競え! 行政の DX 化 区市町村の好事例、東京都が表彰 町田など大賞

東京都が区市町村での優れた DX (デジタル化)の取り組みを表彰し、さらなる推進を図るイベント「Tokyo 区市町村 DXaward 2023」が 17 日、開かれた。 「行政サービス部門」では、教材費の公金化と DX を掛け合わせ、保護者と教員の手間を減らす町田市の取り組みが大賞を受賞。 「業務改善部門」では、IT 推進課が各部署の DX 推進のためのコンサルタント業務をする板橋区の取り組みが、大賞に輝いた。

都が都内全 62 自治体から、昨年度に実施した DX 化の事業を募った。 22 自治体から 34 件の応募があり、この日は一次審査を突破した 17 の取り組みについて、担当者がプレゼンテーションした。 IT 大手ヤフーの元社長で、行政の DX 化を支援する都の外郭団体「GovTech 東京」理事長を務める宮坂学副知事や、都内区市町村の副首長などが審査員を務め、得票数で競った。

ほかに、高齢者向けにスマホ操作の習慣化を目指す墨田区の取り組みと、業務のデジタル化を若手チームがサポートする立川市の取り組みが優秀賞を受賞。 転居などの届け出内容を、職員が窓口で聞き取りながらシステム入力する青梅市の「書かない窓口」が、他自治体でも導入しやすいとして DX スプリント賞を受賞した。 宮坂副知事は「どれも素晴らしかった。 今回のプレゼンでまかれた DX 化の種が風に乗り、62 区市町村に飛んでいって花を咲かせることが、本当の『成功』になる」と講評した。 (松田果穂、asahi = 11-18-23)


「恒心教」掲示板にハッキング手口 脅迫メール被害、奈良県警にも

「恒心(こうしん)教」と称する人たちが拠点とする匿名の掲示板に、企業や組織から流出したとみられる個人情報が大量に掲載されており、企業や組織側への取材で少なくとも計 113 万件が確認された。 情報は企業のサイトがハッキングされるなどして流出したとみられる。 「恒心教」関連の掲示板には個人情報のほか、企業や組織のサーバーをハッキングし、サイバー攻撃の踏み台にする手口に関する情報も多数投稿されていた。 これらが悪用され、昨夏、奈良県警に大量の脅迫メールが送り付けられていたことが分かった。

奈良県警の捜査関係者によると、昨年 8 月 29 日夜から翌日未明にかけ、電話での通報が困難な人向けの「メール 110 番」の公開されたアドレスに、「9 月 2 日に県警本部を爆破する」などと書かれた脅迫メールが送り付けられた。 メールは約 4 万通に及んだ。 県警がメールの発信元を調べたところ、ある風俗店のサーバーだった。 事件の数時間前、「恒心教」の掲示板にこのサーバーを乗っ取る手口が投稿されていたことが判明した。 サーバーの解析などから、この情報をもとにサイバー攻撃が行われたと県警はみている。

奈良県警に脅迫メールが送りつけられた同じ日、兵庫県明石市の泉房穂市長(当時)を脅迫する内容のメールが、このサーバーから送信された痕跡も見つかった。 今年 3 月、兵庫県警は泉氏の事件で、横浜市の無職の 20 代男を不正アクセス禁止法違反などの疑いで逮捕した。 男は、東京都足立区のサイトに殺害予告を送りつけるなどしていたことも捜査で判明。 東京地裁は 7 月、男が「恒心教」にのめり込んでいたと指摘し、懲役 3 年執行猶予 5 年の判決を出した。

奈良県警の事件で容疑者は検挙されていない。 乗っ取られたサーバーを管理していた大阪府内の IT 企業の代表は取材に、「警察からの照会で乗っ取られていた事実を知った。 詳細はわからない。」と話した。 捜査幹部の1人は、「恒心教」の掲示板に集まる不特定多数の人物が、こうした事件に関与しているとみている。 「逮捕される人物は氷山の一角」と話す。 (asahi = 10-29-23)

「恒心教」事件 : 警視庁は 8 月、東京音楽大に爆破予告ファクスを 3 月に送ったとして、無職の大熊翔 (26) と東京農工大学大学院生の佐藤直 (22) の両容疑者を威力業務妨害容疑で逮捕した。 2 人は 1 - 5 月、インターネットファクス通信サービスを使い、各地の学校などに延べ 30 万件以上を送ったとみられている。 2 人は他人のクレジットカード情報を不正に使って買い物したとして窃盗などの疑いで再逮捕、起訴された。 ウェブサイトをハッキングし、カード情報を入手したとされる。 2 人は「恒心教を広めたかった」などと供述しているという。


「Microsoft Edge」のサイドバーで AI 画像生成が可能に
 v118.0.2088.69 が公開/「Image Creator」がプレビューとして追加

米 Microsoft は 10 月 24 日(現地時間)、デスクトップ向け「Microsoft Edge」v118.0.2088.69 を安定チャネルでリリースした。 本バージョンでは、サイドバーで「Image Creator」がプレビューとして利用できるようになっている。 「Image Creator」は、Web上で動作するグラフィックデザイン・画像生成 AI アプリ「Microsoft Designer(ベースは「DALL-E 3」)」が提供する画像生成 AI を利用できるサイドバー。 テキストで指示すると AI がイラストや写真、グラフィックデザインを生成してくれる。

Edge サイドバー上の「Image Creator」は、デフォルトで OFF になっており、サイドバーの[+]ボタンから[カスタマイズ]サイドバーを表示し、[Image Creator]スイッチを ON にすることで有効化可能。 キャンバスと筆のアイコンから「Image Creator」をサイドバーで開けるようになる。

「Image Creator」を開くとプロンプトの入力エリアと作例 が表示される。 プロンプト入力エリアにテキストを入力すると、下にある[お任せで探す]ボタンが[作成]ボタンに変化し、画像を生成可能。 [作成]ボタンを押すと[アイデアを探す]タブが[作品]タブに切り替わり、しばらく待つと画像が生成される仕組みだ。 生成された画像をクリックするとWeb ページが開き、画像を拡大表示できるほか、共有やダウンロードなどが可能。

[作品] タブには生成した画像の履歴が表示され、[アイデアを探す]タブでは作例が表示される。 作例をマウスオーバーするとその画像を生成したプロンプトが表示されるので参考にするとよいだろう。 [アイデアを探す]タブでプロンプトを入力せずに[お任せで探す]ボタンを押すとランダムでプロンプトが生成され、そのプロンプトで画像を生成可能だ。 (長谷川正太郎、窓の杜 = 10-26-23)


フィッシングに脅迫メール ネット上の身近な「脅威」に自衛策は

ネット上の「脅威」 1 位はフィッシング

独立行政法人「情報処理推進機構 (IPA)」は、1 年間に発生したネットのセキュリティーに関する事案を「脅威」として分類し、IT 企業の実務担当者ら約 200 人に投票してもらって「10 大脅威」を選び、毎年公表している。 2022 年の第 1 位は、実在する組織をかたって個人情報を盗み取る「フィッシング」の脅威だった。 公的機関や有名企業をかたったメールや SMS (ショートメッセージサービス)を受信して偽サイトに誘導され、個人情報やクレジットカード番号などを入力してしまう。 IPA の担当者は「一般の方々も目にする機会の多い身近な脅威。 情報が不正利用されたり売買されたり、他の攻撃をする前段として使われている。」と話す。

被害対策に取り組む「フィッシング対策協議会」によると、フィッシングの報告件数は年々増加し、23 年 1 - 9 月は約 86 万 5 千件(前年同期間比約 14.5% 増) だった。 このうち 9 月は約 11 万 7 千件で、約 4 割が「Amazon」をかたるフィッシングだった。 他に ETC 利用照会サービス、三井住友カード、Apple、マイナポイント事務局などをかたるものもあったという。

実在のネット通販「アマゾン」が送信したメールかどうかは、アマゾンの公式サイト上で自身のアカウントでログインし、「アカウントサービス」内の「メッセージセンター」で確認できる。 偽サイトと公式サイトを見分けるのは難しいため、同協議会は、普段からメールにあるURLからアクセスせず、スマホのアプリや、パソコンでお気に入り登録しておいたサイトからアクセスするよう呼びかけている。

公式サイトにも潜む危険

「10 大脅威」では、メールや SMS で脅迫・詐欺の内容を受信して金銭を要求される脅威もランクインしている。 「アダルトサイトを閲覧している姿を撮影した」、「未納金がある」といった内容で、弱みにつけ込み支払わせる手口だ。 「こういっただましの手口があると知っておくだけで、一度立ち止まる契機になる。(IPA 担当者)」

ネットショッピングをしていた公式サイトの一部が改ざんされて入力情報が盗み取られ、クレジットカードが不正利用される手口もある。 企業側のシステムの脆弱性が狙われているため、利用者は気づきにくいが、クレジットカードの利用明細を定期的に確認したり、通知機能を利用したりして、早期の検知をすることが大切だ。 (寺田実穂子、asahi = 10-14-23)


イスラエルの教会爆破、ハマス戦闘員の降下 … 偽動画相次ぐ

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘を巡り、SNS (ネット交流サービス)で偽情報が拡散している。 欧州を拠点とする調査団体「ベリングキャット」は 11 日、偽情報の検証結果を報告。 本人であることを証明する「認証バッジ」を持つ著名なアカウントが共有するケースもあるとして、注意を呼びかけている。 ベリングキャットの報告によると、ハマスによる攻撃が 7 日に始まってから、ある投稿がSNS の X (旧ツイッター)で広まった。 市街地でまぶしい光とともに爆発が起き、激しい音が鳴り響く動画だ。 イスラエルがガザ地区にあるギリシャ正教の教会を攻撃している様子と説明されていた。

ところがこの教会は、SNS のフェイスブックに「教会が被害を受けたというニュースは誤りだ」と投稿し、拡散された情報を否定した。 一方、ハマスが夜間にイスラエルへ向けてロケット弾を連発する様子とされた動画も、X や動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」で拡散した。 英国の極右政党党首も動画を共有した。 ベリングキャットは、この動画が 2020 年に動画投稿サイト「YouTube (ユーチューブ)」でロシア語を使うアカウントが投稿したものと特定。 「過去の紛争や軍事事件の映像が再利用されている例を複数確認した」としている。

また、「パラグライダーでイスラエルに降下するハマス戦闘員」を映したとされる動画も、X や TikTok で広まった。 後に、映像に映った建物から、実際の撮影場所はエジプトの軍関連施設付近と判明した。 ベリングキャットは、偽情報の投稿には何千もの閲覧があり、オンラインで拡散し続けているものがあると指摘。 AI などの高度な画像操作技術を使ったものではなく、既存の映像などが誤った文脈で伝えられているケースが散見されるとしている。 (mainichi = 10-12-23)


インターネット運営の課題を議論 IGF 京都会合開幕、首相も出席へ

官民でインターネット運営の課題について話し合う国連の国際会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム (IGF)」が 8 日、京都市で開幕した。 日本政府は最先端の AI (人工知能)についても議論し、5 月の主要 7 カ国首脳会談(G7 サミット)で打ち出した AI の国際共通基準づくりをめざす「広島 AI プロセス」に成果を反映する方針だ。 日本での開催は初めて。 8 日は河野太郎デジタル相が参加し、信頼性のある自由なデータ流通 (DFFT) や偽情報対策について議論したほか、鈴木淳司総務相が米グーグルの幹部と会談した。 9 日には岸田文雄首相も現地入りする。

IGF は 2006 年に始まり、今回 18 回目。 国連主催でありながら、産業界や技術者、市民など様々な立場の参加者がテーマを提案し、対等に意見を交わす「マルチステークホルダー」形式をとる。 大小あわせて 300 前後の会合が予定されている。 拘束力のある決議などはしない。 昨年秋、人間のように文章を生成できる対話型 AI の ChatGPT (チャット GPT) が一般公開されるなど高度な生成 AI の利用が急速に広がるなか、個人データや著作権、情報の正確性をめぐる課題も出ている。 今回の IGF でも、10 以上の会合が AI など先端技術や規制をめぐる課題を採り上げる。

G7 の議長国を務める日本は、AI のサービスや制度が国境を越えて運用できるよう、広島サミットで岸田首相が「AI プロセス」を提案。 年末までに、AI の利活用や規制のあり方に関する G7 の共通ルール作りをめざしている。 9 月にオンラインで開いたG7閣僚級会合では、AIの利用が不適切な領域の公表など、開発企業側が守るべき原則である「行動指針」の骨子について合意した。さらに具体的な責務を「行動規範」としてまとめる方針だ。 (渡辺淳基、小手川太朗、asahi = 10-8-23)


アマゾンがインターネット衛星のプロトタイプを打ち上げ、スターリンクと競合へ

アマゾンは米国時間 10 月 6 日の午後に 2 台のプロトタイプ衛星を宇宙に打ち上げた。 これは、Project Kuiper (プロジェクト・カイパー)として知られる取り組みの初期段階で、プロジェクトは低軌道に 3,000 機以上のインターネット衛星を配備し、スペース X のスターリンクに対抗することを狙っている。 打ち上げられたプロトタイプ衛星は、今後 6 年間で Project Kuiper を通じて配備される 3,200 機以上の衛星の最初のバージョンとなる。 その半数は規制による期限により 2026 年 7 月までに打ち上げられる必要がある。

アマゾンは Project Kuiper に 100 億ドル(約 1 兆 5,000 億円)を投資することを明言している。 ワシントン・ポストによれば、このプロジェクトはインターネット接続を必要とする推定 40 億人を対象にした、利益性の高い衛星インターネット市場で足場を固めることを目的としている。 このプロジェクトは、イーロン・マスクの航空宇宙企業スペース X が提供するスターリンクインターネット衛星の競合となる日がいずれ来るだろう。 スペース X は、現在地球を周回する 4,000 機以上の衛星を有し、圧倒的な先行性を誇っている。

10 月 6 日の打ち上げは、フロリダのケープ・カナベラル宇宙軍基地でアトラス V ロケットを使って行われた。 一連のテストのために 2 機の衛星が地表から 311 マイル(約 500km)上空を周回することになる。 Project Kuiper の技術担当副社長のラジーヴ・バディアルは、この日「アマゾンが宇宙に初めて衛星を送り込みました」との声明を発表した。 これは、ジェフ・ベゾスの宇宙企業であるブルーオリジンがロケットを軌道に投入できる前に達成できた成果だ。 アマゾンは、Project Kuiper で予定される衛星の打ち上げをサポートするために、3 回分の打ち上げを購入した。 このうち 27 回の打ち上げはブルーオリジンから調達され、残りはフランスのアリアンスペースと米国の United Launch Alliance から調達された。

ニューヨーク・タイムズによれば、打ち上げを提供する会社の関係者は、Kuiper の打ち上げの期限は守れると語っている。 またロイター通信よれば、アマゾンは Kuiper を通じて個人消費者や企業向けに衛星インターネットを提供しようとしており、1 台あたり 400 ドル(約 6 万円)のコストで消費者向け端末を開発する予定だという(消費者の負担額は未定)。 消費者向け端末を 599 ドルで販売するスペース X のスターリンクのような規模になるには、まだ時間がかかるだろう。

なおアマゾンは、スペース X によるより安価な打ち上げを検討するための十分な事前調査を行わなかったとして、株主からの訴訟に直面している。 株主たちは、ベゾスとマスクの対立が、ブルーオリジン、フランスのアリアンスペース、米国の United Launch Alliance からの購入に影響を与えたと主張している。 (Antonio Pequeno IV、Forbes = 10-7-23)


ヤフーはメディアに対して「優越的地位にある可能性」 公取委が調査

公正取引委員会は 21 日、ヤフーなどのニュースプラットフォーム (PF) 事業者と、記事を提供する新聞などメディア各社の取引実態の調査報告書を公表した。 消費者が PF 経由でニュースを読む機会が圧倒的に増えるなか、特にヤフーについて「優越的地位にある可能性」を指摘。 記事の使用料が著しく安い場合は「独占禁止法上問題となる」と警告した。 公取委は昨年 11 月から、新聞社や出版社など 220 社と、消費者 2 千人にアンケートを実施。 ニュースポータルサイトや検索サイトを運営する PF事業者 7 社に聞き取り調査をした。 調査の狙いについて報告書は「ニュースが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠だ」とした。

メディアが受け取る使用料の総額からみたニュースポータルのシェアは、ヤフーニュースが 40 - 50% で約半分を占め、LINE ニュース (20 - 30%)、スマートニュース (10 - 20%) と続いた。 公取委はヤフーニュースがメディア事業者の約 6 割にとって最大の取引先となっており、消費者の約 2 割が最も利用している点を重視。 ヤフーを名指しして、メディアに対し「優越的地位にある可能性がある」と指摘した。 ヤフー以外のPF事業者についても「優越的な地位にある可能性は否定されない」とした。

PF 事業者は、メディアから記事などを仕入れ、それらの閲覧回数(ページビュー、PV)に応じた広告収入を広告主から得ている。 メディア各社には記事の対価を支払っているが、個別契約のため適正価格の水準や決定根拠がわからず、メディア側には公平な交渉ができないと不満があった。 公取委は、ニュースポータルを運営する PF 事業者の 6 社がメディア各社に支払う記事対価の平均値も初めて開示。 1 千 PV あたり 124 円で、対価が最も高い PF 事業者で平均 251 円、最低は 49 円と 5 倍の開きがあることも明らかにした。 メディアが自社のウェブサイトの記事に掲載した広告で得られる収入は 1 千 PV あたり 352 円で、PF の記事対価の水準はこの約 3 分の 1 にとどまる計算だ。

一方、ニュースポータル上の広告収入総額に占めるメディアへの記事対価の総額の割合は、21 年度でPF事業者 1 社あたり平均で約 24% にとどまっていた。 報告書は、メディアが PF 側に記事を提供する理由で最も多いのは「自社サイトへの送客の期待 (29.8%)」だとも指摘。 実際にメディア 17 社のウェブサイトへの流入元の約 4 割は PF のポータルサイトからだった。 一方で、ポータルサイトにとっては、PV 数に占めるメディアの自社サイトへの送客数は約 9% だった。

公取委は、立場の強い PF 事業者がメディア各社との契約内容を一方的に変更したり、著しく低い使用料を設定したりすることで不当に不利益を与える場合、「独占禁止法上の優越的地位の乱用にあたる」とも指摘した。 さらにメディアが不利になりうるレイアウト変更や、ニュース表示の選定を巡っても、不十分な説明や協議でメディアに不利益を与えれば、「独占禁止法上問題となる」とした。 また、消費者がニュースに触れる機会も調査。 検索サービスが 54・4% で最も多く利用され、ニュースポータルの 34・8% を上回る実態が明らかになった。 欧米では、検索結果などに記事リンクを表示させれば、メディアに対価を支払うようグーグルなどに義務づける動きがある。 日本でも今後、同様の議論が始まる可能性もある。

公取委は事業者間の交渉の進展を注視するとしたうえで、独禁法上問題となる案件があれば厳正、的確に対処する方針。 今回の調査を受け「質の高いニュースコンテンツの提供が持続的に維持発展していくよう、公正な競争環境を整備する」としている。

公取委の調査結果を受けて、ヤフー広報は「報告書の内容を精査した上で、しかるべき対応を検討したい」とコメントした。 日本新聞協会の中村史郎会長(朝日新聞社社長)は 21 日、公取委の報告書について「プラットフォーム事業が報道機関の経営に影響を与えていることは、民主主義の根幹を揺るがしかねない世界的な課題になっている。 公正取引委員会が指摘した点を含め、プラットフォーム事業者は報道機関との取引や関係の適正化に向けて誠実に対応するよう求める」とのコメントを出した。 (村井七緒子、asahi = 9-21-23)

公取委の報告書骨子

  • ニュースポータルサイトの運営事業者がメディア各社に支払うニュース対価の平均は 1 千 PV (閲覧数)あたり 124 円(最大 251 円、最少 49 円)
  • 消費者がニュースを得るサービスは検索サイトが 54%、ポータルサイトが 35%。 報道機関などのサイトは計 2% にとどまる。
  • ヤフーはメディア各社に対し、優越的地位にある可能性がある。 その他のポータル運営事業者も優越的地位にある可能性は否定されない。
  • ポータル運営事業者はメディアに対し、記事の対価の決定根拠などを開示することが望ましい。 一方的な契約変更などにより著しく低い対価を設定する場合、独占禁止法上問題となりうる。
  • ポータル運営事業者が十分な説明なくレイアウトや表示基準を変更したり、メディアが求める協議に応じなかったりして不利益を生じさせる場合、独禁法上問題となりうる。
  • 検索サイト事業者は、抜粋形式での記事利用などに対する対価について十分な交渉を通じてメディア各社と共通認識を得ることが望ましい。 一方的に著しく低い対価は独禁法上問題となりうる。
  • メディア各社が記事対価の条件をめぐりデータの開示を共同で要請したり、消費者により認知されやすいレイアウトへの変更を共同で要請したりする行為は独禁法上問題とならない。

AI 平野レミロイドが店頭に? チャット GPT 搭載「日本初では」

森永乳業は 20 日、対話型 AI (人工知能)「ChatGPT (チャット GPT)」を搭載し、料理研究家の平野レミさんを模したロボット「AI 平野レミロイド」をお披露目した。 チャット GPT を搭載した人型ロボは「おそらく日本初」という。 スーパーの食品売り場の試食コーナーなどで活用したい考えだ。 この日開かれたモッツァレラチーズの新商品「クラフト バジル フレッシュ モッツァレラ」の発表会に、平野さん本人と平野レミロイドが登場。 レミロイドは、事前に平野さんが読み上げた約 1 千通りの例文を学習してから臨んだ。

「おすすめの食べ方は?」と平野さんが問いかけると、レミロイドは数秒後に「(袋を)開けてそのまま、またはサーモンやタコをあえれば、お店の味になります」と、平野さんの声で答えた。 森永乳業は、店頭での人手不足がより深刻になるとみて、打開策を探っていた。 今年に入りチャット GPT が注目されたことで、人型ロボへ組み込むことにした。 今後、学習を積み重ねて、よりスムーズな応答ができるようにする。 (上地兼太郎、ashi = 9-20-23)


世界の市場規模は 5 千億円 ゲーム動画「友達の家で遊ぶ感覚」が魅力

ゲームのプレー動画や実況動画のネット配信が広がっている。 世界の市場規模は約 5 千億円、視聴者は約 8 億人とする調査もある。 だが、無許可で配信すれば著作権法に触れるおそれがある。仙台地裁は 7 日、ゲーム動画を巡り、全国で初めて同法違反罪で起訴された男に判決を言い渡す。(村上友里)

ゲームや映画、漫画 … どんな配信が著作権侵害? 利用者の注意点は

昨年 6 月。 サイバーパトロールをしていた宮城県警が、動画投稿サイト「ユーチューブ」のあるチャンネルに、ゲームやアニメの動画が多数、投稿されているのを見つけた。 動画を保存して鑑定した結果、少なくとも 3 本の動画は、著作権者の許可を得ずに投稿されていたことが分かった。

「ネタバレ」含む動画を配信

うち 1 本が、主人公となってストーリーを進めるアドベンチャーゲーム「シュタインズ・ゲート 比翼恋理(ひよくれんり)のだーりん」のプレー動画。 ゲームの中でどんな選択をするかによって展開が変わり、さまざまなエンディングを楽しめる。 著作権を持つゲーム会社の一つ、「ニトロプラス」が自社サイトで公開している著作物のガイドラインによれば、体験版やプロモーションの映像を除き、動画の二次利用は認められていない。 だが、投稿されていたのは体験版やプロモーションの映像ではなく、エンディングを含む 1 時間程度のもの。 物語の結末を明かす「ネタバレ」の内容となっていた。 人気アニメを編集した 2 本と合わせ、3 本で計約 85 万回視聴されていた。

著作権法違反罪で起訴されたウェブクリエーターの男(53)は、これらの投稿によって、月平均約8万円の広告収入も得ていたという。8月2日の初公判で「(視聴者の)コメントを見るのが楽しく、満足感を得るためにやっていた。これくらいなら大丈夫なんじゃないか、という甘い考えだった」と述べた。

弁護側「これまで起訴されてこなかった」

検察側は論告で、正規商品を購入する意欲を減退させ「コンテンツ制作の労力を踏みにじる悪質な行為だ」と主張。 「ネットの普及で違法に著作物が公開される例が相次いでいる。 コンテンツ産業の衰退を防ぐためにも厳重に処罰すべきだ。」として、懲役 2 年、罰金 100 万円を求刑した。 弁護側は最終弁論で、ゲームのプレー動画や、トークを交えた実況動画が多数配信されているのに、これまでは起訴されてこなかったと反論。 一般の利用者の間では、許可を得ない投稿が違法になるという意識が薄く、被告の行為だけが「特に悪質とはいえない」として、執行猶予が付いた判決を求めていた。(根津弥、小山歩)

「ゲーム実況者」、職業ランキング上位に

角川アスキー総合研究所が発行する「ファミ通ゲーム白書 2021」によると、2020 年にゲームのプレー動画を視聴した人数は 1,925 万 6 千人(5 - 59 歳)。 ゲーム会社などが配信するゲームの予告や宣伝動画を視聴した498 万 5 千人を大きく上回った。 ソニー生命が 7 月に公表した調査では、中学生のなりたい職業ランキングで「ゲーム実況者」が男子で 4 位、女子で 5 位にランクインした。 ゲーム情報サイト「ファミ通.com」の三代川正編集長は、03 年に放送が始まったフジテレビの CS 番組「ゲームセンター CX」が先駆けとみる。 「芸人の有野晋哉さんがゲームに挑戦するのを、みんなで応援する面白さを示した。」という。

その後、05 年にユーチューブ、06 年にニコニコ動画が始まり、現在は、アマゾン傘下の配信サイト「ツイッチ」なども人気だ。 スウェーデン人男性「PewDiePie(ピューディパイ)」さんのユーチューブのチャンネル登録者数は 1 億人を超える。 三代川さんは「最近のゲームは複雑化して時間がかかるものもあるが、ゲーム実況なら短時間で気軽に楽しめる。 応援する爽快感とともに人気が出ているのではないか」と分析。 配信する側にとっても「友達の家で遊んでいるような感覚」が魅力になっているとみる。 (asahi = 9-7-23)


中国が日本防衛機密に侵入か、元自衛隊司令「予防攻撃が現実的では」

深刻なサイバーウォー

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東京・世田谷区、学習用タブレットで小・中学生の相談受け付け

夏休み明けの学校生活に悩みや不安がある子どもたちの気持ちに向き合おうと、東京・世田谷区の教育委員会は学習用タブレット端末を活用して児童・生徒からの相談を受け付けています。 世田谷区の「子ども SOS 相談フォーム」は区立の小中学校の児童・生徒の学習用タブレット端末から、いつでも相談内容を送ることができるものです。 相談フォームに沿って、相談内容を友達のこと、勉強のこと、先生のこと、家族のこと、その他といった選択肢から選びます。

そして、誰に相談したいかについては、「担任の先生」、「担任ではない先生」、「保健室の先生」、「スクールカウンセラー」、などから選べるほか、見守っていてほしいという選択肢も用意されています。 さらに、相談場所も教室か、教室以外の場所がよいかなど希望を伝えられます。 送信された相談内容は、教育委員会の担当者が平日の午前 9 時から午後 5 時までの間に確認して対応することにしていて区教育委員会は「夏休み明けの学校生活に不安を感じる子どもも多いので、遠慮なく相談してほしい」と呼びかけています。 (NHK = 8-20-23)


マスク氏、X のブロック機能を削除へ 投稿で表明 利用者から懸念も

イーロン マスク氏の Twitter

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入院中も家族とリゾート旅行 患者の夢かなえるメタバースアプリ登場

入院中も家族と旅行に行きたい - -。 患者のそんな夢をかなえる面会アプリが登場した。 名称は「Medical Meetup (メディカル・ミートアップ)」。 面会場所はオンライン上の仮想空間「メタバース」。 順天堂大学付属順天堂医院が 8 月 1 日から試験運用を始めた。 アプリを入れたスマートフォンの画面に広がる白い砂浜と青い海。 リゾート施設を模した空間では、患者と面会者が好きな分身キャラクター「アバター」となって、会話やハイタッチを楽しめる。 画面を操作すれば、ビーチを走り回って海の生き物と触れあったり、気球に乗ったりもできる。

順天堂大と日本 IBM が開発した。 両者は昨年、「医療とメタバースを掛け合わせることで、新たな価値を生み出せる」と共同研究講座を開設。 オンライン上に院内を再現した「バーチャルホスピタル」を構築し、患者や家族に病院を事前見学してもらったり、口頭で説明が難しい治療を視覚的に体験してもらったりしてきた。 アプリもそうした取り組みの一環という。 家族や親しい人との面会は、患者の心をやわらげ、病気に立ち向かう力を与える。 しかし、がん治療など高度な医療を受けている患者は簡単に面会ができない。 感染症の流行時は、それ以外の患者も面会に制限がある。

患者側は、身支度の大変さから面会に抵抗を感じることも。 また、面会に行く側も、仕事などで面会時間内に行けないといったケースもある。 一方、アプリを使えば面会制限中でも会いたい人に会える。 メタバース空間のアバターとなることで、装いを気にする必要もなく、通常の面会以上の旅行気分も味わえる。 試験運用はまず、小児医療センターから始めた。 小児病棟では、子ども特有の感染症を防ぐため、患者以外の子どもは病棟に立ち入れず、幼い兄弟姉妹や友達は面会ができないためだ。

8 - 10 月に、入院する子どもたちと家族にアプリを導入してもらい、使い勝手や運用方法を確認。 その後は、長期入院する子どもたちのストレス軽減にアプリがどれだけ貢献するかなど科学的な評価もしていく。 小児科・思春期科の藤村純也准教授は「面会者の対象やメタバース空間を広げることで、入院中の子どもたちが学校の友達と仮想の遠足や修学旅行に出かけることもできるかもしれない」と期待を寄せる。 日本 IBM も「宇宙や海の中など、現実にはなかなか行けない場所も、メタバース空間なら構築できる。 楽しめる機会を増やしていきたい。」と説明する。 順天堂医院では今後、ほかの診療科の入院患者にもアプリの使用を広げる予定だ。 (水戸部六美、asahi = 8-6-23)


米軍宛てのメール数百万通がアドレス間違いでアフリカ・マリに誤送信

アメリカ軍に宛てた電子メールのうち、数百万通が誤って西アフリカの国マリに送信されていたことが分かりました。 原因はメールアドレスの打ち間違いでした。 アメリカ国防総省は 17 日、「管理された国家安全保障に関する情報が不正に開示されたと認識している」と述べ、アメリカ軍宛ての電子メールがマリに誤送信されていたことを認めました。 本来は、メールアドレスの末尾を「.mil」にすべきところをマリの「.ml」に打ち間違えたことが原因だということです。

この問題を最初に報じたイギリスのフィナンシャル・タイムズによりますと、この誤送信は 10 年ほど前に初めて確認され、これまでに誤って送られた電子メールは数百万通に及ぶとみられます。  そのなかには国家の安全保障に関わる高度な機密情報は無かったものの、米軍施設の地図や海軍の視察報告書などのほか、陸軍幹部の宿泊先ホテルの部屋番号などの情報も含まれていたということです。

マリはロシアの民間軍事会社「ワグネル」とも近い国で、マリの国別ドメインを管理するオランダの企業は「敵対勢力に情報を悪用される恐れがある」としてアメリカ政府に対応を要請していました。 国防総省は、省が割り当てた業務用のメールアドレスではマリに送信できず、個人用のものを利用した際に誤送信が生じたと説明し、再発防止策を講じています。 (テレ朝 = 7-18-23)


NHK のネット業務拡大 地方紙「太刀打ちできない」 新聞協会意見

自民党の情報通信戦略調査会は 12 日、NHK のインターネット業務のあり方に関して、日本新聞協会メディア開発委員会などにヒアリングを実施した。 会議は非公開。 出席者によると、NHK がネット業務を放送と同等の必須業務とする場合、その業務範囲に報道サイトを含む考えを示している点を開発委が問題視。 新聞・通信社が展開する有料のニュースサイトなどの事業が継続できなくなる恐れがあるなどと主張したという。

また開発委は、地方紙から、潤沢な予算を持つ NHK がネット業務を業務拡大すれば、地方紙は太刀打ちできなくなるといった声が出ていることも説明した。 同調査会の大岡敏孝事務局長によると、出席議員からは「NHK と話し合う努力をするべきではないか」、「新聞は新聞の強み、例えば一覧性という強みを生かして、生き残る方法を真剣に考えるべきではないか」などの意見が出たという。 同調査会は NHK のあり方についての提言を 8 月末までに取りまとめ、総務大臣に提出する予定だという。 (asahi = 7-12-23)


労災認定に Google map 履歴 タイムカードにない残業認める

食品工場で働いていて病死した男性 (54) をめぐり、タイムカードに加え、スマートフォンの地図アプリの移動履歴を参考に残業時間を計算し、労災が認定されていたことがわかった。 代理人の大久保修一弁護士は「アプリの記録をもとにした認定はまだ少ないが、有益な資料となることが確認できた」と話す。 大久保氏によると、男性は 2015 年にシマダヤ関東に入社。 埼玉県深谷市の工場で設備保全などを担っていたが、20 年 12 月に虚血性心疾患で亡くなった。 熊谷労働基準監督署が長時間労働などを認め、6 月 28 日付で労災と認定したという。

男性の死亡直前 6 カ月の時間外労働は、タイムカードなど会社側の資料では平均約 67 時間だった。 だが GPS 機能付きのスマホのアプリ「グーグルマップ」での移動履歴から、職場に滞在した時間が把握できた。 労基署はそれを参考に、約 76 時間の時間外労働を認めたという。

タイムカードは本来は機械で出退勤時間が打刻されるが、一部は手書きで記入されており、勤務実態とかけ離れていた可能性があるという。 大久保氏は「タイムカードの記録は人為的に操作される可能性もあり、その記録だけでは労災認定が難しいことがある。 また、勤務時間をメモに残すケースもあるが、アプリの方が本人の手間が少なくてすむ」と話した。 同社は朝日新聞の取材に対し、「男性社員が亡くなり、労基署の調査を受けたが、労災が認定されたことは把握していない」とした。 (三浦惇平、asahi = 7-7-23)


水泳帽にセンサー、AI で映像解析 … プール事故防止に「機械の目」

水の中で溺れた可能性がある人を検知するカメラや、水泳帽に装着するセンサー - -。 プールの事故を防ぐため、機械を導入する動きがある。 人工知能 (AI) など新たな技術開発も進むが、行き渡るには時間がかかりそうだ。 現場を取材した。 埼玉県深谷市の屋内温水プール「アクアパラダイス パティオ」では、多い日で 1 日 10 回ほど、サイレンが鳴り響く。 溺れた可能性がある人の姿をカメラで検知して知らせる自動監視システム「ポセイドン」だ。

水中で動かないもの、カメラが検知

天井に設置した 4 台のカメラがプールを監視。 サイレンが鳴るたびに監視員らが駆けつける。 ただ、人が立ち止まった姿や、水中に映った人の影を捉えた発報がほとんどで、これまでに実際に人が沈んでいたことはないという。 プールを運営するシンコースポーツの角田佳津子(つのだかつこ)さんは「利用者は発報に慣れているが、私たちは慣れてはいけない。 いつも事故があり得ると想定して動いています。」

ポセイドンはフランスで開発。日本で販売するシンコーファシリティーズ(東京都)によると、約 20 年前の導入以降、国内のプール 11 カ所で設置されたが、現在は 5 カ所に減った。 初期投資が大きく、フランス人の技術者がメンテナンスを担うなど導入後の負担も大きいのが理由の一つとみられる。 パティオでは導入時の約 2,600 万円に加え、年間約 200 万円の維持費がかかっている。 カメラではなく、センサーを使う仕組みもある。 電波を発するタグを水泳帽やゴーグルに装着して位置を把握するシステム「nagi (ナギ)」。 2020 年以降、国内 2 カ所のプールに導入された。

センサータグが沈むと … 電波遮断でアラーム

電波が水で遮断される特性を利用し、タグが水中に沈んで信号が 30 秒以上途絶えると、監視者のスマートウォッチなどにアラームが届く。 誰がどれだけ泳いだか、休憩したかも把握できる。 nagi はスペイン製。 販売会社のオーウエル(大阪市)によると、初期費用と維持費は 5 年で計 2 千万円余りという。 ポセイドンも nagi も、導入した施設で深刻な事故は起きていないという。 どの施設も監視員を置いていて、機械は「人のサポート」という位置づけだ。

警察庁の統計によると、18 - 22 年に水難事故で死亡・行方不明となったのは 3,580 人で、うちプールでの事故は 17 人。 オーウエル事業企画部の田中貴士さんは「人の目の監視に加えてデジタル技術を採り入れることで、プールでの事故を限りなくゼロに近づけたい」と話す。

「溺れている」、「事故が起こりそう」 AI が解析

中央大学研究開発機構の石川仁憲・機構教授らのチームは、プールで溺れている可能性がある人を AI で検知する技術を開発した。 全国の小中学校への無償提供を目指し、研究を続けている。 カメラでプールを撮影し、AI がリアルタイムで映像を解析。 溺れそうな動きをしている人を見つけると、その確度を数値化し、設定した数値以上だと監視員らのスマートウォッチに通知する。 AI に学習させたのは、▽ 水面をたたく、▽ 頭が浮き沈みしている、▽ はしごを登るように手足を動かしている - - といった 9 パターンの動きだ。 これらの動きをライフセーバーらがプールで再現して撮影し、10 万データを登録。 うち 8 割を AI に学習させた。

「他のプールでのデータも集めれば、汎用性が高まる」と石川機構教授は言う。 関西大学の土田昭司教授(安全心理学)は「機械を安全対策に導入するメリットはある」としつつ「あくまで人間が『主』で機械は『従』。 機械の導入を理由に監視員を減らすことは絶対やめるべきだ。」と指摘する。 機械は費用が大きく、現場に行き渡るには時間がかかる。 土田教授は「行政が子どもの安全に予算を使う必要もあるが、大人の監視の目を増やしたり、子どもの自衛力を高めたりすることも有効だ」と指摘する。 (山根久美子、asahi = 6-17-23)