キオクシア、米 WD と統合調整 半導体メモリー、世界で最大規模

半導体大手キオクシアホールディングス(東京)と、協業先の米ウエスタン・デジタル (WD) が、経営統合を視野に詰めの調整に入ったことが 2 日、分かった。 半導体メモリーでは世界で最大規模となる。 スマートフォン向けなどの半導体市況が悪化し業績が低迷していることから、経営を効率化して競争力を高める狙いがある。 キオクシアに 4 割を出資する東芝の経営再建計画に影響する可能性がある。

英調査会社オムディアによると、スマホなどのデータ保存に使われる NAND 型フラッシュメモリーの金額ベースの 2022 年世界シェアは、キオクシアが 3 位、WDは 4 位。 統合すれば同事業の売上高は 2 兆 5 千億円規模となり、最大手の韓国サムスン電子に匹敵する。 関係者によると、キオクシアと WD が出資して新会社を設立し、一体となって半導体の生産や営業を手がける案などを検討している。 両社はこれまでも、岩手県北上市と三重県四日市市の工場を共同で運営しているが、経営統合に踏み込む。 キオクシアが主導権を握る方向で、出資比率などは検討を続ける。 (kyodo = 6-2-23)


IBM やグーグル、東大などに 290 億円 量子・半導体で日米連携

量子コンピューターや半導体研究を推し進めるため、日米両政府は 21 日、教育分野での協力覚書を結んだ。 米企業から東京大など国内 6 校などに対し、計 2 億 1 千万ドル(約 290 億円)の投資をする。 先端研究の分野でも中国の存在感が強まる中、日米での連携を強める狙いがあるとみられる。 この日、広島市で永岡桂子文部科学相と米国のブリンケン国務長官が署名を交わした。

量子コンピューターでは、米 IBM が、米シカゴ大と東京大に 10 年で 1 億ドル(約 138 億円)を出資。 心臓部の部品「量子ビット」を 10 万個搭載した、世界初の量子スーパーコンピューターの開発を目指す。 米グーグルも、研究開発と人材育成のため、シカゴ大と東京大に 10 年で 5 千万ドル(約 69 億円)を出す。 米半導体大手マイクロン・テクノロジーは、米パデュー大学など米国の 6 校と、東北大、東京工業大、名古屋大、広島大、九州大に 5 年で 6 千万ドル(約 83 億円)を出して研究に取り組む。 ブリンケン氏は「日米の国家と経済の安全保障のためにできる、最も賢明な投資の一つだ」と話した。 (市野塊、asahi = 5-21-23)


米半導体大手マイクロン、日本で 5 千億円の投資表明 政府も支援へ

岸田文雄首相は 18 日、首相官邸で海外の半導体大手メーカー幹部と面会し、日本への投資拡大や日本企業との連携を呼びかけた。 出席した米マイクロン・テクノロジーは 5 千億円の対日投資を表明した。 半導体サプライチェーン(供給網)強化の動きは加速しており、首相は 6 月にまとめる「骨太の方針」に支援を明記する考えも示した。 台湾積体電路製造 (TSMC)、韓国のサムスン電子、米国のインテル、マイクロン・テクノロジー、IBM、アプライドマテリアルズ、ベルギーの imec の幹部が出席した。 首相は 7 社の幹部に「政府を挙げて半導体産業への支援に取り組んでいく」と述べ、日本への投資拡大に期待を示した。

政府関係者によると、マイクロンのサンジェイ・メロートラ CEO は「日本政府による支援を前提に、次の数年で最大 5 千億円を投資する」と表明。 同社は直後に正式発表し「急速に台頭している生成系 AI (人工知能)に代表される新たな技術革新の波を支援する」とした。 広島工場に最先端の半導体を製造するための設備を導入する方針で、開発と量産のための投資だという。

マイクロンは 2013 年、日本のエルピーダメモリを傘下に入れ、広島工場を引き継いだ。 エルピーダは、NEC や日立製作所の半導体メモリー事業を統合して発足した企業だったが、韓国サムスン電子などとの競争に敗れて破綻し、買収されていた。 熊本県に新工場を建設中の TSMC もさらなる投資を首相に説明。 マーク・リュウ会長は「日本はグローバルな半導体のシステムで比類ない重要な地位を占めており、日本のパートナーとの連携を強化していく」とのコメントを出した。 サムスンは日本に研究開発拠点を設け、投資を拡大させると明らかにした。

各社が日本政府による補助金以外に投資の前提としているのは、日本企業の技術だ。 日本には、半導体の製造装置や素材の分野で世界有数の技術を持った企業が多い。 19 年に日本政府が半導体関連素材 3 品目の輸出手続きを厳格化すると、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権(当時)は日本に依存する素材や装置分野で国産化を進めた。 だが、最先端の半導体に必要な素材や装置の開発はまだ実現できていないという。

業界関係者は「高品質な装置や素材をつくるうえで、日本企業との連携は必要不可欠だ」と語る。 尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は日韓関係の改善に動いており、そうした政治的な要因もサムスンの対日投資を後押ししている。 経済安全保障の観点からも「同志国」による供給網を強化する政府は、昨年度補正予算で計 1.3 兆円の支援を盛り込んだ。 首相は 7 社幹部との面会で「半導体産業への支援は政府の基本方針だ。 骨太の方針に盛り込む。」と表明。 追加支援への意欲ともとれる発言だ。 経済産業省幹部は「我々も想定していない発言であり、半導体に対する首相自身の強い思い入れは明らかだ」と説明する。 (奈良部健、冨名腰隆、asahi = 5-18-23)

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サムスン電子、日本に先端半導体試作ライン構築か

サムスン電子が日本に先端半導体試作ライン構築を推進するという外信報道が出てきた。 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と日本の岸田文雄首相は 7 日にソウルで開かれた韓日首脳会談で、韓国の半導体企業と日本の素材・部品・装備企業間の共助を強化し半導体供給網を拡充することにしたが、協力が具体化するのか関心が集まっている。

日本経済新聞は 14 日、サムスン電子が日本の横浜市に 300 億円以上を投じて半導体試作ライン構築を推進すると報道した。 2025 年の稼動を目標に数百人の社員を新規採用する見通しで、日本政府がサムスン電子に支給する半導体設備投資補助金は 100 億円以上になるだろうと報道した。 これに対しサムスン電子関係者は「日本国内ファブ(工場)建設推進と補助金などは決まっていない」と話した。

横浜は日本国内のサムスン電子先端半導体研究開発の拠点だ。 業界は日本が半導体後工程(パッケージング)と非メモリー素材・部品分野などで強みを持つだけに、サムスン電子が新規開発した先端技術の検証次元でテストファブを建てるとみている。 一方、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長は 10 日、シリコンバレーのサムスン電子半導体北米法人 (DSA) でテスラのイーロン・マスク CEO と会った。 李会長が世界最大の電気自動車企業テスラとスペースシャトル事業「スペース X」などを持つマスク氏と個別にミーティングを持ったのは今回が初めてだ。

財界ではサムスンがテスラと完全自動運転 (FSD) 半導体の共同開発をはじめ、人工知能 (AI) など未来技術について幅広く交流する意味だと解釈する。 北米半導体法人は電装(自動車電気・電子装備)だけでなく AI などサムスン電子の未来半導体事業技術が集大成されている所であるためだ。 今回の会合場所もやはりテスラ側から要請したという。 サムスンの電装用システム半導体領土がさらに拡大するかも注目される。 自動車の「頭脳」の役割をする FSD チップを直接設計するテスラの立場ではサムスンのようなファウンドリー(委託生産)企業との緊密な協力が必須だ。

李会長は米国に 22 日間滞在した今回の出張で、AI と電装、次世代通信、バイオなどサムスンの未来の収益源と関連した世界的企業の CEO と幅広く会った。 特に李会長は「チャット GPT」に代表される生成型 AI 用グラフィック処理装置 (CPU) を生産するエヌビディアのジェンスン・フアン CEO とも日本料理店で会合した。 (韓国・中央日報 = 5-15-23)


コニカミノルタ赤字 1,050 億円 23 年 3 月期 巨額減損

コニカミノルタは 10 日、2023 年 3 月期の連結最終損益(国際会計基準)が 1,050 億円の赤字(前の期は 261 億円の赤字)になったと発表した。 最終赤字は 4 期連続。 遺伝子検査の米子会社アンブリー・ジェネティクス(カリフォルニア州)などで合計 1,166 億円の減損損失を計上した。 主力の複合機事業の成長が鈍化するなか、M & A (合併・買収)を進めて新たな収益の柱を育てようとしてきたが、業績悪化によって投資回収が難しくなった。

アンブリーは 17 年に官民ファンドの産業革新機構(現 INCJ)と共同で約 900 億円を投じて買収した。 新型コロナウイルス禍などで病院への来院者が減ったことや医療従事者の不足などで遺伝子検査の需要が想定を下回った。 検査料金の低価格化などを受けて競争も激化していた。 のれんや無形資産の帳簿上の金額を引き下げ、約 1,035 億円の減損損失を計上した。

同日の説明会で大幸利充社長兼最高経営責任者 (CEO) は「米国の遺伝子検査市場や競合企業の戦略が変化して大きな影響を受けた」とし、変化に対応できずに稼ぐ力を急速に失った経緯を明らかにした。 INCJ が持つ 4 割のアンブリーの株式にはコニカミノルタへのプットオプション(売る権利)が付いている。 大幸社長は「どの時期にどうするかは、情報を確認できていない」とした。 ドイツのネットワークカメラ子会社で 37 億円、人工知能 (AI) による画像処理事業で 31 億円など、他の不振事業でも減損損失を計上した。

23 年 3 月末の配当を従来予想の 10 円から無配にする。 年間配当は前の期比 20 円減の 10 円になる。大幸社長や山名昌衛会長などが報酬を一部自主返上する。 大幸社長が月額役員報酬の 30% を 12 カ月、山名会長が 30% を 3 カ月、専務執行役と常務執行役が 10% を 3 カ月返納する。 業績悪化に伴って複数の金融機関とのシンジケートローンに関して財務制限条項に抵触する見込みだが、金融機関からはこれによる利益喪失請求を行わないことで承諾を得ているという。

22 年 3 月期にもドイツのネットワークカメラ子会社などで減損損失の計上や、遺伝子検査事業での売掛金の回収見込み額の減少などで 15 億円の黒字予想から 275 億円の赤字に転落していた。 (nikkei = 5-10-23)


三菱電機、売上高は過去最高 不正の影響は「非常に軽微」

三菱電機が 28 日発表した 2023 年 3 月期決算(国際会計基準)は、売上高が前年比 11.8% 増の 5 兆 36 億円で過去最高だった。 円安によって海外事業の売上高が膨らんだ。 欧州向けの空調機器なども好調だった。 本業のもうけを示す営業利益は同 4.1% 増の 2,623 億円、純利益は同 5.1% 増の 2,139 億円だった。

21 年に発覚した性能や検査の不正問題では、本体の製作所でこれまでに計 197 件の不正が発覚。 今月 14 日には新たに 5 つの子会社で計 12 件の不正が明らかになった。 28 日の会見で漆間啓社長は「(三菱電機の)本体側で発生した内容が継続されているようなことがあった」とし、「真摯に受け止めなければいけない」と話した。 23 年 3 月期には再検査や修理、調査の費用などに約 100 億円を計上したが、売り上げへの影響は「非常に軽微」とした。 24 年 3 月期は不正問題に関連し約 90 億円の影響を見込む。 (杉山歩、asahi = 4-28-23)


京セラ、20 年ぶり新設の長崎・諫早の半導体材料工場に 620 億円

京セラは 5 日、長崎県諫早市に建設する半導体材料の新工場に 2028 年度までに総額 620 億円を投じると発表した。 昨年 12 月に工場の新設を表明しており、同社の国内工場としては約 20 年ぶりの新設となる。 26 年度の稼働を目指している。 新設するのは「長崎諫早工場(仮称)」。 京セラの国内工場としては、05 年に稼働を始めた京都綾部工場(京都府)以来の新設となる。 同日、京セラが長崎県や諫早市と立地協定を結んだ。 24 年度までに工場用地として約 15 万平方メートルの土地を取得する。 25 年度に、延べ床面積約 7 万 8 千平方メートルの 6 階建ての工場棟が完成する見通しだ。

新工場では、主に半導体製造装置に組み込まれるファインセラミック部品や、半導体回路を保護する入れ物にあたるパッケージなどを量産する。 28 年度に年 250 億円の生産を見込む。 京セラは、23 年 3 月期の設備投資額が過去最高の 2 千億円にのぼるとしている。 半導体向け部品の旺盛な需要に対し、「京セラ始まって以来の増産体制(谷本秀夫社長)」で臨み、24 年 3 月期はこれを上回る額を工場新設などにあてる予定だ。 (中村建太、asahi = 4-5-23)


次世代半導体、25 年に試作開始 ラピダスが千歳市の新工場発表

次世代半導体の国内生産をめざすラピダスは 28 日、工場を北海道千歳市に建てると発表した。 2020 年代後半の量産に向け、25 年に試作を始めることも明らかにした。 5 兆円規模とされる投資は、北海道で「過去最大の案件(鈴木直道知事)」。 高度な技術開発と巨額の資金調達ができるのかが、プロジェクトの成否の鍵を握る。 新工場の用地は新千歳空港に近い工業団地「千歳美々(びび)ワールド」。 ラピダスの小池淳義社長によると、工場の敷地面積は数十ヘクタールほどの見通し。 試作までの研究・開発に 2 兆円、量産までに 3 兆円の資金が必要と想定しているという。

小池氏が 28 日、北海道庁の鈴木知事を訪ね、建設地の決定を伝えた。 千歳市を選んだ理由については、半導体の製造に欠かせない豊富な水や再生可能エネルギーの供給能力といったインフラ面などを挙げた。 鈴木知事は「北海道の歴史の中でも過去最大の投資案件、企業誘致だ」と歓迎。 半導体工場の近くには材料や装置のメーカーが集まる見込みで、小池氏は取材に「すごい数になる。 100 社くらい。」と答えた。

ラピダスは昨年、トヨタ自動車や NTT など国内大手 8 社が計 73 億円を出資して設立された。 量産をめざすのは、回路の線幅が 2 ナノメートル(1 ナノメートル = 100 万分の 1 ミリ)級の次世代半導体。 半導体は線の幅が狭いほど多くの素子を詰め込むことができ、性能が高まる。 世界で開発競争が続く人工知能 (AI) や量子コンピューターに使われることを想定する。 ただ、日本企業の微細化の技術は 40 ナノ台で止まっており、台湾や韓国勢と比べて 10 年以上遅れているとされる。 世界最大手の台湾積体電路製造 (TSMC) も、まだ 2 ナノの量産化はできていない。 ラピダスは米 IBM などと提携し、技術の導入を急いでいる。

人材の確保も課題だ。 小池氏によると、新工場では当初は数百人、最終的には 1 千人以上が必要になるという。 世界的な半導体需要の高まりで技術者も奪い合いの状況だが、自然豊かな北海道の魅力を押し出して人材を集めたい考えだ。 5 兆円規模の資金をどう調達するかも、今後の焦点となる。 小池氏は「国の支援もこれから決定される。市場から(調達)ということもある」とする。

経済産業省は「次世代半導体に参入するラストチャンス」として、ラピダスを支える方針だ。 次世代半導体の製造技術開発を支援する基金から 700 億円を出すほか、さらなる助成も検討する。 量産ラインをつくる時期がくれば、TSMC の熊本工場に最大 4,760 億円を出したのと同じ「特定半導体基金」の補助対象にもなり得るという。 西村康稔経産相は 28 日の閣議後会見で「日米連携のまさに象徴的なプロジェクト。 政府としても必要な支援を行っていきたい。」と語った。 (伊沢健司、新田哲史、若井琢水、asahi = 2-28-23)

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半導体新会社「ラピダス」 北海道に工場建設を検討

トヨタ自動車や NTT など日本企業が出資する半導体の新会社「ラピダス」が北海道に工場建設を検討していることがわかりました。 トヨタや NTT など 8 社が出資する半導体の新会社「ラピダス」は、自動運転や人工知能に使われる最先端の 2 ナノの半導体の量産化を 2027 年に確立するとしています。 ラピダスは国内での生産を目指していますが、工場候補地の一つに北海道が挙がっていることがわかりました。 北海道はあす、鈴木直道知事が東京のラピダス本社を訪問すると発表していて、誘致に向けた協議が行われます。

Q. ラピダスの工場はどこに作るつもり?

「まだ、そこは決まってない。 決まりましたらお話ししたい。(ラピダス 東哲郎会長)」

ラピダスの東哲郎会長は今月 4 日の BS-TBS の経済番組「Biz スクエア」でこのように述べ、現時点で決まっておらず、決まり次第公表する考えを明らかにしていました。 関係者によりますと、工場の誘致については複数の都道府県から声がかかっているということで、ラピダスは来月までに正式決定することにしています。 (TBS = 2-15-23)

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ラピダスが米 IBM と半導体開発で提携 「わが国にとって重要」会長

次世代半導体の国産化を目指す Rapidus (ラピダス)は 13 日、米 IBM と半導体開発で提携すると発表した。 IBM は保有する技術ライセンスをラピダスに供与。 ラピダスはそれらの技術を基に、回路の線幅が 2 ナノメートル(1 ナノは 10 億分の 1)の先端半導体を量産 したい考えだ。 IBM は、線幅 2 ナノメートルの先端品を試作することに成功している。 ラピダスは米ニューヨーク州にある IBM の研究拠点に技術者を派遣して技術習得に努める考え。 IBM は、ラピダスが日本で試作ラインを立ち上げる際にも協力する。

ラピダスは、トヨタ自動車やソニーグループ、NTT など日本企業 8 社が出資して 8 月に設立した。 回路線幅 2 ナノメートルの先端品は、5 年後の令和 9 年から量産する目標を掲げる。 経済安全保障に対する関心が高まる中、日本を含む各国政府は巨額の補助金を支給するなどして半導体の国内生産を強化している。 ただ、日本は開発競争で台湾や韓国、米国に後れを取っており、目標達成には技術力の底上げが不可欠な状況だ。

ラピダスは、6 日にもベルギーの研究機関と技術協力に関する覚書を交わしたばかり。 先端技術を持つ海外機関と連携することで、自らの技術力を高めたい考え。 13 日の記者会見でラピダスの東哲郎会長は「IBM との今回の連携は、ラピダスにとって重要であるだけでなく、わが国にとっても重要と認識している」と意義を強調した。 (sankei = 12-13-22)

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ラピダス、次世代半導体の製造基盤確立へ 競争優位目指す

トヨタ自動車や NTT など 8 社が出資する半導体新会社「Rapidus (ラピダス)」は 11 日、令和 9 年(2027 年)に次世代半導体の製造基盤を確立させる方針を明らかにした。 同日、東京都内で記者会見した小池淳義社長は「日本の半導体は 20 年近く遅れている。 これが最後のチャンスだ。」と設立の経緯を語った。 同社は次世代半導体の製造基盤の確立後に「ファウンドリー」と呼ばれる受託製造企業を目指す。 世界の半導体供給に大きな影響を持つファウンドリーが中国と台湾に集中しているとして、経済安全保障の観点からも国産の次世代半導体の必要性を訴えた。

新会社にはトヨタや NTT、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、キオクシア、NEC がそれぞれ 10 億円、三菱 UFJ 銀行が 3 億円を出資した。 会長には半導体製造装置大手、東京エレクトロン元会長の東哲郎氏、社長に米半導体大手ウエスタンデジタル日本法人でトップを務めた小池氏が就任した。 東氏は、年内に設立される次世代半導体の研究開発拠点「技術研究組合最先端半導体技術センター (LSTC)」の理事長も兼ねており、連携を強化する。 ラピダスは回路の線幅 2 ナノ(ナノは 10 億分の 1)メートルの半導体の製造方法や装置を検証する生産ラインを設置し、量産技術を確立する。

新会社に、半導体のユーザーである国内のトップ企業が参画した背景には、具体的な用途を念頭に開発や生産技術の初期段階から技術を高め、競争を優位に進める狙いがある。 トヨタやデンソー、ソニーが携わる自動車業界は自動運転や電動化が加速し、車の高機能化に次世代半導体の搭載が欠かせない。 小池氏は「出資企業と連携し、最終製品をイメージしながら設計したい」と述べた。 (sankei = 11-11-22)

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次世代半導体を国産化へ、トヨタ・NTT・ソニーなど 8 社が新会社 … 20 年代後半の量産化目指す

次世代半導体の国内量産化に向けて、トヨタ自動車や NTT、ソニーグループなど日本の主要企業 8 社が共同で新会社を設立したことが、10 日わかった。 2020 年代後半の量産化を目指す。 半導体は家電や自動車、兵器まであらゆるものに搭載され、経済安全保障上の重要性が増している。 (yomiuri = 11-10-22)

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日本の半導体復活か、早ければ 2025 年に 2 ナノ量産 - 中国メディア

2022 年 11 月 6 日、中国メディアの駆動之家は、日本の半導体産業が早ければ 2025 年にも最先端 2 ナノメートルプロセス半導体の製造技術を獲得する見込みだと報じた。 記事は、台湾では TSMC、韓国ではサムスン電子、そして米国ではインテルが 2 ナノプロセス半導体生産計画を立てる中、かつて世界一を誇った日本の半導体産業は先進的な生産技術を持っておらず、米国と提携してその差を埋めようとしていると伝えた。

そして、今年上半期に日本が米国と共同で 2 ナノプロセス半導体開発を実施するという情報の続報として、日本政府が日米共同研究拠点に 3,500 億円を投じることを盛り込んだ半導体支援策が明らかになったと紹介し、研究拠点が早ければ年内に完成して日米による合弁会社が創設され、25 - 30 年の間に 2 ナノプロセス半導体の量産を実現する計画だとしている。

また、日本は現状 2 ナノプロセスの開発技術を持っていないため、この技術を持っている IBM を提携の対象とする可能性が最も高いとし、IBM が数年前に半導体事業を売却するも依然として高い技術開発力を持っており、2 ナノプロセス半導体技術や 1 ナノメートルのカーボンナノチューブなどの「ブラックテクノロジー」を開発してきたと伝えた。 記事は、半導体事業が日本の次世代科学技術戦略の一部に過ぎないとし、合計 3 兆円を投じて半導体のほかにロボット、バッテリーなどの重要分野の技術開発を促進する計画だと紹介している。 (Record China = 11-7-22)


花形産業から転落 電気機器が初の貿易赤字 812 億円、4 年下半期

テレビや携帯電話など電気機器の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が、令和 4 (2022) 年下半期(7 - 12 月)に 812 億円の赤字に転落したことが 18 日、分かった。 半期ベースの赤字は現行方式のデータが残る昭和 63 (1988) 年以降で初めて。日本製品の国際競争力が低下したほか、生産の海外シフトが進んだことが背景にある。

かつて自動車と並ぶ輸出産業の「花形」で、年間 8 兆円近い貿易黒字を稼ぎ出した 1990 年代からは様変わりした電機業界の現状が浮き彫りになった。 財務省の貿易統計によると、令和 4 年下半期の輸出額は 9 兆 2,322 億円で上半期(1 - 6 月)に比べ 13.9% 増。 輸入額は 17.2% 増の 9 兆 3,134 億円となり、輸出額を上回った。 品目別の収支は、スマホなどの「通信機」が 1 兆 7,898 億円の赤字。 冷蔵庫などの「家庭用電気機器」は 4,003 億円の赤字、テレビなどの「音響・映像機器(部品含む)」は 3,093 億円の赤字だった。 (sankei = 2-18-23)

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電機 7 社の 4 社が最終減益、シャープは赤字に 4 年 4 - 12 月期 原材料費高騰などで

東芝を除く電機大手 7 社の令和 4 年 4 - 12 月期連結決算が 7 日、出そろった。 円安の追い風もあり全社が増収となったものの、原材料費高騰などで一部メーカーの採算が悪化。 最終損益は、日立製作所とパナソニックホールディングス (HD)、三菱電機、富士通の 4 社が減益となり、シャープは赤字に転落した。

この日決算を発表したシャープはディスプレー事業の不振などが響き、最終損益が 72 億円の赤字(前年同期は 708 億円の黒字)に転落した。 5 年 3 月期の本業のもうけを示す営業損益は 200 億円の赤字と、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る前の平成 28 年 3 月期以来、7 年ぶりの赤字となる見通し。 沖津雅浩副社長は記者会見で、令和 6 年 3 月期の黒字化に向け「抜本的な構造改革を進めている」と強調した。

日立の 4 年 4 - 12 月期は円安効果もあり売上高が前年同期比 10.4% 増となったが、最終利益は前年同期に株式譲渡益を計上した反動などで同 35.2% 減となった。 パナソニック HD の最終利益は同 16.7% 減。 同社は中国経済の減速で電子部品などが苦戦しており、5 年 3 月期の最終利益予想を昨年 10 月時点より 250 億円少ない 2,100 億円に引き下げた。 空調・家電事業などで原材料費の高騰が響いた三菱電機は、4 年 4 - 12 月期の最終利益が前年同期比 6.1% 減となった。

一方、ゲーム事業や音楽事業などが好調だったソニーグループは、売上高が同 10.7% 増の 8 兆 4,762 億円で過去最高を更新。 最終利益も同 4.9% 増と伸びた。 NEC も、デジタルトランスフォーメーション (DX) 需要を背景に国内の IT (情報技術)サービス事業が伸長し、最終利益が同 5.8% 増となった。 (sankei = 2-7-23)


中国でスマホ低迷 村田製作所、今期の売上高 1,400 億円下方修正

電子部品大手の村田製作所は 2 日、2023 年 3 月期(米国会計基準)の売上高予想を昨年 10 月時点の 1 兆 8,200 億円から 1,400 億円引き下げて 1 兆 6,800 億円に下方修正すると発表した。 中国でスマートフォンやパソコンの売れ行きが低迷し、電子部品の需要が落ち込んでいるためという。 本業のもうけを示す営業利益予想は 3,800 億円から 2,950 億円、純利益予想は 2,970 億円から 2,260 億円に、それぞれ引き下げた。

村田恒夫会長は「中国でのロックダウン(都市封鎖)や経済的な成長鈍化が商品の鈍化につながっている」と話した。 需要が回復するのは 24 年夏以降とみているという。 同日発表した 22 年 4 - 12 月期決算は、売上高が前年同期比 2.9% 減の 1 兆 3,392 億円、営業利益が 19.0% 減の 2,722 億円、純利益が 15.4% 減の 2,118 億円だった。 (栗林史子、asahi = 2-2-23)


日本電産、純利益を 1,050 億円下方修正 報道めぐり経済誌を提訴

モーター大手の日本電産は 24 日、2023 年 3 月期(国際会計基準)の純利益予想を昨年 4 月時点の 1,650 億円から 1,050 億円引き下げ、600 億円に下方修正した。 中国経済の減速や電気自動車 (EV) 生産の停滞などの影響で、約 500 億円の構造改革費用を計上する。その中には、品質問題に絡んだ引き当てが含まれるという。 永守重信会長は同日の会見で、「品質問題でのトラブルがリコールになるのではないかと想定して(構造改革費用内に)引き当てを済ませている。 いろんなゴミを全部今期中にきれいにする」と話した。

この日発表した 22 年 4 - 12 月期決算は、売上高が 20.8% 増の 1 兆 6,997 億円、純利益が 4.8% 増の 1,040 億円で、いずれも第 3 四半期決算としては過去最高だった。 一方、本業のもうけを示す営業利益は、車載事業の不振などから 6.8% 減の 1,244 億円だった。 同社はこの日、虚偽の報道で名誉を傷つけたとして、経済誌「週刊ダイヤモンド」の発行元などに対し、損害賠償と謝罪広告の掲載などを求めて東京地裁に提訴したと発表した。 同誌は、永守氏が従わない役員を解任し、関潤前社長の退任後に外部人材が流出しているなどと報じていた。 (栗林史子 中村建太、asahi = 1-24-23)


配送ロボット公道へ、環境整備進むサービスロボ普及へのカギ

サービスロボットを導入しやすい環境の整備が官民で本格化している。 経済産業省が旗振り役となり、ロボットとエレベーターの通信連携に必要なシステムの実用化が期待されるほか、公道でのロボット配送サービスに関する法制度が 4 月までに施行される予定だ。 ロボットの社会実装には機能の強化だけでなく、施設内の稼働要件の整理や導入企業の業務見直しも求められる。 業務や生活に欠かせない存在として、ロボットの活用拡大を目指す。

経産省はビルや商業施設などを念頭に、ロボットを導入しやすい環境「ロボットフレンドリー」の実現を重視する。 清掃や警備、搬送などに使われるロボットが増え、「エレベーターを使ってフロア間を移動する(ロボット政策室)」ことも想定した技術の必要性が高まっている。 経産省の方針に沿って、ロボットのメーカーとユーザーによる団体「ロボットフレンドリー施設推進機構 (RFA)」が 2022 年に発足。 パナソニックホールディングス (HD) や三菱地所、東芝エレベータ(川崎市幸区)、セコムなどが参画し、あらゆる施設へのロボットの導入を狙う。

その一環として、ロボットとエレベーターの連携にかかわるフォーラム規格(正式版の規格)を発行。 連携システムの安全性を確保しつつ、コストを抑えて構築することを後押しする。 ロボットがエレベーターを乗り降りしながら移動するための環境整備だ。 ロボットの機能が高度化する一方、施設内には "難所" が少なくない。 「ロボット特有のバリアフリー(同)」が求められ、エレベーターに加えて、自動ドアや入退館用ゲートと連携する仕組みも必要。 経産省は床や壁の材質、各スペースの寸法なども標準化することで、適用範囲が広がるとみている。

楽天グループなどが茨城県つくば市で運用した自動配送ロボ

ロボットを導入する場合、施設環境に合わせて機能を追加するとコストがかさむ問題がある。 これではロボットの普及が十分に進まない可能性がある。 施設の設備や業務をロボットに合わせて見直す発想が重要で、導入側の対応が求められている。 また改正道路交通法の施行により、公道でのロボット配送サービスの利用拡大が見込まれる。 楽天グループとパナソニック HD、西友は茨城県つくば市で、西友の店舗で取り扱う商品を自動配送ロボットにより対象地域の住民に届けるサービスを 22 年に実施した。普及に向けては公道などでの安全性の確保がカギとなりそうだ。 (NewSwitch = 1-5-23)


TSMC、ついに 3nm チップを量産開始へ アップル「M2 Pro/Max」に採用か

Apple シリコン(アップル独自開発チップ)の主要サプライヤーである台湾 TSMC が、まもなく 3nm プロセスでのチップ製造を開始すると報じられている。 今後の 14 インチ/16インチ MacBook Pro 後継モデルに搭載予定と見られる、「M2 Pro」チップなどに使われる可能性が浮上した格好だ。 台湾の電子産業業界誌 DigiTimes の記事によると、TSMC は 12 月 29 日に台南市の南部科学工業園区 (STSP) の施設「Fab 18」にて、3nm プロセス技術を用いたチップの商業生産開始を記念する式典を行う予定とのことだ。 この式典では、3nm チップ生産を拡大する計画についても詳述する見通しとも付け加えられている。

アップルは現在、iPhone 14 Proシリーズの A16 Bionic チップに TSMC の 4nm プロセス技術を採用しているが、今回の動きにより来年早々に 3nm プロセスに移行する可能性が生じてきた。 全世界の半導体ファウンダリ(受託製造)の中でもトップを走る TSMC だが、最先端の 3nm による量産には苦戦気味だった。 同社の CEO も「言葉では言い表せないほど難しい」と述べていたほどだ。 そのため、2022 年内の 3nm での量産は放棄したと噂されたなか、TSMC は予定通りに開始すると発表。 その約束が、無事に果たされる見通しである。

次期 14 インチおよび 16 インチ MacBook Pro は、当初は今年 10 月に発表が噂されていた。 そのスケジュールでは TSMC の 3nm への移行が間に合わないため、搭載プロセッサーも M1 Pro/M1 Max と同じ 5nm 製造(ただし改良版)になるとのアナリスト予測もあった。 だが、今のところ新型 MacBook Pro は 2023 年初め(あるいは 3 月)に発売されるとの説が有力となっている。 初めの予想から数ヶ月遅れたために、逆に M2 Pro や M2 Max が 3nm チップとなる可能性が高まった、というわけだ。

そして M2 Pro や M2 Max は、まず新型 MacBook Pro に搭載された後、おそらく Mac mini や Mac Studio 後継モデルにも採用されるはず。 MacBook Air (2022) 搭載の M2 チップは 5nm 製造であり、M1 MacBook Air との顕著な性能差はなかったが、今後の Mac は大きな伸びしろが期待できるかもしれない。 (Phile Web = 12-27-22)

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サムスンが業界初の 12nm 級 DRAM を開発 = 韓国ネット「やっぱりサムスンが世界最高」

2022 年 12 月 21 日、韓国・イーデイリーは「サムスン電子が業界初となる 12nm級の DRAM を開発した」と伝えた。 記事によると、サムスンは業界最先端技術の 12nm クラスのプロセスで 16Gb DDR5 DRAM を開発した。 サムスンは同日、回路の改善、新素材とマルチレイヤー EUV (極端紫外線)露光技術を適用して工程を完成させ、米 AMD と互換性検証を終えたと発表した。 今回の 12nm 級 DRAM は前世代の製品と比べて生産性を約 20% 向上させられる。 消費電力も約 23% 改善されたという。 サムスンは今後、12nm 級 DRAM のラインナップを拡大させ、データセンター・人工知能・次世代コンピューティングなどさまざまな応用先に供給する方針だという。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「サムスンは素晴らしい企業。 永遠に発展し続けますように。」、「金の卵を産むサムスンは国への貢献度が高い」、「やっぱり DRAM はサムスンが世界最高だ! これからスマホや家電ももっと成長させて、韓国内の消費者に安く販売してほしい」、「未来のグローバル世界で生き残れるように革新的なものをどんどん開発しよう。 韓国の経済がかかっている。 頑張れ、サムスン!」、「文政権のようにサムスンをいじめるのではなく、サムスンがうまくいくように政府は十分な支援をしなければならない」など、サムスンへの応援の声が多数寄せられている。 (Record China = 12-22-22)


核対応シェルターに熱視線 ウクライナ侵攻で問い合わせ急増

核シェルターとしても使える「多目的防災シェルター」への関心が、群馬県内でも高まっている。 手がけているのは同県伊勢崎市の「三山テクノス」。 本業はステンレス加工や溶接だが、厚さ 9 ミリの頑丈な鋼板づくりの多目的防災シェルター「AEGIS (イージス)」を 2019 年に独自開発。 最低単価 2,000 万円と高額ながらも、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、問い合わせが急増している。【大澤孝二】

同社がシェルター開発に取り組む原点は、1995 年 1 月の阪神淡路大震災にある。 赤石祐司社長は、ニュース映像で目にした、避難所に身を寄せる被災者のプライベートが守れない状況に心を痛め、当時まだ普及していなかった段ボールの間仕切りを作ろうと思い立った。 しかし、本業とは畑違いのため製造、搬送ルートが確立できず、断念した。

赤石社長は「それならば、自社の技術を災害そのものから身を守る対策に使えないか」とシェルター開発を決意した。 イージスはコンテナ型のシェルターで、最も小さい型で幅約 3.7 メートル、奥行き約 2.3 メートル、高さ約 2.4 メートル。 シェルター全体が水没しても気密性を保持でき、約 6 畳の広さの 1 ユニットごとに 2 - 3 人の避難を想定。 各ユニットは76 通りに組み替えもでき、大人数の収容も可能だ。 地中に埋めれば核シェルターにもなる。

側面のドアと上部のハッチから出入りができ、吸排気装置は室内からコントロールできるため、有害な空気や濁水なども遮断できる。 また 360 度見渡せるカメラや赤色灯を設置し、外部に危機を知らせることも想定する。 県産業技術センターの解析では約 14 トンの荷重にも耐えられると証明されたものの、2019 年 12 月の販売開始当初は問い合わせは数件しかなかった。 しかし、2 月にロシアによるウクライナ侵攻が始まると状況は一変。 問い合わせが数十件に急増した。 赤石社長は「一時は電話をストップしないと仕事にならないくらい問い合わせがすごかった」と驚く。

ふるさと納税も

NPO 法人「日本核シェルター協会」によると、核攻撃に対応した核シェルター型の指定施設は 6 月現在で国内にはゼロで、核シェルターの普及率はスイスやイスラエルで 100% なのに対し、日本は 0.02% と低調だ。 「イージス」の販売価格は最低単位で約 2,000 万円。 伊勢崎市では約 6,600 万円のふるさと納税に対し、地元産品の返礼品としてリストアップされている。 赤石社長は「一見すると高価だが、万が一、災害が起きたときに身を守ることは最優先事項だ。 県内唯一のシェルター開発会社として危機管理の重要性を訴えていきたい」と話している。 (mainichi = 12-13-22)


TSMC、米国で最先端半導体を増産へ 米官民で進む「脱中国」うけ

半導体の受託生産で世界最大手の「台湾積体電路製造 (TSMC)」が、最先端の回路線幅 3 ナノメートル(1 ナノメートル = 100 万分の 1 ミリ)の半導体の生産を 2026 年にも米国で始める。 米政府が 6 日、明らかにした。 バイデン大統領は同日、TSMC の建設中の工場で演説し、歓迎の意向を表明する。 TSMC はアリゾナ州フェニックスに半導体工場を建設中で、3 ナノ半導体をつくる新工場は、来年にも隣接地で着工する。 現在建設中の工場については、当初 5 ナノ半導体を生産する予定だったが、4 ナノ規格に格上げし、24 年からの生産をめざすことも明らかになった。

半導体の性能は、集積回路の表面に引かれた電子回路の幅で決まる。 幅が狭い極小品ほど演算能力や省エネ性能に優れる。 なかでも 3 ナノ製品は「現在の市場で最も高度な半導体(米政府高官)」で、本格的な量産はこれから。 人工知能 (AI) やスーパーコンピューターといった国力を左右する技術にも使われそうだ。 TSMC は先端半導体については台湾域内での生産を原則としており、台湾は世界の先端半導体の生産の 9 割を占める。 米中対立の大きな要素となっている台湾に半導体生産が集中する現状は、供給が途絶えるリスクと隣り合わせだ。

こうした事情もあり、先端半導体の自国生産を急ぐ米政府の要請に TSMC が応じたようだ。 バイデン政権は、米国内で半導体生産を強化する企業に総額 520 億ドル(7 兆円)超の補助金を用意。 TSMC の総投資額は、当初の 120 億ドル(1.6 兆円)から 3 倍超の 400 億ドル(5.4 兆円)に跳ね上がる見込み。 米ブルームバーグ通信は、TSMC が米国から多額の補助金を受けるとの見方を報じている。 同通信はまた、大口顧客の米アップルが、米国で先端半導体の生産を強めるよう求めたとも報じた。 アップルは中国依存の生産拠点の見直しを進めており、米国の官民で進む「脱中国」の流れも TSMC の米国投資の背景にあるとみられる。 (フェニックス = 榊原謙、asahi = 12-6-22)