習近平氏による中国軍粛正、背景にミサイル欠陥 - 米情報機関が分析

中国の習近平国家主席による徹底的な軍粛清の背景には、腐敗の広がりが習指導部による軍近代化の取り組みを損ない、戦争する能力に疑問が生じたことがあったと、米情報機関の分析が示した。 この分析について詳しい複数の関係者が明らかにした。 これら関係者が匿名を条件に語ったところによれば、人民解放軍ロケット軍内部および国防産業全体の腐敗は非常に広範囲に及んでおり、習主席が向こう数年間に大規模な軍事行動を検討する可能性は、そうした問題がなかった場合と比較すると低いと、米当局者は考えている。

米国の情報は、汚職の影響の例を幾つか挙げている。 燃料ではなく水を詰めたミサイルや、効果的な発射を可能とするようにはふたが機能しない中国西部のミサイル倉庫などだ。 米国は、人民解放軍、特にロケット軍内部の腐敗がその能力全体に対する信頼を失墜させ、習主席が掲げる近代化の最優先課題の一部を後退させたと分析している。 過去 6 カ月間の腐敗捜査では軍高官十数人が対象となり、軍への取り締まりとしては現代中国において史上最大とみられている。 (Peter Martin、Jennifer Jacobs、Bloomberg = 1-6-24)

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中国軍の幹部ら 9 人、代表資格取り消し 前国防相もからむ汚職拡大か

中国の全国人民代表大会(全人代)は 29 日、軍幹部ら 9 人の代表資格を取り消すと発表した。 27 日には軍に深く関わる国営企業の関係者 3 人が公職を罷免されたばかり。 前国防相らの解任劇との関連も疑われ、軍内の汚職摘発は異例の広がりとなる可能性がある。 29 日に全人代の代表資格を取り消されたのは、丁来杭元空軍司令官ら計 9 人。 うち 5 人をロケット軍の関係者が占め、7 月末までに同軍司令官を解任された李玉超氏やその前任の周亜寧氏のほか、同軍副司令官経験者 2 人などが含まれていた。 ほかの 3 人は軍の調達部門である装備発展部の幹部経験者だった。

一方、27 日には国政への助言機関である全国政治協商会議が、軍需・宇宙関連の国営企業出身の委員 3 人を解任。 中国メディアによると、北京市人民代表大会も 11 月にロケット軍少将の代表資格を取り消した。

解任の前国防相との関連は

中国軍では 7 月末にロケット軍のトップ 2 にあたる司令官と政治委員が異例の形で交代。 8 月末から動静が途絶えた前国防相の李尚福氏は 10 月に解任された。 解任理由は今も明らかにされていないが、李氏はロケットの技術畑出身で、国防相就任前に装備発展部長を務めた経歴があり、解任はこのころの調達にからむ汚職に関与していた疑いがもたれているとみられる。

今回の大量解任でも、ロケット軍や調達にからむ人物が対象となっており、関連を指摘する見方が出ている。 香港紙「明報」は 30 日、「今後も捜査対象の軍人がどんどん明らかになるだろう」との関係筋の声を伝えており、関係者の処分はさらに拡大する可能性がある。 ロケット軍はミサイルの運用を担い、陸海空軍と並ぶ重要な戦闘部隊。 2015 年末に創設され、習近平(シーチンピン)国家主席肝いりとされている。 李氏の解任から空席となっていた国防相には 29 日、前海軍司令官の董軍氏が任命された。 (北京 = 畑宗太郎、asahi = 12-30-23)

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中国、李尚福国防相を解任 外相に続く閣僚解任 異例の事態に

中国の全人代 = 全国人民代表大会の常務委員会は 24 日、2 か月近く動静が途絶えていた李尚福国防相の解任を決めました。 ことし 7 月の秦剛前外相の解任に続いて重要閣僚が就任から 1 年もたたずに解任される異例の事態となっています。 国営の中国中央テレビは、全人代 = 全国人民代表大会の常務委員会が 24 日、副首相級の国務委員を兼ねる李尚福国防相の解任を決めたと伝えました。 後任は伝えられていません。

李国防相は、ことし 8 月末以降、動静が 2 か月近くにわたって途絶えていましたが、解任の理由などは明らかにされていません。 欧米や香港の一部メディアは、李氏や複数の軍幹部が汚職で調査を受けている可能性を伝えていて、軍内部で大規模な摘発が行われているのではないかとの臆測も広がっています。 李氏はことし 3 月に国防相に就任したばかりで、ことし 7 月に解任された秦剛前外相に続いて、重要閣僚が就任から 1 年もたたずに解任される異例の事態となっています。

李氏をめぐっては、アメリカ政府が制裁対象にしていることに中国が反発し、米中の正式な国防相会談が行われない事態となっていましたが、今後、米中の国防当局間の意思疎通の再開につながるかも注目されます。 また、全人代常務委員会は、秦前外相について、兼任していた副首相級の国務委員を解任することを決めたほか、▼ 財政相を劉昆氏から藍仏安氏に、▼ 科学技術相を王志剛氏から陰和俊氏にそれぞれ交代させることもあわせて決めたとしています。

李尚福氏 とは : 李尚福氏は、65 歳。 中国軍に入隊後、有人宇宙飛行プロジェクトの総指揮を担当するなど、いわゆる技術畑の経験が長く、2017 年に兵器など装備品の調達を担当する「装備発展部」のトップに就任しました。 2022 年 10 月、中国軍を統括する「中央軍事委員会」の委員に昇格したあと、ことし3 月には国防相に就任するとともに、副首相級の国務委員にも選ばれ、習近平国家主席の信頼が厚いとみられていました。

李氏をめぐっては、「装備発展部」のトップだった 2018 年に、ロシアから地対空ミサイルシステムなどの兵器を購入したとして、アメリカから制裁を科されています。 中国側はこれに反発して、アメリカの国防長官との会談を拒否し、李氏が国防相に就任して以降、米中の間で正式な国防相会談が行われない事態となっていました。 李氏の動静が途絶えてから、2 か月近くとなりますが、このあいだ、中国政府は一切、理由などに触れておらず、中国国防省の報道官は 9 月の会見で記者からの質問に対し、「状況を把握していない」などと答え、言及を避けていました。 (NHK = 10-24-23)

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中国の国防相 2 週間以上姿消す 外相に続き異常事態 「捜査」報道も

中国の李尚福国務委員兼国防相 (65) の消息が 2 週間以上途絶えている。 中国軍では 7 月に汚職にからむとみられる幹部の交代があり、李氏も捜査を受けていると英紙が報じた。 消息が途絶えた秦剛(チンカン)外相が 7 月末に解任されたばかりで、国外から注目される要人の姿が「消える」異常事態が続いている。 3 月に国防相に就任した李氏は、8 月 29 日に北京で開かれた中国アフリカ平和フォーラムで演説したと国防省が発表して以降、消息が伝えられていない。

李氏の消息をめぐって英紙フィナンシャル・タイムズ (FT) は 14 日、米政府が「李氏が捜査を受け、解職された」と判断していると報じた。 複数の米政府関係筋の証言としつつ、判断の根拠は不明としている。 ロイター通信は 14 日、9 月 7、8 日に予定されていたベトナム国防当局者との会議が、李氏の「健康上の理由」で延期されていたと報じた。 数日前になって中国側が伝達したという。 外相の秦氏の消息が途絶えた当初も、国際会議を欠席する理由として中国外務省が「健康上の理由」を挙げたあと、その後は一切説明を拒んだ経緯がある。 こうした報道について、中国外務省の毛寧副報道局長は 15 日、「状況を把握していない」と述べた。 (asahi = 9-16-23)


中国経済、GDP で米逆転へ、50 年・75 年も世界一 中間層人口・技術特許・生産性で伸びしろ

中国経済の行方が注目されている。 中国国家発展・改革委員会によると、今年第 1 - 3 四半期(1 - 9 月)に国内総生産 (GDP) が前年同期比で 5.2% 増となり、世界の主要国の中でトップクラスの上昇幅となった。物価水準は安定し、1−10月の消費者物価指数 (CPI) は同 0.4% の上昇にとどまり、欧米諸国の高インフレ傾向と対照的だった。 雇用情勢も全体として改善し、10 月の全国都市部調査失業率は 5% で、高水準だった 2 月より 0.6 ポイント低下。 国際収支も基本的にバランスを保った。

生産・供給が緩やかに回復

農業も好調で、2023 年通年では穀物が再び豊作になる見込みだ。 工業生産も加速 1 - 10 月には一定規模以上の工業企業(年売上高 2,000 万元以上の企業)の付加価値額が同 4.1% 成長した。 サービス業の伸びが好調で、サービス業生産指数は同 7.9% 上昇し、1 - 9 月の経済成長に対するサービス業の寄与度は 63% に達した。 1 - 10 月の小売総額は同 6.9% 増加し、1 - 9 月の経済成長に対する最終消費支出の寄与度は 83.2% に達した。 1 - 10 月の製造業への投資は同 6.2% 増加し、このうちハイテク製造業への投資は同 11.3% 増加した。

太陽光電池、電気自動車が原動力に

さらに新たな原動力の成長が加速し、1 - 10 月の太陽光電池と電気自動車 (EV) の生産量はそれぞれ同 63.7% 増、同 26.7% 増となった。 製造企業の利益が持続的に回復し、第 3 四半期(7 - 9 月)には、一定規模以上の製造企業の利益が 5 四半期続いた前年同期比減少から増加に転換した。

IMF 予測、23 年、24 年ともに上方修正

こうした中、国際通貨基金 (IMF) は中国の GDP 成長率予測を引き上げた。 2023 年は従来予測の 5.0% から 5.4% に引き上げ、2024 年は 4.2% から 4.6% に引き上げた。 経済協力開発機構 (OECD) も最近、23 年の中国 GDP 成長率予測を 5.1% から 5.2% に引き上げた。

柴田金融庁研究参事、不動産「システミックリスクは発生せず」

地域経済活性化支援機構常務取締役で、金融庁研究参事の柴田聡氏は日本記者クラブで中国の不動産市場や中国経済の現状と今後の見通しについて講演、「先入観にとらわれない状況認識が大事だ」と強調した。 中国は不動産不況と地方債務拡大という難題に直面しているものの、政府が適切な政策対応を続ければ中長期的には切り抜けられると予測した。

日本では中国の「不動産バブル崩壊」が取り沙汰されるが、柴田氏は「日本のバブル崩壊をイメージすると違うのではないか」と指摘。 東京を含めた全国で地価が急落した日本と違い、北京や上海では大きな問題にはなっていないという。 中国恒大集団など不動産大手の経営危機が喧伝され各地で契約済みの住宅の工事中断が相次いだものの、購入者に確実に住宅を引き渡す「保交楼」の取り組みが進み、事態は「かなり落ち着いた」と分析した。

柴田氏は中国の不動産問題について、2008 年のリーマン・ショック後から続く長期的な問題だと解説。 返済期限の延長や大手国有銀行へのリスク移転により時間を稼いで解決するのが中国政府の戦略だと指摘した。 柴田氏は中国政府の政策対応能力の高さを評価、「経済のシステミックリスクは発生していない」と述べた。

2015 年に上海株急落や人民元切り下げによる「中国ショック」が金融市場で起きたが、柴田氏は「今、中国のマクロ経済はそこまで追い込まれていない」と断言。 「中国は過去 10 年以上にわたって地方債務問題による大規模な経済的混乱を回避してきており、その債務管理能力や政策対応能力は相当高い」とし、「地方債務問題のリスクは経済基盤の脆弱な地域に集中しており、全体としては、地方政府の目先のキャッシュフローを確保し時間を稼ぐことで、当面の経済的な混乱を回避することは可能だ」と分析した。 その上で、最大の貿易投資対象である中国市場で引き続き利益を得るためにも、日本は中国との対話のチャンネルを維持するべきだと訴えた。

7 月上旬には日本国際貿易促進協会の訪中団、7 月中旬には日中投資促進機構の代表らが訪中し、いずれも王文濤商務部長が会見するなど歓待を受けた。 キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は、夏場以降、多くの日本企業で社長、役員、あるいは経営企画、法務など内部管理部門の責任者に至るまで中国出張を再開。 政府高官とのアポも入りやすくなっているという。 中国政府の日本企業誘致姿勢は過去に例がないほど強まっている。

潜在成長率が高く世界の技術特許数でもトップ

瀬口氏によると、中国の実質 GDP (国内総生産)成長率は今後 10 年程度にわたり 4% 台から 3% 台へと緩やかな下降局面が続く見通し。 この成長率は 2010 年代の 8 - 6% に比べれば低いが、日米欧の先進国の成長率と比較すれば 2 - 3 倍高い水準だ。 このため、世界の一流企業の多くは「今後 10 年程度の間は中国に代わる魅力的な市場はほかに見当たらない」と見ているという。

中国市場に巨額の資本を投下し、継続的に利益も出ている世界の一流企業の対中投資姿勢は基本的に変わらず、中国 EU 商会によれば、2022 年のドイツの対中直接投資は BMW、メルセデス・ベンツ、フォルクス・ワーゲン、BASF のトップ 4 社で投資額全体の約 8 割を占めている。 同氏は、日本企業の中国投資に関するネガティブなニュースが流布されるため、表面的には中国ビジネスの魅力が低下するように見えるが、高い競争力や技術力を備える企業は世界の大手・中堅・中小企業を問わず投資拡大が続くと指摘。 日本からの対中直接投資額全体は増勢を維持する可能性が高いと喝破している。

その上で、「中国市場に足を運び、自分の目で市場ニーズを見て、自ら戦略を考え、それを実行に移すための方法を考えてチャレンジする経営者の企業は中国でも大きく発展する。 中国政府による強力な支援を得やすい今こそ、そうした経営者が中国市場を開拓する大きなチャンスが到来している」と呼びかけた。 国際ロボット連盟 (IFR) によると、2022 年に世界で導入された産業用ロボットの半数を中国が占めた。 労働者 1 人当たりのロボット台数でみると、自動化率は今やトップクラス。 人口が今後緩やかに減少するため、中国はロボット超大国になることによって課題をカバーすることを目指している。

中国が新規導入したロボットの多くはプログラミングによって生産ラインでの部品の溶接や穴あけ、組み立てのできる機械式アームだが、農業や介護分野など産業のオートメーション化以外の用途で人間の作業を手伝う「サービスロボット」も開発しており、22 年の生産台数は 600 万台を超える。 米金融大手ゴールドマン・サックスの予測によれば、名目 GDP は 2022 年に米国、中国、日本、ドイツの順だったのが、将来米中が逆転、50 年には中国が米国を抜いて 11位となり、米国、インド、インドネシアの順に。 2075 年には中国のトップは変わらず、2 位がインド、米国は 3 位に転落するとされている。

経済成長の要素は、人口、技術革新、生産性の 3 点。 中国は潜在成長率が高く、世界の技術特許数でもトップを占める。 人口は鈍化するものの米国の 4 倍以上あり、経済生産活動に寄与する中間層は毎年増大。 都市と地方の格差も縮小傾向にある。 ある米シンクタンク首脳は「GDP の製造業で米国を凌駕しており、中国は伸びしろが大きい」と見通している。 (時事/Record China = 12-28-23)

■筆者プロフィール : 八牧浩行

1971 年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役、編集局長等を歴任。 この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。 英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。 著著に「中国危機 - 巨大化するチャイナリスクに備えよ」など。  ジャーナリストとして、取材・執筆・講演等も行っている。


バンガードが上海オフィス閉鎖へ、中国から完全撤退に向け最後の一歩

米資産運用会社バンガード・グループは中国のオフィスを閉鎖し、同国から完全に撤退する。 中国の投資信託市場の規模は 29 兆元(約 600 兆円)。 事情に詳しい関係者によると、バンガードは上海に残るスタッフ約 10 人と退職条件で合意した。 チームの大半は来年の早い時期までに退社し、オフィスは閉鎖される。 関係者は決定は部外秘だとして匿名を条件に話した。

バンガードは先月、馬雲(ジャック・マー)氏が支援する中国フィンテック企業アント・グループとのロボアドバイザー合弁事業の持ち分 49% を売却している。 同社はブルームバーグに宛てた電子メールで、「バンガードはその後、上海オフィスを閉鎖し、中国での動向を注視していく」と説明。 「将来、他のビジネスチャンスを排除することはない」と付け加えた。 (Bloomberg = 11-2-23)


李克強前首相の死去、台湾大手メディアが一斉に速報 惜しむ声相次ぐ

中国の李克強前首相の訃報を受け、台湾では大手メディアが一斉に速報を流すなど高い関心が集まった。 首相退任後わずか 7 カ月後の急逝に驚きの声が上がる一方、「(習近平国家主席の)強大な政治の下では、(自らの目指す)経済改革を成し遂げることはできなかった」と志半ばで世を去った李氏の死を惜しむ見方が目立った。

「難題を解決する達人の人生は、思いがけず幕を下ろした。」

台湾紙「聯合報(電子版)」は医療、税制改革などに取り組んだ李氏の足跡を紹介し、中国の SNS で死を悼む投稿が次々に書き込まれている様子を伝えた。 また多くのメディアは李氏が首相として最後となった 2022 年 3 月の全国人民代表大会(全人代 = 国会)の記者会見で「両岸(中台)同胞は一つの家族で、どんな時も手足のように切り離せない」と訴えた発言を報じた。 台湾政府で中国政策を主管する大陸委員会は 27 日、「ご遺族にお悔やみを申し上げる。 引き続き大陸の情勢に注目していく。」との談話を発表した。 (台北・林哲平、mainichi = 10-28-23)

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中国で李克強前首相死去のニュースが一部遮断 NHK 海外放送で

【北京 = 三塚聖平】 中国で 27 日、NHK 海外放送のニュース番組が李克強前首相が死去したことを伝えた際、放送の一部が遮断され、カラーバーと「信号異常」を示す画面に切り替わった。 中国当局が制限を加えたとみられる。 李氏の存在感が低下し、その後に首相を退任したという経緯に関する部分が遮断されたもようだ。 中国では政治指導者の死を機に政権批判が盛り上がることもあり、当局が警戒を強めている可能性がある。

中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)では「李克強同志逝去」が検索ワードでトップとなり、「私たちが敬愛する首相、安らかに」、「お疲れさまでした」といった投稿が相次いだ。 急な死に「信じられない」、「あまりに突然すぎる」といった驚きの投稿も目立った。 (sankei = 10-27-23)


EV 用リチウムイオン電池材料の黒鉛、世界生産 8 割超の中国が輸出規制を強化

【北京 = 山下福太郎】 中国政府は 20 日、電気自動車 (EV) 用のリチウムイオン電池の材料となる黒鉛(グラファイト)について、12 月から輸出規制を強化すると発表した。 輸出管理法に基づき、「国家の安全と利益を守る(商務省)」としているが、ハイテク製品の貿易で対立する日米をけん制する狙いとみられる。 純度や強度、密度が高いといった要件を満たす黒鉛や関連製品が対象で、企業が中国から輸出するには商務省の許可が必要になる。 商務省は「特定の国・地域を対象としたものではない」としている。

黒鉛は、EV の普及に伴い、世界で需要が拡大している。 エネルギー・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) によると、世界生産の 8 割超を中国が占めており、日本も約 9 割を中国からの輸入に頼っている。 日本企業も影響を受ける可能性があり、経済産業省は国内の在庫状況や調達先の切り替えが可能かどうかなどを調べる。 ただ、米国が今月 17 日、中国への先端半導体の輸出規制を厳格化すると表明したことに中国側は強く反発しており、対抗措置の可能性がある。 (yomiuri = 10-20-23)


中国新築住宅価格、9 月は 3 カ月連続で下落

[北京] 中国国家統計局が 19 日発表したデータによると、9 月の新築住宅価格は 3 カ月連続で下落した。 9 月は通常住宅購入が堅調な月だが、当局の支援策にもかかわらず全国的に住宅需要は低迷している。 統計局のデータを基にロイターが算出した新築住宅価格は前月比 0.2% 下落した。 8 月も 0.3% 下落していた。 前年比では 0.1% 下落し、下落率は 8 月と同水準だった。

中国当局はここ数週間、不動産市場を支援するために借り入れ規制の緩和や一部都市での住宅購入抑制解除などを進めている。 これを受けて一部大都市では住宅需要が回復しているが、小規模都市では引き続き供給過剰の状態にあり、不動産セクターは全国的に低迷している。 (Reuters = 10-19-23)


中国 GDP 4.9% 増 7 - 9 月実質、不動産落ち込み拡大

【北京 = 川手伊織】 中国国家統計局が 18 日発表した 2023 年 7 - 9 月の国内総生産 (GDP) は、物価の変動を調整した実質で前年同期比 4.9% 増えた。 昨春に上海がロックダウン(都市封鎖)した反動が出た 4 - 6 月の 6.3% 増からは伸びが鈍った。 生産に持ち直しの兆しが見える一方、不動産市場の落ち込みは拡大した。 7 - 9 月の前年同期比増加率は、日本経済新聞社と日経 QUICK ニュースが調べた市場予想の平均 (4.4%) を上回った。

季節要因をならした前期比の増加率は 1.3% と、4 - 6 月 (0.5%) から拡大した。 先進国のように前期比の伸び率を年率換算した成長率は 5.3% 程度となる。 生活実感に近い名目 GDP は前年同期から 3.5% 伸びた。 4 - 6 月の増加率は 4.8% だった。

18 日は GDP と同時に他の統計も公表した。 1 - 9 月の工業生産は 4.0% 増えた。 1 - 6 月(3.8% 増)に比べて伸びが加速した。 在庫調整が進んだ分、工場の稼働率が高まった。 9 月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) をみると、自動車や電気機械で新規受注が増え生産が堅調だった。 百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した 1 - 9 月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同期比 6.8% 増加した。 上海封鎖の影響がなくなったことも重なり、1 - 6 月(8.2% 増)から伸びは縮まった。

工場の建設などを示す 1 - 9 月の固定資産投資は前年同期より 3.1% 多かった。 1 - 6 月の 3.8% 増から鈍化した。 収益改善が遅れ先行き不安が強い民間企業の投資が 0.6% 減少した。 不動産市場の低迷は長期化している。 1 - 9 月の開発投資は 9.1% 減った。 減少率は 1 - 6 月の 7.9% から一段と大きくなった。 新築住宅の販売面積も 6.3% 落ち込み、マイナス幅が広がった。 在庫の消化に時間がかかり、新たなマンション開発が増えるまでには時間がかかりそうだ。

海外との貿易では輸出の落ち込みが目立っている。 7 - 9 月はドルベースで前年同期を 10% 下回った。 内需不振で輸入も減少したが、輸出の落ち込みが大きく、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は 13% 減った。 3 期ぶりのマイナスとなった。 1 - 9 月の実質 GDP は 5.2% 増えた。 政府が「5% 前後」と掲げた 23 年通年の成長目標を上回った。 ただ民間企業の収益や雇用の改善が遅れ、先行き不安は根強い。 国際通貨基金 (IMF) は 10 日に公表した経済見通しで、中国の 24 年の成長率を 4.2% と予測した。 前回 7 月の見通しから 0.3 ポイント引き下げた。 中国経済への慎重な見方は多い。 (nikkei = 10-18-23)

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中国の実質 GDP、4 - 6 月期は 6.3% 増 ロックダウンの反動で

中国国家統計局が 17 日に発表した 4 - 6 月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除く実質成長率が前年同期比で 6.3% だった。 1 年前の上海のロックダウン(都市封鎖)からの反動が大きいため高めの数字となったが、足元では回復ペースの減速が明らかだ。 厳しい移動制限や隔離を伴うゼロコロナ政策が終わり、中国経済は順調に回復するとみられてきた。 だが、1 - 3 月期からの伸び率は 0.8% にとどまった。 1 - 3 月期は 2022 年 10 - 12 月期と比べて 2.2% 増だったため、伸び率は鈍化している。

約 3 年続いた厳しい制限などで業績が悪化した企業は人員や給与の削減を進め、若者は就職難に直面している。 6 月の 16 - 24 歳の失業率は 21.3%。 統計がある 2018 年以降の過去最高を 3 カ月連続で更新した。 消費者は雇用の不安定さや先行きへの不安から、財布のひもを締めている。 中国人民銀行(中央銀行)による国内 50 都市の 2 万人に聞いた 4 - 6 月期のアンケートによると、「さらに貯蓄する」と答えた人は 6 割近くに上った。コロナ禍前は 4 割台だった。

不動産不況で値上がり期待が薄れて購入者が減り、開発も減っている。 不動産開発投資額は 1 - 6 月期、前年同期比で 7.9% 減となった。 頼みの輸出は外需不足で不調だ。 税関総署が発表した 6 月の貿易統計によると、米国、欧州連合 (EU) 、東南アジア諸国連合 (ASEAN) の主要地域への輸出額は、前年同月比でいずれも減少した。  特に米中対立の影響もあってか、米国向けの減少は 11 カ月連続だ。 1 - 6 月の輸出額は前年同期比 3.2% 減で、物流や供給網が混乱したロックダウン時を下回っている。

中国政府は今年の経済成長率目標として 5% 前後を掲げている。 1 - 6 月期でみると、前年同期比 5.5% 増だった。 今のところ、政府目標の達成は可能だとみられているが、市場では中国経済の回復は思ったほど進んでいないとして、成長率予想を引き下げる動きが広がる。 野村国際(香港)は 6 月、従来の 5.5% から 5.1% へ、S & P グローバルも 5.5% から 5.2% へとそれぞれ引き下げた。 「1 - 3 月期の予想以上の成長で予測を引き上げたが、最近の数字の弱さを受けて見直した」とする。

習近平(シーチンピン)政権は中国経済への懐疑論に神経質になっている。 共産党機関紙の人民日報傘下の経済メディア「証券時報」は 7 日、米金融大手ゴールドマン・サックスが最近、中国の銀行部門への投資判断を引き下げたことを取り上げ、「悲観的な仮説に基づいて弱気な見解を出すのは好ましくなく、相当なレベルで読み誤っている」などと反論した。 (北京 = 西山明宏、asahi = 7-17-23)


中国人民銀行が預金準備率引き下げ、半年ぶり 景気悪化歯止めねらう

中国の中央銀行、中国人民銀行は 14 日、銀行が人民銀行に預ける必要のある預金の比率「預金準備率」を 15 日から 0.25% 引き下げると発表した。 経済の減速が続く中、企業への貸し出しに回すお金を増やすことで景気の悪化に歯止めをかけるねらいがある。 準備率の引き下げは今年 3 月以来となる。 中国経済の減速が続く中で年 2 回程度の引き下げが繰り返されており、今回の引き下げで大型金融機関の準備率は 10.5& まで下がる。 近年で最も準備率が高かった 2011 年と比べると、ほぼ半分の水準だ。 (北京 = 斎藤徳彦、asahi = 9-14-23)

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中国にさらなる景気対策求める声高まる、習氏は厳しい選択に直面か

中国の習近平国家主席は世界 2 位の自国経済の回復に向けた大規模な景気刺激策に踏み切るのを躊躇しているが、中国人民銀行(中央銀行)の予想外の利下げに対する市場の厳しい反応からは投資家がもっと大胆な措置を習氏に求めていることがうかがえる。 人民銀は 15 日、中期貸出制度 (MLF) の 1 年物金利を 0.15 ポイント引き下げ 2.5% に設定。 引き下げ幅は 20 年以来の大きさとなった。 同日発表された 7 月の統計で、個人消費の伸び悩みと投資低迷、失業率上昇が示された。

経済状況はさらに悪化しているようだ。 新規融資は 7 月に 14 年ぶりの低水準に落ち込み、デフレが定着しつつあり、輸出は減少している。 中国有数の不動産開発業者がデフォルト(債務不履行)の危機にあり、運用資産 1 兆元(約 20 兆円)の金融コングロマリット傘下の信託会社が一部投資商品の支払いを滞らせ、波及リスクを巡る懸念に拍車がかかった。 期待外れな経済指標を受け、一部の銀行は中国の成長予想を下方修正。 JP モルガン・チェースのチームは、中国の今年の国内総生産 (GDP) 成長率予想を 4.8% に引き下げ、バークレイズは 4.5% に引き下げた。 いずれも中国政府の成長率目標の 5% 前後を下回っている。

その結果、習氏はこれまで避けようとしてきた 2 つの分野でさらなる措置を講じる必要に迫られている。 多額の債務を抱える不動産セクターの救済と、支出拡大に向け消費者により多くの現金を供給することだ。 人民銀貨幣政策委員会の蔡ム委員は 14 日、家計の消費拡大が喫緊の課題だとして、早急な対策を呼びかけている。 一段と広範に信用を回復できなければ、経済的な打撃につながり、共産党指導部にとって痛手となりかねない。 中国では昨年、一連の住宅ローン返済ボイコットや、習氏のゼロコロナ政策に反発した住民による異例の抗議活動が相次いだ。

中国当局は引き続き経済を巡るシナリオに敏感で、アナリストにデフレについて論じないよう指示し、主要データへのアクセスを制限している。 中国は 15 日、上昇しつつある若者の失業率について調査方法を見直すとし、その間は公表を停止すると発表。 透明性に関する懸念が高まった。 シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のシニアフェロー、ドリュー・トンプソン氏は「景気が悪化すれば、混乱のリスクが劇的に高まる。 共産党は守りを固めるべきだ。」と述べた。 同氏は米国防総省の元職員で、中国でのビジネス経験もある。

中国が直面している苦境は、世界にとっても悪いニュースだ。 イエレン米財務長官は 14 日、中国の経済的苦境について、米国にとって「リスク要因」との認識を示した。 また、主要商品の輸入減はオーストラリアやブラジルなど生産国を脅かし、電子機器の需要減は韓国や台湾などの輸出依存型経済の国・地域に打撃を与える。 今回の人民銀の行動に勇気づけられたエコノミストもいれば、そうでないエコノミストもいる。 だが、当局が金融と財政の両面でやるべきことはまだあるという点では一致しているようだ。

オックスフォード・エコノミクスのリードエコノミスト、ルイーズ・ルー氏は「この日の人民銀の利下げで、流動性状況の緩和に向けたお膳立てが整った。 いずれ、より大規模な財政措置につながる可能性があり、勇気づけられる。」と語った。 オーストラリア・ニュージーランド銀行 (ANZ) のエコノミストは、人民銀は MLF の 1 年物金利を 1.2% まで引き下げる必要があるかもしれないと予想。 同ターミナルレートはあと 1.3 ポイントの利下げを示唆する。 同行のエコノミストらは、利下げによって産業の高度化や都市化の進展、デレバレッジの拡大といった「構造改革のための時間を稼ぎ、ショックを和らげる」ことができると分析。 「中国の景気減速は、循環的というよりも構造的なものだ」との見方を示した。 (Jill Elaine Disis、Bloomberg = 8-16-23)


中国人民銀、大手銀にドル買いの間隔調整を要請 = 関係筋

[上海] 中国人民銀行(中央銀行)は一部の国内大手銀行に対し、顧客との外貨取引で生じたドル売りポジションをすぐに反対売買で解消することを控えるよう窓口指導した。 特定の水準に到達するまでスポット市場で持ち高を維持するよう求めており、人民元の下落圧力を和らげる狙いがある。 大半の銀行はスポットのドル・人民元取引であらかじめ決められた範囲内でポジションを売り越しか買い越しにすることが認められている。 窓口指導を受けて、企業からの大量のドル買い需要に応じてポジションをドル売りに傾けた銀行は、反対売買せずにしばらく持ち高を維持することになる。

関係筋によると、人民銀は複数の商業銀行と今週会合を開いた際に窓口指導を行った。人民銀はまた、銀行に対し、5,000 万ドル以上のドル購入を企業が求めている場合は人民銀から許可を取得する必要があると説明したという。 元の対ドル相場は年初から 5% 超下落し、14 日は 1 ドル = 7.2735 元で推移。 アジア通貨で下落率上位に入っている。 (Reuters = 9-14-23)

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人民元、15 年 9 カ月ぶり安 中国経済の先行き不透明で

【上海】 7 日の中国・上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで下落し、通常取引の終値(日本時間午後 5 時半現在)が、前日比 0.27% 安の 1 ドル = 7.3279 元となった。 2007 年 12 月以来、約 15 年 9 カ月ぶりの安値をつけた。 中国税関総署が 7 日発表した貿易統計で、8 月の輸出入はともに前年同月比で減少。 市場関係者によると、中国経済の先行き不透明感が強まる中で、外需の弱さが鮮明となり、元を売る動きが加速した。 中国人民銀行(中央銀行)は 7 日朝、人民元取引の対ドル相場の基準値を 1 ドル = 7.1986 元と前日の基準値よりやや元安に設定していた。 (kyodo = 9-7-23)

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中国主要国有銀、国内市場でドル売りのもよう = 関係筋

[上海/北京] 中国の主要国有銀行はオフショア市場で人民元の流動性を吸収し、本土市場で積極的にドル売りを行っているもようだと、事情に詳しい関係者 4 人が明らかにした。 このうち 1 人によると、国有銀行は元の下落ペースをコントロールするために行動を取った。 国有銀行は、中国人民銀行(中央銀行)に代わって行動することが多いが、自ら取引したり、顧客の注文を執行することもある。

オフショア元の流動性を引き締めたことで元ショートコストが上昇したという。 アジア時間序盤にオフショア元は 1 ドル = 7.3278 元と、8 月 21 日以来の安値を付けた。 0257GMT (日本時間午前 11 時 57 分)現在は 7.3160 元となっている。 オンショア元は昨年 11 月 1 日以来の安値となる 7.3248 元まで軟化し、世界金融危機以来の水準となった昨年の安値 7.3280 元に迫った。 0257GMT 現在では 7.3146 元。 (Reuters = 9-6-23)


中国経済、深まるデフレ懸念 7 月物価 0.3% 下落
 2 年 5 カ月ぶり 車やスマホ、耐久財の販売不振

【北京 = 川手伊織】 中国国家統計局が 9 日発表した 7 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 0.3% 下落と、2 年 5 カ月ぶりに低下した。 景気低迷に伴う将来不安から、自動車など耐久財の販売がさえない。 消費者の間でデフレ心理が広がる可能性もある。 主な耐久財では、自動車やバイクが 4.4%、スマートフォンなど通信機器が 2.6% それぞれ下がった。 マンションの販売不振を受け、売り上げが伸びない家具や家電も 1.8% 下落した。 ガソリンなど交通燃料は前年同月を 13.2% 下回った。 食品は中国人の食卓に欠かせない豚肉が前年の反動で 3 割近く下がったことで 1.7% 低下し、2022 年 3 月以来のマイナスに転じた。

耐久財などが値下がりするなか、価格上昇が目立った数少ない分野が旅行など娯楽関連だ。 飛行機代やホテルの宿泊料金が 1 割超高くなり、映画などのチケット代も 5.9% 上昇。 「ゼロコロナ」政策が終わってから初めての夏休みを迎え、レジャーを楽しむ人が増えて物価を押し上げた。 主要国の中央銀行が物価の趨勢を判断する際に重視する「食品とエネルギーを除くコア指数」の上昇率は 0.8% だった。 6 月と比べて 0.4 ポイント拡大したが、22 年 4 月から 1% 以下の低空飛行が続く。 中国経済は春以降、回復力が陰っている。 国家統計局がまとめた 7 月の製造業購買担当者景気指数 (PMI) では、調査対象となった企業の 6 割超が「需要不足に直面している」と答えた。 企業収益の改善が遅れ、雇用も振るわない。

中国国外の需要不足による輸出の停滞も景気の足を引っ張る。 中国税関総署によると、7 月のドル建て輸出額は前年同月比 14.5% 減り、減少率は新型コロナウイルスが初めて中国経済に打撃を与えた 20 年 2 月 (40.6%) 以来の大きさとなった。 政府も需要不足に危機感を抱くが、家計への直接給付といった財政支援には距離を置く。 みずほリサーチ & テクノロジーズの月岡直樹・主任エコノミストは「5% 前後という 23 年の成長目標を達成するうえで、大型の景気対策は不要と判断した可能性がある」とみる。

それでも、消費者心理は冷え込む一方だ。 3 年に及んだコロナ禍の記憶が鮮明な家計は節約志向を強めた。 中国人民銀行(中央銀行)が 4 - 6 月に実施した預金者向けアンケート調査では「より多くのお金を貯蓄に振り向ける」との回答が 6 割弱で高止まりする。 同調査で「今後 3 カ月は物価が上がる」と答えた割合は 23.1% だった。 確認できる 10 年 4 - 6 月以降で最低となった。 セールなど値下がりを待ってお金を使う動きが広がる可能性がある。

中国の専門家もデフレリスクを警戒する。 政府系シンクタンク、国家金融発展実験室の殷剣峰副主任は「中国はデフレ状態にある」と断じる。 CPI 統計は実態よりも伸びが高く出やすいという傾向がある。 このため、コア CPI が 1% 以下の上昇にとどまる現状は事実上のデフレという判断だ。 米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は 2 日、米外交誌フォーリン・アフェアーズに「中国経済の奇跡の終わり」と題する記事を寄稿した。 国家が経済への介入を強めた結果「民間がリスク回避志向を強め、予防的な貯蓄を増やした」と分析。 民間による消費や投資の抑制が当面の経済成長の足を引っ張ると予測した。

中国の個人消費は国内総生産 (GDP) の 4 割を占める。 高い経済成長率を保っていた 10 年代は先行きへの楽観的な見方が強く、値段が高くても新製品を競うように買う旺盛な消費を生んだ。 それが物価を上昇させ、景気がさらに拡大する好循環へとつながった。 足元の動きはかつてとは逆の方向へと向かう。 雇用など将来不安を強めた消費者の節約志向が「常態化」すると、デフレ心理が染みつき、持続的な消費回復の足かせになる恐れがある。 (nikkei = 8-10-23)


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