老いるインフラ、深刻な人手不足 大手ゼネコンは新技術で挑む 橋やトンネル、道路など生活を支えるインフラの老朽化が進み、その更新需要は今後増え続けていくと見込まれている。 建設現場の人手不足が深刻化するなか、点検や修繕などをより効率良く行える新技術が注目されている。 関越自動車道上り線の水上 IC (群馬県みなかみ町) - 湯沢 IC (新潟県湯沢町)間にある阿能川(あのうがわ)橋で、NEXCO 東日本による大規模な更新工事が進む。 全長約 630 メートルの片側 2 車線の橋は、開通から約 36 年が経過。 劣化に加え、冬に散布する凍結防止剤の塩害もあり、床版と呼ばれる路面部分をすべて取りかえる工事だ。 鹿島は自社が開発した大幅に工期を短縮する新工法で施工している。 先月、その様子を報道陣に公開した。 従来の標準的な工法は、▽ 古い床版の撤去、▽ コンクリートなどの汚れの除去、▽ 新床版の設置など、四つの工程を順番に行う必要があった。 新工法は、道路に設置した撤去機を用いて床版をはがす作業を行い、後続する架設機で新しい床版を設置していく。 順次、両機を前進させて四つの工程を同時に進行できるため、作業時間を従来の 6 分の 1 程度に短縮できるという。 同社は「今後も安定した工期短縮効果が得られるよう改良を重ね、道路橋更新工事に伴うソーシャルロスの最小化に貢献したい」としている。 高度経済成長期に建設された高速道路は順次、更新時期を迎える。 NEXCO 東日本管内では、50 年以上が経過した道路は 2015 年時点で 1% 未満だったが、30 年に約 2 割に、50 年には 7 割超に急増する。 一方、人手不足はより深刻化していく。 国土交通省によると、建設業就業者数はピークの 1997 年の 685 万人から、2021 年には約 3 割減の 482 万人になった。 60 歳以上の技能者は 25.7% を占め、10 年後にはその大半が引退すると見込まれている。 老いるインフラの長寿命化を図るには前提となる点検が必須だ。 大成建設は橋やダムなどで使われているコンクリートの点検を効率的に行える新技術を開発した。 「ひび割れ画像解析技術」と呼ばれるもので、スマートフォンやドローンで撮影したコンクリート表面のデジタル画像を AI で解析し、ひび割れの具合を自動判別する。 20 年 7 月 - 23 年末に計 104 件(約 19 万平方メートル)のコンクリート構造物の点検で使用された実績がある。 同じ現場で、人が目視で点検する一般的な方法と比較すると、新技術は作業人数が約 3 割、費用は約 1 割削減できた。 海上の橋やダムの壁など、人手による作業が難しい場所であるほど効率化が期待できるという。 大成建設は今年 7 月から、この技術を一般向けに有料で提供し始めた。 人手不足に悩む地方の点検業者や自治体からの問い合わせが多いという。 同社技術センター先端施工チームの堀口賢一チームリーダーは「人手不足に対応するだけでなく、点検の精度、安全性も向上できる」と話す。 国交省によると、建設時期が判明している全国約 50 万本の橋のうち、建設後 50 年を経過する橋は 37% (23 年時点)あり、33 年には約 61% になる見込みだ。 インフラの老朽化が進むのは日本だけでない。 同社は新技術の展開先として、アジアなど海外市場も視野に入れる。 (大和田武士、asahi = 10-3-24) 「大谷ジェット」きょう就航 空の上でも "SHO-TIME" ![]() 29 日朝の新千歳空港。 多くのギャラリーが待ち受けるなかやってきたのは、ドジャース・大谷翔平選手がデザインされた航空機 "大谷ジェット" です。 29 日から就航した日本航空の特別機「DREAM SHO JET」。 その機内では MLB の球団がデザインされた紙コップも配られます。 大谷ジェットは 2026 年 3 月ごろまで国内各地の空を飛ぶ予定です。 (テレ朝 = 9-29-24)
敬老の日、免許返納の高齢者に車の寄付呼びかけ 被災地などで活用へ 9 月 16 日は敬老の日。 運転免許の返納を考えている高齢者に、一般社団法人日本カーシェアリング協会が車の寄付を呼びかけている。 「返納」された車は、被災地など車が不足する地域で活用される。 「市の合法白タク、安心」被災地・小松など、地方でライドシェア発進 車検が半年以上残っており、新車登録から 15 年以下かつ走行距離が 15 万キロ以下の車で、安全に走れることが条件。 条件に合わなくても業者を通じてスクラップして売却し、得たお金が寄付される。 車は点検を受けたうえで、最短約 1 カ月で次の利用者に渡るという。 カーシェアリング協会は、2011 年の東日本大震災をきっかけに宮城県石巻市に設立された。 活動に賛同した企業や個人から車の寄付を受け、浸水で車が不足するなどした被災地で車を無償で貸し出したり、高齢者がいる地域で共有してもらったりした。 これまでに全国から約 2 千台の寄付が寄せられ、元日の能登半島地震の被災地でも活用された。 警察庁によると、75 歳以上の高齢者による運転免許の自主返納件数は 19 年の約 35 万件をピークに、23 年は約 26 万件に減少した。 協会の担当者は「返納で車を手放すと多くの人が喪失感を持つと言われている。 寄付という前向きな選択の形を提案したい」と話している。 問い合わせは 協会 (電話は050・5482・3178)へ。 (松岡大将、asahi 9-16-24) 1,500 回充電のリン酸鉄リチウムイオンバッテリー搭載! ![]() 「WEZONE 電動バイク」は、特定小型原動機付自転車に対応したパーソナルモビリティ。 リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用し、充電サイクルが 1,500 回と長寿命なのが特徴だ。 現在クラウドファンディングサイト Makuakeにて130,800 円(税込)から支援購入が可能。 配送は 2024 年 10 月末までを予定している。 380W 出力モーターで 10 度の坂道も登れる 「WEZONE 電動バイク」の最高時速は走行モードで 20km、歩道モードで 6km。 380W 出力モーターで 10 度の傾斜も走行できる。 ペダルレスだから体力の消耗も少ない。 3 - 4 時間でフル充電でき、航続距離は約 28km。 バッテリーは取り外し可能で、家庭のコンセントからでも充電できる。 16 インチの大径ホイールを採用し、前後にサスペンションも搭載。 少しの段差や凹凸も快適に走行できるとしている。 折りたためば車の荷台にコンパクトに収納可能。 通勤・通学はもちろん、休日のお出かけでも乗り回したくなる? (bouncy = 9-8-24) 東海道新幹線、午後 6 時ごろから全線再開 天候回復を受けて前倒し JR 東海は、東海道新幹線の東京 - 新大阪間の運転を 1 日午後 6 時ごろから全線で再開すると発表した。 発表は午後 4 時半。 1 日朝の段階では、三島 - 名古屋間を終日運休予定と発表していたが、天候の回復を受け再開の前倒しを決めたという。 JR 東海は「1 日は列車本数が少なく、混雑が予想される」として、始発から通常通り運転する予定の 2 日以降の利用を検討するよう呼びかけている。 (asahi = 9-1-24) キャッシュレス決済限定の路線バス、11 月に実証運行 経営改善狙う 国土交通省は 30 日、運賃の支払いをキャッシュレス決済に限った路線バスの実証運行を 11 月から始めると発表した。 現金払いの手間を省き、バス運転手の負担軽減などを図る取り組みで、今年度末に結果をとりまとめ、効果や課題を検証する。 実証運行をするのは、公募で選ばれた 18 事業者 29 路線。 減便や路線廃止が相次ぐなど路線バスの経営環境は厳しい。 国交省によると、主要バス事業者のキャッシュレス決済率は 88・4% (2022 年 3 月時点)。 試算では、現金払いをやめて完全キャッシュレス化した場合、年間約 86.3 億円の経営改善効果が見込まれるという。 国交省は、バスネットワークの危機的な状況を解消するためには、完全キャッシュレスバスを進めることが効果的としている。 斉藤鉄夫国交相は「バス路線が将来にわたって維持され、利用者にとって利便性の高い公共交通機関であり続けられるよう、今般の実証運行の効果検証を行い、本格運行へつなげていきたい」と述べた。 (大和田武士、asahi = 8-30-24) 宇都宮の LRT 利用、開業 1 年で予測 2 割上回る 470 万人超 … 自治会長「こんなに活気満ちるとは」 宇都宮市の LRT 停留場から徒歩圏のマンションに家族 4 人で暮らす女性 (43) は、4 月に横浜市から移住した。 「マイカーなしで生活できるのが決め手だった」と声を弾ませる。 夫婦はそれぞれ自営業で、在宅で働く。 長男 (6) の通う小学校や商業施設は沿線にあり、移動の足は LRT で十分という。 JR 宇都宮駅東口から芳賀町の工業団地までの 14.6 キロを最短 42 分で結ぶ同路線は、宇都宮市などが車に依存しないコンパクトな街づくりを目指して整備した。 総事業費は約 684 億円で、国が半額を補助した。 短い運行間隔 運行会社によると、利用者は開業 312 日目に予測より約 2 か月半早く、累計 400 万人を突破した。 休日の利用が 1 日 1 万人程度と当初予測の倍近くで、平日も 1 日 1 万 5,000 - 1 万 8,000 人と堅調だ。 沿線には、ホンダやキヤノンなどが拠点を置く工業団地があり、通勤需要が貢献している。 企業の要望などで、1 年で 3 回のダイヤ改正が行われ、快速も走るように。 電車の運行間隔は最短 4 分、日中でも 12 分という利便性の高さが、通学や買い物客も含めた利用を増やす好循環を生んでいる。 沿線人口増加 宇都宮駅周辺ではマンション開発が続き、郊外の新興住宅地に 2021 年に新設された小学校の児童数は、この 3 年で 170 人増え、860 人に膨らんだ。 地元の自治会長は「何もなかった地域がこんなに活気に満ちるとは」と驚いている。 宇都宮市の人口が減少傾向にある中、3 月時点の沿線人口は 6 万 3,890 人と、LRT 整備が本格化する前の 12 年から約 8% 増えた。 同市の沿線の工業団地では、キヤノンが半導体関連工場を建設するなど企業の設備投資が相次ぎ、少なくとも計 1,100 億円に上る。 佐藤栄一市長は「宇都宮を大きく変えた」と開業の手応えを語る。 自治体関係者などの視察や見学ツアーは、7 月末までで 413 件行われ、国内外から 7,000 人超が訪れた。 人口減で地方都市の公共交通が細る中、脱車依存のコンパクトシティーを目指す取り組みが注目を集めている。 早稲田大学の森本章倫教授(都市・交通計画)は「沿線での居住を選択する人が増えていけば、緩やかにコンパクトな街になっていくだろう」としたうえで、「LRT は持続可能な街づくりの手段の一つ。 整備を検討する場合は、事業の採算性を科学的に分析することが必要だ。」と指摘する。 (yomiuri = 8-22-24)
お盆の JR 利用、前年比 7% 増 「巨大地震注意」、台風で出控えも JR 旅客 6 社は 19 日、お盆期間(9 - 18 日)の利用実績を発表した。 全国主要 46 区間の新幹線、在来線特急の利用者は 1,223 万 6 千人で、前年同期を 7% 上回ったが、コロナ禍前(2018 年)と比べると 8% 減だった。 8 日から 1 週間にわたった南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」の呼びかけや、台風 7 号接近による 16 日の東海道新幹線計画運休などの影響とみられる出控えの傾向も一部にあったという。 新幹線は、東北が前年同期比 4% 増で、東海道と山陽がともに 7% 増。 7 月の大雨で一部区間が被災した山形は 1% 増にとどまった。 3 月に金沢 - 敦賀駅間が延伸開業した北陸(JR 西日本管内)は 26% 増と好調で、九州は 5% 増だった。 (細沢礼輝、asahi = 8-19-24) 交通情報 : 東海道新幹線、16 日は東京 - 名古屋で終日運休 台風 7 号の接近に伴い、JR 東海は東海道新幹線東京 - 名古屋駅間について、16 日始発から終日運転を取りやめると、14 日発表した。 名古屋 - 新大阪駅間は大幅に運転本数を減らし、「こだま」だけを 1 時間あたり上下 2 本ずつほど普通車全車自由席で運行。 山陽新幹線との直通運転は終日取りやめる。 計画運休の期間は U ターンラッシュと重なるため、15 日は午前 9 時台から午後 7 時台まで上下 8 本の臨時「のぞみ」(全車指定席)を増発する。 JR 東海の担当者は「各駅で新幹線と接続する在来線も運休や遅れが見込まれるほか、設備の被害状況によっては 17 日も始発からダイヤが乱れる可能性がある。 東京 - 新大阪間の旅行は新幹線の全線運転再開まで控えてほしい」と呼びかけている。 台風 7 号を理由とする払い戻しは手数料無しで受け付ける。 乗車日の翌日から起算して 1 年以内であれば払い戻しできるという。 JR 東日本は東北、上越、北陸、山形、秋田各新幹線について、16 日昼ごろから全区間か一部区間で運転を取りやめる可能性があるとしている。 このうち東北、山形、秋田各新幹線は 17 日昼ごろまで台風の影響が続く見込み。 計画運休の有無は 15 日に決めるという。 JR 東によると、関東エリアの在来線では 16 日から 17 日にかけて、上野東京ラインの直通運転を中止するほか、東海道、伊東、中央、常磐、内房、外房各線を走る特急と成田エクスプレスを運休させる見込みという。 首都圏の私鉄各社も運転見合わせや大幅な遅れが出る可能性があるとして、最新情報の確認を呼びかけている。 鉄道だけでなく、高速道路にも影響が出る可能性がある。 ネクスコ東日本は 14 日、関東地方と東北地方の広範囲で大雨や強風のおそれがあるとして、16 日から 17 日にかけて通行止めの可能性がある区間を発表した。 東京湾アクアラインの全線や、圏央道の稲敷 - 大栄区間、常磐道の常磐富岡 - 日立南太田区間などが対象だ。 ネクスコ中日本も、16 日に関東地方で強風雨や高波が予想されるとし、高速道路で通行止めなどの交通規制を行う可能性があるという。 飛行機の欠航も相次いでいる。 全日本空輸 (ANA) は 15 日の羽田空港と八丈島空港を発着する 2 便と、16 日に羽田と成田空港を発着する 280 便を欠航すると発表。 日本航空 (JAL) も 14 日午後 7 時時点で、16 日に羽田や成田を発着する 191 便を欠航すると発表した。 詳しくは各社のホームページで確認できる。 (細沢礼輝、増山祐史、asahi = 8-14-24) 日産 99% 減益、トヨタ・ホンダは最高益 米市場で明暗、4 - 6 月期 トヨタとホンダは営業利益が過去最高なのに、日産は 99% の減益 - -。 円安の追い風が吹く中でも、自動車大手 3 社の 4 - 6 月期決算は明暗が大きく分かれた。 カギを握ったのは主戦場の米国市場だった。 日産自動車の 4 - 6 月期の営業利益は前年同期比 99% 減の 9 億円だった。 円安で海外事業の利益が円建てで膨らみ、237 億円の増益効果があったことを考えると、実質的には「赤字」の決算だ。 内田誠社長は会見で「非常に厳しい結果だ」と述べ、「(米国で)需要の減少と競争の結果が重なり、予想より販売が伸ばせなかった」と説明した。 米国での自動車販売台数は業界全体ではほぼ前年並みだったが、日産は前年同期比で 3% 落ち込んだ。 電気自動車「リーフ」を優先したこともあり、現地で人気が高まっているハイブリッド車 (HV) の新型車を投入できていない。 ガソリン車もモデルチェンジから時間が経ったものが多く、他社の新型車に売り負けている。 在庫を増やさないように、値引きの原資になる「販売奨励金」を大幅に増やしたことも響いた。 価格改定の影響と合わせて、米国での利益を 747 億円押し下げた。 一方、トヨタ自動車とホンダの営業利益(いずれも国際会計基準)は、そろって 4 - 6 月期としての過去最高を更新した。 トヨタは国内で不正や品質問題による生産減があったものの、海外販売で補ったという。 北米での販売は前年同期より 3% 増え、とりわけ利幅の大きい HV などの電動車は5割増となった。 ホンダも HV が好調で、北米での販売台数が伸びた。 トヨタ、ホンダ、日産の 3 社は、世界各地で車をつくり、販売している。 価格競争の激しい中国などでは各社とも苦戦している。 米国の景気に陰りが見えていることも、各社の共通認識だ。 出遅れた日産は、巻き返すことができるのか。 日産は近く、売れ筋の小型SUV(スポーツ用多目的車)「キックス」の新型車を米国に投入する。その後も今年度後半にかけ、複数のガソリン車を現地で発売する予定だ。 同社は 2025 年 3 月期の営業利益の予想を、従来の 6 千億円から 5 千億円に引き下げた。 それでも予想通りの着地なら前年比 12% 減となり、減少率はトヨタの予想 (20% 減) より小さい。 内田社長は「新車投入によって、現状の計画は達成できると思っている。」 ただ、日産は今回の決算で、年平均の想定為替レートを 1 ドル = 155 円と円安方向に修正した。 4 - 6月期の実績だった 155.9 円が、ほぼそのまま続くとの見立てだ。一方でトヨタは 145 円、ホンダは 140 円という期初の想定を据え置いた。 ホンダの藤村英司執行役は「最近の動きをみると、どうなるか読めない」と、慎重に判断した理由を説明した。 日産は 1 円の円安で営業利益が年 100 億 - 120 億円ふくらむとされている。 足元では為替が円高方向にふれるなど不安定になっており、通年で日産の想定より円高になれば、そのぶん利益が押し下げられることになる。 (大平要、西山明宏、asahi = 8-12-24) 今秋就航のホーバー、訓練を再開 難所 S 字カーブ「氷上に似ている」 大分市と大分空港(大分県国東市)をつなぐ海上を今秋、ホーバークラフトが片道約 30 分で疾走するようになる。 操縦を担うのは「大分第一ホーバードライブ(大分市)」の操縦士ら。 7 月に起きた事故で一時中止していた訓練も10 日に再開された。 就航まであと数カ月。 操縦士らは懸命に腕を磨く。 大分市西大分地区にあるターミナルでホーバークラフトが轟音を上げた。 海からゆっくりと上陸し、その場でくるりと回頭して再び海に戻り、沖に出る。 何度も同じ上陸の訓練を繰り返した。 10 日に再開した訓練の風景だ。 大分第一ホーバードライブの操縦士や操縦訓練生は現在、21 - 61 歳の 16 人。 うち 3 人が女性だ。 同社によると営業運航開始までに 1 人 140 時間の操縦経験を目標に訓練を続けている。 「Baien (三浦梅園)」、「Banri (帆足万里)」、「Tanso (広瀬淡窓)」。 「豊後の三賢」と言われる郷土の偉人の名を冠したホーバークラフトは、3 艇ある。 県が計約 42 億円をかけて建造し、同社に貸し出す形で運航する。 操縦訓練にはこのうち 1、2 艇を使う。 昨年 11 月の訓練初日に大分空港の護岸に衝突した「Baien」は修理中だからだ。 「Banri」も今年 7 月 5 日に大分市のターミナル発着場付近で壁面と接触したが、修理の最終調整中という。 訓練は 1 艇に交代で 2 人ずつが乗り組み、1 人が船長を務める。 大分市の艇庫を朝に出発し、夕方に戻る。 土日も含めて訓練は連日続く。 昨年 11 月以来、訓練中に空港の航走路入り口などで、計 4 回の事故が起きた。 だが、最大の「難所」と言われているのはこれらの事故現場ではない。 航走路の途中にある S 字カーブだ。 航走路は長さ約 650 メートル。 海から上陸した船体は約 90 度のカーブ 2 カ所を船体を横にしてドリフトしながら通過し、ターミナルに到着する。 全長 25.6 メートル、総トン数約 122 トン。 この巨体が海や地面から浮いて最高速力 45 ノット(時速約 83 キロ)で走る。 操縦士の男性 (49) は「つるつるの氷の上を走るのに似ていて、風の影響も受ける。 車の運転とは全然違う。 特に『S』字カーブは非常に難しい」と話す。 課題はそれだけではない。 7 月 5 日の事故は干潮時に上陸した際に起きた。 干潮で海面が下がったために発着場につながるスロープの距離が伸び、上りきれずにいったん後退した際に右舷前部をコンクリートの側壁にぶつけた。 小田典史社長は取材に「秋就航の予定にほぼ影響はない」と強調したが、「干潮時の操船という『課題』ができた。 訓練を重ねるしかない。」と話す。 10 日の訓練の再開に先立ち、同社は大分市の発着場手前にクッション材を設置した。 ここにある給油施設に船体が衝突しないよう、念には念を入れたのだ。 また、9 月下旬までに英国のホーバークラフトメーカーから操縦士を招き、同社の操縦士から操船の指導を受ける。 いずれも 7 月の事故を踏まえた安全対策だ。 1 艇あたりの旅客定員は 80 人。 営業運航が始まれば、国内唯一のホーバークラフトの旅客運送航路となる。 空港アクセスの向上だけでなく、ホーバークラフトそのものの観光効果も期待されている。 大分第一ホーバードライブは、当面 1 日に 7 往復半 15 便を運航するダイヤ案を公表している。 (徳山徹、asahi - 8-11-24) 東海道新幹線を減速運転へ 運休予定はなし 南海トラフ地震臨時情報で「巨大地震注意」が発表されたことを受け、JR 東海は 8 日、東海道新幹線三島 - 三河安城駅間で、上下線とも最高速度を時速 285 キロから 230 キロに落として運転すると発表した。 減速運転は 1 週間ほど続ける予定。 これに伴い、同区間を走行する列車に少なくとも 10 分以上の遅れが出ると見込まれる。 9 - 18 日は最繁忙期にあたり、多くの臨時列車が設定されているが、現時点で運休は予定していないという。 (asahi = 8-8-24) 軽トラが東京湾集結、欧米へ 「最高の中古車」人気沸騰、円安追い風 7 月初旬、川崎市川崎区の東京湾に面したヤードに、軽トラばかり 10 台ほどが集まる一角があった。 中古車販売会社「ジャパン・カー・ダイレクト(千葉県)」が欧米への輸出向けに保管しているものだ。 同社のジョン・スコット・バウワー会長 (62) によると、米国での軽トラ人気は 10 年ほど前に始まった。 ▽ 燃費がよい、▽ 小回りがきく、▽ モノをたくさん運べる - - という点が受け入れられており、サーファーや酪農家、ハンターと購入層も幅広い。 「年季入った車ばかり」なのに 米国では、製造から 25 年未満の中古車には厳しい安全基準が求められる。 「25 年ルール」と呼ばれるもので、日本から米国へ輸出できる中古の軽トラは年季の入ったものばかりになる。 それでも「日本は乗る人も道路も車に優しいから、中古車の価値が最高だ」とバウワー会長は話す。 日本は他国と比べて車検の水準が厳しく、制限速度も遅いこともあり、状態がよい中古車が多い。 性能が高い軽トラであれば、40 万 - 70 万円程度で取引されるという。 円安を背景に、同社の今年 1 - 6 月の売り上げは前年同期比で約 15% 増と好調だ。 最近になって英国でも軽トラ人気に火がつき、同社が輸出する車両のおよそ 4 台に 1 台を軽トラが占めているという。 日本独自の規格として進化した軽トラックが、欧米でブームになっています。 円安の影響で勢いに拍車がかかり、関連部品の売れ行きも 2 年前の 10 倍に。 米国でどのように使われているのか、現地の人に聞きました。 人気パーツは純正品 エアバッグが標準装備になるなど、同社のマット・マツジアック代表社員 (41) は今後、「25 年ルール」から外れて輸出される軽トラの「高性能化」が進むとみる。 「軽トラのニーズは欧米で潜在的にまだまだある。 円安を機に市場は広がっていくだろう。」と話す。 世界最大級の米マーケットプレース「eBay」日本法人によると、同サイトでは 2022 年以降、日本から海外向けに販売される軽トラ関連の部品が急増。 今年上半期(1 - 6 月)の取引量は 22 年同期比で約 10 倍になった。 購入者の 8 割近くが米国在住で、カナダやオーストラリア、英国も含めると 95% 以上になるという。 売れ筋は荷台のプロテクターやタイヤ、ドアトリムなどで、純正パーツが好まれているという。 「ここまで軽トラ関連部品が伸びるとは全く予想していなかった」と同社の担当者。 「軽トラのユニークな外観や利便性、耐久性がニュースや SNS で取り上げられた結果、ブームが起きている」とみる。 「円安も相まって米国人にとっては日本から軽トラ部品を購入しやすい状況が生まれている」と担当者。 「米国内で軽トラが周知されれば、もっと人気も高まっていくはずだ」と話した。(中野浩至) 軽トラは米国現地ではどのように受け止められているのだろうか。 フロリダ州タンパで中古日本車の輸入販売業を営むセルゲイ・カシュクさん (50) と妻のルスラナさん (43) は、「軽トラの人気は年々堅調に推移している」と語る。 現地では「ゴルフカート」代わり 2 人が軽トラを扱い始めたのは 2019 年。 米国では、自宅周辺の近距離移動に「ゴルフカート」を日常使いする人が少なくないという。 カートより安く、ドアやエアコンもついている軽トラを代わりに買う人が一定数いるのだという。 小規模事業者にも人気だ。 2 人の顧客では、建設業や園芸業が買い出しなどの移動に、農業が農園内の移動に使う例などがある。 また、改造してコーヒーやアイスクリーム、花などを売っている人もいる。 「小さくて可愛く、楽しくて実用的」 「近年はガソリン代が高騰しており、燃費が良い点も人気の理由になっている」とセルゲイさん。 「米国には同種の車がなく、中古でも日本の軽トラが選ばれている。」 2 人が販売を始めて 5 年。 ネットではオーナー同士の交流サイトができ、多くの中古軽トラが取引されるようになり、人気が広がっていると感じている。 ルスラナさんは「小さくて可愛く、楽しくて実用的。 大きなトラックに代わる車として、引き続き米国で人気が続いて欲しい。」と話す。 (田中恭太、asahi = 8-3-24) ホンダと日産、EV のソフトや基本部品の共通化に合意 三菱自も検討 電気自動車 (EV) 分野の協業を中心に検討するホンダと日産自動車は、基本部品やソフトウェアの共同開発に取り組む方針などを発表した。 1 日、都内でホンダと日産の両社トップが会見した。 また、日産傘下の三菱自動車も同日、この 2 社の協業への参画を検討する覚書を結んだ。 SDV (ソフトウェア・ディファインド・ビークル)と呼ばれる次世代車開発への基礎研究や、バッテリーの開発、駆動システムであるイーアクスルの共通化など 5 項目で連携する。 SDV は、外部と通信して走行や安全の機能を更新できるため、ソフトのできが車を左右するとされる。 両社は SDV を共同研究する契約を結んだ。 EV 市場は、米テスラや中国 BYD などが開発や販売で先行しており、ガソリン車やハイブリッド車に軸足を置いてきた日本勢は出遅れが指摘されている。 協業によって数千億円程度かかると言われる開発費を分散させて負担を軽くする。 安価な車をつくって競争力を高めるために、EV 生産のコストの多くを占めるバッテリーなどの共通化を図る。 ガソリン車や EV などの相互供給も検討する。 ホンダの三部敏宏社長は「業界のダイナミックな構造変化に対応できないと淘汰される。 構想をスピーディーに実行する。」 日産の内田誠社長は「三菱を含め、さらなるシナジーを獲得すべく検討する」と述べた。 (松岡大将、asahi = 8-1-24) ◇ ◇ ◇ ホンダ・日産の協業に三菱自も参加を検討 国内の第 2 陣営となるか ホンダと日産自動車で話し合いが続いている電気自動車 (EV) などでの協業に、三菱自動車が参加を検討していることが 28 日、わかった。 最大手のトヨタ自動車がマツダやスズキなどと連合を組む中、三菱自の参加が実現すればホンダ、日産との新たな国内 3 社連合が生まれることになる。 ホンダと日産は 3 月に「戦略的パートナーシップ」に向けた検討を始めると発表した。 世界では米テスラや中国の BYD などが EV の開発や販売でリードし、自動運転など様々な領域で業種を超えた連携や競争が激しくなっている。 ホンダ、日産両社は基幹部品や車のソフトウェアの開発を共通化するなどし、コスト低減などによって競争を勝ち抜きたい考えがある。 三菱自は、日産が株式 34% を持ち、すでに軽自動車の開発や製造で連携が進んでいる。 さらにホンダとの連携が実現すれば、EV 製造におけるコスト削減だけでなく、国内市場での軽自動車での協業も視野に入ってくる。 中国市場からの撤退など事業の再構築を進める中、生き残りをかけて競争力を高めたい考えだ。 2023 年の世界販売台数はホンダ 399 万台、日産 337 万台、三菱自動車 79 万台で、3 社を合わせると 800 万台を超える。 世界販売台数が 1 千万台を超えるトヨタは、スズキ、ダイハツ工業、マツダ、スバルと連携している。 新たな 3 社連合が実現すれば国内メーカーは大きく二つの陣営に分かれることになる。(西山明宏、asahi = 7-28-24) 新大阪駅と関空を結ぶ新ルートが構想中! 大阪の「新線」と接続する、阪急の新たな「独立路線」 東海道新幹線の終点で、山陽新幹線の起点でもある新大阪駅には、私鉄は大阪メトロ御堂筋線しか乗り入れていません。 現在、同駅に乗り入れる新たな私鉄路線の建設構想が進められています。 その路線を構想しているのは、阪急電鉄。 大阪駅から十三駅を経由し、新大阪駅に至るという路線構想です。 大阪駅は、うめきたエリアにある JR 西日本の地下ホームを使用。 大阪駅で JR 線と直通する計画となっています。 阪急はもともと、淡路 - 新大阪 - 十三間、新大阪 - 神崎川間の短絡線を建設する構想を持っていました。 これらは国からの鉄道事業許可も得ていたのですが、阪急は 2002 年 12 月、新大阪 - 十三間を残し、鉄道事業許可の廃止を届け出ていました。 残る区間も具体的な建設に向けた動きは見られませんでしたが、2017 年に策定された「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン 2025」において、阪急は「新大阪連絡線」の整備について触れており、計画が消えたわけではありませんでした。 また、2017 年には、大阪府、大阪市、JR 西日本、南海、阪急の 5 者連名によるプレスリリース「なにわ筋線の整備に向けて」が発表されました。 その中では、北梅田駅(現在の大阪駅うめきたエリア)から十三駅に至る「なにわ筋連絡線」の整備に向けた調査を実施すると説明されています。 さらにその後も、公式発表ではありませんが、マスコミ各社が「大阪 - 十三 - 新大阪間の新線を阪急が建設する」と報じています。 なにわ筋線とは、うめきたエリアからなにわ筋を通り、JR 難波駅と南海の新今宮駅を結ぶ計画の路線。 現在は大阪環状線を通る「はるか」や、難波駅から発着している「ラピート」が通る計画となっています。 このなにわ筋線と、阪急が構想している新線を組み合わせることで、新大阪駅から関空へのさらなるアクセス改善を図る狙いです。 ところで、阪急が各線で採用しているレール幅は、1,435 ミリの「標準軌」。 JR や南海が採用している 1,067 ミリの「狭軌」とは異なり、直通運転はできません。 各報道によれば、阪急はなにわ筋連絡線を狭軌で建設し、なにわ筋線との直通運転を実施する計画だといいます。 既存の阪急の各路線とは、十三駅で乗り換えこそできますが、線路はつながっていない「独立路線」となります。 また、車両も南海と共通仕様になるとのことで、外観のマルーンや車内の緑色の座席などは阪急仕様と考えられますが、既存の阪急電車とは異なる雰囲気の車両が登場しそうです。 阪急では、2031 年度を予定するなにわ筋線の開業にあわせ、なにわ筋連絡線を開業させることを検討しているようです。 また、かつての淡路 - 新大阪 - 十三間の建設計画に対応し、新大阪駅付近には新線建設用地や橋脚が準備されています。 しかし、なにわ筋連絡線は、これらの準備設備を活かすのではなく、トンネルで新大阪駅へと乗り入れることになるようです。 (鉄道コム = 7-28-24) 羽田空港アクセス線「羽田空港 - 新木場」 2031 年度開業で調整 JR 東日本が計画する羽田空港と都心を結ぶ「羽田空港アクセス線」について、空港と東京・江東区の新木場駅を結ぶルートを 2031 年度に開業する方向で調整していることがわかりました。 (日テレ = 7-28-24) 交通捜査の新装置「MMS」導入 現場地図作成、時間が 10 分の 1 に 福岡県警は、交通事故が起きた際、これまでより格段に速く、現場の見取り図を作成できる装置を新たに導入した。 警察車両の屋根にとりつけた 360 度カメラで、走行しながら道路を撮影できる。 撮影時間が約 10 分の 1 になり、交通規制をする必要もないという。 装置は MMS (モバイルマッピングシステム)。 重大事故が発生した場合、警察は裁判などに備えて、現場の状況を正確に把握できる見取り図を作る。 これまでは 2 台のカメラで静止画を撮影し、それをつなぎあわせて作成してきた。 ただ、交通規制をした上で 5 - 10 メートルごとに止まりながら撮影する必要があり、渋滞につながることもあった。 一方、MMS は交通規制をせずに、走行しながら撮影できる。 試行では、これまで約 90 分かかっていた区間の撮影が、10 分程度で終えられたという。 専門的な技能も要らず、警察官の負担軽減にもつながる。 交通捜査課によると、MMS の導入は警視庁に次いで全国で 2 例目。 7 月 1 日から運用を始めた。 7 年間のリース契約で、費用は約 8,500 万円になる。 交通捜査課の古川智紀特捜班長 (46) は「画期的なシステムで、現場作業の大幅な短縮になる。 交通規制を実施する警察官の数も削減でき、その他に人員を割り振れるという面でも大きな効果がある。」と話した。 (鳥尾祐太、asahi = 7-27-24) 北陸と山陽を結ぶ「夜行列車」運転へ 始発駅は "敦賀" JR 西日本の長距離列車で運転 敦賀発の「WEST EXPRESS 銀河」運転へ JR 西日本は、2024 年 9 月 28 日 - 11 月 24 日に岡山県北部で開催される「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の開催に合わせ、長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」を 4 回運行すると発表しました。 「WEST EXPRESS 銀河」は、京阪神エリアで新快速などに使われてきた「117 系」電車 6 両を改造した車両で運行される観光列車です。 2020 年 5 月のデビュー以来、山陰方面、山陽方面、和歌山方面、さらに四国方面へ、それぞれ夜行・昼行のツアー列車として運行されてきました。 普通車・グリーン車のリクライニングシートだけでなく「ノビノビ座席」、「ファミリーキャビン (コンパートメント)」、「グリーン個室」も備えており、3・4・6 号車にはフリースペースが設けられています。 今後は、9 月 27 日に敦賀(福井県敦賀市) → 新見(岡山県新見市)間、10 月 7 日/11 月 11 日に大阪 → 新見、11 月 22 日に敦賀 → 新見間で運転される予定。 いずれも日本旅行、JTB、クラブツーリズムなどが催行する旅行商品への申込者が乗車できる列車となります。 (乗りものニュース = 7-26-24) 自転車のスマホながら運転 今年上半期の死亡・重傷事故が過去最多 自転車に乗る際にスマートフォンなどを使用する「ながら運転」が絡む死亡・重傷事故が、今年上半期(1 - 6 月)に全国で 18 件起きたことが警察庁のまとめでわかった。 死亡が 1 件、重傷が 17 件だった。 前年同期の 2 倍超で、統計が残る 2007 年以降で最多だった。 警察庁が 25 日に発表した。 道路交通法が 5 月に改正され、自転車のながら運転が 11 月から罰則付きの違反となるのを前に、警察庁が事故統計を初めてまとめた。 上半期の 18 件は、自転車側が事故の過失割合の最も重い第 1 当事者か第 2 当事者になったもの。 スマホ使用の理由別では 3 件が通話、15 件が動画などの視聴だった。 同様の事故は 23 年までの 5 年間で計 102 件あった。 102 件の自転車利用者は、年代別では半数超が 20 歳未満で、20 代が 2 割近く、30 代が 1 割超だった。 事故の相手側は 36.3% が車、34.3% が歩行者で、自転車も 26.5% あった。 車によるながら運転に絡む死亡・重傷事故で、車側が第 1 当事者になった事故は今年上半期に 58 件あった。 うち 14 件が死亡事故だった。 警察庁は「ながら運転は周囲の危険に気づきにくく、事故では加害者にも被害者にもなり得る」として注意を呼びかけている。 (板倉大地、asahi = 7-25-24) 水素燃料電池船に国内初の船舶検査証書 航行中に CO2 排出ゼロ 東京海洋大学の小型実験船「らいちょう N」に、水素燃料電池とリチウムイオン電池で航行する船として国内で初めて船舶検査証書が交付された。 自動車の車検証に当たるもので、航行中に二酸化炭素 (CO2) を出さない水素燃料電池船の普及の第一歩になるという。 らいちょう N は全長が約 14 メートル、9.1 トンで 12 人乗りだ。 総工費は 1 億数千万円ほど。 トヨタ自動車の市販車「MIRAI」で使われている燃料電池が主電源で、トラブルの際などに使うリチウムイオン電池も積んでいる。 巡航速度だと 5 時間で 70 キロ以上を航行できるという。 らいちょう N が国土交通省の安全ガイドラインに適合するよう、東京海洋大の開発チームは 2022 年から晴海沖などで実験や調査を重ねてきた。 その結果、ガイドラインの約 200 の項目すべてに適合したことから、今月 4 日、国交省所管の日本小型船舶検査機構から船舶検査証書を交付された。 地球温暖化を抑えるため、船舶から出る CO2 の削減は世界的な動きだ。 国連の国際海事機関 (IMO)は昨年 7 月、50 年ごろまでに CO2 を含む温室効果ガスの排出をゼロにする目標を掲げた。 水素と酸素を反応させて発電する燃料電池は CO2 を出さないため、小型や中型の船舶では有力な選択肢の一つとされる。 来年の大阪・関西万博では、らいちょう N の技術やシステムを生かした岩谷産業の水素燃料電池船が運航される計画だ。 開発チームの大出剛特任教授(船舶海洋工学)は「万が一、水素が漏れたときの対処など、安全対策と制御に苦労した。 今後、猛暑で海水温があがったことで船の冷却系にどんな影響があるかなどデータをさらに集め、水素燃料電池船の社会実装に貢献したい」と話している。 水素をつくる際、化石燃料を使えば CO2 を排出する。 水素製造段階での排出をゼロにするには、太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気を使う必要がある。 こうした水素を供給するインフラの整備などが今後の課題だという。 (村山知博、asahi = 7-24-24) 水素エンジンバイクの走行、世界初公開 カワサキモータース、2030 年代初頭の実用化目指す 川崎重工業の子会社、カワサキモータース(兵庫県明石市)は 20 日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで、水素を燃料とするエンジンを搭載したバイクの走行を世界で初めて公開した。 現行のエンジン技術を生かしつつ、走行中に二酸化炭素 (CO2) を排出しないのが特徴。 今後も試験走行や改良を重ね、2030 年代初頭の実用化を目指す。 バイクは、カワサキの「Ninja (ニンジャ) H2」をベースに 21 年から開発を進めてきたエンジンを搭載。 燃焼の仕組みはガソリンとほぼ同じという。 同サーキットで開催中の鈴鹿 8 時間耐久ロードレース(19 - 21 日)に合わせて公開。 ドライバーは青色の車体にまたがり、観客に手を振りながらコースを約 2.2 キロ走行した。 今後、水素エンジンのルール作りや道交法改正などの法整備も必要になる。 同社水素プロジェクト担当で、川重の松田義基執行役員は「(バイクファンが好む)エンジン独特の鼓動感や胸がすく加速感も大事にしながら、カーボンニュートラルを実現したい」と話した。 (石川翠、神戸新聞 = 7-20-24) |