ダサかった FILA が原宿でもブーム ブランドよみがえりの舞台裏

米国のファストファッション「フォーエバー 21」やカジュアルウェアブランド「エディー・バウアー」など、日本を一度撤退したアパレルブランドが次々と再上陸している。 商品やマーケティングを見直して再起を図るブランド再生。 その舞台裏を探った。 ストリート系ブランドが集まる東京・原宿の「裏原」エリアに、イタリアのスポーツブランド「FILA (フィラ)」の店舗がある。 5 月上旬、店を訪れると、若い女性 2 人が厚底スニーカーを試着していた。 店内には人気ボーイズグループ「BE:FIRST (ビーファースト)」とコラボしたロゴ入り T シャツなどが並び、外国人観光客の姿も目立つ。

フィラは今、10 - 20 代に人気のブランドだ。 2018 年に大ヒットした厚底スニーカー「ディスラプター 2」は、厚底靴ブームの火付け役とも言われる。 だが、若者に受け入れられるようになったのはここ数年のことだ。 ブランドを変えたのは、ある商社担当者の熱意だった。

量販店で格安に売られ … 輝きを失っていたブランド

1911 年創業のフィラは、70 年代に白一色が常識とされたテニスウェアに色を取り入れたことで人気に火が付いた。 ストリートファッションが流行した 90 年代まで黄金期が続いた。 だが、伊藤忠商事が販売権とライセンス権を取得した 06 年、ブランド力は落ちきっていた。 購買層は高齢化が進み、フィラの商品は量販店で格安で売られるようになっていた。 流行や高級感からはほど遠かった。 「結局、若者にうける商品がなかったんですよね。」 09 年からフィラを担当する伊藤忠の村岡敬介さん (49) は、こう振り返る。 購買層の若返りに向けてモデルの長谷川潤さんをイメージキャラクターに起用し、「東京ガールズコレクション」に参加した。

若い女性向けファッション雑誌に広告を出し、若年層向けのマーケティングに力を入れた。 それでも、成果は出なかった。 商品は 9 割が日本のメーカーが企画・製造している。 企画はメーカー任せだったが、村岡さんはアパレルやシューズなどの各メーカーに直談判した。 「若者向けに新たに商品を作りませんか。」 村岡さんには一つのイメージがあった。 イタリア出張で、フィラのアーカイブを集めた博物館を訪れた時だった。 ブランド黄金期とされる 70 - 90 年代に流行したストライプ柄やカラーブロックを取り入れたデザインが「とにかく格好良かった。」 これを若者にも知ってもらいたい、と考えた。

デザインのコンセプトはそのまま、今の若者が好むオーバーサイズのあいまいなシルエットに作りかえれば、若者にも受け入れられるのではないか。 話題作りも兼ねて、第 1 弾として、若者に人気のブランドとのコラボ商品を作りたいと、都内や関西にあるメーカーに出向き、頭を下げた。

コラボ商品で話題に 竹下通りにも並んだ

調整は難航した。 コラボ商品は生産数が少なく、メーカーにとっては手間がかかる割にもうからないからだ。 納得してもらうまで何度も説明した。 「若年層のマーケットを開拓するには、もうからないけどやるしかない」と。 商社のネットワークを活用し、若者向けの販路開拓も一緒に行った。 コラボ商品は、14 年に発売された。 90 年代に流行したスポーツブランドのリバイバルブームの波にのり、SNS で大きな話題になった。 その後、「ビームス」や「ビューティフルピープル」など、他ブランドとのコラボは約 120 件に上る。 17 年にはアパレル、18 年にはシューズやバッグなどを集めたフィラの展示会を開き、バイヤーにアピールする機会も作った。

コラボを始めて 2 年が経ったころ、視察でよく訪れる原宿の竹下通りを歩くと、多くの店にフィラの商品が並んでいた。 フィラの服を着ている若い子もいる。 「おじさんおばさんブランドが原宿で受け入れられるようになった」と実感した瞬間だった。 目標としていた年間売上高 300 億円は 19 年に達成。 韓国の人気アイドルグループ「BTS」がグローバルアンバサダーに起用されたことも人気を後押しした。 コロナ禍で売り上げは減少したが、今年は再び 300 億円を超える見通しだ。 村岡さんは「ブランドの方向性と戦略をしっかり作り、メーカーと一緒に作り上げられたことが成功の要因だった」と語る。

原点はイヴ・サンローラン 伊藤忠のブランドビジネスとは

ユニクロや H & M、ZARA など、手頃な価格のファストファッションの流行に伴い、アパレル業界は生産から販売まで手がける製造小売業 (SPA) が台頭した。 著名ブランドの中には、有力な市場に自ら進出する動きもある。 一方で伊藤忠は、ブランドビジネスに注力する。 この 1 年半ほどの間にもリーボックや LL ビーンといったスポーツやアウトドアブランドの販売権やライセンス権を次々と獲得した。 なぜか。 新たなブランドを日本に紹介して販売するのに加え、一世を風靡したことがあるブランドなら知名度が高く、一定の売り上げ規模がある。 仮に勢いが衰えていたとしても磨きをかけられる可能性があると考えるためだ。

伊藤忠にとって、衣料品などの繊維は「祖業」にあたる。輸入販売にとどまらず、商品づくりや経営にまで積極的に関わるようになっている。 その数は、入れ替わりがありつつも、いま衣料品やバッグなど約 150 を数える。 1970 年代、紳士服の服地に仏イヴ・サンローランの名を冠したことがブランドビジネスの始まりだ。80年代には伊アルマーニの独占輸入販売権を得た。 90 年代から 2000 年代にかけてはブランド使用のライセンス権、商品づくりの決定権まで持つ商標権の取得へとビジネスを広げた。

「顧客とともに年をとる」と言われるブランドを磨くことも怠らない。 洋服や小物といった具合に商品ごとに細切れになりがちなブランドビジネスに統一性を持たせ、商品企画、生産、流通、さらには広告やタイアップなどのイメージ戦略まで一貫して手がける。 かつて若者向けだったコンバースのスニーカーは大人の女性も引きつけるようになり、レスポートサックのポーチは、若返りのほか男性でも使いやすい商品を追加した。 ブランドマーケティング部門長を務める福垣学執行役員は「マーケットに合わせて、ビジネスも少しずつ変え、調整していく」と説明する。

米国では破綻したブランドを再生させる動きも

国際的に著名なブランドの再生は、米国でも広がっている。 ネット通販の普及やコロナ禍の影響により、多くのブランドが経営破綻したことが背景にある。 米老舗紳士服の「ブルックスブラザーズ」や米高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」、ファストファッション大手「フォーエバー 21」。 これらのブランドは、いずれも 2019 - 20 年に破綻した後、米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ (ABG) に買収された。

ABG は、10 年に創業。 世界最大級の資産運用会社、米ブラックロックなどの資金を背景に、国際的な知名度がありながら破綻したブランドを買収し、再生している。 買収したブランドは 50 以上。 グループの売上高は 2 兆円以上におよぶ。 ABG が傘下に収めるのは専ら、商品力や知名度はあるが、財務面などの問題で経営に行き詰まったブランドだ。 買収後は、ブランドのライセンスは保有するが、店舗や在庫は持たない。 不採算店の閉鎖や在庫管理などを進める一方で、店舗運営などはパートナー企業に委託し、ライセンス料を得ている。

フォーエバー 21 と「エディー・バウアー」については、ABG が伊藤忠と契約を結び、今春、日本に再上陸した。 フォーエバー 21 は、全商品の 8 割を日本のアパレル大手が企画し、高品質でトレンドを意識した商品に一新。 10 - 20 代を中心に支持を広げている。 (益田暢子、青田秀樹、asahi = 8-20-23)


国内アパレル関連大手 23 年 7 月度、猛暑で夏物衣料好調 良品計画の衣類カテゴリーは 4 ヶ月ぶり増収

国内アパレル関連大手各社が 7 月度の既存店売上高を発表した。 ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業や良品計画、アダストリア、ユナイテッドアローズなどの多くの企業では気温上昇と猛暑日の増加に伴い夏物衣料が動き、前年同月比で増収となった。 特に良品計画では、衣類・雑貨カテゴリーで同 13.3% 増と、3 月以来 4 ヶ月ぶりに昨年実績を上回った。

2023 年 7 月度 各社実績 (すべて既存店ベース/前年同月比)
売上高客数客単価
国内ユニクロ + EC108.7%98.0%110.9%
しまむら102.1%97.7%104.3%
良品計画 + EC108.1%96.7%111.9%
アダストリア119.3%110.7%107.7%
ユナイテッドアローズ + EC115.2%108.4%106.8%
ワークマン108.2%101.4%106.7%
バロックジャパンリミテッド108.5%105.2%103.2%

良品計画の 7 月度実績は、直営既存店とオンラインストアを合わせた売上高が同 8.1% 増と、6 月度に続き 2 ヶ月連続で前年同月実績を超えた。 衣類・雑貨カテゴリーでは、綿とポリエステルを用いて速乾性を持たせた「乾きやすいシリーズ」や風通しの良さを追求した「風を通すシリーズ」のほか、紳士・婦人用インナーなどが好調で売上を牽引した。 7 月と同様に厳しい暑さが予想される 8 月には「アイテム自体の涼しさはそのままに、色味をやや秋らしく仕上げた端境期向け商材の伸びに期待している。(良品計画広報担当者)」

アダストリアでは既存店売上高が同 19.3% 増と、特に大きく伸長した。 「グローバルワーク (Global Work)」や「ニコアンド (niko and ...)」、「ローリーズファーム (Lowrys Farm)」といった基幹ブランドが好調だった。 しまむらは既存店売上高が同 2.1% 増と比較的控えめな伸長率だったものの、夏物衣料やインナーのほか、水着や浴衣などが動いた。 (FashionSnap = 8-3-23)

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「虹のカーテン」抜けた先には?
 標高 600 メートル、山の上に設置

琵琶湖を望む滋賀県高島市の箱館山スキー場に、地元特産の「高島ちぢみ」で織られた「虹のカーテン」が設置されている。 27 日は、全国 914 地点のうち 251 地点で今年最多を更新するなど全国的に猛暑日となった。 標高 600 メートルを超える箱館山は平地より気温が数度低く、訪れた観光客らは風に揺れるカーテンがもたらす涼感を楽しんでいた。 「虹のカーテン」は 2019 年から始まった取り組みで、虹色と白色に染めたちぢみ 195 枚がつるされている。 カーテンを抜けると、琵琶湖を見下ろす景色が一望できる。

「虹のカーテン」に向かう小道には、882 個の虹色の風鈴が飾られている。場内ではピンク色の花を咲かせるペチュニアが見頃を迎えている。 ジップラインなどのアクティビティーも楽しめる。 虹のカーテンの設置は、夏季シーズンの営業が終わる 11 月 12 日まで。 入園料は大人 2,500 円、小学生以下 1,200 円、駐車場千円。 問い合わせはスキー場 (0740・22・2486)。 (金居達朗、asahi = 7-27-23)


オンワード & 三陽商会、「百貨店アパレル」復調の舞台裏
 どんな戦略が実を結んだのか

目次
・ 冠婚葬祭やビジネス需要が復活
・ 非アパレル事業も牽引
・ 脱・百貨店依存が各社の課題

「23 区」や「組曲」などを展開する、アパレルメーカー大手のオンワードホールディングスが好調だ。 7 月 6 日に発表した 2024 年 2 月期の第 1 四半期(2023 年 3 - 5 月)決算は、売上高 499 億 0,700 万円(前年同期比 12.0% 増)、営業利益 53 億 8,000 万円(同 168.3% 増)と大幅増益となった。 会社側の想定を上回ったことで、2024 年 2 月期の通期業績予想を上方修正した。 売上高は 1,888 億円(前期比 7.2% 増)、営業利益は 100 億円(同 91.8% 増)と倍増を見込む。 営業利益が 100 億円台に乗るのは実に 2013 年 2 月期以来、11 期ぶりだ。

好調の背景には、国内百貨店の客足が回復し、オンワードの代表ブランドが堅調に推移したことがある。 3 - 5 月は婦人服が主力の「23 区」が前年同期比で 19.5% 増、メンズスーツの「五大陸」は同 11.2% 増と 2 桁増収となった。

冠婚葬祭やビジネス需要が復活

市場回復は、百貨店の衣料品売り上げ実績からも見て取れる。 全国百貨店の 3 - 5 月における紳士服売り上げは前年同期比 8.1% 増、婦人服売り上げは同 11.6% 増の増収。 5 月 8 日から新型コロナの位置づけが「5 類感染症」に移行され、旅行や冠婚葬祭、ビジネス関連の需要が息を吹き返した。 ここまでの道のりは長かった。 コロナ禍に突入してからの 3 年間、オンワードは 2020 年 2 月期から 3 期連続で営業赤字に沈んでいた。 オンワードをはじめとした百貨店アパレルはスーツやオフィスカジュアルなどの「仕事着」が主力商品。 コロナ禍で在宅勤務が浸透し、回復には時間を要した。

オンワードは百貨店の集客力低下を受けて、2019 年から構造改革を進めてきた。 国内外の 600 店舗を閉鎖し、ネット通販 (EC) への投資に舵を切った。 EC 専売ブランドの立ち上げや、在庫管理の強化などを進めたが、コロナ禍に突入したことで実店舗の客数減少の影響が大きく焼け石に水。 苦しい時期が続いた。 2022 年後半から外出制限が緩和されて実店舗への客数が回復してくると、これまでオンワードが着手してきた実店舗と EC の一体化戦略が効果を現してきた。 代表例が「クリック & トライ」だ。同社の EC サイトで取り扱う商品を実店舗に取り寄せ、その場で試着と購入ができるサービスである。 対応店舗は 5 月末時点で 360 店舗、51% の店舗に導入している。

クリック & トライは自社 EC と連結しているため、導入店舗では実質的にオンワードが展開するほぼすべての商品を取り扱えるようになることが強み。 オンワードによると、クリック & トライ導入店舗の既存店売上高(2023 年 3 - 5 月)はコロナ前の 2019年同期比で 13% 増収だった。 一方で未導入店舗の既存店売上高は同 13% 減であり、一定の効果をあげているとみられる。 今後も導入店舗を増やしていく方針だ。

非アパレル事業も牽引

2024 年 2 月期の業績予想を上方修正した理由は、これだけにとどまらない。 主力の国内アパレル事業に加え、ペット関連用品の「ペットパラダイス」や、化粧品が好調に推移しているバレエ・フィットネス用品の「チャコット」も大幅増収で着地した。 これら増収効果と商品在庫管理の効率化が進んだことで、売上高に対する粗利益率は連結で 58.1% (前年同期は 55.5%)と 2.6 ポイントも上昇。 好循環を生み出している。

コロナ禍で経営が悪化した海外はなお 2 億 5,000 万円の営業赤字だが、国内でクリック & トライなどを活用したブランド複合店舗により運営効率が改善し、売上高に対する販管費率が 47.3% (前年同期は 51.0%)まで低下。 営業利益は前年同期比で 2.6 倍の 53 億円と急改善を遂げることとなった。 オンワードの上方修正は第 1 四半期の超過分を反映したのみで、経営環境が不透明として下期の計画は据え置いている。

アパレルメーカー大手はオンワードだけでなく、6 月 30 日に決算発表した三陽商会も上方修正を行い、順調な滑り出しを切った。 三陽商会は 50 年近くにわたり、イギリス・バーバリー社とのライセンス契約を結び、高級ブランドで知られたバーバリーの普及版ブランドを日本で展開していた。 だが、2015 年 6 月に英バーバリー社とのライセンス契約が打ち切られた途端に業績は急悪化。 三陽商会の 2016 年 12 月期は、売上高が 30.6% 減の 676 億円、営業利益は 2015 年 12 月期の 65 億円から 84 億円の赤字に転落した。 三陽商会はバーバリー喪失からの黒字復帰を待たずにコロナ禍へ突入。 2022 年 2 月期まで、6 期連続の営業赤字に沈んでいた。

脱・百貨店依存が各社の課題

2020 年 5 月、スポーツやアウトドアウェアのゴールドウインを再建した大江伸治氏が三陽商会の社長に就任すると構造改革に乗り出した。 商品の絞り込みや在庫圧縮、販売時の値引きを減らした定価販売を徹底した。 一連の取り組みが実を結び、三陽商会も 2023 年 2 月期に営業黒字へ復帰。 今 2024 年 2 月期第 1 四半期(2023 年 3 - 5 月)も、百貨店の好調などで当初の予測を上回る増収増益で着地した。 通期の業績予想を売上高 610 億円(前期比 4.7% 増)、営業利益 27 億円(同 20.8% 増)へ上方修正している。

明るい兆しが出てきた百貨店アパレルだが、長年の課題である「百貨店依存からの脱却」は途上だ。 自社 EC に注力するオンワードは、国内売上高に占める EC 比率が 28% となり(2023 年 5 月末時点)、今後も自社 EC を利用した商品取り寄せサービスで実店舗と EC の相互送客を強化する。 三陽商会も百貨店に加え、直営店やアウトレットの出店で客層拡大を図っている。 足元は百貨店復活の好景気に沸くアパレル各社だが、長期を見据えた改革は続くことになりそうだ。 (山ア理子、東洋経済 = 7-19-23)


遠州織物アパレルのハウス(浜松市)の産地活性化 シャトル織機の生地で服企画

遠州織物を主力にアパレルを企画、販売するハウス(静岡県浜松市)が自らの事業を、産地活性化の取り組みと結びつけながら展開している。 遠州織物の魅力からブランドを起こし、魅力を商品に盛り込んで販売を広げてきた。 産地が認知されることで、ブランドとしてもより価値が高まっていくとして、PRや技術交流など様々な活動を強めている。

ブランディングも強み

遠州織物アパレルブランド「HUIS (ハウス)」がスタートしたのは 14 年。 浜松市職員だった松下昌樹代表が当時、あまり認識していなかった遠州織物の魅力に出会い、織物の価値を洋服のものづくりを通して発信したいと考えて立ち上げたブランドだ。 遠州織物は、シャトル織機を使い、低速で糸に遊びを持たせて柔らかく織り上げる。 生産に時間がかかり、高価になるが、生地に空気を含んで膨らみのある高密度な生地が魅力だ。他産地にも見当たらない特徴を持つ遠州織物に魅せられ、アパレル業に乗り出した。 (繊研新聞 = 7-12-23)


オンワード HD、営業利益予想 100 億円に上方修正 アパレルが回復


3 月から販売するD2C の新ブランド「ネイヴ」

オンワードホールディングス (HD) は 6 日、2024 年 2 月期連結業績予想を上方修正し、営業利益が 100 億円になりそうだと発表した。 従来予想から 30 億円上振れする。 外出機会の増加に伴い、「23 区」、「アンフィーロ」、「カシヤマ」、「チャコット」といったブランドが想定以上に売れた。 営業利益が 100 億円を超えるのは 11 年ぶり。 売上高 1,888 億円(従来予想は 1,850 億円)、純利益 50 億円(同 40 億円)とする。

同日発表した 23 年 3 - 5 月期は、売上高が前年同期比 12.0% 増の 499 億円、営業利益が同 168.3% 増の 53 億円、純利益が同 83.6% 増の 33 億円だった。 主要ブランドの前年同期との売上高の比較は、「23 区」が 19.5% 増、「ペットパラダイス」が 16.4% 増、「チャコット」が 6.0% 増、「カシヤマ」が 33.6% 増だった。

21 年から販売する D2C アパレル「アンフィーロ」はほぼ 2 倍になった。 アパレルの急回復に加え、19 年から実施したグローバル構造改革の成果で、粗利益率が改善して利益を底上げした。 好業績と上方修正の発表を受け、7 日の株式市場では同社の株価は前日比 80 円高 (19.0%) の 502 円まで一時上昇し、ストップ高になった。 (林芳樹、WWD = 7-7-23)


イズミ、アパレル大手と組んだ切実改革 「直営の衣料」てこ入れ、大型店にも効果

地場流通大手のイズミ(広島市東区)が衣料品販売の変革を進めている。 手を組んだのはアパレル大手アダストリア(東京)。 インターネット販売が台頭し、アパレル事業からの撤退を決めた流通大手もある中、直営の衣料品売り場の客層を広げ、ブランド力を高める戦略を描く。 人口減少の中で大型店を運営していく上でも、重要な協業となる。 イズミの旗艦店、ゆめタウン広島(南区)の婦人服売り場。 通路をゆったり取ったスペースに、ワンピースやブラウスが並ぶ。 アダストリアとの協業で、昨年 9 月に生まれたブランド「シュカ」。 専門店のような趣だが、イズミの従業員が応対する直営売り場だ。

30、40 代に人気

アダストリアはファーストリテイリング(山口市)やしまむら(さいたま市)に次ぐ大手で、「ニコアンド」、「グローバルワーク」、「スタディオクリップ」などの店を展開する。 30、40 代のファンも多い。 一方、イズミ直営の婦人衣料は購入客の 8 割が 50 代以上。 「食品売り場を利用する幅広い世代を逃したままではいけない。」 衣料品を統括するライフスタイル部の治郎丸明子部長は語る。

変革の必要性は新型コロナウイルス禍でさらに高まった。 直営の衣料・住居関連売り場の 2023 年 2 月期の販売額は 748 億 6,100 万円。 同じ会計基準で比べると、コロナ禍前より 2 割少ない。 対照的にアダストリアの 23 年 2 月期の売上高は 2,425 億 5,200 万円と過去最高だった。 シュカは現在、イズミの 46 店に展開し、購入客の 3 割が 40 代以下。 客層は広がりつつあるが、販売額は目標に届いていない。 「ブランドづくりに要した投資を考えれば、もっと結果がほしい」と治郎丸部長は受け止める。 アダストリアの社員を招いた研修も始めた。

ヨーカ堂は撤退

協業は直営売り場のてこ入れにとどまらない。 コロナ禍以降、比較的人口の少ない地域の商業施設を中心にテナントの空きが増えた。働き手の確保が難しく、衣料品店などの運営会社が出店を避ける状況もあるためだ。 人口が減る中、巨大な「箱」をどう運営するかという新たな課題にも直面している。 テナントスペースの集客力を高めるための新たな策が、ゆめタウン行橋(福岡県行橋市)で 4 月に開店したスタディオクリップだ。 店構えはアダストリアの直営店と変わらないが、フランチャイズ (FC) 形式でイズミが運営する。 専門部署の FC・コンセ部の岡田徹也部長は「人気の専門店が入れば施設の価値が高まる。 今後も増やす。」と話す。

イズミが業務提携するセブン & アイ・ホールディングス(東京)傘下のイトーヨーカ堂(同)は、祖業でもある自社の衣料販売からの撤退を決めた。 イズミも 11 月に全面開業するゆめテラス祇園(安佐南区)で直営の衣料売り場を設けないなど、施設ごとに売り場構成を柔軟に変化させる。 イズミの山西泰明社長は「どの施設も同じようにつくるのではなく、それぞれの地域で従来なかった店にする」と説く。 同業他社も打開策を練る中、変革の成果が問われる。(村上和生)

【記者の目】 商品力や提案力の向上欠かせず

ゆめタウン広島には、アダストリアがテナントで出す店舗が 5 店もある。 「今はアダストリアなしでアパレルは語れない。」 イズミの担当者の言葉が、両社の結び付きの強さを物語っている。 イズミが磨こうとしているのは商品力や提案力だ。 消費者の目を引く話題づくりを続けられるかが、成否の鍵を握りそうだ。 (中国新聞 = 6-16-23)


ニュウマン新宿 売り上げがコロナ前を大幅超え 衣料品が好調

ルミネが JR 新宿駅新南口で運営するニュウマン新宿は、上質で高感度なファッションが大人の女性を中心に支持され、売り上げがコロナ禍前を上回っている。 23 年 3 月期の全館売上高は 156 億 9,400 万円(前期比 38.5% 増)、19 年度比で 0.8% 減、18 年度比で 2.4% 減で、衣料品は 18 年度比、19 年度比ともに 2 ケタ増。 今期は 5 月までで全館、衣料品ともに、18 年度・19 年度の同期実績を大きく上回った。 ショップと連携し、館独自の商品提案と接客を強化し、顧客拡大に取り組んだ成果だ。 今期は「過去最高売上高を目指す(伊藤純子店長)」方針だ。 (有井学、繊研新聞 = 6-8-23)


高級生地「遠州織物」を身近に 織物業者と直接取引でコスト削減

静岡県浜松市に本社を置くアパレル会社「HUIS (ハウス)」は、常設の店舗を持たない。 全国各地の百貨店で開かれる催しに、年間 100 回ほど参加する。 常に 2 - 3 カ所で出している状態だ。 ハウスが使うのは、高級生地として知られる地元の「遠州織物」だ。 製造現場では、トヨタグループの創始者・豊田佐吉が発明したことで知られる自動織機が今も使われている。 横糸を通すのに昔ながらのシャトルという道具を使うので、最近の織機の 10 倍以上の時間がかかる。 細い糸を高密度で織ることができ、耐久性や肌触りはよくなるというが、値段も高くなる。

遠州織物はこれまで主に、高級ブランドの服の生地として採用されてきた。 流行を追う服は安定的には売れず、業者の経営は不安定で数も減ってきた。 社長の松下昌樹 (43) は浜松市役所に 11 年勤め、産業振興の仕事をしたこともある。 買いやすい服をつくることで、遠州織物を支えたいと考えていた。 服のデザインができる妻とともに 2014 年に起業した。 常設の店舗を持つと家賃や人件費がかかる。 コストをできるだけ抑えるため、販路はネットを主軸にしたい。 しかし、遠州織物の着心地のよさは、ネット上の写真や文章では伝わりにくい。 そこで、百貨店の催しで実際に触ってもらう活動に力を入れる。

コストを抑える工夫はほかにもある。 洋服は流行を追うと、売れ残りを廃棄したり、バーゲンで安く処分したりすることにつながりやすい。 そうなると、値段も高めになってしまう。 流行に左右されにくい定番商品のパンツや T シャツを開発することで、安定的に売れることをめざした。 サイズが多いとロスにつながるので、商品の 7 割は男女兼用のフリーサイズだ。 試着できない通販でも、サイズ選びの失敗が少ないメリットもある。 顧客は 30 代以上の女性が中心だ。

遠州織物の織物業者と直接取引し、生地の企画から関わり、中間コストも減らしている。 これだけ工夫をしても、価格は量販店の商品の何倍にもなってしまう。 パンツが 2 万 5 千円前後、上着のシャツが 2 万円前後などだ。 それだけに良さを分かってもらう催しと、ネットでの情報発信が大事だ。 ホームページや SNS で出店情報を告知し、地域ごとの顧客にアピールする。 催しでは遠州織物の業者にも参加してもらうことがある。 4 月に東京・日本橋であったイベントには、浜松市で 1928 年に創業した「古橋織布」も参加。 4 代目社長の古橋佳織理 (36) が遠州織物の歴史などについて話した。

古橋織布が保有する織機は 21 台。 部品は生産されていないため、廃業した同業者の織機の部品などで維持している。生地は量に限りがあるため、これまで納入先は取引を秘密にしたがっていたという。「他社にできないものを織っている。遠州織物の存在をもっと知って欲しい」と古橋は訴える。近く、生地そのものも販売する計画だ。 松下は「遠州織物のすばらしさは浜松の人にさえ伝わっていない。 今治のタオル、岡山のデニムのようになってほしい。」と意気込む。 = 敬称略 (松浦新、asahi = 6-5-23)


ジュンが高島屋に新業態 婦人服売り場に「異空間」を作った理由

ジュンは、高島屋とのコラボ業態として「ロペ」と「サロン アダム エ ロペ(以下サロン)」を組み合わせたライフスタイルショップ「モア サロン エ ロペ(以下モア)」を、5 月 12 日、高島屋大阪店 3 階にオープンした。 百貨店にはこれまで「ロぺ」の単独店を出店してきたが、「サロン」が百貨店に出店するのは初めて。 ライフスタイル提案型の大型店で、百貨店の富裕層の取り込みを狙う。

約 200 平方メートルの店舗は "モア ラブ, モア ウーマン" をコンセプトに、ロペのルーツであるフランスのリゾート地、サントロペにある開放感のある住まいをイメージした。 オープン時は「ロペ」と「サロン」をブランドごとに分けて展開。 アパレルに加え、服飾雑貨と生活雑貨、フェムテックアイテムなどをそろえる。

商品構成はアパレルが約 8 割に対して雑貨は約 2 割。 特に生活雑貨では、暮らしを豊かにする器の品ぞろえを充実させた。 今秋には、顧客動向も反映した「モア」オリジナルの商品を開発する予定だ。 アパレルのポップアップのほか、器などの作家を招いてのワークショップや販売会などのイベントを 1 カ月から 1 カ月半に 1 回のペースで開催する。

百貨店の店舗のあり方を変える

同店は高島屋大阪店の春の改装に合わせて開業した。 百貨店業界は、コロナ禍で売り上げ、客数ともに大きく落ち込んだが、とりわけ 30 歳以下の次世代顧客の減少が顕著になっている。 そこで高島屋では「既存の深化」と「新しい発想のマーケット創造」をキーワードに、ファッションフロアの再生をめざして 10 年後を見据えた売り場づくりに着手。 カルチャーも含めたライフスタイル提案を得意とするジュンとの協業により、婦人服フロア活性化の起爆剤として立ち上げた。 メンズフロアとカフェに隣接させることで、カップル客の来店を促し、フロア内の回遊性を高める狙いがあるという。

同プロジェクトを立ち上げた島屋 MD 本部の嶋廻由希子部長はこう語る。 「われわれが考える既存の深化とマーケット創造というコンセプトでファッションを再生するには、時間軸を使って空間作りをしてくれる企業との取り組みが不可欠。 婦人服フロアにその考えを導入して新規客を増やしていきたい。」 ターゲットは、従来からのファッション感度の高い顧客に加え、ファッションを最優先するよりも生活そのものの質を上げてライフスタイルを豊かにしたいというマインドの持ち主に設定した。 上質なものを好む百貨店の顧客の期待に応えるクオリティーとライフスタイル提案で、幅広い世代の共感を得られる売り場を展開する。

百貨店の大型ショップを初めて任されたジュン側も、コロナ後のリアル店舗のあり方を社内で議論していたこともあり、リアル店舗での購買体験価値を高めていくには、ゆったりした空間で顧客が快適に過ごせるライフスタイル提案型の店づくりが必要と考えていた。 「コロナ禍を経て、内面や生活に向きあうお客さまが非常に増えてきている。 売り場の効率を求めてコンテンツを詰め込むよりも、滞在時間が長くなる店づくりが必要と感じていた。 ロペのエレガンスと何を組み合わせるか考えたとき、ライフスタイル提案型のサロンが一番しっくりくるということになった。」と、ジュンの原誠常務は振り返る。 (橋長初代、WWD = 5-22-23)


アパレル製造拠点ベトナム、米のウイグル禁止法で苦境に

[ハノイ] 米国が人権侵害を理由に中国新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止したことで、ベトナムのアパレル・靴産業が苦境に陥っている。 GAP やナイキ、アディダスなど大手ブランドに製品を供給する一大拠点だが、富裕国の需要鈍化で既に昨年 10 月以来、業界全体で 9 万人近くが解雇されており、米国の規制がさらに追い打ちをかけている。 米政府が昨年 6 月に施行した「ウイグル強制労働防止法」は企業に対して製品や原材料が新疆の強制労働によるものではないことを証明するよう義務付けている。

ロイターが米政府統計を調べたところ、アパレル輸出国の中ではベトナムが同法の影響を最も大きく受けていることが分かった。 3 日までの米通関統計によると、ウイグル禁止法によって検査を受けた 1,500 万ドル(約 20 億円)相当のアパレル・靴の積み荷は 80% 強がベトナム産で、輸入が認められたのは 13% にとどまった。 米国の輸入業者の多くは好調を保っているが、ベトナムのメーカーが原材料調達の約半分を中国に依存しているため、供給網が混乱する可能性は残る。 ベトナムの製造業者、業界団体、商工省はウイグル禁止法の影響に関するロイターの質問に回答しなかった。

米国への輸入を拒否されたベトナムからの出荷額は 200 万ドル超と、同様の状況にある中国からの出荷額の 3 倍に達しており、ウイグル禁止法で年初からの数カ月間に急増した。 米当局は電子産業、特にウイグル産ポリシリコンを使う可能性がある太陽光パネルについてはもっと頻繁に検査しているが、輸入を拒否されたのはわずか 1% で、アパレル・靴の 43% を大幅に下回っている。 米統計によると、税関がウイグル禁止法に基づいて実施した検査は全体で約 3,600 件、10 億ドル強相当だ。

リスクはウイグル産の綿

ベトナムは昨年のアパレル・靴の対米輸出が 270 億ドルで、ウイグル禁止法による輸入差し止めはほんの一部。 しかし法令順守を巡るリスクがさらに辛い調整を迫り、それが米国の消費者に波及する恐れもある。 ベトナムが綿製アパレルの主要な供給国だからだ。 デラウェア大学でファッション・アパレルを研究するシェン・ルー氏は「ベトナムは中国産の綿原料に大きく依存しており、それがウイグル産の綿を含んでいるリスクは非常に高い。 ウイグルは中国の綿生産の 90% 以上を占めるからだ。」と言う。

ルー氏はまた、ベトナムの製造業者の多くは中国の投資家がオーナーとなっているため、中国依存を大幅に下げることは難しいと話した。 事情に詳しい業界関係者や政府当局者は、ベトナムの一部供給業者は、ウイグル産の綿を輸入しているか、もしくはウイグル産を使っていないことを証明することが不可能なため、ウイグル禁止法の順守が難しいと認めた。

米連邦海事委員会 (FMC) のコミッショナー、カール・ベンツェイ氏は今月、FMC のウェブサイトで、ウイグル禁止法に基づく検査作業で供給網が混乱する恐れがあると警告を発した。 昨年の調査によると、米ファッション業界の経営幹部の 60% 近くがウイグル禁止法への対応としてアジア以外の国からの供給を模索していると答えた。 シェン・ルー氏は、米企業が代わりの供給業者を迅速に見つけるのは難しく、ベトナムからの積み荷の検査が増えると見込んでいる。

雇用削減も

ベトナムで雇用者数が農業に次いで多いアパレル・靴産業は昨年 10 月以降、需要減退により 340 万人の従業員の 3% 近くを解雇せざるを得なくなった。 この影響で、ベトナムの輸出と生産は今年第 1・四半期にそれぞれ前年同期比で 11.9%、2.3% 減少した。 ナイキとアディダスが全世界で販売する靴のおよそ 3 足に 1 足がベトナム製で、アパレルにおけるベトナム製の比率はそれぞれ 26%、17% だ。

ナイキは昨年 5 月時点までの年次報告書で、ベトナムは今も主要な製造拠点だとしたが、同国でのアパレルと靴の生産を大幅に縮小している。 アディダスは「ベトナムは当社の主要な調達国の 1 つであり続ける」と説明。 GAP は検査で差し止められた積み荷はないとしている。

靴とアパレルの米業界団体の関係者 2 人は、ウイグル禁止法はこれまでのところベトナムに大きな影響を及ぼしていないと述べ、最近の人員削減は世界的な需要減退が理由だとした。 しかしロイターは 2 月、ナイキとアディダスの主要の供給業であるポウ・チェンがベトナムで大規模な人員削減を進める一方、インドで大規模な設備投資を計画していると報じた。 (Francesco Guarascio、Khanh Vu、Reuters = 5-6-23)


幕張メッセで最大級フリマ 衣料品、小物、自動車も
キッチンカー 30 台出店 GW 後半スタート

ゴールデンウイーク後半の 5 連休が 3 日始まり、各地の交通機関や観光地が混雑した。 千葉市美浜区の幕張メッセでは国内最大級のフリマ "どきどき" フリーマーケット」が開幕。 掘り出し物を求める大勢の家族連れらでにぎわった。 あす 5 日までの 3 日間で約 12 万人の来場を見込んでいる。

個人や企業が衣料品や手作りの小物、自動車などを出品。 来場者は商品を手に取って品定めしていた。 出店企業の輸入車ディーラー「ファミリー」は新人研修の場にしており、新入社員の足立瑞季さん (22) は「初めての接客に緊張してなかなか呼び込みもできなかったが、少しずつ慣れた。 説明の仕方やポップ広告の位置などを新人みんなで考え直して残り日数に臨みたい」と意気込んだ。

フードエリアも設けられ、約 30 台のキッチンカーが出店。 世界のメニューを集めた「ワールドグルメフェス」も開催されている。 妻と訪れた袖ケ浦市の近藤恵昭さん (61) は「久しぶりに来た。 出店者の年齢層が広がったのか、商品の種類の幅も広がったよう。 妻はブランドの靴や食品を買いました。」と笑顔で話した。 午前 11 時から午後 6 時まで。当日券は 800 円で小学生以下は無料。 きょう 4 日は人気アーティストのミニライブや、パリ五輪の正式種目に採用された「ブレイキン」のトップ選手 4 人によるパフォーマンスが行われる。 (千葉日報 = 5-4-23)


2009 年から、累計 1,739 万点を回収し循環させる業界最大規模の取り組み
「ワールド エコロモ キャンペーン」 2023 年春夏 5 月 15 日(月)より全国 S.C. に拡大

- 新たに全国 50 ヶ所のショッピングセンター等、過去最大の開催規模に -

株式会社 ワールド

株式会社ワールドは、サステナブルな社会の実現に向けて "衣料品の価値を無駄なく活かすこと" を目的に、お客様の不用な衣料品をお引き取りする今春夏の「ワールド エコロモ キャンペーン」を 5 月 15 日(月)から新たに全国のショッピングセンター、アウトレットモールにて順次開催いたします。

2009 年に開始し 14 年目を迎えたこのキャンペーンは、アパレル業界における衣料品回収の先駆けとして、年間 100 万枚を集める業界最大規模の取り組みです。 2023 年の春夏キャンペーンは、すでに全国の百貨店にてスタートをしており、5 月からは新たにショッピングセンター、アウトレットモールにおける開催施設を全国 50 ヶ所と過去最大規模に増やし、多くのお客様にキャンペーンに参加いただく機会を設けます。 これからもワールドは「ワールド エコロモ キャンペーン」を通じて衣料品の循環をおこない、エコシステムの自律的進化を目指してまいります。

開催施設拡大の狙い

  1. ロス・ムダを極小化する「ワールド・ファッション・エコシステム」の進化へ

    「ワールド サステナビリティ プラン」を推進するなか、本キャンペーンにて開催施設を拡大し、衣料品回収を進化させることで、回収した衣料品の一部を将来的にリサイクル・自社グループ内でのリユースまで循環させる仕組みの進化を目指します。

  2. 高い意識を持つお客様と共に SDGs に取り組む

    社会的な SDGs への関心の高まりにより、ショッピングセンターなど、より身近な場所でも本キャンペーンに参加したいというお客様の希望を受け、開催施設を拡大。 お客様と共に活動を拡げていきます。

「エコロモ」とは、"エコロジー" と "衣(コロモ)" をかけ合わせたワールド独自の造語です。

開始以降、環境に対する関心や社会貢献につながる消費の高まりにより、多くのお客様から賛同をいただき累計 1,739 万点以上をリサイクルしてきました。 リサイクル方法も時代と共に進化させ、2011 年秋冬からはリサイクルパートナーと連携し、お引き取りした衣料品を販売し衣料品のリユース(再利用)を行うと共に、収益金は支援を必要としているこども達の未来のために役立てていただけるよう寄付を行い、これまでの寄付の総額は 1 億 585 万 3,835 円(22 年度)にのぼります。 今後 2030 年までに 1,000 万点の回収と活用を目指し、ワールドグループのサーキュラー事業を拡大させます。

「ワールド エコロモ キャンペーン」の特徴

  1. 業界における衣料品回収の先駆け。 2009 年の開始時は、経済産業省および独立行政法人中小企業基盤整備機構が支援する『繊維製品リサイクル・モデル事業』に参画。 その後ワールド独自の手法でキャンペーンを拡大。
  2. 回収と引き換えにお客様にはワールドグループの店頭で使用できる「OFF チケット」をお渡し、リユース・リサイクル、収益金の寄付、そして資源の再利用と四方よしのモデルで継続。
  3. 業界を牽引するエコシステムとして、衣料品は自社商品に限らずに回収。
  4. 今後は一層の資源の有効活用を視野に、回収・リサイクル方法を進化。 2030 年までに 1,000 万点の回収と活用を目指す。 (PR Times = 5-2-23)

進む衣料品の回収 繊維育英会、昨年 20 万着回収し今年は 50 万着へ

衣料品を回収して資源を循環するプロジェクトやリサイクル事業が目立ってきた。 SDGs (持続可能な開発目標)やサステイナブル(持続可能な)への活動が広がり、エコ素材や残糸などを活用したブランドや商品企画も増えるなか、消費者の意識も高まりつつあり、衣料品の回収が進んできた。

一般社団法人繊維育英会は 22 年 4 月、資源循環プロジェクト「ウィゾール」を開始し、1 年間で約 20 万着の衣料を回収した。 23 年は 2 倍以上の 50 万着超の回収を見込む。 「全ての服は捨てるものではなく、全て回収するもの。 そして生まれ変わるもの。(財間宣彰副理事長)」として、提携先に設置した回収ボックスで、素材を制限せずに全ての衣料品を回収している。 色や混合率別に仕分けし、パーツの解体作業を徹底、糸にできるものは紡績し「リ・ヤーン」として繊維製品にする。 それ以外は圧縮成形した繊維リサイクルボード「パネコ」にし、2 通りの "ダブルサーキュラーエコノミー" に取り組んでいる。 (古川伸広、繊研新聞 = 4-27-23)


三陽商会、「バーバリー」失ってから初の営業黒字 外出増え消費回復

アパレル大手の三陽商会が 14 日発表した 2023 年 2 月期決算は、営業損益が 22 億円の黒字(前年は 10 億円の赤字)だった。 英高級ブランド「バーバリー」のライセンス契約終了後、長く業績不振が続いていたが、7 期ぶりに営業黒字となった。 外出機会の増加に伴い、スーツやコートなどの消費が回復。 訪日外国人客(インバウンド)の売り上げも利益を押し上げた。 「マッキントッシュ ロンドン」や「ポール・スチュアート」など 7 つの基幹ブランド全てが好調だった。 純損益も 21 億円の黒字で、黒字は 2 年連続。

大江伸治社長はコロナ禍の 20 年に社長に就任後、在庫管理や値引き販売の抑制などを徹底し、業績回復に努めた。 大江社長は 14 日の決算会見で「(黒字化は)全社一丸となって粛々と実行した必然の結果だ」と話した。 24 年 2 月期は、路面店やアウトレットなどへの出店を強化するほか、今秋には EC サイトを刷新し、売り上げの拡大を目指すという。 (益田暢子、asahi = 4-14-23)