台風 20 号の被害、フィリピンで拡大 大雨や洪水で 46 人が死亡

台風 20 号「チャーミー」の被害がフィリピンで拡大している。 防災当局によると、25 日までに 46 人の死亡が確認された。 中部では、大雨の影響で広い範囲で洪水が発生。 家屋が浸水し、屋根に取り残された住民らの救助活動が続いている。 現地メディア GMA によると、中部のビコール地方とカラバルソン地方に被害が集中。 20 人が行方不明となり、数万人が避難生活を送っている。

ビコールの警察幹部は AFP 通信の取材に、「雨はやんだ。 25 日中に洪水が収まると期待している」とした上で、「救助のためのゴムボートが不足している」と語った。 フィリピン政府は 23 日から、首都マニラを含むルソン島全域の公立学校や公的機関を閉鎖している。 台風は南シナ海へ抜けたが、西海岸では引き続き、高潮警報が発令され、警戒が続いている。 フィリピンでは 9 月、東南アジアや中国で 470 人以上の死者を出した台風 11 号「ヤギ」で、少なくとも 20 人が死亡した。(マニラ・大部俊哉、asahi = 10-25-24)


インドの航空会社に爆破予告  1 週間で 100 件 損害は 10 億円超か

インドの航空会社の国内・国際線を狙った爆破予告が SNS などで相次いでいる。 地元メディアは 21 日、「1 週間で 100 件近い事例があった」と報道。 近隣空港への緊急着陸を余儀なくされる事案も発生している。 いずれも爆発物は発見されていないというが、計約 6 億 - 8 億ルピー(計約 10 億 - 14 億円)の損害になるとの推計も出ている。

地元紙タイムズ・オブ・インディアなどによると、18 日に首都ニューデリーから英国のロンドンに向かっていたビスタラ航空便は、爆破予告の影響でドイツの空港に緊急着陸した。 商業都市ムンバイ発ニューヨーク行きのエアインディア便は、飛び立った直後に爆破予告を受け、近くの空港に向かった。 着陸時の制限重量を超えていたため、燃料の一部を投棄したという。 航空各社は、緊急の到着時の支払いや燃料代、乗員・乗客の手続き、補償などの出費が発生。 在インド日本大使館も 16 日、爆破予告が相次いでいるとして、滞在者らに注意喚起をした。(ニューデリー・石原孝、asahi = 12-21-24)


北朝鮮、南北つなぐ 2 本の道路爆破 韓国軍「警戒・監視態勢を強化」

韓国軍の合同参謀本部は 15 日正午ごろ、北朝鮮と韓国を結ぶ 2 本の道路の北朝鮮側で一部区間が爆破された、と発表した。 北朝鮮軍は韓国と連結する道路や鉄道を完全に遮断し、「要塞化」のための工事を始めると宣言していた。 韓国軍は爆破に対抗し、南北の軍事境界線の南側の地域で射撃を実施した。

韓国軍によると、2 本の道路はそれぞれ朝鮮半島の東側と西側を走る。 韓国軍は事前に爆破の準備状況を確認していた。 爆破後には、北朝鮮が重装備を投入して追加作業を進めているという。 韓国軍は「警戒・監視態勢を強化している」としている。 北朝鮮は金正恩(キムジョンウン)総書記が昨年末以降、韓国を「敵対国」と位置づけて、平和統一を目指す原則を転換。 9 日には、北朝鮮軍が「要塞化」を宣言した。 宣言の前から南北をつなぐ道路への地雷埋設や、線路を撤去する様子が確認されている。(ソウル・太田成美、asahi = 10-15-24)


米南部ハリケーン被害 7 兆円か 大統領、13 日に現地視察

【ワシントン】 バイデン米大統領は 11 日、南部フロリダ州を直撃したハリケーン「ミルトン」について、専門家による初期段階の試算として、被害総額が約 500 億ドル(約 7 兆 4,560 億円)に上る可能性があると発表した。 13 日にフロリダを訪問し、被災地を視察する。 CNN テレビによると、被災地では少なくとも 16 人が死亡した。 広範囲が浸水し、救助活動が続いている。 竜巻や土砂災害が発生し、多数の建物が損壊した。 バイデン氏は 11 日、ホワイトハウスで関係閣僚らと会合を開き、被災対応に全力を挙げる姿勢を強調。 被災状況の全容を把握次第、復興予算の確保に向けて議会に協力を仰ぐとした。 (kyodo = 10-12-24)


ネパール首都など豪雨被害、130 人死亡 60 人不明 洪水や地滑り

南アジアの内陸国、ネパールの各地で豪雨による洪水や地滑りが起き、ロイター通信は 29 日、130 人近くが死亡、60 人以上が行方不明になったと報じた。 けが人も多く出ている。 豪雨は 27 日から続き、被害の多くは首都カトマンズや周辺の地域で発生。 建物の多くが浸水し、ヘリコプターやボートでの救助作業が行われた。 ネパールや隣国のインドでは例年、6 月から 9 月ごろにかけての雨期に洪水などの被害がたびたび起きている。 (ニューデリー・石原孝、asahi = 9-29-24)


「ナスカの地上絵」に役割別に 2 タイプ存在 地上絵 303 点も新発見

南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」を研究している山形大学は 24 日、人工知能 (AI) を活用した半年間の現地調査で、新たに 303 点の動物や人型などの地上絵を発見し、制作目的を解明したと発表した。

ナスカの地上絵研究、ペルー政府動かす本気度 世界最前線の山形大

2022 年 9 月 - 23 年 2 月の現地調査で確認した。 山形大は 04 年から「ナスカの地上絵」の調査を続けてきたが、AI 活用により特定した地上絵がほぼ倍増した。 同大の坂井正人教授(文化人類学・アンデス考古学)はペルーからオンラインで会見し、「当時は文字のない社会。 絵を繰り返し見ることで人と動物の役割を学んだり、儀礼の場所として使ったりした」などと語った。 地上絵は約 2 千年前、約 400 キロ平方メートルのナスカ台地に描かれた。 1920 年代に発見され、94 年にユネスコの世界文化遺産に登録された。 しかし、調査範囲が限られ、山形大が 2004 年から研究を進めてきた。

これまでの研究では、人型や動物、植物などの具象的な地上絵 430 点が見つかり、山形大がうち 318 点を人工衛星画像や航空写真、ドローン画像から特定した。 しかし、ナスカ台地は広大なため、調査を加速させようと先進的な AI 技術をもつ米 IBM 研究所と共同研究を進めてきた。

地上絵に二つのタイプ

発表によると、地上絵は面タイプと線タイプに分けられ、それぞれに役割があった。 面タイプは面状に石を除去したり、積み上げたりして描かれ、全長は平均約 9 メートル。 地上絵のほとんどを占め、新たに見つかった 303 点はすべて面タイプだった。 曲がりくねった小道に沿いに描かれ、斜面で見られる地上絵も多い。 人や人の頭、家畜のリャマとみられるラクダ科動物などが描かれている。 坂井教授は「人の頭は、(人を神へのいけにえとする)人身供犠(じんしんくぎ)を描いたとみられる。 道を歩きながら繰り返し見ることで、人身供犠や家畜の役割を学んだ」と判断した。

一方、線タイプは平均約 90 メートルと巨大で、50 点見つかっている。 先行研究者が発見した有名なハチドリやクモ、サルがこの種類だ。 巡礼の出発点と終着点に描かれ、当時の土器が数多く割られて落ちている。 坂井教授は「線タイプの地上絵は共同体レベルの儀礼的な活動のために使われた。 聖地巡礼などの際に立ち寄った、動物などの形をした儀礼空間」とみている。

さらに増える可能性も

今回は AI に膨大の航空写真を分析させることで、地上絵の可能性が高い 1,309 点を特定。 その約 4 分の 1 を現地調査し、半年間で 303 点を確認したという。 AI が予想した場所から複数見つかったり、近くから研究グループが独自に見つけたりしたものもあった。 現地調査の結果、面タイプの地上絵は、100 本以上の小道沿いに 1 千点以上が分布していると推定される。 AIが地上絵の可能性が高いと特定したのは残り 968 点あり、調査が続けられる。

坂井教授は「あと 500 点は見つかるのではないか。 地上絵には大雨による洪水の影響を受ける可能性が高いものもあり、ペルー文化省と協力して保護活動につなげたい」としている。 今回の研究成果は、山形大ナスカ研究所と米 IBM 研究所の共同研究として、米科学アカデミー紀要に論文が掲載された。 (坂田達郎、安斎耕一、asahi = 9-24-24)


ユーロ圏経済は「停滞に向かっている」、民間部門は 9 月に縮小

ユーロ圏民間部門の経済活動は 9 月に縮小した。 製造業が一段と低迷しており、域内の回復が息切れしつつあるとの懸念が高まっている。 S & P グローバルが 23 日に発表した 9 月のユーロ圏 HCOB 総合購買担当者指数 (PMI) 速報値は 48.9。 前月の 51 から低下した。 同指数で 50 は景気拡大・縮小の境目を示唆する。 ブルームバーグが」まとめた予想は 50.5 だった。 製造業 PMI は 44.8 と、前月の 45.8 から低下した。

HCOB (ハンブルク商業銀行)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ユーロ圏は停滞に向かっている」と述べ、「新規受注と受注残の急速な減少を考えると、経済がさらに弱体化することは想像に難くない」と指摘した。 (Alexander Weber、Bloomberg = 9-23-24)


イランの炭鉱爆発で少なくとも 30 人死亡 現地報道、救助活動は難航

21 日夜、イラン東部南ホラサン州タバスの炭鉱で爆発事故があり、少なくとも 30 人が死亡し、17 人が負傷した。 イラン国営通信が報じた。 国営通信によると、地元当局者は鉱山内でメタンガスが爆発したと説明。 メタンガスと一酸化炭素の急激な放出により、少なくとも 30 人が窒息死したという。 事故当時 69 人が働いていたが、救助は難航しており、死者数はさらに増える見込みだと伝えている。 (其山史晃、asahi = 9-22-24)


天候不順でワインが大打撃 白ワインの名産地では 71% の大幅減も フランス

天候不順により、ワイン大国フランスのワインが大打撃を受けています。

「今年は例年より 80 - 90% ほど収穫が少ないです。 壊滅的な状況です。 言葉が出ません。(ブドウ農家)」

フランス農業省によりますと、今年のフランスのワイン生産量は去年と比べ 18% 減少する見込みです。 理由は雨が続いたことや低温、ひょうなど天候不順によるもので、ほぼ全ての産地で減少しています。 特に白ワインの産地として有名なスイス国境に近いジュラ地方では、霜や病害の影響で去年と比べ 71% 大幅な減少となっています。 一方、フランスでは若い世代を中心にワイン離れが進んでいて、過去 3 年間で赤ワインの販売量は 15%、白ワインとロゼワインは約 5% 減少していて、生産現場は厳しい状況に追い込まれています。 (ANN/ABEMA = 9-21-24)


地滑り、橋崩落 …台 風 11 号直撃、ベトナムなどで計 470 人以上死亡

台風 11 号が東南アジアなどを直撃し、各地で大きな被害を出している。 現地報道などによると、ベトナムを中心とする東南アジア各地や、中国で 15 日までに判明した死者数は、計 470 人以上になるとみられている。

ベトナムでは大雨などで、北部を中心に洪水や地滑りが多発。 台風が熱帯低気圧に変わった 8 日以降も被害が続いた。 10 日には最北部の村で土砂崩れが起き、12 日の捜索で 41 人の遺体が見つかった。 別の都市では橋が崩落した。 ベトナム防災当局によると、ベトナム全土で 15 日午前までに 281 人の死亡が確認され、67 人が行方不明となった。 また、北部イエンバイ省では、洪水により約 1 万 8 千世帯が浸水し、約 5 万 9 千人が避難を余儀なくされた。  AFP 通信が 10 日、地元当局者の話として伝えた。

「気候変動により勢力を増している」 識者は指摘

被害が多かった地域には、国内外企業の製造拠点が集積している。 停電や通信網の寸断が起き、経済活動にも混乱が生じた。 ロイター通信によると、北部ハイフォンの LG 電子(韓国)の工場では、壁が崩落するなどの被害が発生。 冷蔵庫や洗濯機の完成品を保管する倉庫も水没した。

ベトナムに先立って台風が直撃したフィリピンでも、死者数は少なくとも 20 人に上る。 ミャンマーでは首都ネピドーなどで災害が発生。 15 日までに全土で計 160 人が死亡したと報じられている。 北東部のシャン州や中部のマンダレーでも被害が大きくなっているという。 国軍は 13 日、「台風による洪水などで、23 万 5 千人以上の人が避難を余儀なくされている」と発表した。

タイ北部でも台風 11 号による災害が相次いで発生し、少なくとも計 10 人が死亡。 4 万世帯以上が避難を迫られるなどの影響を受けた。 地元紙バンコク・ポストが 13 日に報じた。 チェンマイ県では 10 日に発生した土砂崩れで計 6 人が死亡。 チェンライ県では洪水が発生し、地元当局の報告では 13 日午後までに少なくとも 4 人が死亡、4 万 5 千世帯以上が影響を受けた。 12 日には空港や道路が閉鎖されるなどし、幅広い影響が広がっている。 一方、東北部ナコンパノム県では 13 日、域内を流れるメコン川の水位が 10.11 メートルまで上昇。 危険とされる 12 メートルに迫り、洪水発生の危険性が高まっている。

また、中国国営新華社通信によると、中国では 7 日までに 4 人が死亡し、95 人がけがをした。 6 日に南部の海南省に上陸した際は風速 65 メートルに達し、「1949 年以来、中国に上陸した最強の秋の台風」としている。 習近平(シーチンピン)国家主席は救助に全力をあげ、交通や電力などの復旧を急ぐよう重要指示を出した。 AP 通信は、台風 11 号のような暴風雨が「気候変動により勢力を増している」というシンガポール地球観測所のベンジャミン・ホートン所長の談話を伝えた。 海水温の上昇で台風などのエネルギーが増したことで、風力や雨量も強まったという。(バンコク・伊藤弘毅、マニラ・大部俊哉、北京・井上亮、asaho = 9-15-24)


ベラルーシ当局が日本人拘束か

ロシアの同盟国ベラルーシの国営テレビは 4 日、ベラルーシ当局が日本の「特殊機関」の男性を拘束したと伝えた。 詳細は 5 日に放映する番組の中で公表するとしているが、予告の中で男性は「ナカニシ・マサトシ」と流暢なロシア語で名乗り、「私の行為はベラルーシにとって危険なものであるかもしれない」と話している。 同局によると、番組の名称は「東京からの『サムライ』の失敗」。 番組の説明では、「日出ずる国のスパイが捕まった。 ベラルーシの社会政治情勢や中国主導の『一帯一路』、ベラルーシとウクライナとの国境での出来事の情報収集をしていた」としている。 (asahi = 9-5-24)


東南アジアにも対中関税論 衣料や鉄鋼、安値流入を警戒

東南アジア各国で中国を念頭に輸入規制を検討する動きが広がっている。 インドネシアが衣料品や陶磁器への追加関税を検討するほか、ベトナムは鉄鋼製品でダンピング(不当廉売)調査を始めた。 中国からの輸入品が急増し、自国産業への打撃が広がっているためだ。

インドネシアは 8 月、繊維製品の輸入に対してセーフガード(緊急輸入制限)を発動した。 ニットや織物、カーペットなどの輸入関税を引き上げる内容だ。 陶磁器などセラミック製品 の輸入関税も引き上げる計画で、インドネシアのズルキフリ貿易相は「追加関税は 45 - 50% になるだろう」と語った。 ズルキフリ氏はかねて「国内産業の脅威となる輸入品を管理する」として、繊維や衣料品、陶磁器など 7 品目を対象に追加関税を課す方針を示していた。 すべての国を対象とするが、念頭に置くのが中国製品だ。 インドネシアでは中国からの繊維製品や陶磁器の輸入が急増し、国内の関連企業が苦境に陥っている。

同国の全国労働組合総連合によると、1 - 6 月に少なくとも繊維メーカー 10 社が事業再編や人員削減を実施し、約 1 万 4,000 人が解雇された。 3 月に地場の繊維会社を解雇された男性 (26) は「今のままでは国内製品は太刀打ちできない。 安価な中国製品と勝負できるように関税を引き上げるべきだ。」と話す。 中央統計局によると、インドネシアの中国からの輸入総額は 1 - 6 月に 324 億ドル(約 4 兆 7,000 億円)と前年同期から 8% 増え、過去 5 年で最高となった。 全体の輸入額が横ばいにとどまる半面、中国の伸びが際立つ。

ベトナムでは 1 - 6 月に中国からの輸入額が前年同期比 34% 増えた。 フィリピンとタイもそれぞれ 11%、7% 増加し、いずれも過去 5 年で最大となった。 東南アジアの主要国はこれまで中国を重要な貿易相手国と位置づけ、目立った対中輸入規制を導入してこなかった。 米欧などが中国への輸入規制を強め、さらなる輸入増加に対する警戒感が広がってきた。 タイでも 7 月から 1,500 バーツ(約 6,500 円)以下の輸入品に対し 7% の付加価値税を課した。 電子商取引 (EC) による中国製の雑貨や衣料品の輸入が増加しており、国内産業を保護する狙いがある。

貿易摩擦は鉄鋼製品にも及ぶ。 ベトナムの中国からの鉄鋼輸入は 1 - 6 月に累計 571 万トンと前年同期の 2 倍近くに膨らんだ。 ベトナムの鉄鋼最大手ホアファット・グループのチャン・ディン・ロン会長は 4 月、「国内生産が危険にさらされている」と中国鋼材の流入に強い危機感を示した。 同社はベトナム政府に中国製への反ダンピング(不当廉売)関税の発動を要請。 政府は中国製品の価格や販売体制について調査に着手した。 中国製品の輸入が増加している背景には中国の内需の低迷がある。 中国の国内総生産 (GDP) は 4 - 6 月期に前年同期比 4.7% 増と政府の 2024 年目標の 5% 前後を下回り、減速が鮮明だ。

過剰生産によって国内からあふれた製品が輸出に回り、同期間の輸出は 5.9% 増えた。 不動産不況に伴う鋼材の余剰在庫も大量に流出しているとされる。 東南アジア各国は輸入規制を検討する一方、中国からの報復措置を懸念している。 中国は 23 年に東南アジア諸国連合 (ASEAN) 全体の貿易額のおよそ 2 割を占め、域外では最大相手だ。 インドネシアなどは中国にエネルギー資源や電気製品を輸出しており、中国が報復関税や禁輸措置に踏み切れば輸出産業への打撃となる。

インドネシアは当初、中国製の繊維品などにセーフガードと反ダンピングの関税を二重で課し、税率を 100 - 200% 引き上げる意向を示していた。 だが対象を中国に特定しない方針に切り替えた。 政府関係者は「中国を過剰に刺激すれば投資誘致など他の分野にも影響する可能性がある」と説明した。 今後は中国製電気自動車 (EV) の扱いも焦点だ。 米国や欧州連合 (EU) が中国製 EV への追加関税を打ち出し、東南アジア向けの輸出がさらに増える見通しだからだ。

インドネシアやタイは中国メーカーに対し、将来の自国生産を条件として輸入車に対して税制優遇を与えてきた。 インドネシアでは 24 年に比亜迪 (BYD) や広州汽車集団が EV の販売を始めた。 中国勢が相次ぎ進出し、業界内の競争も激しくなっている。 タイではスズキや SUBARU が四輪車の現地生産からの撤退を決めた。 国内産業への悪影響が目立つようになれば、新たな貿易摩擦に発展する可能性がある。 (ジャカルタ・押切智義、ハノイ・新田祐司、バンコク・=井上航介、nikkei = 8-31-24)


米利下げなら 1 兆ドルの「雪崩」、中国企業がドル売り - ジェン氏

米国が利下げに踏み切れば、中国企業が 1 兆ドル(約 144 兆円)相当のドル建て資産を売却し、人民元が最大 10% 上昇する可能性がある。 ユリゾン SLJ キャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者 (CEO) が予想した。 為替レートは現在、市場全体で適切に織り込まれていない最大のリスクであり、人民元はその中でも特に大きな影響を持つ可能性があるという。 ジェン氏は「雪崩が起きると考えた方がいい」と人民元の本国還流の影響について語った。 人民元は恐らく上昇し、中国政府は 5 - 10% 程度の上昇を許容するだろうと同氏はみている。

ジェン氏によれば、中国企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、オフショア投資で 2 兆ドル余りを蓄えており、それを人民元よりも高い金利の資産として保有している可能性がある。 米連邦準備制度が借り入れコストを引き下げれば、中国と米国の金利差が縮小してドル資産の魅力が低下し、「保守的」に見積もっても1兆ドル相当が中国に還流し得るという。

「ドル・スマイル」理論で知られるジェン氏は、米インフレ鈍化が続けば連邦準備制度が市場の予想以上に積極的な利下げに踏み切ると予測。 こうした予想が割高なドル相場と米国が抱える双子の赤字、ソフトランディング見通しと共に、ドル下落という同氏の確信を強めている。 結果的に、人民元は対ドルで上昇する公算が大きい。 元は 26 日の本土市場では 1 ドル = 7.12 元前後での取引。 7 月には一時 7.28 元近くまで弱含んだ。

中国人民銀行(中央銀行)がドル流動性を吸収するための介入をしなければ、人民元の上昇はさらに大きくなる可能性があると、ロンドンを拠点とするジェン氏は先週のインタビューで語った。 パウエル連邦準備制度理事会 (FRB) 議長が 23 日のジャクソンホール会合で、米国は政策金利を引き下げる時期に来ていると発言したことで、人民元上昇の可能性はさらに高まった。 しかし、こうした動きが最初の米利下げ直後に起こる見込みは薄い。 いわゆるソフトランディングシナリオの中でドルの下落が加速したとき、あるいはリセッション(景気後退)を引き起こすことなく米国のインフレが鈍化したときに起こるかもしれないと同氏は述べた。

パニックの波

中銀証券の管涛エコノミストも同様の意見だ。 管氏は、円のキャリートレードの崩壊と同様のシナリオが人民元で実現した場合、元が急騰するリスクがあると主張した。 円キャリートレードの巻き戻しは、株式やクレジット、新興国通貨などあらゆるものに影響を及ぼす激震だった。 人民元で資金を調達するキャリートレードが崩壊すれば、特にアジア市場全体に新たなパニックの波が押し寄せる可能性がある。 それでも、人民銀は乱高下を抑えることができるだろうとジェン氏は言う。 中国政府は、人民元の大幅な上昇は輸出競争力を低下させ、すでに低迷している景気回復を弱体化させる恐れがあるとして、常に慎重な姿勢を見せている。

元高が輸出企業に与える影響を見極めるため、中国国家外為管理局 (SAFE) はすでに警戒を強めていると、事情に詳しい関係者は語っている。 また、中国経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)がまちまちであることから、人民元を使ったキャリートレードは引き続き理にかなっていると主張するストラテジストもいる。 人民銀はまた、市場の期待を誘導する手段を多く保持しており、直近では、オンショア人民元の中心レートや、銀行が外貨準備として保有する必要のある外貨預金額の調整など、通貨の安定を促す手段を用いた。

また、中国と米国の利回りの差は、ここ数年徐々に縮小しているが依然として大きいため、企業は保有する外貨をすぐに売却することはないだろう。 中国の企業が持つドル資産の規模は、ジェン氏の予想よりやや低いとの見方もある。 マッコーリー・グループは、中国の輸出企業や多国籍企業が 2022 年以降に 5,000 億ドル以上のドルを保有していると推定している。オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ) は 4,300 億ドルとしている。 しかし、ジェン氏は「人民元への上昇圧力は生じるだろう」と述べ、「市場環境や政策の変化で簡単に動く資金が半分あると仮定すると、1 兆ドル相当の資金が暴走に巻き込まれる可能性がある」と警鐘を鳴らした。 (Ruth Carson、Anchalee Worrachate、Bloomberg = 8-27-24)

◇ ◇ ◇

NY ダウ、一時 1,200 ドル超下落 東京・欧州に続き世界同時株安

週明け 5 日のニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均が大幅続落して始まった。 一時、前週末比 1,200 ドル超下落し、3 万 9 千ドル台を割り込んだ。 東京市場で日経平均株価が暴落した後も、アジア、欧州、米国と「世界同時株安」が進んでいる。 特に値下がりが激しいのはハイテク株で、関連銘柄が多いナスダック総合指数は一時、6% 超下落した。 これまで株高を牽引してきたが、米国経済の先行きへの不安から値下がりが激しい。

ダウ平均は前週 1 日と 2 日にすでに計約 1,100 ドル下落していた。 円高や中東情勢緊迫化の影響もあり、週明け 5 日の東京市場で日経平均株価は約 12% にあたる 4,451 円急落。 その後のアジアや欧州の主要な株価指数も 2 - 4% 下落し、この流れがニューヨーク市場でも続いている。 ダウは 3 営業日連続で大幅安となる可能性がある。

市場では、景気減速を食い止めるため、米連邦準備制度理事会 (FRB) に早期の利下げを促す声が強まる。 米ペンシルベニア大のジェレミー・シーゲル名誉教授は 5 日の米 CNBC テレビで、FRB は緊急利下げするべきだと主張。 現在は 5.25 - 5.50% の政策金利を「すぐに 3.5 - 4% あたりにするべきだ」と指摘し、緊急利下げに加え「9 月に 0.75% 幅利下げすることは最低ラインだ」と話した。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 8-5-24)

◇ ◇ ◇

NY ダウ、一時 900 ドル安 失業率悪化、米景気の減速懸念高まる

2 日の米ニューヨーク株式市場では、失業率など雇用統計の悪化を受け主要企業でつくるダウ工業株平均が一時、900 ドル超値下がりした。 前日、米国の景気先行きへの不安をきっかけに始まった日米株価の大幅な下落が続いた。 ダウの終値は、前日より 610.71 ドル (1.51%) 安い 3 万 9,737.26 ドル。 下落幅は今年最大で、2 日間で計 1,100 ドル値下がりした。 2 日の東京株式市場では、日経平均株価が 2,216 円急落して取引を終え、史上 2 番目の下げ幅を記録していた。

米労働省が 2 日発表した 7 月の雇用統計は、失業率や新規就業者数、平均時給の伸びなど重要な指標が軒並み悪化した。 これまでは激しいインフレ(物価高)の抑制が課題だったが、高金利による景気減速への懸念が急速に高まっている。 また、前日に赤字決算を発表した米半導体大手インテルの株価は約 26% 安と急落。 ハイテク企業の業績への懸念が広がり、ナスダック総合指数は約 2.4% と大幅に下落した。

米国の利下げ観測が強まり米長期金利が低下したことで、ニューヨーク外国為替市場では日米の金利差縮小を見込んだ円買いドル売りが進んだ。 円相場は一時、1 ドル = 146 円 42 銭と半年ぶりの円高水準をつけた。 市場では、米連邦準備制度理事会 (FRB) は景気減速に対応するため、9 月に通常の 2 倍の幅の利下げに踏み切るとの観測が高まっている。 米東部時間 2 日午後 5 時(日本時間 3 日午前 6 時)時点では、前日の同時刻より 2 円 93 銭と大幅な円高ドル安の 1 ドル = 146 円 43 - 53 銭で取引された。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 8-3-24)


韓国・尹大統領、南北統一へ新政策 「自由や人権」前面に強硬姿勢

韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は 15 日、日本の植民地支配からの解放を記念する光復節の式典で演説した。 尹氏は北朝鮮との関係について「北韓(北朝鮮)住民が自由統一を切に願うように変化を作り出す」と述べ、自由や人権といった普遍的価値を重視する考えを強調した。 尹氏はこれらを政権の新しい南北政策として「統一ドクトリン」と名付けた。

尹政権は過去 30 年、歴代政権が堅持してきた統一政策の基軸「民族共同体統一方案」の見直しを模索してきた。 尹氏が今回、全面改訂に踏み切るか注目されたが、結局は統一政策の根幹である方案の全面改訂は見送り、代わりに強硬策を多く盛り込んだ政策の発表にとどめた。

専門家から統一政策の全面改定に異論

この問題で統一省は専門家らからなる「統一未来企画委員会」を設け、議論を重ねてきた。 出席者によると、韓国の若者の間で民族意識が弱まるなかで、民族を基にした統一観を転換する必要があるとの意見もあったという。 委員の一人で梨花女子大の朴元坤(パクウォンゴン)教授は「方案を改訂すれば、『パンドラの箱』を開けることになり、政権が代わるたびに方案が変わってしまうという意見が支配的だった」と振り返る。 新政策は「自由で平和な大韓民国」を北朝鮮住民に知らせ、統一へのあこがれを抱かせるとするなど「自由統一」を前面に据えている。

他方、尹氏は南北の実務者による「対話協議体」の設置を提案し、経済協力や人的往来など「いかなる話題も扱う」と持ちかけた。 尹氏が 2 年前に発表した、北朝鮮の非核化に向けた対応次第で支援するという「大胆な構想」と同じ発想だ。 だがいずれの提案も北朝鮮にとっては極めて挑発的で、反発は不可避とみられる。 ただでさえ北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は昨年 12 月末、韓国を「同族関係ではない」、「敵対的な国家関係」と宣言し、平和統一を放棄する考えを鮮明にした。 韓国政府関係者は「韓国への重大な挑戦だ。 平和統一の責務を担う韓国大統領として、光復節には必ず発言しなければならなくなった。」と話す。

式典は初の「分裂開催」

光復節の演説にもかかわらず、尹氏が日本との歴史問題にまったく触れなかったのも異例だ。 北朝鮮強硬策で協力するパートナーとしての役割をいかに重視しているかがわかる。 尹政権が強硬策を今後も維持できるかどうかは不透明だ。 11 月の米大統領選がどんな結果になろうと、いずれは米朝対話が再開される可能性があるほか、日本でも日朝首脳会談の実現を求める声が出ている。

当の韓国国内でも、今春の総選挙で与党は歴史的大敗を喫し、政権の足元を揺さぶる。 15 日の光復節の式典は野党や独立運動団体が欠席し、別の会場に集まる初の分裂開催となった。植民地支配の歴史を伝える独立記念館の館長人事をめぐり政府と衝突が起きたためだ。 11 月に任期(5 年)を折り返す尹政権は、南北政策でも難しいかじ取りを迫られる可能性がある。 (ソウル・太田成美、箱田哲也、asahi = 8-15-24)


米物価は 2.9% 上昇、インフレに落ち着き 9 月利下げの可能性

米労働省が 14 日発表した 7 月の消費者物価指数 (CPI) は、前年同月比で 2.9% 上昇した。 事前の市場予想(3.0% 上昇)を下回り、4 カ月連続で鈍化した。 上昇率が 2% 台となるのは、2021 年 3 月以来、3 年 5 カ月ぶり。 米国の CPI 上昇率は 22 年 6 月、約 40 年ぶりの高水準となる 9.1% をつけてピークに達した。 だが、エネルギー価格の下落もあり、激しい物価高(インフレ)は緩んできた。 変動の大きいエネルギーと食品を除いた CPI の「コア」指数も 7 月は 3.2% 上昇で、4 カ月連続で鈍化した。

インフレの落ち着きを受け、米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は 7 月末、「9 月会合で利下げが検討される可能性がある」と発言した。 FRB は政策金利を昨年 7 月以降、01 年以来の高水準で維持している。 利下げに踏み切れば、今回のインフレ局面では初となる。 米労働市場の減速傾向を受け、景気悪化への警戒感が高まっている。 市場では、景気の下支えのために、FRB が 9 月に大幅な利下げに踏み切ることへの期待感も出る。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 8-14-24)

襲撃被害のメトロ「復旧に数カ月」バングラ政変、日本関係者も苦慮

バングラデシュの長期政権を今月 5 日に崩壊させた大規模な反政府デモは、日本の関係者にも多大な影響を及ぼした。 日本政府の途上国援助 (ODA) で整備した鉄道施設は運行停止に。 治安悪化で日系企業も対応に追われた。 駅のコンコースにつながる階段は南京錠で固く閉じられていた。 路線図を示す案内板は倒れ、ゴミが散乱していた。

首都ダッカ市内を南北に貫く「ダッカメトロ」は、国際協力機構 (JICA) や日本企業が参画し、2022 年に部分開通したバングラデシュ初の都市型鉄道だ。 1 日 35 万人が利用し、市民の足となっていた。 だが 7 月以降、公務員の採用枠の優遇措置を巡る抗議デモの一部が過激化。 政府関連の施設が狙われるなか、ダッカ中心部の 2 駅も同月 19 日に襲撃を受け、券売機や窓が壊された。 運行は停止、路線の延伸工事も中断した。

関係深める日・バングラ 警備艇供与にも合意

「駅構内に設置した消防用のおので破壊されたようだ。」 あるダッカメトロ関係者は声を落とした。 券売機を他駅から移したり、日本から機器を輸送したりする必要があり、「2 駅の復旧には数カ月はかかる」と話す。 日本にとってバングラデシュは、インドに次いで 2 番目に大きい ODA の供与相手国だ。 インド洋に面した深海港「マタバリ港」などの建設も支援してきた。

経済以外の協力も強めている。 昨年、日本は「同志国」の軍に防衛装備品を提供する「政府安全保障能力強化支援 (OSA)」の最初の対象国の一つにバングラデシュを選び、海軍への警備艇供与に合意した。 民間の企業進出も増加傾向にあり、日本外務省によると、315 社の日系企業が事業を展開している(23 年時点)。 縫製業のほか、建設や製造関係の企業が多い。

日系企業「工場再開」、「状況を注視」

ハシナ前首相の退陣でデモは沈静化したが、治安は悪化し、集団強盗などが増えていると伝えられる。 ユニクロを展開するファーストリテイリングは、現地の従業員を一時在宅勤務にするなどの安全確保を図った。 委託先の全ての縫製工場が一時操業を停止したが、7 日時点で徐々に再開しているという。 ダッカ近郊の工業団地に工場を建設中の日用品大手ライオンも、従業員を一時自宅待機にするなど安全対策を進めた。 広報担当者は「日々変化する状況を注視している」と話した。

日本貿易振興機構(ジェトロ)ダッカ事務所の安藤裕二所長は、「情勢不安から新規投資は停滞し、企業も進出を保留するだろう」と懸念する。 一方で、不安要素ばかりではないという。 バングラデシュ暫定政権トップに、ノーベル平和賞受賞者で経済学者のムハマド・ユヌス氏が就任したことがその一つだ。 「前政権で多かった汚職をなくし、透明性の高い政権運営をしてくれるはずだ。 国を安定軌道に乗せれば、経済再生も期待できる。」と話す。 (ニューデリー・石原孝、asahi = 8-12-24)

◇ ◇ ◇

バングラデシュ暫定政権、ノーベル平和賞受賞のユヌス博士顧問就任か

バングラデシュの反政府デモを主導した学生団体の代表は 6 日、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士 (84) に、近く発足する暫定政権の首席顧問就任を求めた。 ロイター通信によると、ユヌス氏側も応じる意向だ。 AFP 通信によると、ハシナ前首相を辞任に追い込んだ 5 日のデモでは少なくとも 56 人が死亡しており、治安の回復が焦点となっている。 学生団体の代表は 6 日のビデオ声明で「軍部が主導する政府は承認しない」と表明し、ユヌス氏に暫定政権を率いるよう求めた。

ユヌス氏は貧困者向けに低金利・無担保で少額を融資する金融機関「グラミン銀行」の創設者で、2006 年にノーベル平和賞を受賞。 政界進出を目指したがハシナ政権と対立し、今年 1 月に労働法違反事件で有罪判決を受けていた。 一方、シャハブッディン大統領は 5 日夜、軍部代表者の同席の下、野党バングラデシュ民族主義党 (BNP) をはじめとする政党代表らと協議し、速やかに暫定政権を樹立すると発表した。 ハシナ氏から辞表の提出を受けて承認したとした上で、早期に総選挙を実施すると説明。 暴力行為には「厳しい対応を取るように軍に求めた」と述べ、事態の沈静化を呼びかけた。 6 日には議会も解散した。

シャハブッディン氏は、自宅で軟禁状態にあった BNP 党首のジア元首相を釈放し、拘束された学生指導者らも釈放するとしている。 5 日のデモでは、数千人の市民が首相公邸を占拠したほか、政府関係者の自宅などに放火。 ハシナ氏が国外へ脱出した後も一部で暴動は続いた。 バングラは欧米や日本向けに低価格の「ファストファッション」を製造する世界有数の縫製品輸出国だが、ロイター通信によると、6 日は縫製品の製造工場も閉鎖された。 (ニューデリー・川上珠実、mainichi = 8-6-24)


ミャンマー国軍、前例のない打撃 北東軍管区「司令部」を民主同盟軍が占拠、4,000 人以上降伏か

【バンコク = 藤川大樹】 ミャンマー国軍は 5 日、北東部シャン州ラショーに拠点を置く北東軍管区司令部が抵抗勢力側に占拠されたことを事実上認めた。 国内に 14 ある軍管区司令部の占拠は過去に例がなく、国軍が劣勢を強いられている状況が浮き彫りになった。 現地からの情報によると、国軍のゾーミントゥン報道官は「3 日夜以降、司令部や軍幹部と連絡が取れなくなった」と明かし、「司令部は敵と勇敢に戦った」と国軍兵士をねぎらった。

同州で国軍と戦う少数民族武装勢力ミャンマー民族民主同盟軍 (MNDAA) は先月 25 日、いったん北東軍管区司令部の制圧を発表。 その後も司令部内に残っていた国軍部隊が抵抗を続けていたが、8 月 3 日に撤退。 MNDAA は「完全に占拠した」と発表し、司令部前で撮影されたとみられる写真を公表した。 抵抗勢力側の関係者によると、MNDAA は北東軍管区司令部のソーティン元司令官や陸軍准将 2 人を拘束。 国軍兵士や家族ら 4,000 人以上が降伏したという。 (東京新聞 = 8-5-24)


インド南部で地滑り、270 人超死亡か 橋が崩落、孤立した集落も

インド南部ケララ州ワヤナド地区で発生した地滑りの影響で、地元メディアは 1 日、「少なくとも 276 人が死亡した」と報じた。 依然として 200 人超が行方不明になっており、犠牲者は増える恐れが高い。 地元通信社 ANI などによると、7 月 30 日未明に複数の地点で地滑りが発生。 大雨の影響とみられている。 崩落した橋や道路もあり、負傷者は 200 人超に上っている。現地からの映像では、土砂や岩に囲まれた家屋も多数あり、救助作業も難航している。 ケララ州政府当局の幹部は30 日、「この悲劇がより大きくなることを恐れている。 救助作業はさまざまな機関によって進められている。」と語っていた。 (ニューデリー・石原孝、asahi = 8-1-24)


TGV 線路で聖火到着日にもガソリン入りボトルと点火装置 仏報道

パリ五輪の開会式当日の 26 日に高速鉄道 TGV が標的となった「破壊行為」をめぐり、フランス国鉄 (SNCF) の幹部は仏メディアに対し、鉄道網を広範囲にマヒさせるために効果的な場所にある設備が狙われたとの見方を示した。 一方、地元メディアは同日、今年 5 月に五輪の聖火が南部マルセイユに到着した日にも、TGV の路線でガソリンが入ったボトルと点火装置が見つかっていたと伝えた。

SNCF によると、開会式直前の25日夜から 26 日未明にパリと北部リール、南西部ボルドー、東部ストラスブールをそれぞれ結ぶ TGV の 3 路線で火災が起きた。 パリから南部に向かう路線では破壊行為が未遂に終わった。 SNCF のジャンピエール・ファランドゥ総裁は同日、仏ニュース専門局 BFMTV などの取材に、南西部の路線ではボルドーと北西部レンヌに向けて線路が分岐する地点に近い鉄道設備が破壊されたと指摘。 1 カ所への放火で二つの地域につながる路線が運行停止になったことなどから、犯人が「破壊行為」の効果を最大化するため、計画的に場所を選んだとの見方を示した。

一方、捜査関係者の話をもとにした BFMTV の報道によると、5 月 8 日にはパリから南に向かう路線のうち南部のマルセイユとエクサンプロバンスの間のTGV 線路付近で、ガソリンの入ったボトルが複数見つかっていたという。 ボトルには点火装置が取り付けてあったが、発火前に発見されて被害はなかった。 テロ対策を担当する警察当局が捜査しているという。

南部地域を管轄する SNCF の広報担当者は仏紙フィガロに対して、信号機などを制御する電気設備を標的にした手口だとし、26 日に起きた事件との類似性を指摘。 現時点で関連は不明だが、マルセイユに五輪の聖火が到着する日だったことから、何者かが五輪開催の妨害を計画した可能性もある。 仏政府は 26 日の事件を受けて危機管理対策室を設置。 アタル首相は同日、仏メディアの記者団に対して同日に起きた放火が事前に準備されたもので、高速鉄道網の弱点が狙われたと指摘し、「犯行からは鉄道網に関する知識があることがうかがえる」と述べた。 SNCF は 26 日の事件を受け、警備体制を強化した。 (パリ・宋光祐、asahi = 7-27-24)