いすゞ自動車が米国に新工場で調整、石破首相が日米首脳会談で言及へ トラック大手のいすゞ自動車が米国に新工場を建設する方向で調整していることが 7 日、複数の関係者への取材で分かった。 現地時間 7 日に米ワシントンで開かれる日米首脳会談で、石破茂首相はトランプ米大統領に対して同社の新工場について伝えるとみられる。 関係者によると、いすゞは米南東部サウスカロライナ州に 3 億ドル(約 450 億円)を投じて工場を建設することで調整している。ガソリン車や電気自動車 (EV) の中小型トラックを製造する模様だ。 トラックの需要が伸びる米国で現地生産を増やす狙いがある。 同社幹部は「トランプ政権が誕生してから始まった計画ではないが、需要が伸びる米国市場は重要だ」とする。 ただ、トランプ政権発足後に明らかになった新たな投資なだけに、政府はいすゞの新工場を日米首脳会談でトランプ氏に直接伝えることで、米国経済への日系企業の貢献を強調する考えだ。 現地生産の拡大は、トランプ政権の意向とも合致する。 同政権は中国に 10% の追加関税を課し、カナダとメキシコにも 25% の関税をかけようとしている。 製造業の国内回帰を促し、貿易赤字の解消を図ろうとの構えだ。 いすゞは昨年 4 月に発表した中期経営計画で、昨年度 28 万台だった商用車の新車販売を、30 年度に 45 万台以上にする目標を設定。 北米市場について「生産能力の強化に積極投資」すると表明。 今回の新工場建設計画はその一環だ。 コロナ禍を受けた電子商取引 (EC) の拡大などで、米ではトラックの需要が伸びている。 米運輸省によると、2020 年には 195 億トンだった貨物輸送量が 45 年には 3 割増加する見込みだ。 (多鹿ちなみ、松岡大将、asahi = 2-8-25) 日産とホンダ、統合協議打ち切りの公算大 日産が子会社化案に反発 日産自動車は 5 日、取締役会を開き、ホンダと進めていた経営統合協議を続けるかどうかについて経営陣が意見を交わした。 関係者によると、ホンダが打診した日産の子会社化案への反対論が強くでており、こうした意見を近くホンダ側に伝える方向だ。 統合協議は打ち切りとなる可能性が高まっている。 関係者によると、日産は 5 日の取締役会で、ホンダとの統合協議の状況やホンダから打診があった子会社化の提案などについて社外取締役らに意見を求めたという。 取締役会の中には、協議を続けるべきだとの意見もあったというが、協議を打ち切る流れが強まっている模様だ。 ホンダと日産は経営統合協議を始めると表明した昨年 12 月、統合が実現した場合は、持ち株会社を設立し、両社が傘下に入るとしていた。 両社は当初、統合協議を本格的に進めるかどうかを 1 月末に判断するとしていたが、2 月中旬に判断を先送りしていた。 ホンダ関係者は「日産のリストラ計画策定の遅れが理由だ」としている。 ホンダは、統合の「前提条件」としていた日産のリストラ計画策定が遅れているとして、方針を転換。 日産に対して子会社化を打診した。 「対等」の関係を強調してきた日産はこれに反発。 「こちらが受け入れられないボールを投げてきた(日産幹部)」と、両社の溝が深まっている。 (asahi = 2-5-25) ◇ ◇ ◇ ホンダ、日産に子会社化打診を検討 統合協議が進まぬ場合の代替案 ホンダと日産自動車の経営統合に向けた協議で、ホンダが日産に対して子会社化を打診する案を検討していることが 4 日、わかった。 日産のリストラ計画の策定が遅れて統合協議がうまく進まない場合、代替案として打診する考えのようだ。 実際に打診した場合、日産が強く反発し、統合の実現そのものが難しくなる可能性もある。 両社は昨年 12 月に経営統合に向けた協議を始めると発表した際、来年 8 月に持ち株会社を設立して両社が子会社としてぶら下がる形を目指すとしていた。 関係者によると、統合協議が進展しない場合、ホンダは持ち株会社の設立に代わる案として日産に子会社化を打診することを検討しているという。 ホンダ主導で日産のリストラを進め、統合を加速させる狙いがあるようだ。 当初、両社は 1 月末をめどに協議の方向性を発表するとしていたが、2 月中旬に発表を延期した。 関係者によると、2 月中旬に先送りしたのは日産のリストラ計画の策定が遅れているためだ。 日産が昨年表明した 9 千人の削減の具体案についてホンダ側に詳しい説明がないという。 ホンダ関係者は「とにかく遅い」と不満を漏らす。 日産の内田誠社長は昨年 12 月の記者会見で「どちらが上、どちらが下ではない」と発言。 両社は対等の立場であると強調していた。 (asahi = 2-4-25) ◇ ◇ ◇ ホンダと日産、経営統合協議入り正式発表 来年 6 月の最終合意めざす ホンダと日産自動車は 23 日、持ち株会社の設立を目指して経営統合の協議に入ると発表した。 三菱自動車も同日、持ち株会社への合流を検討することを正式に表明した。 来年 6 月までの最終的合意を目指し、2026 年 8 月に持ち株会社が発足する統合が実現すれば、販売台数で世界 3 位の巨大グループが誕生する。 23 日午後 5 時から東京都内で 3 社の社長が記者会見した。 ホンダと日産は同日、経営統合に向けた協議に入ることで基本合意書を結んだ。 持ち株会社を設立して上場させ、傘下に入る両社は上場廃止となる方針。 持ち株会社の社長はホンダの取締役から選出し、新会社の取締役の過半もホンダが占める方針だ。 事実上、新会社の主導権はホンダが握ることが鮮明になった。 ホンダの三部敏宏社長は会見で「自動車業界を取り巻く環境がグローバルで激的に変化する中で、統合することであらゆる領域で化学反応が生まれるシナジー効果は想定以上に大きい」と統合の意義を話した。 一方で、経営再建のためリストラ計画などを進めている日産の内田誠社長は、「経営統合を成功させるには、それぞれの会社がしっかりと自立し、より強くなっていくことが不可欠」と述べた上で、「両社の強みを持ち寄り、これまでにない車の楽しみと新たな価値をお客様に提供したい」と話した。 (西山明宏、asahi = 12-23-24) ◇ ◇ ◇ 「ホンハイの日産出身幹部が渡仏」ルノーと日産株買い取りの交渉か 台湾の中央通信社は 19 日、台湾の電機大手・鴻海(ホンハイ)精密工業が、日産自動車の大株主の仏ルノーと日産株の買い取りを交渉するために、日本人幹部をフランスへ派遣していると報じた。 日産とホンダが経営統合に動いたのは、ホンハイによる買収を避けるためだとの見方がある。 中央通信は「ホンハイは当初、日産へ直接株買い取りを打診したが、同意が得られなかったためにルノーの持つ日産株へ目標を切り替えた」としている。 ホンハイは電気自動車(EV)分野を成長の柱としたいと考えているとされる。 派遣されたのは EV 部門の戦略を担う関潤氏。 日産出身で、日産では副 COO (最高執行責任者)を務めた経歴がある。報道によると、関氏は劉揚偉・董事長(会長)から日産問題についての全権を与えられており、チームを率いてルノーとの交渉にあたっているという。 23 年に資本関係の対等化で合意 ルノーと日産は 2023 年、資本関係の対等化に合意。 ルノーは日産株の 43% を保有していたが、信託会社を通じて段階的に売却して 15% まで下げることになっており、今年 10 月末時点では約 17% をルノーが直接保有する。 約 19% は信託会社がまだ管理しており、鴻海が取得を目指しているとみられる。 ただ、売却にあたっては日産が「優先的な地位を有する」とされている。 (北京・斎藤徳彦、asahi = 12-20-24) ◇ ◇ ◇ ホンダと日産が経営統合に向け協議へ 実現すれば世界有数グループに 自動車大手のホンダと日産自動車が経営統合へ向けた協議を始めることで調整に入ったことが 18 日、わかった。 持ち株会社を設立し、両社が傘下に入る形が有力視されている。 三菱自動車が合流することも検討する。 実現すれば販売台数が 800 万台を超える世界有数のグループが誕生する。 関係者によると、経営統合に向けた協議入りについて社内の枢要な会議体に諮っているという。 今後、統合協議が始まれば、持ち株会社の統合比率などについて両社で話し合うとみられる。 両社は今年 3 月から電気自動車 (EV) の開発で協業を進めていくと発表。 車載電池をはじめとする中核部品の共通化や共同調達など、幅広い分野で検討を進めていくとした。 また、8 月には両社の協業に三菱自が合流することも明らかにしていた。 両社の動きの背景には、自動車業界が 100 年に 1 度と言われる変革期に直面していることがある。 米テスラや中国 BYD など新興の EV メーカーが台頭する中、ガソリン車やハイブリッド車 (HV) で優位にある日本勢は今後厳しい戦いを迫られる。 両社には足元で向かい風が吹いている。 EV が伸びる中国市場で販売台数を大きく落として工場を閉鎖しているほか、ホンダは人員削減にも踏み切った。 日産は中国だけでなく、米国市場でも振るわず、業績が悪化。 今年の 9 月中間決算は 9 割超の減益となり、9 千人のリストラや生産能力の削減を発表していた。 ホンダの三部敏宏社長は今年 8 月の記者会見で、「新会社設立というのも一つの可能性としては捉えている」と話していた。 日産の内田誠社長も「将来的な競争力を担保できるような形になるということであれば、様々なことは検討していく」としていた。 (asahi = 12-18-24) スズキ元会長・鈴木修氏にインドが国家勲章 「中産階級の夢を実現」 インド政府は 25 日、昨年 12 月に 94 歳で亡くなった自動車大手スズキの鈴木修・元会長兼社長に対して、国家勲章「パドマ・ビブシャン」を授与すると発表した。 インドの自動車産業の発展や経済成長に貢献した功績をたたえた。 勲章は、貿易・産業や医薬、芸術部門などで大きな功績をあげた人物に贈られる。 2021 年には、日印関係の発展に貢献したなどとして、安倍晋三元首相に贈られた。 鈴木氏は、インドの発展を見据え、現地政府系企業と合弁会社を設立し、1983 年に同国で小型車の生産を開始。 現在もインドの乗用車市場で約 4 割のシェアを占め、トップを走る。 鈴木氏が亡くなった際には、インド政府関係者らが相次いで追悼の言葉を発表。 今月 17 日に開かれた国際自動車ショーで演説したモディ首相は、「インドの自動車部門の成長と中産階級の夢の実現に多大な貢献をしてきた」とたたえた。 (石原孝、asahi = 1-26-25)
日野自、三菱ふそうとの経営統合へ再始動 認証不正で米国当局と和解 トラック大手の日野自動車は 16 日、認証不正に関する訴訟で米国当局などと和解したと発表した。 同社は不正を巡って米国以外でも訴訟を起こされていたが、いずれも和解の方向となっており、一連の係争が終結する見通しとなった。 同社は 2023 年に三菱ふそうトラック・バスとの間で経営統合に合意した。 しかし、日野の不正への対応などのため、統合の手続きを延期していた。 今回の米国での和解を受けて、再び動き出すことになった。 排ガスや燃費性能の偽装が 22 年に発覚した日野は、米国とカリフォルニア州の当局からエンジンの性能についての調査を受け、カナダと豪州でも集団訴訟を起こされた。 カナダでは 5,500 万カナダドル(発表当時の為替レートで約 60 億円)で和解し、豪州では 8,700 万豪ドル(同約 85 億円)で和解する見通しが立ったが、米国では解決していなかった。 和解を受けて米国では制裁金など計 12 億0,076万ドル(約 1,800 億円)を支払う予定だ。 同社は和解費用などとして特別損失を既に計上しているが、改めて精査する。 資金を確保するため、本社に隣接する日野工場(東京都日野市)の一部敷地の売却を決めていた。 (松岡大将、asahi = 1-16-25) 成田空港、34 万回に発着枠拡大へ 世界で薄れる存在感、回復へ一歩 成田空港(千葉県)の年間発着枠の上限について、国土交通省が現在の 30 万回から 34 万回に拡大する方針を固めたことが 10 日、分かった。 今月下旬に地元自治体などで構成する四者協議会で提案し、10 月からの実現を目指す。 アジアの空港間競争が激化するなか、増加する航空需要を取り込むための取り組みが本格化する。 成田の発着枠拡大は、22 万回から 30 万回に増やすことを決めた 2010 年以来だ。 成田国際空港会社 (NAA) によると、19 年の発着数は 26.4 万回。 コロナ禍で一時落ち込んだが、今年度は 25.1 万回に回復する見込みだ。 好調な訪日外国人需要などで、26 年にも 30 万回を超える需要が生じる可能性があるという。 このため、現在の空港施設で実現できる上限の 34 万回を早期に実現する考えだ。 周辺地域の騒音問題に配慮し、深夜の飛行を制限している 2 本の滑走路の発着時間帯(午前 6 時 - 午前 0 時、午前 6 時 - 午後 11 時)は変更しない。 拡大する発着枠は、航空各社から希望が多い朝と夕を中心とする方向で調整する。 34 万回が実現すれば、1 日平均の発着数は 19 年の 724 回から、単純計算で 900 回超となる見通し。 NAA がすでに周辺自治体への説明を始めている。 今月下旬には、千葉県、成田市など周辺 9 市町との協議会を国交省と開き提案する。 1978 年に開港した成田は旅客、貨物ともアジアの空港でトップクラスだったが、現在は韓国や台湾、中国の空港に抜かれて国際的な地位が低下。 19 年の旅客数は 3,670 万人で、世界の国際空港のなかでは 18 位。 00 年の 8 位から大きく下げた。 10 年以降は羽田の国際化も進み、成田の存在感が薄れつつある。 国は成田と羽田を「首都圏空港」と位置づける。 世界的に増加する航空需要を取り込むため、発着枠を計 100 万回に拡大することを目指す。 ただ、現在約 49 万回の羽田はすでに発着容量の上限を迎えており、成田の機能強化が急務だ。 成田はこれまでに、29 年 3 月に 3 本目となる滑走路を新設し、40 年代後半には発着数を年間 50 万回に引き上げる計画を打ち出している。 34 万回への拡大は、構想実現にむけた第一歩となる。 NAA は機能強化後を見据えた「新しい成田空港」構想も昨年に策定。 港周辺に産業集積を図るほか、三つあるターミナルビルの集約や鉄道アクセスの改善などについても進める。 (増山祐史、大和田武士、asahi = 1-10-25) |