10 - 12 月期の GDP、プラス成長に上方修正 個人消費は弱いまま

2023 年 10 - 12 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響をのぞいた実質(季節調整値)で前期(7 - 9 月期)より 0.1% 増、この状態が 1 年続いた場合の年率換算で 0.4 増だった。 内閣府が 11 日発表した 2 次速報で、2 月に公表した 1 次速報(前期より 0.1% 減、年率 0.4% 減)を上方修正した。 その結果、2 四半期ぶりのプラス成長になった。

上方修正の理由は、企業の設備投資が想定よりも堅調だったことがわかったため。 1 次速報では前期比 0.1% 減としていたが、財務省が今月公表した法人企業統計を反映したところ、2.0% 増となった。 情報通信機械や輸送用機械産業を中心に、生産能力を強化する動きがでた。 一方、GDP の半分以上を占める個人消費は 0.3% 減と、1 次速報(0.2% 減)を下方修正した。 家電などの耐久消費財は 6.1% 増と好調だったが、衣料などの半耐久財は暖冬で振るわず、1.3% 減少。 物価高で食品をふくむ非耐久財は 0.5% 減り、3 四半期連続のマイナスだった。 外食や旅行などのサービスも 0.5% 減った。

物価変動の影響をふくめた名目 GDP は 0.5% 増、年率 2.1% 増となり、1 次速報(0.3% 増、年率 1.2% 増)から上方修正した。 また、23 年通期の実質 GDP は前年より 1.9% 増、名目は 5.7% 増と、ともに 1 次速報の数値を据え置いた。 日本銀行は 18 - 19 日に金融政策を決める会合を開く。 市場関係者の間では、マイナス金利政策の解除に踏み込むとの臆測が一部で出ている。 消費者物価指数(生鮮食品をのぞく総合)は、日銀が掲げる目標の 2% を 22 カ月連続で上回る。 直近の GDP がプラス成長に改定されたことも、こうした見方を後押しする材料となり得る。

ただ、GDP のプラス幅はわずかで、肝心の個人消費も弱い。 今年の春闘は前年を上回る賃上げが達成できそうだが、中小企業にまで広がるかは見通せない。 伊藤忠総研の武田淳氏は「賃上げが進めば個人消費も回復してゆくが、足元の動きは鈍い」と指摘する。 (米谷陽一、asahi = 3-11-24)

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日本の 1 人当たり GDP は OECD で 21 位 過去最低順位、G7 でも最後尾

内閣府は 25 日、2022 年の日本の 1 人当たり名目国内総生産 (GDP) がドル換算で 3 万 4,064 ドルとなり、経済協力開発機構 (OECD) 加盟 38 カ国中 21 位だったと発表した。 比較可能な 1980 年以降で最も低い順位となり、先進 7 カ国 (G7) でも 08 年以来の最下位に沈んだ。 円安が大きく響き、金額は前年から約 15% 下落。 円ベースでは 448 万円だった。

首位は欧州有数の金融センターを有するルクセンブルクの 12 万 4,592 ドル。 2 位ノルウェー、3 位アイルランドと続いた。米国は 7 万 6,291 ドルの 5 位で G7 構成国ではトップ、イタリアが 20 位だった。 このほか韓国が 3 万 2,423 ドルで 22 位だった。 22 年の日本の名目 GDP は 4 兆 2,601 億ドルで米国、中国に次ぐ 3 位の地位は維持した。 だが世界全体に占める割合は 4.2% で前年から 0.9 ポイント下落し、過去最低となった。 (sankei = 12-25-23)

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GDP 年 4.8% 増に下方修正 個人消費と設備投資弱く

2023 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響をのぞいた実質(季節調整値)で前期(1 - 3 月期)より 1.2% 増、この状態が 1 年続いた場合の年率換算で 4.8% 増だった。 内閣府が 8 日発表した 2 次速報で、8 月に公表した 1 次速報(前期比 1.5% 増、年率 6.0% 増)を下方修正した。 下方修正の理由の一つが、企業の設備投資が想定よりも弱かったことだ。 1 次速報では横ばいとしていたが、直近の経済指標を反映したところ、前期より 1.0% 減となり、2 四半期ぶりのマイナスだった。

財務省が 1 日発表した 4 - 6 月期の法人企業統計をみると、設備投資は前期より 1.2% 減った。 製造業は堅調だったが、非製造業が減少に転じた。 ただ、前年の水準は上回っており、今回の下ぶれは一時的な動きの可能性もある。 GDP の半分以上を占める個人消費は 0.6% 減と、1 次速報(0.5% 減)から下方修正した。 物価高の影響で、食料などの非耐久財の減り幅が大きくなり、外食や旅行などのサービス消費の伸びも想定より低かった。

自動車などの輸出は好調で、訪日客の増加も GDP を下支えしている。 燃料や医薬品の輸入が減ったことも GDP を計算する上ではプラスに働いており、内需の弱さを外需がカバーする構図は変わっていない。 実質 GDP の実額は 558.6 兆円で過去最高を維持した。 名目の GDP は前期比 2.7% 増、年率 11.4% 増で、1 次速報(前期比 2.9% 増、年率 12.0% 増)から下方修正した。 実質・名目とも 3 四半期連続のプラス成長だった。 伊藤忠総研の武田淳氏は「コロナ禍で投資を控えていたことに加え、人手不足や DX (デジタル化)などの対応もあり、企業の設備投資に対する意欲は旺盛だ。 賃金が上昇してくれば個人消費も回復に向かう。 一方で海外の景気は減速が見込まれ、今後は内需が経済を引っ張る形になるだろう」とみる。 (米谷陽一、asahi = 9-8-23)

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GDP 年 6.0% 成長、欧米超えも … 外需頼み「見かけほど強くない」

2023 年 4 - 6 月期の国内総生産 (GDP) は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期(1 - 3 月期)より 1.5% 増、年率換算で 6.0% 増だった。 自動車などの輸出や訪日客の増加が GDP を押し上げた一方で、個人消費は物価高の影響でマイナスとなり、外需頼みの成長は力強さを欠いている。 実質 GDP の実額は 560.7 兆円で、過去最高を更新した。 この期の GDP を算出するにあたり、過去の数値を見直したところ、3 四半期連続のプラス成長となった。 全体を牽引したのは輸出で、前期より 3.2% 伸びた。 原動力となったのが自動車だ。 日本自動車工業会によると、4 - 6 月の乗用車の輸出は前年同期比 35% 増の 96 万台強。 半導体不足による供給制約が薄らぎ、欧米向けが伸びた。

一方、コロナ禍からの巣ごもり需要の反動で、世界的なスマートフォンや半導体の販売不振の影響で、電子部品や半導体製造装置の出荷は落ち込んだ。 もう一つの支えは訪日客の増加だ。 インバウンド消費は前期比 8.1% 増の 3.8 兆円となり、コロナ前の水準に近づいた。 訪日客の消費は「サービスの輸出」として扱う。 中国が 8 月 10 日に日本向けの団体旅行を解禁したことも後押しとなり、さらに伸びが高まりそうだ。 GDP が増えたのは、輸入が 4.3% 減ったことによる効果も大きい。 輸入は「海外で生み出された価値」にあたり、GDP から差し引く。前期に比べて燃料の輸入が減り、GDP を計算する上ではプラスに働いた。

ただ、内需や国内生産では弱さが表れている。 設備投資は 0.03% 増と、ほぼ横ばいにとどまった。 さらに、GDP の半分以上を占める個人消費は 0.5% 減と、3 四半期ぶりのマイナスに転じた。 物価高が家計を直撃しており、食料などの非耐久財は 1.9% 減、白物家電などの耐久財も 3.3% 減った。 5 月に新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが 5 類になり、外食や旅行などのサービス消費は 0.3% 増えたが、全体の落ち込みをカバーできていない。 エコノミストからは「見かけほどは強くない内容」との指摘がある。

この期の米国の実質 GDP 成長率は年率 2.4%、ユーロ圏は同 1.1%。 欧米と比べて高い成長率となったが、海外の景気に左右される外需頼みの伸びと言え、賃金上昇が物価高を上回る環境をつくらなければ持続的な成長にはつながらない。 (米谷陽一、asahi = 8-15-23)


日本経済は需要不足 4 兆円 昨年 10 - 12 月期、デフレ脱却宣言は?

内閣府は 5 日、日本経済がもつ潜在的な供給力と実際の需要との差を示す「需給ギャップ」の値を改め、昨年 10 - 12 月期はマイナス 0.7%、年換算で 4 兆円の需要不足だったと発表した。 内需の柱である個人消費が弱く、2 四半期連続でマイナスだった。 需給ギャップは国内総生産 GDP) から推計する。 この期の実質 GDP (季節調整値)が前期(7 - 9 月期)より年率換算で 0.4% 減り、2 四半期連続のマイナス成長だったことが響いた。 前期の需給ギャップはマイナス 0.4%、2 兆円の需要不足だった。

需給ギャップは、政府がデフレ脱却の判断で重視する 4 指標の一つ。 ほかの 3 指標(消費者物価指数、GDP デフレーター、単位労働コスト)はすべてプラスだった。 11 日に公表する GDP の 2 次速報では、最新の統計で企業の設備投資が好調だったことが判明したため、プラス成長に浮上する可能性が出てきた。 その場合、需給ギャップも改善するとみられる。 政府はそれらの 4 指標に加え、賃金の上昇や、企業の価格転嫁の動向などを総合的に確認して、デフレ脱却を判断する。 新藤義孝・経済再生相はこの日の閣議後会見で「いま何か表明するとかは考えていない。 さまざまな指標を総合的にみながら、適切に判断していく。」と話した。 (米谷陽一、asahi = 3-5-24)

〈編者注〉「需給ギャップ」の判断はなかなか難しい考えます。 資本主義社会では、自ずと供給が前のめりになってしまいますし、供給の中身にも問題があるのではないかと想像します。 いわゆる「無駄な供給(例えば、一部の食品サプリ)」が多いのも今の社会には無いとも言えません。


日本がドイツに抜かれ GDP 世界 4 位に、ドイツメディアはどう伝えた?

2024 年 2 月 15 日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、日本の名目 GDP がドイツに抜かれて世界第 4 位になったことを報じた。 記事は、日本の 2023 年の名目 GDP が 4 兆 2,000 億ドルで、経済成長率がプラス 1.9% となったものの、ドイツの 4兆 4,000 億 - 4 兆 5,000 億ドルを下回って経済規模が世界 4 位に転落したと紹介。 世界一は引き続き米国で経済規模が 27兆 9,400 億ドル、10 年に日本を抜いて以降 2 位を保っている中国は 17 兆 5,000 億ドルだったと伝えた。

そして、日本の GDP がドイツに抜かれた大きな要因が円安によりドル換算値が大きく目減りしたことだとした上で、経済学者からは人口減、生産力と競争力の停滞による日本経済の疲弊も原因だとの指摘が出ていると紹介。 日本の昨年 10 - 12 月(第 4 四半期)の経済成長率が年率換算 -0.4%、前期比 -0.1% で、7 - 9 月期(第 3 四半期)から 2 期連続減少となり、自動的に景気後退局面とみなされる「テクニカルリセッション」に入ったとした。

一方で、日本を抜いて世界第 3 の経済大国となったドイツについても「経済は成長力に乏しい」とし、昨年 10 - 12 月期の経済成長率が前年同期比 0.2% 減、前期比 0.3% 減となったことを指摘。 背景には建築や機械設備への投資減少、貿易需要の低下があり、今年 1 - 3 月期(第 1 四半期)もマイナス成長となれば日本同様「テクニカルリセッション」に陥ることになるとした。 また、昨年の年間経済成長率も -0.3% となっており、ハーベック副首相兼経済・気候保護相が今年の成長率がプラス 0.2% にとどまるとの見通しを示したことを紹介している。

記事は、日本の経済専門家からは日本の経済的地位が低下することにより、国際舞台における日本の活躍度も低下する可能性があること、経済成長鈍化の要因の一つである賃金水準の停滞によって家庭消費が冷え込む中、企業は成長著しい海外への投資に一層力を注ぎ、国内市場の投資がさらに低調になるという悪循環を生む可能性があることなどが指摘されたことを伝えた。 さらに、消費の低迷に加えて中国の需要冷え込み、トヨタの生産停止といった要因もあり、今年 1 - 3 月も日本の GDP は減少傾向に歯止めがかからないとの予測も出ており、英キャピタル・エコノミクスが今年の日本の経済成長率を 0.5% にとどまるとの予測を示したことを紹介した。 (川尻、Record China = 2-17-24)

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日本の GDP 4 位転落、ほぼ確実に ドイツに抜かれる見通し

2023 年の名目国内総生産 (GDP) で日本がドイツに抜かれ、世界 4 位に転落することがほぼ確実になった。 米ドル換算で比べるため、日本の GDP が円安で目減りする一方、ドイツは大幅な物価高でかさ上げされることが要因だ。 ただ、長期的にドイツの経済成長率が日本を上回ってきた積み重ねの結果という面もある。 名目 GDP はその国が生み出すモノやサービスなどの付加価値の総額。 経済規模を比べる時に使う代表的な指標で、1 位は米国、2 位は中国だ。

ドイツが 15 日発表した 23 年の名目 GDP は、前年比 6.3% 増の 4 兆 1,211 億ユーロ。 日本銀行が公表している同年の平均為替レートでドル換算すると、約 4 兆 5 千億ドルとなる。 大幅に伸びた要因は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰などで、日本以上に激しい物価上昇に見舞われたことだ。 物価の影響を除いた実質成長率は0・3%減と、3年ぶりのマイナス成長になった。

 一方、日本の 23 年の名目 GDP は来月発表されるが、三菱 UFJ リサーチ & コンサルティングの試算では 591 兆円(約 4 兆 2 千億ドル)とドイツを下回る。 円ベースでは前年比で 5.7% 増えるが、円安が進んだことでドル換算では 1.2% 減ると予測されている。 日本はすでに 1 - 9 月期の実績で、ドイツに約 2 千億ドル(約 28 兆円)の差をつけられている。追いつくには 10 - 12 月期に約 190 兆円を積み上げる必要があるが、前年同期が約 147 兆円だったことを踏まえると、実現はほぼ不可能だ。

長期的にみるとドイツの成長率は日本を上回っており、経済規模の差は縮まってきていた。 国際通貨基金 (IMF) のデータから 00 - 22 年の実質成長率を単純平均すると、ドイツの 1.2% に対し、日本は 0.7% にとどまる。 各国の経済規模をめぐっては、日本は 1968 年に西ドイツ(当時)を国民総生産 (GNP) で上回り、世界 2 位の経済大国となった。 だが 2010 年に GDP で中国に抜かれて 3 位になっていた。 (寺西和男 = ダボス、米谷陽一、asahi = 1-15-24)

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日本の GDP 「世界 4 位に転落」 IMF 予測、55 年ぶりドイツ下回る

日本が 2023 年の名目国内総生産 (GDP) でドイツに抜かれ、世界 3 位から 4 位に転落するとの見通しを、国際通貨基金 (IMF) が示した。 最近の円安や、ドイツのインフレ率の高さが影響したが、実質的な経済成長率の差が長年積み重なった結果でもある。 名目 GDP は、各国が生み出した付加価値の総額。 経済規模を表すが、物価変動の影響も受ける。 ドル換算で比べると世界 1 位は米国、2 位が中国だ。

IMF は今月公表した「世界経済見通し」で、日本の 23 年の名目 GDP を前年比 0.2% 減の 4 兆 2,308 億ドル(約 630 兆円)、ドイツは同 8.4% 増の 4 兆 4,298 億ドル(約 660 兆円)と予測した。 日本は 1968 年に当時の西ドイツを抜いて、世界 2 位の経済大国になった。だが、2010 年に中国に抜かれ、半世紀を経て再びドイツに逆転される見通しとなった。

要因の一つが円安だ。 昨年初めは 1 ドル = 110 円台だったが、日米の金融政策の違いからドルと円の金利差が拡大したことなどで、今年 6 月以降は1 ドル = 140 - 150 円ほどで推移。 そのぶんドル換算の名目GDP は目減りする。 一方、ユーロはドルに対して円ほど安くなっていない。 また、ドイツは消費者物価指数の前年同期比の上昇率が、今年 1 - 8 月は 6 - 8% 台で推移した。 このところ 3% 台だった日本と比べ、名目 GDP をかさ上げした面はありそうだ。

ただ、物価の影響を除いた実質 GDP の成長率で比べても、00 - 22 年の単純平均でドイツが 1.2% なのに対し、日本は 0.7% にとどまる。 生産性の向上や技術革新といった経済の実力でも、長期的にドイツが上回り続けた結果と言えそうだ。 (ワシントン = 榊原謙、asahi = 10-24-23)


年金運用、5 兆 7,287 億円の黒字 昨年 10 - 12 月期 GPIF

公的年金の資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) が 2 日発表した 2023 年 10 - 12 月期の運用実績は、5 兆 7,287 億円の黒字となった。 収益率ではプラス 2.62%。 主要国の長期金利の低下を踏まえ、国内外の株価指数が上昇。 これを受けて、外国株式が収益率でプラス 4.91%、2 兆 7,222 億円の黒字となった。 国内株式、国内外の債券も黒字となった。 (浜田陽太郎、asahi = 2-2-24)

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年金運用、19 兆円の黒字 四半期として過去最大 4 - 6 月期

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) は 4 日、2023 年 4 - 6 月期の運用が 18 兆 9,834 億円の黒字だったと発表した。 国内外の株高や円安を受けて四半期では過去最大の黒字幅となった。 黒字は 2 期連続。 運用資産額も最高の 219 兆 1,736 億円になった。 資産別の運用成績はいずれも黒字で、外国株式が 7 兆 8,196 億円、国内株式は 7 兆 0,886 億円。 外国債券が 3 兆 8,990 億円、国内債券は 1,761 億円の黒字だった。

宮園雅敬理事長は「米欧の株式市場は米国の底堅い景気や低迷していた半導体需要の回復期待などで上昇し、日本の株式市場も海外投資家からの資金流入を背景に上がった」と分析。 「大きなプラス収益となったが、あくまで短期の結果。 確率論のモデルでは 9 年(36 四半期)に 1 回程度しか現れない。引き続き、長期的な観点から運用を行う」とのコメントを公表した。 厚生労働省が所管する GPIF は、現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いに充てられなかった分を国内外の株式や債券で運用している。 (村井隼人、asahi = 8-4-23)


日本人女性起業家、米シリコンバレーで売り込み合戦 「上場めざす」

米国進出を目指す日本人の女性起業家らが 17 日夜、サンフランシスコ市内で自社の事業を投資家らに売り込む「ピッチ」に挑戦した。 現地のベンチャー投資家らを前に、英語で自社の製品やサービスを売り込んだ。 スタートアップ育成のため 5 年間で 1 千人の起業家を海外に派遣する経済産業省の事業の一環で、500 人以上の応募者の中から選ばれた女性起業家ら 10 人がシリコンバレーで 2 週間の研修に参加。 ベンチャー投資家への売り込み方や現地での事業展開のノウハウなどの指導を受ける。

現地の支援団体によると、シリコンバレーでは日本人の男性起業家は増えているものの、日本人の女性起業家はまだ少ないという。 ココナツオイルの販売を手がけるブラウンシュガーファーストの佐藤みどり最高経営責任者 (CEO) は、今年米国への進出を本格化させた。 佐藤さんは「ビーガンの分野は注目が集まっているが、米国で日本のブランドの存在感がない。 ナスダック上場をまっしぐらに目指したい。」と話した。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 1-19-24)


日本の経済成長率は G7 トップ、この指標なら

経済の規模を人口で割った「1 人当たり国内総生産 (GDP)」は経済学の授業で真っ先に出会う統計の一つだ。 生活水準や経済的な豊かさを国同士や経時的に比較するときに頼りになるデータである。 しかし世界の高齢化が進むにつれて、1 人当たり GDP の有用性は低下しつつある。 理由は単純で、GDP が 1 年間に生産された全てのモノとサービスの市場価値だからだ。 労働人口から外れた人はほとんどの場合、もはやGDPに貢献していない。

1 人当たり GDP は「ますます誤った印象を与える指標。」 経済学者のヘスース・フェルナンデス = ビジャベルデ(ペンシルベニア大学)、グスタボ・ベンチュラ(アリゾナ州立大学)、ウェン・ヤオ(中国・清華大学)の各氏は新たな論文でそう主張している。 彼らが 1 人当たり GDP の代わりに注目するよう提案しているのが生産年齢人口 1 人当たり GDP だ。 生産年齢人口 1 人当たり GDP は 1 人当たり GDP にちょっと手を加えただけのように思えるかもしれないが、今後ますます有用性が高まる可能性がある指標だ。 「高齢化と出生率の低下という非常に大きな経済的変化が今後 50 - 80 年の間に世界経済を一変させることになる(フェルナンデス = ビジャベルデ氏)」からだ。

それを最もよく表しているのが日本だ。 日本は経済停滞の典型的な例として取り上げられることが多く、「日本化」は弱々しい成長を指す、戒めと軽蔑が込められた婉曲表現となった。 日本を表すのに、硬直化、デフレ、停滞、瀕死といった表現が使われてきた。 1990 年から 2019 年の期間で見ると、日本の GDP の年間成長率は 1% 未満で、米国の約 2.5% を大きく下回った。 1 人当たり GDP の成長率では日本が 0.8% と停滞したのに対し、米国は 1.5% だった。

「日本は鉱山のカナリア」

しかし生産年齢人口 1 人当たり GDP では両国の差はほとんどなくなり、同じ期間の成長率は日本が 1.44%、米国は 1.56% だった。 それどころか、1998 年から 2019 年までで見ると、日本の成長率のほうがわずかに高かった。 世界金融危機の最中だった 2008 年から新型コロナウイルス禍直前の 2019 年までの期間では、生産年齢人口 1 人当たり GDP の成長率は先進 7 カ国 (G7) で日本が最も高かった。 日本の経験は今後、世界の他の国にとって今よりもはるかに重要な意味を持つようになるだろう。 日本の人口減少が始まったのは 2010 年だが、15 歳から 64 歳までの生産年齢人口はさらに早い 1990 年代前半から減り始めた。

「日本は鉱山のカナリアだった。 日本は出生率が最も大きく低下し、それが最も早く起きた」とフェルナンデス = ビジャベルデ氏は言う。 「しかし現在の日本はその他の人々の未来の姿だ。」 国連のデータによると、2023 年現在、イタリア、スペイン、タイの出生率は日本と同水準で、中国と韓国はさらに低い。 ブラジル、チリ、ドイツ、ギリシャ、ポルトガルは日本をほんのわずかに上回っている。 70 カ国以上で出生率が人口置換水準を下回っている。 言い換えれば、1 人の女性が生涯に産むと予想される子どもの数が人口規模の維持に必要な 2.1 人未満だということだ。

昨年末、世界人口は 80 億人に達したが、非常に多くの国で人口成長率がゼロに向かっており、人口はピークに近づいている。 一部の人口統計学者は、世界人口が 90 億人に達することはなく、現在は縮小への転換期にあると主張している。 1 人当たり GDP はそれでも今後も子どもや退職者が利用できる資源を測るのに役立つだろう。 退職者人口に対する生産年齢人口の比率が下がる中で、退職者は財政にとってますます大きな脅威になりつつある。 しかし多くの国では総人口の減少が始まる数十年前に生産年齢人口が減り始める。 この期間は生産年齢人口 1 人当たり GDP は経済活動の指標として特に有用だろう。

労働者は生産性が下がったり、競争に後れを取ったり、経営の失敗で苦労したりしているのだろうか。 それとも単に人数が減っているのだろうか。 生産年齢人口で見た GDP から分かるのは、欧米の経済学者が日本化を懸念しているにもかかわらず、日本は素人目にも明らかにうまくやっていることだ。 瀕死とされた経済成長が 30 年間続いても、日本はまだ明らかに富裕国で、生活水準は高い。 国民が長寿であるという事実は国が崩壊していないことを確実に示している。 だからといって日本経済が文句のつけようがないというわけではない。 より優れた金融政策が実施されていれば経済の活性化にもっと貢献していた可能性があるし、政府債務をどう管理するかについても答えは出ていない。

より多くの国で生産年齢人口が減少へ

ほとんどの主要国は今後、日本と同じ道をたどり、移民で補わない限り労働力の伸びは鈍化してやがて縮小に転じるだろう。 2040 年代に働いている成人は既に生まれており、われわれはこの予測にかなり自信を持っていい。 一応言っておくと、米国は一部の国ほど成長率が大幅に低下することはなさそうだ。 フェルナンデス = ビジャベルデ、ヤオ、リー・オハニアン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の各氏は関連の論文で、中国の経済成長率が今後 20 年以内に米国の成長率を下回ると予想している。 生産年齢人口の減少ペースが中国のほうが速いことが主な理由だという。

ただ日本が示すように、悲惨な状況になるとは限らない。 「人口の高齢化は対処が可能だ」とフェルナンデス = ビジャベルデ氏は言う。 「人々は見通しを改める必要がある。」 (Josh Zumbrun、The Wall Street Journal = 1-2-24)

〈編者注〉 実感的には、日本経済に「眠れる 30 年」の時代は無かったと考えています。 ようやくそれを証明してくれる経済学者が現れたと喜んでいます。 日本は着実に前に進んでいるのです。


日本の労働生産性 "過去最低" 30 位に OECD 加盟 38 カ国中 ポルトガル並み

日本の労働生産性が先進国中心の OECD (経済協力開発機構)に加盟する 38 カ国中 30 位と過去最低になったことが分かりました。 シンクタンク「日本生産性本部」の調べによりますと、2022 年の日本は労働者が 1 時間あたりに上げる利益を示す労働生産性が 52.3 ドルで、OECD 加盟 38 カ国中 30 位でした。 これはポルトガルとほぼ同じ水準で、日本は去年より順位を 2 つ下げ、比較可能な 1970 年以降で最低になりました。 上位 3 カ国はアイルランド、ノルウェー、ルクセンブルクです。 一方で、日本より下位にはスロバキア、ハンガリー、韓国などが続きました。

日本の労働生産性は長く OECD のなかで 20 位前後を維持していましたが、2019 年から一気に順位を下げています。 日本生産性本部は「『先進国からの脱落』と言われる一面が生産性でも現れている。 新型コロナウイルスの影響から日本も回復してきたが、似たような国はもっと急激に回復していたとみられる」としています。 (テレ朝 = 12-22-23)