デング熱が猛威も、リオのカーニバルは最高潮 観客には虫除け剤推奨

南米ブラジルのリオデジャネイロで 11 日夜、恒例のカーニバルに名門サンバチームが出場し、盛り上がりが最高潮を迎えた。 参加した出演者は笑顔で踊ったり歌ったりして得点を競った。 名門サンバチームは同日から 12 日の 2 日間にわたり、6 組ずつが出場。 各チームが 1 時間かけて、全長 700 メートルのサンバ会場「サンボドロモ」を行進する。 各チームは演目を通じて社会や政治を風刺したり、幻想的な物語やブラジルの歴史を表現したりする。 審査員らは踊りや衣装、山車の華やかさなどの項目を採点し、優勝チームが決まる。

リオデジャネイロは現在、発熱や体の痛みを伴い死に至る危険もあるデング熱が猛威を振るっている。 地元メディアによると、参加者や観客らは虫よけスプレーの使用を推奨されているという。 (サンパウロ・軽部理人、asahi = 2-12-24)


中国、比巡視船を強制退去 南シナ海スカボロー礁

【北京】 中国海警局の報道官は11日、中国が実効支配する南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の近海にフィリピン沿岸警備隊の巡視船が2〜9日に不法侵入を繰り返したとして、法に基づき強制退去させたと発表した。具体的にどのような措置を講じて退去させたのかには触れていない。 スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあり、双方が領有権を主張。報道官は「中国は黄岩島と周辺海域に議論の余地のない主権を持つ」と主張し「国家主権と海洋権益を断固守る」と強調した。 (kyodo = 2-11-24)

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中国とフィリピンが南シナ海問題で協議 アユンギン礁巡る状況を管理することで合意

中国とフィリピンは 17 日、領有権をめぐって対立が深まっている南シナ海の問題について協議し、特にフィリピン軍が駐留するアユンギン礁をめぐる状況を管理することで合意しました。 南シナ海でフィリピン軍が駐留するアユンギン礁周辺では去年、フィリピン船が中国艦船から放水されるケースが相次ぐなど、対立がエスカレートしています。 こうした中、中国外務省の農融外務次官補は 17 日、フィリピンのラザロ外務次官と上海で南シナ海の問題について協議しました。

中国外務省の発表によりますと、「海に関する意思疎通のメカニズムをさらに改善する」ことや、アユンギン礁をめぐって「状況を管理し、両国の関係の健全で安定した発展のための良好な条件を作り出す」ことで合意したということです。 これに先立ち先月、中国の王毅政治局員兼外相とフィリピンのマナロ外相は電話会談を行い、2 国間協議を早期に開催することで合意していました。 また、フィリピン外務省は、「海上の平和と安定を維持するためには、継続的な対話が重要であるとの認識で一致した」と発表。 「アユンギン礁に関する互いの立場を主張し、緊張の高まりを避けるための相互関与を保証した」としています。 (TBS = 1-18-24)

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フィリピン、中国大使を召喚 追放の可能性も 南シナ海問題で

フィリピン政府は 11 日、中国が領有権を争う南シナ海で挑発的な行動を続けているとして、中国の黄渓連・駐比大使を召喚したと発表した。 比外務省は、黄氏の追放の可能性も示している。 比外務省の報道官は同日の会見で、南シナ海での中国の動きに抗議したとした上で、黄氏をフィリピンにとって「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」に指定することについて「真剣に検討しなければいけない」と述べた。

比沿岸警備隊によると、南シナ海のアユンギン礁(英語名セカンドトーマス礁)周辺では 10 日、中国沿岸警備隊の船舶が比側の船に放水した上で、補給船などに衝突。 1 隻は「深刻なエンジン損傷」を受けたという。 この事案について、中国海警局は同礁付近の海域に比船舶が「不法侵入した」上で、中国側の警告を無視して急旋回し意図的に衝突してきたとしている。 南シナ海では 9 日にも中国側が比船舶に対して放水砲を用いる事案があり、両国の応酬が激化している。 (バンコク・石山絵歩、mainichi = 12-12-23)

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中国海警局の船、フィリピン船を放水銃で「妨害」 領有権争う南シナ海で

フィリピンは 9 日、中国と領有権を争う南シナ海で、中国海警局(沿岸警備隊)の船がフィリピン当局の船 3 隻に向かって放水銃を発射し、進路を妨害したと非難した。 映像では、中国側の船がフィリピンの船に向かって強力な放水銃を発射しているのが確認できる。 フィリピンは、中国の行為が「違法かつ攻撃的」だと批判した。 中国は、フィリピンをはじめ複数の国と、南シナ海の領有権を争っている。 今回の衝突は、中国とフィリピンとの間の火種となっているスカボロー礁の近くで起きた。 中国は 2012 年にスカボロー礁を占有して以降、この海域でフィリピンの漁業関係者に嫌がらせをしている。

フィリピンの「西フィリピン海(南シナ海)タスクフォース」は、フィリピン当局の船舶が燃料や食料を輸送するのを「妨害するために、中国海警局の船が放水銃を使用した」と指摘。 「違法かつ攻撃的なこの行為を激しく非難する」とした。 一方で中国政府は、自国の海域に侵入した船舶に対し、「取締措置」と称するものを実施したとしている。 南シナ海をめぐってはフィリピンが 3 日、中国の退役軍人や漁民らで構成する武装漁船団「海上民兵」の船 135 隻以上が不法に「集まっている」と非難した。

フィリピンは 10 日に、南シナ海で二番目の大きさで、フィリピンが実効支配する最大の島嶼パグアサ島(英語名・ティトゥ島)の人々に、クリスマスに合わせてプレゼントやそのほかの物資を届ける約 40 隻の船団を派遣する予定。 昨年にフェルディナンド・マルコス・ジュニア氏がフィリピン大統領に就任して以来、南シナ海の領有をめぐる中国との摩擦が激化している。

フィリピンは先月、南シナ海の海上と空域で、アメリカと合同パトロールを実施。 その数日後にはオーストラリアとも合同パトロールを行った。 中国は南シナ海の 90% に対する領有権を主張している。 しかし 2016 年、南シナ海に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとして、フィリピンが中国を相手に提訴した裁判で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は中国の主張に法的根拠がないと判断を示した。 中国政府はこの判断を認めず、近年はこの係争水域に人工島を建設するなどしている。

南シナ海をめぐる争いは、中米関係にとっても軍事的火種となっている。 ジョー・バイデン米大統領は10月、中国とフィリピンの船が 2 度衝突したことを念頭に、南シナ海でフィリピン側に何らかの攻撃があった場合、アメリカはフィリピンを防衛すると中国に警告した。 台湾やマレーシア、ヴェトナム、ブルネイも南シナ海の一部について、領有権を主張している。 (BBC = 12-10-23)


アメリカ大寒波、40 人死亡 航空便の遅延・欠航相次ぐ

【ニューヨーク = 西邨紘子】 大寒波の被害が全米に広がっている。 冬の気温が比較的温暖な西部や南部でも気温が零下に下がる異常気象が相次ぎ、凍死や交通事故などで 12 日以降少なくとも 40 人が死亡したもようだ。 中西部から東部には 18 日から週末にかけて再び積雪を伴う寒波が予想され、当局が警戒を呼びかけている。 米国国立気象局は 14 日深夜までに、全米の幅広い地域で北極気団の南下による異常な低温が予想されるとして寒波警報や注意報を発令した。 15 日には中西部を中心に、低体温症による「生命の危険」が懸念される酷寒を記録。 カナダ国境沿いでは体感気温がマイナス 50 度を下回った。

フロリダ州で降雪が見られるなど、異常気象も発生している。 米メディア CNN によると、これまで寒波に関連した死者が最も多く報告されたのは南部テネシー州(14 人)とオレゴン州(8 人)となっている。 悪天候や空港の路面凍結により、連日、数千件規模のフライト欠航や遅延が相次ぐ。 フライト追跡サイトのフライトアウェアによると、18 日午後の時点で米国内発着便のうち約 3,000 便の遅延、650 便のキャンセルが報告されている。

零下の気候が比較的珍しい地域では、当局の対応の遅れなども事故につながっているようだ。 テネシー州では 15 日、高速道路の凍結でトラックがスリップする死亡事故が発生。 オレゴン州では複数の凍死者が出た。 主要都市ポートランド周辺では 16 日、強風による倒木や凍結により高速道路が約 80 キロメートルにわたって通行止めとなり、約 9 万戸の停電も報告された。

米地方局 ABC7 は 17 日、シカゴ周辺で極端な低温のため充電が正常に行えず、電気自動車テスラが立ち往生する問題が相次いでいる様子を伝えた。 低温下では充電に時間がかかる上、車内の暖房に電力がかかる。 充電途中でバッテリーが切れて暖房が使えなくなったテスラの車両が相次ぎレッカー車でけん引されているという。 週の半ばまでに一度緩んだ寒さは、週末にかけて再び厳しさを増す見通しだ。 米国国立気象局は、19 日から週末にかけて中西部から東部各州に積雪を伴う寒波が広がるとして、注意を呼びかけた。 (nikkei = 1-19-24)


北朝鮮のミサイル発射「差し迫った脅威」 日米韓、抑止力強化へ連携

核・ミサイル開発を続ける北朝鮮をめぐり、日米韓の担当高官による協議が 18 日、ソウルで開かれた。 日本の外務省の発表によると、北朝鮮による弾道ミサイル発射などの動きが「地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威」だとする認識を改めて共有した。 北朝鮮に対する抑止力の強化を目指し、緊密に連携していくことも再確認したという。 北朝鮮はロシアとの関係を深めており、ロシアに弾薬などを提供していると非難されている。 協議ではロ朝間の武器移転についても「深い懸念を共有」した。 日本側からは拉致問題について「引き続きの理解と協力」を求め、米韓の支持を得たという。

北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させ、日米韓に対抗してますます強硬な姿勢をとるようになっている。 固体燃料型の中長距離弾道ミサイルを 14 日に発射したとされるほか、金正恩(キムジョンウン)総書記が 15 日の最高人民会議(国会に相当)で韓国を「不変の主敵」と明記する憲法改正を主張するなど、圧迫を続けている。 ロシアとの関係強化も進めており、15 - 17日には崔善姫(チェソンヒ)外相がロシアを訪問。 プーチン大統領、ラブロフ外相と会談した。 (ソウル = 稲田清英、asahi = 1-18-24)

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米宇宙軍司令部、北朝鮮偵察衛星「活動できないようにすることも」 "レーザーでカメラ機能停止" 報道も

1 日から正式運用開始とした北朝鮮の軍事偵察衛星について、アメリカの宇宙軍司令部が "活動できないようにすることもできる" との考えを示したと報じられました。 アメリカの「自由アジア放送」によりますと、アメリカ宇宙軍司令部の広報室は、北朝鮮が偵察衛星を打ち上げた後の先月 29 日、取材に対し「多様な可逆的、不可逆的な方法を使って活動できないようにすることもできる」と説明したということです。 具体的な方法については明らかにされていませんが、韓国メディアは「レーザーなどを利用して、衛星に搭載されているカメラの機能などを作動しないようにすることや、衛星を破壊することを意味する」と報じています。 (TBS = 12-1-23)

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日本政府が北朝鮮の衛星「何らかの物体が地球を周回」と発表 21 日に打ち上げ

木原防衛相は 24 日の会見で、北朝鮮が 21 日夜に打ち上げた偵察衛星について、米国、韓国と連携しながら分析を進めた結果、「何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と発表した。 一方で木原氏は、「北朝鮮が意図した通りの軌道を周回し、意図した通りの機能を果たしているかといった詳細については引き続き慎重な分析が必要」と述べた。

これまで日本政府は衛星の軌道投入は確認されていないとして、情報収集と分析を続けてきた。 北朝鮮は 3 回目となる偵察衛星の打ち上げに「成功した」とした上で、早期に追加の衛星を打ち上げると発表している。 木原氏は「防衛省としては国民の生命、財産を守り抜くため、引き続き情報の収集、分析および警戒監視に全力を挙げていく」と強調した。 (FNN = 11-24-23)

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北朝鮮の衛星、「使えない」としても 元空幕長「それでも侮れない」

朝鮮中央通信によれば、北朝鮮が 21 日夜、軍事偵察衛星「万里鏡 1 号」を搭載したロケット「千里馬 1 型」を発射しました。 5 月、8 月に続き、今年 3 度目の発射で、同通信は「衛星の軌道投入に成功した」と伝えました。 防衛省航空幕僚長を務めた片岡晴彦・日本宇宙安全保障研究所副理事長は宇宙領域での北朝鮮の動きは「侮れない」とし、その理由を説明します。

北朝鮮は半年間で 3 度も衛星打ち上げを試みました。

非常に速いペースです。 北朝鮮の核・ミサイル開発の速度は以前から際だっていました。 新型エンジンの燃焼試験終了後、わずか 3 カ月でミサイルを発射したこともあります。 米スペース X 社の開発手法「グリーン・ライト・スケジュール」に似ているのではないかと考えています。 フェーズごとの開発がグリーン(成功)であることを前提に、スピードを重視した開発スケジュールを組んでいるようです。

(設計から実装、テストという一連の工程を繰り返してシステムの質を高める)スパイラル方式も採用しているようです。 衛星打ち上げロケットだけではなく、大陸間弾道ミサイル (ICBM) や潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM) なども同時並行で開発しています。 同じ型の 3 機目のロケットを準備していたことにも驚きました。 製造ラインを確保しているのでしょう。 日本の場合、少なくとも再打ち上げには 1 年ほどはかかると思います。 「選択と集中」で、少ない資源を核・ミサイル開発に集中し、国防力強化の 5 カ年計画(2021 - 25 年)の期間中に必ず完成させるという強い意思を感じます。

韓国軍は過去に引き揚げた機体から「北朝鮮の衛星は軍事的に使えない水準」と分析しています。

韓国の分析の通りだと思いますが、侮れません。 今回の発射の最大のポイントは、北朝鮮が衛星軌道に予定通りに衛星を投入できるかどうかです。 衛星はダミーでも良いくらいだと思います。 衛星軌道に正確に投入できる能力を持つということは、ASAT (衛星攻撃兵器)の保有につながります。 狙った衛星と同じ軌道にミサイルを撃ち込んだり、投入した衛星を自爆させてスペースデブリ(宇宙ゴミ)を作って妨害したりできます。  ちなみにロシアは 21 年に ASAT ミサイルで衛星破壊実験を行っています。

北朝鮮が今回打ち上げた軍事偵察衛星は、おそらく(地上 500 キロ前後の)低軌道に投入するのが狙いでしょう。 今後、実験を繰り返せば、高度 3 万 6 千キロの静止軌道に打ち上げる能力を備えることも可能になるかもしれません。

金正恩(キムジョンウン)総書記が 9 月、ロシア極東のボストーチヌイ宇宙基地を訪れました。 ロシアのプーチン大統領も宇宙開発で協力する考えを示しました。

北朝鮮には、李炳哲(リビョンチョル)・朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長ら「ICBM 4 人組」と呼ばれる、ミサイル開発に深く関わった 4 人の高官がいます。 金正恩氏の訪ロには、このうちの 3 人が随行しました。 当然、宇宙分野についての意見交換もあったと考えるべきです。 ロシアは高い分解能を持つカメラや、衛星などの誘導・制御に使われる技術を提供するかもしれません。 世界の宇宙開発のスピードは上がっており、北朝鮮による資金の集中投資とロシアとの技術協力があれば、速い速度で開発が進むでしょう。

また、最近は分解能が劣るカメラでも、AI (人工知能)に分析させることで識別を可能にする技術が進んでいます。 この場合、小型衛星を多数打ち上げ、連続して撮影することで移動目標を捉えることができます。 実現は簡単ではありませんが、ロシアとの協力は、様々な選択肢を北朝鮮に与えるでしょう。

中国、ロシア、北朝鮮による宇宙開発協力の可能性もあるのでしょうか。

中国とロシアは、米国のアルテミス計画に対抗し、月の開発で協力しています。 実際は、宇宙ステーション「天宮」を保有し、月面にも到達した中国が単独で開発できると思いますが、米国に対抗する枠組み作りを重視しているようです。 一方、北朝鮮はイランに対して弾道ミサイルの開発協力をしてきました。 今後、ロシア、北朝鮮、イランによる宇宙開発の枠組みができるかもしれません。 中国は過去、核や弾道ミサイル技術を北朝鮮に提供してきませんでしたが、ロシアと北朝鮮の接近を防ぐことまではできないかもしれません。

北朝鮮による宇宙進出を受け、日本はどう対応すべきでしょうか。

北朝鮮の衛星がおかしな動きをしないかを含め、宇宙の状況を監視する必要があります。 日本だけでは不可能なので、米国など国際社会での幅広い官民協力が必要です。 米国は最近、陸海空に加え、海兵隊、宇宙、サイバー、沿岸警備隊などを全て連結し、情報を共有して相互運用を行う JADC2 (統合全領域指揮統制)システムの構築を急いでいます。 宇宙の衛星を使い、リアルタイムで敵を監視し、作戦を実行します。

ただ、米国が宇宙に頼りすぎる現象も起きています。 米国の衛星が破壊された場合、作戦が成り立たなくなる可能性があります。 中国や北朝鮮が狙うのも、そのような「非対称性」です。 中国は通常兵器の戦いでは、米国に勝てないため、宇宙を攻撃して米国の GPS (全地球測位システム)機能などを破壊し、作戦能力を低下させることを狙っています。 日米も「宇宙が使えない日」を想定した準備も進めるべきです。 (牧野愛博、asahi = 11-22-23)


富士通幹部が謝罪、補償関与に「道義的義務」 英郵便局冤罪事件

英国史上最大規模の冤罪をうんだ「郵便局事件」で、富士通の執行役員が 16 日昼、英議会に出席した。 執行役員は、同社が郵便局に提供していた会計システムに欠陥があったことを認めて「真摯に謝罪したい」と語った。 16 日に英議会ビジネス・通商委員会に出席したのは、富士通の欧州地域の責任者でもあるポール・パターソン氏。 補償について問われると「私は、会社には(補償に)貢献する道義的義務があると思う」と語り、冤罪被害者への補償に関与する姿勢を示した。

一方、「それを判断する適切な時期は、我々の責任が明白になった時だ」とも述べ、補償が即時ではないことも示唆した。 現在進行中の公的な独立調査の結果を待つとみられる。 この事件では 1999 - 2015 年、会計システム「ホライゾン」の記録を証拠として、700 人以上の郵便局長らが不正会計などの罪で訴追された。 システムには不具合があったことが後に明らかになり、有罪判決の破棄や補償が一部で進んでいる。

事件をめぐっては 21 年から公的な独立調査が始まり、いまも続いている。 今月のドラマ化を機に再び事件が注目を集めることになり、スナク首相も法律によって冤罪被害者の救済を急ぐ方針を示していた。 この日は他に、郵便局長側の弁護士や支援してきた元議員らが出席し、「富士通が郵便局長らに降りかかった悲劇で果たした役割を認め、必要とされる救済措置の一端を担ってくれることを期待している」などと発言した。 (ロンドン = 藤原学思、asahi = 1-16-24)


アイスランドの火山が再噴火 溶岩が噴出、住宅地に流れ込み火災発生

アイスランド南西部レイキャネス半島にある火山で 14 日、噴火があった。 噴出した溶岩が近くの漁師町グリンダビークの住宅地に流れ込み、建物から火災が発生した。 同半島では昨年 12 月 18 日にも噴火があり、噴火はこの 1 カ月で 2 度目。 同国の気象当局の発表をもとに AP 通信や英 BBC などが伝えた。

AP 通信によると、噴火は 14 日午前 8 時に発生し、地面の亀裂から溶岩が噴出した。 その数時間後にグリンダビーク近郊でも亀裂が生じ、溶岩がグリンダビークに向かって押し寄せたという。 グリンダビークは、首都レイキャビクの南西約 40 キロに位置する。 BBC によると、町の全住民は事前に避難し、人的被害はない。 噴火を受けて地元警察当局は警戒レベルを引き上げ、ヘリコプターを出して状況を監視しているという。 (藤原伸雄、asahi = 1-15-24)

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アイスランドで火山噴火、地面の裂け目から溶岩が噴き出す … 周辺住民 4,000 人は事前避難

【ロンドン = 蒔田一彦】 アイスランド南西部のグリンダビーク付近で 18 日夜、火山が噴火した。 周辺では 10 月後半から、火山活動が活発となっていた。 アイスランド気象庁がウェブサイト上に公開した写真には、地面の裂け目から溶岩が噴き出している様子が写っている。 英 BBC によると、周辺の住民約 4,000 人は事前に避難していた。 アイスランドでは噴火がたびたび起きており、2010 年の噴火の際には噴煙で欧州各国の空港が閉鎖され、大きな影響があった。 (yomiuri = 12-19-23)

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アイスランドで噴火の可能性高まる 専門家「街全体が壊滅するかも」

アイスランドの気象当局が、数日以内に同国南西部で火山が噴火する可能性が高いと警戒を呼びかけている。 10 月下旬から周辺で群発地震が起きており、今月 12 日未明以降だけで約 1 千回の火山性地震が観測されたという。 日本の外務省によると、アイスランドの国家安全保障局は 10 日、南西部にあるレイキャネス半島全域に警戒情報を発出した。

同国では 2010 年にも大規模な噴火があり、火山灰の飛散で欧州の空港の多くが閉鎖。 日本と結ぶ空路も欠航が相次ぎ、人の往来や物流が滞った。 京都大学防災研究所火山活動研究センター長の井口正人教授によると、アイスランドはプレートの境界に位置していて、日本周辺と比べてマグマの噴出量が多い傾向がある。 今回は街のすぐ近くでマグマが上昇して地殻に入り込む「貫入」が発生しているという。

井口教授は「溶岩流が噴出して街に到達すれば、街全体が壊滅するかもしれない。 人的被害が出る可能性もある。」と指摘する。 その上で、井口教授は今回のマグマの貫入が海域に及んでいる点に注目。 マグマと海水が接触することで爆発的な噴火になり、大量の火山灰が出る可能性があるという。 空路に大きな影響を与えた 10 年 4 月の噴火同様、「ヨーロッパの空路がまひ状態に陥るかもしれない」と警鐘を鳴らしている。(三井新、asahi = 11-13-23)


北欧に大寒波、英仏独には嵐 氷点下 40 度観測、交通網まひ

【ロンドン】 欧州が年明け以降、記録的な大寒波や嵐といった異常気象に見舞われている。 スウェーデンやフィンランドなど北欧では氷点下 40 度以下を観測。 鉄道やフェリーが止まり、高速道路が大渋滞して交通網がまひした。 英国やフランス、ドイツなど欧州西部では大雨による洪水が発生した。 スウェーデンのメディアなどによると、同国北部では今月 3 日に気温が氷点下 43.6 度まで下がり、1999 年以降では同年 1 月の氷点下 49 度に次ぐ最低気温を記録。 フィンランド北西部では今月 4 日、この冬で国内最低の氷点下 43.1 度を観測した。 (kyodo = 1-6-24)


人身売買目的か 300 人のインド人乗せた航空機を仏当局が離陸阻止

フランスの捜査当局は 22 日、アラブ首長国連邦 (UAE) から中米ニカラグアに向かう途中で仏北東部の空港に着陸した民間航空機に対し、運航停止を命じたと明らかにした。 インド国籍の乗客約 300 人が人身売買の被害者である疑いがあるという。 仏メディアが同日、伝えた。 仏紙パリジャンによると、停止措置を受けているのは、UAE のドバイからニカラグアの首都マナグアに向かっていた東欧ルーマニアのレジェンド航空機で、21 日に仏北東部マルヌ県のバトリー空港に給油のために着陸した。

航空機の整備点検中に、人身売買の被害者を乗せているとの匿名の通報が捜査当局に寄せられ、航空警察が離陸を阻止したという。 機内にはインド国籍の乗客 303 人が搭乗していた。 22 日夜の時点でも航空機は空港内に停止したままになっており、乗客のインド人はいずれも機内から空港の待合室に移された。

仏紙ルモンドによると、捜査当局は組織的な人身売買の可能性もあるとみて、乗客の身分証とニカラグアへの渡航目的を確認している。 このうち乗客全員のパスポートと多額の現金を持っていた 2 人の乗客の身柄を拘束した。 AFP 通信は捜査関係者の話として、乗客のインド人は米国かカナダに不法入国するために中継地としてニカラグアを目指していたと伝えている。 在仏インド大使館は 22 日夜に X (旧ツイッター)で「乗客の健康状態を確保しつつ、状況を調査している」との声明を発表した。 (パリ = 宋光祐、asahi = 12-23-23)


日 ASEAN 特別首脳会議が開幕 対中念頭に安保連携強化

日本と東南アジア諸国連合 (ASEAN) の友好 50 周年を記念した特別首脳会議が 16 日、東京都内で開幕した。 岸田文雄首相は各国首脳と個別に会談し、マレーシアのアンワル首相との会談では警戒監視用の機材の提供を表明した。 ASEAN では中国の南シナ海進出への警戒感が高まっており、日本は ASEAN との人的交流や経済協力の拡大に加え、安全保障分野の連携強化を狙う。

首脳会議には、クーデターによる軍政下のミャンマーを除く ASEAN 9 カ国と、ASEAN 加盟が内定している東ティモール、日本の計 11 カ国が参加。 岸田首相は歓迎の晩餐会で「日 ASEAN 関係の核心はお互いの信頼だ。 心と心のつながりを、次の世代につなげていきたい。」と述べ、人的交流を強化する「次世代共創パートナーシップ」の立ち上げを表明。 各国で日本語学習を支援するなど互いの架け橋となる人材育成をめざす。 若手のビジネスリーダーなどの双方向の交流も推進するという。

首相は「幅広い中間層が夢をつかめる社会と経済を『共創』するパートナーとして、ともに成長したい」と述べ、気候変動対策などでの連携も強調。 ASEAN の自動車生産・輸出を支援する「日 ASEAN 次世代自動車産業共創イニシアチブ」の創設も表明した。 安全保障も今回の会議の大きなテーマだ。 中国が南シナ海への進出を強めるなか、東シナ海の尖閣諸島をめぐり中国と対立する日本と同じような懸念を共有する国が ASEAN には少なくない。 これまで築き上げた信頼関係をもとに、安保分野の連携を探っている。

岸田首相は晩餐会に先立ち、各国の首脳と相次ぎ会談した。 マレーシアのアンワル首相との会談では、日本による政府安全保障能力強化支援 (OSA) として、救難艇や警戒監視用ドローンなど 4 億円相当を提供すると表明した。 OSA は従来の途上国援助 (ODA) では対象外だった軍への支援を可能にする枠組みで、4 月に導入。 マレーシアへの適用は、フィリピン、バングラデシュに続き 3 例目となる。

インドネシアのジョコ大統領との会談では、ODA を活用し、海上保安能力の向上目的で 90 億円の大型巡視船 1 隻を供与することで合意した。 特別首脳会議は岸田首相と ASEAN 議長国のインドネシアのジョコ大統領が共同議長を務める。 17 日に具体的討議に入り、日 ASEAN 関係の新ビジョンを示す共同声明と、人的交流、経済、安全保障分野の協力項目を示す実施計画を採択する予定だ。

日本は 1973 年に他国に先駆けて ASEAN との対話を始めた。 77 年には当時の福田赳夫首相がフィリピンを訪問し、ASEAN との「心と心の触れあう」相互信頼と、対等なパートナーシップを表明。 その後も「上から目線で押しつけない(外務省関係者)」を外交方針に、ODA などを通じて関係を築いてきた。 (高橋杏璃、asahi = 12-6-23)


紅海で乗っ取られた日本郵船運航の輸送船、イエメンの武装勢力は「イスラエルの船」と声明

【エルサレム = 田尾茂樹】 イスラエル首相府は 19 日、イエメン沖の紅海で、日本企業が運航する船舶がイエメンの反政府武装勢力フーシに乗っ取られたと発表した。 拿捕されたのは、日本郵船が運航していた自動車輸送船だった。 松野官房長官は 20 日午前の記者会見で、日本人の乗組員はいないと明らかにした上で、「このような行為を断固非難する」と強調した。 松野氏は、フーシに船舶と乗組員の解放を求めるとともに、サウジアラビアやオマーン、イランなどに働きかけを行っていると説明した。

日本郵船によると、船名は「ギャラクシー・リーダー」。 バハマ船籍で英国の企業が所有し、日本郵船がチャーターしていた。 船に積み荷はなく、欧州方面からインドへ向かう途中だった。 乗組員は 25 人で、同社は「乗組員の状況を確認している」という。 パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルに攻撃を仕掛けているフーシの報道官は 19 日、「イスラエルの船を拿捕した」との声明を発表した。 AFP 通信はイエメンの海運筋の話として、船が同国西部ホデイダの港に移動させられたと報じた。 フーシは 14 日、紅海でイスラエルの船を標的とする軍事行動を予告していた。

フーシ報道官は、イスラエルがガザ侵攻をやめるまで、イスラエルが関係する全ての船舶を標的とする方針を示した。 ガザでの戦闘は周辺海域に拡大し、国際的な海上輸送にも影響を及ぼすことになった。 イスラエル首相府は、拿捕された船がイスラエル船籍ではなく、乗組員もウクライナ人やフィリピン人、メキシコ人などで、イスラエル人はいないと指摘した。 イランの支援を受けるフーシは、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘開始以降、ミサイルや無人機によるイスラエルへの攻撃を散発的に続けている。 イスラエル首相府は今回の拿捕について、「イランによる新たなテロ行為だ」と非難した。 (yomiuri = 11-20-23)


ネパール北西部で地震、137 人超死亡か 負傷 155 人超 M5.6

米地質調査所 (USGS) によると、ネパール北西部で 3 日深夜、マグニチュード (M) 5.6 の地震があった。 ロイター通信は、4 日昼時点で少なくとも 137 人が死亡したと報じた。 震源は首都カトマンズから北西に約 330 キロ離れたジャージャルコート周辺で、震源の深さは約 18 キロ。 救助作業が続けられているが、負傷者も 155 人以上おり、犠牲者の数は増える可能性が高い。

現地で撮影された写真には、れんがや木造の民家が損壊している様子などが写っている。 就寝中に被害に遭った住民も多いとみられる。 ロイター通信は地元自治体職員の話として、「自宅の倒壊を恐れて、数千人が外に避難して夜を明かした」と報じた。 ダハル首相は 4 日早朝、「地震による人命と財産の損失に深い悲しみを表明する」と首相府の X (旧ツイッター)に投稿。 被害が大きかった地域を訪問し、被害状況の確認や救助の実施を求めた。(ニューデリー = 石原孝、asahi = 11-4-23)


10 月の米就業者数 15 万人増、伸び大幅減 失業率は 3.9% に悪化

米労働省が 3 日発表した 10 月の雇用統計で、景気動向を反映しやすい非農業部門の就業者数(季節調整済み)は前月より 15.0 万人増えた。 事前の市場予想(18.0 万人増)は下回った。 失業率は 3.9% と前月から 0.1 ポイント悪化したが、低水準を維持した。 就業者数の伸びは 9 月(29.7 万人増)から大きく減った。 人手不足を背景に好調が続いてきた米国の雇用情勢に、一定の減速感が出始めている可能性がある。

一方で、労働省は 10 月に全米で少なくとも 4.8 万人がストライキに参加したと公表。 米 CNN は、これは 2004 年 2 月以来の高水準だとしている。 全米自動車労働組合 (UAW) のストの拡大をうけたもので、会社から賃金を受け取らなかったスト参加者が就業者に含められず、統計を押し下げた可能性がある。 雇用統計は、米国の景気や物価高(インフレ)とも密接に関連する。 米連邦準備制度理事会 (FRB) は、次回 12 月会合で追加利上げをするかを話し合う方向で、今回の結果が米国の金融政策にどう影響するかも注目される。 (ワシントン = 榊原謙、asahi = 11-3-23)

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米雇用、好調浮き彫り 議会混乱、金利上昇で不透明感も

【ワシントン】 6 日公表された 9 月の米雇用統計では、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比 33 万 6,000 人増だった。 伸びは市場予想のほぼ 2 倍で、雇用情勢の好調ぶりが改めて浮き彫りとなった。  一方、議会混乱による政府閉鎖の恐れや市場金利の上昇など、経済を取り巻く環境は不透明感を増している。 「偶然ではない。 『バイデノミクス』だ。」 バイデン米大統領は 6 日の演説で、低所得層の底上げと中間層の拡大を目指した経済政策の成果を誇った。

足元では強さばかりが目立つ米景気だが、リスクは多い。 2023 会計年度末の 9 月 30 日、11 月半ばまでのつなぎ予算が成立したが、予算案の議会通過で与党民主党と妥協したマッカーシー下院議長(野党共和党)が解任され、議会の混乱が続いている。 24 年度予算審議の停滞は確実で、バイデン氏は現行のつなぎ予算の期限まで「あと 40 日間しかない」といら立ちをあらわにした。 予算切れによる「政府機関閉鎖のリスクは高い(調査会社)」とみられる。

また、予想より強い米景気や労働市場を反映し、金利が急ピッチで上昇し、今後景気を圧迫する可能性も指摘されている。 6 日の市場では、10年物米国債利回りが一時 4.89% と、16 年ぶりの高水準となった。  過熱気味の労働市場は賃金上昇など根強いインフレ圧力をもたらしており、連邦準備制度理事会 (FRB) が警戒を緩める状況にはない。 前回 9 月の会合では「年内あと 1 回」の追加利上げシナリオが示された。 ただ、FRB 内では最近の金利上昇で「金融環境の引き締まりが続くなら、追加利上げの必要はなくなる(高官)」との見方も浮上。 利上げの是非を巡り、11 月の次回会合で慎重に検討する見通しだ。 (jiji = 10-8-23)

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アメリカの長期国債、史上最悪の大暴落

ブルームバーグによると、2020 年 3 月以降、満期が 10 年以上の国債は 46% 急落した。
これは、ドットコムバブル崩壊時の株式市場の損失をわずかに下回る水準だ。
債券の暴落は、1981 年に 10 年物利回りが 16% 近くになった時よりもひどい。

利回りを急騰させている債券市場の売りは、過去の最も極端な市場のメルトダウンを凌駕し始めている。 ブルームバーグによると、満期が 10 年以上の国債の損失は 2020 年 3 月以降 46% に達し、30 年債は 53% も急落した。 これらの損失は、ドットコムバブル崩壊後に 49%、2008 年の余波で 57% という、最近の歴史上最悪の暴落時に見られた株式市場の損失に匹敵する。 過去の債券市場のメルトダウンと比較しても、長期国債は歴史上最も極端な暴落に見舞われている。 その損失は、10 年物利回りが 16% に迫った 1981 年の 2 倍以上だ。 この暴落は、ポール・ボルカー前連邦準備制度理事会 (FRB) 議長が歴史的なインフレに取り組み、フェデラル・ファンド金利を 20% 弱まで押し上げたときに起きた。 (Filip De Mott、Business Insider = 10-6-23)

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米マッカーシー下院議長の解任動議が可決 史上初の議長解任

アメリカ議会で野党・共和党の議長の解任動議が一部の共和党議員も賛成して可決され、史上初めて議長が解任されました。 アメリカ議会下院は 3 日、野党・共和党のマッカーシー下院議長の解任を求める動議を賛成多数で可決しました。 議長が解任されるのは史上初めてです。 マッカーシー議長は政府機関の閉鎖を避けるため、与党・民主党にも配慮した「つなぎ予算案」をまとめましたが、身内の共和党の保守強硬派、ゲーツ議員が大幅な歳出削減が盛り込まれなかったことに反発し、解任動議を提出。 民主党に加え、共和党の保守強硬派の議員らも賛成に回り、動議は可決されました。 アメリカ議会では与野党の議席が拮抗する中、20 人ほどの共和党の保守強硬派が大きな影響力を持つ構図となっていました。 (TBS = 10-4-23)