週刊少年マガジンも発売日前にネット公開 容疑で外国籍 2 人を再逮捕

漫画雑誌の発売日前に掲載作品をインターネットで公開するなどしたとして、熊本、新潟両県警は 25 日、外国籍の男 2 人を著作権法違反容疑で再逮捕し発表した。  2 人は、漫画・関連グッズを販売する東京都北区の「ジャパン・ディール・ワールド合同会社」の経営者 (36) =新宿区 = と社員 (34) = 文京区。

熊本県警サイバー犯罪対策課によると、同社と両容疑者は昨年 9 月 3 日ごろと今年 1 月 13 日、それぞれ数日先に発売される週刊少年マガジン(講談社)の掲載漫画をネットで公開。 同 26 日には発売 5 日前の同誌の掲載作品をスマートフォンで撮影して複製し、出版社と漫画家の著作権を侵害した疑いがある。 漫画誌は都内の店舗で入手していた。 容疑について経営者の男はいずれも認め、社員の男は 1 月 26 日の件だけ認めているという。

両容疑者は今月 4 日、昨年 3 月と今年 1 月末ごろに週刊少年ジャンプの漫画を発売前にネットに公開したり複製したりしたとして同容疑で逮捕されていた。 同県警は、発売前に公開された作品がさらにあるとみて関連を調べている。 (asahi = 2-25-24)


エヌビディア (NVIDIA) 時価総額一時 2 兆ドル、米 3 社目 … 生成 AI 向け半導体で世界シェア 8 割

【ニューヨーク = 小林泰裕】 23 日のニューヨーク株式市場で、米半導体大手エヌビディアの時価総額が一時、2 兆ドル(約 300 兆円)に達した。 米メディアによると、アップルとマイクロソフトに次ぎ、米企業で 3 社目となる。 生成 AI (人工知能)向けの半導体に強みを持つエヌビディアの株価はこの 1 年あまりで 5 倍近く上昇しており、日米の株高を先導している。

23 日のエヌビディア株は一時、前日終値から約 5% 上昇した。 その後は利益確定の売りが広がり、終値は前日比 0.4% 高の 788.17 ドルだった。 終値時点の時価総額は約 1 兆 9,700 億ドルで、グーグルの親会社アルファベットやアマゾン・ドット・コムなどを上回り、世界 4 位につけている。 エヌビディアは生成 AI 向け半導体で 8 割前後の世界シェア(占有率)を持つとされる。 21 日に市場予想を上回る好決算を発表し、日経平均やダウ平均を押し上げる一因となった。 (yomiuri = 2-24-24)


TikTok の未成年対策「不十分」 欧州委、DSA 違反疑いで調査

欧州連合 (EU) の行政府にあたる欧州委員会は 19 日、動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」の運営会社に対し、視聴することで未成年の精神や身体に及ぶリスクや違法コンテンツへの対策が不十分だとして、デジタルサービス法 (DSA) の義務違反の疑いで、調査を始めたと発表した。 2022 年に発効した DSA は、有害投稿の削除や対応策の情報開示を求めている。

欧州委は、リスク評価などの報告書を分析した結果、ティックトックの「おすすめ」を表示するアルゴリズム(計算手順)は、利用者が「おすすめ」をたどり続けると動画のジャンルが狭められ、依存的になる「ウサギの穴現象」を起こす可能性があると指摘。 「精神的・身体的リスクを軽減させるための対策が必要だ」とした。 また、未成年が性的・暴力的なコンテンツを視聴するのを防ぐため、ティックトックが生年月日を入力させて年齢確認をする対策について、「合理的、効果的でない可能性がある」と判断した。

今後、ティックトック側に事情を聴き、専門家による評価などを行うが、調査の期限は設けないという。 違反と判断されれば、世界売上高の最大6%の制裁金が科される可能性がある。 昨年 12 月には X (旧ツイッター)が偽情報の拡散などを防ぐために講じた措置が不十分だとして、DSA に基づく初の調査対象となっていた。 (ブリュッセル・牛尾梓、asahi = 2-19-23)


広がるシェアサービス、消費者相談は 500 件に PF 巡りトラブルも

インターネットを介して自分が持つモノやスペースを他人に売ったり貸したりする「シェアサービス」をめぐる消費者相談が、2021 年 4 月以降で 500 件超に上ったことが、国民生活センターのまとめでわかった。 消費者庁はトラブル回避の方法の一つとして、プラットフォーム (PF) を介した取引を推奨していたが、その PF が新たなトラブルの火種となるケースも生まれている。 同センターでは、シェアサービスが急速に広がった 21 年度からサービス全体の相談について集計を開始。 それによると、21 年度は 184 件、22 年度は 196 件、23 年度は 2 月 1 日までで 129 件の相談があり、3 年弱で計 509 件に上った。

消費者庁は、21 年 10 月に発行したシェアリングエコノミーの「利用ガイドブック」の中で、シェアサービスを、@ 空間、A モノ、B スキル、C 移動、D お金 - - の 5 類型に分類。 具体的に、@ は民泊、A はフリーマーケットサービス、B は家事代行、C はカーシェア、D はクラウドファンディングなどを指すという。 その上で同庁は、個人同士の取引で気をつけるべき点として、必ず PF 上で取引するよう勧めていた。 直接取引は PF で禁じられている場合があるだけでなく、「商品が届かない」といったトラブルに巻き込まれる危険性があるからだという。

しかし今年 1 月 31 日、高級腕時計を借りたい人と所有者をつなぐ PF 「トケマッチ」が突然、サービスを終了。 運営会社と連絡がつかなくなったとして、腕時計を貸し出したままになっている所有者が不安に駆られている。 国民生活センターによると、全国の消費生活センターにはサービスが終了した当日から 2 月 8 日までに、この運営会社に関する相談が計 19 件、寄せられた。 ほとんどが腕時計の所有者からで、「預けた腕時計がまだ返ってこない」、「腕時計を返してほしいが、事業者と連絡が取れなくなりどうしたらよいか」といった内容だという。

ある所有者の男性 (37) はロレックスや A・ランゲ & ゾーネ、オーデマ・ピゲなど 40 本以上をトケマッチ側に貸し出したが、大半が返されていない。 「趣味として買ったものや、昇進したときなど人生の節目で自分へのご褒美として買ったものもあった。 一つ一つ、いつどんな心情で買ったのかも覚えている。 それが返ってこないとなり、動揺している。」 (佐野楓、asahi = 2-11-24)


中国企業、日本など 30 カ国で偽サイト = カナダ研究機関が報告

カナダの研究機関は7日、中国企業が日本を含む約 30 カ国で地元メディアを装った偽ニュースサイトを運営し、中国に好意的な情報を発信しているとの報告書を公表した。 これらのサイトはいずれも中国・深センの PR 会社が運営に関わっており、2020 年春ごろから開設されたという。

報告書をまとめたトロント大学に本拠を置く研究機関「シチズン ラボ」によると、欧州やアジア、中南米などで少なくとも 123 の偽ニュースサイトが見つかった。 日本を標的にしたものとしては、「フジヤマタイムズ(富士山時刻)」、「ギンザデーリー(銀座新聞)」など 15 のサイトが確認された。 サイトはそれぞれの国の地元メディアの記事やニュースリリースなどを転載しているが、その中に中国政府の主張に沿ったニュースを紛れ込ませているという。 (jiji = 2-8-24)


半導体チップ戦争、新たな戦線に移行

半導体チップの小型化は技術的・金銭的に難しくなり、チップ技術の覇権を巡る争いは新たな分野に移り始めている。 次の焦点は性能を向上するために、いかにチップをパッケージ化するかだ。 人工知能 (AI) の台頭は、先端パッケージング技術への需要をさらに高め、中国などの挑戦者がサプライチェーン(供給網)の他の部分の弱点を補うチャンスをもたらす。

インテルの共同創設者ゴードン・ムーア氏が、集積回路 (IC) に詰め込めるトランジスタ数はほぼ 2 年ごとに倍増するという「ムーアの法則」を提唱して以来、チップ製造は飛躍的に進歩してきた。 しかし、チップを縮小し続けることは、はるかに困難でコストがかかるようになった。  この問題を回避する方法の一つが、チップの全てのコンポーネントを最先端のプロセスで製造せずに、さまざまな種類のコンポーネントをより効率的な方法でパッケージ化するやり方だ。 そうすることで、コストを下げつつ性能を向上させることができる。

台湾積体電路製造 (TSMC) は、先端ロジックチップの製造で既に世界をリードしている。 しかし、パッケージング技術にも多額を投資しており、その工程がいかに重要になっているかを物語っている。 TSMC は、「CoWoS (チップ・オン・ウエハー・オン・サブストレート)」と呼ばれる先端パッケージング技術の能力を 2024 年に 2 倍に拡大することを目指している。 CoWoSは、ロジックチップとメモリーチップを束ねることで、それらの間のデータ伝送速度を向上させる。 AI チップの需要を満たす上で、チップ自体の製造能力だけでなく、そうした技術力の不足も障害になっている。

最先端の CoWoS 技術を持っている TSMC は、こうした現状を利用できる有利な立場にある。 ウエハー加工機器を手掛ける日本のディスコ社などのパッケージングプロセス向け装置メーカーも、恩恵を受ける可能性がある。 しかし、より伝統的なチップ組み立て・テスト企業も、取り残されるとは限らない。 彼らの技術は TSMC などの企業に後れを取っているかもしれないが、追いつくために多額の投資をしている。 例えば、米アムコー・テクノロジーは、アリゾナ州に 20 億ドルの先端パッケージング工場の建設を計画している。 その一部資金は、半導体・科学法 (CHIPS 法) に基づく助成金で賄われる。

パッケージングは、また、中国がより素早く躍進できる可能性のある分野かもしれない。 同国は既に世界のチップパッケージングおよびテスト市場で最大のシェアを占めている。 世界有数のパッケージング企業各社の工場が同国にある。 江蘇長電科技 (JCET) は、チップパッケージングおよびテストで台湾の日月光半導体製造 (ASE) と米アムコーに次ぐ世界第 3 位だ。

パッケージング技術は現在、米国の制裁対象にもなっていない。 米中関係が悪化していることを考えると、それが変わるリスクは大いにある。 ただし、この分野の中国の市場シェアは非常に大きいことから、米国が措置を取るのは厄介だろう。 チップを巡る米中の争いが既に熾烈化していた中での AI の台頭は、その競争をチップのサプライチェーンの隅々にまで強いることになりつつある。 完全に無傷でいられる企業はほとんどないだろう。 (Jacky Wong、The Wall Street Journal = 12-28-23)


ネット購入おもちゃ、無名ブランド 7 割で危険性有 危機感高まる欧州

寒さが厳しい 11 月下旬のブリュッセル。 クリスマスを前に、街のおもちゃ屋はツリーやジンジャーブレッドのぬいぐるみなどであふれ、大人まで心が躍るようだった。  一方、ネット通販でも気軽におもちゃが買える。 ネット上では「子どもが遊ぶおもちゃは安全なのが当たり前」という常識がゆらぎ、危機感が高まっている。 危ないおもちゃの流通をとくに厳しく取り締まっている欧州を取材した。

訪れたのは、家族経営の老舗おもちゃ屋「セルネル」。 店のブリジット・セルネルさんは「どのおもちゃが安全か危険かを見分けて選ぶのが私たちの仕事。 そのためには経験や学びで培った目が必要」と言う。おもちゃの展示会で実際に触ったり、製造者から話を聞いたり、情報を集めたりして店に置く商品を見定めている。 例えば、赤ちゃん人形用のベビーカー。 遊んでいる子どもが間違って乗ろうとしても倒れないか、手をはさまないで折りたためるか。 多種多様なベビーカーの商品から、選びぬいた一品を並べている。

世界のおもちゃの安全基準のなかで、欧州連合 (EU) の安全基準は規制される化学物質が多いため、特に厳しいとされる。 EU 域内で販売されるすべてのおもちゃは、「欧州玩具指令」のもと、安全基準を満たしている必要があり、「CE マーク」を付けて販売される。 規格の国際標準化政策に詳しい元国民生活センター理事長の松本恒雄氏は「欧州では、子どもの保護や消費者保護政策が重要課題。 消費者団体の活動も活発で、行政機関は消費者側の声をよく聞いて立案している。」という。

EU 各国は、自国の市場で基準に適合しないおもちゃを見つければ、販売停止などの措置をとり、情報を共有。 必要であれば他国でも措置をとることができる。 それでも、「おもちゃの安全」は脅かされつつある。 ネット通販だ。 クマのぬいぐるみがかけていためがねは、パーツが鋭くとがっていて、肌に刺さる危険がある 。ぬいぐるみの縫い目がゆるくて外に出た詰め物が、子どもの口に入ってのどをつまらすおそれがある - -。 欧州のおもちゃメーカーなどが加盟する業界団体「欧州玩具協会 (TIE、ブリュッセル)」が 2020 年に出したリポートでは、大手通販サイトで購入したおもちゃに潜む危険が数多く指摘されている。

ブランド名がないか、欧州では知られていないブランド名で、通販サイトの運営者ではない出品者が販売しているおもちゃ 134 品を、フランスにある検査機関で調べたところ、EU の安全基準に適合しない危ないおもちゃは 76% にのぼった。 見つかった危険の約8割が、小さな部品が外れて飲み込む可能性があったり、プラスチック製のパッケージが薄すぎて顔にはりついて呼吸困難のおそれがあったりする「物理的特性」だった。ほかに、毒性が疑われる化学物質の基準値を越えた使用も1割で認められた。結果は、各国の規制当局や販売されていた大手通販サイト側に連絡した。

「つい先日購入できた物です。」 TIE の EU 政策を担当するラージュ・ボルトさんは、そう言いながら、パーツをパズルのようにはめていくおもちゃを見せてくれた。 部品が小さすぎて幼児ののどに詰まる危険があるという。 こうしたおもちゃがネットで流通している現状について、ボルトさんは、「商品に対して責任を持っている人が分からないため、規制当局による監視が難しくなっている。」と指摘する。

EU の行政機関である欧州委員会はどう考えるのか。 ブリュッセルにある本部を訪ねた。 「各国の規制当局は基準不適合のおもちゃを見つけるのに努力しているが、商品が多すぎるのですべてを監視することはできない。 監視能力より供給量があまりに大きすぎる。」と担当者は話した。 対策として欧州委員会が提案しているのが、「デジタル製品パスポート (DPP)」という制度だ。 DPP は、おもちゃの製造元が製品情報をデータベースに登録し、QR コードなどを作成して製品に表示する制度。 コードを通して、メーカーの情報や安全基準を満たしているかなどを確認することができる。

製品が環境に与える影響に関する情報を登録するよう EU で議論されている別の制度を、おもちゃにも応用したい考えだ。 情報をデータ化することで、EU 域内におもちゃが入ってくる際に関税当局が DPP をチェックしたり、EU 域内を流通する際に規制当局が登録情報を確認したりできる。 担当者は、「より簡単に効率的に基準不適合のおもちゃを見つけることができる」と期待する。 まだ検討段階だが、2026 - 27 年ごろの実現を目指しているという。 一方日本国内の製品安全分野で、DPP の議論は出てきていない。 (寺田実穂子、asahi = 12-23-23)


偽サイトのテイクダウン、支援ツール誕生 全国初の講習「できそう」

銀行やクレジットカード会社など、実在する企業や組織を装った偽サイトにアクセスさせてアカウント情報などをだまし取る「フィッシング」。 被害撲滅のためには「テイクダウン(= フィッシングサイトの閉鎖)」が有効だが、いたちごっこが続いている。 そんななか、日本サイバー犯罪対策センター (JC3) が、一般市民でもテイクダウン活動を容易にできる支援ツールを開発した。 そのツールの名は「Predator (プレデター)」。 ブラウザーがベースで、パソコンとインターネット環境さえあれば使用できる。 来年以降、全国の警察が防犯ボランティアらを対象に講習会を開き、利用者を増やしていく計画という。

「一般人でも、テイクダウン活動ができるとは …」

今月、全国初となるテイクダウン講習会が「札幌デザイン & テクノロジー専門学校(札幌市)」などであり、参加した学生ボランティア・若林由生さん (20) はこう語った。 「操作はわかりやすく、自分でもできると思った。 効率的にテイクダウンできるよう、やり方を色々試してみたい。」 講習では法令の知識や事例紹介もあり、「セキュリティーへの知見が広がった」という声もあった。 同校の野村航介さん (21) は「フィッシングサイトの被害が増えるなかで、テイクダウン活動できる人が増えることは意義があると思う」と語った。 この日は 48 人が参加した。 (原知恵子、asahi = 12-21-23)


自治体 DX へデジタル人材が集結、率いる元 IT 大手トップの副知事

10 月、中小企業に対する東京都の支援事業を延長することが決まった。 そこで、都の担当課が直面したのは申請サイトの更新という課題。 どうすれば - -。 「大胆にリニューアルするより、スムーズに申請できるよう改善するのが良いと思います」、「サイトの検索結果の画面に『延長』の文字を入れて …。」 10 月下旬、都庁近くのオフィスで、都職員がサイト改修のアドバイスを受けていた。 作業にかけられる時間は 1 カ月もない。 相談には、9 月に始動した「GovTech (ガブテック)東京」のスタッフが応じていた。

ガブテックは、基本資産の 8 億円や運営資金を都が全額出資する一般財団法人。 都や都内の区市町村が抱える業務のデジタル化 (DX) 支援を役割としている。 理事長は、IT 大手ヤフー(現 LINE ヤフー)元会長で、今は都の副知事を務める宮坂学氏だ。

社会のあらゆる場面で「DX」が叫ばれています。 ところが、縦割り意識が強くて情報共有が遅く、コスト意識も低い行政事務はデジタル化の波に乗り遅れていました。 "ヤフー会長" の副知事が、打開のために繰り出した一手とは。

持ち込まれた中小企業支援事業のサイト改修案件は、実際に運営する都中小企業振興公社や IT ベンダーの担当者も交えてオンライン会議を重ね、使い勝手などを助言した。 都の職員は「短期間で、システムやセキュリティー面だけでなく、わかりやすさやデザインについても専門的な助言がもらえて助かった」と話す。 期限延長に合わせて、さらにわかりやすいフォームを作ることで、より多くの人に申請をしてもらいたいのだという。

集まってきたデジタル人材

担当したガブテックの亀山鉄生さん (44) は「現場では『困っているけれど、誰に何を聞いていいのかわからない』こともあるはず。 部署を横断して対応でき、気軽に相談できる人が身近にいることも大切。」 システム開発の全工程を請け負う日系企業に 20 年勤め、2021 年に「デジタルシフト推進課長」として都庁に転職。 そしてガブテックに加わった。

ガブテックが都庁内の部署ではなく民間組織としてつくられたのは、亀山さんのようにシステムの構築・保守に詳しい「デジタル人材」を確保することが理由の一つだった。 多くの企業・団体が DX を急ぐ中、デジタル人材の需要は高く、「公務員の条件で採用するのは、特に規模の小さな区市町村では至難の業。(都の担当者)」

民間を参考にした報酬水準

そこで、民間企業を参考にした報酬水準を提示でき、複数の自治体でも人材を有効に活用できる組織として、ガブテックが作られた。 約 60 人のスタッフのうち、約半数が「デジタル人材」。 メーカーや金融業界などの民間企業や地方自治体など、幅広い業界のシステム部門で働いた経験がある人を集めた。 自治体の DX 支援組織は、北海道の第三セクターのシステム会社「HARP (ハープ)」や、大阪府の「大阪市町村スマートシティ推進連絡会議」などの例があるが、自治体が 100% 出資し、DX 専門組織をつくる例は全国的に珍しい。

意気込む元ヤフー会長

理事長の宮坂副知事は「オール東京のデジタル化を進め、他の自治体の手本となるようなロールモデルを作りたい」と力を込める。 民間から都庁、ガブテックへ移ってきた亀山さんは、民間時代に、都の職員出張管理システムや勤務管理プログラムの作成など行政関連の仕事も多く手がけたという。 「行政の仕事に長く関わってきたからこそ困りごとがわかり、事業を受注する側の視点も交えて仕事ができると考えた。」 都庁に移ってからは、新型コロナのワクチン接種予約システムの整備にも携わった。 「行政の立場をよく理解した組織だからこそ、『困ったらガブテック』と頼ってもらえる組織にしたい」と話す。 (asahi = 12-17-23)


生成 AI 悪用、中国発の偽情報「スパモフラージュ」日本で広がる
… 「日米関係にひびを入れる狙い」

SNS の普及やデジタル技術の向上を背景に、偏った情報を広げ、民意を操ろうとする動きが加速している。 生成 AI (人工知能)の登場により、その勢いは一気に増幅し、民主主義が危機に直面している。

証拠ないのに「米軍の攻撃実験」

<ハワイ火災には大きな陰謀がある> 国内最大級のブログ「アメーバブログ(アメブロ)」で 8 月、そんなタイトルの投稿が一斉に始まった。 「ハワイ火災」とは、米ハワイ州で同月 8 日に発生し、約 100 人が死亡した山火事のことだ。 原因を<米軍が行った『気象兵器』攻撃実験>と断じ、<米軍は研究開発に巨額の資金を投じた>などと約 2,000 字にわたって訴えていた。

山火事の原因は確定していない。 しかし、米軍が人為的に引き起こしたという証拠は一切ない。 読売新聞が、投稿したユーザーアカウント群を分析すると、日常的にアメブロを利用するユーザーにはない、不自然な特徴が見つかった。 8 月 16 日以降、日本語のタイトルで「ハワイ火災」を巡る偽情報を流していたアカウントは計 139 確認された。 うち 65 はこの 1 本しか投稿しておらず、残る 74 は、東京電力福島第一原発の「処理水」海洋放出を巡る日本政府の対応を批判する投稿なども行っていた。 全 139 アカウントの 6 割超が、中国語用に設定された書体を使っていた。

プロフィルの顔画像について調査会社に鑑定を依頼したところ、複数の顔画像が生成 AI 製とみられることも分かった。 「ピクシブ」や「はてなブログ」、「楽天ブログ」、「ライブドアブログ」、「ニコニコ動画」、「note」でも計 29 アカウントが同様の投稿をしており、国内の他のプラットフォーム (PF) でも活動が確認された。

機械翻訳されたような不自然さ

「日本で広がった投稿は、中国による偽情報キャンペーンだ。」 米調査機関「ニュースガード」アナリストのマクリナ・ワン氏はそう強調する。 ワン氏らは、海外事業者が運営する X (旧ツイッター)やフェイスブックなど計 14 の PF で、「ハワイ火災」を巡って同様の投稿をしているアカウントを発見した。 言語の数は、中国語、英語、フランス語など計 16 に上るが、最初の投稿は中国の PF に中国語で行われていた。 これらのアカウントは中国の国益に沿った発信だけを行い、中国語以外は機械翻訳されたような不自然さがあった。

読売新聞が 11 月、国内 7 社の PF 事業者に取材を申し込んだところ、アメブロとピクシブ、はてなブログが投稿を削除。 アメブロを運営するサイバーエージェント(東京)は「利用規約に違反していた」と理由を説明した。 ワン氏は、アメブロについて「確認した PF の中で、単一の言語で偽情報を広めたアカウント数が最も多かった」と述べ、「(投稿は)米国は悪の国だと日本の世論に働きかけ、日米関係にひびを入れようとする狙いがある」と指摘する。

「スパム」 + 「カモフラージュ」

「スパモフラージュ」 - -。 PF 上で、中国の国益に沿った主張を一斉に展開する組織的なキャンペーンはそう呼ばれる。 英語の「スパム(迷惑)」と「カムフラージュ(偽装)」を組み合わせた造語だ。 動向を注視する「オーストラリア戦略政策研究所」アナリストのアルバート・チャン氏によると、活動は 2017 年頃から始まった。 当初は香港の民主化デモなど中国の国内問題に焦点を当て、限られた PF で中国語や英語で発信していた。 だが、昨年頃から多言語化し、日本を含む多くの PF で確認されるようになった。

アカウントのプロフィル欄の顔画像を AI で作成している点も特徴だ。 中国発を含め、メタ(旧フェイスブック)が世論操作をしていると認定したアカウントで、AI によるプロフィル写真の作成は増加している。 19 年は数 % だったが、22 年は 70% 近くに上った。 実在する人物による投稿を装い、信頼性を高めるのが狙いとみられる。

現時点では、スパモフラージュの手口は洗練されておらず、影響力は限定的だ。 だが、野放しにしておけば、選挙や大災害、そして戦争が起きたときに一斉に偽情報が投稿され、一般ユーザーが信じ込んでしまう事態が懸念される。 メタやグーグルなどが関連アカウントを相次いで削除する背景には、こうした危機感がある。 チャン氏はこう語る。 「行動を起こさない PF は格好のターゲットになる。 日本の PF は対策を急ぐ必要がある。 (yomiuri = 12-6-23)


エヌビディア CEO、岸田首相と面会 「GPU、できる限り供給」

米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者 (CEO) は 4 日、岸田文雄首相と面会し、生成 AI (人工知能)などに必要な画像処理装置 (GPU) を「日本にできる限り供給できるようにしていきたい」と伝えた。 GPU は世界中で争奪戦が繰り広げられており、首相からの依頼に応えた形だ。 面会後、フアン氏が首相官邸で記者団に語った。

生成 AI の開発や運営には、膨大なデータを処理する計算能力が必要で、高性能の GPU が使われる。 エヌビディアは世界の AI 向け半導体の約 8 割のシェアを持ち、生成AIを使ったサービスを提供する米グーグルやマイクロソフトなどにGPUを供給している。 フアン氏は、日本で使われる生成 AI の基盤技術となる大規模言語モデル (LLM) を日本で立ち上げることが必要だとし、「学習自体を日本でしなければいけないし、日本において改善されていかなければならない」と語った。 今後、ソフトバンクや NEC、NTT、さくらインターネットなど日本企業と連携し、研究開発を加速させることも明らかにした。

この日、フアン氏は自民党の会合にも出席。 終了後、記者団に「日本は世界で最も重要な市場の一つだ。 今も業界の中心で、パッケージングや製造装置などで世界をリードしている。(政府による)半導体産業への投資は非常に良い決定だ。」と述べた。 (杉山歩、田中奏子、asahi = 12-4-23)


日本人のデータ守る第一歩? さくらインターネット選定、残る懸念は

政府は国の行政機関と自治体の情報を効率的に管理するためのガバメントクラウド(政府クラウド)の事業者に、日本企業として初めてさくらインターネットを選んだ。 これまでは米国企業に限っていたが、国民に関する様々な情報の管理は安全保障にも関わる問題だけに、政府内には様々な意見がある。 1996 年創業。 本社は大阪市。 企業などのデータを預かるデータセンターやレンタルサーバー事業で成長した。 東証プライム上場で、昨年度の売上高は 206 億円だった。

政府は、原則としてすべてのシステムをクラウド方式にする計画だ。 戸籍や税などの業務システムを統一し、運営経費を 3 割以上減らすことも見こむ。 この制度は様々な機能を遠隔地にあるサーバーなどで集約管理することで、各機関が自前の大きな IT 設備を持たなくても良いようにする目的で、2021 年度に始まった。 まずデジタル庁がクラウド事業者を公募して認定。 各機関はその中から選んで契約する。

その際、課題とされてきたのが外国企業への依存だ。 21 - 22 年度に選ばれたのはいずれも米国の IT 企業だった。 11 月 27 日時点の契約は国の行政機関 75 件と自治体 100 件のうち、アマゾンが 162 件、グーグルが 8 件、マイクロソフトが 2 件、オラクルが 3 件。 デジタル庁の要求水準が高く、条件を満たせる国内事業者がなかったため「国内勢は事実上排除された」との受けとめもあった。

デジ庁幹部「セキュリティー面で国内勢は …」

政府が選ぶ際の条件にはデータセンターを国内に置くことも含まれ、外国事業者であってもデータは国内で管理される。 だが米国は国内法「クラウド法」で、捜査機関が企業に対し、米国外のサーバーに置かれたデータの開示も要求できると定めており、日本人のデータは守られるのかとの懸念があった。

デジタル庁は、@ データは暗号化され、権限は日本側が設定するためクラウド事業者は技術的にアクセスできない、A 国家やその財産は外国の裁判権から免除されるという「主権免除」の国際法に基づきデータ開示は防げると説明するが、安全保障上の懸念は残る。 事業者に政府専用設備の設置を求める欧州型の制度が必要だとする声もある。

政府は経済安全保障政策の一環として、国産クラウドの育成も掲げている。 こうした観点からも国内事業者の参入を可能にするよう求める意見は昨年からあった。 これに対し、国内勢を必要以上に優遇すれば、データ管理の安全性を損ないかねないと警戒する見方もある。 デジタル庁幹部は、事業者に厳しい水準を設定していることについて、「セキュリティー面では世界中で脅威対処を続けている米大手が大きく先行していることは事実だ」と説明する。 安全保障を理由に要件を緩和すると、調達の透明性や公平性、システムの安全性が犠牲になりかねないとの指摘だ。

デジタル庁の浅岡孝充参事官は 28 日の記者会見で、国内企業を初めて選んだことについて「産業育成の観点は入っていない」と述べ、あくまで技術的な基準による調達の結果だと強調した。 今回は他社サービスを組み合わせる提案方式を認めることで、要件自体は変えずに日本企業が参入する道を開いた形だ。 デジタル庁は、選択肢が増えれば競争によって価格の低下につながると期待するが、一部の自治体は、政府クラウドへの移行でシステム運営費が大幅に膨らむと試算している。 政策効果が出るまでには時間がかかりそうだ。 (渡辺淳基、asahi = 11-28-23)


消費者惑わすダークパターン 4 割強が「引っかかったことある」

消費者を焦らせたり、惑わせたりして消費者に最善とは言えない選択をさせるウェブデザイン「ダークパターン」に、「ひっかかったことがある」と答えた人が 4 割強いた - -。 そんな調査結果が 27 日、発表された。 調査した会社は「そもそもダークパターンだと気づいていない人も一定数いると考えられ、この数値以上の人が不利益を被っている」と推定し、看過できない状況だとしている。 ウェブでの事業開発支援などを行うデザイン会社「コンセント」が今年 8 月、インターネットを介した商品購入やサービスなどの利用経験がある全国の 799 人(18 - 69 歳)にインターネット調査した。

「定期購入なのに 1 回だけの購入であるかのように表示されている」など、ダークパターンの代表的な種類 7 つを例示し、質問した。 68.8% が、ダークパターンのいずれか一つでも「見たことがある」と回答。 46.1% が「ひっかかったことがある」と答えた。 これまでに「ダークパターン」という言葉を聞いた経験と理解を質問したところ、「まったく聞いたことがない」という人が 55.2% を占めた。 「聞いたことはあるが具体的なことは理解していない」は 28.2%。 「聞いたことがあり具体的に理解している」は 16.6% にとどまった。

具体的に理解しているという人の 91.0% がダークパターンを見たことがある、と回答。 一方、まったく聞いたことがないという人で見たことがあると答えた人は 54.4% で、ダークパターンを知っている人ほど、ダークパターンが使われていることに気づきやすいという結果だった。 ダークパターン 7 種類の中で、見たり経験したりした事例が最も多かったのは、「商品を閲覧したいだけなのに会員登録を求められた」で、経験ある人が 46.3% だった。 次いで「割引価格が適用されるに は定期購入が必要、など重要なことが小さな文字で書かれている」のを見たことがある人が 43.9% だった。

同社は「被害を未然に防ぐためには、ダークパターンというものがあることをまず認識して、気づけるようになることが消費者にとっては重要」としている。 (大村美香、asahi = 11-27-23)


ライブコマース、大手が続々参入 個人配信の負担減、挑む物流会社も

インターネットのライブ動画で商品を売り込む「ライブコマース」が広まりつつある。 テレビの通販番組とも似ているが、消費者と双方向のやりとりができるのが特徴だ。 市場拡大を見据えて大手企業が乗り出している。 日本航空と子会社の旅行会社ジャルパックは今月からライブコマースを始めた。 初のライブ動画は 2 日夜、横浜市内のサウナ施設から配信。 サウナの中に作った会議スペースの紹介や、タオルを振って熱気を送る「アウフグース」のパフォーマンスなど 45 5分間のライブを、約 1,300 人が視聴。 反応や質問が次々に寄せられていた。

「サウナで仕事ははかどるのですか?」とのコメントに、出演した社員が「オフィスに比べて、ここではすぐ発散できるのでパフォーマンスは上がります」と回答。 航空券や宿泊施設とセットにして旅行先のサウナ施設をお得に楽しめる旅行商品へと誘導していた。 旅行予約サイトの普及で店舗は減少している。 接客の機会が減る中、顧客の疑問に答えながら商品を提案する場としたい考えだ。 今後も沖縄の宿泊施設や北海道のスキー場からの配信を予定している。

ライバーの「見えない仕事」 セイノーの商機に

ライブコマースは、芸能人やインフルエンサーとチャットで交流できる「ライブ動画配信サイト」を使うほか、ジャルパックやユニクロ、資生堂のように自社サイトで配信する企業も増えている。 一方で、ライバーと呼ばれる個人がライブ配信し、商品を売るケースも多い。 これまで商品の調達から梱包、発送までを自分でするライバーも多く、手間がかかるのが課題だった。

これを解決しようと、物流大手のセイノーホールディングスが乗り出した。 商品を在庫保管し、ライバーに注文が入ると同社の倉庫から購入者に発送する仕組みをつくった。 調達と加工はグループの商社が担う。 23、24 日にライブ動画配信サイト「SHOWROOM」で開かれた肉の販売イベントから試行的に始めた。 同社は企業間の物流を強みとしており、宅配に関わる事業を拡大させるねらいもある。 担当者は「将来的にはライバーやプラットフォームとメーカーをつなげていく。 そのうえでメーカーの社員をライバーとして育成できるようにノウハウを蓄積したい。」と話す。 (高橋豪、asahi = 11-26-23)


米オープン AI、アルトマン CEO 復帰で合意 解任めぐる混乱に幕

対話型 AI (人工知能)「ChatGPT (チャット GPT)」を運営する米オープン AI は 21 日深夜、解任したサム・アルトマン前最高経営責任者 (CEO)を CEO 職に復帰させることで基本合意したと発表した。 アルトマン氏の唐突な解任から 5 日。世界的な AI ブームを牽引してきた企業の混乱は、急転直下で収束した。 オープン AI は X (旧ツイッター)の投稿でアルトマン氏の復帰を発表した。 アルトマン氏も X の投稿で「オープン AI に戻ることを楽しみにしている」と応じた。

同社によると、理事会(取締役会に相当)のトップに米クラウドサービス大手セールスフォースのブレット・テイラー元共同 CEO、理事(取締役に相当)に元財務長官のラリー・サマーズ氏を新たに迎えるほか、現理事の米 Q & A サイト「クォーラ」のアダム・ディアンジェロ CEO が留任する。 アルトマン氏の解任にかかわったチーフサイエンティストのイリヤ・サツキバー氏と 2 人の社外理事は退任することになった。 理事会を刷新し、企業統治を強化する狙いがあるとみられる。

同社は今後の対応について「詳細の検討を協力しながら進めている」とコメントした。 アルトマン氏解任をめぐってはオープン AI が 17 日、「理事会との意思疎通において率直でないことがあり、理事会の責任を果たすことに支障をきたした」として突然発表した。 同社に出資する米マイクロソフト (MS) などが残った理事らにアルトマン氏の復帰を呼びかけ、交渉はいったん不調に終わった。 朝日新聞が確認したオープン AI の従業員 9 割超が署名した書簡では、アルトマン氏の復帰や理事会全員の辞職を要求。 実現しなければ、退社して MS に移籍する可能性があると警告していた。

今回の解任劇では、最新の AI 開発をめぐる理事会内の価値観の違いも浮かんだ。 米ニューヨーク・タイムズ紙は 21 日、アルトマン氏解任の数週間前、理事の一人が書いた論文について、アルトマン氏がオープン AI に批判的な内容だと非難していたと報じた。 オープン AI 幹部らはこの理事の解任を検討したが、理事会はアルトマン氏の解任に踏み切ったという。 今回の混乱の背景には、「主な受益者はオープン AI の投資家ではなく、人類だ」としていた非営利団体が、利益を追求する営利団体を傘下に置くという特殊な企業統治のしくみがあった。 新たなメンバーを迎えた統治体制が、AI 開発と安全性のバランスをどう保つかが注目される。 (ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 11-22-23)

◇ ◇ ◇

アルトマン氏、マイクロソフト入社へ X に投稿「ミッションは続く」

対話型 AI (人工知能)「ChatGPT (チャットGPT)」を運営する米オープン AI の最高経営責任者 (CEO) を解任されたサム・アルトマン氏が、同社に出資する米マイクロソフト (MS) に入社することになった。 MS のサティア・ナデラ CEO が 19 日夜に明らかにした。 ナデラ氏の X (旧ツイッター)への投稿によると、アルトマン氏は MS 社内につくる新たな AI 研究チームを主導する。 オープン AI のグレッグ・ブロックマン前会長兼取締役会議長や、同社の一部の従業員らも加わるという。 ナデラ氏は「我々は引き続きオープン AI との協業に注力していく」と強調した。 アルトマン氏も X の投稿で「ミッションは続く」と応じた。

一方、複数の米メディアは 19 日、オープン AI は暫定 CEO として、ゲーム実況配信サイト「ツイッチ」のエメット・シアー元 CEO を起用する方針だと報じた。 米メディアによると、MS などは当初、アルトマン氏をオープン AI の CEO に復帰させようと動いた。 アルトマン氏側は復帰の条件として、残っている取締役 4 人の刷新を要求したが、同社の取締役会との協議は不調に終わったという。 その後一転して MS 入りが決まった。

オープン AI は 17 日にアルトマン氏の退任を発表した際、「彼は取締役会との意思疎通において率直でないことがあり、取締役会の責任を果たすことに支障をきたした」と説明。 ミラ・ムラティ最高技術責任者 (CTO) を暫定 CEO に指名していた。 米メディアでは、AI 開発のスピードを重視するアルトマン氏らと、より安全性を重視する社員らとの間で対立があったとの見方が報じられている。 アルトマン氏のオープン AI への復帰が実現しなかったことで、同社からの人材流出が広がる可能性もある。(サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 11-20-23)