆっくり近づき、連結器同士を接触させると自動的にロックされ、電気的にもつながる仕組みだ。 これにより、先頭列車の運転士 1 人で 2 本の列車を運転できるようになる。 強制分離は列車同士をつなげる作業で異常が起きた際にやり直すためのもので、通常の分離は時速 5 キロ以下でないと作動しない仕組み。 強制分離に速度条件はないという。 併合運転は、1992 年に開業した山形新幹線と東北新幹線の間で始まり、同じくミニ新幹線の秋田新幹線でも続けられた。 東北、秋田、山形、上越、北陸各新幹線とも、大宮―東京駅間は 1 本の線路に集まってしまうことから、2 本を併合することで列車本数を少なくするための工夫だったという。 90 年代後半からは、東北、上越新幹線で高まる新幹線通勤の需要に応えるため、2 階建て新幹線「E4 系(8 両編成)」を 2 本連結し、高速列車では世界最大級の定員 1,634 人で運行することもあった。 (細沢礼輝、田渕紫織、asahi = 3-6-25) 大分の温泉旅館「由布院玉の湯」 宿泊客 10 人からノロウイルス検出 大分県は 7 日、食事をした宿泊客が食中毒になり、ノロウイルスが検出されたとして、同県由布市湯布院町の温泉旅館「由布院玉の湯」(桑野和泉社長)に対し、7 日から 3 日間は旅館の調理場でつくった食事を客に提供することを禁じる営業停止命令や、施設整備改善命令を出した。 県によると、2 月 28 日に同旅館で夕食を食べた宿泊客のうち 5 グループ 15 人が下痢や嘔吐などの症状を起こし、うち 10 人からノロウイルスを検出した。 調理をした従業員 3 人からも検出されていて、医療機関の連絡を受けた中部保健所は食事が原因の食中毒と断定した。 県食品・生活衛生課は「食中毒は調理した従業員由来」とみていて、調理場を間仕切りなどで区画するよう命じた。 体調不良の症状が出た 15 人は福岡、大分県内からの客で、19 - 74 歳の男女。 重症者はいないという。 県によると、ほかの日の宿泊客にも体調不良を訴えている人がいるという。 ホームページなどによると、玉の湯は雑木林の中に離れなど 16 室が点在する、由布院温泉を代表する高級旅館の一つ。 (徳山徹、asahi = 3-7-25) 2 メートルの落石に衝突、えちぜん鉄道が脱線 運転士軽傷 えちぜん鉄道勝山永平寺線の比島駅(福井県勝山市遅羽町比島)付近で 2 日午前 5 時半ごろ、走行中の電車が線路脇に落ちていた岩石と衝突し脱線した。 えちぜん鉄道によると、乗客 2 人にけがはなく、運転士が運転台にひざを打って軽傷という。 同鉄道によると、脱線したのは午前 5 時 20 分勝山発福井行きの電車(2 両編成)。 比島駅を出て約 400 メートル地点で、線路脇の直径 2 メートルほどの岩石と衝突した。 先頭車両は前部左側がへこみ、窓ガラスが割れるなどして、進路右側に脱線したという。 岩石は進路左側の斜面から崩れ落ちたとみられ、取り除く作業や車両の撤去、復旧に数日かかる可能性があるという。 この事故の影響で、勝山永平寺線は福井 - 山王(永平寺町)間で折り返し運転をしている。 国土交通省によると、国の運輸安全委員会が鉄道事故調査官 2 人を現地に派遣するという。 (鎌内勇樹、椎木慎太郎、asahi = 3-2-25) スキー場のリフト停止、約 80 人が取り残される 体調不良で 3 人搬送 22 日午前 10 時ごろ、長野県山ノ内町平隠にある志賀高原の「焼額(やけびたい)山スキー場」で第 2 高速リフトが停止し、約 80 人の利用者が一時、取り残された。 県警中野署によると、午後 0 時 20 分までに全員が消防隊員らによって救助されたが、このうち 3 人が寒さによる体調不良を訴え、中野市内の病院に搬送された。 いずれも軽症という。 同署は、機械トラブルによってリフトが停止したとみている。 (遠藤和希、asahi = 2-22-25) コストコで販売の生ガキ食べて体調不良相次ぐ 1 万パックを自主回収 米国系の会員制大型量販店「コストコ」(本社・千葉県木更津市)で販売された生ガキを食べた 37 人が体調不良を訴え、複数人からノロウイルスが検出されたと、宮城県が 22 日、発表した。 商品は、コストコの 11 都道県 19 店舗で 3 - 15 日に 1 万 1,205 パックが販売され、製造元の海幸(宮城県石巻市)が自主回収を進めている。 県によると 13 日、川崎市から「宮城県内で製造された生ガキを食べ、食中毒症状の患者が 2 人いる」と県に連絡があった。 その後も北海道や東京都、沖縄県など 9 都道県から同様の連絡が相次いだ。 体調不良を訴えた人は 37 人に上る。 複数の患者からノロウイルスが検出されたが、入院の必要がある患者はおらず、快方に向かっているという。 生ガキは北海道や東京都、神奈川県などの店舗で販売されていたという。 石巻保健所は 22 日、海幸に同日から 3 日間の営業停止命令を出した。 同社は手元に商品が残っている購入者に返品を求めている。 問い合わせ先はフリーダイヤル 0120・360035。 該当する商品が販売された店舗は、コストコホールセールの札幌倉庫店、石狩倉庫店、富谷倉庫店、かみのやま倉庫店、ひたちなか倉庫店、つくば倉庫店、壬生倉庫店、前橋倉庫店、明和倉庫店、三郷倉庫店、入間倉庫店、千葉ニュータウン倉庫店、幕張倉庫店、木更津倉庫店、多摩境倉庫店、川崎倉庫店、座間倉庫店、金沢シーサイド倉庫店と、コストコ沖縄南城倉庫店。 (滝口信之、asahi = 2-22-25) 入院患者約 100 人が一時避難、福岡大学病院 6 階で火災 けが人なし 21 日午後 5 時半過ぎ、福岡市城南区七隈 7 丁目の福岡大学病院から「6 階の入院棟で煙が充満している」と 119 番通報があった。 病院 6 階のおむつを洗浄する機械がある部屋から煙が出ていたという。 けが人はおらず、出火原因を調べている。 病院によると、発生当時、入院患者約 100 人が別フロアに避難したという。 (太田悠斗、asahi = 2-21-25) 富山地鉄・立山線で雪崩、上下線 6 本が運休 タクシーで代行輸送 16 日午後 2 時 10 分ごろ、富山地方鉄道立山線の本宮 - 立山駅間で雪崩が見つかり、有峰口 - 立山駅間で除雪のため一時運転を見合わせた。 富山地鉄稲荷町運転区によると、立山発電鉄富山行きの電車(2 両編成)の運転士が雪崩を発見したという。 上下線の計 6 本が運休し、見合わせた区間でタクシーの代替輸送を行った。 同線は午後 4 時 32 分立山発電鉄富山行きの電車から運転を再開した。 (椎木慎太郎、asahi = 2-16-25) 山手線内回り線、レールにひび 朝ラッシュに 2 時間半ストップ 10 日午前 7 時 24 分ごろ、東京都港区の JR 山手線浜松町 - 新橋駅間で、走行中の内回り電車の運転台に表示される信号が赤のまま切り替わらなくなった。 内回り線は午前 10 時過ぎに並行する京浜東北線の線路を使って運転再開したが、48 本が遅れ、約 5 万 6 千人に影響した。 JR 東日本首都圏本部によると、新橋駅の南側数百メートルの地点で、レールに 2 センチほどのひびが見つかった。 このひびが原因でレールに信号電流が正常に流れなかったとみられる。 現場の線路は 1 月 22 日に目視点検されたが、異常は無かったという。 現場のレールを応急修理し、午前 1 時 40 分ごろから山手線の線路で運転を再開した。 終電後にレール交換する予定という。 JR 東日本によると、10 日午前 7 時 25 分ごろから、山手線の内回り電車が運転を見合わせている。 浜松町 - 新橋間の信号が「赤から変わらなくなった」との情報があり、確認していたが、午前 10 時 1 分に運転を再開した。 (細沢礼輝、asahi = 2-10-24) 大分のホーバークラフト、クッション材に接触事故 訓練開始後 6 回目 大分空港と大分市をつなぐホーバークラフトの就航を目指す「大分第一ホーバードライブ(大分市)」は 8 日、大分市側の発着場で操縦訓練をしていた 3 番船の「Tanso (タンソウ)」が艇庫前のクッション材に接触する事故を起こしたと発表した。 乗客は乗っておらず、5 人の乗員も無事だったが、船体に亀裂やへこみが生じた。 ホーバーの事故は 2023 年 11 月の訓練開始以来 6 回目。 同社によると、8 日午前 11 時 40 分ごろ、海からスロープで艇庫前に上陸した船体が突風で流され、左舷前部が高さ約 3.8 メートルのゴム製クッション材に接触した。 船体には長さ約 30 センチにわたり、約 2 センチのへこみができ、その奥のアルミ材にも亀裂が生じた。 ホーバーは現在、大分市のターミナルを発着する約 30 分の別府湾周遊航路を土、日、祝日に運航中。 事故船は修理が必要で、他の 2 隻も現在定期点検中のため、8、9 日と 11 日の周遊航路は欠航するという。 同社は今後、訓練で上陸するときも誘導員が船体のコースを導くことを決めた。 高橋一美運航部長 (61) は「再発防止に努め、みなさんにご迷惑をおかけしないようにしたい」と話した。 (徳山徹、asahi = 2-9-25) ホンダ「N-BOX」など 8 車種 155 万台をリコール ホンダは 31 日、エンジン部分に不具合があったとして、軽自動車「N-BOX」や「N-WGN」など計 8 車種 155 万 6,855 台(2017 年 7 月 - 24 年11 月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。 国交省によると、エンジンに搭載されている排ガスの一部を再循環させる装置に不具合があり、最悪の場合、走行中にエンジンが停止して再始動できなくなる恐れがあるという。 111 件の不具合の報告があったが、事故は起きていない。 また、「N-BOX」など計 3 車種 24 万 5,739 台(23 年 9 月 - 24 年 11 月製造)について、リコールに準じた改善対策を同省に届け出た。 車両の安定性を向上させるシステムに不具合があり、ブレーキを踏むときに本来より強い力が必要になる恐れがあるという。 問い合わせ先はお客様相談センター(0120・112010)。 (東郷隆、asahi = 1-31-25) パナソニックHD、子会社 9 社が営業停止 国家資格の不適切取得問題 パナソニック HD は 31 日、国家資格「施工管理技士」を不適切に取得した社員を現場に配置していた問題で、グループの 9 社が国土交通省などから 15 - 22 日間の営業停止処分を受けたと発表した。 業績への影響は「今後、精査する」としている。 9 社は、パナソニックマーケティングジャパンやパナソニック産機システムズなど。 「施工管理技士」は、工事現場の安全や工程を管理するのに必要な国家資格で、取得には一定の実務経験が必要となる。 パナソニック HD によると、1975 - 2019 年にグループ 16 社の計 436 人が、実務経験が足りていないのに、足りているとして資格を取得した。 同社は意図的なものは少なく、実務経験の日数の数え方を誤解していたとしている。 9 社は、こうした資格取得者を主任技術者などとして現場に配置し、営業停止処分を受けた。 さらに、配置が必要なのにそもそも配置していないケースも見つかった。 また、他の 7 社と、営業停止 9 社の中の 3 社をあわせた 10 社は営業所に配置し、国から研修の実施などの指示処分を受けた。 (福岡龍一郎、asahi = 1-31-25) 運転再開、大阪環状線が全線で一時運転見合わせ 約 2 万 5,000 人に影響 JR 西日本は、大阪環状線の玉造駅 - 鶴橋駅の間の線路付近で、午後 2 時ごろに発煙が確認され、全線で運転を見合わせていましたが、午後 3 時半に運転を再開しました。 消火活動が終了し、運転に支障がないことが確認されたということです。 JR 西日本によりますと、環状線の内回りで 24 本、外回りで 22 本の計 46 本が運休するなどして約 2 万 5,000 人に影響が出ました。 (ABC テレビ = 1-26-25) ゆりかもめの一部区間で運転見合わせ 200 人が線路歩いて駅に戻る 25 日午前 11 時 36 分ごろ、東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」の芝浦ふ頭 - お台場海浜公園駅間で停電が発生した。 運行会社によると、新橋 - 有明駅間で一時運転を見合わせ、有明 - 豊洲駅間で折り返し運転を行った。 午後 2 時 15 分に停電は解消し、通常運行に戻ったという。 停電の影響で、芝浦ふ頭駅を出発して約 60 メートルで電車が停止。 乗客約 200 人が職員の誘導で線路を歩いて駅まで戻った。 (増山祐史、asahi = 1-25-25) 顧客情報 2 万件アクセス可能に 金融庁、トヨタ系販社などに改善命令 金融庁は 24 日、トヨタ自動車の完全子会社で販売店を展開するトヨタモビリティ東京 (TMT) と、中古車販売大手のグッドスピード (GS) の 2 社に対し、業務改善命令を出した。 両社とも立ち入り検査で損害保険商品の販売をめぐる不正行為が確認され、金融庁はガバナンス(企業統治)体制の抜本的な強化を求めている。 TMT では、修理に使っていない部品代金を保険金として過大請求するなどの不正の疑いが確認された。顧客に保険商品を推奨する理由を説明していない例なども見つかった。 さらに約 3 年間、損保会社の社員に対し、自社の顧客情報約 2.3 万件へアクセスする権限を与えて、実際に漏洩(ろうえい)していたことも発覚した。 個人情報のずさんな管理も指摘されている。 金融庁は TMT の経営陣に「保険は本業ではない」との意識が根強くあり、ガバナンスが機能不全に陥っていたとして、同社に経営責任の所在を明確化するように求めている。 トヨタ自動車は 24 日、「販売店に対して一層の法令順守の徹底を促してまいります」とのコメントを出した。 一方、GS は事故車修理をめぐる不適切な請求について社内調査を実施したが、実態の把握や再発防止のために十分な調査をしていない可能性があるうえ、調査委員長の社外取締役が社員アンケート結果の内容を改ざんしていたことも明らかになった。 金融庁は GS に対しても経営管理体制を強化するように求めている。 (堀篭俊材、稲垣千駿、asahi = 1-24-25) 資生堂の化粧品の模造品ネット販売容疑、31 歳男逮捕 香港から発送 化粧品大手「資生堂(東京都中央区)」の人気ブランド化粧品の模造品を通販サイトで売ったとして、大阪府警は 22 日、大阪市浪速区の販売業、柳沢駿容疑者 (31) を商標法違反(侵害とみなす行為)と医薬品医療機器法違反(模造医薬品の販売)の疑いで逮捕した。 また、知人の会社代表の男 (29) = 同市西区 = についても両容疑で逮捕状を取り、行方を捜している。 捜査関係者への取材でわかった。 大手ブランドの化粧品をめぐっては、通販サイトやフリマサイトを介して模造品や模倣品が売られるケースが目立っており、効能や安全性が保証できないとして、各社が注意を呼びかけている。 捜査関係者によると、柳沢容疑者と男は 2024 年 5 - 6 月、他の人物と共謀し、資生堂ブランド「クレ・ド・ポー ボーテ」の化粧下地「ヴォワールコレクチュール n (税込み 7,700 円」)の模造品を、通販サイトを介して客 2 人に 1 個ずつ売り、同社の商標権を侵害した疑いがもたれている。 いずれも正規品より価格が安く、見た目を似せた容器で中国・香港から発送され、成分鑑定で模造品と確認された。 客 2 人に健康被害は確認されていないという。 模造品の出品者として通販サイトに登録されていたアカウントや口座は、柳沢容疑者らとは別の人物の名義だった。 府警は、中国にいる人物と通じる関係者らと共謀して模造化粧品を販売していたとみている。 逮捕状が出た男が代表を務める「Victoria Harbour (ヴィクトリアハーバー、同市浪速区)」のホームページや登記簿によると、同社はネット通販の運営代行や物品の輸出入を手がけ、アジアでも事業を展開しているとされる。 この男らは 24 年 11 月、計 4 人からそれぞれの名義の口座情報の提供を受けたとして、犯罪収益移転防止法違反罪で起訴されている。 「公式サイトでの購入が安全」 国民生活センターによると、ネット通販での「化粧品の偽物」に関する相談は 20 - 24 年度に計 432 件あり、うち 24 件が「使用後に顔が赤くなった」といった身体的な被害を訴える内容だった。 担当者は「ネット上で偽物を見分けることは難しく、公式サイトでの購入が安全。 大幅な値引きや『お得感』をうたうサイトは注意が必要で、販売者の連絡先が表示されているか、購入者のレビュー欄で偽物に関する情報がないかを確認した方がよい。」と話す。 (高井里佳子、小島弘之、asahi = 1-22-25) 「レターパックが爆発」郵便局から通報 バッテリーが落下で発火か 9 日午後 9 時 40 分頃、道央札幌郵便局(札幌市東区)で、従業員から「レターパックが爆発した」などと通報があった。 警察や消防によると、当時、現場では郵便物の仕分け作業が行われていた。 そのうちの一つから「シューッ」と音がして煙があがり、火が出たという。 すぐに消火活動が行われ、けが人はいなかった。 ほかの郵便物も無事だった。 レターパックの中にはリチウムイオン電池を使ったバッテリーのようなものが入っていた。 「仕分け中に落下させた」という話もあり、衝撃が発火につながった可能性もある。 日本郵便北海道支社によると、道内では過去に郵便物などで同様の発火が起きたことはないという。 ■ リチウムイオン電池の火災は増加 札幌市消防局によると、リチウムイオン電池はスマートフォンやモバイルバッテリーなど身近な家電製品に使われている。 衝撃が加わると発火する恐れがあり、近年、火災につながる事例が急増している。 10 年前の 2015 年は 1 件だったが、24 年は 18 件に上った。 ごみ収集車やごみ処理場、住宅などで発生しているという。 市消防局予防課の担当者は、▽ 衝撃を与えないようにし、熱のこもる場所では使わない、▽ 純正品を使用する、▽ 耐用年数を超えた製品は使用しない、▽ 自治体ごとの廃棄方法を確認する - - などの徹底を呼びかけている。 (原知恵子、asahi = 1-10-25) 乗員 20 人、ライフジャケットつけず操業か 転覆・沈没のイワシ漁船 茨城県の鹿島港沖で大津漁協(同県北茨城市)所属の巻き網漁船、第 8 大浜丸(80 トン)が転覆し、乗員 2 人が死亡、3 人が行方不明になっている事故で、転覆当時、乗員 20 人全員がライフジャケットを着用していなかったとみられることが、海上保安庁への取材で分かった。 同庁は業務上過失致死と業務上過失往来危険の疑いで捜査している。 鹿島海上保安署によると、船員法では甲板での漁業時などにライフジャケットの着用が義務づけられているが、今回救助された乗員が、事故当時は全員が着用していなかったと説明しているという。 イワシ漁をしていた第 8 大浜丸は、6 日未明に鹿島港沖で転覆した。 乗員のインドネシア人技能実習生 5 人を含む 17 人が救助されたが、このうちいずれも日本人の 50 代と 60 代の男性 2 人が死亡。 40 代と 60 代、70 代の男性 3 人の行方がわかっていない。 海保は巡視船や航空機による捜索を続けているが、9 日夕現在も手がかりは見つかっていない。 (古庄暢、asahi = 1-9-25) 年末に起きたバンコクのホテル火災、入院中の日本人男女 2 人が死亡 タイの首都バンコクの観光地カオサン通りの近くで 12 月 29 日に起きたホテル火災で、煙を吸って病院に搬送されていた 30 代の日本人男女 2 人がいずれも亡くなった。 在タイ日本大使館が 6 日、明らかにした。 地元警察によると、2 人はいずれも集中治療室で手当てを受けていたが、1 日に男性が死亡、5 日に女性も死亡した。 地元メディアによると、現場は 6 階建てのエンバー・ホテルで、火元は 5 階の客室だった。 この部屋に泊まっていた韓国人の宿泊客は出火当時、外出中だったという。 消防当局はブラジル人、ウクライナ人、米国人の計 3 人が死亡したと発表していた。 (バンコク・武石英史郎、asahi = 1-6-25) 山陽新幹線で乗客が非常ボタン 車掌に切符の問い合わせしようと 5 日午後 0 時 50 分ごろ、山陽新幹線岡山駅構内に停車中だった新大阪発博多行きこだま 849 号の車両内で非常ボタンが押された。 乗務員が車内を確認したが異常はなく、約 20 分遅れて発車した。 JR 西日本によると、車両内にいた乗客が車掌に切符の問い合わせをしようとして、非常ボタンを押したのが原因だという。 このトラブルで、上下 14 本に最大 23 分の遅れが出て、約 6,600 人に影響した。 JR 西の担当者は「非常ボタンは緊急時に備えたもの。 ボタンは押さず、車掌を探して、直接問い合わせをしてほしい」と話した。 (高木香奈、mainichi = 1-5-25) レール幅が規準値を 30 ミリ超えていたことが判明 … 昨年末に脱線事故、熊本市電が運行再開 昨年 12 月 31 日の脱線事故で一部区間が運休していた熊本市電は、3 日の始発から全線で運行を再開した。 市交通局は、熊本城・市役所前電停(熊本市中央区)近くの事故現場のレール幅が基準値より最大約 30 ミリ長くなっていたことを明かし、12 月上旬に行った工事の影響を要因として挙げた。 交通局によると、昨年 9 月の定期点検で、同電停付近の 2 地点 3 か所のレール幅が基準値を超えていることが判明、12 月 7 日に調整工事を実施した。 事故が起きたのは 2 地点のほぼ中間で、工事の影響で生じたひずみが蓄積して徐々にレール幅が広がり、脱線につながったとしている。 また現場では、レールを固定する枕木 6 本もくぎが外れて機能していなかったという。 当面は当該区間のレールの状況を定期的に監視し、時速 15 キロに速度を制限して運行する。 (yomiuri = 1-4-25) 秋田新幹線が運転再開 停電の影響で 29 日から運転見合わせ JR 東日本によると、停電の影響で 29 日夜から秋田 - 盛岡間の上下線で運転を見合わせていた秋田新幹線は 30 日午前 10 時半過ぎ、運転を再開した。 原因は屋根上のパンタグラフが何かに衝突し、破損したためという。 同社などによると、「こまち 43 号(秋田行)」が29日午後 10 時半すぎに鶯野駅にさしかかったところで停車。 暖房が使えない状態になり、後続の「こまち 45 号」を含め、乗客計約 500 人は JR が案内したタクシーで大曲駅などに移動した。 乗っていた 20 代の女性は「新幹線が止まる駅じゃないのになと思ったら、電気が消えた」と振り返った。 JR 秋田駅では 30 日朝、大きな荷物を持った人たちが、運休を知らせるボードを不安そうに見つめていた。 改札口で対応した駅員によると、運転再開が見込まれる時間帯の新幹線に変更するため、午前 7 時ごろには窓口に 50 人ほどが並んだという。 福島県白河市に帰省する秋田大 1 年の男子学生 (19) は「10 時台の新幹線の最後の 1 席を確保でき、ほっとしました」と話した。 (滝沢隆史、隈部康弘、小幡淳一、河崎優子、asahi = 12-30-24) 電子処方箋システム、一斉点検へ 薬局で誤った薬の表示トラブル 7 件 厚生労働省は 19 日、2023 年 1 月から運用が始まった電子処方箋システムで、医療機関の医師が処方した薬とは別の薬が薬局に伝わるトラブルが 7 件報告されたと公表した。 医療機関や薬局で、薬に付けられる番号のひもづけに誤りがあったことが原因。 厚労省は 20 - 24 日にシステムを停止し、一斉点検を実施する。 その期間は紙の処方箋で対応する。 電子処方箋システムは、処方箋をオンライン上でやりとりする仕組み。 別々の医療機関から同じ薬が処方されたり、飲み合わせの悪い薬が処方されたりするのを防ぎ、薬局での待ち時間が短くなるといったメリットがあるとされる。 今年 11 月時点で電子処方箋を発行している医療機関は 2,539 施設あり、同月に推計約 7,500 万枚発行された処方箋のうち、約 11 万枚(約 0.15%) が電子処方箋だった。 厚労省によると、今回のトラブルでは、医師が処方した薬とは別の薬が薬局での画面上に表示されていた。 報告された 7 件のいずれも、医療機関や薬局が誤りに気づき、患者に誤った薬は出されていないという。 ただ、気づかれないまま、誤った薬が患者に出されている可能性は否定できないという。 厚労省は、医療機関と薬局に対し、電子処方箋の設定が正しいかどうかを確認し、厚労省への報告を依頼した。 政府は、24 年度中に、おおむねすべての医療機関と薬局に電子処方箋を導入する目標を立てていた。 だが、11 月下旬までに導入した施設は病院で 3.0%、医科診療所で 7.6%、薬局で 57.1% にとどまっている。 (藤谷和広、asahi = 12-19-24) 「階段 1 カ所ビル」 3 万棟、改修 2 棟のみ 3 年前の放火で 26 人犠牲 26 人が犠牲になった大阪市北区の心療内科クリニック放火殺人事件を受けて導入された、防火設備の改修費補助制度が広まらない。 現場のビルには避難できる階段が一つしかなく、被害が拡大した。 消防庁や国土交通省によると、同様の建物は全国に約 3 万棟あるが、制度を使って改修されたのは 2 棟にとどまっている。 事件は 3 年前の 2021 年 12 月 17 日、8 階建て雑居ビルの 4 階で発生。 非常口の階段付近で放火され、患者らは階段のない室内奥へ向かい逃げ場を失った。 26 人の死因は一酸化炭素中毒だった。 現場のビルは、消防法で定義された、地下や 3 階以上に不特定多数が出入りし階段が一つしかない「特定一階段等防火対象物」(特一)。 1 カ所しかない階段が火災などで使えなくなると、火や煙が充満し、閉じ込められて被害が拡大すると指摘されている建物だ。 現行の建築基準法施行令では、不特定多数の人が建物に出入りする場合、二つ以上の避難経路の確保が原則義務付けられている。 ただ、この基準は 1974 年の施行で、それ以前にできた建物には適用されない。 現場のビルは 70 年に建てられた。 ▽事件後の 2023 年 4 月、国交省は防火設備の改修費を国や自治体が全額または一部を補助する制度を設けたが、導入したのは京都、大阪、堺、福岡の 4 市(24 年 11 月時点)のみ。 実際に改修されたのは、大阪市と京都市の計 2 棟にとどまっている。 なぜなのか。 補助制度は、特一について、▽ 階段の増設、▽ バルコニーの設置、▽ 階段への火や煙の侵入防止対策、といった改修が対象だ。 国と地方自治体が費用の 3 分の 1 ずつを負担するほか、今後に活用できる技術が盛り込まれた「モデル事業」に選ばれると、全額負担される。 消防庁によると、特一は全国に約 3 万棟ある。 44 人が死亡した 01 年の新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災の現場も避難できる階段が 1 カ所しかなく、消防法で特一が定義されるきっかけにもなった。 東京消防庁によると、東京都新宿区には 888 棟の特一があり、歌舞伎町にはそのうち 215 棟が集まる。 ただ、区は補助制度の導入には慎重な立場だ。 区の担当者は、改修工事はテナントの営業に支障が出るほか、ビル密集地で大規模工事はしづらいと説明。 「改修は義務ではなく、ビル所有者からすれば、利益損失を考えた際のハードルが高い」と話す。 「ビル所有者側にも危機感」 建物の防火管理代行会社「メルすみごこち事務所(東京都渋谷区)によると、多くのビル所有者が自身のビルが特一だという認識がないという。 改修には火災保険料の減額や固定資産税の減免など経済的なメリットの確保も必要だとする。 京都大防災研究所の西野智研(ともあき)准教授(建築火災安全工学)は改修工事を広げるには、ビル所有者がリスクを知る必要があるとして、自治体と所有者らとのコミュニケーションが重要だと指摘する。 補助制度で改修されたビルがある京都市では、制度導入を決めた後、ビル所有者や建築関係者向けの防火対策セミナーや、防火に詳しい専門家を招いた個別相談会を開催。 出席者からは改修の相談が複数寄せられたという。 市建築安全推進課の中島吾郎課長は「所有者側にも危機感があることがわかり、何らかの対策を講じたいというニーズを感じた。」 西野准教授は「自治体との相談に防火の専門家が加わることが重要で、京都市の取り組みが他の自治体にも波及してほしい」と話す。 所有者の防火意識を向上させて改修につなげ、そこで得た知見を発信することで、さらに防火意識を広めるという循環が大切だと指摘する。 改修 2 棟のうち 1 棟は「モデル事業」に 改修された 2 棟のうち、京都市中京区のビルは 1972 年築の地上 8 階地下 1 階建てで、階段の防火扉を煙感知器と連動させ、自動で閉まるようにした。 2 - 7 階に避難スペースを整備し、木製の扉を不燃材料で覆った。 「モデル事業」にも選ばれた。 もう 1 棟は 70 年築の大阪市北区のビルで、地上 10 階地下 1 階建て。 屋内に避難スペースを整え、地上に下りるための避難器具を設置した。 (田添聖史、asahi = 12-15-24) |