広島市の待機児童ゼロに 95 年度以降で初、希望通らず断念した人も 認可保育所などに入れない広島市内の待機児童が 4 月 1 日現在で 0 人になったと市が発表した。 市によると、1995 年度に調査を始めて以降、初めてという。 市は、要因として保育施設の整備や相談事業の充実を挙げている。 市幼保給付課によると、4 月 1 日時点の就学前児童数は 5 万 1,815 人。 うち入園申し込み児童数は 2 万 7,931 人で、2 万 7,278 人が最終的に入園した。 残る 653 人については、自宅から 30 分以内に通える施設があるものの、特定の園を希望したケースなどが含まれ、待機児童には数えていない。 市の待機児童数は 2014 年度に 447 人とピークになり、その後は減少傾向にあった。 県全体で見ても、昨年度の待機児童数は広島市の 3 人のみとなっていた。 入園をあきらめたケースも 市は待機児童対策として、定員が不足している地域を中心に保育施設の整備を進めてきた。 市内の保育園や子ども園などの数は 14 年度の 190 園から 314 園に増加。 定員は約 1.3 倍の 3 万 0,799 人となった。 13 年度には「保育サービスアドバイザー」を全区役所に設置。 保育園の元園長らがアドバイザーとなり、保護者から通勤経路などを聞き取って通いやすい園を紹介している。 同課によると、少子化で就学前児童数は年々減っており、現在もすでに定員に対して約 11割の余裕がある。 ただ、希望する施設に入れず、入園をあきらめたケースもあるといい、山崎俊治課長は「相談事業に力を入れ、保護者のニーズを丁寧に把握したい」と話している。 (魚住あかり、asahi = 5-5-24) 年金の保険料納付 5 年延長案、働く高齢者の減額見直し… 議論本格化 公的年金の見通しをチェックする「財政検証」に向け、厚生労働省は 16 日、社会保障審議会年金部会に対して、前提となる経済状況などのほか、国民年金(基礎年金)の支払期間の 5 年間延長や、働く高齢者の年金減額の見直しといったケースについて試算する案を示した。 来年には年金制度の改正が予定されており、これらを踏まえた議論が本格化する。 年金納付 5 年延長の狙いは所得格差の縮小 課題は負担感と国庫負担 5 年に 1 度実施される年金の財政検証では、人口や経済の動きなどを想定し、年金の給付水準の見通しを確認する年金の「健康診断」とも呼ばれ、この検証結果をもとに年金制度を見直す。 今夏にも結果が公表される予定だ。 16 日に議論されたのは、年金財政に影響する将来の人口や働き手の数、経済の前提のほか、見直しを検討するために実施する「オプション(選択肢)試算」の案だ。 標準月額報酬の上限引き上げも検討 その一つとして、基礎年金の支払期間を、現在の 40 年(20 - 60 歳)から 5 年間延ばし、45 年(20 - 65 歳)にした場合を挙げた。 前回 2019 年の財政検証では、基礎年金の支払いを 45 年に延ばした場合を試算。 会社員と配偶者のモデル世帯が受け取る年金水準「所得代替率」が 6.8 ポイント上がるという結果が出ている。 また、65 歳以上で、一定以上の賃金を得ている高齢者の厚生年金の支給を停止する「在職老齢年金制度」を見直した場合も試算する方針。 働く高齢者が増える中で、就労意欲をそぐという批判的な見方が根強かった。 このほか、厚生年金の保険料を決める際の標準報酬月額について、現行の上限 65 万円から引き上げた場合や、会社員などが加入する厚生年金について、一定の要件を満たしたパートやアルバイトなどの短時間労働者にも加入対象を広げた場合も試算の案として掲げた。 (高絢実、asahi = 4-17-24) 子育て支援金試算 75 歳以上医療制度は年収 250 万円で月 550 円 岸田政権が掲げる少子化対策の財源として、医療保険料とあわせて徴収する「支援金」をめぐり、政府は 16 日、75 歳以上が入る後期高齢者医療制度について、加入者 1 人あたりの年収別の試算額を追加で明らかにした。 総額 1 兆円を集める 2028 年度時点で、年収 250 万円の場合、月額 550 円の負担を見込む。 同日の衆院特別委員会で、野党の求めに応じて示した。 加入者 1 人あたりの見込み額は、年収 250 万円で月額 550 円、300 万円で 750 円。 こども家庭庁は、年収 250 万円以上にあたるのは年金収入のみの加入者の 1 割にとどまるとして、低所得者向けの軽減措置を踏まえ、これまで年収 200 万円までの試算を出していた。加入者 1 人あたり年収 80 万円で月額 50 円、160 万円で 100 円、180 万円で 200 円、200 万円で 350 円。 制度全体では平均 350 円という。 (川野由起、asahi = 4-16-24) ◇ ◇ ◇ 子育て支援金、国保は年収 400 万円で月額 550 円 政府が試算示す 岸田政権が掲げる少子化対策の財源として、医療保険料とあわせて徴収する「支援金」について、政府は 11 日、自営業者らが入る国民健康保険(国保)について、加入者 1 人あたりの年収別の試算額を示した。 総額 1 兆円を集める 2028 年度時点で、年収 400 万円の場合は月額 550 円の負担を見込む。 衆院特別委員会で、立憲民主党の城井崇氏の質問に加藤鮎子こども政策相が答えた。 加藤氏は「機械的な計算」とした上、28 年度時点では加入者 1 人あたり、年収、▽ 200 万円で月額 250 円、▽ 400 万円で 550 円、▽ 600 万円で 800 円、▽ 800 万円で 1,100 円 - - と明らかにした。 加藤氏は、年収 1 千万円の試算額については保険料負担の上限額に達する可能性もあるとして、「現時点で申し上げることができない」とも答弁。 国保の場合、9 割の世帯が年収 400 万円未満だと説明した。 政府は 9 日、野党の求めに応じ、会社員らが加入する被用者保険について、年収別の試算額を公表。 国保については一部しか試算が明らかにされず、野党が追加の試算を求めていた。 (川野由起、asahi = 4-11-24) 三菱ふそう、子会社従業員をバス会社に派遣へ 運転手不足の解消狙う 三菱ふそうトラック・バスは 15 日、子会社でバスの生産を手がけている従業員らを運転手として観光・路線バスの運行会社に派遣する事業の検討を始めたと表明した。 バスの運転手不足を受けての試みで、今後、事業の具体化を図る。 三菱ふそうは本社工場(川崎市中原区)でつくった部品を子会社工場(富山市)でバスの車両に組み立てている。 子会社工場の従業員をバス運行会社の繁忙期などに派遣して事業を後押ししようとの考えだ。 今後、半年ほどで人材派遣業の資格を取り、取引先の業者と試験的に始める意向だ。 もともと子会社には大型 1 種免許を保有している従業員が多く、派遣する従業員には運転に必要な 2 種免許の取得を支援する。 工場も人手不足では? 会見で問いに社長は … 日本バス協会の試算だと、バスの運転手の不足は 2022 年時点で 7 千人。 時間外労働の上限規制が適用される「2024 年問題」も相まって、30 年には 3 万 6 千人に増えるという。 三菱ふそうの高羅克人・バス事業本部長は「劇的な起爆剤になるとは思っていないが、何かしらの助けになればと思う」と話す。 事業がうまくいけば、「ドライバー用の部門を作るとか、組織も含めて考えないといけない」と見通しを示した。 生産を手がける従業員を派遣すれば、工場が人手不足となる可能性もありうるが、子会社の藤岡佳一郎社長は「なにぶんバスが売れない分には、我々がつくる分もない。 人員をどうやりくりしていくかは検討課題。」と語った。 (松岡大将、asahi = 4-15-24) パート賃上げで、めざせ「トリクルアップ?」 関西経済同友会が提言 関西経済同友会は 8 日、「所得・賃金格差の是正で、分厚い中間層の復活を」との提言をまとめた。 全体的な賃上げを呼びかけているが、中でもパートタイマーで働く人の賃上げを全体の賃上げにつなげる「トリクルアップ」をめざすべきだと訴えた。 提言をまとめた格差問題委員会の岡橋達哉委員長(長谷工コーポレーション副社長)は「格差問題の解決は、今を生きる大人たちに課せられた責務」だと話し、男女や世代にかかわらず、全体的な賃上げが必要だと訴えた。 具体策のひとつとして、パートで働く人の「年収の壁」問題の抜本的な解決を挙げた。 壁は年金や健康保険の保険料を負担することになる年収 106 万円と 130 万円がある。 岡橋氏は「パートの時給を引き上げ、これらの壁を越えたことで生じる保険料などの負担は国が補?することも考えるべきだ。」と話した。 そうしなければ、時給が上がるほど、働く時間を減らすことになり、人手不足に拍車をかけることになりかねないとみる。 パートの時給を上げることで、非正規労働者全体の賃上げにつなげ、全体を底上げする「トリクルアップ」の実現をめざすべきだとした。 かつての安倍政権では、大企業や富裕層が豊かになれば、中小企業や中間層などにも恩恵が及ぶとする「トリクルダウン」をうたったが、実現したとは言いがたい。 今回の提言では逆の発想を打ち出した形だ。 (asahi = 4-8-24) 「女性取締役の増員を」 花王に対して香港ファンドのオアシスが要求 花王の経営方針をめぐり、株主である香港系の投資ファンドが 8 日、記者会見を開き、ブランドの削減や女性取締役を増やすといった改革を進めるよう求めた。 会見したのは、「物言う株主」として知られる香港系の投資ファンド「オアシス・マネジメント」。 花王株の 3% 超を保有している。 セス・フィッシャー最高投資責任者は 8 日の会見で、「採算性の低いブランドは他社への売却や廃止などで減らし、化粧品や日用品の主要ブランドの成長に注力すべきだ」と訴えた。 顧客に占める女性の割合が高いことを踏まえ、女性の取締役を増やすことも求めた。 現在、花王の取締役 8 人のうち女性は 1 人だけ。 フィッシャー氏は会見後の取材で「理想は男女半々。 まずは 4 人の女性取締役を新たに起用し、12 人のうち 5 人を女性にすべきだ」とも話した。 オアシス側の要求に対し、花王は「今後も直接対話を続けていく」としている。 (asahi = 4-8-24) コニカミノルタ、2,400 人削減へ 4 期連続赤字で「選択と集中」 精密機器大手コニカミノルタは 4 日、国内外のグループ全体で 2,400 人規模の人員を削減すると発表した。 正社員と非正規社員が対象で、2025 年 3 月期中に行う予定。 関連費用として 200 億円程度の損失を計上する。 主力のオフィス機器市場は、ペーパーレス化やテレワークの普及で縮小傾向が続く。 同社は新たな収益の柱にしようと 17 年以降、M & A(合併・買収)を進めたが、買収した子会社で多額の損失を計上。 23 年 3 月期(国際会計基準)の純損益は 1,031 億円の赤字と、4 年連続の純損失で、赤字額は過去最大だった。 同社は業績回復に向けて「過去からの決別」を掲げ、事業の選択と集中を進めている。 この日の中期経営計画の説明会で大幸利充社長は「1 人あたりの生産性を向上させる。 長期を見据えたものだ。」と説明した。 (田中奏子、asahi = 4-4-24) 生活保護申請、1 月は 2 万 154 件 13 カ月連続増 全国の生活保護の利用申請は 1 月に 2 万 154 件あった。 厚生労働省が 3 日発表した。 前年同月比で 59 件 (0.3%) 増加。 前年同月の水準を上回るのは 13 カ月連続で、厚労省が調査結果を毎月公表し始めた 2012 年度以降、最長を更新した。 厚労省によると、利用申請の増加には、コロナ禍に加え、物価上昇も影響しているとみられるという。 生活保護を受けている世帯は 165 万 2,163 世帯で、前年同月より 7,094 世帯 (0.4%) 増えた。 (高絢実、asahi = 4-3-24) 75 歳以上の医療保険料、過去最高 月平均 7 千円台に 75 歳以上が入る公的医療保険「後期高齢者医療制度」の 4 月からの保険料の全国平均(月額)は、2023 年度までの 2 年間より 507 円 (7.7%) 引き上げられ、7,082 円となる見込みだ。 7千円を超えるのは初めてで、過去最高となる見通し。 厚生労働省が全国の状況をとりまとめ、1 日に発表した。 後期高齢者が支払う保険料は都道府県ごとに決め、2 年ごとに見直している。 25 年度はさらに増え、月額 7,192 円となる見込み。 24 年度は、08 年の制度開始時の同 5,332 円(実績)より 1,750 円増となる。 保険料引き上げの背景には、高齢化などで医療費が増加傾向となっている状況がある。 昨年の法改正によって出産育児一時金の一部を後期高齢者が新たに賄うことなどが決まり、所得が高い人の保険料が 24、25 年度で段階的に引き上げられることも影響する。 保険料が最も増えるのは沖縄県で、月額 1,538 円増。 保険料が最も高くなるのは東京都で月額 9,180 円、最も低くなるのは秋田県の 4,397 円だった。 (吉備彩日、asahi = 4-1-24) 妻の働き方で世帯の手取りに 2 億円近くの差 東京都が試算 妻が出産で退職した場合と働き続けた場合を比べると、世帯の手取り収入は生涯で 2 億円近い差が出る - -。 そんな試算を東京都の有識者会議がまとめた。 パートで働く人らが社会保険料や所得税を負担しないように労働時間を抑えるといった、「年収の壁」では、保険料の支払いで手取りが減る側面が注目されたが、保険料を払うことで増える年金を含めた「生涯の手取り」を見える化しようとする試みだ。 試算のきっかけは、「誰もが活躍できる社会」の実現に向けて、都が有識者を招いて昨年 3 月にスタートさせた「東京くらし方会議(座長・権丈善一慶応大教授)」。 働き方改革のコンサルを手がける「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長、税制に詳しい東京財団政策研究所の森信茂樹・研究主幹や、労組や企業出身の委員が、これまで 7 回にわたり議論を重ねてきた。 働き方や生き方に関する社会保障制度も主要な論点で、関心の高い「年収の壁」も集中的に取り上げた。 その際、「目先の保険料負担で手取りが減るのは分かりやすいが、将来の手取りがどう変わるのかが見えにくいので可視化したらどうか」という提案を受けて、事務局の都産業労働局が試算した。 試算では、22 歳で就職したカップルを想定。 35 歳で年収(額面)が 600 万円になり、64 歳まで働き続ける夫のライフコースは固定したうえで、31 歳まで夫と同じ年収で働き、出産した妻が、夫と同様に就業を継続した場合から、退職して就業しなかった場合まで、四つの異なる就業パターンごとに、世帯全体の賃金と年金の手取り額を 89 歳まで累計した。 その結果、@ 妻が出産後も同じ職場で働き続ける「継続就労型」では、社会保険料と税引き後の給与と年金をあわせた総手取り額が約 5.1 億円(うち年金 1 億円)、A 出産で退職、子が 10 歳の時に再就職して年収 300 万円、フルタイムで 64 歳まで働く「再就職型」だと約 3.8 億円(年金 9 千万円)、B 出産で退職、子が 10 歳の時から年収 100 万円のパート(会社員や公務員に扶養される年金の「第 3 号被保険者」)で働く「パート再就職型」では約 3.5 億円(年金 7 千万円)、C 出産で退職、再就職しなかった「出産退職型」だと約 3.2 億円(年金 7 千万円)となった。 「生涯にわたって見ると …」 出産をはさんでフルタイムで働き続けた @の「継続就労型」と、退職後には働かない C「出産退職型」では 1.9 億円の差がついた。 また、再就職時に、年収は半減するが自ら厚生年金に加入した A「再就職型」と、自らは保険料を払わない第 3 号被保険者にとどまった B「パート再就職型」では 3 千万円の差があった。 妻が専業主婦やパートの場合に夫が受け取れるメリットも算出。 配偶者手当(都内中小企業の平均で月 1 万 914 円)や配偶者控除分(年 7 万 1 千円)を合計しても生涯で約 670 万円だった。 試算について検討した会議では、「年収の壁手前で就業調整することの目先の利益はすごく大きく見えても、生涯にわたって見るともっと多くのお金を放棄していることが分かる。 若い人にはぜひ伝えたいメッセージだ」(小室委員)といった声が上がった。 これを受けて、東京都では来年度予算案に、「いわゆる『年収の壁』の正確な理解の徹底」を掲げて、社会保障の正確な理解のための動画制作に 3 億 4 千万円、「働き方に応じて変化する収入額や将来への影響を可視化・自分事化する」ためのシミュレーションの仕組みづくりに 8 千万円を新規計上する。 試算の内容は、「東京でのくらし方、働き方について 〜私たちの思い〜」に掲載されており、都のウェブサイト で閲覧できる。 (浜田陽太郎、asahi = 3-31-24)
◇ ◇ ◇ 「年収の壁」対策、20 日から助成金の手続き開始 相談窓口も予定 扶養されるパートの人らが社会保険料を負担しないよう労働時間を抑える「年収の壁」を意識せず働けるようにする政府の対応策「支援強化パッケージ」について、厚生労働省は 20 日、企業向けの助成金の申請手続きを開始した。 30 日には、働く人や企業からの相談をワンストップで受け付けるコールセンターも開設予定で、活用を呼びかけていく。 企業向けの「キャリアアップ助成金」は、「106 万円の壁」対策の柱。 扶養された人が従業員 101 人以上の企業で週 20 時間以上働き、年収 106 万円を超すと厚生年金などに加入して保険料が発生する「壁」について、従業員の手取りが減らないように手当を出したり賃上げしたりする企業に助成金を出す。 金額は従業員 1 人最大 50 万円。 企業が、取り組み計画を全国各地の労働局やハローワークに提出して申請する。 一方、従業員 100 人以下の企業で働く人が直面する「130 万円の壁」では、年収が一時的に 130 万円以上になっても、企業が「一時的」との証明を出すことで、原則連続2 回までは扶養から外れないようにする。 厚労省は具体的な事務手続きを紹介した「Q & A」を 20 日にウェブ上に掲載するとしている。 このほか、就業調整につながる企業の配偶者手当についても、見直しに向けた手順をまとめた資料を公表。 30 日からは電話で受け付ける「年収の壁突破・総合相談窓口」を開設するとしている。 松野博一官房長官は 20 日の会見で、「パート、アルバイトの方々に安心して年収の壁を越えていただけるよう、政府全体として、パッケージの周知広報に努める」と述べた。 (中村靖三郎、asahi = 10-20-23) ◇ ◇ ◇ 勤務調整のパート女性「もっと働きたい」 年収の壁対策の意義とは? パートで働く人らが社会保険料を負担しないよう時間を抑えて働く「年収の壁」問題。 就業調整をする人や事業主はどんな課題を抱えているのでしょうか。 政府は「当面の対応策」を打ち出していますが、解決への道のりは厳しい状況です。 年収の壁「支援強化パッケージ」 パート労働者はどうなるの? 10 月上旬、東京都墨田区にある「スーパーイズミ本店」では朝の開店前、パート従業員らが台車に載せた野菜や果物をせわしく店内に運び込んでいた。 その中の 1 人、40 代の女性は約 10 年前から勤務している。 電気工事会社で働く夫と高校 1 年の長男と 3 人で暮らす。 長男は野球部に所属し、大学進学も希望しており、女性は「なにかとお金はかかる」と語る。 働けば働いただけ家計の支えになるが、毎月のように勤務時間を調整しているという。 いわゆる「年収の壁」を意識するからだ。 年収が 130 万円を超えると夫の扶養からはずれて、年金や健康保険の保険料の負担が重くのしかかる。 手取り収入が減るのを避けたい思いは強いという。 「年収の壁」はスーパーの運営にも影を落とす。 スーパーイズミは本店と浅草の 2 店舗を展開する。 計約 30 人の従業員のうち大多数がパートとして働く。 そのうち「130 万円の壁」を越えないように就業調整をするパートは4 人ほど。 その年の年収全体が見え始める秋ごろから、勤務時間を 1 日あたり 2 時間ほど短くしている。 働けない分は別のパートに対応してもらうが、人繰りは厳しいという。 コロナ禍での経営悪化を乗り越え、最近ようやく売り上げが上向いてきたが、今度は深刻な人手不足が襲う。 今月下旬にはベテランのパートが退職する予定で深刻さは増す。 これまでなかった定休日を設けることも検討しているという。 政府は「年収の壁」を意識せず働けるようにする対応策を経済対策の一つとして打ち出している。 五味衛社長 (64) は「就業調整をしているパート従業員に『もう少し働いてほしい』と勤務を頼みやすくなる」と話す。 政府の対応策は、人手不足対策になるとして企業には期待の声は多い。 一方、課題を指摘する声もある。 比較的規模が大きな企業が直面するのは「106 万円の壁」だ。大手スーパーの担当者は対応策としての企業向け助成金について、「活用できれば(従業員の)労働時間を延長する後押しになる」と評価する。 ただ、「この助成金は暫定的な措置であり、助成金の対象にならない従業員との公平感に問題が残る」とみる。 2025 年に予定される年金制度の法改正で「抜本的な改革を求めたい」としている。 (楢崎貴司、asahi = 10-17-23) フルタイム労働者の月給 31 万 8,300 円、29 年ぶりの高い伸び 厚生労働省が 27 日発表した、2023 年の賃金構造基本統計調査(確報)で、フルタイムで働く労働者の所定内給与(月額)は 31 万 8,300 円で過去最高だった。 前年と比べて 2.1% 増となり、伸び率は 1994 年 (2.6%) 以来、29 年ぶりの高さだった。 企業規模別では中小企業で 3% 前後の伸びとなり、大企業を上回った。 調査は 10 人以上が働く事業所が、昨年 6 月分として支払った所定内給与を集計した。 残業代や休日手当などは含まれない。 新型コロナウイルス対策とした行動制限が解除されて、経済活動が活発化したことなどを背景に給与を押し上げた。 企業規模別で見ると、中企業(労働者 100 - 999 人)が前年比 2.8% 増、小企業(同 10 - 99 人)は 3.3% 増と大きく増えた。 一方、大企業(同 1 千人以上)は 0.7% 減だった。 厚労省の担当者は「コロナ禍からの回復に伴い、製造業などを中心に、正社員より低賃金の非正規労働者が増えており、大企業全体の数字を押し下げた」と説明する。 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティングの小林真一郎氏は「大企業では非正規労働者や若手が増加し、見かけ上の賃金はマイナスになっているが、実態として一人ひとりの給与は増加している」とみる。 また、男性の給与を 100 とした場合の女性は 74.8 で、前年比 0.9 ポイント下がった。 男女間格差が拡大するのは 5 年ぶり。 非正規社員の増加は女性に多かったことで、給与が伸び悩んだことが影響したという。 このほか、産業別では、金融・保険業で 5.2% 増、建設業で 4.2% 増となるなど、多くの産業で増えた。 一方、教育・学習支援業は 0.1% 減。 比較的賃金の低い幼稚園や保育の職員が増えたためという。 (宮川純一、asahi = 3-27-24) 障害者の賃上げ「脱福祉」で 全国初の植物工場、経済的自立に挑む 一般企業で働くのが難しい障害者に職業訓練の場を提供してきた宮城県の社会福祉法人が今月、全国初となる「脱福祉」型の就労施設を開いた。 月に 1 万円程度だった障害者の収入を、月 8 万 - 12 万円に引き上げられると見込む。 低い工賃で働く障害者の待遇改善を脱福祉で実現する第一歩として注目を集めている。 脱福祉型の植物工場を新設したのは社会福祉法人「チャレンジドらいふ(仙台市)」。 宮城県美里町で福祉サービスとして運営してきた「就労継続支援 B 型事業所」の一つ「ボーノボーノ大崎東」を廃止し、ホウレンソウを養液栽培する植物工場を同じ場所に建てた。 植物工場のノウハウを持つ三菱ケミカルの子会社「三菱ケミカルアクア・ソリューションズ」が設備や技術を提供する。 三菱ケミカルが販路を確保、コンビニのサラダ向けに出荷 新設した工場はホウレンソウを年に 17 回収穫することができ、年 54 トンの収量を見込む。 大手コンビニチェーンが販売するサラダ向けなどに出荷し、年間売上高 4 千万円をめざす。 三菱ケミカルの子会社が販路の確保でも協力する。 ホウレンソウは比較的育てやすくて単価が高く、年間を通して需要がある。 安定的な販路を確保して通年で出荷することで、障害者の待遇改善につなげる。 工場の機械化や自動化をあえて一部にとどめて手作業を残し、障害者がやりがいを持てる仕事を生み出した。 植物工場で働くのは、B 型事業所に通所していた障害者のうち 11 人と、支援スタッフをしてきた健常者 4 人。 障害者は「福祉サービスの利用者」から「雇用契約を結ぶ従業員」に変わり、最低賃金が適用される。 これまでは近隣から通所する精神障害者や知的障害者約 20 人がビニールハウスでの野菜の栽培、育てた野菜の販売や、企業から受託した軽作業などをしてきた。 1 人あたりの工賃は月に約 1 万 3 千円だった。 福祉サービス → 雇用契約 最低賃金を保障 B 型事業所は障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつ。 全国に約 1 万 6 千カ所あり、約 30 万人の障害者が通う。 一般企業での就労が難しい人が対象で、雇用契約は結ばない。 利用者は軽作業をして工賃を受け取り、最低賃金は適用されない。 B 型事業所を廃止して一般事業所に転換し、福祉サービスの利用者を一般就労に切り替えるのは全国で初めてという。 宮城県の最低賃金は 923 円。 給料は月に 8 万 - 12 万円になる見込みだ。 従業員になった高島快斗さん (24) は、収入の大幅アップに「びっくりしました。 うれしいです。」と話す。 公費に頼らない一般事業所になることで、どんな変化が待ち受けるのか。 これまでは作った物が売れても売れなくても、障害者が通所してくれれば国や自治体からの助成で職員の人件費は賄えた。 今後はホウレンソウが売れなければ人件費は払えなくなる。 「これからは利用者も支援者も一緒に、自分たちの給料を稼ぐことになる。 工賃は給料に変わり、障害者もそこから税金を払う。 大きなチャレンジになる。」 チャレンジドらいふの白石圭太郎理事長は 15 日の落成式で、障害者の経済的自立をめざすために安定を捨て、「脱福祉」に挑む覚悟を口にした。 障害者の雇用拡大も検討している。 年 8 千億円の公費投じ、工賃は 400 億円の現実 脱福祉型就労の枠組みは日本財団が考案した。 工場の建設費などは日本財団が全額(2 億 6,860 万円)を助成。 障害者の就労機会の拡大を目指す連携協定を日本財団と結ぶ宮城県が初年度の運転資金として 1千万円を補助する。 日本財団によると、全国の B 型事業所には、職員の人件費などの運営費として国や自治体が年約 8 千億円の公費を投じる一方、通所する障害者の工賃の総額は年約 400 億円。 1 人あたり月平均約 1 万 6,500 円に過ぎない。 工賃は徐々に上がっているが、経済的に自立できる収入の確保にはほど遠い。 新たな枠組みは、障害者の経済的自立とともに社会保障費の抑制をめざす取り組みでもある。 日本財団の竹村利道・公益事業部シニアオフィサーは「企業と連携して福祉を脱却し、障害者が当たり前に働けるスキームを確立できた。 保護だけを与えられてきた障害者にようやく機会が与えられる。 全国に広げていきたい。」と話す。 (木村裕明、asahi = 3-20-24) 大卒内定率 91.6% 2 月 1 日付、過去 3 番目に高い水準 今春卒業予定の大学生の就職内定率は、2 月 1 日時点で 91.6% だった。 厚生労働省と文部科学省が 15 日発表した。 前年同期を 0.7 ポイント上回り、3 年連続で改善した。 2 月 1 日時点の調査を始めた 1999 年度以降、3 番目に高い水準という。 国公立 24 大学、私立 38 大学の 4,770 人を抽出して調べた。 国公立は前年同期より 0.3 ポイント低い 93.9%、 私立は同 1.0 ポイント高い 90.8% だった。 文理別では、文系が同 1.3 ポイント高い 91.8%、理系が同 2.1 ポイント低い 90.7% だった。 文科省の担当者は今回の結果に、「人手不足による求人の増加や企業の採用意欲の高まりがあるとみられる」と話した。 (山本知佳、asahi = 3-15-24) ジェネリック「金額シェア 65% 以上」目標 厚労省、医療費抑制狙い 処方薬における後発医薬品(ジェネリック)を普及させるため、厚生労働省は「2029 年度末までに金額シェア(占有率)を 65% 以上とする」との新たな目標を設ける方針を決めた。 先発薬よりも安い後発薬への置き換えを進めることで、医療費の抑制を図る。 14 日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で、新目標案が示され、了承された。 21 年の「骨太の方針」では、後発薬の数量シェアを 23 年度末までに「全ての都道府県で 80% 以上」とする目標を設定。 23 年 9 月時点の調査の速報値では、全国の後発薬の使用割合は数量ベースで 80.2% に達した。 一方、金額ベースでは 56.7% にとどまっていた。 「バイオシミラー」の使用促進も 今後は、数量シェアの目標は維持しつつ、金額シェアの拡大を図る。 またバイオ医薬品の後発品「バイオシミラー」など、これまで取り組みが進んでこなかった分野での使用促進もめざす。 保険適用の診療や薬の処方でかかる医療費は約 45 兆円(21 年度)で、高齢化や医療の高度化などに伴って増え続けている。 このため厚労省は、07 年から、同じ有効成分で価格が安い後発薬への置き換えに力を入れてきた。 一方で、後発薬をめぐってはメーカーによる法令違反などで供給不安が続いている。 今年 1 月時点で 4,629 品目について、供給停止や限定出荷などの出荷制限がかかっている。 武見敬三厚労相は 15 日の閣議後会見で「新目標は、後発薬の安定供給の状況に応じ、柔軟に対応する」と述べ、供給不安の解消に向けた取り組みと合わせて進める考えを示した。 (吉備彩日、asahi = 3-15-24) 男女の賃金格差、大手 80 社の状況は 「見える化」進め改善めざす 女性の賃金は、男性に比べてどの程度なのか。 その格差の「見える化」を政府が企業に義務づけたことで、昨年から各社の情報開示が始まっている。 格差を明らかにすることで、自社が抱える課題を見つめ直し、改善に向けて模索する動きが広がっている。 男性の賃金を 100 とすると、女性は 70.9 - -。 ファッションビルを運営する丸井グループの人事担当者は、はじき出したその数字にショックを受けたという。 女性社員の育成に、10 年以上力を入れてきた。 「これだけ取り組んできたのに、けっこう差がある。」 公表の義務化に伴い、初めて算出した。 この格差は何に起因するのか、それぞれの要因がどれくらい影響しているのか分析もした。 まずは、管理職や管理職候補層に占める女性割合の少なさだ。 社員約 4,400 人はほぼ男女半々だが、6 段階ある等級のうち上位三つは男性が 8 割を占め、女性は下位の等級に多かった。 この要素で格差のほぼ半分を説明できた。 さらに、賃金が下がる短時間勤務の利用者の 99% が女性であることも影響していた。 家族手当、時間外勤務手当を男性がより多く受け取っていることも要因だった。 格差を計算したことで、改めて課題がわかった。 まずは女性管理職を増やす取り組みを強化する必要がある。 そして家事や育児を女性ばかりが担うことにならないよう社員の性別役割分業意識を問い直す研修にも引き続き力をいれる。 「まだまだ足りない。 加速しなければ。」と担当者は言う。 長年の取り組みの結果が表れるのも、賃金格差という指標の特徴だ。 女性の賃金が、男性の 88.6 と比較的高水準だった花王。 その背景について「賃金格差を縮小しようと特別なことをしてきたわけではない」という。 1978 年から大卒女性の採用を始めた。 男女雇用機会均等法の施行より 8 年早い。 この世代が妊娠・出産を迎えた 90 年代から育休を整え両立支援を始めた。 近年は、男女のキャリアの差が開く育児期に着目。家事労働の分担を配偶者に促すため、出産前や育休復帰前などに夫婦で参加してもらう研修も開いている。 厚生労働省の調査(2022 年)をもとに男女の賃金格差を産業別・年代別に見ると、20 代後半から 50 代後半の女性の年収は、すべての産業で男性を下回った。 (岡林佐和、中山美里、益田暢子、asahi = 3-7-24) 資生堂、早期退職 1,500 人募集 勤続 20 年以上で 45 歳以上が対象 資生堂は 29 日、国内事業を展開する資生堂ジャパンで約 1,500 人の早期退職を募集すると発表した。 収益力を高めるため、成長性の高いブランドや商品に経営資源を集中する事業構造改革に合わせておこなう。 社員数 1 万 3,300 人のうち、45 歳以上で勤続 20 年以上の社員が対象。 4 月 17 日 - 5 月 8 日に募集し、退職日は 9 月末。 退職時の年齢に応じた特別加算金を上乗せする。 関連費用は約 190 億円を見込む。 (岡林佐和、asahi = 2-29-24) 「在宅介護の終わりのはじまり」人手不足に拍車も 介護基本報酬減額 「物価高に負けない賃上げに必要な報酬の改定率を決定した。」 岸田文雄首相がこう強調する新年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことに反発が広がっている。 現場からは「在宅介護は崩壊する」との声も。 「基本報酬引き下げは暴挙」 認定 NPO 法人「ウィメンズアクションネットワーク(上野千鶴子理事長)」、NPO 法人「高齢社会をよくする女性の会(樋口恵子理事長)」など 5 団体は 2 月初め、引き下げに抗議し、撤回を求める緊急声明を公表した。 2,400 を超す個人・団体から賛同を得た、としている。 呼びかけ団体となった「ケア社会をつくる会」世話人の小島美里さんは公表時の記者会見で、「在宅介護の終わりのはじまり」と強い危機感を表明した。 訪問介護員(ホームヘルパー)は介護が必要な高齢者宅で、調理など生活援助や身体介護を行う。介護福祉士や、所定の研修を修了した人らが務める。 ヘルパーの人材不足はとりわけ深刻で「絶滅危惧種」とも言われる。 有効求人倍率は 15.53 倍(2022 年度)。 若い世代が入らず、60 代以上が約 4 割を占める。 介護労働安定センターの介護労働実態調査(22 年度)によると、施設などの介護職員より年収が約 17 万円少ない。 東京商工リサーチによると、23 年の訪問介護事業者の倒産件数は 67 件で、調査開始以降の最多件数を大きく更新した。 「訪問介護崩壊」の懸念が高まるなかでの減額改定。 事業者や介護家族などからは、抗議の声が相次いでいる。 「仕事の価値を認めてもらえない 30 年間」 NPO 法人「サポートハウス年輪」理事長の安岡厚子さんは、ヘルパー不足が原因で昨年春、訪問介護事業所の休止を余儀なくされた。 「(介護職員の)地位向上に国が本気で取り組んでいればこんなことにはならなかった」、「この仕事の価値を認めてもらえない 30 年間だった」と苦渋の思いを語り、引き下げは「言語道断」だとする。 「京都ヘルパー連絡会」の櫻庭葉子さんは、「私たちヘルパーは不要なのか」、「国は小規模事業所をつぶしたいのか」とメッセージに現場の怒りを込める。 公益社団法人「認知症の人と家族の会」前代表理事の鈴木森夫さんは、介護を担う家族の介護離職防止のために訪問介護は不可欠なサービスとしたうえで、「(引き下げは)介護のある暮らしを崩壊させる」と訴える。 「全国ホームヘルパー協議会(田尻亨会長)」と「日本ホームヘルパー協会(境野みね子会長)」の 2 団体も 2 月初め、基本報酬引き下げについての抗議文を厚生労働省に提出した。 物価高騰などで閉鎖・倒産に追い込まれる事業者が増えている現状を踏まえ、報酬引き下げは「私たちの誇りを傷つけ、更なる人材不足を招くことは明らかで、このような改定は断じて許されるものではありません」と強く批判した。(編集委員・清川卓史) 識者「基本報酬減額、誤ったメッセージに」 川口啓子・大阪健康福祉短大特任教授(医療福祉政策)の話 : ヘルパーの介護を受け、最期を自宅で迎えたいと考える人は多く、国も在宅介護を進めようとしている。 だが報酬は不十分で、介護業界の中でも特に人手不足が深刻だ。 事務手続きが煩雑で負担が大きい「手当」にあたる処遇改善加算ではなく、「基本給」の基本報酬を増額するべきだった。 担い手は高齢化が進み、利用者や家族からのハラスメントも後を絶たない。 事業者は人材紹介会社に多額の紹介料を払って人材を確保していて、事業所も疲弊している。経営の基盤となる基本報酬の減額が誤ったメッセージとなり、人手不足に拍車が掛かる懸念がある。 (聞き手・関根慎一、asahi = 2-25-24) 2023 年の月給 31.8 万円で過去最高 伸び率は 29 年ぶりの高さ 厚生労働省は 24 日、2023 年の賃金構造基本統計調査(速報)を発表し、フルタイムで働く労働者の所定内給与(月額)は 31 万 8 千円で過去最高だった。 前年と比べて 2.1% 増となり、伸び率は 1994 年の 2.6% 増以来、29 年ぶりの高さとなった。 年代別には、34 歳以下の若年層と 60 歳以上の伸び率が大きく、19 歳までが 3.1% 増の 19 万円、70 歳以上が 7.3% 増の 25 万 5 千円だった。 一方、大卒の 50 代前半では 0.2% 減の 47 万 3 千円となるなど、給与水準が高い層は伸び悩んだ。 厚労省の担当者は「人手不足を背景に、企業は若い人の賃金の伸び率を重視し、高齢者雇用を進めている状況が表れているのではないか。」と話している。 調査は 10 人以上の労働者を雇う事業所が、6 月分として支払った所定内給与を集計したもの。 残業代や休日手当などは含まれない。 例年 3 月ごろに発表してきたが、春闘での賃上げ交渉に生かすため、今年から雇用形態別や性別などを除いた速報値を発表することにしたという。 (宮川純一、asahi = 1-24-24) |