岡山県内の外国人労働者約 2 万 7 千人に 10 年連続で過去最多を更新

岡山労働局は 1 月 31 日、岡山県内で働く外国人の数が 2024 年 10 月末時点で前年同期比 10.9% 増の 2 万 6,676 人だったと発表した。 前年同期から 2,624 人増えたが、伸び率は 0.7 ポイント低下した。 15 年度から 10 年連続で過去最多を更新しており、この 10 年で 3 倍強に増えた。 外国人を雇用する事業所数も 3,649 カ所と前年同期から 243 カ所増え、過去最多となった。

国籍別では、ベトナムが 1 万 1,386 人(外国人労働者数全体の 42.7%)、続いてインドネシアが 3,061 人(同 11.5%)、中国 2,967 人(同 11.1%)。 対前年増加率が大きかったのはミャンマー(1,841 人、79.1% 増)、インドネシア(31.4% 増)、ネパール(1,672 人、15.8% 増)の順だった。 産業別では、製造業で働く外国人が 1 万 1,236 人(全体の 42.1%)と最も多く、卸売業・小売業の 3,782 人(同 14.2%)を大きく上回った。 届け出た事業所のうち、規模別では「30 人未満」が 57.6% と最も多かった。

在留資格別では、「技能実習」が前年同期比 8.0% 増の 1 万 279 人で最多だった。 特定技能や高度人材を含む「専門的・技術的分野」は同 23.3% 増の 7,302 人。 このうち「特定技能」は 3,275 人で、前年同期と比べて 51.5% 増と大きく伸びた。 特定技能の産業分野別では、「飲食料品製造業」が 1,400 人と最も多く、「介護」 559 人、「工業製品製造業」 536 人と続いた。 外国人の雇用状況は、07 年の届け出義務化に伴って集計が始まった。 労働局の担当者は「技能実習から特定技能に在留資格を変更し、在留期間を延長する傾向がうかがえる。」と話す。 (大野宏、asahi = 2-1-25)


トルコ国籍女児の除籍「あってはならない」 さいたま市教育長が陳謝

さいたま市教育委員会が、市立小学校 6 年生のトルコ国籍の女児 (11) について在留資格を失ったことを理由に誤って除籍処分にした問題で、竹居秀子・市教育長は 28 日の定例会見で「あってはならないことをしてしまい、反省している」と改めて陳謝した。 市教委は早ければ 29 日にも女児の家族らと面会する予定で、30 日にも女児を復学させたいとの考えだ。

竹居教育長は除籍に至った経緯について、「市教委として初めてのことで、本来なら文部科学省にいち早く問い合わせて、周辺自治体の調査もするが、それができていなかった」と説明した。 組織としての決裁を積み上げて決定していたとし、「市教委内部でホウレンソウ(報告、連絡、相談)ができていなかった」と不備を認めた。  文部科学省は 2012 年、居住地などの確認ができれば子どもの就学を受け入れるよう各自治体に通知。 女児側はこれを満たしていたが、市教委は引き続き日本に居住する意思を証明する書類なども独自に求めていた。

周辺の川口市では、外国籍に限らず、児童・生徒が住民基本台帳に載っていなくても、住宅の賃貸契約書などで住んでいることが確認できれば、学区の小中学校で受け入れている。 埼玉県は、外国籍の子どもの就学について県内市町村から相談があった場合は、文科省の指針に従うように回答している。 政令指定市のさいたま市からは相談がなかったという。 (岩堀滋、杉原里美、asahi = 1-29-25)


人口の 3 人に 1 人が外国人の村にみる共生社会 生き残りかける過疎地

北海道の人口は約 522 万人。 そのうち外国人は、過去最高の 6 万人を超えた(2024 年 6 月時点)。 住人の 3 人に 1 人が外国人の占冠村を訪ねた。 すっかり雪景色となった昨年 12 月、札幌市から JR 特急で占冠村に向かった。 札幌駅では 5 - 6 割の混み具合だったが、新千歳空港近くの南千歳駅で満席になった。 大きなスーツケースを抱えたアジア系の家族連れが多い。 スノーリゾートを楽しむのだろう。 スキーゲレンデの中腹にそびえるツインタワーが象徴的に見えるトマム駅(占冠村トマム地区)に着くと、観光客がどっと降りた。

ツインタワーのホテル計 4 棟を持つ「星野リゾート トマム」には、年間約 49 万人が訪れ、うち 3 割が外国からやってくる。 利用者は中国・香港、シンガポールといった東アジア圏からの観光客が多いという。 コロナ禍以降、混雑するニセコエリアから流れて来た欧米系も増えている。 増加する外国人観光客を支えるのが、外国人従業員だ。 占冠村は人口 1,591 人のうち外国人は 538 人で、外国人比率が道内で最も大きい。 ほとんどの外国人がリゾート施設の「星野リゾート」と「クラブメッド」のどちらかで働く。

「星野リゾート トマム」の全体の従業員は約 670 人。 夏季と冬季で短期雇用の従業員数は増減するが、正社員は約 270 人で、うち外国籍は 2 割だという。 接客、清掃、スキーインストラクター …。 業務は多岐にわたる。 利用者の多国籍化のため、多様な従業員を雇用するようになった。

渡辺巌・総支配人は「言葉が通じないと、安心して楽しめない。 安心感があってこそのリゾート。」と話す。 韓国出身のフロントスタッフ申麗眞(シンヨジン)さん (24) は、働き始めて 2 年になる。 流暢な日本語と英語を操る。 従業員寮と職場を往復することが多く、「近くにドラッグストアがあれば便利かな」と言うが、「トマムの雪と星が好き。 食べ物もおいしいし、気に入っています。」と話す。

占冠はもともと、牧草地に牛が放牧され「肉牛団地」と呼ばれていた。 1981 年、JR 石勝線の開通とともにリゾート開発が始まる。 当初は日本人観光客向け。 村の資料によると 2008 年度の外国人居住者は 10 人程度で、比率は約 1% だった。 転機となったのは 17 年のクラブメッド開業だ。 フランスに本部を置き、世界 25 カ国 60 カ所以上でリゾートを展開する巨大資本。 外国籍の従業員を雇用し、人口比率は 3 割弱まで増えた。 ただ、ほとんどがリゾート施設の従業員寮で生活するため、地域住民との接点はあまりない。

村にとって外国人は、インバウンドの観光業を支える柱だ。 また、リゾート施設からの法人税のほか、人口が増えれば、国からの地方交付税交付金も増加するため、歳入面で財政を支える柱でもある。 開発当時、村職員として用地選定から携わった田中正治村長 (68) は「外国人がいない村の未来は描いていない。 日本人 1 千人を維持しながら、外国人と共生する村づくりをすすめていく。」と話す。

村は役場内で翻訳機をつかった多言語サービスや、集合住宅の整備、外国人の児童生徒も学びやすい義務教育などを進める。 祭りなど地域イベントへの参加も積極的に拡大しているという。 田中村長は「不安があると一緒に暮らせない。 安心という基盤があってこその共生。 その環境づくりこそが村づくりだと感じている」と語る。 (佐々木洋輔、asahi = 1-28-25)


外国人材確保へ知恵絞る … 技能実習生用の新たな寮を整備
「選んでいた時代から選ばれる時代に」 鳥取

さまざまな業界で人手不足が課題となる中、貴重な働き手になっている外国人材の確保につなげようと、境港市の会社が新しい技能実習生の寮を整備しました。 境港市内に完成した技能実習生専用の寮は、地元の水産加工会社「オーク」が整備しました。 木造 2 階建てで、延べ床面積は約 280 平方メートル、18 ある部屋はすべて個室。 部屋ごとにエアコンや収納スペースを備えています。 共用部分にはトイレやシャワー室、簡易の調理スペースが設けられ、この会社で働き始めて 1 年半程度経ったベトナムからの女性技能実習生が入居します。

「完全に女性寮ということで、柔らかい設計にこだわりました。(アート建工・安食達也取締役)」

「技能実習生の面接に行き、選んでいた時代から当社が選ばれる時代になったということで、プライベート空間を充実させたい。(オーク・経営企画室・安食優美室長)」

この会社では、従業員の半数近い 46 人がベトナム人の女性。  生活環境の満足度を向上させ、貴重な働き手になっている外国人に選ばれる会社を目指します。

「前は 2 人の部屋だったけど、今は個室なのでずっとこの会社で働きたいです。 皆新しくて皆満足です。 快適で仕事も満足できます。(特定技能実習生ゴー・ティ・ホンさん)」

さまざまな業界で人手不足が続くなか、人材確保へ山陰の企業も知恵を絞っています。 (TSK さんいん中央テレビ = 1-15-25)


外国人技能実習生の従業員宿舎全焼 岩国市

28 日午後 4 時半ごろ、山口県岩国市玖珂町の民家から出火、木造 2 階建て延べ約 57 平方メートルが全焼した。 岩国署によると、民家は外国人技能実習生の従業員宿舎で、いずれもベトナム国籍の 44 歳女性と 38 歳女性が住んでいた。 出火当時は 2 人とも不在だった。 現場は JR 玖珂駅から北約 1.2 キロ。 (中国新聞 = 12-29-24)


技能実習先で性被害、女性ら提訴「脅されて性行為や中絶させられた」

技能実習先の事業主から性行為を強要されるなどの被害を受けたとして、カンボジア国籍の女性 3 人が 16 日、栃木県でいちご農園を営む男性に約 9 千万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。

訴状によると、3 人は 2022 - 23 年、男性の農園で作業の実習に従事。 うち 1 人の 20 代女性は、男性から「ダメと言うなら帰国させる」と脅され、性行為を繰り返し強要された。 23 年 1 月に妊娠が発覚すると、日本語が十分に理解できない女性は男性の指示で中絶の同意書に署名させられ、手術を受けた。 ほかの 2 人も胸や尻を触られるなどしたという。 3 人は同年 4 月、岐阜県内の労働組合に被害を訴え、農園から避難した。 原告側は、男性が 3 人の脆弱な立場につけ込み性加害をしたと主張。 男性の行為は「重大な人権侵害」だとして、精神的苦痛に対する慰謝料や未払いの残業代の支払いを求めている。

性行為と中絶を強要されたと訴える女性は、支援団体を通じて「すごく怖かったけれど、カンボジアに帰国させられてしまうと思うともっと怖かった。 日本に来るために借金をしていて、帰るわけにはいかないので、黙って耐えた。 私のような被害者が、これ以上出ないように、助けてください。」とコメントした。 (米田優人、asahi = 12-16-24)


外国人技能実習生らに違法労働など 宇和島市の会社を書類送検

外国人技能実習生など 15 人に違法な時間外労働や休日労働をさせたうえ、賃金の一部を支払わなかったとして、宇和島労働基準監督署は市内で縫製業を営んでいた会社とその代表取締役などを労働基準法違反の疑いで書類送検しました。 書類送検されたのは、宇和島市津島町の縫製業、「サンファッション」と「日高縫製」、それにこれらの会社の代表取締役など 2 人です。

労働基準監督署によりますと、2 社は去年 1 月からことし 3 月にかけて、いわゆる「36 協定」と呼ばれる労使協定を届け出ず、中国とカンボジアからの技能実習生など 15 人に違法な時間外労働や休日労働をさせたうえ、賃金の一部を支払わなかった疑いがもたれています。 違法な労働は最も多い人で 150 時間近くに達し、未払いの賃金は 2 社でおよそ 520 万円に上るということです。 さらに 2 社は、ことし労働基準監督官が立ち入り検査を行った際、虚偽の記載をしたタイムカードなどを提出した疑いももたれています。 2 社はすでに業務を停止していて、労働基準監督署は会社側の認否を明らかにしていません。

一方、今治労働基準監督署は、市内で寝巻きなどを製造している 3 つの企業とその 62 歳の事業主について最低賃金法違反の疑いで書類送検しました。 従業員あわせて 6 人に賃金およそ 572 万円を支払わなかった疑いがもたれていて、こちらも会社側の認否は明らかにされていません。 (NHK = 12-10-24)


長崎市の会社寮でけんか? ベトナム国籍の男性死亡 同国籍の男を確保

8 日午後 5 時 10 分ごろ、長崎市西海町の会社寮で「けんかで負傷している人がいる」と消防に通報があった。 長崎県警によると、40 代のベトナム国籍の男性が病院に運ばれ、死亡が確認された。 県警は殺人容疑事件とみて、現場で確保された 30 代のベトナム国籍の男から事情を聴いている。 (榧場勇太、asahi = 12-8-24)


「まるで万引き商社」 ベトナム人窃盗集団拠点一斉摘発、2 人逮捕

ベトナム人がドラッグストアで盗んだ化粧品などを受け取ったとして、警視庁と岐阜、埼玉、千葉、神奈川の 4 県警の合同捜査本部は 27 日、3 府県 4 カ所のベトナム人の関連施設に対し、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)などの疑いで家宅捜索した。 また、この施設の管理人の男 2 人を同法違反容疑で逮捕し、発表した。 施設は全国から集められた盗品の集積所とみられ、合同捜査本部は、成田空港などを経由してベトナムに輸出されていたとみている。

外国人グループによる組織的な窃盗事件の被害品について、国内の流通経路が明らかになるのは極めて異例。 警視庁はベトナム国内の指示役が SNS を通じて在日ベトナム人に指示し、犯行を繰り返していたとみて組織の実態解明を進める。 警視庁捜査 3 課によると、逮捕されたのはヴ・バン・カアン (26) = 埼玉県坂戸市薬師町、グエン・フウ・トウ (29) = 大阪市天王寺区生玉町 = の両容疑者。 逮捕容疑はそれぞれ 7 月、埼玉県坂戸市の空き店舗や大阪市中央区の事務所で、盗品の化粧品などを受け取ったというもの。

ベトナムにいる指示役が日本にいる実行役のグループに各集積所に盗品を送るよう指定。 空港経由でベトナムに渡り、転売されていたとみられるという。 合同捜査本部は同日、両容疑者が管理していた 2 拠点のほか、千葉県の八千代市、松戸市の集積所も家宅捜索。 段ボール箱計約 20 箱や、到着した配達物からはがした大量の伝票が見つかり、約 700 点を押収した。

集積所、全国 10 カ所以上か

グループ内では、指示役らが SNS に「運転手募集中」などと投稿。 連絡があった人に対し、別のアプリに誘導し、買い取る商品を指定したとみられるという。 合同捜査本部はこうした集積所は全国で 10 カ所以上あるとみており、ベトナムにいる指示役についても捜査する方針だ。(藤田大道、長妻昭明)

実態は「万引きの商社」

埼玉県のほぼ中央にある坂戸市。 東武東上線近くのベトナム料理店があった建物に 27 日早朝、捜査員が続々と入った。 警視庁などの合同捜査本部が家宅捜索した坂戸市を含むベトナム人関連施設 4 カ所は、在日ベトナム人が各地のドラッグストアなどで盗んだ商品の「集積所」とされる。 その後、成田空港や関西空港からベトナムに輸出されていたという。 実行役が盗んだ商品を本国の指示役に知らせ、指示役は 1 回の万引きごとに送る集積所を変えていた。 盗品の流通経路の全体像が明らかになること自体も異例だが、ある捜査幹部はベトナム人の窃盗グループについて、「まるで万引きの商社のようだ」ともらした。

最多はベトナム人

警察庁によると、被害総額が 10 万円以上の窃盗事件は、ドラッグストアでは昨年 1 年間で 1,119 件発生。 摘発された外国人 68 人のうち、国籍別で最多は 47 人のベトナム人だった。 今年も上半期で摘発された外国人のうちの 9 割超がベトナム人だ。 同様の被害は衣料品店でもあり、昨年は 108 件、今年は上半期で 59 件の摘発があった。 1 年半で摘発された計 11 人はいずれもベトナム人だ。 ベトナム人による組織的な犯罪の背景には何があるのか。

来日時の借金負担に

移民政策に詳しい京都大大学院の安里和晃准教授は「ベトナム人の来日時の多額の借金問題を放置してきたことが、今の窃盗グループを形成した土壌になっている」とみる。

安里准教授によると、ベトナムから訪れる技能実習生は、他国と比べて多額の借金を抱える傾向があるという。 出入国管理庁の 2021 - 22 年調査では、来日のための初期費用の平均額は約 67 万円と最も高額だ。 安里准教授は失踪者に限ると約 100 万円にのぼるとし、「実習期間で借金を返し切れず、失踪して日本で働き続けようとする人がいる。」 その結果、「不法残留するベトナム人らが増え、結びついて組織的に万引きをするグループが生まれてきた」と分析する。

厚生労働省によると、技能実習生の数では 17 年にベトナムが中国を上回った。 ただ、ベトナム人の技能実習生のうち、失踪者の割合は約 2% 程度で、大半の人はルールに従っている。 安里准教授は「初期費用などのルールの管理と、働く環境や待遇の改善を進めていくことが重要だ」と話す。 (藤田大道、板倉大地、asahi = 11-27-24)


国内縫製工場の技能実習生 「ジャパニーズ・ドリーム」はバングラデシュへ

日本の 24 年 6 月末の在留外国人数は 358 万 8,956 人(前年末比 17 万 7,964 人増)となり過去最高を更新した。 そのうち、外国人技能実習生の在留資格「技能実習」の数は 42 万 5,714 人(同 2 万 1,158 人増)となり、こちらも過去最高を記録。 在留外国人全体に占める割合は 11.9% となり、日本で働く技能実習生の存在感はかつてないほど大きなものとなっている。

目を見張る増加率

バングラデシュからの実習生は総数としては決して多くはない。 直近の 24 年 6 月時点では 1,410 人。 全体からすると 0.3% 程度である。 しかし、増加率に関しては目を見張るものがある。 実習生最多国のベトナムからの実習生は 21 年から 23 年にかけて 26.5% 増加している。 それが同期間で見るとバングラデシュは 6 倍以上の増加率だ。

分母に大きな差があるため、一概に評価はできないが、人材輩出国としてバングラデシュの高いポテンシャルの高さがうかがえる。 ではなぜバングラデシュからの実習生が大きく増えているのだろうか。 要因の一つには、バングラデッシュ国内の労働力が充足しているというのが挙げられるだろう。 (繊研新聞 = 11-11-24)


外国語の犯罪関連情報見抜け ベトナム人留学生が SNS をパトロール

留学生ボランティアらが警察と協力し、同郷の外国人犯罪を防ぐ - -。 そんなサイバーボランティア「フォーシブ(FRCV)」の活動が、埼玉県警の呼びかけで始まっている。 県警によると、全国初の取り組みで、これまでに 100 件以上の投稿に警告し、削除につながったという。 参加する留学生は「活動を通して犯罪を減らしたい」と話す。

さいたま市中央区の日本語学校「東京日語学院」の教室で、ベトナム人留学生、ルオン・ティ・ナさん (19) とボ・ティ・ヒエンさん (19) がスマートフォンに文字を打ち込み始めた。 表示されているのはアルファベットの一部に記号のついたベトナム語。 2 人は在留ベトナム人が参加するフェイスブック上のグループで、「通帳」、「キャッシュカード」、「買う」などの単語を順に検索し始めた。 フェイスブックを使っているベトナム人が多いといい、通帳の売買などの犯罪関連情報を見つけるのが目的だ。

20 分ほどで、ナさんが「見つけました」と言って、記者にスマホを見せてくれた。 投稿には「全ての銀行のキャッシュカードや通帳を買い取ります」などと書かれ、多数の通帳の画像もついていた。 ナさんはこの投稿の画像と日本語訳、URL を県警に共有した。 ヒエンさんも別の日に「会社の銀行口座を買います」などと書かれたベトナム語の投稿を見つけ、県警に報告していた。 2 人は普段、授業の合間や自宅で、空いた時間に活動している。

摘発を逃れるため、略語や隠語を使用した投稿も

県警によると、SNS 上の投稿は、日本の捜査当局などからの摘発を逃れようと、ネットスラングや略語を使ったものも多いという。 ベトナム語で「買う」を意味する「mua」という単語を、あえて「m.u.a」と表記していた投稿も確認された。 運転免許証を、ベトナム語の略語「blx」と表記した例もあった。

埼玉県内にはベトナム国籍の人が約 4 万人居住し、中国籍に次いで 2 番目に多い。一方、県警はフェイスブックなど SNS 上で、一部のベトナム人同士が銀行口座や薬物の売買、不法就労に関する情報をやりとりしているケースを確認している。 略語やネットスラングが使われており、日本人通訳者では犯罪関連の投稿を見抜けないケースがあるという。 そこで県警は、在留ベトナム人が通う県内の日本語学校や専門学校にサイバーパトロールへの協力を呼びかけた。 3 団体が応じ、現在はベトナム語を母国語とする留学生や団体の職員の約 20 人が参加している。

県警は警告投稿を実施、容疑者の摘発にも期待

県警はボランティアからの報告で犯罪関連情報だと判断すれば、県警のアカウントから、ベトナム語と日本語で「日本では、通帳やキャッシュカードの売買は犯罪です」などの警告コメントを投稿。 投稿者が特定されれば摘発することもある。

昨年 7 月からの 1 年間の試験運用で、97 件の投稿に警告した。 75 件で投稿が削除されたり、止まったりしたという。 今年 7 月に正式に発足してからは、県警のパトロールも合わせて約 3 カ月で 41 件の投稿に警告し、うち 23 件が削除されたという。 県警の担当者は「母語話者だからこそ見つけられる、犯罪に関わる隠語がある。 今後、フォーシブの活動をきっかけに口座売買などの容疑者摘発も期待できる。 継続して取り組んでいきたい。」と話した。

東京日語学院の中沢俊一総務部長は「学生にボランティア活動をしながら、防犯意識も高めてもらいたい」と好意的に受け止める。 ヒエンさんは「犯罪行為に関わっているベトナム人がいることは悲しい。 活動を通して犯罪を減らしたい。」と話す。 ナさんは「警察の手助けができるのはうれしい。」 県警は、他の SNS やベトナム語以外の言語に対象を広げることも検討している。 (浅田朋範、asahi = 11-3-24)


職場から失踪した技能実習生 過去最高の 9,700 人余に

日本で働きながら技能を学ぶ外国人技能実習生のうち、職場から失踪した人の数が去年、過去最高の 9,700 人余りとなったことが分かりました。 働く場所を変える「転籍」が原則認められていないことが要因の 1 つとされていて、国は対策に乗り出しています。 出入国在留管理庁のまとめでは、去年、職場からいなくなった技能実習生は9753人で、おととしより747人増え、これまでで最も多くなりました。 技能実習生全体のおよそ 50 人に 1 人の割合で、国別に見るとベトナムが最も多く 5,481 人、ミャンマーが 1,765 5人、中国が 816 人、カンボジアが 694 人などとなっています。

職種別に見ると建設関係が 47.1% と最も多く、農業関係が 8.6%、食品製造関係が 8.5%、機械・金属関係が 7.9% でした。 技能実習生は「やむをえない事情」がある場合を除いて働く場所を変える「転籍」が認められていないため、職場でのトラブルなどで失踪するケースも相次いでいると言われています。 このため出入国在留管理庁は、「やむをえない事情」の具体例として、暴行やハラスメントを受けている場合や、重大で悪質な法令違反などがあった場合があたるとして、「転籍」を認める要件を明確にしました。 また、ハラスメントなどの被害者がいた場合、同僚の実習生も「転籍」できると認めるなど、対策に乗り出しています。

失踪者対策の現状と今後

出入国在留管理庁が行う対策では、「転籍」の手続き期間中の就労を認めるなど実習生を支援する内容が盛り込まれています。 対策では、「転籍」の手続き期間に働くことができず生活に困る実習生もいることから、必要に応じて 1 週間に 28 時間以内の就労を認めることにしています。 また手続きに必要な書類の書式を実習生の母国語にした物を新たに整備します。 3 年後には「技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」が始まり、転籍の要件が緩和されます。 もとの職場で 1 年から 2 年働き、業務分野が同じであれば本人の希望で別の企業などに移ることができます。 (NHK = 10-20-24)


不法残留 29 人を受け入れたマンション 摘発で浮上した町の実情とは

太平洋に臨む茨城県大洗町。 水産加工場や畑が点在する住宅街に、焦げ茶色のひときわ大きなマンションがある。 築 30 年超で鉄筋コンクリート造りの 7 階建て。 インドネシア人 29 人が不法残留していたとして、警視庁などに一斉摘発を受けたマンションだ。 10 日には、警視庁がマンションの所有者の男性 (75) = 茨城県常陸大宮市 = ら 2 人を出入国管理法違反(不法残留)の幇助の疑いで書類送検した。 送検容疑は 2018 年 8 月から今年 7 月、茨城県大洗町の自身が所有するマンションに不法残留のインドネシア人を住まわせたというものだった。

マンションに不法残留者 29 人を住ませたか、男ら書類送検 家賃狙い - 家賃収入で 2 千万円超

男性は「空き室対策のために、オーバーステイと知りながら住まわせていた」と供述しているといい、警視庁は、これまでに 2,100 万円以上の家賃収入を得ていたとみる。 住人のインドネシア人については、警視庁と出入国在留管理局が 7 月、出入国管理法違反容疑で一斉摘発していた。 捜査関係者によると、摘発されたインドネシア人は短期滞在などの資格で入国し、「大洗に行けば働くところも住む場所もあると言われた」などと供述したという。

日本人は 3 世帯だけ

記者がマンションを訪ねると、住人の日本人の 60 代男性は「日本人で住んでいるのは私を含めて 3 世帯だけ。 あとの 30 部屋以上は東南アジア系の外国人」と語った。 約 20 年前から近くで暮らす 40 代の男性は「当初は日本人がたくさんいた。 5 年ほど前から外国人の方が多くなり、朝早くに白いかっぽう着を着て出かけている」と言う。 住人でインドネシア出身の 20 代の女性が、匿名を条件に取材に応じた。 女性は 4 年ほど前、友人に「良いマンションがある」と教えられ、来日と同時に住み始めた。 この 1 年で 50 人以上のインドネシア人が暮らしたという。

「ブローカー」の存在

同国出身者とマンションをつなぐ「ブローカー」に「誰でも住める」と紹介され、短期滞在の資格で住み続けている人もいると明かす。 女性は「ここには仕事があるから、みんな出稼ぎで来ている」と話す。 豊かな漁業資源を有する大洗町は、水産加工業などが盛んな地だ。 ただ高齢化率は 30% を超え、なりわいを支える従業者数は年々減少し、技能実習生を含む外国人に頼っているのが現状だ。 同町などによると、人口約 1 万 5 千人のうち外国人は 1 千人を超えた。 その半数がインドネシア人という。

働き先は水産加工場や畑など。 記者が働き先を訪ねてみると、外国人と働き先をつなげるブローカーの存在がここでも見え隠れする。 町内で水産加工会社を営む 60 代の男性は「技能実習生を数人雇っているが、繁忙期は手が足りない。 そのときだけ別に外国人を雇っていた。」と言う。

繁忙期の「労働力」に

ある会社の従業員を名乗る男から「外国人を短期で雇ってくれませんか」と言われ、繁忙期に限って雇っていた。 男性は「身元を確認していないからオーバーステイかわからないが、実習生ではない」と打ち明ける。 技能実習生は受け入れ期間や人数に限りがあり、住居や渡航費も事業者側の負担となる。 男性は「繁忙期のためだけに技能実習生を増やすと経営が成り立たなくなる」と悩む。

サツマイモ農家の 70 代の男性も「大きな農家は収穫などの繁忙期は人が足りない。 短期で雇える外国人を紹介する会社経由で外国人を連れてくると聞く」と語った。 町の担当者によると、元々、町の在住外国人は中国人が中心だったが、東日本大震災以降、インドネシア人が増えたという。 人手不足が深刻化する中、労働力として頼りにされていた外国人たち。 そんな中で、今回の摘発で不法残留者の存在が明らかになった。 同町の担当者は取材に「29 人も不法残留者がいたとは知らなかった」と困惑していた。 (長妻昭明、asahi = 10-10-24)


外国人労働者の受け入れ急ぐ政府 特定技能枠を 5 年で 2.4 倍の 82 万人に拡大

人手不足の解消に向け、政府は外国人労働者の受け入れを加速させている。 今年 3 月には、人手不足の分野で外国人に就労を認める「特定技能制度」の対象を、従来の 12 分野から、▽ 自動車運送業、▽ 鉄道、▽ 林業、▽ 木材産業の 4 分野を追加し 16 分野に広げる方針を閣議決定。 令和 5 年度までの 5 年間で 34 万人としていた受け入れ上限数も、10 年度までの 5 年間で、それまでの約 2.4 倍の 82 万人に拡大する。

途上国への技能移転を目的とし帰国を前提とする、在留期間最長 5 年の技能実習制度も廃止し、外国人の育成と就労の双方を目的とする「育成就労制度」を令和 9 年までに始める。 育成就労の在留期間は原則 3 年だが、特定分野で最長 5 年間、就労できる在留資格「特定技能 1 号」と対象分野をそろえることで、特定技能制度への移行を促す。 さらに練度が上がれば、家族が帯同でき、在留期間に上限がない「特定技能 2 号」への移行も可能になる。

一方、在留期間に上限がない特定技能 2 号の外国人が増えることで将来的に外国人永住者の増加も見込まれることから、税金を故意に滞納するなどの悪質なケースは永住資格を取り消すことができるようにする。 (宮野佳幸、sankei = 9-29-24)


「特定技能」外国人 25 万人、最多更新 ベトナムが半数、次いでインドネシアとフィリピン

出入国在留管理庁は24日、人手不足に対応するため創設された在留資格「特定技能」で日本に滞在する外国人が、6 月末時点で 25 万 1,747 人となり、過去最多を更新したと発表した。 特定技能は即戦力の労働者を確保するため平成 31 年に始まり、政府は受け入れの拡大を進めている。 人材難が深刻な建設や介護、農業などの 12 分野が対象で、最長 5 年働ける 1 号と、熟練技術を要し家族帯同が可能な 2 号がある。 入管庁によると、6 月末時点で 2 号は 153 人だった。

「技能実習」を良好に修了し試験なしで 1 号に移ったのが全体の 6 割強で、残りは技能試験などを経ていた。 1 号の産業別の最多は飲食料品製造業が約 7 万人。 国籍別ではベトナムが半数を占め、インドネシア、フィリピンと続いた。 政府は 1 号で就労可能な産業として、バスやトラック運転手などの自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の 4 分野を追加する方針。 (sankei = 9-24-24)


「泥棒に入られた」今治の空き家からパソコンなど窃盗 ベトナム人の技能実習生逮捕 愛媛

愛媛県今治市の空き家に侵入しノートパソコンなどを盗んだ疑いで、ベトナム人の技能実習生の男が 10 日に逮捕されました。 邸宅侵入と窃盗の疑いで逮捕されたのは、今治市大西町に住むベトナム人の技能実習生の男 (39) です。 警察の調べによりますと、男は今年 4 月 28 日午後 2 時頃から 5 月 3 日午後 6 時半頃までの間に、今治市大西町九王の空き家に侵入し、ノートパソコンなど 15 点(時価合計約 20 万円相当)を盗んだ疑いがもたれています。

空き家は木造 2 階建てで市内の 40 代男性が所有。 5 月 3 日に空き家を訪れて物がなくなっていることに気づきました。 警察は「泥棒が入った」と通報を受け捜査し、男を割り出しました。 男の認否は明らかにされておらず、警察が動機や共犯者の有無を調べています。 (テレビ愛媛 = 9-10-24)