SNS で「娘の顔出し終了します」 広がるシェアレンティングの懸念 親が子どもの写真を SNS などに載せる行為は、子の意思を置き去りにしているのでは - -。 そんな問題意識が少しずつ広がっている。 「顔出しを終了します。」 子育て情報を発信するインスタグラムのアカウント「すずぱぱ」は 2024 年 5 月、こんな投稿をした。 運営する男性によると、娘が 3 歳の誕生日を迎えたのがきっかけだった。 それまでは娘の顔が分かる写真を投稿していたが、今は顔が写っていない写真を選んでいるという。 娘の誕生に合わせてアカウントを開設したのは、「イヤイヤ期」を乗り越えるまでの実体験を記録し、家庭科教師の立場から育児に役立つ情報を発信しようと考えたから。 子育て世代などから共感を集め、フォロワーは 3.9 万人を超えた。 ただ、開設当初から、娘の顔写真は期限付きと決めていた。 「子どもの許可なく投稿するのは倫理観にも引っかかった。」 年齢が上がれば無断利用の危険性が高まるとも思っていた。 親が子どもの成長する姿を SNS などで公開する行為は「シェア(共有する)」と「ペアレンティング(子育て)」に由来する造語「シェアレンティング」と呼ばれる。 画像が共有できる SNS の流行とともに、活発になった。 「写真載せないで」 娘の言葉きっかけに 韓国の児童文学作家ジェ・ソンウンさんは、自身の子育て経験を元に 21 年、一冊の本を出版した。 タイトルは「インフルエンサーのママを告発します。」 23 年には日本語訳もされた。 主人公「ダルム」は小学 5 年生の女の子。 母親の「リナビ」はフォロワー 20 万人をもつインフルエンサーとして活動し、娘の成長の様子を SNS に投稿してきた。 ダルムは学校でもインフルエンサーの娘として注目を浴びる。 だが、同級生に勝手に写真を撮られたり、母親の SNS で自分の恥ずかしい写真が公開されたりすることに複雑な思いを抱いていた。 あるとき、1 人のクラスメートの言葉をきっかけに素直な気持ちを母親に伝えようと決意するストーリーだ。 ジェさん自身、かつて娘の写真を SNS に載せていた。 娘が小学 5 年生くらいになった時、「自分の顔写真を載せないでほしい」とお願いされた経験を持つ。 ジェさんは「かわいいあまりに載せたが、娘が嫌がる可能性があることを知った」と振り返る。 韓国でもシェアレンティングが広まる一方、写真が悪用される可能性を知らない人もいた。 「『告発』という少し強い言葉を選んだのは、警告の意味も込めた」とした。 フランスでは親権に関わる法律も 法整備が進む国もある。 フランスでは 24 年 2 月、子どもの肖像権を保護する法律ができた。 両親が子どもの年齢や発達の程度に応じて肖像権を共同で行使することを定め、子どもの写真の公開をめぐって両親の意見が一致しない場合、一方の親が提訴すれば、裁判官がもう一方の親に公開を禁じるよう命じることができる。 親が写真を公開して子どもの尊厳が侵害される場合、親族らが親権の譲渡を求めて提訴することも可能にした。 弁護士「リスク知り、議論を」 ネット問題に詳しい弁護士の清水陽平さんは、日本国内でも、子どもが成長した後、写真の投稿は自らの意思に反していたと訴え、トラブルになる可能性を指摘する。 幼稚園がホームページにアップした園児の写真が生成 AI で児童ポルノに悪用された例もあるという。 清水弁護士は「悪用されないためには投稿しないことが一番だが、投稿するのであればアカウントを非公開にしたり、モザイクなどで顔を隠したりする加工も一つの手段だ」と話す。 家族や友人との間で写真をやりとりする場合でも、どんなリスクがあるかなどを共有し、「写真の扱いに関して合意形成をしておくことが重要だ」と話した。 (三宅梨紗子、asahi = 1-13-25) 香川県、来年の公立高校入試からインターネットでの出願に 香川県教育委員会は、受験生や学校側の負担軽減などにつなげるため、来年の公立高校の入試からインターネット出願に切り替える方針です。 香川県の公立高校の入試は、現在、紙の願書のみで受け付けていますが、受験生や保護者の書類作成や中学校側が願書を集めて高校に提出する作業、それに高校側のデータ入力などが負担となっています。 こうした状況を踏まえて、県教育委員会は公立高校の入試をインターネット出願に切り替える方針です。 時期は、来年春に入学する生徒を対象にした来年 2 月の自己推薦選抜からの開始を目指しているということです。 また、現在、県の証紙で支払うことになっている受験の手数料をインターネットを通じたクレジットカード払いにしたり、受験番号を入力すれば、インターネット上で合否を確認できるようにしたりすることも検討しているということです。 県教育委員会は、こうした取り組みを通して、生徒や保護者の負担軽減と利便性の向上、それに教職員の勤務時間の削減につなげたいとしています。 (NHK = 1-6-24) なりすまし広告対策、メタに体制強化を要請へ 経産省が報告求める 経済産業省は 13 日、フェイスブックを運営するメタに対し、企業のロゴや著名人の顔写真を無断で使ったなりすまし広告への対策を強化するよう求める方針を固めた。 広告の審査体制の改善が必要だと判断した。 「デジタルプラットフォーム取引透明化法」に基づき、経産省が毎年公表する指定プラットフォーム事業者への評価案に盛り込まれた。 メタに対し、広告出稿アカウントの本人確認の強化や、機械での自動審査だけでなく、広告審査のための人員拡充などを求める。 メタは、改善策の取り組み状況について、来年度に報告することになる。 透明化法は、ネット通販、アプリストア、デジタル広告の 3 分野の指定事業者に対し、取引先への情報開示や苦情処理などの体制整備を求め、取り組み状況を毎年報告させて経産相が評価する。 なりすまし広告を扱うのは初めて。 なりすまし広告の問題では、証券会社など企業の被害も今年急増した。 企業のブランド毀損や正当な広告が誤って削除されるといった影響があった。 経産省は今年 6 月、デジタル広告大手のメタ、グーグル、LINE ヤフーの 33社にヒアリングし、結果を公表した。 評価案では、メタのほか、アマゾンジャパンに対し、「競争力ある価格」に設定すると利用者の目にとまりやすい「おすすめ出品」に表示されやすくなる仕組みについて、出品者に事実上の値下げを要請する行為だという声もあると指摘。 「値下げを要請するものではない」とする同社に対し、具体的な根拠とともに説明を求める。 公正取引委員会はこの問題で先月、独占禁止法違反の疑いで同社に立ち入り検査した。 (村井七緒子、asahi = 12-13-24) 高校のタブレット端末を自己負担、来年度は 26 都道府県で 機種は? 都道府県立高校の授業で使うタブレット端末の購入費を保護者負担とする自治体が増えている。 朝日新聞の取材では、2025 年度は今より 2 県多い 26 都道府県となることが分かった。 教育費の家計負担が増えるほか、高校の多様な学習に適した仕様の確保も課題だ。 10 - 11 月に 47 都道府県教育委員会に取材した。 その結果、25 年度は、香川と富山が1年生から保護者負担とする。 コロナ交付金終了などが契機に また秋田は 27 年度から、公費で買った端末の貸与から保護者負担に切り替える方針を公表済み。 宮城、熊本両県も取材に、保護者負担に今後切り替える方針だと答えた。 愛知は、26 年度の 1 年生から切り替える方針を 12 月に公表した。 授業で使う端末は、小中学校では 19 年からの国の「GIGAスクール構想」によって公費での「1 人 1 台」配備が進んだ。 義務教育外の高校でも、学習継続の環境整備を重視して文部科学省が整備を進めるように都道府県教委に通知。保護者負担に加えて、コロナ禍前から約 3 分の 1 を国が支援する地方財政措置やコロナ対策交付金の活用などで配備が拡大した。 そして、交付金事業の終了や端末の更新を機に保護者負担に変える例が増えている。 香川と富山も、交付金終了や、それ以外に国からの財政支援がないことなどを変更の理由に挙げた。 家計負担額は小さくなく、富山は 1 台あたり約 7 万 5 千円程度、香川は 7 万 2 千円程度を見込む。 すでに保護者負担としている 24 都道府県のうち、茨城、埼玉、東京、山梨、京都、島根、沖縄の 7 都府県は、低所得世帯向けだけでなく、一律の負担軽減策もしていた。 保護者負担の自治体、負担軽減策に差 東京は、子ども 3 人以上の家庭なら 1 台あたり最大 1 万 5 千円に、その他も 3 万円に抑えられるように補助している。 茨城や山梨などは、仕様や費用などで適切な事業者と連携し、割安で買える仕組みにしている。 沖縄や京都は一律に補助していた(それぞれ 1 万 5 千円、1 万円)。 「コロナ前の、保護者負担による購入へ戻す」と決めた香川では、公立の全日制の生徒と私立高生には半額の 3 万 6 千円を上限に、公立の定時制・通信制の生徒には 4 分の 3 の 5 万 4 千円を上限として、県が補助すると発表した。 一方、他の道府県は取材に、支援は低所得世帯向けなど限定的だと答えた。 ある県の担当者は「『保護者負担が大きい』という声は聞くが、一律補助は財政負担が大きく厳しい」と話した。 全国的な動きと違うのは佐賀県。 当初は保護者負担だったが、18 年度から、県がリースした端末の貸与に変えた。 家計負担の軽減が理由で、初の更新期だった今年度以降も続ける方針だ。 担当者は「他県の対応も見ながら判断するが、更新したばかりということもあり、当面はこのまま」と話した。 文科省「公費負担がベストとは言えない」 高校は国庫負担としていない理由について、文部科学省は、@ 情報科や工業科などの専門学科や総合学科があり、地域によっても活用内容や状況、必要な仕様が違う、A 義務教育ではなく教科書なども有償、B 従来、約 3 分の 1 は支援している - - などと説明。 個々の判断は学校設置者に委ねている。 中央教育審議会の「次期 CT 環境整備方針の在り方ワーキンググループ」も 7 月、「多様な教育内容に応じて必要なスペックを踏まえる」などとする取りまとめを出した。 「家庭の負担を考えれば公費を望む声は理解はできる。 ただ、あくまでも都道府県の判断になるが、公費負担で一律に同じ端末を貸与することが必ずしもベストとはいえない。 国による負担はいまのところ検討していない。」と文科省の担当者は話す。 機種選択の方法は、「学校指定」や「生徒・保護者の判断」など様々。 ある県では、学校の判断で、専門学科では県の貸与端末を使わず保護者負担としている高校もある。 担当教諭は「専門学科で高度な情報教育をするため、県の貸与端末では活用に限界がある。 入学前から個人端末を使っている生徒も少なくなく、卒業後も継続して使えるようスペックだけ指定して各自違う端末で教えている」と説明する。 また、保護者負担の県でも、長野県は今年度、「教育内容によって希望の機種・機能が多様になったため、学校のあっせんで購入する保護者が増えた」として、県が推奨端末をあっせんする制度をやめた。 「端末活用は識字と同様に不可欠」、識者の提案 一方、公費負担で貸与している東海地方の県は、端末は県の備品という扱いなので、持ち帰り時に書類を提出させているという。 担当者は「手続きが面倒だからと、校長判断で生徒に端末を持ち帰らせない高校も少なくない。 端末活用が進まない要因にもなっている。」と話す。 現場の教員からは、「公費負担で同じ端末なら指導しやすい」という声の一方、「デザイン、動画編集、3D の設計など生徒の興味や部活などによって端末の使い方も多様になった。 卒業後も見据え、各自に適した端末を使うことも悪いとは言えない」という意見も聞かれる。 中央教育審議会の有識者会議委員も務める神奈川県立上鶴間高校の柴田功校長は「今後、小中学校で使い慣れた子が高校に進むと、求められる活用や端末も変わる。 低所得世帯などへの貸与・給付制度は十分に整えた上で一定の補助を出して保護者負担とするなど、自治体や教員の都合でなく、生徒にとって良い方式をよく検討すべきだろう」と話す。 また、認定 NPO 法人「キッズドア(東京都)」などで、低所得世帯の女子生徒らを対象に IT 活用の指導をしている千葉大の渡辺誠教授(デザイン)は、低所得世帯の子へは貸与ではなく無償提供が必要だと指摘する。 端末活用は「これからは識字と同じくらい不可欠」とし、「貸与では、卒業すると購入する余裕がなく途絶えてしまう。 子どもが使い方を覚えると保護者も目覚めて職につながる効果もある。 転売しないよう高校 3 年間は授業や課題などでフル活用する前提で無償提供すべきだ」と話す。 また、これからはソフトやアプリを端末にダウンロードせずクラウドにアクセスする形式が主流になるとして、動画編集や 3D モデルなど専門的な使い方をする学科や部活の生徒を除けば「ネットアクセス用の安価な端末や生徒ごとに違う端末でも問題はない」と話す。 生徒の使い方に合わせて保護者が買う費用に自治体が補助したり、安価な端末を公費で購入したりする一方、セキュリティーやデータ管理に費用を振り向けるなど「自治体は先を見据えた検討が大切」としている。 (植松佳香、上野創、編集委員・宮坂麻子、asahi = 12-12-24) 続く富士ソフト争奪戦、ベインが 9,600 円で TOB 案 KKR 上回る 米投資ファンドのベインキャピタルは 11 日、システム会社の富士ソフト(横浜市)に提案していた株式公開買い付け (TOB) の価格を 1 株 9,600 円に引き上げると発表した。 同じ米系ファンドの KKR が実施中の TOB の 1 株 9,451 円を上回る価格で、争奪戦を続ける意向だ。 ベインは、同日公開した文書で、「株主に KKR より高い金額での売却機会を提供することが必要と考えた」と説明した。 富士ソフト経営陣の賛同を条件に TOB を始め、議決権ベースで過半の取得を目指す。 ただ、KKR はこれまでに実施した TOB で、富士ソフト株の約 35% を確保している。 富士ソフトの株価はこの日、前日より 133 円高い 9,663 円で取引を終えた。 富士ソフトへは当初、経営陣の賛同を経た KKR が 1 株 8,800 円で TOB を開始。 手続きに不満を抱いたベインが 9,450 円での TOB 計画を掲げたため、KKR がさらに 1 円高い 9,451 円に価格を引き上げて幕引きを図ろうとしていた。 富士ソフトの特別委員会は先月出した意見書の中で、争奪戦が「企業価値向上の実現を停滞させている」とし、ベインに「さらなる価格の引き上げ交渉を行うべきではない」と指摘していた。 ベインは意見書を踏まえた経営陣の対応を「株主の利益の確保を軽視し、不適切だ」と反発している。 (和気真也、asahi = 12-11-24) ◇ ◇ ◇ 富士ソフト TOB、KKR がライバル価格より 1 円上積みで決着? システム開発会社「富士ソフト(横浜市)」をめぐる二つの米投資ファンドによる争奪戦が新たな展開を迎えている。 先に株式公開買い付け (TOB) に動いた KKR が、買い付け価格を従来の1株 8,800 円から ,9451 円に引き上げると発表した。 対抗するファンドより「1 円」高い設定で、攻防に終止符を打つ考えだ。 TOB 価格の引き上げを受け、富士ソフト経営陣は 15 日に取締役会を開き、KKR の TOB 提案にあらためて賛同を表明した。 対抗馬のベインキャピタルの提案には反対する旨の決議を行った。 ベインは富士ソフト経営陣の賛同を TOB の実施条件としており、反対表明で幕引きを図る。 小売業向けシステムや自動車のソフト開発に強みがある富士ソフトに、KKR が TOB を開始したのは 9 月。 約 2 年にわたる協議を重ねた富士ソフト経営陣の賛同を得て 1 株 8,800 円での買収を目指した。 ところが、途中でベインが「参戦」。 富士ソフト経営陣にTOB提案するプロセスに「参加機会が与えられなかった」などとし、KKR より 650 円高い 1 株 9,450 円での TOB 案を提示した。 その後、富士ソフト株主でもある創業家がベイン案を「株主共同の利益に資する」と支持して経営陣にも賛同を求めるなど、混乱が続いた。 事態の収拾を図るため、KKR が取った一手がベインより 1 円高い価格への引き上げだった。 総額 400 億円増 「前向きな投資に使えた資金」 TOB 完了にかかる総額は当初より約 400 億円膨らんで 6 千億円規模になる。 事情を知る関係者は「KKR にとっては本来、買収後の会社への前向きな投資に使えた資金」としたうえで、「株主や社員も動揺しており、いち早く混乱を解消することは大事だ」と話す。 TOB を 2 段階で進める KKR は、11 月上旬に終えた 1 回目の TOB で大株主の応募などを受け、会社の重要事項に拒否権が持てる約 34% の株を確保していた。この応募分にも 1 株9 451 円を支払う意向だ。 速やかな第 2 回開始を目指す。 富士ソフトは、独立社外取締役でつくる特別委員会の見解も公表した。 委員会は、この混乱が「企業価値向上の実現を停滞させている」として早期解消の必要性を強調し、ベインに「さらなる価格の引き上げ交渉を行うべきではない」と指摘した。 ただ、ファンドの攻防が TOB 価格の上昇につながると見込んできた市場は収まっていない。 富士ソフト株は 18 日、前営業日より 420 円高く、両ファンドの提案額を上回る 9,530 円で取引を終えた。 (和気真也、asahi = 11-18-24) メルカリ、売買トラブルの補償拡大へ 返品トラブル対応への批判殺到 フリマアプリ大手のメルカリは 25 日、アプリ上での取引トラブルをめぐり、従来の補償方針を見直し、対象を拡大する方針を公表した。 SNS 上で同社のトラブル対応が不十分との批判が相次いだことから、関与の度合いを強め、不正利用の抑止にもつなげたい考えだ。 同社はこの日、「これまでの補償方針を大幅に見直し、補償を拡大する」との方針を発表。 返品された商品の中身がすり替わっているといったトラブルに対応するため、「商品回収センター」を新設し、被害を迅速に確認したうえで補償につなげる考えだという。 不正を排除するために、警察などとの連携強化や、不正行為が疑われる取引の監視を徹底するとしている。 補償対象となるトラブルや具体的な基準などについては公表していない。 同社のサービスをめぐっては今月、プラモデルを出品した利用者が、購入者からの返品要請に応じたところ、中身が別物にすり替わっていたトラブルが発生。 同社が補償に応じなかったことなどを利用者が SNS 上に投稿し、同社への批判が広がり、同社は 17 日、不十分な対応への謝罪とサポート体制強化の方針を発表していた。 同社は、個人に取引の場を提供するとの立場から、トラブルは当事者間での解決を優先してきたが、「対応に踏み込み不足のところがあった。 今後、解決が難しい案件については、積極的に決着を図っていく(同社広報)」と強調した。 同社は 2013 年にフリマアプリのサービスを開始。 現在、累計出品数は 30 億品、月間の利用者は 2,000 万人を超える。 (村松真次、asahi = 11-25-24) サイバー犯罪集団「フォボス」の首謀者を逮捕 警察庁参加の国際捜査 日本や米国、欧州警察機構(ユーロポール)などが参加した国際共同捜査で、サイバー犯罪集団「フォボス」の首謀者とされるロシア国籍の男 (42) が逮捕された。 警察庁や米司法省が 19 日、発表した。 警察庁などは、男がランサムウェア(身代金ウイルス)をウェブ上で攻撃者に販売・配布し、運営していたとみている。 米司法省や日本の警察庁の発表によると、フォボスは世界中の公共機関や企業にサイバー攻撃を加え、1,600 万ドル(約 24 億 6,400 万円)以上を奪った。 日本の被害は、2020 年以降に少なくとも 20 都道府県の行政機関や企業などで約 70 件確認されている。 22 年 10 月には大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)が攻撃を受け、電子カルテの使用や診療報酬の計算ができなくなり、緊急以外の手術や外来診療が停止に追い込まれた。 警察庁が男を特定 今回の捜査では、警察庁のサイバー特別捜査部が IP アドレスの痕跡を追うなどして男を特定した。 日本警察が独自の捜査でランサムウェアの運営者を割り出したのは初めてという。 一方、米連邦捜査局 (FBI) も平行して、仮想通貨の動きなどから男を特定した。 警察庁は「国際捜査コミュニティーでのプレゼンス向上に資する成果。 日本と外国当局間の国際連携のさらなる深化につながる」としている。 ロシア発祥の集団、日本でも度々被害 コンピューターセキュリティー大手「トレンドマイクロ」によると、フォボスはロシア発祥のサイバー犯罪集団とみられ、2018 年ごろから存在が確認されている。 国内では 22 年の大阪急性期・総合医療センターや、その委託業者の「ベルキッチン」のほか、23 年の埼玉大、24 年のシステム会社「ヒロケイ」への攻撃が確認されている。 トレンドマイクロの担当者は「ランサムウェアを使ったサイバー犯罪集団の国際的な摘発が続くが、摘発後に新しい組織として活動を続けるグループもいる」と指摘する。 (吉田伸八、八木拓郎、asahi = 11-19-24) 農水省の電子申請経費、1 件あたり 6 万円也 有識者から批判続出 農林水産省が運用する電子申請サービスの 1 件あたりの費用が、6 万円超にのぼることが 14 日、わかった。 システムにかかる費用がかさむ一方で、申請の件数が想定を大幅に下回ったためだ。 外部有識者からは、「高すぎる」と見直しを求める意見が相次いだ。 この日開かれた政府の行政事業レビューの会合で判明した。 問題になったのは、農水省が 2020 年度から運用を始めた「eMAFF」というシステム。 約 3,300 の手続きをオンライン化し、25 年度に 1 年間で 400 万件程度ある手続きの 60% を電子申請に切り替える予定だった。 昨年度は 43.9 億円の経費がかかったが、電子申請は 6.8 万件にとどまったという。 会合では、外部の有識者から、「1 件 6 万円の費用は高すぎる」といった批判が続出した。 農水省は、「すべての手続きのオンライン化を目指した結果、申請がほとんどない手続きまでシステムを構築することになり、費用がかさんだ」と説明している。 より費用を抑えたシステムの開発を進めているという。 (大日向寛文、asahi = 11-14-24) テレビ映りにくい地域、ネット代替を許容 総務省有識者会議が提言案 放送の将来像を議論する総務省の有識者会議は 22 日、放送波が届きにくい地域で、代わりにインターネット回線で放送番組を届けることを許容する提言の素案を示した。 「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(座長 = 三友仁志・早大大学院教授)」は、意見募集などを経て提言を取りまとめ、総務省は法整備の検討を進める見込みだ。 放送法で、NHKには放送が全国どこでも受信できるようにする義務があり、民放にも努力義務がある。 このため、山間部といった放送波が届きにくい地域では、NHK や民放は小規模の「中継局」を設置している。 しかし人口減少が進む中で、その維持費が課題となっている現状がある。 そこで検討会は、一般にウェブの閲覧などに用いられる「IP ユニキャスト」という方式を、放送波が届きにくい地域で代わりに用いるのを「許容することが適当」とした。 小規模中継局などを使っている一部の地域では今後、放送波ではなくインターネットで番組を視聴するようになる可能性がある。 放送に準じた品質や機能を確保することや、NHK と民放の責任で行うことを前提にするという。 (asahi = 10-22-24) 公取委、巨大 IT に対抗すべく体制強化へ 担当職員 3 倍超に増員 公正取引委員会が来年 4 月にも、巨大 IT 企業の規制に従事する職員を現在の 3 倍超に大幅増員する方針であることがわかった。 6 月に成立した「スマホソフトウェア競争促進法」の執行や、AI (人工知能)などの実態調査を担う。 デジタル分野の局長級ポストも新設し、グローバルに強大な影響力をもつ GAFA に対抗すべく体制強化を図る。 公取委はこれまで 14 人だった担当職員を 35 人増員する方針。 非常勤のデータアナリストなどのデジタル専門人材も加えると 60 人規模になる。 局長級の「デジタル・国際総括審議官」を新設し、その下にスマホ競争促進法を担当する参事官(課長級)も配置する。 2025 年度の機構・定員要求に盛り込む。 スマホ競争促進法は巨大 IT に対し、アプリストアの新規参入を妨げたり、検索結果で自社サービスを優先的に表示したりすることを禁止する。 法律の影響を受ける国内事業者は数十万におよび、グローバルに強大な影響力をもつ巨大 IT を取り締まるために公取委の体制強化を求める声は多くあった。 同様の規制に動く各国の競争当局も人員体制を強化している。 今年 3 月にデジタル市場法の本格運用が始まった欧州連合 (EU) では、弁護士や経済学者などの専門家も含む 100 人規模で同法の運用にあたる。 英国でも今年 5 月に成立した「デジタル市場・競争・消費者法」の運用に向けて担当部署を 200 人規模に増員するとしている。 (村井七緒子、asahi = 8-28-24) ウィンドウズ端末 850 万台に影響 世界的システム障害に MS が見解 米マイクロソフト (MS) の基本ソフト (OS) 「ウィンドウズ」を搭載したパソコンなどが世界各地で相次ぎ異常停止した問題で、同社は 20 日、不具合の影響を受けた端末は推定 850 万台に上ると発表した。 全体の 1% 未満というが、重要なサービスを提供する企業が、異常の原因となった米企業のセキュリティーソフトを導入していたため、経済的・社会的に大きな影響が出たとの見解を示した。 障害が発生したのは日本時間 19 日昼ごろ。 航空や医療、金融など幅広いサービスに影響が及んだ。 米大手「クラウドストライク」のセキュリティー対策ソフトを導入したパソコンなどに障害が発生し、同社は 19 日、自社のソフトのアップデートに欠陥があったと発表した。 カーツ最高経営責任者 (CEO) は同日、米 NBC の番組で、「今回の障害について、私たちの企業と関わりのある顧客、旅行者、そして影響を受けた全ての人たちに深くおわびする」と述べた。 航空業界では航空会社のチェックインシステムなどに影響し、19 日には世界で約 5 千便が欠航した。 ソフトウェアの不具合が修復された後も混乱は続いたが、AFP 通信は 20 日までに、欧州やアジア各地の空港が、ほぼ通常通りに戻ったと報じている。 一方、AFP によると、オーストラリアや英国、ドイツではシステム障害後、パソコンの復旧を手伝うと申し出たり、クレジットカード情報を聞き出したりする、詐欺とみられる事案が増加し、当局が注意を呼びかけているという。 (真野啓太、asahi = 7-21-24) ◇ ◇ ◇ Windows 異常停止、過去最大規模か 欠航 4 千便以上、影響続く 世界で米マイクロソフト (MS) のウィンドウズを搭載したパソコンが相次いで異常停止した問題は、一夜明けた 20 日も影響が続いた。 原因となった会社の特定サービスに社会が依存しており、航空業界では世界で 4 千便以上が欠航、4 万便以上が遅延したほか、病院や物流など多くのインフラに影響が広がった。 過去最大規模のシステム障害との見方も出ている。 障害は米東部時間 19 日未明(日本時間 19 日昼)に発生した。 米企業「クラウドストライク」のセキュリティー対策ソフトを導入したパソコンが異常停止を繰り返した。 会社側は現地時間の 19 日早朝に「セキュリティーの問題やサイバー攻撃ではない」と公表。 問題を特定し、修正プログラムを展開したとした。 この障害で、特に影響を受けたのが航空業界だ。 米国の主要航空会社はすべての航空便の運航を一時停止した。 米ユナイテッド航空によると、航空機の重量計算やチェックイン、コールセンターのシステムに影響が出たという。 復旧作業を進めているが、欠航や遅延が続いているという。 デルタ航空は3割近くが欠航するなど、米国の航空会社への影響が特に大きかった。 特定のサービスへの依存 もろさ浮き彫りに 現地時間の 19 日朝、ウィスコンシン州ミルウォーキーの空港カウンターは混雑が続いていた。 出張のためアトランタまで行く予定というエド・パーディーさん (40) は「すでに 2 時間ほど出発が遅れている。 航空会社の責任ではないとは分かっているので、怒っても仕方ない。 落ち着いて待つことしかできない。」と話した。 航空会社は、搭乗予定の便の運航状況を調べてから空港に向かうよう注意を呼びかけた。 日本や欧州、アジアでも航空便の運航に影響が出た。 米メディアの報道や発表によると、米国では各地の病院で患者を受け入れるシステムが正常に作動しなくなったほか、裁判所のシステムが正常に動かなかったり、物流会社で配達が遅れたりした。 緊急通報サービスの「911」に電話がつながりにくくなった例もあったという。 英国では一部のテレビ放送ができなくなり、日本でも飲食店などで営業を中止した例があった。 クラウドストライクによると、原因はサイバー攻撃の兆候を探知するソフト「ファルコン」の、ウィンドウズ向けの設定をアップデートした際に障害が起きたことという。 同社のジョージ・カーツ最高経営責任者 (CEO) は 19 日の声明で「弊社の全員が状況の重大さと影響を理解している。 今日の障害について、すべての顧客に心から陳謝したい。」表明。 「顧客のシステムの復旧に集中している」とした。 MS のサティア・ナデラ CEO も 19 日、X (旧ツイッター)への投稿で「我々も問題を認識しており、顧客のシステム復旧に向けてクラウドストライクと緊密に連携している」と説明した。 クラウドストライクによると、同社は世界の大手企業など約 2 万 9 千社にソフトを提供している。 今回、ソフトのアップデートが世界的な障害につながったことで、特定のサービスに依存するもろさが浮き彫りとなった。 サイバーセキュリティー専門家のトロイ・ハント氏は取材に「世界的に一つのプロバイダーに依存することは、(サイバー攻撃など)悪意のある活動が起きた際にもリスクになる。 今回の件は今後の警鐘となるだろう。」」と話した。 また、同分野の研究者のルーカス・オレジュニック氏は「我々のシステムは極めて相互依存しているが、(そこが止まるとシステム全体が停止する)単一障害点が多くある」と指摘。 「今回のような事例はあまり想定されておらず、対策は難しい」との見方を示した。(ニューヨーク・真海喬生、フェニックス・五十嵐大介、asahi = 7-20-24) ◇ ◇ ◇ Windows パソコン相次ぎ異常停止 セキュリティーソフト原因か 9 日午後 1 時半ごろから、米マイクロソフトのウィンドウズを搭載したパソコンが相次いで異常停止する事態に見舞われている。 米国のセキュリティー企業「クラウドストライク」のソフトを導入したパソコンで発生していることを同社日本法人が確認しているといい、「対応を検討している」と朝日新聞の取材にコメントした。 米クラウドストライク日本法人によれば、同社のセキュリティーソフト「Falcon (ファルコン)」を導入したパソコンについて、ウィンドウズが異常停止したことを示す「ブルースクリーン」が表示されるという。 日本法人の広報担当者は「現象について認識しており、原因の調査と対応を検討している」と話した。 クラウドストライクを導入している企業の社員によると、19 日午後 1 時 40 分ごろ、オフィスのパソコンでブルースクリーンの表示が相次ぎ、再起動してしばらくすると再び表示されるという。 「いつクラッシュするかわからず、仕事にならない」と話していた。 (編集委員・須藤龍也、asahi = 7-19-24) ◇ ◇ ◇ トラブルは世界各地に影響 Windows 異常停止 米マイクロソフトのウィンドウズを搭載したパソコンが 19 日昼過ぎから相次いで異常停止した。 国内各地でもこの影響とみられるトラブルが起きており、企業が対応に追われた。 格安航空会社ジェットスター・ジャパンによると、システム障害によって国内線約 20 便が欠航となった。 福岡空港(福岡市)ではこの日夕方、ジェットスターのカウンターに 30 人ほどが行列をつくっていた。 成田空港行きの便について「システムトラブルのため、職員が手作業で搭乗手続きをします。 身分証などをご準備ください」というアナウンスが流れると、少しずつ列は短くなった。 窓口のスタッフは、搭乗者の名前や行き先などをペンで書きこんだ航空券を作成するなど、慌ただしく対応していた。 千葉県から観光で訪れていた男性 (32) は、飛行機が飛ぶのかまだわからないと窓口で言われたといい、「明日から仕事なので必ず帰りたいが、他の航空会社の便は満席だらけ。 困りました。」と話した。 影響はほかの航空会社にも及んだ。 日本航空では予約管理システムに不具合が生じ、ホームページ上で国際線の予約の新規申し込みや変更・取り消しができなくなった。 国内線についてもマイルを使った予約が同様にできなくなったという。 担当者は「復旧のめどは立っていない。 原因を調査中。」とした。 JR 西日本(大阪市)によると、午後 2 時 22 分ごろから、ホームページやアプリ上で列車の走行位置がわかるシステムに障害が生じ、「近畿エリア」の一部で列車が表示されなくなった。 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)では 19 日午後 2 時ごろから、レジの販売記録を管理する POS システムに障害が発生。 パーク内のほぼ全てのレストランやショップで会計ができない状況で、営業を一時停止しているという。 アトラクションへの影響は確認されていない。 USJ 担当者は、「レストランはある程度混み合っている時間帯。 今まさに食事をしよう、買い物をしようとしているお客様に影響が出た。」と話す。 園内では熱中症対策のため、無料で水を配布しているという。 (小川聡仁、黒田早織、伊藤弘毅、ニューヨーク・真海喬生、ロンドン・藤原学思、バンコク・大部俊哉、ジャカルタ・半田尚子、asahi = 7-19-24) ◇ ◇ ◇ マクドナルド、レジの不具合が解消 一時約 900 店が営業停止 日本マクドナルドは19日、全国約3千店のうち約900店で朝からレジに不具合が発生し、営業を一時停止したと明らかにした。夕方までに不具合は解消し、午後5時時点で約400店は営業を再開した。残る約500店もスタッフの態勢などが整い次第、再開するとした。不具合の原因は調査中だという。 この日午後、東京都豊島区のJR大塚駅前の店には「一時営業休止」の貼り紙が掲げられ、「店舗での機器調整により、一時営業を制限または停止をさせて頂いております」などと書かれていた。 マクドナルドでは3月にも大規模なシステム障害が発生。全国約3千店で一時、店頭での対面注文やスマートフォンを使った注文ができなくなった。 (宮崎健、asahi = 7-19-24) ◇ ◇ ◇ マクドナルドで大規模システム障害発生か … 各地の店舗で営業停止 2024 年 3 月に続き 現在、全国各地のマクドナルドの店舗で営業を停止したり、現金のみで注文を対応しているなどの投稿が SNS で相次いでいます。 日本マクドナルドは、システム障害の原因や規模などを詳しく調べているということです。 システム障害をめぐっては、今年 3 月にも、キャッシュレスでの購入やモバイルアプリを使った注文ができなくなっていました。 (FNN = 7-19-24) |